(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】複眼撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 19/07 20210101AFI20250130BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20250130BHJP
G03B 11/04 20210101ALI20250130BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20250130BHJP
【FI】
G03B19/07
G02B7/02 C
G02B7/02 D
G03B11/04 C
H04N23/50
(21)【出願番号】P 2021069956
(22)【出願日】2021-04-16
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391015616
【氏名又は名称】株式会社アサヒ電子研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】政木 康生
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/148291(WO,A1)
【文献】特開2007-180653(JP,A)
【文献】特開2012-168324(JP,A)
【文献】特開2014-003433(JP,A)
【文献】特開2020-086224(JP,A)
【文献】特開2011-019088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 19/07
G02B 7/02
G03B 11/04
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持するレンズ保持部と、
前記複数のレンズの各々により結像される複数の画像を形成するイメージセンサと、
前記複数のレンズの各々から前記イメージセンサに入射する光路を規制する規制部材と、
前記複数のレンズの光軸方向における前記レンズ保持部の第1位置と、前記光軸方向における前記規制部材の第2位置と、の
うち少なくとも
前記第1位置を調整する第1調整部材と、
前記第1位置と前記第2位置とのうち
前記第2位置を調整する第2調整部材と、を備え
、
前記第1調整部材および前記第2調整部材は、前記光軸方向にみて、互いに重ならないように配置されている、複眼撮像装置。
【請求項2】
前記レンズ保持部と前記規制部材とは互いに連結されており、
前記第1調整部材は、前記第1位置および前記第2位置の両方を一体的に調整するように設けられ、
前記第2調整部材は、前記レンズ保持部と前記規制部材との間に設けられ
、前記第2位置を調整するように設けられている、請求項1に記載の複眼撮像装置。
【請求項3】
複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持するレンズ保持部と、
前記複数のレンズの各々により結像される複数の画像を形成するイメージセンサと、
前記複数のレンズの各々から前記イメージセンサに入射する光路を規制する規制部材と、
前記複数のレンズの光軸方向における前記レンズ保持部の第1位置と、前記光軸方向における前記規制部材の第2位置と、のうち少なくとも前記第1位置を調整する第1調整部材と、
前記第1位置と前記第2位置とのうち前記第2位置を調整する第2調整部材と、を備え、
前記レンズ保持部と前記規制部材とは互いに連結されており、
前記第1調整部材は、前記第1位置および前記第2位置の両方を一体的に調整するように設けられ、
前記第2調整部材は、前記レンズ保持部と前記規制部材との間に設けられ、前記第2位置を調整するように設けられ、
前記レンズ保持部および前記規制部材が組み付けられるベース部材をさらに備え、
前記レンズ保持部は、第1部分において前記第1調整部材を介して前記ベース部材に積層され、
前記規制部材は、前記レンズ保持部の前記第1部分とは異なる第2部分に、前記第2調整部材を介して連結されている
、複眼撮像装置。
【請求項4】
複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持するレンズ保持部と、
前記複数のレンズの各々により結像される複数の画像を形成するイメージセンサと、
前記複数のレンズの各々から前記イメージセンサに入射する光路を規制する規制部材と、
前記複数のレンズの光軸方向における前記レンズ保持部の第1位置と、前記光軸方向における前記規制部材の第2位置と、のうち前記第1位置を調整する第1調整部材と、
前記第1位置と前記第2位置とのうち前記第2位置を調整する第2調整部材と、を備え、
前記第1調整部材は、前記レンズ保持部の前記第1位
置を、
前記規制部材の前記第2位置とは独立して調整するように設けられ、
前記第2調整部材は
、前記規制部材の前記第2位
置を、
前記レンズ保持部の前記第1位置とは独立して調整するように設けられている
、複眼撮像装置。
【請求項5】
前記第1調整部材および前記第2調整部材の少なくとも一方は、複数の薄板の積層体により構成され、厚みにより位置調整を行うスペーサ部材である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の複眼撮像装置。
【請求項6】
複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持するレンズ保持部と、
前記複数のレンズの各々により結像される複数の画像を形成するイメージセンサと、
前記複数のレンズの各々から前記イメージセンサに入射する光路を規制する規制部材と、
前記複数のレンズの光軸方向における前記レンズ保持部の第1位置と、前記光軸方向における前記規制部材の第2位置と、のうち少なくとも前記第1位置を調整する第1調整部材と、
前記第1位置と前記第2位置とのうち前記第2位置を調整する第2調整部材と、を備え、
前記第1調整部材および前記第2調整部材の一方は、
複数の薄板の積層体により構成され、厚みにより位置調整を行うスペーサ部材を含み、
前記第1調整部材および前記第2調整部材の他方は、回転されることにより、前記光軸方向における位置調整を行う位置調整ねじを含む
、複眼撮像装置。
【請求項7】
前記規制部材は、前記複数のレンズの各々から前記イメージセンサに入射する光路を区画する隔壁を含み、前記イメージセンサの受光面から前記光軸方向に離れた前記第2位置に配置されている、請求項1~
6のいずれか1項に記載の複眼撮像装置。
【請求項8】
前記規制部材は、前記イメージセンサの受光面において、前記複数のレンズの各々から入射する光束により形成される各画像領域が相互に重ならず、かつ、前記隔壁の厚みよりも小さい間隔で並ぶように、前記光路を制限する前記第2位置に位置調整されている、請求項
7に記載の複眼撮像装置。
【請求項9】
複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持するレンズ保持部と、
前記複数のレンズの各々により結像される複数の画像を形成するイメージセンサと、
前記複数のレンズの各々から前記イメージセンサに入射する光路を規制する規制部材と、
前記複数のレンズの光軸方向における前記レンズ保持部の第1位置と、前記光軸方向における前記規制部材の第2位置と、のうち少なくとも前記第1位置を調整する第1調整部材と、
前記第1位置と前記第2位置とのうち前記第2位置を調整する第2調整部材と、を備え、
前記レンズ保持部は、各々の前記レンズが焦点距離の10倍以下の撮影距離で合焦する前記第1位置に位置調整されている
、複眼撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複眼撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のレンズを備え、複数のレンズから入射する光をそれぞれイメージセンサの複数領域に結像させて画像化する複眼撮像装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1には、微小レンズを配列した微小レンズアレイと、微小レンズアレイの下方に配置された受光素子アレイと、微小レンズアレイおよび受光素子アレイの間に配置された格子状の隔壁層と、を備えた複眼の画像入力装置が開示されている。1つの微小レンズに対して、受光素子アレイの所定領域が対応しており、格子状の隔壁層が、互いに隣接する微小レンズからの光信号の進入を防ぐために光路を規制している。隔壁層は、微小レンズアレイから下方に向けて、微小レンズアレイと受光素子アレイとの途中位置まで延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたような複眼撮像装置において、イメージセンサから被写体までの撮影距離を短くした近接撮影を行いたいというニーズがある。しかし、無限遠を基準として撮影距離を短くするほど、焦点を合わせるためのレンズの被写体側への繰り出し量が大きくなるため、レンズとともに規制部材(隔壁層)が受光面から離れてしまう。規制部材が受光面から離れる結果、隣接するレンズを通った光束の一部が相互にオーバーラップしてしまい、個眼(個々のレンズ)に対応する各画像中に像が重なって写るオーバーラップ領域が形成されてしまう。このように、従来の複眼撮像装置では、近接撮影を行う場合に、隣接個眼(隣接する光学系)における画像のオーバーラップを抑制することができないという問題点があった。
【0006】
この問題を回避するために、逆に規制部材を近接撮影において適切な位置に固定しておくと、遠方撮影の場合に光線の規制が不十分となりオーバーラップが生じてしまう。対して規制部材を遠方撮影において適切な位置に固定すると、近接撮影の場合に光束が過度に規制されることによってイメージセンサのそれぞれの(個眼毎の)撮影領域の全域を利用し切れない。
【0007】
