(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/249 20210101AFI20250130BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20250130BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20250130BHJP
【FI】
H01M50/249
H01M50/204 101
H01M50/244 A
H01M50/271 B
(21)【出願番号】P 2022210186
(22)【出願日】2022-12-27
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】野添 直樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 遼
(72)【発明者】
【氏名】田中 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 英貴
(72)【発明者】
【氏名】造田 慈
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-284984(JP,A)
【文献】中国実用新案第215266526(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0312245(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110088932(CN,A)
【文献】特開2012-064449(JP,A)
【文献】中国実用新案第216120549(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00-1/04
B60L
H01M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネルの下方に配置され、車体に取り付けられるバッテリパックであって、
バッテリと、
周縁に側壁を有し、前記バッテリを収容するケースと、
を備え、
前記ケースは、前記側壁の外側面に設けられ、前記ケースの外側に突出する突出部を有し、
前記突出部は、
前記車体に固定されるケース固定部と、
前記バッテリパックを前記車体に取り付ける際に治具により上下方向から挟まれる被クランプ部と、
を有
し、
前記ケース固定部及び前記被クランプ部は、前記側壁の前記外側面が延在する方向に沿って隣接して配置されており、前記突出部を構成する部分として一体に設けられている、
バッテリパック。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリパックであって、
前記ケースを上方から覆うカバーをさらに備え、
前記ケースの前記側壁及び前記カバーは、シール部材を介して互いに対向する合わせ面をそれぞれ有し、
前記カバーは、前記合わせ面に設けられ、前記ケース固定部と共に前記車体に固定されるカバー固定部を有する、
バッテリパック。
【請求項3】
請求項2に記載のバッテリパックであって、
前記カバーの前記合わせ面の外縁は、前記ケースの前記合わせ面よりも外側に位置し、
前記被クランプ部の上面は前記ケースの前記合わせ面よりも低く、前記被クランプ部の前記上面と前記ケースの前記合わせ面との間には段差部が設けられている、
バッテリパック。
【請求項4】
請求項3に記載のバッテリパックであって、
前記カバーの前記合わせ面は、前記外縁まで水平方向に平らに形成される、
バッテリパック。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載のバッテリパックであって、
前記ケース及び前記カバーの前記合わせ面には、前記カバーを前記ケースに締結する締結部が設けられており、
前記ケース及び前記カバーの前記合わせ面は、
前記ケース固定部、前記カバー固定部、及び前記締結部において互いに当接し、
前記ケース固定部、前記カバー固定部、及び前記締結部以外の部分において隙間を空けて設けられる、
バッテリパック。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載のバッテリパックであって、
前記被クランプ部の上面は、前記ケースの外側に向かって下方に傾斜する傾斜面を有する、
バッテリパック。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載のバッテリパックであって、
前記突出部は、車幅方向の両側に設けられており、
前記突出部は、
前記車幅方向の一方側における前記ケースの前記側壁に設けられ、前後方向における前記ケースの中央よりも前側及び後側に設けられた第1突出部及び第2突出部と、
前記車幅方向の他方側における前記ケースの前記側壁に設けられ、前記前後方向における前記ケースの中央よりも前側及び後側に設けられた第3突出部及び第4突出部と、
を含む、
バッテリパック。
【請求項8】
請求項7に記載のバッテリパックであって、
前記第1突出部及び前記第2突出部の外縁の位置は、前記車幅方向において略同一であり、
