(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D81/34 B
(21)【出願番号】P 2023118936
(22)【出願日】2023-07-21
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000239138
【氏名又は名称】株式会社エフピコ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆志
(72)【発明者】
【氏名】河合 孝之
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2130916(KR,B1)
【文献】特開2017-210238(JP,A)
【文献】特開2017-165422(JP,A)
【文献】特開2010-215259(JP,A)
【文献】特開2019-156439(JP,A)
【文献】特開2020-132240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32-81/36
B65D 43/00-43/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、容器本体に内嵌合し、容器本体との間に下収容部を形成する中皿と、中皿に内嵌合し、中皿との間に上収容部を形成する蓋と、を備えた包装用容器であって、
容器本体は、本体底面部と、本体底面部よりも外側に設けられた本体嵌合部と、本体嵌合部よりも外側に設けられた本体フランジ部と、を備え、
本体フランジ部は、本体フランジ部において最も上側に位置する本体フランジ上面部と、本体フランジ上面部よりも外側且つ下方に位置するように設けられ、容器本体の外縁部を構成する本体縁取り部と、を有し、
中皿は、中皿底面部と、中皿底面部よりも外側に設けられ、本体嵌合部に内嵌合する中皿嵌合部と、中皿嵌合部よりも外側に設けられた中皿フランジ部と、を備え、
中皿フランジ部は、本体フランジ上面部に対向する中皿フランジ上面部と、中皿フランジ上面部よりも外側且つ下方に位置するように設けられ、中皿の外縁部を構成し、本体縁取り部に対向する中皿縁取り部と、を有し、
蓋は、天面部と、天面部よりも外側に設けられ、中皿嵌合部に内嵌合する蓋嵌合部と、蓋嵌合部よりも外側に設けられた蓋フランジ部と、を備え、
蓋フランジ部は、中皿フランジ上面部の上側に対向する蓋フランジ上面部と、蓋フランジ上面部よりも外側且つ下方に位置するように設けられ、蓋の外縁部を構成し、中皿縁取り部に対向する蓋縁取り部と、を有し、
中皿嵌合部は、本体嵌合部に全周に亘って密着し、
中皿底面部には、電子レンジ加熱時に下収容部の蒸気を上収容部に排出する蒸気抜き部が形成され、
蓋嵌合部における中皿嵌合部と対向する面には、蒸気排出溝が形成され、
容器本体と中皿と蓋の合体状態において、中皿嵌合部と蒸気排出溝とにより、電子レンジ加熱時に上収容部の蒸気を容器外部に排出する蒸気排出通路が形成され、且つ、
中皿フランジ上面部と蓋フランジ上面部との間の上下方向の間隔は、本体フランジ上面部と中皿フランジ上面部との間の上下方向の間隔よりも大きい、包装用容器。
【請求項2】
中皿縁取り部と蓋縁取り部との間の上下方向の間隔は、中皿フランジ上面部と蓋フランジ上面部との間の上下方向の間隔よりも小さい、請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
容器本体は、発泡樹脂製である、請求項1又は2記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の食材を上下に分離して収容でき、閉蓋状態のままで電子レンジで加熱することができる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1では、蓋の天面部に、電子レンジによる加熱時に容器内部に発生する蒸気を容器外部に排出するための蒸気排出口が設けられた構成が記載されている。しかしながら、蓋の天面部に蒸気排出口を設ける構成では、その蒸気排出口から異物が混入したり虫が侵入したりするというおそれがある。そのため、蒸気排出口からの異物混入等を防止するために、陳列や展示する際には容器全体をラップフィルムで覆う等の対応策が必要になり、コストが嵩むという問題がある。また、本体にスープと具材の両方を収容する必要があり、スープと具材を分離して収容することができない。
【0003】
下記特許文献2では、本体と中皿に麺類やご飯類等と具材とを分けて収容可能な容器であって、本体に中皿が外嵌合され、中皿に蓋が外嵌合される構成が記載されている。しかしながら、本体に例えばスープを収容した場合には、容器を傾けると汁漏れが発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-323743号公報
【文献】特開2020-164205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、複数の食材を上下に分離して収容でき、異物混入を容易に防止でき、しかも、閉蓋状態のままで電子レンジで容易に加熱調理することができる包装用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装用容器は、容器本体と、容器本体に内嵌合し、容器本体との間に下収容部を形成する中皿と、中皿に内嵌合し、中皿との間に上収容部を形成する蓋と、を備えた包装用容器であって、容器本体は、本体底面部と、本体底面部よりも外側に設けられた本体嵌合部と、本体嵌合部よりも外側に設けられた本体フランジ部と、を備え、本体フランジ部は、本体フランジ部において最も上側に位置する本体フランジ上面部と、本体フランジ上面部よりも外側且つ下方に位置するように設けられ、容器本体の外縁部を構成する本体縁取り部と、を有し、中皿は、中皿底面部と、中皿底面部よりも外側に設けられ、本体嵌合部に内嵌合する中皿嵌合部と、中皿嵌合部よりも外側に設けられた中皿フランジ部と、を備え、中皿フランジ部は、本体フランジ上面部に対向する中皿フランジ上面部と、中皿フランジ上面部よりも外側且つ下方に位置するように設けられ、中皿の外縁部を構成し、本体縁取り部に対向する中皿縁取り部