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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】撮像装置、および、内視鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20250130BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20250130BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
G02B7/02 B
A61B1/00 731
A61B1/04 530
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023536243
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 JP2021027025
(87)【国際公開番号】W WO2023002542
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 碩
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/183600(WO,A1)
【文献】特開2010-103493(JP,A)
【文献】特開2010-080591(JP,A)
【文献】特開2019-066610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがガラス基板を含む複数の光学素子を有し、前記複数の光学素子のうち、第1の主面と、前記第1の主面の反対側の第2の主面と、を有する第1の光学素子だけが、外縁の四隅の少なくともいずれかに、前記第1の主面から前記第2の主面に至る溝を有し、前記溝に第1の樹脂が配設されている第1のガラス基板と、前記第2の主面に配設されている樹脂レンズと、を有する、レンズユニットと、
撮像素子を有する撮像ユニットと、を具備し、
前記レンズユニットは、入射面と前記入射面の反対側の出射面とを有し、前記第1の光学素子の前記第1の主面が前記レンズユニットの前記入射面を構成し、前記複数の光学素子のうちの前記第1の光学素子以外の光学素子の出射面が前記レンズユニットの前記出射面を構成しており、
前記撮像ユニットは、前記レンズユニットの前記出射面に配設されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1のガラス基板は、前記四隅の全てに前記溝を有し、
前記第1の樹脂は、全ての前記溝に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
撮像装置を有し、前記撮像装置は、
それぞれがガラス基板を含む複数の光学素子を有し、前記複数の光学素子のうち、第1の主面と、前記第1の主面の反対側の第2の主面と、を有する第1の光学素子だけが、外縁の四隅の少なくともいずれかに、前記第1の主面から前記第2の主面に至る溝を有し、前記溝に第1の樹脂が配設されている第1のガラス基板と、前記第2の主面に配設されている樹脂レンズと、を有する、レンズユニットと、
撮像素子を有する撮像ユニットと、を具備し、
前記レンズユニットは、入射面と前記入射面の反対側の出射面とを有し、前記第1の光学素子の前記第1の主面が前記レンズユニットの前記入射面を構成し、前記複数の光学素子のうちの前記第1の光学素子以外の光学素子の出射面が前記レンズユニットの前記出射面を構成しており、
前記撮像ユニットは、前記レンズユニットの前記出射面に配設されていることを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドレンズ素子を有するレンズユニットを含む撮像装置、および、ハイブリッドレンズ素子を有するレンズユニット含む撮像装置を有する内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の先端部に配設される撮像装置のレンズユニットは、低侵襲化のため細径化が重要である。
【0003】
国際公開第2017/203592号には、それぞれが複数の光学素子を含む光学ウエハを積層した積層ウエハを切断することによって、ウエハレベル積層体である細径のレンズユニットを効率良く製造する方法が開示されている。