前記第3突出部及び前記第4突出部の外縁の位置は、前記車幅方向において略同一であり、
バッテリパック。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載のバッテリパックであって、
前記ケースの前記側壁の前側及び後側のうち少なくとも一方には、複数の突起が設けられ、
前記複数の突起は、車幅方向の両側に設けられている、
バッテリパック。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか1項に記載のバッテリパックであって、
上面視において、前記被クランプ部は前記ケース固定部よりも大きい、
バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池に関する研究開発が行われている。
【0003】
車両の駆動源の電動化に伴って、車両にはモータ等に電力を供給するバッテリが搭載される。バッテリはケース内に収容したバッテリパックとして車両のフロアパネルの下方に搭載される。(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-125430号公報
【文献】特開2021-140931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バッテリの高出力化に伴って、バッテリパックは大型・高重量となってきている。治具を用いてバッテリパックを車体に取り付ける際、自重で変形しないようケースの剛性を十分に確保する必要がある。
【0006】
本発明は、ケースの剛性を向上させることができるバッテリパックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
車両のフロアパネルの下方に配置され、車体に取り付けられるバッテリパックであって、
バッテリと、
周縁に側壁を有し、前記バッテリを収容するケースと、
を備え、
前記ケースは、前記側壁の外側面に設けられ、前記ケースの外側に突出する突出部を有し、
前記突出部は、
前記車体に固定されるケース固定部と、
前記バッテリパックを前記車体に取り付ける際に治具により上下方向から挟まれる被クランプ部と、
を有し、
前記ケース固定部及び前記被クランプ部は、前記側壁の前記外側面が延在する方向に沿って隣接して配置されており、前記突出部を構成する部分として一体に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケースの剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態のバッテリパック1の斜視図である。
【
図2】カバー6を取り外したバッテリパック1の斜視図である。
【
図4】ケース5の右壁51cにおける前側に設けられた突出部55(第1突出部55A)の拡大図である。
【
図9】被クランプ部57の上面57aが傾斜面を有する変形例を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のバッテリパックの一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。また、左右方向を車幅方向とも称する。
【0011】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のバッテリパック1は、複数(本実施形態では8つ)のバッテリモジュール2と、バッテリECU(Electronic Control Unit)3と、ジャンクションボード4と、これらを収容するケース5と、ケース5を上方から覆うカバー6と、を備える。図示は省略するが、バッテリパック1は、電気自動車やハイブリッド電気自動車のような電動車両に搭載され、駆動源としての電動機に電力を供給する。バッテリパック1は、車両のフロアパネルの下方に配置され、車体に取り付けられる。なお、
図2では、複数のバッテリモジュール2の各電極端子、バッテリECU3、及びジャンクションボード4の電気的な配線(例えばバスバーを介した配線)について図示を省略している。
【0012】
バッテリモジュール2は、バッテリセルが複数積層されて構成され、積層方向(長手方向)が車幅方向となるようにケース5に配置されている。バッテリモジュール2は、ケース5の前後方向における中央よりも前側に4つ配置され、後側に4つ配置されている。より詳細には、ケース5の前側において、左側に前後方向に並んで2つのバッテリモジュール2が配置され、同様に右側に前後方向に並んで2つのバッテリモジュール2が配置されている。また、ケース5の後側において、左側に前後方向に並んで2つのバッテリモジュール2が配置され、同様に右側に前後方向に並んで2つのバッテリモジュール2が配置されている。
【0013】
バッテリECU3は、バッテリモジュール2の充電及び放電を制御し、プロセッサ、メモリ、インターフェース等を備える。バッテリECU3は、ケース5内の前側且つ右側に配置された2つのバッテリモジュールの上方にブラケット8を介して配置されている。
【0014】
ジャンクションボード4は、バッテリモジュール2と不図示の外部機器とを電気的に接続し、バッテリモジュール2の充電電力及び放電電力が流れる配線部品を含む。ジャンクションボード4は、ケース5内の前側の中央に配置されている。