このように、複眼撮影装置において撮影距離の変化が伴う場合、規制部材とレンズとを一体的に位置調整しても、逆に規制部材だけが所定位置に固定されていても、イメージセンサの撮像領域全域を有効に利用できないことになる。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、近接撮影を行う場合に、隣接個眼における画像のオーバーラップを適切に抑制することによりイメージセンサの撮像領域全域を最大限有効に利用可能な複眼撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、この発明の第1の局面による複眼撮像装置は、複数のレンズと、複数のレンズを保持するレンズ保持部と、複数のレンズの各々により結像される複数の画像を形成するイメージセンサと、複数のレンズの各々からイメージセンサに入射する光路を規制する規制部材と、複数のレンズの光軸方向におけるレンズ保持部の第1位置と、光軸方向における規制部材の第2位置と、のうち少なくとも第1位置を調整する第1調整部材と、第1位置と第2位置とのうち第2位置を調整する第2調整部材と、を備え、第1調整部材および第2調整部材は、光軸方向にみて、互いに重ならないように配置されている。なお、本発明において、第1調整部材は、第1位置のみを調整してもよく、第1位置および第2位置の両方を調整してもよい。第1調整部材が第1位置および第2位置のうち第1位置のみを調整する構成では、第2調整部材が第2位置を調整するように構成され、第1調整部材が第1位置および第2位置の両方を調整する構成においては、第2調整部材が第2位置を調整する。
【0010】
この発明の第1の局面による複眼撮像装置では、上記の第1調整部材と第2調整部材との組み合わせによって、レンズ保持部の光軸方向の第1位置と規制部材の光軸方向の第2位置とを別々に調整できる。そのため、近接撮影の焦点調整のためにレンズ保持部の第1位置を調整(繰り出し)した場合に、調整されたレンズ保持部の第1位置に合わせて、隣り合うレンズ(隣接個眼)を通る各光束が互いにオーバーラップすることを適切に抑制できる位置へ、規制部材の第2位置を調整できる。その結果、近接撮影を行う場合に、隣接個眼における画像のオーバーラップを適切に抑制することによりイメージセンサの撮像領域全域を最大限有効に利用することができる。また、これにより、第1調整部材および第2調整部材の各調整量を異ならせるだけで、より広い撮影距離範囲の複眼撮影を、同一の装置構成で実現できる。
【0011】
上記第1の局面による複眼撮像装置において、好ましくは、レンズ保持部と規制部材とは互いに連結されており、第1調整部材は、第1位置および第2位置の両方を一体的に調整するように設けられ、第2調整部材は、レンズ保持部と規制部材との間に設けられ、第2位置を調整するように設けられている。このように構成すれば、レンズ保持部と規制部材とを互いに連結して一体化することができる。レンズ保持部と規制部材とは、光軸方向だけでなく、光軸と直交する方向(イメージセンサの受光面と平行な方向)の相対位置や、相対角度(すなわち、レンズ光軸に対する規制部材の傾斜角度)を合わせる必要がある。そのため、レンズ保持部と規制部材とが一体化されることによって、両部材間の相対位置や相対角度が相互に独立してばらつくことを回避できるので、レンズ保持部および規制部材の組立精度を高くすることができる。その場合でも、レンズ保持部と規制部材との間の第2調整部材によってレンズ保持部および規制部材の光軸方向の相対位置(距離)を調整できるので、第1調整部材と第2調整部材との組み合わせにより第1位置と第2位置とを別々に調整できる。
【0012】
この発明の第2の局面による複眼撮像装置は、複数のレンズと、複数のレンズを保持するレンズ保持部と、複数のレンズの各々により結像される複数の画像を形成するイメージセンサと、複数のレンズの各々からイメージセンサに入射する光路を規制する規制部材と、複数のレンズの光軸方向におけるレンズ保持部の第1位置と、光軸方向における規制部材の第2位置と、のうち少なくとも第1位置を調整する第1調整部材と、第1位置と第2位置とのうち第2位置を調整する第2調整部材と、を備え、レンズ保持部と規制部材とは互いに連結されており、第1調整部材は、第1位置および第2位置の両方を一体的に調整するように設けられ、第2調整部材は、レンズ保持部と規制部材との間に設けられ、第2位置を調整するように設けられ、レンズ保持部および規制部材が組み付けられるベース部材をさらに備え、レンズ保持部は、第1部分において第1調整部材を介してベース部材に積層され、規制部材は、レンズ保持部の第1部分とは異なる第2部分に、第2調整部材を介して連結されている。これにより、レンズ保持部の第1部分および第2部分に対して、それぞれ第1調整部材および第2調整部材が並列的に設けられる。そして、第1調整部材の調整量(厚み)によって、ベース部材を基準としたレンズ保持部の位置(第1位置)が決定でき、第1調整部材の調整量と第2調整部材の調整量との合計によって、ベース部材を基準とした規制部材の位置(第2位置)が決定できる。
【0014】
この発明の第3の局面による複眼撮像装置は、複数のレンズと、複数のレンズを保持するレンズ保持部と、複数のレンズの各々により結像される複数の画像を形成するイメージセンサと、複数のレンズの各々からイメージセンサに入射する光路を規制する規制部材と、複数のレンズの光軸方向におけるレンズ保持部の第1位置と、光軸方向における規制部材の第2位置と、のうち少なくとも第1位置を調整する第1調整部材と、第1位置と第2位置とのうち第2位置を調整する第2調整部材と、を備え、第1調整部材は、レンズ保持部の第1位置を、規制部材の第2位置とは独立して調整するように設けられ、第2調整部材は、規制部材の第2位置を、レンズ保持部の第1位置とは独立して調整するように設けられている。これにより、第1調整部材と第2調整部材とによって、レンズ保持部の第1位置および規制部材の第2位置とを独立して調整できる。第1調整部材の調整量と第2調整部材の調整量とを独立して決定できるので、各調整部材の調整量を容易に決定できる。
【0015】
上記第1~第3の局面による複眼撮像装置において、好ましくは、第1調整部材および第2調整部材の少なくとも一方は、複数の薄板の積層体により構成され、厚みにより位置調整を行うスペーサ部材である。このように構成すれば、薄板の積層数によって、第1位置および/または第2位置の位置調整を行える。厚みの小さい薄板は容易に製造できるため、たとえば機械式の精密位置決め機構などを設ける場合と異なり、高精度な位置調整を、極めて容易な構造で実現できる。
【0016】
この発明の第4の局面による複眼撮像装置は、複数のレンズと、複数のレンズを保持するレンズ保持部と、複数のレンズの各々により結像される複数の画像を形成するイメージセンサと、複数のレンズの各々からイメージセンサに入射する光路を規制する規制部材と、複数のレンズの光軸方向におけるレンズ保持部の第1位置と、光軸方向における規制部材の第2位置と、のうち少なくとも第1位置を調整する第1調整部材と、第1位置と第2位置とのうち第2部材を調整する第2調整部材と、を備え、第1調整部材および第2調整部材の一方は、複数の薄板の積層体により構成され、厚みにより位置調整を行うスペーサ部材を含み、第1調整部材および第2調整部材の他方は、回転されることにより、光軸方向における位置調整を行う位置調整ねじを含む。これにより、位置調整ねじにより広範囲の位置調整を無段階で行いつつ、スペーサ部材を構成する薄板の積層数により精密な位置調整を行える。
【0017】
上記第1~第4の局面による複眼撮像装置において、好ましくは、規制部材は、複数のレンズの各々からイメージセンサに入射する光路を区画する隔壁を含み、イメージセンサの受光面から光軸方向に離れた第2位置に配置されている。このように構成すれば、イメージセンサの受光面において、複数のレンズの各々からの光束が入射しない領域を極力低減するように、光路を区画することができる。すなわち、隔壁がイメージセンサの受光面と接している場合、隔壁と接する画素領域は光束を入射させることができず画像として利用できない領域となる。隔壁がイメージセンサの受光面から離れる構成では、レンズを通過した光束が隔壁の直下にある画素領域にも入射するように光路を区画できるので、イメージセンサの画素領域を有効活用できる。
【0018】
この場合、好ましくは、規制部材は、イメージセンサの受光面において、複数のレンズの各々から入射する光束により形成される各画像領域が相互に重ならず、かつ、隔壁の厚みよりも小さい間隔で並ぶように、光路を制限する第2位置に位置調整されている。このように構成すれば、隣接個眼によって受光面に形成される2つの画像領域が、互いに重なることなく、極力近付くように光路を制限できる。その結果、イメージセンサにおいて画像形成に利用できない画素領域を極力低減できる。
【0019】
この発明の第5の局面による複眼撮像装置は、複数のレンズと、複数のレンズを保持するレンズ保持部と、複数のレンズの各々により結像される複数の画像を形成するイメージセンサと、複数のレンズの各々からイメージセンサに入射する光路を規制する規制部材と、複数のレンズの光軸方向におけるレンズ保持部の第1位置と、光軸方向における規制部材の第2位置と、のうち少なくとも第1位置を調整する第1調整部材と、第1位置と第2位置とのうち第2位置を調整する第2調整部材と、を備え、レンズ保持部は、各々のレンズが焦点距離の10倍以下の撮影距離で合焦する第1位置に位置調整されている。ここで、撮影距離を短くする場合のレンズの繰り出し量の変化は、焦点距離のおよそ10倍以下の撮影距離になると急激に増大する。その結果、規制部材がレンズ保持部と一体で繰り出される構成では、画像のオーバーラップ領域も顕著に拡大する。そのため、レンズ保持部の第1位置と規制部材の第2位置とを別々に調整することにより画像のオーバーラップを抑制できる本発明は、焦点距離の10倍以下の撮影距離となる超近接撮影において特に有用である。これにより、同一の装置構成で、第1調整部材および第2調整部材の各調整量を異ならせるだけで、無限遠から超近接撮影(撮影距離が焦点距離の10倍以下)までの広範囲での複眼撮影を実現できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、近接撮影を行う場合に、隣接個眼における画像のオーバーラップを適切に抑制することによりイメージセンサの撮像領域全域を最大限有効に利用可能な複眼撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1に示した複眼撮像装置のレンズの光軸に沿った斜視断面図である。