【0004】
ガラスウエハに複数の樹脂レンズが配設されたハイブリッドレンズウエハを含む積層ウエハは、切断するときに、ガラスウエハに欠けが生じることがある。このため、ハイブリッドレンズを含むレンズユニットの製造が容易ではない。また、切断されたハイブリッドレンズのガラス基板に欠けがあるとレンズユニットの信頼性が低下するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/203592号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は製造が容易で信頼性の高い撮像装置、および、製造が容易で信頼性の高い内視を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の撮像装置は、それぞれがガラス基板を含む複数の光学素子を有し、前記複数の光学素子のうち、第1の主面と、前記第1の主面の反対側の第2の主面と、を有する第1の光学素子だけが、外縁の四隅の少なくともいずれかに、前記第1の主面から前記第2の主面に至る溝を有し、前記溝に第1の樹脂が配設されている第1のガラス基板と、前記第2の主面に配設されている樹脂レンズと、を有する、レンズユニットと、撮像素子を有する撮像ユニットと、を具備し、前記レンズユニットは、入射面と前記入射面の反対側の出射面とを有し、前記第1の光学素子の前記第1の主面が前記レンズユニットの前記入射面を構成し、前記複数の光学素子のうちの前記第1の光学素子以外の光学素子の出射面が前記レンズユニットの前記出射面を構成しており、前記撮像ユニットは、前記レンズユニットの前記出射面に配設されている
【0009】
実施形態の内視鏡は、撮像装置を有し、前記撮像装置は、それぞれがガラス基板を含む複数の光学素子を有し、前記複数の光学素子のうち、第1の主面と、前記第1の主面の反対側の第2の主面と、を有する第1の光学素子だけが、外縁の四隅の少なくともいずれかに、前記第1の主面から前記第2の主面に至る溝を有し、前記溝に第1の樹脂が配設されている第1のガラス基板と、前記第2の主面に配設されている樹脂レンズと、を有する、レンズユニットと、撮像素子を有する撮像ユニットと、を具備し、前記レンズユニットは、入射面と前記入射面の反対側の出射面とを有し、前記第1の光学素子の前記第1の主面が前記レンズユニットの前記入射面を構成し、前記複数の光学素子のうちの前記第1の光学素子以外の光学素子の出射面が前記レンズユニットの前記出射面を構成しており、前記撮像ユニットは、前記レンズユニットの前記出射面に配設されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば製造が容易で信頼性の高い撮像装置、製および、造が容易で信頼性の高い内視を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の撮像装置の斜視図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3】第1実施形態の撮像装置の製造方法のフローチャートである。
図4A】第1実施形態の撮像装置の製造方法を説明するための平面図である。
図4B図4AのIVB-IVB線に沿った断面図である。
図5A】第1実施形態の撮像装置の製造方法を説明するための平面図である。
図5B図5AのVB-VB線に沿った断面図である。
図6A】第1実施形態の撮像装置の製造方法を説明するための平面図である。
図6B図6AのVIB-VIB線に沿った断面図である。
図7A】第1実施形態の撮像装置の製造方法を説明するための平面図である。
図7B図7AのVIIB-VIIB線に沿った断面図である。
図8】第1実施形態の撮像装置の製造方法を説明するための分解断面図である。
図9】第1実施形態の撮像装置の製造方法を説明するための断面図である。
図10】第2実施形態の撮像装置の斜視図である。
図11図10のXI-XI線に沿った断面図である。
図12】第3実施形態のレンズユニットの斜視図である。
図13】第3実施形態のレンズユニットの製造方法を説明するための断面図である。
図14】第4実施形態の撮像装置の斜視図である。
図15】第5実施形態の内視鏡の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