【0015】
ケース5は、上面視で略正方形に構成される。ケース5は、バッテリモジュール2が載置される底壁50と、底壁50の周縁に設けられた側壁51とを有する。側壁51は、前壁51a、後壁51b、右壁51c、及び左壁51dを含む。
【0016】
カバー6は、上面視で略正方形に構成され、ケース5と略同一の大きさを有する。カバー6は、シール部材7(
図5~
図8参照)を介してケース5の側壁51に上方から取り付けられる。
【0017】
ケース5に対するカバー6の取り付けについて説明すると、ケース5の側壁51の上面52及びカバー6の周縁部61の下面62(
図5~
図8参照)には、カバー6をケース5に締結する締結部30が設けられている。締結部30は、複数設けられている。各締結部30は、ボルト等の締結部材B1が挿通可能な孔を有し、例えば、ケース5の締結部30の孔はボルト孔である。側壁51の上面52及びカバー6の下面62を対向させ、
図7に示すように、締結部材B1を上方から締結部30の孔に挿入させて、カバー6とケース5とを締結する。なお、以下では、側壁51の上面52及びカバー6の下面62をそれぞれ、ケース5の側壁51の合わせ面52及びカバー6の合わせ面62とも称する。
【0018】
図1~
図4に示すように、ケース5の側壁51の外側面53には、車体に固定されるケース固定部56が設けられている。ケース固定部56は、ケース5の周縁に沿って複数(本実施形態では4つ)設けられている。詳細には、4つのケース固定部56は、右壁51cの前側、右壁51cの後側、左壁51dの前側、及び左壁51dの後側にそれぞれ設けられている。
【0019】
また、
図1及び
図8に示すように、カバー6の合わせ面62には、ケース固定部56と共に車体に固定されるカバー固定部66が設けられている。カバー固定部66は、ケース固定部56が設けられる位置に対応して設けられており、カバー6の周縁部61に沿って複数(本実施形態では4つ)設けられている。
【0020】
ケース固定部56及びカバー固定部66は、ボルト等の締結部材B2が挿通可能な孔を有する。締結部材B2は下方からケース固定部56及びカバー固定部66の孔に挿入される。このとき、締結部材B2は、カバー固定部66を通過し、カバー固定部66の上方に配置された不図示の車体まで延在する。バッテリパック1は、ケース固定部56及びカバー固定部66を通過して上方に延在した締結部材B2により車体に取り付けられる。
【0021】
なお、ケース5には、前後方向における中央位置且つ車幅方向の両側において、位置決め穴11が設けられている。バッテリパック1を車体に取り付ける際、例えば車体に設けられたピン等を位置決め穴11に挿入してバッテリパック1の位置決めを行った後、ケース固定部56及びカバー固定部66において締結部材B2によるバッテリパック1の取り付けを行う。
【0022】
図1~
図4に示すように、ケース5は、側壁51の外側面53に設けられ、ケース5の外側に突出する突出部55を有する。突出部55は、前述したケース固定部56と、被クランプ部57と、を有する。
【0023】
被クランプ部57は、バッテリパック1を車体に取り付ける際に治具(不図示)により上下方向から挟まれる部分である。
図4に示すように、被クランプ部57は上面57a及び下面57bを有する。バッテリパック1を下方から車体に取り付ける際、被クランプ部57の上面57a及び下面57bを治具により挟んで被クランプ部57を保持し、バッテリパック1を支持する。
【0024】
ケース固定部56及び被クランプ部57は、側壁51の外側面53が延在する方向に沿って隣接して配置されており、突出部55を構成する部分として一体に設けられている。ケース固定部56は高剛性箇所であり、被クランプ部57は、ケース固定部56と共に突出部55に設けられることにより、ケース固定部56の高剛性を共有する。よって、治具を用いてバッテリパック1を車体に取り付ける際、自重で変形しないようケース5の剛性を十分に確保できる。これにより、被クランプ部57を治具で保持するとき、安定してバッテリパック1を支持できる。
【0025】
上面視において、被クランプ部57はケース固定部56よりも大きい。よって、突出部55における被クランプ部57が占める領域を大きくすることで、被クランプ部57を治具でしっかりと保持することができる。
【0026】
突出部55は、車幅方向(左右方向)の両側に複数(本実施形態では4つ)設けられている。より詳細には、
図3に示すように、突出部55は、ケース5の右壁51cにおけるケース5の中央よりも前側及び後側に設けられた第1突出部55A及び第2突出部55B、及びケース5の左壁51dにおけるケース5の中央よりも前側及び後側に設けられた第3突出部55C及び第4突出部55Dを含む。このように、各突出部55の被クランプ部57がバッテリパック1の車幅方向及び前後方向にバランス良く配置されている。よって、バッテリパック1を車体に取り付ける際、バッテリパック1を治具により、より安定に支持することができる。
【0027】
図5及び
図6は、それぞれ
図4におけるA-A線断面図及びB-B線断面図を示す。
