(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】丸型シール
(51)【国際特許分類】
F16L 5/08 20060101AFI20250130BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20250130BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
F16L5/08
F16J15/10 J
F16J15/10 U
H02G3/22 280
(21)【出願番号】P 2022522073
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(86)【国際出願番号】 SE2020051000
(87)【国際公開番号】W WO2021080483
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-08-15
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】506259461
【氏名又は名称】ロックステック アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【氏名又は名称】太田 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】カールソン アンドレアス
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/178621(WO,A1)
【文献】特開2018-035815(JP,A)
【文献】特表2009-520458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 5/08
F16J 15/10
H02G 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の貫通開口(7)を有する円筒形の圧縮可能な本体(2)と、
前記本体(2)の互いに反対側の端部にある継手(3、4)と、
前記本体(2)および
前記継手(3、4)の貫通孔を通る多数のねじ(5)と、
前記ねじ(5)に受け入れられるナット(6)と、を備え
、矩形の前記貫通開口(7)は、ケーブルまたはパイプの周囲に配置される1つ以上のモジュール(8)を受け入れるよう構成され、前記ねじ(5)および協働するナット(6)を介して、前記継手(3、4)は互いに軸方向に移動可能であり、前記圧縮可能な本体(2)を圧縮し、前記圧縮可能な本体(2)は半径方向に膨張して矩形の前記貫通開口(7)に配置された前記1つ以上のモジュール(8)に対して密閉する丸型シール(1)であって、
前記本体(2)は前記本体(2)の少なくとも一側上において前記貫通開口(7)の角部に突起(9)を有し、これにより、前記本体(2)の軸方向長さが
前記本体(2)の他の部分よりも
前記貫通開口(7)の
前記角部の領域でより大き
くなり、前記継手(3、4)は、前記本体(2)の圧縮中に前記突起(9)を平らにするように構成されていることを特徴とする、丸型シール。
【請求項2】
前記突起(9)は、
前記本体(2)の互いに反対側上に配置されている、請求項
1に記載の丸型シール(1)。
【請求項3】
各突起(9)は、
前記貫通開口(7)の角部から
前記本体(2)の外周に至るまでずっと設けられている、請求項
1または
2に記載の丸型シール(1)。
【請求項4】
各突起(9)は、曲線形状を有し、その曲線の頂点が
前記貫通開口(7)の
前記角部に位置する、請求項
1~
3のいずれか1項に記載の丸型シール(1)。
【請求項5】
前記1つ以上のモジュール(8)が
前記本体(2)の
前記貫通開口(7)内に受容される、請求項1~
4のいずれか1項に記載の丸型シール(1)。
【請求項6】
前記本体(2)は、ゴム材料でできている、請求項1~
5のいずれか1項に記載の丸型シール(1)。
【請求項7】
矩形の
前記貫通開口は、正方形である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の丸型シール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸型シールに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル、パイプまたはワイヤを仕切りの開口部に密閉して通す場合、1つまたは複数のモジュールを受け入れるための矩形の貫通開口を有する丸型シールが使用されることがある。矩形の貫通開口は正方形であってよい。モジュールの各1つは、ケーブル、パイプまたはワイヤを受け入れる。丸型シールは、中央に貫通開口を有する円筒形の本体と、互いに反対端に継手(fitting)とを有する。本体は、通常、ゴム材料でできており、圧縮することができる。本体を圧縮するために、ねじやナットを使って継手を接近させてよい。矩形または正方形の中央貫通開口を有する円形の本体を圧縮する場合、貫通開口の角部は好ましくない形状になり、完全にまっすぐな角部を与えない。このような好ましくない形状は、漏れのリスクを増大させる。
