(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ネットワークシステムおよび設定方法
(51)【国際特許分類】
H04L 41/0803 20220101AFI20250130BHJP
【FI】
H04L41/0803
(21)【出願番号】P 2024179292
(22)【出願日】2024-10-11
【審査請求日】2024-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】中本 芳輝
(72)【発明者】
【氏名】前神 明了
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第01/73558(WO,A1)
【文献】特開2021-190956(JP,A)
【文献】特開2021-175121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/0803
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶サーバと、設定サーバと、それぞれ処理可能な個別モジュールの形式が異なる複数のデバイスと、を有するネットワークシステムであって、
前記個別モジュールは、デバイスの種類によらず共通して用いられる設定項目である複数の共通項目の値を含み、
前記記憶サーバは、
前記複数のデバイスの1つを特定するIDであるデバイスIDと、前記複数の共通項目の1つを一意に特定する共通項目名と、前記共通項目名が示す共通項目の設定値とを、第1ユーザに、ネットワーク図を用いることなく、指定させる指定部と、
前記指定部によって指定される前記デバイスIDと、前記指定部によって指定される共通項目名と、前記指定部によって指定される設定値と、を関連付けて記憶部に記憶させる記録部と、
を備え、
前記設定サーバは、
第2ユーザから前記デバイスIDを受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられた前記デバイスIDに関連付けて記憶される前記共通項目名及び前記設定値を前記記憶部から取得する取得部と、
前記受付部によって受け付けられる前記デバイスIDと、前記取得部によって取得される前記共通項目名及び前記設定値と、を用い、前記受付部によって受け付けられた前記デバイスIDが示すデバイスが処理可能な形式の前記個別モジュールを生成する生成部と、
を備え、
前記複数のデバイスのそれぞれは、
前記設定サーバによって生成される前記個別モジュールを受信する受信部、
を備えることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
前記指定部は、前記デバイスIDごとの前記共通項目名と前記設定値との関係を表示するリストであって、少なくとも前記設定値を編集可能な設定値フォームを含む編集リストを表示部に表示させる、
請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記編集リストは、前記共通項目名を編集可能な共通項目名フォームを含み、
前記共通項目名フォームにおいて、前記共通項目名は、予め定められた共通項目名として使用可能な名称のリストから選択可能である
請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記生成部が生成する個別モジュールは1以上のコマンドを含み、
前記コマンドは、コマンド名と、実行対象となる項目を示す第1パラメータとを含み、
前記設定サーバは、
前記取得部によって取得される前記共通項目名について、前記デバイスで処理可能な名称として定義されたデバイス処理可能項目名が存在するか否かを判定する判定部と、
前記取得部によって取得される前記共通項目名について前記デバイス処理可能項目名が存在する場合に、前記共通項目名に対応する前記デバイス処理可能項目名を前記コマンドの第1パラメータに決定し、前記取得部によって取得される前記共通項目名について前記デバイス処理可能項目名が存在しない場合に、前記共通項目名に対応する設定値を前記第1パラメータに決定する決定部と、
をさらに備える請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記取得部は、前記受付部によって受け付けられる前記デバイスIDを前記記憶サーバに送信し、前記記憶サーバから前記デバイスIDに関連付けて記憶される前記共通項目名及び前記設定値を受信する
請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
前記取得部は、前記受付部によって受け付けられる前記デバイスIDを含むクエリを前記記憶サーバに発行することにより、前記デバイスIDに対応付けて前記記憶部に記憶される前記共通項目名及び前記設定値を取得する
請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項7】
前記生成部が生成する個別モジュールは1以上のコマンドを含み、
前記コマンドは、コマンド名と、前記コマンドの実行対象となる項目を示す第1パラメータとによって表され、
前記記憶部は、前記デバイスの種類ごとに、前記共通項目名と、前記デバイスの個別モジュールにおいて用いられる前記共通項目名について前記デバイスで処理可能な名称として定義されたデバイス処理可能項目名とを関連付けて記憶し、
前記設定サーバは、
前記デバイスの種類ごとに、前記共通項目名と、当該共通項目名に係る項目の設定に用いるコマンド名とを関連付けた個別モジュールのフォーマットを保持する保持部と、
前記取得部によって取得される前記共通項目名に対応する項目について、前記デバイス処理可能項目名が存在するか否かを判定する判定部と、
