IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新明和工業株式会社の特許一覧

<図1A>
  • 特許-荷役車両 図1A
  • 特許-荷役車両 図1B
  • 特許-荷役車両 図2
  • 特許-荷役車両 図3
  • 特許-荷役車両 図4
  • 特許-荷役車両 図5
  • 特許-荷役車両 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/04 20060101AFI20250130BHJP
   B65F 3/26 20060101ALI20250130BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
B60P1/04 Z
B65F3/26
B60P3/00 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021138386
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023032329
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今 飛翔
(72)【発明者】
【氏名】弘津 智史
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-051868(JP,A)
【文献】実開昭59-121253(JP,U)
【文献】特開昭51-069823(JP,A)
【文献】特開2000-230241(JP,A)
【文献】特開2020-142601(JP,A)
【文献】特開2019-044547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/04
B65F 3/26
B60P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台に設けられるサブフレームと、
上記サブフレームに傾動シリンダを介して傾動可能に搭載される荷箱と、
上記荷箱に設けた油圧アクチュエータと、
上記油圧アクチュエータに高圧油を供給する油圧源と、
上記油圧源と上記油圧アクチュエータとの間で高圧油を循環させる油圧配管とを備え、
上記荷箱は、該荷箱の荷箱フレーム後端の傾動中心軸を中心に水平状態から最大傾動状態までの間で傾動可能に構成されており、
上記油圧配管は、
上記車台及び上記サブフレームに設けられ、上記荷箱の傾動に伴って動かないサブフレーム側油圧配管と、
上記荷箱に設けられ、該荷箱の傾動に伴って該荷箱と共に傾動する荷箱側油圧配管と、
上記サブフレーム側油圧配管の第1金属配管の終端部と当該終端部よりも後方に位置する上記荷箱側油圧配管の第2金属配管の始端部とを接続し、上記荷箱の傾動に伴って形を変える中間油圧ホースとを備え、
上記中間油圧ホースは、可撓部と、該可撓部の上記第1金属配管側の端部に設けられて該第1金属配管の上記終端部と接続される金属製の第1接続端部と、該可撓部の上記第2金属配管側の端部に設けられて該第2金属配管の上記始端部と接続される金属製の第2接続端部とを有し、
上記荷箱の最大傾動時における上記第2接続端部と上記傾動中心軸の軸心とを結ぶ最大傾動線は、
上記第1接続端部と上記軸心とを結ぶ基準線に対し、
上記荷箱の水平時における上記第2接続端部と上記軸心とを結ぶ水平傾動線の反対側にある
ことを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
上記第1金属配管の上記終端部は、後方に向かって上方へ傾斜している
ことを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
【請求項3】
上記第2金属配管の上記始端部は、上記荷箱の水平時に、上記第1金属配管の上記終端部よりも下方位置にあって車両側方から見て上記サブフレームと重なる位置となるように、配設されていることを特徴とする請求項2に記載の荷役車両。
【請求項4】
