(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
B62M 25/08 20060101AFI20250130BHJP
B62M 9/132 20100101ALI20250130BHJP
B62M 9/133 20100101ALI20250130BHJP
B62M 9/122 20100101ALI20250130BHJP
B62M 9/123 20100101ALI20250130BHJP
B62M 11/16 20060101ALI20250130BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20250130BHJP
【FI】
B62M25/08
B62M9/132
B62M9/133
B62M9/122
B62M9/123
B62M11/16 H
G06T7/00 350B
(21)【出願番号】P 2021083522
(22)【出願日】2021-05-17
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂川 優希
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】白井 豊土
(72)【発明者】
【氏名】田河 賢治
(72)【発明者】
【氏名】島津 速人
(72)【発明者】
【氏名】中島 岳彦
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156375(JP,A)
【文献】特開2020-006759(JP,A)
【文献】特開2019-177843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0061412(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110626447(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 25/08
B62M 9/132
B62M 9/133
B62M 9/122
B62M 9/123
B62M 11/16
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車の電動装置を制御するように構成される制御部を備え、
前記制御部は、撮像装置から取得する前方画像に基づいて走行路を推定し、推定した前記走行路
におけるライダのペダリングの難しさに基づいて前記ライダの将来におけるペダリング状態を推定し、推定した前記ペダリング状態と予め対応付けられる前記電動装置の制御状態に応じて前記電動装置を制御するように構成され
、
前記電動装置は、変速比を変更する変速装置、前記人力駆動車に推進力をアシストするモータ、電動サスペンション、および、電動アジャスタブルシートの少なくとも1つを含む、制御装置。
【請求項2】
前記ライダのペダリングの難しさは、前記ライダがペダリングできるか否かに関する前記走行路の通過困難度、および、前記ライダがペダリングに要する負荷の少なくとも1つと対応する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記前方画像に基づいて、前記人力駆動車がこの先走行する前記走行路を推定し、推定した前記走行路に応じた前記ペダリング状態を推定するように構成されるペダリング状態推定部を備える、請求項
1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ペダリング状態推定部は、人工知能処理部を備える、請求項
3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記人工知能処理部は、
前記前方画像に基づいて前記走行路を推定するように構成され、
前記ペダリング状態推定部は、前記人工知能処理部によって推定された前記走行路に応じた前記ペダリング状態を推定するように構成される、請求項
4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記人工知能処理部は、
前記前方画像に基づいて前記走行路上の対象物を特定し、
前記特定した前記対象物に基づいて前記走行路を推定するように構成される、請求項
5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記人工知能処理部は、
前記特定した前記対象物に基づいて前記前方画像における前記走行路である領域と前記走行路ではない領域との境界を特定し、
前記特定した前記境界に基づいて前記走行路を推定するように構成される、請求項
6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記ペダリング状態推定部は、
前記前方画像に基づいて前記対象物と前記人力駆動車との距離を検出するように構成され、
前記人工知能処理部によって特定された前記対象物と、前記人工知能処理部によって検出された前記距離と、に応じた前記ペダリング状態を推定するように構成される、請求項
6または7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記ペダリング状態は、第1ペダリング状態および第2ペダリング状態を含み、
前記第1ペダリング状態は、前記第2ペダリング状態よりも、前記ライダがペダリングすることが難しい状態であり、
前記制御部は、前記ペダリング状態が、前記第1ペダリング状態および前記第2ペダリング状態のいずれであるかを推定するように構成される、請求項
1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第2ペダリング状態は、第3ペダリング状態および第4ペダリング状態を含み、
前記第3ペダリング状態は、前記第4ペダリング状態よりも、前記ライダがペダリングすることが難しい状態であり、
前記制御部は、前記ペダリング状態が、前記第1ペダリング状態、前記第3ペダリング状態、および、前記第4ペダリング状態のいずれであるかを推定するように構成される、請求項
9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記制御部が前記前方画像に基づいて、前記人力駆動車をペダリングしている前記ライダにとって前記走行路を走行するのが難しいと推定した場合、前記ペダリング状態を前記第1ペダリング状態と推定するように構成される、請求項
9または10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記ペダリング状態は、第3ペダリング状態および第4ペダリング状態を含み、
前記第3ペダリング状態は、前記第4ペダリング状態よりも、前記ライダがペダリングすることが難しい状態であり、
前記制御部は、前記ペダリング状態が、前記第3ペダリング状態および前記第4ペダリング状態のいずれであるかを推定するように構成される、請求項
1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記第3ペダリング状態は、前記ライダがペダリングに要する負荷が第1負荷以上の状態であり、
前記第4ペダリング状態は、前記ライダがペダリングに要する負荷が前記第1負荷未満の状態である、請求項
10または12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記第3ペダリング状態は、前記ライダがペダリングに要する負荷が第2負荷以上に増加する状態であり、
前記第4ペダリング状態は、前記ライダがペダリングに要する負荷が前記第2負荷未満に減少する状態である、請求項
10、12、13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記制御部が前記前方画像に基づいて、前記人力駆動車をペダリングしている前記ライダにとって前記走行路を走行するのが容易と推定した場合、前記走行路に応じて、前記ペダリング状態が、前記第3ペダリング状態および前記第4ペダリング状態のいずれであるかを推定するように構成される、請求項
10、12から14のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記走行路にカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つがあると推定される場合、前記走行路に前記カーブ、前記段差、前記路面勾配、および、前記障害物の少なくとも1つがあるという推定に応じて、前記ペダリング状態を推定する、請求項
11または15に記載の制御装置。
【請求項17】
前記電動装置は、
少なくとも前記変速装置を含む、請求項
1から16のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項18】
前記制御部は、
変速条件に応じて前記変速比を変更するように前記変速装置を制御するように構成され、
推定する前記ペダリング状態に応じて前記変速条件を変更するように構成される、請求項
17に記載の制御装置。
【請求項19】
前記電動装置は、
少なくとも前記変速装置を含み、
前記制御部は、
変速条件に応じて前記変速比を変更するように前記変速装置を制御するように構成され、
推定する前記ペダリング状態に応じて前記変速条件を変更するように構成され、
前記ペダリング状態が前記第1ペダリング状態の場合、前記ペダリング状態が前記第2ペダリング状態の場合よりも、前記変速比の変更の頻度が少なくなるように、前記変速条件を変更するように構成される、請求項
9から11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項20】
前記電動装置は、
少なくとも前記変速装置を含み、
前記制御部は、
変速条件に応じて前記変速比を変更するように前記変速装置を制御するように構成され、
推定する前記ペダリング状態に応じて前記変速条件を変更するように構成される、請求項
10、12から14のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項21】
前記制御部は、前記ペダリング状態が前記第3ペダリング状態の場合、前記ペダリング状態が前記第4ペダリング状態の場合よりも、前記変速比を大きくする変更の頻度が少なくなるように、前記変速条件を変更するように構成される、請求項
20に記載の制御装置。
【請求項22】
前記制御部は、前記ペダリング状態が前記第3ペダリング状態の場合、前記ペダリング状態が前記第4ペダリング状態の場合よりも、前記変速比を小さくする変更の頻度が多くなるように、前記変速条件を変更するように構成される、請求項
20または21に記載の制御装置。
【請求項23】
前記変速条件は、変速閾値を含み、
前記制御部は、
前記人力駆動車の走行状態および走行環境の少なくとも1つに関するパラメータと前記変速閾値との比較に応じて前記変速比を変更するように前記変速装置を制御するように構成され、
推定する前記ペダリング状態に応じて前記変速閾値を変更するように構成される、請求項
18から22のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項24】
前記パラメータは、前記人力駆動車に入力される人力駆動力、前記人力駆動車のクランクの回転速度、前記人力駆動車の車速、および、前記人力駆動車の傾斜の少なくとも1つを含む、請求項
23に記載の制御装置。
【請求項25】
前記変速閾値は、上限値および下限値を含み、
前記制御部は、推定する前記ペダリング状態に応じて、前記上限値および前記下限値の少なくとも1つを変更することによって前記変速条件を変更するように構成される、請求項