と、を有し、蓋は、天面部と、天面部よりも外側に設けられ、中皿嵌合部に内嵌合する蓋嵌合部と、蓋嵌合部よりも外側に設けられた蓋フランジ部と、を備え、蓋フランジ部は、中皿フランジ上面部の上側に対向する蓋フランジ上面部と、蓋フランジ上面部よりも外側且つ下方に位置するように設けられ、蓋の外縁部を構成し、中皿縁取り部に対向する蓋縁取り部と、を有し、中皿嵌合部は、本体嵌合部に全周に亘って密着し、中皿底面部には、電子レンジ加熱時に下収容部の蒸気を上収容部に排出する蒸気抜き部が形成され、蓋嵌合部における中皿嵌合部と対向する面には、蒸気排出溝が形成され、容器本体と中皿と蓋の合体状態において、中皿嵌合部と蒸気排出溝とにより、電子レンジ加熱時に上収容部の蒸気を容器外部に排出する蒸気排出通路が形成され、且つ、中皿フランジ上面部と蓋フランジ上面部との間の上下方向の間隔は、本体フランジ上面部と中皿フランジ上面部との間の上下方向の間隔よりも大きい。尚、中皿フランジ上面部は、本体フランジ上面部に当接していてもよいし、本体フランジ上面部から上方に離間していてもよい。
【0007】
この構成の包装用容器にあっては、容器本体と中皿との間に上収容部が形成され、中皿と蓋との間に下収容部が形成される。即ち、上収容部と下収容部は、中皿によって上下に区画される。そのため、上収容部と下収容部にそれぞれ異なる種類の食材を収容することができ、異なる種類の食材を互いに上下分離した状態で収容することができる。
【0008】
また、本体嵌合部の内側に中皿嵌合部が嵌合する。本体嵌合部と中皿嵌合部により、中皿の容器本体への装着状態が維持される。また、中皿嵌合部の内側に蓋嵌合部が嵌合する。中皿嵌合部と蓋嵌合部により、蓋の中皿への装着状態が維持される。本体嵌合部と中皿嵌合部と蓋嵌合部は、この順で内外方向に重なり合う。本体嵌合部に中皿嵌合部が内嵌合すると、中皿嵌合部は本体嵌合部に押されて内側に逃げようとする。しかしながら、中皿嵌合部の内側には蓋嵌合部が内嵌合しているので、中皿嵌合部が蓋嵌合部によって内側から支えられ、中皿嵌合部の内側への変形が防止される。そのため、中皿嵌合部が本体嵌合部にしっかりと密着し、本体嵌合部と中皿嵌合部との間の嵌合状態が確実に維持されることになる。そして、中皿嵌合部が本体嵌合部に全周に亘って密着している。つまり、中皿嵌合部と本体嵌合部との間において水密状態が確保される。そのため、下収容部に、例えばスープ等を液体を収容した場合や、水分の多い食材を収容した場合において、下収容部に収容された食材の容器外部への漏れ、即ち、液漏れ(汁漏れ)を容易に防止することができる。尚、中皿底面部には蒸気抜き部が形成されているが、容器を大きく傾斜させない限り、蒸気抜き部からの液漏れは防止される。
【0009】
また、上記構成の容器は、閉蓋状態、即ち、容器本体と中皿と蓋が合体した状態のままで電子レンジに入れて加熱調理することができる。電子レンジでの加熱時に下収容部で発生した蒸気は、中皿底面部の蒸気抜き部から上収容部へと排出される。そして、上収容部内の蒸気は、蓋嵌合部の蒸気排出溝と中皿嵌合部とにより形成された蒸気排出通路を通って蓋フランジ部と中皿フランジ部との間から容器外部へと排出される。このように蓋嵌合部と中皿嵌合部との間に蒸気排出通路が形成されるので、蓋の天面部に蒸気抜き孔を形成する必要がない。そのため、蓋の天面部の蒸気抜き孔から異物が混入するということがなく、ラップフィルムで容器を覆うという手間も省けて低コスト化も可能となる。
【0010】
更に、中皿フランジ上面部と蓋フランジ上面部との間の上下方向の間隔は、本体フランジ上面部と中皿フランジ上面部との間の上下方向の間隔よりも大きい。そのため、電子レンジ加熱時に蒸気が蒸気排出通路を通って容器外部に排出される際に、中皿フランジ上面部と蓋フランジ上面部との間を蒸気が容易に通過することができる。従って、電子レンジ加熱時に、容器外部に排出される蒸気の圧力によって蓋フランジ上面部が上方に局所的に大きく変形するということが防止され、綺麗な外観を維持することができる。一方、本体フランジ上面部と中皿フランジ上面部との間の上下方向の間隔は相対的に小さい。そのため、中皿と容器本体との間の内嵌合状態が解除されにくく、中皿嵌合部と本体嵌合部との間の嵌合状態を容易に維持することができる。
【0011】
特に、中皿縁取り部と蓋縁取り部との間の上下方向の間隔は、中皿フランジ上面部と蓋フランジ上面部との間の上下方向の間隔よりも小さいことが好ましい。尚、中皿縁取り部と蓋縁取り部との間の上下方向の間隔は0であってもよい。即ち、蓋縁取り部が中皿縁取り部に当接する構成であってもよい。この構成によれば、中皿フランジ上面部と蓋フランジ上面部との間の上下方向の間隔を確保でき、電子レンジ加熱時において蒸気を容器外部に容易に排出できる。しかも、中皿縁取り部と蓋縁取り部との間の上下方向の間隔を相対的に狭くしているため、店頭陳列時等において、中皿縁取り部と蓋縁取り部との間からの異物混入を容易に阻止することができ、また、電子レンジ加熱時においては、容器内の圧力が低下しにくく、高温高圧の蒸気によって容器内の食材を効率よく加熱することができる。
【0012】
特に、容器本体は発泡樹脂製であることが好ましい。容器本体が発泡樹脂製であると、下収容部に熱い食材、例えばスープ等を収容したときに、容器本体を持つ手にスープ等の熱が伝わりにくく、手が熱くなりにくい。一方、容器本体が発泡樹脂製であると、容器本体が非発泡樹脂製である場合に比して、中皿との間の嵌合力が得られにくく、また、経時変化によって嵌合力が低下しやすい。大きな嵌合力を確保しようとして中皿嵌合部の寸法を過度に大きくして嵌合代を過度に拡大すると、中皿を容器本体に内嵌合させることが難しくなり、嵌合作業に時間がかかったり、完全に嵌合しない嵌合不良が発生したりしやすくなる。上記構成では、容器本体が嵌合不足の発生しやすい発泡樹脂製であっても、中皿嵌合部の内側には更に蓋嵌合部が嵌合しているので、嵌合不足が生じにくく、本体嵌合部と中皿嵌合部との間の内嵌合状態が確実に維持され、また、店頭で長時間陳列しても、嵌合力が大きく低下することも防止される。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、複数の食材を上下に分離して収容することができ、スープ等の液体を収容した場合でも液漏れを確実に防止することができる。また、閉蓋状態のままで電子レンジで加熱することができ、異物混入を容易に防止しつつ電子レンジ加熱時における蒸気を容器外部にスムーズに排出することができると共に、蓋フランジ部の過度の変形も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態における包装用容器の開蓋状態を示す斜視図。