上記第2金属配管は、該第2金属配管の始端に向かって荷箱下方へ延びた後、荷箱前方へ延びるように折れ曲がっている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾動可能な荷箱を有する荷役車両に関し、特にその配管構造の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行可能な車台上にサブフレームを介して傾動可能な荷箱を備えた荷役車両は知られている(例えば、特許文献1参照)。この荷役車両では、荷箱に複数の油圧アクチュエータを有するので、これらの油圧アクチュエータを駆動させるための油圧配管がサブフレーム側と荷箱側とに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-142601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の傾動可能な荷箱を有する車両では、図6に例示するように、荷箱水平時のサブフレーム104後部の中間油圧ホース150が、サブフレーム104下端よりも垂れ下がり、車台部品と干渉する場合がある。荷箱を有する車両では、車台がシャシメーカーによって製造され、架装メーカーが車台上にサブフレームと荷箱を架装することによって完成されるのが一般的である。架装メーカーとしては、中間油圧ホース150がサブフレーム104よりも下方に垂れ下がって車台部品に干渉することが要因となって、走行性能に影響を及ぼしたり走行中に中間油圧ホース150が痛んだりすることは避けなければならない。そこで、対策としてサブフレーム104のメインフレーム下部に角パイプを取り付け、嵩上げを実施することがある。しかしながら、この嵩上げ用の角パイプの取付は、基本性能の向上には寄与せず、むしろ単純な重量増と車両全高の増加を招き、製品性を悪化させている、という問題がある。加えて、塵芥収集用荷箱を有する塵芥車の場合は、嵩上げにより、塵芥収集用荷箱に設けられた塵芥投入口の地上高が高くなることで、収集物投入時の作業性悪化を招いてしまうため、より影響が大きい。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、荷箱が水平時及び最大傾動時のいずれにおいても中間油圧ホースがサブフレームよりも下方に垂れ下がらないようにして車台部品と中間油圧ホースとの干渉を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、走行時などの荷箱の水平姿勢とダンプ時などの荷箱の最大傾動姿勢とで、必要なホース取付長をできるだけ合わせることで、走行姿勢で中間油圧ホースが下方に垂れ下がらないようにした。
【0007】
具体的には、第1の発明では、車台に設けられるサブフレームと、
上記サブフレームに傾動シリンダを介して傾動可能に搭載される荷箱と、
上記荷箱に設けた油圧アクチュエータと、
上記油圧アクチュエータに高圧油を供給する油圧源と、
上記油圧源と上記油圧アクチュエータとの間で高圧油を循環させる油圧配管とを備え、
上記荷箱は、該荷箱の荷箱フレーム後端の傾動中心軸を中心に水平状態から最大傾動状態までの間で傾動可能に構成されており、
上記油圧配管は、
上記車台及び上記サブフレームに設けられ、上記荷箱の傾動に伴って動かないサブフレーム側油圧配管と、
上記荷箱に設けられ、該荷箱の傾動に伴って該荷箱と共に傾動する荷箱側油圧配管と、
上記サブフレーム側油圧配管の第1金属配管の終端部と当該終端部よりも後方に位置する上記荷箱側油圧配管の第2金属配管の始端部とを接続し、上記荷箱の傾動に伴って形を変える中間油圧ホースとを備え、
上記中間油圧ホースは、可撓部と、該可撓部の上記第1金属配管側の端部に設けられて該第1金属配管の上記終端部と接続される金属製の第1接続端部と、該可撓部の上記第2金属配管側の端部に設けられて該第2金属配管の上記始端部と接続される金属製の第2接続端部とを有し、
上記荷箱の最大傾動時における上記第2接続端部と上記傾動中心軸の軸心とを結ぶ最大傾動線は、
上記第1接続端部と上記軸心とを結ぶ基準線に対し、
上記荷箱の水平時における上記第2接続端部と上記軸心とを結ぶ水平傾動線の反対側にある。
【0008】
上記の構成によると、水平傾動線と最大傾動線とを基準線に対して互いに反対側に設けることで、荷箱の最大傾動時における荷箱側油圧配管の第2金属配管の始端部とサブフレーム側油圧配管の第1金属配管の終端部とをつなぐために必要なホース取付長と、荷箱の水平時における荷箱側油圧配管の第2金属配管の始端部とサブフレーム側油圧配管の第1金属配管の終端部とをつなぐために必要なホース取付長との差を小さくすることができる。これにより、荷箱の水平時に中間油圧ホースがサブフレームよりも下方側に垂れ下がらないように、中間油圧ホースの長さを設定したとしても荷箱の最大傾動時に中間油圧ホースの長さに余裕がなくなったりすることがないので、中間油圧ホースの垂れ下がりを容易に抑制することができる。その結果、従来のようにサブフレームに中間油圧ホースの嵩上げのための部品を追加することなく、車台部品と中間油圧ホースとの干渉を抑制することができる。また、第1の発明の構成によると、水平傾動線と最大傾動線とを基準線に対して互いに反対側に設けることで、荷箱を傾動させる際に基準線に対して中間油圧ホースを上下バランスよく変形させることができ、中間油圧ホースの挙動を容易に制御できる。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、