23または24に記載の制御装置。
【請求項26】
前記制御部は、変速状態を切り替え可能に構成され、
前記変速状態は、前記変速条件に応じて前記変速比を変更する第1変速状態と、前記変速条件に応じて前記変速比を変更しない第2変速状態と、を備え、
前記制御部は、推定する前記ペダリング状態に応じて、前記変速状態を前記第1変速状態と前記第2変速状態との間において切り替えるように構成される、請求項
18から25のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1の人力駆動車用の制御装置は、走行状態を検出するセンサの出力に応じて電動装置を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の人力駆動車用の制御装置は、人力駆動車の走行状態に応じた制御は実行できるが、周辺環境等については考慮されない。
本開示の目的は、電動装置を好適に制御できる人力駆動車用の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車の電動装置を制御するように構成される制御部を備え、前記制御部は、撮像装置から取得する前方画像に基づいて走行路を推定し、推定した前記走行路に応じたライダの将来におけるペダリング状態を推定し、推定した前記ペダリング状態と予め対応付けられる前記電動装置の制御状態に応じて前記電動装置を制御するように構成される。
第1側面の制御装置によれば、推定した走行路に応じたライダの将来におけるペダリング状態と予め対応付けられる制御状態に応じて電動装置を制御する。このため、人力駆動車が推定した走行路を通過する場合、電動装置が推定した走行路に応じたペダリング状態に予め対応付けられた制御状態によって制御されるため、電動装置を好適に制御できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記制御部は、前記前方画像に基づいて、前記人力駆動車がこの先走行する前記走行路を推定し、推定した前記走行路に応じた前記ペダリング状態を推定するように構成されるペダリング状態推定部を備える。
第2側面の制御装置によれば、ペダリング状態推定部によって、人力駆動車がこの先走行する走行路、および、ライダの将来におけるペダリング状態を好適に推定できる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記ペダリング状態推定部は、人工知能処理部を備える。
第3側面の制御装置によれば、人工知能処理部によって、人力駆動車がこの先走行する走行路、および、ライダの将来におけるペダリング状態を好適に推定できる。
【0008】
本開示の第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記人工知能処理部は、前記前方画像に基づいて前記走行路を推定するように構成され、前記ペダリング状態推定部は、前記人工知能処理部によって推定された前記走行路に応じた前記ペダリング状態を推定するように構成される。
第4側面の制御装置によれば、人工知能処理部によって前方画像に基づいて走行路を好適に推定できる。このため、ペダリング状態推定部は、人工知能処理部によって推定された走行路からペダリング状態を好適に推定できる。
【0009】
本開示の第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記人工知能処理部は、前記前方画像に基づいて前記走行路上の対象物を特定し、前記特定した前記対象物に基づいて前記走行路を推定するように構成される。
第5側面の制御装置によれば、走行路上の対象物に基づいて、好適に走行路を推定できる。
【0010】
本開示の第5側面に従う第6側面の制御装置において、前記人工知能処理部は、前記特定した前記対象物に基づいて前記前方画像における前記走行路である領域と前記走行路ではない領域との境界を特定し、前記特定した前記境界に基づいて前記走行路を推定するように構成される。
第6側面の制御装置によれば、前方画像における走行路である領域と走行路ではない領域との境界を特定することによって、走行路を好適に推定できる。
【0011】
本開示の第5または6側面に従う第7側面の制御装置において、前記人工知能処理部は、前記前方画像に基づいて前記対象物と前記人力駆動車との距離を検出するように構成され、前記ペダリング状態推定部は、前記人工知能処理部によって特定された前記対象物と、前記人工知能処理部によって推定された前記距離と、に応じた前記ペダリング状態を推定するように構成される。
第7側面の制御装置によれば、ライダの将来におけるペダリング状態を対象物と人力駆動車との距離に応じて推定できる。
【0012】
本開示の第1から7側面のいずれか1つに従う第8側面の制御装置において、前記ペダリング状態は、第1ペダリング状態および第2ペダリング状態を含み、前記第1ペダリング状態は、前記第2ペダリング状態よりも、前記ライダがペダリングすることが難しい状態であり、前記制御部は、前記ペダリング状態が、前記第1ペダリング状態および前記第2ペダリング状態のいずれであるかを推定するように構成される。
第8側面の制御装置によれば、ライダがペダリングすることの難しさの推定に応じて、電動装置を好適に制御できる。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面の制御装置において、前記第2ペダリング状態は、第3ペダリング状態および第4ペダリング状態を含み、前記第3ペダリング状態は、前記第4ペダリング状態よりも、前記ライダがペダリングすることが難しい状態であり、前記制御部は、前記ペダリング状態が、前記第1ペダリング状態、前記第3ペダリング状態、および、前記第4ペダリング状態のいずれであるかを推定するように構成される。
第9側面の制御装置によれば、ライダがペダリングすることが難しいと推定される場合に、さらに第3ペダリング状態および第4ペダリング状態応じて、電動装置を好適に制御できる。
【0014】
本開示の第8または9側面に従う第10側面の制御装置において、前記制御部が前記前方画像に基づいて、前記人力駆動車をペダリングしている前記ライダにとって前記走行路を走行するのが難しいと推定した場合、前記ペダリング状態を前記第1ペダリング状態と推定するように構成される。
第10側面の制御装置によれば、前方画像から第1ペダリング状態を好適に推定できる。
【0015】
本開示の第1から7側面のいずれか1つに従う第11側面の制御装置において、前記ペダリング状態は、第3ペダリング状態および第4ペダリング状態を含み、前記第3ペダリング状態は、前記第4ペダリング状態よりも、前記ライダがペダリングすることが難しい状態であり、前記制御部は、前記ペダリング状態が、前記第3ペダリング状態および前記第4ペダリング状態のいずれであるかを推定するように構成される。
第11側面の制御装置によれば、ライダがペダリングすることの難しさの推定に応じて、電動装置を好適に制御できる。
【0016】
本開示の第9または11側面に従う第12側面の制御装置において、前記第3ペダリング状態は、前記ライダがペダリングに要する負荷が第1負荷以上の状態であり、前記第4ペダリング状態は、前記ライダがペダリングに要する負荷が前記第1負荷未満の状態である。
第12側面の制御装置によれば、ライダがペダリングに要する負荷の推定に応じて、電動装置を好適に制御できる。
【0017】
本開示の第9、11、12側面のいずれか1つに従う第13側面の制御装置において、前記第3ペダリング状態は、前記ライダがペダリングに要する負荷が第2負荷以上に増加する状態であり、前記第4ペダリング状態は、前記ライダがペダリングに要する負荷が前記第2負荷未満に減少する状態である。
第13側面の制御装置によれば、ライダが将来におけるペダリングに要する負荷の推定に応じて、電動装置を好適に制御できる。
【0018】
本開示の第9、11から13側面のいずれか1つに従う第14側面の制御装置において、前記制御部が前記前方画像に基づいて、前記人力駆動車をペダリングしている前記ライダにとって前記走行路を走行するのが容易と推定した場合、前記走行路に応じて、前記ペダリング状態が、前記第3ペダリング状態および前記第4ペダリング状態のいずれであるかを推定するように構成される。
第14側面の制御装置によれば、前方画像からライダがペダリングすることの容易さの推定に応じて、電動装置を好適に制御できる。
【0019】
本開示の第10または14側面に従う第15側面の制御装置において、前記制御部は、前記走行路にカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つがあると推定される場合、前記走行路に前記カーブ、前記段差、前記路面勾配、および、前記障害物の少なくとも1つがあるという推定に応じて、前記ペダリング状態を推定する。
第15側面の制御装置によれば、推定した走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つがあるとの推定に応じて電動装置を好適に制御できる。
【0020】
本開示の第1から15側面のいずれか1つに従う第16側面の制御装置において、前記電動装置は、前記人力駆動車の変速比を変更する変速装置を含む。
第16側面の制御装置によれば、推定した走行路に応じたペダリング状態に予め対応付けられた制御状態によって、変速装置を好適に制御できる。
【0021】
本開示の第16側面に従う第17側面の制御装置において、前記制御部は、変速条件に応じて前記変速比を変更するように前記変速装置を制御するように構成され、推定する前記ペダリング状態に応じて前記変速条件を変更するように構成される。
第17側面の制御装置によれば、推定した走行路に応じたペダリング状態に応じて変速条件を好適に変更できる。
【0022】
本開示の第8から10側面のいずれか1つに従う第18側面の制御装置において、前記電動装置は、変速比を変更する変速装置を含み、前記制御部は、変速条件に応じて前記変速比を変更するように前記変速装置を制御するように構成され、推定する前記ペダリング状態に応じて前記変速条件を変更するように構成され、前記ペダリング状態が前記第1ペダリング状態の場合、前記ペダリング状態が前記第2ペダリング状態の場合よりも、前記変速比の変更の頻度が少なくなるように、前記変速条件を変更するように構成される。
第18側面の制御装置によれば、ライダのペダリングの難しさの推定に応じて変速条件を好適に変更できる。第18側面の制御装置によれば、ライダのペダリングが難しいと推定される場合に、変速比の変更の頻度を少なくできる。
【0023】
本開示の第9、11から13側面のいずれか1つに従う第19側面の制御装置において、前記電動装置は、変速比を変更する変速装置を含み、前記制御部は、変速条件に応じて前記変速比を変更するように前記変速装置を制御するように構成され、推定する前記ペダリング状態に応じて前記変速条件を変更するように構成される。
第19側面の制御装置によれば、ライダのペダリングの難しさの推定に応じて変速条件を好適に変更できる。
【0024】
本開示の第19側面に従う第20側面の制御装置において、前記制御部は、前記ペダリング状態が前記第3ペダリング状態の場合、前記ペダリング状態が前記第4ペダリング状態の場合よりも、前記変速比を大きくする変更の頻度が少なくなるように、前記変速条件を変更するように構成される。
第20側面の制御装置によれば、ライダのペダリングの難しさの推定に応じて変速条件を好適に変更できる。第20側面の制御装置によれば、ライダのペダリングが難しいと推定される場合に、変速比を大きくする変更の頻度を少なくできる。
【0025】