前記取得部によって取得される前記共通項目名に対応する項目について前記デバイス処理可能項目名が存在する場合に、前記共通項目名に対応する前記デバイス処理可能項目名を前記コマンドの第1パラメータに決定し、前記取得部によって取得される前記共通項目名に対応する項目について前記デバイス処理可能項目名が存在しない場合に、前記共通項目名を前記第1パラメータに決定する決定部と、
をさらに備え、
前記生成部は、前記共通項目名ごとに、前記保持部が前記共通項目名に関連付けて保持する前記コマンド名と、前記決定部が決定した前記第1パラメータとを含む前記コマンドを生成する
請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項8】
前記生成部によって生成される前記個別モジュールは、前記受付部によって受け付けられる前記デバイスIDが示すデバイスのアプリケーションのネットワーク設定を行うためのモジュールを含む、
請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項9】
前記複数のデバイスは、第1デバイス及び第2デバイスを含み、
前記記憶サーバ及び前記設定サーバは、ネットワーク設定施設に設置され、
前記第1デバイスは、前記ネットワーク設定施設と異なるエリアに存在する第1プラントに設置され、
前記第2デバイスは、前記ネットワーク設定施設および前記第1プラントと異なるエリアに存在する第2プラントに設置される、
請求項1から請求項8の何れか1項に記載のネットワークシステム。
【請求項10】
前記記憶部は、
前記第1プラントのセキュリティポリシーを示す第1ポリシー情報と、
前記第2プラントのセキュリティポリシーを示す第2ポリシー情報と、
を記憶する
請求項9に記載のネットワークシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のネットワークシステムの設定方法であって、
前記第1デバイス及び前記第2デバイスを前記ネットワーク設定施設に仮設置する仮設置ステップと、
前記受付部によって受け付けられる前記デバイスIDであって前記第1デバイスを示す前記デバイスIDに関連付けられた前記共通項目名および前記設定値と、前記第1ポリシー情報とを用いて前記第1デバイスが処理可能な前記個別モジュールである第1個別モジュールを生成するよう、前記生成部に指示する第1指示ステップと、
前記受付部によって受け付けられる前記デバイスIDであって前記第2デバイスを示す前記デバイスIDに関連付けられた前記共通項目名および前記設定値と、前記第2ポリシー情報とを用いて前記第2デバイスが処理可能な前記個別モジュールである第2個別モジュールを生成するよう、前記生成部に指示する第2指示ステップと、
前記第1個別モジュールに基づいてネットワーク設定された前記第1デバイスを、前記第1プラントに設置する第1設置ステップと、
前記第2個別モジュールに基づいてネットワーク設定された前記第2デバイスを、前記第2プラントに設置する第2設置ステップと、
を有する設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークシステムおよび設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザは、ネットワークに接続されたデバイスを利用するために、当該デバイスや当該デバイスにインストールされたアプリケーションのネットワーク設定を行う必要があった。
特許文献1には、ネットワーク図を用いて資源割当、経路選択などのネットワークのニーズを指定すると、これから構築しようとしているネットワークのネットワーク機器の設定情報をその機種に応じて自動的に生成するソフトウェアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、ネットワーク図を用いることが必須の構成である。しかしながら、ネットワーク図は、機器同士の接続関係をわかりやすく示すことができる一方で、機器個別の設定やポートの設定を直接的に参照することができず、保守において必要な情報を確認することが困難となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、ネットワークシステムは、記憶サーバと、設定サーバと、それぞれ処理可能な個別モジュールの形式が異なる複数のデバイスと、を有するネットワークシステムであって、前記個別モジュールは、デバイスの種類によらず共通して用いられる設定項目である複数の共通項目の値を含み、前記記憶サーバは、前記複数のデバイスの1つを特定するIDであるデバイスIDと、前記複数の共通項目の1つを一意に特定する共通項目名と、前記共通項目名が示す共通項目の設定値とを、第1ユーザに、ネットワーク図を用いることなく、指定させる指定部と、前記指定部によって指定される前記デバイスIDと、前記指定部によって指定される共通項目名と、前記指定部によって指定される設定値と、を関連付けて記憶部に記憶させる記録部と、を備え、前記設定サーバは、第2ユーザから前記デバイスIDを受け付ける受付部と、前記受付部によって受け付けられた前記デバイスIDに関連付けて記憶される前記共通項目名及び前記設定値を前記記憶部から取得する取得部と、前記受付部によって受け付けられる前記デバイスIDと、前記取得部によって取得される前記共通項目名及び前記設定値と、を用い、前記受付部によって受け付けられた前記デバイスIDが示すデバイスが処理可能な形式の前記個別モジュールを生成する生成部と、を備え、前記複数のデバイスのそれぞれは、前記設定サーバによって生成される前記個別モジュールを受信する受信部、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、ネットワーク機器を容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係るデータベース装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係るモジュールフォーマットおよび個別モジュールの例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係るデバイステーブルの編集画面の一例である。