上記第1金属配管の上記終端部は、後方に向かって上方へ傾斜している。
【0010】
上記の構成によると、第1金属配管は、荷箱の傾動に伴って移動しないので、常に中間油圧ホースの第1接続端部は、上方に向かっている。このため、荷箱の最大傾動時には、中間油圧ホースの可撓部は、全体的に大きく山なりに変形し、荷箱の水平時には、中間油圧ホースの可撓部は、第1金属配管(第1接続端部)から第2金属配管(第2接続端部)に向かって山なりになった後、再び第2金属配管(第2接続端部)に向かって下方へ膨らむので、S字状に変形する。よって、荷箱の水平時に中間油圧ホースがサブフレームより下方によりいっそう垂れ下がりにくくできる。
【0011】
第3の発明では、第2の発明において、
上記第2金属配管の上記始端部は、上記荷箱の水平時に、上記第1金属配管の上記終端部よりも下方位置にあって車両側方から見て上記サブフレームと重なる位置となるように、配設されている。
【0012】
上記の構成によると、中間油圧ホースの可撓部を荷箱の水平時に確実にS字状に変形させることができるので、荷箱の水平時に中間油圧ホースがサブフレームより下方によりいっそう垂れ下がりにくくできる。
【0013】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記第2金属は、該第2金属配管の始端に向かって荷箱下方へ延びた後、荷箱前方へ延びるように折れ曲がっている。
【0014】
上記の構成によると、荷箱側油圧配管の始端部を、荷箱の水平時には水平になり、最大傾動時には上方に傾斜するように設定できるので、中間油圧ホースが荷箱の傾動に伴って動く荷箱側油圧配管の第2金属配管の始端部がどの位置にあっても当該始端部よりも下方に中間油圧ホースが垂れ下がらないようにできる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、荷箱が水平時及び最大傾動時のいずれにおいても中間油圧ホースがサブフレームより下方に垂れ下がらないようにすることができ、車台部品と中間油圧ホースとの干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】水平時の荷箱の傾動中心軸の軸心及びその周辺を拡大して示す側面図である。
図1B図1Aに対応する要部平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る塵芥収集車における荷箱の水平時を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る塵芥収集車における荷箱の最大傾動時(ダンプ時)を示す側面図である。
図4】荷箱に関連する油圧配管を示し、(a)が平面図で、(b)が側面図である。
図5】本発明の実施形態に係る塵芥収集車における簡略化した油圧回路図である。
図6】従来技術に係る図1A相当側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(実施形態1)
図2及び図3は本発明の実施形態の傾動可能な荷箱を有する荷役車両としての塵芥収集車1を示し、この塵芥収集車1は、走行可能な車台2と、運転室3と、車台2上にサブフレーム4を介して傾動可能に搭載される荷箱10とを備えている。
【0019】
本実施形態における荷箱10は、塵芥収集用荷箱であり、この荷箱10は、塵芥収容箱11とこの塵芥収容箱11の後端上部の回動軸13を中心に回動可能に塵芥投入箱12が設けられている。この塵芥投入箱12に塵芥積込装置9が内蔵されており、この塵芥積込装置9によって塵芥投入口14から投入された塵芥が塵芥収容箱11内に圧縮されながら収容されるようになっている。
【0020】
荷箱10は、図3に示すように、塵芥投入箱12を開いた状態で上方へ傾動されて、塵芥収容箱11内部の塵芥を排出できるようになっている。
【0021】
また、荷箱10の下部には、前後方向に延びる荷箱フレーム15が設けられている。荷箱10は、この荷箱フレーム15後端の傾動中心軸5を中心に水平状態(図2に示す)から最大傾動状態(図3に示すダンプ状態)までの間で傾動可能に構成されている。
【0022】