本開示の第19または20側面に従う第21側面の制御装置において、前記制御部は、前記ペダリング状態が前記第3ペダリング状態の場合、前記ペダリング状態が前記第4ペダリング状態の場合よりも、前記変速比を小さくする変更の頻度が多くなるように、前記変速条件を変更するように構成される。
第21側面の制御装置によれば、ライダのペダリングの難しさの推定に応じて変速条件を好適に変更できる。第21側面の制御装置によれば、ライダのペダリングが難しいと推定される場合に、変速比が小さくなりやすい。このため、人力駆動車がライダのペダリングが難しい走行路を走行する場合に、ライダの負荷を低減できる。
【0026】
本開示の第17から21側面のいずれか1つに従う第22側面の制御装置において、前記変速条件は、変速閾値を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の走行状態および走行環境の少なくとも1つに関するパラメータと前記変速閾値との比較に応じて前記変速比を変更するように前記変速装置を制御するように構成され、推定する前記ペダリング状態に応じて前記変速閾値を変更するように構成される。
第22側面の制御装置によれば、人力駆動車の走行状態および走行環境の少なくとも1つに関するパラメータに応じて変速閾値を変更することによって、変速比を好適に変更できる。
【0027】
本開示の第22側面に従う第23側面の制御装置において、前記パラメータは、前記人力駆動車に入力される人力駆動力、前記人力駆動車のクランクの回転速度、前記人力駆動車の車速、および、前記人力駆動車の傾斜の少なくとも1つを含む。
第23側面の制御装置によれば、人力駆動車に入力される人力駆動力、人力駆動車のクランクの回転速度、人力駆動車の車速、および、人力駆動車の傾斜の少なくとも1つに応じて変速比を好適に変更できる。
【0028】
本開示の第22または23側面に従う第24側面の制御装置において、前記変速閾値は、上限値および下限値を含み、前記制御部は、推定する前記ペダリング状態に応じて、前記上限値および前記下限値の少なくとも1つを変更することによって前記変速条件を変更するように構成される。
第24側面の制御装置によれば、上限値および下限値の少なくとも1つを変更することによって、推定するペダリング状態に応じて変速条件を好適に変更できる。
【0029】
本開示の第17から24側面のいずれか1つに従う第25側面の制御装置において、前記制御部は、変速状態を切り替え可能に構成され、前記変速状態は、前記変速条件に応じて前記変速比を変更する第1変速状態と、前記変速条件に応じて前記変速比を変更しない第2変速状態と、を備え、前記制御部は、推定する前記ペダリング状態に応じて、前記変速状態を前記第1変速状態と前記第2変速状態との間において切り替えるように構成される。
第25側面の制御装置によれば、推定するペダリング状態に応じて変速状態を好適に切り替えできる。
【発明の効果】
【0030】
本開示の人力駆動車用の制御装置によれば、推定した走行路に応じて電動装置を好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図。
【
図2】
図1の人力駆動車用の制御装置の電気的な構成を示すブロック図。
【
図3】
図2の人工知能処理部の学習モデルの実装例を示す模式図。
【
図4】
図2の人工知能処理部によって処理される前方画像の第1例を模式的に示す模式図。
【
図5】
図2の人工知能処理部によって処理される前方画像の第2例を模式的に示す模式図。
【
図6】
図2の制御部によって実行され、ペダリング状態を推定する処理のフローチャート。
【
図7】
図2の制御部によって実行され、変速条件に応じて変速装置を制御する処理のフローチャート。
【
図8】
図2の制御部によって実行され、変速状態に応じて変速装置を制御する処理のフローチャート。
【
図9】変形例の制御部によって実行され、電動装置を制御する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<実施形態>
図1から
図8を参照して、実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車を、マウンテンバイクとして説明する。
【0033】
人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪14と、車体16と、を備える。少なくとも1つの車輪14は、後輪14Aと、前輪14Bと、を含む。車体16は、フレーム18を含む。車体16には、フレーム18に対して回転可能な入力回転軸12Aが設けられる。本実施形態では、入力回転軸12Aは、クランク12に含まれるクランク軸である。クランク12は、入力回転軸12Aと、入力回転軸12Aの軸方向の一端部に設けられる第1クランクアーム12Bと、入力回転軸12Aの軸方向の他端部に設けられる第2クランクアーム12Cとを含む。第1クランクアーム12Bには、第1ペダル20Aが連結される。第2クランクアーム12Cには、第2ペダル20Bが連結される。後輪14Aは、クランク12が回転することによって駆動される。後輪14Aは、フレーム18に支持される。クランク12は、駆動機構22によって、後輪14Aに連結される。
【0034】
駆動機構22は、入力回転軸12Aに連結される第1回転体24を含む。入力回転軸12Aは、第1回転体24と一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転した場合に、第1回転体24を前転させ、クランク12が後転した場合に、クランク12と第1回転体24との相対回転を許容するように構成される。第1回転体24は、フロントスプロケットを含む。第1回転体24は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。駆動機構22は、第2回転体26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、第1回転体24の回転力を第2回転体26に伝達する。連結部材28は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0035】
第2回転体26は、後輪14Aに連結される。第2回転体26は、リアスプロケットを含む。第2回転体26は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。第2回転体26と後輪14Aとの間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体26が前転した場合に、後輪14Aを前転させ、第2回転体26が後転した場合に、第2回転体26と後輪14Aとの相対回転を許容するように構成される。
【0036】
フレーム18には、フロントフォーク30を介して前輪14Bが取り付けられる。フロントフォーク30には、ハンドルバー34がステム32を介して連結される。本実施形態では、後輪14Aが駆動機構22によってクランク12に連結されるが、後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つが、駆動機構22によってクランク12に連結されてもよい。
【0037】
例えば、人力駆動車10は、バッテリ38をさらに含む。バッテリ38は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ38は、制御装置60に電力を供給するように構成される。バッテリ38は、好ましくは、制御装置60の制御部62と電気ケーブルまたは無線通信装置を介して通信可能に接続される。バッテリ38は、例えば電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって制御部62と通信可能である。
【0038】
人力駆動車10は、電動装置40をさらに含む。例えば、電動装置40は、人力駆動車10の変速比Rを変更する変速装置42を含む。変速装置42は、人力駆動力の伝達経路に設けられる。変速比Rは、変速装置42の入力部の回転速度A1に対する、変速装置42の出力部の回転速度A2の比率によって表される。変速比Rを式によって表すと、“R=A2/A1”である。変速比Rが大きくなるほど、クランク12の回転速度が増速されて車輪14に伝達される。
【0039】
本実施形態では、変速装置42は、ディレーラ42Aと、回転軸心を有し、回転軸心の延びる方向に並ぶ複数のスプロケット42Bと、を有する。ディレーラ42Aがリアディレーラを含む場合、複数のスプロケット42Bは、第2回転体26を含む。ディレーラ42Aがフロントディレーラを含む場合、複数のスプロケット42Bは、第1回転体24を含む。変速装置42がディレーラ42Aである場合、変速装置42の出力部の回転速度A2は、第2回転体26の回転速度と対応する。変速装置42がディレーラ42Aである場合、変速装置42の入力部の回転速度A1は、第1回転体24の回転速度と対応する。変速装置42は、内装変速機を含んでいてもよい。
【0040】
例えば、変速装置42は、電動アクチュエータを備える。変速装置42がディレーラ42Aを有する場合、電動アクチュエータは、ディレーラ42Aに設けられて、ディレーラ42Aを動作させる。電動アクチュエータは、ディレーラ42Aおよび内装変速機から離れて、例えば、フレーム18に設けられてもよい。電動アクチュエータは、電気モータおよび減速機を含む。電動アクチュエータがフレーム18に設けられる場合、電気アクチュエータは、例えばボーデンケーブルによって、ディレーラ42Aまたは内装変速機に接続される。
【0041】
例えば、人力駆動車10には、人力駆動車10の前方画像Fを撮影できる撮像装置44が設けられる。撮像装置44が人力駆動車10に設けられる場合、例えば、撮像装置44は、フレーム18またはハンドルバー34に設けられる。撮像装置44は、ライダに設けられてもよい。撮像装置44がライダに設けられる場合、撮像装置44は、ライダが着用するヘルメットに設けられてもよい。撮像装置44は、例えばカメラを含む。撮像装置44は、前方画像Fのみを撮影可能なものであってもよく、前方画像F以外の周辺画像を撮影可能なものであってもよい。撮像装置44は、撮像装置44周りの全周を撮影可能なものであってもよい。例えば、撮像装置44は、無線通信および有線通信の少なくとも1つによって制御装置60と通信可能に構成される。撮像装置44は、撮影した前方画像Fを、制御装置60に送信する。
【0042】
制御装置60は、制御部62を備える。制御部62は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。制御部62に含まれる演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部62に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0043】
例えば、制御装置60は、記憶部64を備える。記憶部64には、予め定める制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部64は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0044】
制御部62は、人力駆動車10の電動装置40を制御するように構成される。制御装置60は、電動装置40に設けられてもよく、電動装置40とは異なる人力駆動車10のコンポーネントに設けられてもよい。例えば、制御部62は、電動装置制御部66を備える。電動装置制御部66は、電動装置40を制御する。例えば、電動装置制御部66は、操作部46からの信号に応じて、電動装置40を制御する。操作部46は、例えば、ハンドルバー34に設けられる。電動装置40が変速装置42を含む場合、操作部46は、変速比Rを大きくする指示であるシフトアップ信号および変速比Rを小さくする指示であるシフトダウン信号を制御部62に送信可能に構成される。電動装置制御部66は、シフトアップ信号およびシフトダウン信号に応じて、変速装置42を制御する。電動装置40が変速装置42を含む場合、制御部62による電動装置40の制御に関する説明において、電動装置40を変速装置42に読み替えることができる。