【
図3】
図1に示した複眼撮像装置を示した分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態による複眼撮像装置を示した模式的な断面図である。
【
図5】第1実施形態による複眼撮像装置の光学系および位置調整を説明するための模式図である。
【
図6】薄板により構成された第1調整部材および第2調整部材を示した拡大断面図である。
【
図7】比較例において撮影距離を無限遠に合わせた光学系を示した模式図である。
【
図8】比較例において撮影距離を無限遠よりも短くした光学系を示した模式図である。
【
図9】比較例において
図8よりも撮影距離をさらに短くした光学系を示した模式図である。
【
図10】比較例において規制部材を基準距離に固定した場合を示した模式図である。
【
図11】第1実施形態における撮影距離を無限遠よりも短くした光学系を示した模式図である。
【
図12】第1実施形態における超近接撮影を行う場合の光学系を示した模式図である。
【
図13】撮影距離と第1および第2調整部材の厚みとの関係の一例を示したグラフである。
【
図14】第2実施形態による複眼撮像装置を示した模式的な断面図である。
【
図15】第2実施形態による複眼撮像装置の光学系および位置調整を説明するための模式図である。
【
図16】第1変形例による複眼撮像装置の光学系および位置調整を説明するための模式図である。
【
図17】第2変形例による複眼撮像装置の光学系および位置調整を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[第1実施形態]
(複眼撮像装置の構成)
図1~
図5を参照して、第1実施形態による複眼撮像装置100の構成について説明する。以下の説明では、レンズ31の光軸方向(光軸AL(
図5参照)が延びる方向)をZ方向とし、Z方向のうち、一方側をZ1方向とし、他方側をZ2方向とする。また、Z方向に直交する面内で、互いに直交する2方向をそれぞれX方向およびY方向とする。
【0024】
図1および
図2に示すように、複眼撮像装置100は、複数のレンズ31と、レンズ保持部30と、イメージセンサ51(
図2参照)と、規制部材41(
図2参照)と、第1調整部材42と、第2調整部材43(
図2参照)と、を備えている。また、複眼撮像装置100は、フィルタ保持部10、絞り部20、支持構造部40および基板部50を備えている。
【0025】
複眼撮像装置100は、単一のイメージセンサ51(
図2参照)に対して、複数のレンズ31(複数の個眼)の各々による複数の像(複数の個眼像)を一度に結像させる装置である。これにより、複眼撮像装置100は、単一のイメージセンサ51により、複数のレンズ31の各々による複数の画像を一度に形成可能に構成されている。本明細書では、1つ1つのレンズ31により構成される光学系を「個眼」と呼ぶ。個々の個眼によってイメージセンサ51に形成された画像を「個眼画像」とよぶ。イメージセンサ51の出力画像は、複数の個眼画像を含む。本実施形態では、4つの個眼を備えた複眼撮像装置100の例を示す。
【0026】
また、複眼撮像装置100は、実質的に同じ視点の複数の個眼画像を単一の出力画像中に形成可能に構成されている。たとえば、複眼撮像装置100は、レンズ31のそれぞれに対して異なる特性の分光フィルタを組み合わせることによって互いに分光特性が異なる互いに同じ視点の複数の画像を一度に形成可能である。これにより、被写体の分光特性に関する様々な情報を一度の撮像により取得可能である。
【0027】
図3に示すように、複眼撮像装置100では、光軸方向に沿ってZ1方向側からZ2方向側へ向けて、フィルタ保持部10、絞り部20、レンズ保持部30、支持構造部40、基板部50が順番に積層されている。なお、支持構造部40は、上記の規制部材41と、第1調整部材42と、第2調整部材43と、ベース部材44とを含んで構成された部分である。複眼撮像装置100は、フィルタ保持部10、絞り部20、レンズ保持部30、支持構造部40をZ2方向に通過して基板部50のイメージセンサ51に入射した光により、画像形成を行う。
【0028】
〈フィルタ保持部〉
フィルタ保持部10は、個眼毎に、個別に光学フィルタFt(
図4参照)を保持可能に構成されている。すなわち、フィルタ保持部10には、複数のレンズ31(複数の個眼)の各々に対応する複数の保持孔が形成されており、それぞれの保持孔が光学フィルタFtを保持可能である。
【0029】
フィルタ保持部10は、第1フィルタ抑え板11と、第1フィルタ保持板12と、第2フィルタ抑え板13と、第2フィルタ保持板14と、を備える。フィルタ保持部10は、これらの板状部材を積層させることにより構成され、全体として平板形状を有する。フィルタ保持部10の各部材に、個眼数に一致する数(4つ)の孔がそれぞれ設けられている。
【0030】
第1フィルタ抑え板11には、光学フィルタFt(
図4参照)の外形よりも小さい貫通孔11aが形成されている。第1フィルタ保持板12には、光学フィルタFtの外形に対応させた形状の貫通孔であるフィルタ設置孔12aが形成されている。フィルタ設置孔12aの内部に、光学フィルタが配置される。第2フィルタ抑え板13には、光学フィルタFtの外形よりも小さい貫通孔13aが形成されている。第1フィルタ抑え板11と第2フィルタ抑え板13とで、第1フィルタ保持板12に配置された第1の光学フィルタFtのZ1側とZ2側とが保持されている。第2フィルタ保持板14には、光学フィルタFtの外形に対応させた形状の貫通孔であるフィルタ設置孔14aが形成されている。フィルタ設置孔14aの内部に、光学フィルタが配置される。第2フィルタ抑え板13と後述する絞り部20とで、第2フィルタ保持板14に配置された第2の光学フィルタFt(
図4参照)のZ1側とZ2側とが保持される。このように、フィルタ保持部10は、1つの個眼について、2個の光学フィルタを配置可能に構成されている。
【0031】
配置される光学フィルタFtは、たとえば、偏光用のフィルタ、分光用のフィルタ(バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ)、減光用のフィルタ(ND(Neutral Density)フィルタ)などから選択されうる。フィルタ保持部10の各保持孔には、個眼画像に要求される光学特性に応じた1つまたは2つの光学フィルタFtが配置されるが、光学フィルタFtが配置されない個眼があってもよい。
【0032】
〈絞り部〉
絞り部20は、複数のレンズ31(複数の個眼)の各々に入射する光量を調整するように構成されている。また、絞り部20は、収差補正、焦点深度調整などの結像性能を向上させるために設けられている。絞り部20は、個眼数に一致する複数(4つ)の絞り孔20aが形成された板部材からなる。絞り部20は、フィルタ保持部10とレンズ保持部30との間に配置されている。
【0033】
〈レンズ保持部〉
レンズ保持部30は、複数のレンズ31を保持するように構成されている。レンズ保持部30は、個眼毎に、1つずつ個別にレンズ31を保持可能に構成されている。すなわち、レンズ保持部30は、保持するレンズ31と同数の複数(4つ)のレンズ設置孔30aを有する。複数のレンズ設置孔30aの各々において、複数のレンズ31を1つずつ個別に保持している。
【0034】
レンズ保持部30は、レンズ抑え板32と、レンズ保持板33と、レンズ支持板34と、を備える。レンズ保持部30は、これらの板状部材を積層させることにより構成され、全体として平板形状を有する。レンズ保持部30の各部材に、レンズ数に一致する数の孔が設けられている。
【0035】
レンズ抑え板32には、レンズ31の外形よりも小さい貫通孔32aが形成されている。レンズ保持板33には、レンズ31の外形に対応する形状の貫通孔であるレンズ設置孔33aが形成されている。レンズ設置孔33aの内部に、レンズ31が配置される。レンズ支持板34には、レンズ31の外形よりも小さい貫通孔34aが形成されている。
【0036】
レンズ設置孔30aは、これらの貫通孔32a、レンズ設置孔33aおよび貫通孔34aによって構成される。レンズ抑え板32とレンズ支持板34とで、レンズ保持板33に配置されたレンズ31のZ1側とZ2側とが保持されている。
【0037】
〈レンズ〉
複数のレンズ31は、絞り部20を通過した光を結像させるために設けられている。複数のレンズ31の各々は、レンズ保持部30によって保持されている。本実施形態では、上記の通り、4つのレンズ31がレンズ保持部30のレンズ設置孔30aにそれぞれ保持されている。複数のレンズ31は、ガラス製、または、樹脂製の単眼レンズを含む。個々のレンズ31は、それぞれ、所定の焦点距離を有する。
【0038】
なお、個々のレンズ31の焦点距離は、必ずしも同一でなくてもよく、装置構成上の許容範囲内で任意に設定しうる。たとえば、レンズ支持板34のZ1側表面に、個眼毎に深さの異なる段差(凹部)を形成することにより、個々のレンズ31の光軸方向の位置を微小調整できる。これにより焦点距離が許容範囲内で異なる各レンズ31の焦点位置の差を吸収し、各レンズ31の焦点を同一面上に設定できる。
【0039】
〈支持構造部〉
支持構造部40は、上記の通り、規制部材41と、第1調整部材42と、第2調整部材43と、ベース部材44とを備える。支持構造部40は、フィルタ保持部10、絞り部20およびレンズ保持部30を支持する機能を有する。まず、ベース部材44が、基板部50上(Z1側)に設置され、ベース部材44上(Z1側)に、第1調整部材42を介して、レンズ保持部30が設置されている。