図1図2に示す実施形態の撮像装置2は、実施形態のレンズユニット1と撮像ユニット60とを含む。符号Oは、レンズユニット1の光軸を示す。撮像ユニット60はレンズユニット1が集光した被写体像を受光して撮像信号に変換する。
【0015】
なお、以下の説明において、各実施形態に基づく図面は、模式的なものである。各部分の厚さと幅との関係、夫々の部分の厚さの比率および相対角度などは現実の構成とは異なる。図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。一部の構成要素の図示を省略する。
【0016】
レンズユニット1は、入射面1SAを有する第1の光学素子10と、第2の光学素子20と、第3の光学素子30と、入射面1SAの反対側の出射面1SBを有する第4の光学素子40と、を具備する略直方体である。第1の光学素子10と第2の光学素子20と第3の光学素子30と第4の光学素子40とは、この順に積層されている。
【0017】
第1の光学素子10は、入射面1SAである第1の主面11SAと第1の主面11SAの反対側の第2の主面11SBを有する第1のガラス基板11を基体とする。第1の光学素子10は、第2の主面11SBに、凹レンズである樹脂レンズ12を有するハイブリッドレンズ素子である。第2の主面11SBには、クロムまたはチタンを主成分とする金属からなる絞り層45が配設されている。
【0018】
第2の光学素子20は、第3の主面21SAと第3の主面21SAの反対側の第4の主面21SBを有する第2のガラス基板21を基体とする。第3の主面21SAは第2の主面11SBと対向配置されている。第2の光学素子20は、第3の主面21SAに、凸レンズである樹脂レンズ22を有するハイブリッドレンズ素子である。
【0019】
第3の光学素子30は、第5の主面31SAと第5の主面31SAの反対側の第6の主面31SBを有する第3のガラス基板31を基体とする。第5の主面31SAは第4の主面21SBと対向配置されている。第3の光学素子30は、第5の主面31SAに、凸レンズである樹脂レンズ32を有するハイブリッドレンズ素子である。
【0020】
第4の光学素子40は、第7の主面41SAと第7の主面41SAの反対側の、出射面1SBである第8の主面41SBを有する第4のガラス基である。第7の主面41SAは第6の主面31SBと対向配置されている。第4の光学素子40は、不要な赤外線(例えば波長700nm以上の光)を除去するガラスフィルタである。
【0021】
第1のガラス基板11、第2のガラス基板21、第3のガラス基板31、第4のガラス基板(第4の光学素子)40は、例えば、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、または、サファイアガラスからなる。
【0022】
第1の光学素子10と第2の光学素子20、第2の光学素子20と第3の光学素子30、および、第3の光学素子30と第4の光学素子40、は、それぞれ樹脂からなる接着層50によって接着されている。
【0023】
なお、本発明のレンズユニットの構成は、本実施形態のレンズユニット1の構成に限定されるものではなく、仕様に応じて設定される。例えば、レンズユニットが、レンズ素子だけなく、レンズ間の距離を規定するスペーサ素子および複数の絞り層を有していてもよい。
【0024】
第4の光学素子40の第8の主面41SB(出射面1SB)には、撮像ユニット60が接着層51によって、接着されている。撮像ユニット60は、撮像素子61にカバーガラス63が接着層62によって、接着されている。レンズユニット1は被写体像を撮像素子61に結像する。撮像素子61は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)受光素子、またはCCD(Charge Coupled Device)である。
【0025】
第1の光学素子10の第1のガラス基板11は、第1の主面11SA(第2の主面11SB)の外縁の4隅に、第1の主面11SAから第2の主面11SBに至る切り欠き部である溝T11がある。溝T11には第1の樹脂55が充填されている。第1の樹脂55(以下、「樹脂55」ともいう。)が充填された、第1の主面11SA(第2の主面11SB)は略正方形である。これに対して、第2の光学素子20、第3の光学素子30、第4の光学素子40は、第1の樹脂55を有さない。
【0026】