【
図5】(a)は同容器の中皿の要部拡大平面図、(b)は同容器の蓋の要部拡大平面図。
【
図10】(a)は
図8の要部拡大図、(b)は
図5(b)のB-B断面図。
【
図15】同容器の電子レンジ加熱時の状態を示す
図12のD-D線に対応した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る包装用容器について
図1~
図15を参酌しつつ説明する。本実施形態における容器は、種々の内容物を収容することができるものであって、内容物としては食材が好ましい。特に、容器は、複数の食材を上下に分離した状態で収容して販売する用途に適している。
【0016】
容器は、容器本体1と、容器本体1に装着される中皿2と、中皿2に装着される蓋3とを備えている。中皿2は、容器本体1に内嵌合し、蓋3は、中皿2に内嵌合する。
図11のように、容器本体1に中皿2が装着されることにより、容器本体1と中皿2との間に第一収容部である下収容部4が形成され、中皿2に蓋3が装着されることにより、中皿2と蓋3との間に第二収容部である上収容部5が形成される。下収容部4と上収容部5は、中皿2によって上下に区画されていて、下収容部4と上収容部5にそれぞれ互いに異なる種類の食材を収容することができる。例えば、下収容部4にはスープ等が収容され、上収容部5には麺類等が収容される。特に、下収容部4は、中皿2によって下収容部4を密封できるため、スープ等の液体や、水分の多い食材を収容することに適している。
【0017】
容器本体1、中皿2、及び、蓋3は、何れも、合成樹脂製シートから構成されている。これらは真空成形や圧空成形等の各種の熱成形(シート成形)によって形成されている。容器本体1、中皿2、及び、蓋3に用いられる合成樹脂製シートは、互いに同種のものであってもよいし、異種のものであってもよい。合成樹脂製シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンやポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンなどの合成樹脂製であって、かつ電子レンジで使用可能な耐熱性を有するものが使用できる。また、これらのシート素材として、前述の合成樹脂に無機物を分散させたシート、もしくは前述の合成樹脂を発泡させた発泡シート、さらには、前述のシートを延伸させた延伸シートなどを使用できる。これらの中でも、ポリスチレンとして耐熱性に優れた耐熱性のスチレン系樹脂を使用した耐熱性発泡スチレン系樹脂シート、耐熱性に優れたポリプロピレンに無機物を分散させて発泡させたシート、ポリエチレンテレフタレート・ポリスチレン・ポリプロピレン・ポリエチレンなどのシートを延伸して耐熱性を向上させた耐熱シートを使用して熱成形したものを使用できる。
【0018】
特に、これらのシートの中でも、透明性に優れたシートを蓋3に使用した場合には、上収容部に収容した食材を視認できるので好適である。中でも、透明なポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレンなどを一軸延伸、もしくは二軸延伸した延伸シートは電子レンジ加熱に必要な耐熱性も備えるので好ましい。
【0019】
容器本体1は、耐熱性樹脂素材を使用したシートを熱成形して得ることが好ましく、発泡樹脂製シートであることが好ましい。容器本体1は、電子レンジで加熱して使用する為に、特に発泡させた耐熱性樹脂素材を使用することが好ましい。加熱後に電子レンジからの取り出しの際に手で持って熱くなく、火傷などを抑制することができ、電子レンジの電磁波を効率よく食材へ伝え、加熱を均一にかつ短時間で行うことができ、保温性にも優れる点から、耐熱性発泡スチレン系樹脂シートであることが好ましい。また、中皿2は、加熱されたスープ等の蒸気に直接晒される点から耐熱性に優れるシートを用いることが好ましく、ポリプロピレンの一軸又は二軸延伸シートを用いることが好ましい。蓋3は、ポリスチレンシート(OPS)を用いることが好ましい。
【0020】
容器の平面視における形状は任意であって、円形の他、多角形や楕円形、小判形、長円形等であってもよいが、特には、密封性を確保しやすい観点から円形が好ましい。本実施形態では、容器は平面視円形状である。
【0021】
<容器本体1>
図1~
図3のように、容器本体1は、円形状の本体底面部10と、本体底面部10の外側に設けられる本体側面部11と、本体側面部11の外側に設けられる本体フランジ部12とを備えている。本体底面部10には種々の形状の本体脚部13を設けてよく、本実施形態では、本体脚部13は環状である。
【0022】
本体側面部11は、本体底面部10の周縁部から上側に向けて延びている。本体側面部11には、中皿2が内嵌合する本体嵌合部14が設けられている。本体嵌合部14は、本体側面部11の上端部に設けられている。本体側面部11は、本体底面部10の周縁部から上方に向けて拡開しつつ延び、本体側面部11の全高のうちの大部分を占める本体側面主部15と、本体側面主部15の上側に隣接し、外側に延びる本体延在部16と、本体延在部16の上側に隣接する本体嵌合部14と、本体嵌合部14の上側に隣接する本体テーパ部17とを備えている。本体延在部16は、本体側面主部15の上端部から外側且つ上側に向けて拡開しつつ延びているが、略水平に延びていてもよい。本体テーパ部17は、本体側面部11と本体フランジ部12との間の境界部に設けられる。本体テーパ部17は、上方に向けて拡開するテーパ形状の傾斜面であることが好ましい。
【0023】