【0040】
ベース部材44は、複数の個眼が形成された領域を包含する大きさの開口部44aが形成された矩形の枠状形状を有する。ベース部材44は、開口部44aの内部にイメージセンサ51が配置されることにより、イメージセンサ51の周囲を取り囲むように設けられている。ベース部材44は、所定の高さH(
図4参照)を有し、第1調整部材42および第2調整部材43によるレンズ保持部30および規制部材41の位置調整における基準位置を創出する機能を有する。
【0041】
第1調整部材42および第2調整部材43は、複数のレンズ31の光軸方向におけるレンズ保持部30の第1位置P1(
図4参照)と、光軸方向における規制部材41の第2位置P2(
図4参照)と、を調整するために設けられる。第1位置P1および第2位置P2の調整の詳細については、後述する。
【0042】
第1調整部材42は、ベース部材44のZ1側表面上に配置されている。第1調整部材42は、ベース部材44と略一致する平面形状を有する。そのため、第1調整部材42は、ベース部材44の開口部44aと一致する範囲に開口部42a(貫通孔)が形成された矩形枠状の平板形状を有する。第1調整部材42は、レンズ保持部30のZ2側に配置されている。
【0043】
第2調整部材43は、第1調整部材42の開口部42aの内側に配置され、レンズ保持部30のZ2側表面と接している。このため、第1調整部材42と第2調整部材43とは、レンズ保持部30のZ2側表面に、互いに並列的に設けられている。
【0044】
第2調整部材43は、複数の個眼が形成された領域を包含する大きさの開口部43a(貫通孔)が形成された矩形枠状の平板形状を有する。開口部43aは、ベース部材44の開口部44aおよび第1調整部材42の開口部42aよりも小さいが、複数の個眼が形成された領域よりは大きい。
【0045】
規制部材41は、複数のレンズ31の各々からイメージセンサ51に入射する光路を規制するように構成されている。規制部材41は、ベース部材44の開口部44aの内側に、イメージセンサ51とZ方向に対向するように配置されている。
【0046】
規制部材41は、略直方体状に設けられている。規制部材41は、光軸方向(Z方向)から見て、略矩形形状を有している。また、規制部材41は、複数のレンズ31(複数の個眼)に対して一対一で対応するように、複数(4つ)の光路区画部41aを含んでいる。光路区画部41aは、規制部材41を光軸方向に貫通する貫通孔である。規制部材41は、複数のレンズ31の各々からイメージセンサ51に入射する光路を区画する隔壁41bを含む。規制部材41のうち、光路区画部41aを区画する内壁が、隔壁41bである。個々の光路区画部41aでは、隔壁41bにより他の光路区画部41aとの間が遮光されつつ、レンズ31を通過した光がイメージセンサ51に導かれる。
【0047】
規制部材41は、イメージセンサ51の受光面51aから光軸方向に離れた第2位置P2(
図4参照)に配置されている。具体的には、規制部材41は、第2調整部材43のZ2側表面に接するように設けられている。規制部材41は、第2調整部材43を介してレンズ保持部30に連結されている。
【0048】
〈基板部〉
基板部50は、イメージセンサ51と、センサ基板52とを含む。
【0049】
イメージセンサ51は、複数のレンズ31の各々により結像される複数の画像を形成するように構成されている。イメージセンサ51は、たとえば、CMOS(Complementrary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの半導体イメージセンサである。イメージセンサ51は、X方向およびY方向にアレイ状に配列された画素群により構成された受光面51a(
図4参照)を有する。受光面51aは、光軸方向(Z方向)と直交する平面であり、イメージセンサ51のZ1方向側表面である。イメージセンサ51は、光軸方向(Z方向)から見て、略矩形形状を有している。イメージセンサ51は、センサ基板52に設けられている。
【0050】
イメージセンサ51は、センサパッケージ51b内に収容されている。イメージセンサ51は、センサパッケージ51bの透光部であるカバー部材51cを介して受光面51aに光を受光する。
【0051】
センサ基板52は、イメージセンサ51に接続される回路パターンが形成されているプリント回路基板であるとともに、イメージセンサ51と上記の各部材とが設置される共通の設置面52aを有する。設置面52aは、センサ基板52のZ1側表面である。設置面52aの中央に、イメージセンサ51が設置されている。設置面52aには、イメージセンサ51の周囲を取り囲むベース部材44が、絶縁シート53を介して設置されている。
【0052】
(複眼撮像装置の各部の積層構造)
次に、
図4を参照して、複眼撮像装置100の各部の積層構造について説明する。
図4は、複眼撮像装置100の積層構造を模式的に示しており、各部材の縮尺等は
図1~
図3とは異なる。
図4では、光学系を構成する各部材の孔は図示を省略している。
【0053】
レンズ保持部30は、第1部分30bにおいて、第1調整部材42を介してベース部材44上に積層されている。レンズ保持部30は、光軸方向(Z方向)において第1位置P1に配置されている。レンズ保持部30は、第1部分30bとは異なる第2部分30cにおいて、第2調整部材43を介して規制部材41と連結されている。
【0054】
第1部分30bおよび第2部分30cは、共に、板状のレンズ保持部30のZ2側(受光面51a側)の表面である。第1部分30bは、レンズ保持部30のうち、矩形枠状の第1調整部材42(
図3参照)との接触部分であり、第1部分30bは矩形枠状形状を有する。第1部分30bは、第2部分30cよりもレンズ保持部30の外周側に配置されている。第2部分30cは枠状の第1部分30bに囲まれた領域である。第2部分30cは、矩形枠状の第2調整部材43(
図3参照)との接触部分であり、第2部分30cは矩形枠状形状を有する。
【0055】
規制部材41は、第2調整部材43を介して、レンズ保持部30のZ2側表面の第2部分30cから、イメージセンサ51側(Z2側)へ吊り下げられるようにして、レンズ保持部30に保持されている。これにより、規制部材41は、イメージセンサ51の受光面51aに対してZ1側に離れた位置に保持されている。
【0056】
次に、各部材の取付構造を説明する。以下の説明において、ねじ部材を挿通させるための非ねじ孔(ねじ溝が形成されていない貫通孔)を、「挿通孔」と呼ぶ。ねじ部材のねじ部と噛み合い締結するねじ孔(ねじ溝が形成された孔であって、貫通または非貫通)を、「ねじ孔」と呼ぶ。
【0057】
〈ベース部材の取付〉
ベース部材44は、ベース部材44を固定するための第1固定ねじSC1と噛み合うねじ孔SH1を有する。センサ基板52は、第1固定ねじSC1を挿通するための挿通孔IH1を有する。なお、絶縁シート53にも同様の挿通孔が形成されている。
【0058】
ねじ孔SH1に係合する第1固定ねじSC1によって、ベース部材44がセンサ基板52上に取り付けられている。
【0059】
〈レンズ保持部および第1調整部材〉
レンズ保持部30および第1調整部材42は、それぞれ、レンズ保持部30を固定するための第2固定ねじSC2を挿通するための挿通孔IH2を有する。また、ベース部材44は、第2固定ねじSC2と噛み合うねじ孔SH2を有する。
【0060】
ベース部材44のねじ孔SH2に係合する第2固定ねじSC2によって、レンズ保持部30がベース部材44に取り付けられている。また、第1調整部材42が、レンズ保持部30とベース部材44との間で、第2固定ねじSC2によって共締めされることにより、ベース部材44に固定されている。
【0061】
なお、第1実施形態では、枠状のベース部材44の開口部44aの内側に、レンズ保持部30から吊り下げられるように規制部材41が配置されるため、ベース部材44と規制部材41とがXY方向にオーバーラップする範囲Hrが存在する。ベース部材44の高さHは、このオーバーラップする範囲Hrの大きさが第2調整部材43の調整量(厚み)に応じて変動することを考慮して、十分な余裕を持った大きさに設計されている。そのため、ベース部材44の高さHが大きくなり、ねじ孔SH2の形成範囲を大きく確保できる。そのため、第1調整部材42の調整量(厚み)に応じて長さの異なる多種類の第2固定ねじSC2を用意しなくても、同じ長さの第2固定ねじSC2で幅広い調整量に対応できる。
【0062】
〈規制部材および第2調整部材の取付〉
レンズ保持部30および第2調整部材43は、規制部材41を固定するための第3固定ねじSC3を挿通するための挿通孔IH3を有する。正確には、レンズ保持部30のうち、レンズ抑え板32を除いたレンズ保持板33とレンズ支持板34とに、挿通孔IH3が形成されている。規制部材41は、第3固定ねじSC3と噛み合うねじ孔SH3を有する。
【0063】
規制部材41のねじ孔SH3に係合する第3固定ねじSC3によって、規制部材41がレンズ保持部30(レンズ保持板33)に取り付けられている。また、第2調整部材43が、レンズ保持部30と規制部材41との間で、第3固定ねじSC3によって共締めされることにより、レンズ保持部30(レンズ保持板33)に固定される。この構成により、レンズ保持部30と規制部材41とは互いに連結されている。
【0064】
〈フィルタ部および絞り部の取付〉
フィルタ保持部10および絞り部20は、レンズ保持部30に取り付けられている。具体的には、レンズ保持部30(レンズ保持板33)は、フィルタ保持部10および絞り部20を固定するための第4固定ねじSC4と噛み合うねじ孔SH4を有する。レンズ保持部30のレンズ抑え板32と、絞り部20と、第2フィルタ保持板14とに、それぞれ第4固定ねじSC4を挿通するための挿通孔IH4が形成されている。
【0065】
レンズ保持板33のねじ孔SH4に係合する第4固定ねじSC4によって、レンズ抑え板32と、絞り部20と、第2フィルタ保持板14とがレンズ保持板33に固定されている。