【0045】
例えば、制御部62は、変速条件に応じて変速比Rを変更するように変速装置42を制御するように構成される。例えば、電動装置制御部66は、変速条件に応じて変速比Rを変更するように変速装置42を制御するように構成される。
【0046】
例えば、変速条件は、変速閾値を含む。制御部62は、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに関するパラメータと変速閾値との比較に応じて変速比Rを変更するように変速装置42を制御するように構成される。例えば、制御部62はパラメータと変速閾値の差に応じて変速比Rを変更するように変速装置42を制御する。変速閾値は、変速比Rに応じて変化してもよい。例えば、変速装置42が無段変速機を含むことによって変速比Rが滑らかに変化できる場合、変速閾値は変速比Rに応じて滑らかに変化する。例えば、変速比Rが段階的に変化する場合、変速閾値は変速比Rに応じて段階的に変化する。
【0047】
例えば、変速閾値は、上限値および下限値を含む。例えば、制御部62は、パラメータが上限値よりも大きい場合、変速比Rを変更するように変速装置42を制御する。制御部62は、パラメータが上限値よりも大きい場合、パラメータが上限値よりも小さくなるように、変速比Rを変更するように変速装置42を制御する。制御部62は、パラメータが上限値よりも大きい場合、変速比Rが大きくなるように変速装置42を制御する。例えば、変速比Rが大きくなると、上限値が大きくなるように構成されてもよい。この場合、変速比Rが大きいほど、変速比Rを大きくする制御が実行されにくくなる。例えば、変速比Rが大きくなると、上限値が小さくなるように構成されてもよい。この場合、変速比Rが大きいほど、変速比Rを大きくする制御が実行されやすくなる。
【0048】
例えば、制御部62は、パラメータが下限値よりも小さい場合、変速比Rを変更するように変速装置42を制御する。制御部62は、パラメータが下限値よりも小さい場合、パラメータが下限値よりも大きくなるように、変速比Rを変更するように変速装置42を制御する。制御部62は、パラメータが下限値よりも小さい場合、変速比Rが小さくなるように変速装置42を制御する。例えば、変速比Rが小さくなると、下限値が大きくなるように構成されてもよい。この場合、変速比Rが小さいほど、変速比Rを小さくする制御が実行されやすくなる。例えば、変速比Rが小さくなると、下限値が小さくなるように構成されてもよい。この場合、変速比Rが小さいほど、変速比Rを小さくする制御が実行されにくくなる。
【0049】
好ましくは、パラメータは、人力駆動車10に入力される人力駆動力、人力駆動車10のクランク12の回転速度、人力駆動車10の車速、および、人力駆動車10の傾斜の少なくとも1つを含む。例えば、制御部62は、人力駆動車10に入力される人力駆動力、人力駆動車10のクランク12の回転速度、人力駆動車10の車速、および、人力駆動車10の傾斜の少なくとも2つのパラメータを選択し、選択したパラメータの関係から新たなパラメータを計算してもよい。例えば、選択したパラメータのうち、最も大きいパラメータを新たなパラメータとしてもよい。例えば、選択したパラメータを組み合わせて新たなパラメータとしてもよい。
【0050】
例えば、人力駆動車10は、人力駆動力検出部48、クランク回転センサ50、車速センサ52、および、傾斜センサ54の少なくとも1つをさらに含む。
【0051】
人力駆動力検出部48は、人力駆動力に関する情報を検出するように構成される。人力駆動力検出部48は、例えば、人力駆動車10のフレーム18、クランク12、または、ペダル20A,20Bに設けられる。人力駆動力検出部48は、人力駆動車10にドライブユニットが設けられる場合、ドライブユニットのハウジングに設けられてもよい。人力駆動力検出部48は、例えば、トルクセンサを含む。トルクセンサは、人力駆動力によってクランク12に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。トルクセンサは、例えば、動力伝達経路に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、好ましくは、第1ワンウェイクラッチよりも動力伝達経路の上流側に設けられる。トルクセンサは、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。
【0052】
クランク回転センサ50は、入力回転軸12Aの回転速度に関する情報を検出するように構成される。クランク回転センサ50は、例えば、人力駆動車10のフレーム18に設けられる。クランク回転センサ50は、人力駆動車10にドライブユニットが設けられる場合、ドライブユニットに設けられてもよい。クランク回転センサ50は、ドライブユニットのハウジングに設けられてもよい。クランク回転センサ50は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向にS極とN極とが隣接する環状の磁石が、入力回転軸12A、入力回転軸12Aに連動して回転する部材、または、入力回転軸12Aから第1回転体24までの間の動力伝達経路に設けられる。入力回転軸12Aに連動して回転する部材は、モータの出力軸を含んでもよい。
【0053】
車速センサ52は、人力駆動車10の車速に関する情報を検出するように構成される。本実施形態では、車速センサ52は、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪14の回転速度に関する情報を検出するように構成される。車速センサ52は、例えば、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪14に設けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ52は、例えば、少なくとも1つの車輪14のうちの1つの車輪14が1回転する間に、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。予め定める回数は、例えば、1である。車速センサ52は、車輪14の回転速度に応じた信号を出力する。制御部62は、車輪14の回転速度に応じた信号と、車輪14の周長に関する情報とに基づいて人力駆動車10の車速を算出できる。
【0054】
車速センサ52は、例えばリードスイッチを構成する磁性リード、または、ホール素子などの磁気センサを含む。車速センサ52は、人力駆動車10のフレーム18のチェーンステイに取り付けられ、後輪14Aに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク30に設けられ、前輪14Bに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。
【0055】
車速センサ52は、人力駆動車10の車速に関する情報を取得できればどのような構成であってもよい。車速センサ52は、例えば、ディスクブレーキに設けられるスリットを検出するように構成されてもよい。車速センサ52は、例えば、光学センサなどを含んで構成されてもよい。車速センサ52は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機を含んで構成されてもよい。車速センサ52がGPS受信器を含む場合、制御部62は、時間と移動距離とに応じて車速を算出できる。車速センサ52は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。
【0056】
傾斜センサ54は、人力駆動車10の傾斜に関する情報を検出するように構成される。傾斜センサ54は、例えばジャイロセンサまたは加速度センサを含む。傾斜センサ54は、GPS受信部を含む。制御部62は、GPS受信部によって取得したGPS情報と、予め記録している地図情報に含まれる路面勾配とに応じて、人力駆動車10の走行する路面の傾斜角度を演算してもよい。
【0057】
制御部62は、撮像装置44から取得する前方画像Fに基づいて走行路を推定する。制御部62は、推定した走行路に応じたライダの将来におけるペダリング状態Pを推定する。制御部62は、推定したペダリング状態Pと予め対応付けられる電動装置40の制御状態に応じて電動装置40を制御するように構成される。例えば、制御部62は、推定したペダリング状態Pと予め対応付けられる変速装置42の制御状態に応じて変速装置42を制御するように構成される。推定したペダリング状態Pと予め対応付けられる電動装置40の制御状態は、例えば予め記憶部64に記憶されている。
【0058】
例えば、制御部62は、ペダリング状態推定部68を備える。ペダリング状態推定部68は、前方画像Fに基づいて、人力駆動車10がこの先走行する走行路を推定し、推定した走行路に応じたペダリング状態Pを推定するように構成される。
【0059】
例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70を備える。人工知能処理部70は、例えば、ソフトウェアを記憶する記憶装置72と、記憶装置72に記憶されているソフトウェアを実行する演算処理装置74と、を備える。演算処理装置74は、例えばCPUまたはMPUを含む。演算処理装置74は、好ましくは、CPUまたはMPUに加えて、GPU(Graphics Processing Unit)を含む。演算処理装置74は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでいてもよい。人工知能処理部70は、1または複数の演算処理装置74を含んでいてもよい。人工知能処理部70は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置74を含んでいてもよい。記憶装置72は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。記憶装置72は、制御プログラム76、学習プログラム78、および、学習モデル80を記憶する。学習モデル80は、予め定める学習アルゴリズムによって学習された学習済みのモデルであってもよく、学習アルゴリズムによって更新されるよう構成されるものであってもよい。学習アルゴリズムは、機械学習、深層学習、または、深層強化学習を含む。学習アルゴリズムは、例えば、教師あり学習、教師なし学習、および、強化学習の少なくとも1つを含む。学習アルゴリズムとしては、人工知能の分野に属する手法を用いて学習モデル80を更新させるように構成されていれば、本明細書に記載されている手法以外の手法を用いてもよい。学習モデル80を更新させるための学習処理は、好ましくは、GPUによって行われる。学習アルゴリズムは、ニューラルネットワーク(NN;Neural Network)を用いてもよい。学習アルゴリズムは、リカレントニューラルネットワーク(RNN;Recurrent Neural Network)を用いてもよい。
【0060】