本体嵌合部14の形状は種々であってよい。本体嵌合部14は、例えば、上側ほど内側となる逆テーパ形状であってもよい、即ち、上側ほど縮径する逆テーパ形状であってもよい。また、本体嵌合部14は、内面に、垂直形状(ストレート形状)や順テーパ形状の部分と、外側に向けて凹んだ嵌合凹部とを有するものであってもよい。本実施形態では、本体嵌合部14は、外側に凹んだ嵌合凹部を内面に有する構成である。嵌合凹部の断面形状は種々であってよいが、好ましくは、上下方向に沿って外側に向けて湾曲した形状であって、縦断面視(上下方向に切断したときの断面視)において、円弧状や台形状であってよい。
【0024】
一例を
図3に拡大図で示している。本体嵌合部14は、上下方向に沿って略垂直(垂直あるいは若干の逆テーパ形状又は若干の順テーパ形状)に延びる本体ストレート部14aと、外側に向けて凹んだ本体嵌合凹部14bとを有している。本体嵌合凹部14bは、例えば、本体ストレート部14aの下側に隣接する。本体嵌合凹部14bの断面形状は種々であってよいが、好ましくは、上下方向に沿って外側に向けて湾曲した形状である。
【0025】
本体フランジ部12は、本体側面部11の上端部から外側に向けて延びている。本体フランジ部12は、全周に亘って形成されている。本体フランジ部12の形状は任意である。本実施形態では、本体フランジ部12は、本体テーパ部17の外側に隣接し、本体フランジ部12において最も上側に位置する本体フランジ上面部20と、本体フランジ上面部20の外側に隣接し、本体フランジ上面部20よりも下方に位置する本体縁取り部21とを有する。本体フランジ上面部20は、本体フランジ部12の頂上部である。また、本体フランジ上面部20は、容器本体1において最も上側に位置する。本体フランジ上面部20は、いわゆる玉ぶち形状であって、その上面は
図3のような上下方向に切断したときの断面視(縦断面視)において上側に向けて湾曲した湾曲面となっている。尚、本実施形態では、全周のうちの所定箇所に、局所的に高さが低くなった飲み口部22が形成されている。但し、
図3は、飲み口部22以外の箇所の断面を示している。飲み口部22は、本体フランジ上面部20を局所的に下側に切り欠いたような凹形状である。飲み口部22は、本実施形態では180度対向して二箇所に形成されているが、その個数や配置は任意であり、また、飲み口部22が形成されていなくてもよい。本体縁取り部21は、容器本体1の外縁部を構成しており、容器本体1において最も外側に位置している。本体縁取り部21は、本体フランジ上面部20の外縁部から外側に向けて略水平に延びている。飲み口部22が形成されている場合、飲み口部22と本体縁取り部21は略同じ高さで連続しているか、あるいは、飲み口部22は、本体縁取り部21に対して若干上側に位置している。
【0026】
本体縁取り部21には極細の多数の凹凸を形成することが好ましく、補強効果が得られると共に指の切創が防止される。この凹凸は、正面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山頂と谷底の延びる方向が幅方向(内外方向)である。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成されてよく、特には、滑りにくいようにするために綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
【0027】
<中皿2>
図1、
図4、
図5(a)、
図6のように、中皿2は、円形状の中皿底面部30と、中皿底面部30の外側に設けられる中皿側面部31と、中皿側面部31の外側に設けられる中皿フランジ部32とを備えている。中皿2の平面視における形状は容器本体1のそれに対応したものである。中皿2は、容器本体1の開口部を覆うように容器本体1に装着される。中皿2は、容器本体1の開口部を閉塞する。また、中皿2は、容器本体1よりも浅い形状であって、容器本体1に収容される。中皿2はその全体が容器本体1に入り込んだ状態となるが、中皿底面部30は本体底面部10から上方に離間した状態となる。中皿底面部30が本体底面部10から上方に離間することにより、容器本体1と中皿2との間に下収容部4が形成される。
【0028】
中皿底面部30には、下側に向けて突出する中皿脚部33が設けられることが好ましい。中皿脚部33は、環状であってもよいが、本実施形態では島状であって、周方向に間隔をあけて複数設けられている。中皿底面部30には種々のリブを形成してよい。中皿底面部30から中皿側面部31にかけて連続するリブを設けるようにしてもよい。本実施形態では、一例として、中皿底面部30に上側に突出し、周方向に延びる周方向リブ34が形成されている。周方向リブ34は、周方向に間隔をあけて複数形成されることが好ましく、また、径方向(内外方向)に離れて複数箇所に形成されることが好ましい。複数の周方向リブ34は、同心円状に配置されることも好ましい。
【0029】
中皿底面部30には、電子レンジ加熱時に下収容部4で発生する蒸気を上収容部5に排出するための蒸気抜き部35が形成されている。蒸気抜き部35の構成や配置は、種々であってよいが、本実施形態では、曲線状スリットからなり、中皿底面部30の中央部に設けられている。曲線状スリットは、例えば、半円状(C字形)であり、蒸気排出弁として機能する。蒸気抜き部35は、本実施形態では、180度対向して二箇所に形成されているが、その個数や配置は任意である。蒸気抜き部35は、周方向リブ34よりも容器内側に設けられる。周方向リブ34は、蒸気抜き部35よりも上方に高く突出している。従って、中皿底面部30に食材を載せた際には、食材は周方向リブ34の上に載置され、食材と蒸気抜き部35との接触が回避、あるいは、低減されることが好ましい。尚、中皿底面部30に上側に膨出する膨出部を設け、その膨出部に蒸気抜き部35を設けてもよい。蒸気抜き部35は、スリットの他、例えば蒸気抜き孔であってもよく、蒸気抜き孔は、例えばレーザで形成された孔であってよい。
【0030】
中皿側面部31は、中皿底面部30の周縁部から上方に向けて拡開しつつ延びている。中皿側面部31の上端部に中皿嵌合部36が形成されている。中皿側面部31は、中皿底面部30の周縁部から上方に向けて拡開しつつ延び、中皿側面部31の全高のうちの主要部を占める中皿側面主部37と、中皿側面主部37の上側に隣接し、外側に向けて延びる中皿延在部38と、中皿延在部38の上側に隣接し、上側に向けて延びる中皿嵌合部36と、中皿嵌合部36の上側に隣接する中皿テーパ部39とを備えている。中皿側面部31には各種のリブを設けることが好ましい。中皿側面部31にリブを設ける場合には、リブは中皿側面主部37に設けられる。特に、中皿側面主部37の上下方向の全長(全高)に亘って延びる縦リブを設けることが好ましい。また、中皿側面主部37の上端部には、中皿2同士を上下に多数積み重ねした際に、中皿2同士が互いにきつく嵌り込んで取れなくなる、いわゆるブロッキング現象を防止するために、外側に向けて突出したブロッキング防止用の中皿凸部41を設けてよい。中皿凸部41は、中皿2毎にその位置をずらして配置しておく。