後述するように、第1のガラス基板11は、ラスウエハ11Wの切断によって作製される。ラスウエハ11Wは、第1のガラス基板11の四隅となる領域(切断線が交差する領域)には孔H11があり、孔H11には第1の樹脂55が充填されている(図8参照)。孔H11は、切断によって溝T11となっている。切断時に欠けが発生しやすい四隅に第1の樹脂55が充填されているため、レンズユニット1および撮像装置2は、製造が容易であり、かつ、ガラス基板に欠けがないため、信頼性が高い。なお、第1のガラス基板11は、レンズユニット1の複数のガラス基板のうち、切断時に最も欠けが発生しやすい入射面1SAを有するガラス基板である。
【0027】
<製造方法>
レンズユニット1は、それぞれに複数の光学素子がマトリックス状に配設されている複数のレンズウエハを積層した積層ウエハ1Wを切断することによって製造される略直方体のウエハレベル光学ユニットである。
【0028】
以下、図3のフローチャートにそって、積層ウエハ1Wに複数の撮像ユニット60を配設した積層ウエハ2Wの切断によって撮像装置2を製造する方法を例に説明する。
【0029】
<工程S10>孔形成
図4A図4Bに示すように、ガラスウエハ11Wは、第1の主面11SAと第1の主面11SAの反対側の第2の主面11SBを有する。ガラスウエハ11Wに格子状に複数の孔H11を形成する。孔H11は、エッチング加工、または、ドリル加工を用いて形成される。
【0030】
KOH溶液、または、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液などのアルカリ水溶液を用いた等方性ウエットエッチング加工では、孔H11の壁面は傾斜している。例えば、第1の主面11SAの開口は、第2の主面11SBよりも大きい、一方、ドリル加工および深堀り反応性イオンエッチング(D-RIE)加工では、孔H11の壁面は第1の主面11SAに対して垂直となる。H11の開口は、矩形でもよい。
【0031】
<工程S20>樹脂充填
図5A図5Bに示すように、複数の孔H11のそれぞれに第1の樹脂55を充填する。熱硬化型または紫外線硬化型のエポキシ樹脂である第1の樹脂55は、例えば、インクジェット法を用いて複数の孔H11に配設されてから硬化処理が行われる。第1の樹脂55が孔H11から突出したり、孔H11の周囲にも配設されたりした場合には、例えば、研磨加工またはアッシング加工が行われる。研磨加工によって、ガラスウエハ11Wの主面が研磨される場合には、研磨後の厚さが仕様の厚さとなるように、ガラスウエハ11Wの厚さが設定される。
【0032】
<工程S30>樹脂レンズ配設
図6A図6Bに示すように、ガラスウエハ11Wの第2の主面11SBに、樹脂レンズ配設前に、絞り層45が配設される。例えばスパッタ法を用いて第2の主面11SBに配設された金属層を、パターニングすることで、複数の絞り層45が作製される。絞り層45は、クロムまたはチタンを主成分とする。「主成分」は、90重量%以上であることを意味する。なお、絞り層45は必須構成要素ではない。
【0033】
図7A図7Bに示すように、絞り層が配設されたガラスウエハ11Wの第2の主面11SBに、樹脂レンズ12を配設することによって第1のレンズウエハ(第1の光学素子ウエハ)10Wが作製される。樹脂レンズ12の第2の樹脂にはエネルギー硬化型樹脂を用いることが好ましい。
【0034】
エネルギー硬化型樹脂は、外部から熱、紫外線、電子線などのエネルギーを受けることによって、架橋反応あるいは重合反応が進む。エネルギー硬化型樹脂は、例えば透明な紫外線硬化型のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂からなる。なお「透明」とは、使用波長範囲において使用に耐えうる程度に、材料の光吸収および散乱が少ないことを意味する。
【0035】
未硬化であるため、液体状またはゲル状の樹脂をガラスウエハ11Wに配設し、所定の内面形状の凹部のある金型を押し当てた状態において、紫外線を照射し樹脂を硬化するモールド法よって樹脂レンズ12は作製される。なお、ガラスと樹脂の界面密着強度を向上させるために、樹脂配設前のガラスウエハにシランカップリング処理等を行うことが好ましい。
【0036】
モールド法を用いることによって製造される樹脂レンズの外面形状は金型の内面形状が転写されるために、スペーサを兼ねた外周部を有する構成および非球面レンズが容易に作製できる。
【0037】