図3に示す人工知能処理部70の学習モデル80の一例は、入力層82、中間層84、および、出力層86を含む。入力層82には、前方画像Fが入力される。学習モデル80は、前方画像Fが入力されると、走行路を出力するように予め学習される。中間層84は、教師データを用いることによって、入力層82に入力される情報と、出力層86が出力する走行路との関係を学習する。中間層84によって用いられる教師データは、走行路の画像に関する情報と、走行路である領域と走行路ではない領域との境界Bに関する情報とを含む。中間層84は、畳み込み層84A、プーリング層84B、および、全結合層84Cを含む。中間層84は、複数設けられていてもよい。出力層86は、走行路を出力する。
【0061】
例えば、学習モデル80は、外部装置90によって更新可能に構成される。外部装置90は、例えばスマートフォンまたはパソコンである。例えば、学習モデル80は、外部装置90によって、中間層84の畳み込み層84A、プーリング層84B、および、全結合層84Cの数を、更新可能である。例えば、学習モデル80は、外部装置90によって、中間層84が学習する入力層82に入力される情報と、出力層86が出力する走行路との間の関係を、更新可能である。
【0062】
例えば、人工知能処理部70は、前方画像Fに基づいて走行路を推定するように構成される。例えば、人工知能処理部70は、前方画像Fに基づいて人力駆動車10が走行可能な走行路、または、ライダの意思によって走行可能性が高い走行路を推定する。例えば、人工知能処理部70は、前方画像Fに基づいて走行路の状態を推定する。人工知能処理部70は、前方画像Fに基づいて走行路にカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つがあるか否かの状態を推定する。人工知能処理部70は、撮像装置44から送信される前方画像Fが入力されると、前方画像Fの特徴量に基づいて、推定した走行路を出力するように構成される。例えば、人工知能処理部70は、前方画像Fを画像処理することで、走行路を推定する。例えば、人工知能処理部70は、前方画像Fをエッジ検出することで走行路を推定する。
【0063】
例えば、人工知能処理部70は、前方画像Fに基づいて走行路上の対象物Xを特定する。人工知能処理部70は、特定した対象物Xに基づいて走行路を推定するように構成される。例えば、人工知能処理部70は、前方画像Fからエッジ検出をし、検出されたエッジを対象物Xとして特定する。例えば、対象物Xは、前方画像Fにおける特徴的な部分である。例えば、対象物Xは、周囲の地表面と異なる特徴的な地表面、樹木W、岩石、および、人工物の少なくとも1つの輪郭を含む。
【0064】
例えば、人工知能処理部70は、特定した対象物Xに基づいて前方画像Fにおける走行路である領域と走行路ではない領域との境界Bを特定する。人工知能処理部70は、特定した境界Bに基づいて走行路を推定するように構成される。例えば、前方画像Fにおける走行路である領域とは、前方画像Fのうちの地表面であって走行に適した領域を含む。例えば、走行に適した領域は、平坦な土、および、平坦な舗装路を含む。例えば、前方画像Fにおける走行路ではない領域とは、前方画像Fのうちの地表面ではない領域、および、前方画像Fのうちの地表面であって走行に適しない領域を含む。例えば、地表面ではない領域は、水面、空、および、空間を含む。例えば、走行に適していない領域は、緑地、走破不可能な斜面、および、崖を含む。例えば、走行に適していない領域は、平坦ではない土、および、平坦でない舗装路を含む。例えば、人工知能処理部70によって推定された走行路は、人力駆動車10の走行方向と直交する方向において幅を有する。例えば、人工知能処理部70は、人力駆動車10によって通過できない障害物がある場合、その部分を走行路として特定しない。
【0065】
図4および
図5を参照して、人工知能処理部70によって特定された前方画像Fの境界Bおよび走行路の例を説明する。例えば、
図4は、走行路である領域と、走行路ではない領域とを含む。
図4の走行路である領域は、例えば地表面が平坦な土の領域である。
図4の走行路ではない領域は、例えば地表面が緑地の領域である。人工知能処理部70は、地表面が平坦な土の領域と、地表面が緑地の領域と、を例えば色彩で判断する。
図4の前方画像Fが入力された場合、人工知能処理部70は、地表面が平坦な土の領域と、地表面が緑地の領域と、が隣接する部分を対象物Xとして特定する。人工知能処理部70は、特定した対象物Xをつなぎ合わせ、境界Bを特定する。例えば、人工知能処理部70は、前方画像Fから前方に延びる2つの境界Bを特定し、2つの境界Bの間の部分を走行路として推定する。
【0066】
例えば、人工知能処理部70は、前方に向かう境界Bに基づいて、走行路に変化があると推定する。例えば、人工知能処理部70は、前方に向かう境界Bが曲がっている場合、走行路にカーブがあると判定する。例えば、人工知能処理部70は、前方に向かう境界Bが人力駆動車10の進行方向において途切れている場合、および、境界Bが前方において横方向に延び、2つの境界Bが重なる場合、推定走行路に段差があると判定する。例えば、人工知能処理部70は、境界Bが歪んでいる場合、走行路に路面勾配があると推定する。例えば、人工知能処理部70は、空と対応する部分と接する境界Bの前方画像F上の位置に基づいて、走行路に路面勾配があると推定する。例えば、人工知能処理部70は、境界Bの歪みに応じて、走行路に路面勾配の変化があると推定する。例えば、人工知能処理部70は、空と対応する部分と接する境界Bの前方画像F上の位置に基づいて、走行路に路面勾配の変化があると推定する。例えば、人工知能処理部70は、境界Bがある領域を囲んでいる場合、走行路に障害物があると推定する。
【0067】
例えば、
図5は、走行路の障害物である樹木Wが含まれる場合の前方画像Fである。この場合、
図5の前方画像Fは、樹木Wと対応する部分を囲む境界Bに基づいて、走行路に障害物があると推定される。
【0068】
例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって推定された走行路に応じたペダリング状態Pを推定するように構成される。例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって推定された走行路上の対象物Xに応じたペダリング状態Pを推定する。例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって推定された走行路上の境界Bに応じたペダリング状態Pを推定する。例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって推定された走行路の変化に応じてペダリング状態Pを推定する。例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって推定された走行路にカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つがあるか否かに応じてペダリング状態Pを推定する。
【0069】
例えば、人工知能処理部70によって推定される境界Bによって走行路が推定されると、ペダリング状態推定部68は、推定した走行路に応じたライダの将来におけるペダリング状態Pを推定する。例えば、記憶部64には、推定した走行路とペダリング状態Pとを対応付けた対応情報が記憶される。ペダリング状態推定部68は、記憶部64に記憶される対応情報を用いてペダリング状態Pを推定する。人工知能処理部70は、前方画像Fから走行路およびペダリング状態Pを推定するように構成されていてもよい。制御部62は、人工知能処理部70が推定した走行路からペダリング状態Pを推定する追加人工知能処理部を、人工知能処理部70とは各別に備えていてもよい。
【0070】
制御部62が、追加人工知能処理部を含む場合、追加人工知能処理部は、推定された走行路に関する情報の入力に応じてペダリング状態Pに関する情報を出力する学習モデルを含む。例えば、学習モデルは、入力層、中間層、および、出力層を含み、入力層に入力される推定された走行路に関する情報と、出力層が出力するペダリング状態Pに関する情報との間の関係を、人力駆動車10のライダの特性に応じて更新可能に構成される。ペダリング状態推定部68は、走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つに関する情報と、実際に人力駆動車10が走行路を通過する場合にライダがペダリングに要した負荷に関する情報と、を記憶してもよい。実際に人力駆動車10が走行路を通過する場合にライダがペダリングに要した負荷は、例えば人力駆動力によって表される。追加人工知能処理部は、走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つに関する情報と、人力駆動車10が実際に走行路を通過する場合のライダがペダリングに要した負荷に関する情報と、を教師データとして学習してもよい。
【0071】
例えば、制御部62は、ペダリング状態Pが、第1ペダリング状態P1および第2ペダリング状態P2のいずれであるかを推定するように構成される。例えば、制御部62は、走行路に変化があると推定される場合、走行路の変化の態様に応じて、ペダリング状態Pを推定する。走行路の変化の態様は、例えば、走行路のカーブの曲率の増加、カーブの曲率の減少、段差の高さの増加、段差の高さの減少、路面勾配の大きさの増加、路面勾配の大きさの減少、障害物の形状の変化、障害物の種類の変化、および、障害物の形状の変化を含む。例えば、制御部62は、走行路にカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つがあると推定される場合、走行路にカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つがあるという推定に応じて、ペダリング状態Pを推定する。
【0072】
例えば、ペダリング状態Pは、第1ペダリング状態P1および第2ペダリング状態P2を含む。第1ペダリング状態P1は、第2ペダリング状態P2よりも、ライダがペダリングすることが難しい状態である。例えば、推定したペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1である場合、将来においてライダがペダリングできない状態になることが推定される。ライダがペダリングできない状態は、人力駆動車10の進行方向に障害物がある状態を含む。例えば、推定したペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1である場合、ライダがペダリングをしない方が望ましい状態になることが推定される。ライダがペダリングしない方が望ましい状態は、人力駆動車10がカーブを通過する状態、段差を通過する状態、および、障害物を通過する状態の少なくとも1つを含む。例えば、制御部62は、走行路にカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つがあると推定した場合、第1ペダリング状態P1と推定してもよい。
【0073】
例えば、制御部62は、制御部62が前方画像Fに基づいて、人力駆動車10をペダリングしているライダにとって走行路を走行するのが難しいと推定した場合、ペダリング状態Pを第1ペダリング状態P1と推定するように構成される。例えば、人力駆動車10をペダリングしているライダにとって走行路を走行するのが難しい状態は、人力駆動車10のライダがペダリングすることが難しい状態である。例えば、人力駆動車10のライダがペダリングすることが難しい状態は、ライダがペダリングできない状態、および、ライダがペダリングをしない方が望ましい状態を含む。制御部62は、ペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1と推定しない場合、第2ペダリング状態P2であると推定してもよい。
【0074】