【0031】
中皿延在部38は、中皿側面主部37の上端部から外側に向けて略水平に延びている。中皿テーパ部39は、中皿側面部31と中皿フランジ部32との間の境界部に設けられる。中皿テーパ部39は、上方に向けて拡開するテーパ形状の傾斜面であることが好ましい。中皿テーパ部39の傾斜角度は、本体テーパ部17の傾斜角度に対応していることが好ましく、本体テーパ部17の傾斜角度と等しいかそれと近いものであることが好ましい。
【0032】
図13のように、中皿嵌合部36は、本体嵌合部14の内側に嵌合する。中皿嵌合部36の形状は種々であってよいが、好ましくは、本体嵌合部14に対応した形状である。中皿嵌合部36は、例えば、上側ほど内側となる逆テーパ形状であってもよいし、垂直形状や順テーパ形状に、外側に突出した嵌合凸部を設けた形状であってもよい。本実施形態では、中皿嵌合部36は、嵌合凸部を有する構成である。嵌合凸部の断面形状は種々であってよく、例えば、外側に向けて湾曲した膨出形状であって、断面視円弧状であったり、外側に断面視台形状に膨出した形状である。
【0033】
一例を
図6に拡大図で示している。中皿嵌合部36は、上下方向に沿って略垂直に延びる中皿ストレート部36aと、外側に向けて突出した中皿嵌合凸部36bとを有している。中皿嵌合凸部36bは、例えば、中皿ストレート部36aの下側に隣接する。中皿嵌合凸部36bの断面形状は、本体嵌合凹部14bの断面形状に対応していることが好ましい。中皿嵌合凸部36bの断面形状は種々であってよいが、好ましくは、上下方向に沿って外側に向けて湾曲した形状である。尚、
図14のように、中皿嵌合凸部36bの上下方向の寸法は、本体嵌合凹部14bの上下方向の寸法よりも小さいことが好ましい。また、中皿嵌合凸部36bの上下方向に沿った湾曲形状の曲率は、本体嵌合凹部14bの上下方向に沿った湾曲形状の曲率よりも大きいことが好ましい。中皿嵌合凸部36bの外側への突出量は、本体嵌合凹部14bの外側への凹み量と略同じとしてよい。
【0034】
中皿フランジ部32は、中皿側面部31の上端部から外側に向けて延びている。中皿フランジ部32は、全周に亘って形成されている。中皿フランジ部32の形状は任意である。本実施形態では、中皿フランジ部32は、中皿テーパ部39の外側に隣接し、中皿フランジ部32において最も上側に位置する中皿フランジ上面部50と、中皿フランジ上面部50の外側に隣接し、下側に延びる中皿スカート部51と、中皿スカート部51の外側に隣接し、中皿フランジ上面部50よりも下方に位置する中皿縁取り部52とを有する。中皿フランジ上面部50は、中皿フランジ部32の頂上部である。また、中皿フランジ上面部50は、中皿2において最も上側に位置する。中皿フランジ上面部50は、略水平に延びる水平面であることが好ましい。中皿フランジ上面部50の全周のうち所定箇所には、下側に向けて凹んだ(下側に向けて突出した)凹溝53が形成されていてよい。凹溝53は、中皿フランジ上面部50を内外方向(径方向)に横断している。凹溝53の本数や配置は任意であるが、本実施形態では、180度対向した二箇所に三本ずつ設けられている。即ち、三本の凹溝53が1セットとなって、180度対向した二箇所に合計で2セット設けられている。凹溝53の下側への突出量は、例えば1mm以下であり、中皿2のシート厚よりも大きい。また、凹溝53の周方向の幅は、例えば1mm以下である。凹溝53の下側への突出量と凹溝53の周方向の幅は、略同じとしてよい。
【0035】
中皿スカート部51は、中皿フランジ上面部50と中皿縁取り部52との間を上下に連結する。中皿スカート部51は、例えば中皿フランジ上面部50から外側に向けて湾曲しつつ斜め下方に延びている。中皿縁取り部52は、中皿2の外縁部を構成しており、中皿2において最も外側に位置している。中皿縁取り部52は、中皿スカート部51の外縁部から外側に向けて略水平に延びている。
【0036】
中皿縁取り部52には極細の多数の凹凸を形成することが好ましく、補強効果が得られると共に指の切創が防止される。この凹凸は、正面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山頂と谷底の延びる方向が幅方向(内外方向)である。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成されてよく、特には、滑りにくいようにするために綾目ローレット目によって形成することが好ましい。中皿縁取り部52は、本体縁取り部21よりも大径であることが好ましい。中皿縁取り部52の所定箇所には中皿摘み部54を設けることが好ましい。本実施形態では、中皿摘み部54は、180度対向して二箇所に設けられている。上述のように中皿フランジ上面部50に凹溝53を設ける場合には、中皿摘み部54は、凹溝53とは周方向に離れた位置に設けられる。
【0037】
<蓋3>
図1、
図5(b)、
図7~
図10のように、蓋3は、天面部60と、天面部60の外側に設けられる蓋側面部61と、蓋側面部61の外側に設けられる蓋延在部62と、蓋延在部62の外側に設けられる蓋嵌合部63と、蓋嵌合部63の外側に設けられる蓋フランジ部64とを備えている。天面部60の周縁部には、閉蓋状態の容器同士を上下に積み重ねた際の横方向の容器の位置ずれを防止するためのズレ防止用凸部65が設けられてよい。ズレ防止用凸部65は、例えば周方向に長い突条としてよく、また、180度対向して一対設けられてよい。天面部60は、ズレ防止用凸部65を除いて平坦面であることが好ましい。
【0038】