【0003】
この種の丸型シールは、通常、仕切りの開口部に直接設置されるか、または仕切りの開口部に受け入れられるスリーブ内に設置される。仕切り(partition)は、船舶の甲板や隔壁、キャビネットの壁、テクニカルシェルター、ジャンクションボックスまたはマシン、あるいは建物の壁、床、屋根などであり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、円筒形の本体と、継手と、ねじと、ナットと、を備える丸型シールが提供される。本体は、圧縮可能であり、矩形の貫通開口を有する。2つの継手は、本体の互いに反対側の端部に配置され、ねじは、本体および継手の貫通開口を通過する。ナットは、ねじに取り付けられる。本体の軸方向の長さは、他の部分よりも貫通開口の角部の領域でより大きい。
【0005】
本体の矩形または正方形の貫通開口の角部の材料の体積を増やすと、材料の体積を増やさない場合に比べて、角部の材料がさらに移動することが実験とシミュレーションで分かっている。モジュールが本体の貫通開口に受け入れられると、材料の余分な体積が増えることで、前記モジュールに対する接触圧力が増加する。このように、本体の貫通開口の角部における材料の余分な体積によって、貫通開口の角部における内側への変形が大きくなり、これにより、モジュールに対する接触圧力が増加し、漏れリスクが低減される。
【0006】
本発明のさらなる目的および利点は、以下の詳細な説明を読めば、当業者には明らかであろう。
【0007】
本発明は、例として添付の図面を参照して、以下にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、開口に受け入れるモジュールを有する
図1の丸型シールを示す。
【
図3】
図3は、本発明による丸型シールの本体を示す。
【
図4】
図4は、先行技術による丸型シールの本体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、「軸方向」、「半径方向」および同様の表現は、シール内に受容されたケーブル、パイプまたはワイヤを考慮したものである。
【0010】
図1の丸型シール1は、円筒状の本体2を備え、この本体2は、ゴム材料または他の圧縮可能な材料でできている。本体2の対向する端部には、継手(fitting)3、4が設けられている。本体2および継手3、4には、多数のねじ5が貫通している。
【0011】
丸型シール1は、中央に貫通開口7を有し、この貫通開口7は、端面図で見て正方形の形態である。他の実施形態では、貫通開口は、正方形ではない矩形の形態を有している。前記貫通開口7の内部には、1つまたは複数のモジュール8が受け入れられる。各モジュール8は、パイプ、ケーブルまたは管の周囲に配置されることになる。各モジュールの軸方向長さは、通常、本体2の軸方向長さと一致するか、またはそれよりも少し小さい。パイプ、ケーブルまたはワイヤを受け入れない可能性のあるモジュール8は、例えばモジュール8の中心に配置されたブラインドで、閉鎖される。図示の実施形態では、モジュールは多数の剥離可能な層を有し、これらの層は、モジュール8の内径をモジュール8の内部に受容されるパイプ、ケーブルまたはワイヤの外径に適合させるために剥離される。
【0012】
ねじ5および協働するナット6によって、継手は互いに反対方向に移動され得て、それにより本体2は軸方向に圧縮される。軸方向の圧縮により、本体2は半径方向の内側と外側の両方に広がり、丸型シール1を受ける壁またはスリーブの開口を密閉する。本明細書において、本体2について「圧縮可能」という表現は、ねじ5およびナット6の通常の締め付けによって本体2が圧縮され得ることを意味する。
【0013】
図3に示すように、シール本体2は、貫通開口7の角部(corner)に突起9を有している。図示の実施形態では、本体2の反対側の端部に突起9が設けられている。他の実施形態では、本体2の片側にのみ突起9が設けられている。突起9は、本体2の隆起部分の形態を有する。突起9は、湾曲した形状を有し、湾曲の頂点(top)が本体2の貫通開口7の角部に配置されている。したがって、貫通開口7の角部では、本体2は、本体2の他の部分よりも大きい軸方向長さを有する。本体2には、ねじ5を受け入れるための多数の貫通孔10を有する。前記貫通孔10は、軸方向の向きを有する。
【0014】
ナット6によってねじ5が締め付けられる前に、突起9によって、継手3、4は前記突起9に対して静止する。圧縮時に、継手3、4は、ねじの締め付け具合に応じた程度まで突起9を平らにする。この突起9により、本体2の貫通開口7の角部では、材料の体積がより大きい。材料の体積がより大きいことで、モジュール8との接続がより良好に、かつ、より大きくなる。
【0015】
先行技術によれば、この種の丸型シールの本体11は、貫通開口12の角部に突起を有しない。本発明の本体2と同様に、先行技術の本体11は、ねじを受け入れるための、多数の貫通孔13を有する。
【0016】
丸型シール1は、突起9を有する本体2を有する場合と、突起を有しない本体11を有する場合とで、独立して実装時に同じように取り扱われる。