例えば、制御部62は、走行路に存在する障害物の数、大きさ、および、位置の少なくとも1つに応じて、ペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1および第2ペダリング状態P2のいずれであるかを推定する。制御部62は、走行路に人力駆動車10の通過が難しい障害物が存在する場合、ペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1であると推定する。例えば、制御部62は、推定された走行路に含まれるカーブの曲率、および、カーブの数の少なくとも1つに応じて、ペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1および第2ペダリング状態P2のいずれであるかを推定する。例えば、制御部62は、推定された走行路に含まれるカーブの曲率が大きい場合、ペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1であると推定する。例えば、制御部62は、推定された走行路に含まれる段差の大きさ、および、段差の数の少なくとも1つに応じて、ペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1および第2ペダリング状態P2のいずれであるかを推定する。例えば、制御部62は、推定された走行路に含まれる段差が大きい場合、ペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1であると推定する。
【0075】
例えば、ペダリング状態Pは、第3ペダリング状態P3および第4ペダリング状態P4を含む。例えば、第2ペダリング状態P2は、第3ペダリング状態P3および第4ペダリング状態P4を含む。例えば、推定したペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2の場合、ライダがペダリングできる状態になることが推定される。例えば、推定したペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2の場合、ライダがペダリングした方が望ましい状態になることが推定される。例えば、第3ペダリング状態P3は、第4ペダリング状態P4よりも、ライダがペダリングすることが難しい状態である。
【0076】
例えば、制御部62は、ペダリング状態Pが、第1ペダリング状態P1、第3ペダリング状態P3、および、第4ペダリング状態P4のいずれであるかを推定するように構成される。例えば制御部62は、ペダリング状態Pが、第3ペダリング状態P3および第4ペダリング状態P4のいずれであるかを推定するように構成される。例えば、制御部62は、ペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2と推定した場合、第3ペダリング状態P3および第4ペダリング状態P4のいずれであるかを推定する。制御部62は、推定された走行路から、ペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1、第3ペダリング状態P3、および、第4ペダリング状態P4のいずれであるかを推定してもよい。
【0077】
例えば、制御部62は、走行路にあると推定されたカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の特性に応じて、ペダリング状態Pが、第1ペダリング状態P1、第3ペダリング状態P3、および、第4ペダリング状態P4のいずれであるかを推定するように構成される。例えば、制御部62は、走行路にあると推定されたカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の特性に基づいてライダのペダリングの難しさを判定する。カーブの特性は、例えば曲率を含む。制御部62は、走行路にカーブが含まれると推定した場合、カーブの曲率に応じてペダリング状態Pを推定する。制御部62は、カーブの曲率が大きいほど、ライダがペダリングに要する負荷が大きいと判定する。段差の特性は、例えば高さを含む。制御部62は、走行路に段差が含まれると推定した場合、段差の高さに応じてペダリング状態Pを推定する。制御部62は、段差の高さが大きいほど、ライダがペダリングに要する負荷が大きいと判定する。路面勾配の特性は、例えば勾配の大きさを含む。制御部62は、走行路に路面勾配が含まれると推定した場合、路面勾配に応じてペダリング状態Pを推定する。制御部62は、路面勾配が大きいほど、ライダがペダリングに要する負荷が大きいと判定する。例えば、路面勾配の特性は、路面勾配の大きさの増加である。例えば、路面勾配の大きさの増加は、路面勾配の大きさの増加率を含む。例えば、制御部62は、路面勾配の大きさの増加率が大きいほど、ライダがペダリングに要する負荷が大きくなると判定する。障害物の特性は、例えば障害物の種類を含む。障害物の種類は、人力駆動車10が通過不可能な障害物と、人力駆動車10が通過可能な障害物と、を含む。制御部62は、走行路に障害物が含まれると推定した場合、障害物の種類に応じてペダリング状態Pを推定する。制御部62は、障害物が通過難易度の高い種類であると、ライダがペダリングに要する負荷が大きいと判定する。
【0078】
ペダリングの難しさは、カーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つと対応する。ペダリングの難しさは、走行路の種類および走行路の環境の少なくとも1つを含んでいてもよい。走行路の種類および走行路の環境の少なくとも1つは、例えば、トンネル、および、ジャンプ台等を含む。ペダリングの難しさは、走行路の通過困難度、および、ライダの負荷の少なくとも1つと対応する。走行路の通過困難度は、例えば、ライダの人力駆動車10の操作技術と対応する。ライダの負荷は、例えば、走行路を通過するために必要な人力駆動力と対応する。
【0079】
ペダリングの難しさが走行路の通過困難度と対応する場合、例えば、
図4に示す走行路の場合、制御部62は将来のペダリング状態Pを第2ペダリング状態P2と推定し、
図5に示す走行路の場合、制御部62は将来のペダリング状態Pを第1ペダリング状態P1と推定する。ペダリングの難しさが走行路の通過困難度と対応する場合、制御部62は、例えば、
図5よりも樹木Wの数が少ない場合、ペダリング状態Pを第3ペダリング状態P3と推定し、ペダリング状態Pを第3ペダリング状態P3と推定する場合よりもさらに樹木Wの数が少ない場合、および、樹木Wが存在しない場合、ペダリング状態Pを第4ペダリング状態P4と推定する。
【0080】
ペダリングの難しさが走行路の通過困難度と対応する場合、制御部62は、例えば、走行路の上方に障害物があり、かつ、地表面から上方の障害物までの高さが第1高さ未満の場合、ペダリング状態Pを第1ペダリング状態P1と推定する。ペダリングの難しさが走行路の通過困難度と対応する場合、制御部62は、例えば、走行路の上方に障害物があり、かつ、地表面から上方の障害物までの高さが第1高さ以上の場合、ペダリング状態Pを第2ペダリング状態P2と推定する。ペダリングの難しさが走行路の通過困難度と対応する場合、制御部62は、例えば、走行路の上方に障害物があり、かつ、地表面から上方の障害物までの高さが第1高さ以上かつ第2高さ未満の場合、ペダリング状態Pを第3ペダリング状態P3と推定する。ペダリングの難しさが走行路の通過困難度と対応する場合、制御部62は、例えば、走行路の上方に障害物があり、かつ、地表面から上方の障害物までの高さが第2高さ以上の場合、ペダリング状態Pを第4ペダリング状態P4と推定する。例えば、制御部62は、ペダリング状態Pを第2ペダリング状態P2と推定した場合、ペダリング状態Pが第3ペダリング状態P3であるか第4ペダリング状態P4であるかを推定してもよい。例えば、制御部62は、ペダリング状態Pが、第1ペダリング状態P1、第3ペダリング状態P3、および、第4ペダリング状態P4のいずれであるかを推定するように構成される場合、ペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2であると推定されないように構成されてもよい。
【0081】
ペダリングの難しさがライダの負荷と対応する場合、例えば、第3ペダリング状態P3は、ライダがペダリングに要する負荷が第1負荷以上の状態であり、第4ペダリング状態P4は、ライダがペダリングに要する負荷が第1負荷未満の状態である。例えば、ライダがペダリングに要する負荷は、ライダがペダル20を漕ぐために必要な負荷である。例えば、ライダがペダリングに要する負荷は、将来においてライダがペダリングに要する負荷である。例えば、ライダがペダリングに要する負荷は、走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つと関連付けられる。カーブの曲率に応じて、ライダがペダリングに要する負荷は変化する。ライダがペダリングに要する負荷がカーブの曲率に関連して決定される場合において、走行路のカーブの曲率が所定曲率以上の場合、制御部62は、負荷が第1負荷以上であると推定する。段差の高さに応じて、ライダがペダリングに要する負荷は変化する。ライダがペダリングに要する負荷が段差の高さに関連して決定される場合において、走行路の段差の高さが所定高さ以上の場合、制御部62は、負荷が第1負荷以上であると推定する。路面勾配に応じて、ライダがペダリングに要する負荷は変化する。ライダがペダリングに要する負荷が路面勾配に関連して決定される場合において、走行路の路面勾配が所定勾配以上の場合、制御部62は、負荷が第1負荷以上であると推定する。障害物の種類に応じて、ライダがペダリングに要する負荷は変化する。ライダがペダリングに要する負荷が障害物の種類に関連して決定される場合において、走行路の障害物の種類が所定種類の場合、制御部62は、負荷が第1負荷以上であると推定する。制御部62は、例えば、走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物のそれぞれごとにスコアを算出し、スコアの合計値によってライダがペダリングに要する負荷を推定してもよい。
【0082】
ペダリングの難しさがライダの負荷と対応する場合、例えば、第3ペダリング状態P3は、ライダがペダリングに要する負荷が第2負荷以上に増加する状態であり、第4ペダリング状態P4は、ライダがペダリングに要する負荷が第2負荷未満に減少する状態である。この場合、制御部62は、ペダリング状態Pの将来の変化を推定する。例えば、現在の負荷が第2負荷未満の状態において、将来において人力駆動車10が推定された走行路を通過する場合にライダがペダリングに要する負荷が第2負荷以上に変化する場合、制御部62は、ペダリング状態Pを第3ペダリング状態P3と推定する。例えば、現在の負荷が第2負荷以上の状態において、将来において人力駆動車10が推定された走行路を通過する場合にライダがペダリングに要する負荷が第2負荷未満に変化する場合、制御部62は、ペダリング状態Pを第4ペダリング状態P4と推定する。第2負荷は、現在の負荷としてもよい。現在の負荷は、例えば、人力駆動力検出部48によって検出される駆動力である。
【0083】