蓋側面部61は、天面部60の周縁部から下方に向けて拡開しつつ延びている。蓋側面部61には種々のリブを形成してよい。ズレ防止用凸部65が形成されている領域に対応した蓋側面部61の箇所には、上下方向に延びる縦リブ74を形成してよく、特に、縦リブ74を蓋側面部61の全高に亘って形成してよい。蓋側面部61の下端部には、蓋3同士を上下に多数積み重ねした際に、蓋3同士が互いにきつく嵌り込んで取れなくなる、いわゆるブロッキング現象を防止するために、外側に向けて突出したブロッキング防止用の蓋凸部66を設けてよい。蓋凸部66は、中皿2毎にその位置をずらして配置しておく。
【0039】
蓋延在部62は、蓋側面部61の下端部から外側に向けて略水平に延びている。蓋嵌合部63は、蓋延在部62の周縁部から上側に向けて延びている。
図14のように、蓋嵌合部63は、中皿嵌合部36の内側に嵌合する。蓋嵌合部63の形状は種々であってよいが、好ましくは、中皿嵌合部36に対応した形状である。蓋嵌合部63は、例えば、上側ほど内側となる逆テーパ形状であってもよいし、垂直形状や順テーパ形状に、外側に突出した嵌合凸部を設けた形状であってもよい。本実施形態では、蓋嵌合部63は、嵌合凸部を有する構成である。嵌合凸部の断面形状は種々であってよく、例えば、外側に向けて湾曲した膨出形状であって、断面視円弧状であったり、外側に断面視台形状に膨出した形状である。
【0040】
一例を
図10に拡大図で示している。蓋嵌合部63は、上下方向に沿って略垂直に延びる蓋ストレート部63aと、外側に向けて突出した蓋嵌合凸部63bとを有している。蓋嵌合凸部63bは、例えば、蓋ストレート部63aの下側に隣接する。尚、蓋嵌合凸部63bの下側にも、蓋ストレート部63aが設けられてよい。蓋嵌合凸部63bの断面形状は、中皿嵌合凸部36bの断面形状に対応していることが好ましい。蓋嵌合凸部63bの断面形状は種々であってよいが、好ましくは、上下方向に沿って外側に向けて湾曲した形状である。尚、
図14のように、蓋嵌合凸部63bの上下方向の寸法は、中皿嵌合凸部36bの上下方向の寸法よりも小さいことが好ましい。本体嵌合凹部14bの上下方向の寸法と、中皿嵌合凸部36bの上下方向の寸法と、蓋嵌合凸部63bの上下方向の寸法は、この順で小さくなることが好ましい。また、蓋嵌合凸部63bの上下方向に沿った湾曲形状の曲率は、中皿嵌合凸部36bの上下方向に沿った湾曲形状の曲率よりも大きいことが好ましい。蓋嵌合凸部63bの外側への突出量は、中皿嵌合凸部36bの外側への突出量と略同じとしてよい。
【0041】
蓋嵌合部63の上側には蓋テーパ部67が隣接して設けられることが好ましい。蓋テーパ部67は、蓋側面部61と蓋フランジ部64との間の境界部に設けられる。蓋テーパ部67は、上方に向けて拡開するテーパ形状の傾斜面であることが好ましい。蓋テーパ部67の傾斜角度は、中皿テーパ部39の傾斜角度に対応していることが好ましく、中皿テーパ部39の傾斜角度と等しいかそれと近いものであることが好ましい。尚、蓋テーパ部67の上端部には、内側に屈曲する内屈曲部68が設けられてよい。
【0042】
蓋フランジ部64は、蓋テーパ部67の上端部から外側に向けて延びている。蓋フランジ部64は、全周に亘って形成されている。蓋フランジ部64の形状は任意である。本実施形態では、蓋フランジ部64は、蓋テーパ部67の外側に隣接し、蓋フランジ部64において最も上側に位置する蓋フランジ上面部70と、蓋フランジ上面部70の外側に隣接し、下側に延びる蓋スカート部71と、蓋スカート部71の外側に隣接し、蓋フランジ上面部70よりも下方に位置する蓋縁取り部72とを有する。
【0043】
蓋フランジ上面部70は、蓋フランジ部64の頂上部である。また、本実施形態では、蓋フランジ上面部70は、天面部60よりも下側に位置する。蓋フランジ上面部70は、略水平に延びる水平面であることが好ましい。蓋スカート部71は、蓋フランジ上面部70と蓋縁取り部72との間を上下に連結する。蓋スカート部71は、例えば蓋フランジ上面部70から外側に向けて湾曲しつつ斜め下方に延びている。蓋縁取り部72は、蓋3の外縁部を構成しており、蓋3において最も外側に位置している。蓋縁取り部72は、蓋スカート部71の外縁部から外側に向けて略水平に延びている。
【0044】
蓋縁取り部72には極細の多数の凹凸を形成することが好ましく、補強効果が得られると共に指の切創が防止される。この凹凸は、正面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山頂と谷底の延びる方向が幅方向(内外方向)である。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成されてよく、特には、滑りにくいようにするために綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
【0045】
蓋縁取り部72は、本体縁取り部21よりも大径であることが好ましく、中皿縁取り部52と略同じ大きさ、即ち、略同一径であることが好ましい。蓋縁取り部72の所定箇所には蓋摘み部73を設けることが好ましい。本実施形態では、蓋摘み部73は、180度対向して二箇所に設けられている。尚、中皿摘み部54と蓋摘み部73は、平面視において互いに対応した箇所に設けられていることが好ましく、閉蓋状態においては、中皿摘み部54と蓋摘み部73が上下に重なることが好ましい。但し、中皿摘み部54と蓋摘み部73が、平面視において周方向に位置ずれするように配置されていてもよい。
【0046】
<蒸気排出溝80>
蓋嵌合部63における中皿嵌合部36に対向する面(外面)には、上収容部5の蒸気を容器外部に排出するための蒸気排出溝80が形成されている。尚、
図5(b)は、
図7のP部拡大図でもある。また、
図10(a)には、二点鎖線で蒸気排出溝80を示しており、
図10(b)には、実線で蒸気排出溝80を示している。蒸気排出溝80は、蓋嵌合部63の全高(上下方向の全長)に亘って形成されている。蒸気排出溝80は、蓋テーパ部67まで延設されており、蓋フランジ上面部70まで延びている。また、蒸気排出溝80は、蓋延在部62の下面まで連続して延びている。蒸気排出溝80は、蓋延在部62の全幅(内外方向の全寸法)に亘って形成されている。このように、蒸気排出溝80は、蓋嵌合部63の外面に形成された第一溝部である主溝部81と、蓋テーパ部67の外面に形成され、主溝部81と連続する第二溝部である上溝部82と、蓋延在部62の下面に形成され、主溝部81と連続する第三溝部である下溝部83とを有している。尚、上溝部82の深さ(内外方向の寸法)は、その上端部において徐々に縮小しており、蓋テーパ部67の内屈曲部68において0となっている。