塵芥収集車1の車台2上には、サブフレーム4が設けられている。このサブフレーム4に傾動シリンダ6及び傾動リンク7を介して荷箱10が傾動可能に搭載されている。
【0023】
詳しい構成は図示しないが、図5に示すように、本実施形態では、塵芥積込装置9は、回転板式であり、油圧アクチュエータとしての、塵芥投入箱12を回動させて開閉させる回動シリンダ64と、押込板を押込位置と戻り位置との間で駆動させる押込シリンダ65と、回転板を正転又は逆転させる油圧モータ66とを備えている。
【0024】
車台2側には、上記油圧アクチュエータに高圧油を供給する油圧源としての油圧ポンプ60が設けられている。油圧ポンプ60は、車台2に設けられたエンジン61の動力を取り出す動力取出装置(PTO62)によって駆動されるようになっている。
【0025】
そして、油圧ポンプ60と上記油圧アクチュエータとの間には、高圧油を循環させる油圧配管8が設けられている。
【0026】
例えば、油圧ポンプ60からの油は、サブフレーム4側のメインコントロールバルブ63を通った後、本実施形態の油圧配管8を通って荷箱側コントロールバルブ67に送られ、この荷箱側コントロールバルブ67の切替動作により、適宜各アクチュエータに送り出され、作動油タンク68に戻るようになっている。
【0027】
なお、傾動シリンダ6は、サブフレーム4側にあるので、荷箱側コントロールバルブ67を介さずにメインコントロールバルブ63から作動油が供給されるようになっている。
【0028】
図4にも示すように、油圧配管8は、車台2及びサブフレーム4に設けられ、荷箱10の傾動に伴って動かないサブフレーム側油圧配管30と、荷箱10に設けられ、この荷箱10の傾動に伴って荷箱10と共に傾動する荷箱側油圧配管40と、サブフレーム側油圧配管30の第1金属配管31の終端部31aと当該終端部31aよりも後方に位置する荷箱側油圧配管40の第2金属配管41の始端部41aとを接続し、荷箱10の傾動に伴って形を変える中間油圧ホース50とを備えている。
【0029】
図1Aに示すように、本実施形態の第2金属配管41は、荷箱フレーム15の後端から前方へ水平に延びる水平チューブ41b、エルボー41c、このエルボー41cから真下に延びるJ字状の折曲チューブ41d、カップラ41e等よりなる。このように第2金属配管41の始端部41aは、荷箱下方へ延びた後、荷箱前方へ延びるように折れ曲がっている。また、第2金属配管41の始端部41aは、荷箱10の水平時に、第1金属配管31の終端部31aよりも下方位置にあって車両側方から見てサブフレーム4と重なる位置となるように、配設されている。なお、折曲チューブ41dの部分は、上下に延びる直線状チューブと1つのエルボーと前後に延びる直線状チューブとの3つの部材で構成してもよい。
【0030】
中間油圧ホース50は、主にゴムから形成されて容易に変形可能な可撓部50aと、可撓部50aの第1金属配管31側の端部に設けられて第1金属配管31の終端部31aと接続される金属製の第1接続端部50bと、可撓部50aの第2金属配管41側の端部に設けられて第2金属配管41の始端部41aと接続される金属製の第2接続端部50cとを有している。
【0031】
そして、図1Aに示すように、荷箱10の最大傾動時における油圧ホース50の第2接続端部50c(B)と傾動中心軸5の軸心Oとを結ぶ最大傾動線BOは、油圧ホース50の第1接続端部50b(D)と軸心Oとを結ぶ基準線DOに対し、荷箱10の水平時における第2接続端部50c(A)と軸心Oとを結ぶ水平傾動線AOの反対側にある。
【0032】
また、本実施形態では、上記基準線DOが水平傾動線AOとなす水平時角度αよりも、基準線DOが最大傾動線BOとなす最大傾動時角度βの方が大きい(β>α)。
【0033】
さらに、サブフレーム側油圧配管30の第1金属配管31の終端部31aは、後方に向かって上方へ傾斜している。そして、中間油圧ホース50の可撓部50aは、荷箱10の水平時に第1金属配管31(第1接続端部50b)から第2金属配管41(第2接続端部50c)に向かって、上方に山なりに盛り上がった後、下方に垂れ下がるように変形し、最大傾動時に全体に上方に山なりに変形するように構成されている。
【0034】
次に、本実施形態に係る塵芥収集車1の作動について説明する。
【0035】
まず、図6に示すように、従来の塵芥収集車では、荷箱の最大傾動時には、中間油圧ホース150の可撓部150a(X)は、上方に大きく膨らみ、サブフレーム104に対して荷箱フレーム115が水平なときには、中間油圧ホース150の可撓部150a(Y)は、下方に大きく膨らむように垂れ下がり、サブフレーム104の下面よりも垂れ下がってしまう。