図5に示すように、カバー6の合わせ面62の外縁62aは、ケース5の合わせ面52よりも外側に位置する。そして、
図6に示すように、被クランプ部57が設けられた位置においては、被クランプ部57の上面57aは、ケース5の合わせ面52よりも低く、被クランプ部57の上面57aとケース5の合わせ面52との間には段差部58が設けられている。このような構成により、カバー6の上面から流れた液体(例えば塩水)がケース5の合わせ面52とカバー6の合わせ面62との間に浸入することを抑制できる。
【0028】
また、カバー6の合わせ面62は、外縁62aまで水平方向に平らに形成される。換言すると、カバー6の合わせ面62のうち、ケース5の合わせ面52よりも外側に位置する部分には、段差は形成されていない。このような構成により、カバー6の合わせ面62のうち、ケース5の合わせ面52よりも外側に位置する部分に液体が保持されにくくなる。よって、カバー6の上面から流れた液体(例えば塩水)がケース5の合わせ面52とカバー6の合わせ面62との間に浸入することをより抑制できる。
【0029】
図8に示すように、ケース5及びカバー6の合わせ面52、62は、ケース固定部56、カバー固定部66において、互いに当接する。同様に、
図7に示すように、ケース5及びカバー6の合わせ面52、62は、締結部30において互いに当接する。すなわち、ケース固定部56、カバー固定部66、及び締結部30において、ケース5及びカバー6が互いに強固に締結されている。
【0030】
一方で、
図5及び
図6に示すように、ケース5及びカバー6の合わせ面52、62は、ケース固定部56、カバー固定部66、及び締結部30以外の部分において隙間を空けて設けられる。隙間は、例えば1mm以下の微小な隙間である。
【0031】
合わせ面52、62が互いに当接する場合においても、合わせ面52、62の間に微量の液体は浸入し得る。合わせ面52、62が当接する場合と、合わせ面52、62が隙間を空けて設けられる場合とで比較すると、合わせ面52、62が当接する場合の方が、合わせ面52、62の間に液体が浸入したときに合わせ面52、62の腐食が進行し易い。したがって、合わせ面52、62の間に隙間を設ける構成により、合わせ面52、62の腐食の進行を抑制できる。
【0032】
図3に示すように、車幅方向の右側に設けられた第1突出部55A及び第2突出部55Bの外縁の位置は、車幅方向において略同一である。同様に、車幅方向の左側に設けられた第3突出部55C及び第4突出部55Dの外縁の位置は、車幅方向において略同一である。このような構成により、車幅方向から衝撃の入力があったとき、前後方向に離れて設けられた各突出部55でバランス良く衝撃の入力を受けることができる。よって、バッテリパック1の内部に配置されたバッテリモジュール2を保護できる。
【0033】
さらに、ケース5の後壁51bには、複数の突起59が設けられている。本実施形態では、突起59は2つ設けられており、車幅方向の両側に設けられている。このような構成により、車両の後方から衝撃の入力があったとき、車幅方向の両側に離れて設けられた突起59でバランス良く衝撃の入力を受けることができる。なお、突起59はケース5の前壁51aに設けてもよく、また、ケース5の前壁51aと後壁51bの両方に設けてもよい。
【0034】
(変形例)
図9に示すように、被クランプ部57の上面57aは、ケース5の外側に向かって下方に傾斜する傾斜面を有してもよい。このような構成により、カバー6の上面から被クランプ部57の上面57aに流れた液体が、上面57aに溜まることを抑制できる。この構成は、段差部58の高さを十分に確保できない場合に、液体がケース5の合わせ面52とカバー6の合わせ面62との間に浸入することをより抑制できる点で、特に有効である。なお、被クランプ部57の上面57aの傾斜面は、治具による被クランプ部57の挟み込みを妨げない程度の傾斜であることが好ましい。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0036】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0037】
(1) 車両のフロアパネルの下方に配置され、車体に取り付けられるバッテリパック(バッテリパック1)であって、
バッテリ(バッテリモジュール2)と、
周縁に側壁(側壁51)を有し、前記バッテリを収容するケース(ケース5)と、
を備え、
前記ケースは、前記側壁の外側面(外側面53)に設けられ、前記ケースの外側に突出する突出部(突出部55)を有し、
前記突出部は、
前記車体に固定されるケース固定部(ケース固定部56)と、
前記バッテリパックを前記車体に取り付ける際に治具により上下方向から挟まれる被クランプ部(被クランプ部57)と、
を有する、
バッテリパック。
【0038】
(1)によれば、被クランプ部は、ケース固定部と共に突出部に設けられ、ケース固定部の高剛性を共有するので、治具を用いてバッテリパックを車体に取り付ける際、自重で変形しないようケースの剛性を十分に確保できる。よって、ケースの剛性を向上させることができる。
【0039】
(2) (1)に記載のバッテリパックであって、
前記ケースを上方から覆うカバー(カバー6)をさらに備え、