【0066】
さらに、レンズ保持部30(レンズ保持板33)は、フィルタ保持部10の全部および絞り部20を固定するための第5固定ねじSC5と噛み合うねじ孔SH5を有する。レンズ保持部30のレンズ抑え板32と、絞り部20と、フィルタ保持部10(第1フィルタ抑え板11と、第1フィルタ保持板12と、第2フィルタ抑え板13と、第2フィルタ保持板14)とに、それぞれ第5固定ねじSC5を挿通するための挿通孔IH5が形成されている。
【0067】
レンズ保持板33のねじ孔SH5に係合する第5固定ねじSC5によって、レンズ抑え板32と、絞り部20とフィルタ保持部10の全部とがレンズ保持板33に固定されている。
【0068】
以上の構成によって、複眼撮像装置100を構成する各部材が組み付け、固定されている。
【0069】
これにより、フィルタ保持部10の光学フィルタの保持孔(光学フィルタ)、絞り部20の絞り孔20a、レンズ保持部30のレンズ設置孔30a(レンズ31)および規制部材41の光路区画部41aが、光軸方向に沿って配列され、1つの個眼に対応する光学系を構成している。
図1に示したように、4つの個眼は、XY方向に2行2列の配列となる格子状に形成されている。その結果、イメージセンサ51の受光面51aにおいて、2行2列の4つの個眼画像が結像される。
【0070】
(第1調整部材および第2調整部材の詳細構成)
次に、
図5を参照して、第1調整部材42および第2調整部材43の詳細構成について説明する。
図5は、フィルタ保持部10等の図示を省略し、レンズ保持部30を簡略化して、隣接する2つの個眼の光学系を簡略化して示した模式図である。
【0071】
第1実施形態では、複眼撮像装置100は、第1調整部材42および第2調整部材43によって、光軸方向におけるレンズ保持部30の第1位置P1と、規制部材41の第2位置P2と、を別々に調整することが可能に構成されている。
【0072】
具体的には、第1調整部材42は、複数のレンズ31の光軸方向(Z方向)におけるレンズ保持部30の第1位置P1と、光軸方向における規制部材41の第2位置P2と、の少なくとも一方を調整するように構成され、第2調整部材43は、第1位置P1と第2位置P2とのうち他方を調整するように構成されている。
【0073】
第1調整部材42および第2調整部材43によるレンズ保持部30の第1位置P1と、規制部材41の第2位置P2との調整方法としては、下記の(1)および(2)がある。
(1)レンズ保持部30の第1位置P1と、規制部材41の第2位置P2との一方のみを第1調整部材42で調整し、第1位置P1と第2位置P2との他方のみを第2調整部材43で調整する方法(
図16参照)。
(2)レンズ保持部30の第1位置P1と、規制部材41の第2位置P2との両方を第1調整部材42で調整し、第1位置P1と第2位置P2とのいずれかを第2調整部材43で調整する方法(
図5参照)。
【0074】
(1)の調整方法では、第1位置P1と第2位置P2とが独立して調整される。(2)の調整方法では、第1調整部材42によって第1位置P1および第2位置P2の一方の位置を決める。このとき、第1位置P1および第2位置P2の他方の位置も調整されるので、第2調整部材43が第1調整部材42による位置調整量を加味して、第1位置P1および第2位置P2の他方の位置を決める。
【0075】
第1実施形態では、調整方法(2)が採用されている。すなわち、第1調整部材42は、第1位置P1および第2位置P2の両方を一体的に調整するように設けられ、第2調整部材43は、レンズ保持部30と規制部材41との間に設けられ、第1位置P1または第2位置P2を調整するように設けられている。
【0076】
詳細には、
図5に示したレンズ保持部30は、第1調整部材42を介してベース部材44に積層されるとともに、第1調整部材42とは別に第2調整部材43を介して規制部材41と連結されている。このため、第1調整部材42によって、レンズ保持部30および規制部材41の両方のベース部材44に対するZ1方向の位置が調整される。一方、第2調整部材43はレンズ保持部30と規制部材41との間に設けられているため、第2調整部材43によって、レンズ保持部30に対する規制部材41のZ2方向への突出量が調整される。
【0077】
その結果、レンズ保持部30の第1位置P1は、第1調整部材42の厚み(調整量)t1によって決定される。ベース部材44の上面高さ(Z1側表面の高さ)を基準とすると、第1調整部材42の厚みt1だけ、第1位置P1をベース部材44からZ1方向にオフセットさせることができる。
【0078】
規制部材41の第2位置P2は、第1調整部材42の厚み(調整量)t1と第2調整部材43の厚み(調整量)t2との合算によって決定される。すなわち、ベース部材44の上面高さを基準とすると、第1調整部材42の厚みt1と、第2調整部材43の厚みt2との差分だけ、第2位置P2をベース部材44からZ1方向にオフセットさせることができる。このように、第2調整部材43の厚みt2によって、第2位置P2を、第1位置P1とは別個に調整することができる。
【0079】
規制部材41は、レンズ31のZ1方向の繰り出し量ΔP1に応じて、繰り出し量よりは小さいオフセット量ΔP2だけ、Z1方向にオフセットされる。そのため、通常、第2調整部材43の厚みt2は、第1調整部材42の厚みt1よりも小さく、第2位置P2のオフセット量ΔP2は正の値(Z1方向へオフセット)となる。繰り出し量ΔP1は、後述するように、無限遠に合焦させた時の受光面51aからレンズ保持部30までの距離(基準距離R1)からのオフセット量とする。第2位置P2のオフセット量ΔP2も、無限遠に合焦させた時の受光面51aから規制部材41までの距離(基準距離R2)からのオフセット量とする。
【0080】
図6に示すように、第1調整部材42および第2調整部材43の少なくとも一方は、複数の薄板60の積層体により構成され、厚み(t1、t2)により位置調整を行うスペーサ部材である。第1実施形態では、第1調整部材42および第2調整部材43の両方が、複数の薄板60の積層体により構成される例を示す。
【0081】
薄板60は、金属製の板状部材により形成される。金属材料は、たとえばステンレス鋼である。薄板60は、開口部や挿通孔を含む平面形状が各調整部材と一致するとともに、各調整部材の総厚みよりも十分小さい厚みを有する。すなわち、第1調整部材42を構成する薄板60aは、開口部42a(
図3参照)が形成された矩形の枠状形状を有し、第2固定ねじSC2を挿通するための挿通孔IH2(
図4参照)が形成された板部材である。第2調整部材43を構成する薄板60bは、開口部42aよりも一回り小さい外形サイズで、開口部43a(
図3参照)が形成された矩形の枠状形状を有し、第3固定ねじSC3を挿通するための挿通孔IH3(
図4参照)が形成された板部材である。
【0082】
薄板60の厚みは、たとえば、数十μm以上百μm以下である。好ましくは、薄板60の厚みは、20μm以上100μm以下である。厚みの異なる複数種類の薄板60の組み合わせによって、各調整部材が構成されてもよい。たとえば、各調整部材は、厚みが20μm、30μm、および、100μmの3種類の薄板60を含む。20μmの薄板60と30μmの薄板60とを組み合わせれば、10μm単位での位置調整が可能であり、調整量が大きい場合に100μmの薄板60を用いることで薄板60の総積層枚数を低減できる。このように薄板60は厚みが非常に小さいので、シート状部材あるいは膜状部材と言い換えてもよい。第1調整部材42および第2調整部材43は、たとえば、積層された複数の薄板60が拡散接合によって接合されることにより一体形成されている。
【0083】
(第1位置および第2位置の調整)
次に、第1位置P1および第2位置P2の調整について説明する。第1実施形態の複眼撮像装置100は、無限遠から超近接撮影までの範囲で撮影距離を設定可能に構成されている。
【0084】
すなわち、撮影距離を無限遠とする場合でも、撮影距離を超近接撮影とする場合でも、複眼撮像装置100の基本的装置構成を同一とし、第1調整部材42および第2調整部材43の各調整量(厚みt1、t2)の設定によって、撮影距離を変化させることができる。なお、本明細書において、超近接撮影とは、撮影距離がレンズの焦点距離の10倍以下となる場合を意味する。
【0085】
なお、複眼撮像装置100は、所定の撮影距離となるように予め厚みt1、t2が調整された第1調整部材42および第2調整部材43によって、レンズ保持部30と規制部材41とが位置調整された状態で組み立てられる。組み立てられた複眼撮像装置100の完成品としては、撮影距離は固定値である。
【0086】
図5を参照して、第1位置P1および第2位置P2の調整においては、まず、撮影距離に合わせて合焦するためのレンズ31の繰り出し量ΔP1が算出される。算出された繰り出し量ΔP1に対応する第1位置P1にレンズ保持部30が配置されるように、第1調整部材42の厚みt1が決定される。
【0087】
次に、イメージセンサ51の受光面51aにおいて、各個眼により形成される各画像領域72が相互にオーバーラップしない範囲まで規制部材41が光束70を制限できる位置が、第2位置P2として決定される。決定された第2位置P2に規制部材41が配置されるためのオフセット量ΔP2に応じて、第2調整部材43の厚みt2が決定される。
【0088】
以下では、まず、
図7~
図10を参照して、第1位置P1(レンズ31の繰り出し量)と、隣接する画像領域72のオーバーラップとの関係を説明する。
【0089】
〈比較例〉
図7~
図10は、第1調整部材42および第2調整部材43を用いずにレンズ保持部30に規制部材41を直接取り付けた比較例による光学系を示す。
図7は、撮影距離が無限遠に設定される場合のレンズ保持部30および規制部材41の位置を模式的に示している。
【0090】
レンズ保持部30の第1位置P1は、無限遠に対して合焦するように調整される。つまり、第1位置P1は、レンズ31の焦点距離(バックフォーカス)fに受光面51a(結像位置)が配置されるように調整される。
【0091】