ライダがペダリングに要する負荷が第2負荷以上に増加するか否かは、人力駆動車10の走行状態、および、推定した走行路に応じて判定されてもよい。例えば、制御部62が推定した走行路の路面勾配の大きさが、現在の人力駆動車10の傾斜よりも大きくなる場合、制御部62は、将来において傾斜が大きくなると推定される。この場合、ライダがペダリングに要する負荷が第2負荷以上に増加すると推定されるため、制御部62は、ペダリング状態Pを第3ペダリング状態P3と推定する。例えば、制御部62が推定した走行路のカーブの曲率が、現在の人力駆動車10が走行する走行路のカーブの曲率よりも小さくなる場合、カーブが終了すると推定される。この場合、ライダがペダリングに要する負荷が第2負荷未満に減少すると推定されるため、制御部62は、ペダリング状態Pを第4ペダリング状態P4と推定する。制御部62が推定した走行路の路面勾配の大きさが、現在の人力駆動車10のピッチ角度よりも小さくなる場合、将来において路面勾配が小さくなると推定される。この場合、ライダがペダリングに要する負荷が第2負荷未満に減少すると推定されるため、制御部62は、ペダリング状態Pを第4ペダリング状態P4と推定する。制御部62は、例えば、走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物のそれぞれごとにスコアを算出し、スコアの合計値によってライダがペダリングに要する負荷の変化を推定してもよい。
【0084】
例えば、制御部62は、制御部62が前方画像Fに基づいて、人力駆動車10をペダリングしているライダにとって走行路を走行するのが容易と推定した場合、ペダリング状態Pを第3ペダリング状態P3または第4ペダリング状態P4と推定する。制御部62は、走行路に応じて、ペダリング状態Pが、第3ペダリング状態P3および第4ペダリング状態P4のいずれであるかを推定するように構成される。人力駆動車10をペダリングしているライダにとって走行路を走行するのが容易な状態は、例えば、人力駆動車10のライダがペダリングすることが容易な状態である。人力駆動車10のライダがペダリングすることが容易な状態は、例えば、ライダがペダリングできる状態、および、ライダがペダリングしたほうが望ましい状態の少なくとも1つを含む。例えば、人力駆動車10をペダリングしているライダにとって走行路を走行するのが容易な状態は、ライダがペダリングすることが難しい状態の反対の状態である。このため、人力駆動車10をペダリングしているライダにとって走行路を走行するのが容易な状態は、ライダがペダリングすることが難しい状態の判定手法と反対の構成によって推定される。
【0085】
例えば、ペダリング状態推定部68は、前方画像Fに基づいて対象物Xと人力駆動車10との距離Dを検出するように構成される。例えば、ペダリング状態推定部68は、前方画像Fからカラー開口撮像技術によって対象物Xと人力駆動車10との距離Dを検出する。ペダリング状態推定部68は、前方画像Fに基づいて境界Bの特定の位置と人力駆動車10との距離Dを推定する。例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって推定された走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つと人力駆動車10との距離Dを検出する。例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって推定された走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つが始まる地点と人力駆動車10との距離Dを検出する。例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって推定された走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つが終わる地点と人力駆動車10との距離Dを検出する。ペダリング状態推定部68は、対象物Xと人力駆動車10との距離Dを、カラー開口撮像技術以外の手段によって検出してもよい。
【0086】
例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって特定された対象物Xと、ペダリング状態推定部68によって検出された距離Dと、に応じたペダリング状態Pを推定するように構成される。例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって特定された境界Bと、ペダリング状態推定部68によって検出された境界Bとの距離Dと、に応じたペダリング状態Pを推定するように構成される。例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって特定された走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つと、人工知能処理部70によって推定された走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つまでの距離Dと、に応じたペダリング状態Pを推定するように構成される。例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって特定された走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つと、人工知能処理部70によって推定された走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つが始まる地点までの距離Dと、に応じたペダリング状態Pを推定するように構成される。例えば、ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70によって特定された走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つと、人工知能処理部70によって推定された走行路のカーブ、段差、路面勾配、および、障害物の少なくとも1つが終わる地点までの距離Dと、に応じたペダリング状態Pを推定するように構成される。例えば、ペダリング状態推定部68は、走行路にカーブ、段差、路面勾配、または、障害物が含まれると推定される場合、カーブ、段差、路面勾配、または、障害物までの距離Dが所定範囲DX内にある場合、カーブ、段差、路面勾配、または、障害物と対応するペダリング状態Pを推定する。例えば、所定範囲DXは、電動装置40の制御状態を変更するタイミングに基づいて設定される。例えば、所定範囲DXは、人力駆動車10が前方に走行することによって所定範囲DXに入るタイミングにおいて、予め電動装置40の制御状態を変更するために必要な距離Dに応じて設定される。
【0087】
制御部62は、距離Dを現在の人力駆動車10に関する情報によって変更するようにしてもよい。例えば、制御部62は、距離Dを車速によって変更するようにしてもよい。制御部62は、距離Dを駆動に関する情報、例えば、人力駆動力によって変更するようにしてもよい。制御部62は、距離Dを制動に関する情報、例えば、制動操作によって変更するようにしてもよい。例えば、制御部62は、車速と前方画像Fから推定される路面勾配が続く距離とに応じたペダリング状態Pを推定するように構成される。制御部62は、ペダリング状態推定部68が前方画像Fから将来のペダリング状態Pが第3ペダリング状態P3であると推定する場合でも、将来のペダリング状態Pが第4ペダリング状態P4であると判定するように構成されてもよい。この場合、例えば、制御部62は、車速と前方画像Fから推定される上りの路面勾配が続く距離とに基づいて、将来のペダリング状態Pが第4ペダリング状態P4であると判定する。例えば、制御部62は、上りの路面勾配を現在の車速において惰性で上り切れると判断する場合、車速と前方画像Fから推定される上りの路面勾配が続く距離とに基づいて、将来のペダリング状態Pが第4ペダリング状態P4であると判定する。この場合、例えば、人工知能処理部70が、上りの路面勾配を現在の車速において惰性で上り切れるか否かを推定するように構成されてもよい。
【0088】
図6のフローチャートを参照して、制御部62がペダリング状態Pを推定する処理を説明する。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図6に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部62は、
図6のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0089】
ステップS11において、制御部62は、前方画像Fが入力されたか否か判定する。制御部62は、前方画像Fが入力された場合、ステップS12に移行する。制御部62は、前方画像Fが入力されない場合、処理を終了する。
【0090】
ステップS12において、制御部62は、走行路を推定し、ステップS13に移行する。制御部62は、例えば、入力された前方画像Fを人工知能処理部70に入力し、走行路を推定する。例えば、ステップS12の処理は、人工知能処理部70によって実行される。
【0091】
ステップS13において、制御部62は、ペダリング状態Pを推定し、処理を終了する。制御部62は、ステップS13において、ステップS12の処理によって推定された走行路に基づいて、ペダリング状態Pを推定する。例えば、ステップS13の処理は、ペダリング状態推定部68によって実行される。
【0092】
電動装置40が変速装置42を含む場合、例えば、制御部62は、推定するペダリング状態Pに応じて変速条件を変更するように構成される。変速条件に応じた変速装置42の制御状態は、電動装置40の制御状態と対応する。例えば、制御部62は、変速条件を、推定するペダリング状態Pに好適な変速条件に変更する。例えば、記憶部64は、第1ペダリング状態P1、第2ペダリング状態P2、第3ペダリング状態P3、および、第4ペダリング状態P4のそれぞれに対応付けられる変速条件が記憶されるように構成されてもよい。制御部62は、ペダリング状態Pを推定すると、変速条件を、推定したペダリング状態Pと対応付けられる変速条件に変更する。
【0093】
例えば、制御部62は、推定するペダリング状態Pに応じて変速閾値を変更するように構成される。例えば、第1ペダリング状態P1、第2ペダリング状態P2、第3ペダリング状態P3、および、第4ペダリング状態P4のそれぞれに対応した変速閾値が記憶部64に記憶される。例えば、制御部62は、現在のペダリング状態Pに対応した変速閾値を選択し、変速閾値を変更する。好ましくは、制御部62は、推定するペダリング状態Pに応じて、上限値および下限値の少なくとも1つを変更することによって変速条件を変更するように構成される。
【0094】
制御部62は、ペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1の場合、ペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2の場合よりも、変速比Rの変更の頻度が少なくなるように、変速条件を変更するように構成される。例えば、第1ペダリング状態P1に対応する上限値は、第2ペダリング状態P2に対応する上限値よりも大きい。例えば、第1ペダリング状態P1に対応する下限値は、第2ペダリング状態P2に対応する下限値よりも小さい。
【0095】
例えば、制御部62は、ペダリング状態Pが第3ペダリング状態P3の場合、ペダリング状態Pが第4ペダリング状態P4の場合よりも、変速比Rの変更の頻度が少なくなるように、変速条件を変更するように構成される。例えば、第3ペダリング状態P3に対応する上限値は、第4ペダリング状態P4に対応する上限値よりも大きい。例えば、第3ペダリング状態P3に対応する下限値は、第4ペダリング状態P4に対応する下限値よりも小さい。第2ペダリング状態P2に対応する変速閾値は、第3ペダリング状態P3に対応する変速閾値と同じであってもよい。
【0096】