【0036】
従来の塵芥収集車では、荷箱の水平時と荷箱の最大傾動時のどちらであっても、荷箱側油圧配管の第2金属配管141の始端部、及び、この第2金属配管141の始端部と接続される油圧ホース151の金属製の第2接続端部150cは、サブフレーム側油圧配管の第1金属配管131の終端部と接続される油圧ホース151の金属製の第1接続端部150bと荷箱の傾動中心軸の軸心Oとを結ぶ基準線DOに対し、上方に位置していた。
【0037】
しかし、本実施形態の塵芥収集車1では、荷箱10の水平時の水平傾動線AOと荷箱10の最大傾動時の最大傾動線BOとを基準線DOに対して互いに反対側に設けることで、荷箱10の最大傾動時における荷箱側油圧配管40の第2金属配管41の始端部41aとサブフレーム側油圧配管30の第1金属配管31の終端部31aとをつなぐために必要なホース取付長と、荷箱10の水平時における第2金属配管41の始端部41aと第1金属配管31の終端部31aとをつなぐために必要なホース取付長との差が小さくなっている。
【0038】
さらに、第1金属配管31は、荷箱10の傾動に伴って移動せず、常に中間油圧ホース50の第1金属配管側端部は、上方に向かっているため、荷箱10の最大傾動時には、中間油圧ホース50の可撓部50a(X)は、全体的に大きく山なりに変形する。またし、荷箱10の水平時には、中間油圧ホース50の可撓部50a(Y)は、第1金属配管31(第1接続端部50b)から第2金属配管41(第2接続端部50c)に向かって山なりになった後(図1Aの山なり部)、再び第2金属配管41(第2接続端部50c)に向かって下向きに膨れるので、S字状に変形する。よって、荷箱10の水平時に中間油圧ホース50がサブフレーム4より下方に垂れ下がりにくくなる。
【0039】
一方、図3に示す最大傾動時には、メインコントロールバルブ63から回動シリンダ64に高圧油を流し込んで塵芥投入箱12を開きながら、傾動シリンダ6にも高圧油を流し込み、塵芥収容箱11を傾動させ、塵芥収容箱11内の塵芥を排出できる。このとき、図1Aに2点鎖線で示すように、中間油圧ホース50は、大きく上方に膨らむ山なり部が形成される。このため、中間油圧ホース50が荷箱10の傾動に伴って、突っ張ることもなく、垂れ下がることもない。
【0040】
また、第2金属配管41の始端部41aは、荷箱10の水平時には水平になり、最大傾動時には上方に傾斜するので、中間油圧ホース50の可撓部50aを水平時に確実にS字状に変形させることができる。さらに、第2金属配管41の始端部41aは、荷箱10の水平時に、第1金属配管31の終端部31aよりも下方位置にあって車両側方から見てサブフレーム4と重なる位置となるように、配設されているので、中間油圧ホース50の可撓部50aを荷箱10の水平時に、中間油圧ホース50がサブフレーム4よりも下方に垂れ下がらないように、確実にS字状に変形させることができる。
【0041】
したがって、本実施形態に係る傾動可能な荷箱10を有する車両によると、荷箱10が水平時及び最大傾動時のいずれにおいても中間油圧ホース50がサブフレーム4より下方に垂れ下がらないようにすることができる。その結果、車台部品と中間油圧ホース50との干渉を抑制ことができる。
【0042】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0043】
すなわち、上記実施形態では、荷役車両は、塵芥収集車としているが、荷箱が車台側の油圧源からの高圧油で駆動される油圧アクチュエータを有し、傾動可能な荷役車両であれば、特に限定されない。
【0044】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0045】
1 塵芥収集車(荷役車両)
2 車台
3 運転室
4 サブフレーム
5 傾動中心軸
6 傾動シリンダ
7 傾動リンク
8 油圧配管
9 塵芥積込装置
10 荷箱
11 塵芥収容箱
12 塵芥投入箱
13 回動軸
14 塵芥投入口
15 荷箱フレーム
30 サブフレーム側油圧配管
31 第1金属配管
31a 終端部
40 荷箱側油圧配管
41 第2金属配管
41a 始端部
50 中間油圧ホース
50a 可撓部
50b 第1接続端部
50c 第2接続端部
60 油圧ポンプ
61 エンジン
62 動力取出装置
63 メインコントロールバルブ
64 回動シリンダ
65 押込シリンダ
66 油圧モータ
67 荷箱側コントロールバルブ
68 作動油タンク
O 軸心
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6