規制部材41の光路区画部41aを構成する隔壁41bが、各レンズ31から入射する光束70の外周部を遮ることによって、光束70の最外主光線71の位置を決めている。
図7において、1つの個眼から入射する光束70の両端の最外主光線71の各入射位置の間の領域が、個眼画像を形成する画像領域72となる。
【0092】
図7の例では、規制部材41の第2位置P2は、隣接する個眼のそれぞれの画像領域72が、極力接近するように調整されている。つまり、受光面51aにおいて、隣り合う2つの画像領域72の間隔CLが、極小とされる。以下の説明では、
図7に示した、無限遠に対して合焦する第1位置P1における受光面51aからレンズ保持部30までの距離を基準距離R1とする。そして、このときの第2位置P2における受光面51aから規制部材41までの距離を、基準距離R2とする。
【0093】
図8および
図9は、撮影距離を無限遠(
図7参照)から減少させた例を示す。撮影距離を短くする場合、レンズ31をZ1方向へ繰り出すことによって、受光面51aに合焦させる。つまり、レンズ保持部30が、基準距離R1から繰り出し量ΔPだけZ1方向へオフセットされる。
図9は、
図8よりも繰り出し量ΔPが大きく撮影距離をさらに短くした例である。
【0094】
図8および
図9から分かるように、レンズ保持部30に規制部材41を直接取り付けた比較例では、レンズ保持部30(レンズ31)が繰り出し量ΔPだけZ1方向にオフセットされるため、それぞれの撮影距離で合焦させることは可能である。しかし、このとき規制部材41もレンズ保持部30と同じだけ(ΔPだけ)Z1方向にオフセットされる。この結果、隣り合う個眼における光束70の最外主光線71が交差し、隣り合う2つの画像領域72において、画像領域72同士が重なるオーバーラップ領域ROが形成される。この場合、撮影された個眼画像中で、オーバーラップ領域ROに相当する部分では隣接する個眼で得られる像が相互に重なって写ってしまう。
【0095】
一方、
図10に示すように、規制部材41をレンズ保持部30から分離し、規制部材41を受光面51aから基準距離R2だけ離れた位置に固定する場合、レンズ保持部30の基準距離R1からの繰り出し量ΔPが増大するにしたがって、受光面51aにおける画像領域72が小さくなる。そのため隣接個眼のそれぞれの画像領域72が離れている場合、イメージセンサ51の出力画像において、隣接する画像領域72の間隔CLに相当する非画像領域が形成されることになり、イメージセンサ51の画素利用効率が低下する。
【0096】
〈第1実施形態〉
そこで、第1実施形態の複眼撮像装置100では、
図5に示したように、第1調整部材42および第2調整部材43によって、レンズ保持部30の第1位置P1と規制部材41の第2位置P2とを別々に調整可能とした。
図11および
図12は、レンズ保持部30が、無限遠撮影時の基準距離R1から繰り出し量ΔP1だけZ1方向へオフセットされた例を示し、
図12は、
図11よりも繰り出し量ΔP1が大きく撮影距離をさらに短くした例である。
【0097】
第1実施形態では、
図11および
図12に示したように、レンズ保持部30が、撮影距離に合わせた繰り出し量ΔP1だけ基準距離R1に加算された第1位置P1に配置される。つまり、第1位置P1=R1+ΔP1となるように、第1調整部材42の厚みt1が決定される。
【0098】
そして、設定された撮影距離で合焦する繰り出し量ΔP1となるようにレンズ保持部30の第1位置P1が調整された状態で、隣り合う個眼による2つの画像領域72同士が重ならないように、規制部材41の第2位置P2が調整される。
【0099】
第1位置P1の調製後の光学系によって受光面51aに形成される画像領域72の位置(光束70の形状)は、厳密には絞り径やレンズ31の仕様によって変動するため、第2位置P2は、光線追跡(シミュレーション)により算出される。光線追跡の結果得られた光束70に基づいて、光束70により形成される各画像領域72が相互に重ならず、かつ、隔壁41bの厚みよりも小さい間隔CLで並ぶように、規制部材41の第2位置P2が決定される。第2位置P2が決まることにより、規制部材41の基準距離R2からのオフセット量ΔP2が決まる。これにより、決定された第2位置P2に規制部材41が配置されるように、第2調整部材43の厚みt2が決定される。つまり、第2位置P2=R2+ΔP2となるように、第2調整部材43の厚みt2が決定される。
【0100】
このようにして、第1調整部材42の調整量(厚みt1)および第2調整部材43の調整量(厚みt2)が決定される。決定された調整量となるように薄板60の積層体が製作されることにより、第1調整部材42および第2調整部材43が構成される。得られた第1調整部材42および第2調整部材43を用いて各部材を組み付けることにより、第1位置P1および第2位置P2が調整された複眼撮像装置100が得られる。
【0101】
第1実施形態では、規制部材41の第2位置P2は、隣接する個眼のそれぞれの画像領域72の外周部が、互いに接するように調整されている。このように、位置調整された規制部材41によれば、どのような撮影距離に設計される場合でも、イメージセンサ51の出力画像における非画像領域(
図10参照)を極力低減できるので、イメージセンサ51の画素利用効率を高くすることができる。
【0102】
〈超近接撮影〉
第1実施形態による複眼撮像装置100は、撮影距離がレンズ31の焦点距離f(
図7参照)の10倍以下となる超近接撮影において、特に有用である。
図12に示す例では、レンズ保持部30は、各々のレンズ31が焦点距離fの10倍以下の撮影距離で合焦する第1位置P1に位置調整されている。この第1位置P1に合わせて、規制部材41は、イメージセンサ51の受光面51aにおいて、複数のレンズ31の各々から入射する光束70により形成される各画像領域72が相互に重ならないように、光路を制限する第2位置P2に位置調整されている。
【0103】
図13は、同一仕様の複眼撮像装置100において、撮影距離を変化させた場合の、第1調整部材42の厚みt1および第2調整部材43の厚みt2の変化を示したグラフである。グラフの横軸が撮影距離を示し、グラフの縦軸が、その撮影距離に対応した第1位置P1および第2位置P2を実現するための各調整部材の厚みを示す。撮影距離は、焦点距離の倍数で表現している。撮影距離毎に、第1調整部材42の厚みt1を白色の棒グラフで表し、第2調整部材43の厚みt2をハッチング付きの棒グラフで表す。
【0104】
図13のグラフは、焦点調整を担うレンズ31の繰り出し量ΔP1に相当する第1調整部材42の厚みt1の変化が撮影距離(焦点距離の倍数から1を減じた値)に反比例する光学的原理を示している。一方、第2調整部材43の厚みt2の変化は、
図12で示されているように、第1調整部材42の厚みt1の変化(第1位置P1の変化)に伴いそれぞれの個眼の最外主光線71が形成する四角錐形状が立ち上がることによって、規制部材41の最適位置を押し上げる量(オフセット量ΔP2)が変化することを示している。このために第2調整部材43の厚みt2の変化は、原理的に第1調整部材42の厚みt1の変化よりも小さく、変化量の差(t1―t2)は撮影距離が近くなるほど大きくなる。
【0105】
そのため、
図13の曲線(破線)から分かるように、撮影距離と繰り出し量ΔP1(第1調整部材42の厚みt1)とは線形の関係ではなく、撮影距離が焦点距離の10倍以下となる超近接撮影の場合には、第1調整部材42の厚みt1(すなわち、繰り出し量ΔP1)が急激に大きくなる。
図13では、焦点距離の50倍の撮影距離に調整した場合の厚みt1は、無限遠における厚みt1の約1.8倍になったのに対して、焦点距離の5倍の撮影距離に調整した場合の厚みt1は、約10倍以上になった。そのため、
図9に示した比較例のようにレンズ保持部30と規制部材41とが一体的に位置調整される構成では、超近接撮影の場合に形成されるオーバーラップ領域ROの大きさが顕著に拡大する。
【0106】
そこで、第1実施形態による複眼撮像装置100では、
図12のように、第2調整部材43によって規制部材41の第2位置P2を第1位置P1とは別個に調整することによって、レンズ31の繰り出し量が顕著に大きくなる超近接撮影においても、オーバーラップ領域ROの発生を抑制してイメージセンサ51の出力画像における無効領域(像が重なってしまう領域)が効果的に低減される。
【0107】
(第1実施形態の効果)
本実施形態による複眼撮像装置100では、以下のような効果を得ることができる。
【0108】
本実施形態では、上記のように、第1調整部材42と第2調整部材43との組み合わせによって、レンズ保持部30の光軸方向の第1位置P1と規制部材41の光軸方向の第2位置P2とを別々に調整できる。そのため、たとえば撮影距離を無限遠に設定する場合の第1位置P1および第2位置P2を基準に複眼撮像装置100を設計しておき、近接撮影の焦点調整のためにレンズ保持部30の第1位置P1を調整(繰り出し)した場合に、調整されたレンズ保持部30の第1位置P1に合わせて、隣り合うレンズ31(隣接個眼)を通る各光束70が互いにオーバーラップすることを適切に抑制できる位置へ、規制部材41の第2位置P2を調整できる。その結果、近接撮影を行う場合に、隣接個眼における画像のオーバーラップを適切に抑制することによりイメージセンサ51の撮像領域全域を最大限有効に利用することができる。また、これにより、第1調整部材42および第2調整部材43の各調整量を異ならせるだけで、より広い撮影距離範囲の複眼撮影を、同一の装置構成で実現できる。
【0109】