【0047】
図14のように閉蓋状態において蒸気排出溝80と中皿2との間に蒸気排出通路90が形成される。尚、
図14(a)は、中皿2の凹溝53以外の部分を示しており、
図14(b)は、中皿2の凹溝53の部分を示している。蒸気排出通路90は、第一通路部である主通路部91と、第二通路部である下通路部92と、第三通路部である上通路部93とからなる。蒸気排出溝80の主溝部81と中皿嵌合部36との間に主通路部91が形成され、蒸気排出溝80の下溝部82と中皿延在部38との間に下通路部92が形成され、蒸気排出溝80の上溝部83と中皿テーパ部39との間に上通路部93が形成される。
【0048】
蒸気排出溝80の個数や配置は任意であるが、周方向に間隔をあけて複数箇所に分散して設けることが好ましい。本実施形態では、90度間隔で合計四箇所に蒸気排出溝80が形成されている。蒸気排出溝80は、四箇所のうち対向する二箇所においては、蓋側面部61に設けられた縦リブ74と連続しており、残る二箇所においては、蓋側面部61の縦リブ74のない箇所に設けられている。尚、蓋側面部61の縦リブ74は、内側に凹んだ形状である。また、蓋側面部61の縦リブ74は、ズレ防止用凸部65が形成された区間に形成されている。
【0049】
<合体状態(閉蓋状態)>
容器本体1に中皿2と蓋3を装着する作業手順は種々であってよい。例えば、容器本体1に中皿2を装着し、その後、中皿2に蓋3を装着してもよい。また、容器本体1に中皿2を装着する前に、予め中皿2に蓋3を装着しておき、その中皿2と蓋3を容器本体1に装着してもよい。
【0050】
容器本体1に中皿2が装着されることによって容器本体1の開口部が中皿2によって覆われ、また、中皿2に蓋3が装着されることによって中皿2の開口部が蓋3によって覆われる。容器本体1と中皿2によって下収容部4が区画形成され、また、中皿2と蓋3によって上収容部5が形成される。下収容部4と上収容部5は中皿2によって上下に区画されているので、下収容部4と上収容部5に異なる種類の食材を分離して収容できる。
【0051】
中皿嵌合部36は、本体嵌合部14の内側に嵌合する。中皿嵌合部36は、本体嵌合部14に全周に亘って水密状に密着する。中皿ストレート部36aは、本体ストレート部14aの内側に上下方向に所定長さで面接触して密着し、中皿嵌合凸部36bは、本体嵌合凹部14bに径方向に嵌り込むようにして密着する。中皿嵌合凸部36bの上下方向の曲率が本体嵌合凹部14bの上下方向の曲率よりも大きいので、中皿嵌合凸部36bが本体嵌合凹部14bに断面視において点接触に近い状態となり、中皿嵌合凸部36bが本体嵌合凹部14bに強く密着できて大きな嵌合力が得られる。
【0052】
更に、中皿嵌合部36の内側に蓋嵌合部63が嵌合する。蓋ストレート部63aは、中皿ストレート部36aに上下方向に所定長さで面接触して密着し、蓋嵌合凸部63bは、中皿嵌合凸部36bの内面に径方向に嵌り込むようにして密着する。蓋嵌合凸部63bの上下方向の曲率が中皿嵌合凸部36bの上下方向の曲率よりも大きいので、蓋嵌合凸部63bが中皿嵌合凸部36bに断面視において点接触に近い状態となり、蓋嵌合凸部63bが中皿嵌合凸部36bに強く密着できて大きな嵌合力が得られる。
【0053】
このように、本体嵌合部14の内側に中皿嵌合部36が全周に亘って密着するので、下収容部4にスープ等の液体や水分の多い食材が収容された場合において、容器外部への液漏れが本体嵌合部14と中皿嵌合部36との間で確実に防止することができる。しかも、中皿嵌合部36の内側には更に蓋嵌合部63が嵌合している。そのため、中皿嵌合部36が本体嵌合部14によって内側に押されて変形することを蓋嵌合部63が規制する。このように蓋嵌合部63が中皿嵌合部36を径方向内側から支えて中皿嵌合部36を径方向外側に押圧しているので、本体嵌合部14と中皿嵌合部36との間の嵌合状態がしっかりと維持されることになり、下収容部4から容器外部への液漏れをより一層確実に防止することができる。特に、中皿嵌合凸部36bの上下方向の曲率に対して蓋嵌合凸部63bの上下方向の曲率が大きいので、蓋嵌合凸部63bが中皿嵌合凸部36bを縦断面視において点接触に近い状態で強く支持し、中皿嵌合凸部36bの内側への変形を効果的に規制することができる。尚、中皿スカート部51が本体フランジ上面部20に当接していると、万一、本体嵌合部14と中皿嵌合部36との間を液体が通過した場合であっても、中皿スカート部51と本体フランジ上面部20との当接箇所において液体の外部への漏出が防止されるため、好ましい。
【0054】
また、容器本体1が発泡樹脂製である場合には特に蓋嵌合部63が中皿嵌合部36の内側に嵌合していることが有効である。容器本体1が発泡樹脂製であっても、中皿嵌合部36の内側に更に蓋嵌合部63が嵌合しているので、本体嵌合部14と中皿嵌合部36との間の嵌合不足が生じにくく、本体嵌合部14と中皿嵌合部36との間の内嵌合状態が確実に維持される。また、店頭で長時間陳列しても、本体嵌合部14と中皿嵌合部36との間の嵌合力が大きく低下することも防止される。その結果、本体嵌合部14と中皿嵌合部36との間から水分等の液体が容器外部に漏れることを効果的に防止することができる。
【0055】
また、中皿延在部38は、本体延在部16の上側に当接あるいは隙間を介して対向する。蓋延在部62は、中皿延在部38の上側に当接あるいは隙間を介して対向する。中皿テーパ部39は、本体テーパ部17の内側に対向し、蓋テーパ部67は、中皿テーパ部39の内側に対向する。中皿フランジ上面部50は、本体フランジ上面部20の上側に当接する、あるいは、隙間を介して対向する。蓋フランジ上面部70は、中皿フランジ上面部50の上側に当接あるいは隙間を介して対向する。
【0056】
本実施形態では、
図13のように、中皿2の凹溝53以外の部分においては、本体フランジ上面部20と中皿フランジ上面部50との間の上下方向の間隔はD1であり、