例えば、制御部62は、ペダリング状態Pが第3ペダリング状態P3の場合、ペダリング状態Pが第4ペダリング状態P4の場合よりも、変速比Rを大きくする変更の頻度が少なくなるように、変速条件を変更するように構成される。例えば、第3ペダリング状態P3に対応する上限値は、第4ペダリング状態P4に対応する上限値よりも大きい。例えば、第3ペダリング状態P3に対応する下限値は、第4ペダリング状態P4に対応する下限値よりも大きい。第3ペダリング状態P3に対応する下限値は、第4ペダリング状態P4に対応する下限値よりも小さくてもよく、同じでもよい。例えば、制御部62は、現在のペダリング状態Pが第4ペダリング状態であったとしても、前方画像Fに基づいた将来のペダリング状態Pが第3ペダリング状態である場合、変速比Rを大きくする変更の頻度が少なくなるように、変速条件を変更するように構成される。例えば、制御部62は、現在の人力駆動車10が走行する走行路が下り坂や平地であったとしても、前方画像Fに基づいた将来の人力駆動車10が走行する走行路が上り坂である場合、変速比Rを大きくする変更の頻度が少なくなるように、変速条件を変更するように構成される。
【0097】
例えば、制御部62は、ペダリング状態Pが第3ペダリング状態P3の場合、ペダリング状態Pが第4ペダリング状態P4の場合よりも、変速比Rを小さくする変更の頻度が多くように、変速条件を変更するように構成される。例えば、第3ペダリング状態P3に対応する下限値は、第4ペダリング状態P4に対応する下限値よりも大きい。例えば、第3ペダリング状態P3に対応する上限値は、第4ペダリング状態P4に対応する上限値よりも小さい。第3ペダリング状態P3に対応する上限値は、第4ペダリング状態P4に対応する上限値よりも大きくてもよく、同じでもよい。
【0098】
図7のフローチャートを参照して、制御部62が変速装置42を制御する処理を説明する。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図7に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部62は、
図7のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS21からの処理を繰り返す。
【0099】
ステップS21において、制御部62は、推定したペダリング状態Pを取得し、ステップS22に移行する。制御部62は、例えば、
図6のステップS13において推定したペダリング状態Pを取得する。
【0100】
ステップS22において、制御部62は、将来におけるペダリング状態Pが変化するか否かを判定する。例えば、制御装置60は、推定したペダリング状態Pが、現在のペダリング状態Pと異なる場合、将来におけるペダリング状態Pが変化すると判定する。現在のペダリング状態Pは、例えば、人力駆動力検出部48およびクランク回転センサ50の少なくとも1つによって取得されてもよい。現在のペダリング状態Pは、例えば、所定周期前において取得された推定したペダリング状態Pであってもよい。制御部62は、将来におけるペダリング状態Pが変化しない場合、ステップS24に移行する。制御部62は、将来におけるペダリング状態Pが変化する場合、ステップS23に移行する。
【0101】
ステップS23において、制御部62は、将来におけるペダリング状態Pに応じて変速条件を変更し、ステップS24に移行する。制御部62は、ステップS24において、変速条件に応じて変速装置42を制御し、処理を終了する。制御部62は、ステップS23において変速条件を変更した場合、ステップS24において変更された変速条件において変速装置42を制御する。このため、ステップS23において変速条件が変更されると、変速装置42の制御状態が変更される。
【0102】
例えば、制御部62は、変速状態を切り替え可能に構成される。変速状態は、変速条件に応じて変速比Rを変更する第1変速状態と、変速条件に応じて変速比Rを変更しない第2変速状態と、を備える。制御部62は、推定するペダリング状態Pに応じて、変速状態を第1変速状態と第2変速状態との間において切り替えるように構成される。変速状態は、電動装置40の制御状態と対応する。
【0103】
例えば、制御部62は、推定したペダリング状態Pがライダがペダリングできない状態、および、将来においてライダがペダリングをしない方が望ましい状態の場合に第2変速状態を選択する。例えば、制御部62は、ペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2の場合、変速状態を第1変速状態に切り替える。例えば、制御部62は、ペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1の場合、変速状態を第2変速状態に切り替える。
【0104】
図8のフローチャートを参照して、制御部62が変速装置42を制御する処理を説明する。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図8に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部62は、
図8のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS31からの処理を繰り返す。
【0105】
ステップS31において、制御部62は、推定したペダリング状態Pを取得し、ステップS32に移行する。制御部62は、例えば、
図6のステップS13において推定したペダリング状態Pを取得する。
【0106】
制御部62は、ステップS32において、変速状態を切り替えるか否かを判定する。制御部62は、例えば、現在のペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1かつ推定したペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2の場合、変速状態を切り替えると判定する。制御部62は、例えば、現在のペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2かつ推定したペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1の場合、変速状態を切り替えると判定する。制御部62は、変速状態を切り替えない場合、処理を終了する。制御部62は、変速状態を切り替える場合、ステップS33に移行する。
【0107】
制御部62は、ステップS33において変速状態を切り替え、処理を終了する。制御部62は、例えば、現在のペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1かつ推定したペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2の場合、変速状態を第1変速状態に切り替える。制御部62は、例えば、現在のペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2かつ推定したペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1の場合、変速状態を第2変速状態に切り替える。ステップS33において変速状態が変更されると、変速装置42の制御状態が変更される。
【0108】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0109】
・電動装置40は、変速装置42に代えてまたは加えて、人力駆動車10の推進をアシストするモータ、電動サスペンション、電動アジャスタブルシートポスト、表示装置、報知装置、および、制動装置の少なくとも1つを含んでいてもよい。電動装置40にモータが含まれる場合、制御部62は、例えば、推定したペダリング状態Pと対応するライダがペダリングに要する負荷に応じて、モータによる推進力と対応する制御状態を変更するように構成されてもよい。電動装置40に電動サスペンションが含まれる場合、制御部62は、推定したペダリング状態Pと対応するライダがペダリングに要する負荷に応じて、サスペンションの反発力と対応する制御状態を変更するように構成されてもよい。電動装置40に電動アジャスタブルシートポストが含まれる場合、制御部62は、推定したペダリング状態Pと対応するライダがペダリングに要する負荷に応じて、シートポストの高さと対応する制御状態を変更するように構成されてもよい。電動装置40に表示装置が含まれる場合、制御部62は、推定したペダリング状態Pと対応するライダがペダリングに要する負荷に応じて、表示に関する制御状態を変更するように構成されてもよい。電動装置40に報知装置が含まれる場合、制御部62は、推定したペダリング状態Pと対応するライダがペダリングに要する負荷に応じて、報知に関する制御状態を変更するように構成されてもよい。
図9のフローチャートを参照して、制御部62が電動装置40を制御する処理を説明する。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して
図9に示すフローチャートのステップS41に移行する。制御部62は、
図9のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS41からの処理を繰り返す。
ステップS41において、制御部62は、推定したペダリング状態Pを取得し、ステップS42に移行する。制御部62は、例えば、
図6の処理において推定したペダリング状態Pを取得する。制御部62は、ステップS42において、制御状態を切り替えるか否かを判定する。制御部62は、例えば、現在のペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1かつ推定したペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2の場合、制御状態を切り替えると判定する。制御部62は、例えば、現在のペダリング状態Pが第2ペダリング状態P2かつ推定したペダリング状態Pが第1ペダリング状態P1の場合、制御状態を切り替えると判定する。制御部62は、制御状態を切り替えない場合、処理を終了する。制御部62は、制御状態を切り替える場合、ステップS43に移行する。制御部62は、ステップS43において制御状態を切り替え、処理を終了する。
【0110】
・制御部62は、
図7のフローチャートの処理および
図8のフローチャートの処理の一方のみを実行するように構成されていてもよい。
【0111】
・ペダリング状態推定部68は、前方画像F、に加えて、前方画像F以外の人力駆動車10の前方に関する情報に基づいてペダリング状態Pを推定してもよい。例えば、人力駆動車10は、レーザ装置が設けられる。制御部62は、前方画像F、および、レーザ装置によって取得した人力駆動車10の前方に関する情報から、走行路を推定する。ペダリング状態推定部68は、人工知能処理部70が検出した距離Dを、レーザ装置によって取得した対象物Xへの距離によって修正し、ペダリング状態Pを推定する。
【0112】
・第2ペダリング状態P2は、第3ペダリング状態P3および第4ペダリング状態P4に加えて、第5ペダリング状態P5を含んでもよい。第5ペダリング状態P5は、第3ペダリング状態P3よりも、ライダがペダリングすることが難しい状態である。第2ペダリング状態P2は、4つ以上のペダリング状態Pを含んでいてもよい。
【0113】
・制御部62は、変速状態が第2変速状態の場合に、ライダによる変速操作部の操作によって変速比Rを変更するように変速装置42を制御してもよい。
【0114】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0115】
10…人力駆動車、40…電動装置、42…変速装置、44…撮像装置、60…制御装置、62…制御部、68…ペダリング状態推定部、70…人工知能処理部。