また、本実施形態では、上記のように、レンズ保持部30と規制部材41とは互いに連結されており、第1調整部材42は、第1位置P1および第2位置P2の両方を一体的に調整するように設けられ、第2調整部材43は、レンズ保持部30と規制部材41との間に設けられ、第1位置P1または第2位置P2を調整するように設けられている。これにより、レンズ保持部30と規制部材41とを互いに連結して一体化することができる。レンズ保持部30と規制部材41とは、光軸方向(Z方向)だけでなく、光軸ALと直交する方向(イメージセンサ51の受光面51aと平行な方向)の相対位置や、相対角度(すなわち、光軸ALに対する規制部材41の傾斜角度)を合わせる必要がある。そのため、レンズ保持部30と規制部材41とが一体化されることによって、両部材間の相対位置や相対角度が相互に独立してばらつくことを回避できるので、レンズ保持部30および規制部材41の組立精度を高くすることができる。その場合でも、レンズ保持部30と規制部材41との間の第2調整部材43によってレンズ保持部30および規制部材41の光軸方向の相対位置(距離)を調整できるので、第1調整部材42と第2調整部材43との組み合わせにより第1位置P1と第2位置P2とを別々に調整できる。
【0110】
また、本実施形態では、上記のように、レンズ保持部30および規制部材41が組み付けられるベース部材44をさらに備え、レンズ保持部30は、第1部分30bにおいて第1調整部材42を介してベース部材44に積層され、規制部材41は、レンズ保持部30の第1部分30bとは異なる第2部分30cに、第2調整部材43を介して連結されている。この場合、レンズ保持部30の第1部分30bおよび第2部分30cに対して、それぞれ第1調整部材42および第2調整部材43が並列的に設けられる。そして、第1調整部材42の調整量(厚みt1)によって、ベース部材44を基準としたレンズ保持部30の位置(第1位置P1)が決定でき、第1調整部材42の調整量と第2調整部材43の調整量との合計によって、ベース部材44を基準とした規制部材41の位置(第2位置P2)が決定できる。
【0111】
また、本実施形態では、上記のように、第1調整部材42および第2調整部材43の少なくとも一方は、複数の薄板60の積層体により構成され、厚みにより位置調整を行うスペーサ部材である。これにより、薄板60の積層数によって、第1位置P1および/または第2位置P2の位置調整を行える。厚みの小さい薄板60は容易に製造できるため、たとえば機械式の精密位置決め機構などを設ける場合と異なり、高精度な位置調整を、極めて容易な構造で実現できる。
【0112】
また、本実施形態では、上記のように、規制部材41は、複数のレンズ31の各々からイメージセンサ51に入射する光路を区画する隔壁41bを含み、イメージセンサ51の受光面51aから光軸方向に離れた第2位置P2に配置されている。これにより、イメージセンサ51の受光面51aにおいて、複数のレンズ31の各々からの光束70が入射しない領域を極力低減するように、光路を区画することができる。すなわち、隔壁41bがイメージセンサ51の受光面51aと接している場合、隔壁41bと接する画素領域は光束70を入射させることができず画像として利用できない領域となる。隔壁41bがイメージセンサ51の受光面51aから離れる構成では、レンズ31を通過した光束70が隔壁41bの直下にある画素領域にも入射するように光路を区画できるので、イメージセンサ51の画素領域を有効活用できる。
【0113】
また、本実施形態では、上記のように、規制部材41は、イメージセンサ51の受光面51aにおいて、複数のレンズ31の各々から入射する光束70により形成される各画像領域72が相互に重ならず、かつ、隔壁41bの厚みよりも小さい間隔で並ぶように、光路を制限する第2位置P2に位置調整されている。このように構成すれば、隣接個眼によって受光面51aに形成される2つの画像領域72が、互いに重なることなく、極力近付くように光路を制限できる。その結果、イメージセンサ51において画像形成に利用できない画素領域を極力低減できる。
【0114】
また、本実施形態では、上記のように、レンズ保持部30は、各々のレンズ31が焦点距離fの10倍以下の撮影距離で合焦する第1位置P1に位置調整されている。
図13に示したように、撮影距離を短くする場合に焦点合わせに必要とされるレンズ31の繰り出し量ΔP1が、焦点距離の10倍以下の撮影距離になると急激に増大する。そのため、レンズ保持部30の第1位置P1と規制部材41の第2位置P2とを別々に調整することにより画像のオーバーラップを抑制できる第1実施形態の複眼撮像装置100は、焦点距離の10倍以下の撮影距離となる超近接撮影において特に有用である。これにより、同一の装置構成で、第1調整部材42および第2調整部材43の各調整量を異ならせるだけで、無限遠から超近接撮影(撮影距離が焦点距離の10倍以下)までの広範囲での複眼撮影を実現できる。
【0115】
[第2実施形態]
次に、
図14および
図15を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第1調整部材42と第2調整部材43とがレンズ保持部30(第1部分30b、第2部分30c)に並列的に設けられ、第1調整部材42を介してレンズ保持部30がベース部材44に積層されるとともに、第1調整部材42とは別に第2調整部材43を介してレンズ保持部30が規制部材41と連結された上記第1実施形態とは異なり、第1調整部材42、規制部材41、第2調整部材43、レンズ保持部30が直列的にベース部材144に積層される例について説明する。
【0116】
第2実施形態において、複眼撮像装置200のうち、レンズ保持部130および支持構造部140の構成以外は、上記第1実施形態の複眼撮像装置100と同様であるので、同一の符号を用いると共に説明を省略する。第2実施形態の複眼撮像装置200では、ベース部材144側から順に、第1調整部材142、規制部材141、第2調整部材143、レンズ保持部130がベース部材144に積層されている。
【0117】
すなわち、第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、規制部材141が、第1調整部材142を介してベース部材144上(Z1側)に積層されている。そして、レンズ保持部130が、第2調整部材143を介して規制部材141上(Z1側)に積層されている。このため、ベース部材144側から順に、第1調整部材142、規制部材141、第2調整部材143、レンズ保持部130が直列的に並んでいる。
【0118】
第2調整部材143および規制部材141は、上記第1実施形態とは異なり、ベース部材144および第1調整部材142と略同一の外形形状を有する。つまり、第2調整部材143および規制部材141は、上記第1実施形態のように枠状のベース部材144および第1調整部材142の内側には配置されておらず、ベース部材144および第1調整部材142と光軸方向(Z方向)に積層されている。このため、第2実施形態では、
図4に示したベース部材44と規制部材41とがXY方向にオーバーラップする範囲Hrが形成されず、ベース部材144の高さHは上記第1実施形態のベース部材44と比較して小さい。
【0119】
第2実施形態においても、レンズ保持部130と規制部材141とは、第2調整部材143を介して互いに連結されている。
【0120】
第1調整部材142は、ベース部材144と規制部材141との間に配置されることによって、レンズ保持部130の第1位置P1および規制部材141の第2位置P2の両方を一体的に調整するように設けられている。
【0121】
そして、第2調整部材143は、規制部材141とレンズ保持部130との間に配置されることによって、規制部材141とレンズ保持部130との間隔を決定する。その結果、第2調整部材143は、レンズ保持部130の第1位置P1を調整するように設けられている。
【0122】
第1調整部材142、規制部材141、第2調整部材143、レンズ保持部130は、それぞれ、第2固定ねじSC2を挿通するための挿通孔IH11を有する。ベース部材144のねじ孔SH11に係合する第2固定ねじSC2によって、規制部材141、第1調整部材142、第2調整部材143、レンズ保持部130が、ベース部材144に固定される。
【0123】
規制部材141、第2調整部材143は、それぞれ、第3固定ねじSC3を挿通するための挿通孔IH12を有する。規制部材141は、第3固定ねじSC3と噛み合うねじ孔SH12を有する。挿通孔IH12を通って規制部材141のねじ孔SH12に係合する第3固定ねじSC3によって、規制部材141、第2調整部材143、レンズ保持部130が互いに連結されている。
【0124】
(第1調整部材および第2調整部材による位置調整)
図15に示すように、レンズ保持部130の第1位置P1は、ベース部材144の上面高さを基準位置とすると、規制部材141の高さ(一定値)と、第1調整部材142の調整量(厚みt1)と、第2調整部材143の調整量(厚みt2)との合計によって決定される。
【0125】
規制部材141の第2位置P2は、ベース部材144の上面高さを基準位置とすると、第1調整部材142の調整量(厚みt1)によって決定される。これにより、規制部材141は、イメージセンサ51の受光面51aにおいて、複数のレンズ31の各々から入射する光束70により形成される各画像領域72が相互に重ならず、かつ、隔壁41bの厚みよりも小さい間隔CLで並ぶように、光路を制限する第2位置P2に位置調整されている。第2実施形態においても、レンズ保持部130が、各々のレンズ31が焦点距離の10倍以下の撮影距離で合焦する第1位置P1に位置調整される場合に特に有用である。
【0126】
なお、第2実施形態による複眼撮像装置200のその他の構成は、上記第1実施形態による複眼撮像装置100の構成と同様である。
【0127】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0128】
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、第1調整部材142と第2調整部材143との組み合わせによって第1位置P1および第2位置P2をそれぞれ調整できるので、近接撮影を行う場合に、隣接個眼における画像のオーバーラップを適切に抑制することによりイメージセンサ51の撮像領域全域を最大限有効に利用することができる。
【0129】