【
図5】第1の実施形態に係る論理デバイスのインタフェース編集画面の一例である。
【
図6】第1の実施形態に係る論理デバイスのインタフェース追加画面の一例である。
【
図7】第1の実施形態に係るインタフェーステーブルの編集画面の一例である。
【
図8】第1の実施形態に係る設定装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図9】第1の実施形態に係るネットワーク機器の設定処理を示す第1のフローチャートである。
【
図10】第1の実施形態に係る機器の設定処理を示す第2のフローチャートである。
【
図11】第1の実施形態に係る機器の設定処理を示す第3のフローチャートである。
【
図12】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第1の実施形態〉
《ネットワークシステムの構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係るネットワークシステム1の構成を示す概略図である。第1の実施形態に係るネットワークシステム1は、複数のプラントPのネットワークを構成するための機器である物理デバイス50の設定を行う。複数のプラントPは、それぞれ異なるエリアに設けられる。実施形態において、「物理デバイス50」とは、電気回路を内蔵する物理的な機器をいう。他方、設計段階においてデータベース上で扱われる機器を「論理デバイス」という。未設定の物理デバイス50の設定によって論理デバイスを実装することで、物理デバイス50は稼働可能となる。機器の設定は、ネットワーク設定、ソフトウェア設定およびハードウェア設定を含む。機器の設定の例としては、機器へのOSのインストール、パッケージ管理ソフトウェアのインストール、パッケージ管理ソフトウェアを用いた特定のソフトウェアの特定のバージョンのインストール、インストールしたソフトウェアの初期設定、複数のストレージのパーティション構成、ストレージのRAIDを組むか否かの設定、RAIDの種類の設定、機器のブート順の設定、ネットワークブートの設定、ローカルブートの設定、遠隔のストレージのマウントの設定などが挙げられる。
実施形態では、個別の物理デバイス50の設定に用いる情報を「個別モジュール」と呼ぶ。個別モジュールの例としては、コンフィグレーションファイル、設定用バッチファイル、コマンド列などを含む。
【0009】
ネットワークシステム1は、データベース装置10と設定装置30とを備える。
データベース装置10は、複数のプラントPのネットワークを構成すべき論理デバイスの設定情報を記憶する。データベース装置10は、CMDB(Configuration Management Database)、DCIM(Data Center Infrastructure Management)/IPAM(IP Address Management)機能を有する。
設定装置30は、データベース装置10が記憶する情報に基づいて物理デバイス50の設定を行う。設定装置30は、プラントPから離れた設定施設Cに設けられる。設定施設Cには、1つの設定装置30が設けられてもよいし、複数の設定装置30が設けられてもよい。複数の設定装置30を有する場合、複数の設定装置30は、並列処理によって物理デバイス50の設定を実施することができる。設定装置30は、設定施設Cのみならず、さらにプラントPに設けられていてもよい。設定装置30がプラントPに設けられる場合、設定装置30は、当該プラントPに既に設けられた物理デバイス50の設定を、現場にて実施することができる。利用者は、任意の場所からネットワークを介して設定装置30のユーザインタフェースにアクセスできる。例えば、設定装置30は、ウェブブラウザによって表示可能なウェブインタフェースを有する。設定装置30は、ウェブインタフェースなどのUIを提供するUIサーバと、UIサーバにアクセスする複数の設定用端末とで構成されてもよい。UIサーバは、個別モジュールの生成条件および個別モジュールの実行順序を管理する。設定用端末は、UIサーバで管理された個別モジュールの生成条件に従って個別モジュールを生成し、UIサーバで管理された実行順序で生成した個別モジュールを実行する。
【0010】
物理デバイス50は、設定施設Cにおいて設定がなされる。設定された複数の物理デバイス50は、対応するプラントPへ輸送され、プラントPのネットワークに接続される。設定施設Cは、複数のプラントPで用いられる複数の物理デバイス50の設定を担う。なお、設定装置30がプラントPにも設けられる場合、複数の物理デバイス50は当該プラントPにおいて設定がなされてもよい。つまり、物理デバイス50は、何れかの設定装置30と接続可能な場所であれば、任意の場所において設定が可能である。
【0011】
《データベース装置10の構成》
図2は、第1の実施形態に係るデータベース装置10のソフトウェア構成を示すブロック図である。
データベース装置10は、記憶部11、ウェブサーバ部12、記録部13、クエリ処理部14を備える。