<工程S40>ウエハ積層
図8に示す、レンズウエハ20W、30Wは、第1のレンズウエハ10Wと同じように作製される光学素子ウエハである。レンズウエハ20Wは、第3の主面21SAと第3の主面21SAの反対側の第4の主面21SBとを有するガラスウエハ21Wを基体とする。第3の主面には複数の樹脂レンズ22が配設されている。レンズウエハ30Wは、第5の主面31SAと第5の主面31SAの反対側の第6の主面31SBとを有するガラスウエハ31Wを基体とする。第5の主面31SAには複数の樹脂レンズ32が配設されている。フィルタウエハである光学素子ウエハ40Wは、第7の主面41SAと第7の主面41SAの反対側の第8の主面41SBとを有する。光学素子ウエハ40Wは、多層膜フィルタが配設されているガラスウエハでもよい。
【0038】
第1のレンズウエハ10Wの樹脂レンズ12、レンズウエハ20Wの樹脂レンズ22、および、レンズウエハ30Wの樹脂レンズ32に、転写法を用いて、それぞれ接着層50が配設される。レンズウエハ30Wの第6の主面31SBまたはフィルタウエハ40W第7の主面41SAの少なくともいずれかにも接着層50が配設される。
【0039】
接着層50は、インクジェット法を用いて配設されてもよい。接着層50は、例えば、熱硬化型のエポキシ樹脂である。樹脂レンズ22等に配設される接着層50は、例えば、遮光性粒子を含んでいる遮光層でもよい。光学素子ウエハ(レンズウエハ)10W-40Wが積層され、接着されることで積層ウエハ1Wが作製される。
【0040】
<工程S50>撮像ユニット配設
光学素子ウエハ40Wの第8の主面41SBに、接着層51を用いて、複数の撮像ユニット60を接着することによって、積層ウエハ2Wが作製される。撮像ユニット60は、複数の受光回路を含む撮像素子ウエハに、透明接着剤を用いてガラスウエハを接着した撮像ウエハを切断することによって製造される。なお、積層ウエハ1Wに撮像ウエハを接着して積層ウエハ2Wが作製されてもよい。
【0041】
<工程S60>切断
図9に示すように、積層ウエハ1Wは、第1のレンズウエハ10Wの入射面1SA(第1の主面11SA)が、ダイシングテープ90等の固定部材に貼り付けられる。そして、積層ウエハ2Wを出射面1SB(第8の主面41SB)の側から、第1の樹脂55が充填された複数の孔H11を含む切断線CLにそって格子状にダイシングすることによって複数の撮像装置2(レンズユニット1)に個片化される。積層ウエハ1Wが切断されると孔H11は、第1のガラス基板11の第1の主面11SAから第2の主面11SBに至る溝T11となる。
【0042】
撮像装置2は、ウエハレベル法において製造されるため、細径であり、かつ、製造が容易である。さらに、積層ウエハ1Wを切断するときに、ガラス基板のチッピングが特に発生しやすいのは、ダイシングテープ90に貼り付けられている第1のレンズウエハ10Wである。第1のレンズウエハ10Wは、第1のガラス基板11の四隅となる領域が孔H11であり、さらに、孔H11には第1の樹脂55が充填されている。このため、レンズユニット1および撮像装置2は、製造が容易であり、かつ、ガラス基板に欠けがないため、信頼性が高い。
【0043】
積層ウエハ1Wの切断によって製造されたレンズユニット1に、撮像ユニット60が配設されることによって、撮像装置2が作製されてもよい。
【0044】
レンズユニット1では、第1のガラス基板11の四隅の全てに溝T11があり、全ての溝T11に樹脂55が充填されていた。しかし、第1のガラス基板11の四隅の1つだけに溝T11があり、1つの溝T11に樹脂55が充填されているレンズユニットが、第1のガラス基板11の四隅に溝がないレンズユニットよりも、製造が容易で信頼性の高いことは言うまでも無い。すなわち、第1のガラス基板11は、第1の主面11SAの四隅の少なくともいずれかに樹脂が充填されている溝T11を有していればよい。
【0045】
<第2実施形態>
以下に説明する実施形態の撮像装置およびレンズユニットは、第1実施形態の撮像装置2およびレンズユニット1と類似しており同じ効果を有するため、同じ機能の構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0046】
図10および図11に示す本実施形態のレンズユニット1Aは、第2のガラス基板21、第3のガラス基板31および第4のガラス基板41も、第1のガラス基板11と同じように、それぞれの四隅の第2の溝T21、第3の溝T31、第4の溝T41に、それぞれ第1の樹脂55が充填されている。