また、第2実施形態では、上記のように、ベース部材144側から順に、第1調整部材142、規制部材141、第2調整部材143、レンズ保持部130がベース部材144に積層されている。このように構成すれば、レンズ保持部130、規制部材141、第1調整部材142および第2調整部材143が積み上げられる形態で、直列的に設けられる。この場合、第1調整部材142の調整量(厚み)によって、ベース部材144を基準とした規制部材141の位置(第2位置P2)が決定でき、第1調整部材142の調整量と第2調整部材143の調整量との合計によって、ベース部材144を基準としたレンズ保持部130の位置(第1位置P1)が決定できる。
【0130】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態の効果と同様である。
【0131】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0132】
(第1変形例)
たとえば、上記第1および第2実施形態では、第1調整部材42(142)が、第1位置P1および第2位置P2の両方を一体的に調整するように設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば
図16に示すように、第1位置P1と第2位置P2とが独立して調整されるように構成してもよい。
【0133】
図16に示す第1変形例では、第1調整部材42は、レンズ保持部30の第1位置P1および規制部材41の第2位置P2の一方を、他方とは独立して調整するように設けられ、第2調整部材43は、レンズ保持部30の第1位置P1および規制部材41の第2位置P2の他方を、一方とは独立して調整するように設けられている。
図16では、第1調整部材42が第1位置P1を調整し、第2調整部材43が第2位置P2を調整する例を示す。
【0134】
第1変形例では、枠状のベース部材244は、第1設置面244aと第2設置面244bとを有する。第2設置面244bは、第1設置面244aよりも内周側に設けられている。レンズ保持部30と規制部材41とが連結されておらず、ベース部材244の各設置面に別々に取り付けられている。
【0135】
具体的には、レンズ保持部30が、第1調整部材42を介して第1設置面244a上に設置されている。これにより、レンズ保持部30の第1位置P1が、第1調整部材42の調整量(厚み)によって決定される。規制部材41が、第2調整部材43を介して第2設置面244b上に設置されている。これにより、規制部材41の第2位置P2が、第2調整部材43の調整量(厚み)によって決定される。
【0136】
このように構成すれば、第1調整部材42と第2調整部材43とによって、レンズ保持部30の第1位置P1および規制部材41の第2位置P2とを独立して調整できる。第1調整部材42の調整量と第2調整部材43の調整量とを独立して決定できるので、各調整部材の調整量を容易に決定できる。
【0137】
(第2変形例)
上記第1および第2実施形態では、第1調整部材42および第2調整部材43の両方が、複数の薄板60の積層体からなるスペーサ部材である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば
図17に示すように、第1調整部材42および第2調整部材43の一方を、薄板60の積層体以外の構造によって構成してもよい。
【0138】
たとえば
図17では、第1調整部材および第2調整部材の一方は、スペーサ部材を含み、第1調整部材および第2調整部材の他方は、回転されることにより、光軸方向における位置調整を行う位置調整ねじを含む。
図17では、第1調整部材342が位置調整ねじにより構成され、第2調整部材43がスペーサ部材により構成されている。
【0139】
第1調整部材342は、調整ねじ342aと固定ねじ342bとを含む。調整ねじ342aは、レンズ保持部30に形成された調整ねじ孔330aに噛み合い、かつ、先端部342cが調整ねじ孔330aを通過してベース部材44の設置面に当接している。調整ねじ342aを回転させることにより、レンズ保持部30からの先端部342cの突出量が調整できる。この突出量が、第1調整部材342による光軸方向の調整量(厚みt1に相当)である。固定ねじ342bは、レンズ保持部30に形成された挿通孔330bを通過して、ベース部材44の設置面に形成された固定ねじ孔344aに噛み合う。調整ねじ孔330aにより第1調整部材342の調整量が決定された状態で、固定ねじ342bを締めることにより、レンズ保持部30がベース部材44に固定される。
【0140】
第2調整部材43の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0141】
このように構成すれば、位置調整ねじ(第1調整部材342)により広範囲の位置調整を無段階で行いつつ、スペーサ部材(第2調整部材43)により薄板60の積層枚数による精密な位置調整を行える。上記の通り、無限遠と超近接撮影とでは、レンズ31の繰り出し量(第1調整部材342の調整量A1)が顕著に異なるので、調整範囲を大きくできる位置調整ねじ方式による第1位置P1の調整が有用である。その場合でも、規制部材41のオフセット量はレンズ31の繰り出し量と比べて小さいため、位置精度に優れた薄板60の積層体によれば、受光面51aにおける各画像領域72の間隔を極力小さくするような精密な第2位置P2の調整が可能であるため効果的である。なお、この他、第1調整部材342および第2調整部材43の両方を、位置調整ねじによって構成してもよい。
【0142】
(その他の変形例)
上記第1および第2実施形態では、レンズ保持部30が、各々のレンズ31が焦点距離の10倍以下の撮影距離で合焦する第1位置P1に位置調整されうることを説明したが、本発明による複眼撮像装置では、第1位置P1および第2位置P2が、無限遠から超近接撮影までのどのような撮影距離に合わせて位置調整されていてもよい。本発明によれば、このような広い撮影距離の範囲を、第1調整部材42および第2調整部材43の調整量を異ならせるだけで、同じ装置構成で対応できる。
【0143】
また、上記第1および第2実施形態では、フィルタ保持部10を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。フィルタ保持部10を設けなくてもよい。
【0144】
また、上記第1および第2実施形態では、Z1方向側からZ2方向側へ向けて、フィルタ保持部10、絞り部20、レンズ保持部30の順に配列された例を示したが、本発明はこれに限られない。絞り部20がフィルタ保持部10よりもZ1方向側に配置されていてもよい。フィルタ保持部10、絞り部20、レンズ保持部30の配列順は、任意の組み合わせでありうる。
【0145】
また、上記第1および第2実施形態では、第1調整部材42が、ベース部材44とレンズ保持部30との間に配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。第1調整部材42がセンサ基板52とベース部材44との間に配置されてもよい。
【0146】
また、上記第1および第2実施形態では、第1調整部材42および第2調整部材43が、複数の薄板60の積層体により構成されたスペーサ部材である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、単一部材からなる非積層体のスペーサ部材を、第1調整部材42および第2調整部材43に用いてもよい。ただしこの場合、調整量に応じて、様々な厚み寸法でスペーサ部材を製作する必要があり部品種類が増大するため、第1調整部材42および第2調整部材43を薄板60の積層体とする構成が好ましい。
【0147】
また、上記第1および第2実施形態では、第1調整部材42および第2調整部材43を、厚みが20μm、30μm、および、100μmの3種類の薄板60の組み合わせによって形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。薄板60の種類は1種類だけでもよいし、2種類または4種類以上でもよい。複数種類の薄板60を組み合わせる構成では、互いに倍数の関係にない厚みを有する薄板を組み合わせること好ましい。組み合わせにより総厚みを細かく調整できるためである。薄板60の厚みは、数十μm以上百μm以下である例を示したが、薄板60の厚みは、十μm未満であってもよい。
【0148】
また、上記第1および第2実施形態では、ベース部材44、第1調整部材42および第2調整部材43、規制部材41、レンズ保持部30、絞り部20およびフィルタ保持部10の各部材を、各種の固定ねじによって固定する例を示したが、本発明はこれに限られない。各部材の固定方法は、特に限定されない。各部材は、たとえば接着、溶着、カシメ、などの公知の固定方法の1つにより、または公知の固定方法の複数の組み合わせにより、固定されてもよい。
【0149】
また、上記第1および第2実施形態では、フィルタ保持部10が1つの個眼に対して2つの光学フィルタFtを保持可能に構成された例を示したが、本発明はこれに限られない。フィルタ保持部10が1つの個眼に対して保持可能な光学フィルタFtの数は、1個または3個以上でもよい。
【0150】
また、上記第1および第2実施形態では、レンズ保持部30が、複数のレンズ設置孔30aを有し、個眼毎にレンズ31を保持する例を示したが、本発明はこれに限られない。レンズ保持部30は、複数のレンズが一体形成されたレンズアレイを保持可能であってもよい。レンズ保持部30は、レンズアレイを保持するための1つのレンズ孔を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0151】
30、130 レンズ保持部
30b 第1部分
30c 第2部分
31 レンズ
41、141 規制部材
41b 隔壁
42、142、342 第1調整部材
43、143 第2調整部材
44、144、244 ベース部材
51 イメージセンサ
51a 受光面
60、60a、60b 薄板
70 光束
72 画像領域
100、200 複眼撮像装置
P1 第1位置
P2 第2位置