図14(b)のように、中皿2の凹溝53の部分においては、本体フランジ上面部20と中皿フランジ上面部50との間の上下方向の間隔は0である。即ち、中皿2の凹溝53の部分は、本体フランジ上面部20に当接する。但し、中皿2の凹溝53の部分が本体フランジ上面部20から上方に離間していてもよい。また、
図13のように、中皿2の凹溝53以外の部分においては、中皿フランジ上面部50と蓋フランジ上面部70との間の上下方向の間隔はD2であり、そして、D2>D1という関係を有している。
【0057】
また、中皿スカート部51の下端部は本体フランジ上面部20に当接あるいは隙間を介して対向し、蓋スカート部71は中皿スカート部51の外側に対向する。中皿縁取り部52は、本体縁取り部21の上側に対向し、蓋縁取り部72は、中皿縁取り部52の上側に対向する。中皿縁取り部52と蓋縁取り部72との間の上下方向の間隔D3は、中皿フランジ上面部50と蓋フランジ上面部70との間の上下方向の間隔D2よりも小さく、D3<D2という関係を有している。中皿縁取り部52と蓋縁取り部72との間の上下方向の間隔D3は、0であってもよい。
【0058】
上述のように、蓋3に蒸気排出溝80が形成されている箇所においては、
図14のように、蓋3の蒸気排出溝80と中皿2との間に蒸気排出通路90が形成される。蒸気排出通路90の内外方向の間隔は、少なくとも蓋嵌合部63の位置において、蓋フランジ上面部70と中皿フランジ上面部50との間の上下方向の間隔D2よりも大きいことが好ましい。中皿フランジ上面部50と蓋フランジ上面部70との間の上下方向の間隔D2は、蒸気排出溝80の深さ(内外方向の寸法)よりも小さいことが好ましい。
【0059】
蓋3と中皿2との間には蒸気排出通路90が形成されるが、中皿縁取り部52と蓋縁取り部72との間の上下方向の間隔D3は、中皿フランジ上面部50と蓋フランジ上面部70との間の上下方向の間隔D2よりも小さいので、中皿縁取り部52と蓋縁取り部72との間から異物が混入することを容易に防止することができる。尚、蒸気排出通路90と、蓋フランジ上面部70と中皿フランジ上面部50との間の空間との間には、蓋フランジ上面部70と中皿フランジ上面部50との間の上下方向の間隔D2よりも狭くなった絞り部94が設けられてよい。絞り部94が設けられると、電子レンジ加熱時において、蒸気排出通路90を上昇する蒸気が絞り部94の手前で一旦貯留されることになる。そのため、電子レンジ加熱時において、容器内、特には上収容部5内の圧力が低下しにくく、高温高圧の蒸気によって上容器内の食材を効率よく加熱することができる。また、絞り部94が設けられていると、蓋縁取り部72と中皿縁取り部52との間から万一異物が進入したとしても、蒸気排出通路90に進入する確率を減少させることができる。
【0060】
閉蓋状態のままで電子レンジで加熱調理することができる。電子レンジで加熱すると、下収容部4に収容された食材から蒸気が発生する。その蒸気は、中皿底面部30の蒸気抜き部35を通って上収容部5に移動する。上収容部5内の蒸気は、蒸気排出通路90を通って容器外部に排出される。蒸気排出通路90に蒸気が集中することにより、蒸気排出通路90が形成された箇所における蓋フランジ部64は、
図15のように、局所的に上方に弾性変形する。そのため、蒸気排出通路90を通る蒸気は、蓋縁取り部72と中皿縁取り部52との間からスムーズに排出される。蓋フランジ上面部70と中皿フランジ上面部50との間の上下方向の間隔D2が蓋縁取り部72と中皿縁取り部52との間の上下方向の間隔D3よりも大きいので、電子レンジ加熱時に蓋フランジ部64が無理なく上方に弾性変形でき、電子レンジ加熱後においては、上方に弾性変形した蓋フランジ部64が元の状態に戻りやすい。そのため、電子レンジ加熱後において、蓋フランジ部64が蒸気排出通路90の箇所において局所的に過度に塑性変形したままの状態にはなりにくく、良好な美感が維持される。尚、蒸気排出通路90に対応して中皿フランジ上面部50に凹溝53が形成されていると、より一層スムーズに蒸気を排出することができる。尚、電子レンジ加熱前においても、例えば、輸送時において容器内の圧力が変化するような場面においても、蒸気排出通路90が設けられていることにより、蓋3の不用意な開きを防止することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 容器本体
2 中皿
3 蓋
4 下収容部
5 上収容部
10 本体底面部
11 本体側面部
12 本体フランジ部
13 本体脚部
14 本体嵌合部
14a 本体ストレート部
14b 本体嵌合凹部
15 本体側面主部
16 本体延在部
17 本体テーパ部
20 本体フランジ上面部
21 本体縁取り部
22 飲み口部
30 中皿底面部
31 中皿側面部
32 中皿フランジ部
33 中皿脚部
34 周方向リブ
35 蒸気抜き部
36 中皿嵌合部
36a 中皿ストレート部
36b 中皿嵌合凸部
37 中皿側面主部
38 中皿延在部
39 中皿テーパ部
41 中皿凸部
50 中皿フランジ上面部
51 中皿スカート部
52 中皿縁取り部
53 凹溝
54 中皿摘み部
60 天面部
61 蓋側面部
62 蓋延在部
63 蓋嵌合部
63a 蓋ストレート部
63b 蓋嵌合凸部
64 蓋フランジ部
65 ズレ防止用凸部
66 蓋凸部
67 蓋テーパ部
68 内屈曲部
70 蓋フランジ上面部
71 蓋スカート部
72 蓋縁取り部
73 蓋摘み部
74 縦リブ
80 蒸気排出溝
81 主溝部
82 上溝部
83 下溝部
90 蒸気排出通路
91 主通路部
92 下通路部
93 上通路部
94 絞り部
【要約】
【課題】複数の食材を上下に分離して収容でき、異物混入を容易に防止でき、しかも、閉蓋状態のままで電子レンジで容易に加熱調理することができる包装用容器を提供する。
【解決手段】中皿嵌合部36は、本体嵌合部14に全周に亘って密着し、中皿底面部30には、電子レンジ加熱時に下収容部の蒸気を上収容部に排出する蒸気抜き部35が形成され、蓋嵌合部63における中皿嵌合部36と対向する面には、蒸気排出溝80が形成され、中皿嵌合部36と蒸気排出溝80とにより、電子レンジ加熱時に上収容部の蒸気を容器外部に排出する蒸気排出通路が形成され、中皿フランジ上面部50と蓋フランジ上面部70との間の上下方向の間隔は、本体フランジ上面部20と中皿フランジ上面部50との間の上下方向の間隔よりも大きい。
【選択図】
図1