【0047】
すなわち、例えば、第2のガラス基板21となるガラスウエハ21Wには、格子状に配置された複数の孔が形成され、複数の孔に第1の樹脂55が充填される。
【0048】
レンズユニット1Aは、第2のガラス基板21、第3のガラス基板31および第4のガラス基板41も、第1のガラス基板11と同じように、積層ウエハの切断時に欠けが発生しにくいため、製造が容易で有り、かつ、信頼性が高い。
【0049】
<第3実施形態>
図12に示す本実施形態のレンズユニット1Bは、樹脂レンズ12、樹脂レンズ22、樹脂レンズ32および接着層50も、外縁の四隅の角が切りかかれている。すなわち、レンズユニット1Bは、四隅の入射面1SAから出射面1SB至る角溝T1に、第1の樹脂55が充填されている。
【0050】
図13に示すように、レンズユニット1Bの製造方法では、第1のレンズウエハ10W等には、積層前に孔は形成されない。積層ウエハ1Wの状態において、出射面1SBから入射面1SAに至る孔H1Wが格子状に形成される。開口が円形の孔H1Wは、例えば、ドリル95を用いて形成される。そして、孔H1Wに樹脂55を充填してから、積層ウエハ1Wを切断することで、孔H1Wは、角溝T1となる。
【0051】
レンズユニット1Bは、第1のレンズウエハ10Wを含む複数のレンズウエハ10W、20W、30W、40Wに、それぞれ孔を形成し樹脂を充填するレンズユニット1Aよりも、製造が容易で信頼性が高い。レンズユニット1Aに撮像ユニット60が配設されることによって撮像装置2Aは製造される。撮像装置2Aは撮像装置2よりも、製造が容易で信頼性が高い。
【0052】
<第4実施形態>
図14に示す本実施形態のレンズユニット1Cは、四隅の角だけでなく、4つの側面1SSのそれぞれにも、入射面1SAから出射面1SBに至る側面溝TS1を有し、樹脂55が側面溝TS1にも充填されている。側面溝TS1は、角溝T1と同じように積層ウエハの孔が切断されることによって形成される。側面溝TS1の幅、すなわち、積層ウエハの孔の径は、角溝T1の幅よりも小さくてもよい。4つの側面1SSの少なくともいずれかが、入射面1SAから出射面1SBに至る側面溝TS1を有し、樹脂55が側面溝TS1にも充填されていてもよい。
【0053】
側面溝TS1に充填された樹脂55は、樹脂レンズ12、22、32を保護する機能を有する。
【0054】
<第5実施形態>
図15に示す本実施形態の内視鏡9は、先端部9Aと、先端部9Aから延設された挿入部9Bと、挿入部9Bの基端側に配設された操作部9Cと、操作部9Cから延出するユニバーサルコード9Dと、を含む。先端部9Aに、レンズユニット1(1A―1C)を含む撮像装置2(2A-2C)が配設されている。撮像装置2から出力された撮像信号は、ユニバーサルコード9Dを挿通するケーブルを経由することによってプロセッサ(不図示)に伝送される。また、プロセッサから撮像装置2への駆動信号も、ユニバーサルコード9Dを挿通するケーブルを経由することによって伝送される。
【0055】
内視鏡9は、挿入部9Bが軟性の軟性鏡でも、挿入部9Bが硬性の硬性鏡でもよい。また内視鏡9の用途は、医療用でも工業用でもよい。
【0056】
内視鏡9は、レンズユニット1(1A―1C)を含む撮像装置2(2A-2C)を具備するため、製造が容易で信頼性が高い。
【0057】
本発明は、上述した実施形態等に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、組み合わせおよび応用が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1、1A-1C・・・レンズユニット
2・・・撮像装置
9・・・内視鏡
10・・・第1の光学素子
11・・・第1のガラス基板
12・・・樹脂レンズ
20・・・第2の光学素子
21・・・第2のガラス基板
22・・・樹脂レンズ
30・・・第3の光学素子
31・・・第3のガラス基板
32・・・樹脂レンズ
40・・・第4の光学素子
45・・・絞り層
50・・・接着層
51・・・接着層
55・・・第1の樹脂
60・・・撮像ユニット
90・・・ダイシングテープ
95・・・ドリル
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15