前記ケースの前記側壁及び前記カバーは、シール部材(シール部材7)を介して互いに対向する合わせ面(合わせ面52、62)をそれぞれ有し、
前記カバーは、前記合わせ面に設けられ、前記ケース固定部と共に前記車体に固定されるカバー固定部(カバー固定部66)を有する、
バッテリパック。
【0040】
(2)によれば、ケース固定部及びカバー固定部において、ケース及びカバーを車体に固定することができる。
【0041】
(3) (2)に記載のバッテリパックであって、
前記カバーの前記合わせ面の外縁(外縁62a)は、前記ケースの前記合わせ面よりも外側に位置し、
前記被クランプ部の上面(上面57a)は前記ケースの前記合わせ面よりも低く、前記被クランプ部の前記上面と前記ケースの前記合わせ面との間には段差部(段差部58)が設けられている、
バッテリパック。
【0042】
(3)によれば、カバーの合わせ面の外縁がケースの合わせ面よりも外側に位置するので、カバーの上面から流れた液体が合わせ面の間に浸入することを抑制できる。
【0043】
(4) (3)に記載のバッテリパックであって、
前記カバーの前記合わせ面は、前記外縁まで水平方向に平らに形成される、
バッテリパック。
【0044】
(4)によれば、カバーの合わせ面のうちケースの合わせ面よりも外側に位置する部分に液体が保持されにくくなり、カバーの上面から流れた液体が合わせ面の間に浸入することを抑制できる。
【0045】
(5) (2)から(4)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記ケース及び前記カバーの前記合わせ面には、前記カバーを前記ケースに締結する締結部(締結部30)が設けられており、
前記ケース及び前記カバーの前記合わせ面は、
前記ケース固定部、前記カバー固定部、及び前記締結部において互いに当接し、
前記ケース固定部、前記カバー固定部、及び前記締結部以外の部分において隙間を空けて設けられる、
バッテリパック。
【0046】
(5)によれば、ケース及びカバーの合わせ面の一部に隙間を設けることで、合わせ面の腐食の進行を抑制できる。
【0047】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記被クランプ部の上面は、前記ケースの外側に向かって下方に傾斜する傾斜面を有する、
バッテリパック。
【0048】
(6)によれば、被クランプ部の上面に流れた液体を排出しやすくできる。
【0049】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記突出部は、車幅方向の両側に設けられており、
前記突出部は、
前記車幅方向の一方側(右側)における前記ケースの前記側壁に設けられ、前後方向における前記ケースの中央よりも前側及び後側に設けられた第1突出部(第1突出部55A)及び第2突出部(第2突出部55B)と、
前記車幅方向の他方側(左側)における前記ケースの前記側壁に設けられ、前記前後方向における前記ケースの中央よりも前側及び後側に設けられた第3突出部(第3突出部55C)及び第4突出部(第4突出部55D)と、
を含む、
バッテリパック。
【0050】
(7)によれば、車幅方向の両側と前後方向の前側及び後側とに第1突出部~第4突出部が設けられるので、各突出部の被クランプ部がケースにバランス良く配置されている。よって、バッテリパックを車体に取り付ける際にバッテリパックを治具により、より安定に支持することができる。
【0051】
(8) (7)に記載のバッテリパックであって、
前記第1突出部及び前記第2突出部の外縁の位置は、前記車幅方向において略同一であり、
前記第3突出部及び前記第4突出部の外縁の位置は、前記車幅方向において略同一であり、
バッテリパック。
【0052】
(8)によれば、車幅方向から衝撃の入力があったとき、各突出部でバランス良く衝撃の入力を受けることができる。
【0053】
(9) (1)から(8)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記ケースの前記側壁の前側及び後側のうち少なくとも一方には、複数の突起(突起59)が設けられ、
前記複数の突起は、車幅方向の両側に設けられている、
バッテリパック。
【0054】
(9)によれば、前後方向から衝撃の入力があったとき、車幅方向の両側に設けられた突起でバランス良く衝撃の入力を受けることができる。
【0055】
(10) (1)から(9)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
上面視において、前記被クランプ部は前記ケース固定部よりも大きい、
バッテリパック。
【0056】
(10)によれば、治具が挟む領域を十分に確保できる。
【符号の説明】
【0057】
1 バッテリパック
2 バッテリモジュール(バッテリ)
30 締結部
5 ケース
51 側壁
52 合わせ面
53 外側面
55 突出部
55A 第1突出部
55B 第2突出部
55C 第3突出部
55D 第4突出部
56 ケース固定部
57 被クランプ部
57a 被クランプ部の上面
58 段差部
59 突起
6 カバー
62 合わせ面
62a 外縁
66 カバー固定部
7 シール部材