記憶部11は、プラントマスタ111、デバイスタイプマスタ112、デバイステーブル113、インタフェーステーブル114、IPアドレステーブル115、VLANテーブル116、ネットワークアドレステーブル117、接続情報テーブル118、モジュールフォーマットテーブル119を記憶する。
【0012】
プラントマスタ111は、論理デバイスが配置されるプラントPの情報を格納するテーブルである。プラントマスタ111は、プラントPごとに、プラントIDと、プラント名と、プラントPのセキュリティポリシーを示すポリシー情報を、関連付けて記憶する。ポリシー情報は、通信のルールを示す。ポリシー情報は、例えば、通信の許可及び不許可を用いて表現される。つまり、対象となるプラントPが第1プラントP1と第2プラントP2とを有する場合、プラントマスタ111には、第1プラントのポリシー情報と、第2プラントのポリシー情報とが記録される。プラントマスタ111は、プラントPの情報として、さらに、組織名、オーナー名、地理情報、ロケーションなどの情報を記憶してもよい。
組織名は、プラントPを運用している組織の名称である。オーナー名は、プラントPのオーナーの名称である。地理情報は、緯度および経度によって表されるプラントPの地理的位置である。ロケーションは、プラントPの建屋内の場所を示す情報である。
【0013】
デバイスタイプマスタ112は、物理デバイス50の機種の情報を格納するテーブルである。デバイスタイプマスタ112は、機種ごとに、機種ID(機種名)と、変換データと、デフォルト設定データを関連付けて記憶する。
変換データの一例は、機種によらない共通項目名と、当該機種のネットワーク設定に用いる個別項目名(デバイス処理可能項目名)とを対応付けたデータである。変換データは、ネットワーク設定の際に設定用に項目の名称等を変換するために用いられる。変換データでは、少なくとも共通インタフェース名と、当該機種の物理デバイス50の設定情報に用いる個別インタフェース名とが対応付けられている。物理デバイス50は、機種ごとに複数のネットワークインタフェースに予め名称(個別インタフェース名)が割り当てられており、ネットワーク設定においては、個別インタフェース名によってネットワークインタフェースを特定する必要がある。個別インタフェース名は、物理デバイス50の機種ごとに異なる。例えば、第1の機種では、上から1段目、左から1番目のLANインタフェースの個別インタフェース名が「internal1」であるのに対し、第2の機種では、上から1段目、左から1番目のLANインタフェースの個別インタフェース名が「lan1」であることがある。なお、変換が必要な項目名は、インタフェース名に限られない。
デフォルト設定データは、物理デバイス50のネットワーク設定において、一意に決められる項目の値を格納する。デフォルト設定データに格納される項目の例としては、設定言語が挙げられる。例えば、言語設定において設置する地域の言語(例えば日本語)の設定が可能な機種について、デフォルト設定データに、「設定言語=”japanese”」と格納しておき、設置する地域の言語の設定ができない機種について、デフォルト設定データに、「設定言語=”english”」と格納しておく。デフォルト設定データは、jsonなど、項目名と設定値の組み合わせによって表現される。
デバイスタイプマスタ112は、物理デバイス50の機種の情報として、さらに、シリーズ名、メーカ名、プラットフォーム情報などを記憶してよい。シリーズ名は、当該機種のシリーズ(ブランド、モデル)の名称である。プラットフォーム情報は、当該機種のプラットフォームとして導入されているシステムの情報である。例えば、プラットフォーム情報としては、例えばソフトウェアの動作基盤であるOSや、データベースの動作基盤であるデータベースエンジンなどの名称及びバージョンが挙げられる。
【0014】
デバイステーブル113は、論理デバイスの情報を格納するテーブルである。デバイステーブル113は、論理デバイスごとに、デバイスIDと、デバイス名と、当該論理デバイスを設置するプラントPのプラントIDと、当該論理デバイスが実装される物理デバイス50の機種を示す機種IDと、を関連付けて記憶する。機種IDは、デバイスタイプマスタ112で規定される。デバイステーブル113は、論理デバイスの情報として、さらにオーナー名、ロケーション、メンテナンス情報、アプリケーション設定情報などを記憶してもよい。オーナー名は、論理デバイスのオーナーの名称である。オーナー名は、論理デバイスが設けられるプラントPや建屋のオーナーの名称を表していてもよい。デバイステーブル113には、1つの論理デバイスに対して複数のオーナー名が記録されていてもよい。ロケーションは、プラントPにおいて当該論理デバイスが設置される場所を示す情報である。ロケーションは、プラントPの地理情報の下位情報であり、建屋、階数、部屋など、プラントP内をさらに細分化した場所を表す。メンテナンス情報は、当該論理デバイスの保証期間や保守契約期間などの情報である。アプリケーション設定情報は、論理デバイスに対応する物理デバイスで動作するアプリケーションの設定情報である。アプリケーション設定情報は、例えばインストールされるアプリケーションの名称およびバージョンを含む。
【0015】
インタフェーステーブル114は、論理デバイスに設けられるネットワークインタフェースの情報を格納するテーブルである。インタフェーステーブル114は、インタフェースIDと、論理デバイスのデバイスIDと、共通インタフェース名とを関連付けて記憶する。共通インタフェース名は、物理デバイス50の機種によらない、物理的なネットワークインタフェースを識別するための名称である。例えば、物理デバイス50が複数のネットワークインタフェースを有する場合、通常、複数のネットワークインタフェースは筐体の同一の面に並べられる。第1の実施形態に係る共通インタフェース名は、ネットワークインタフェースを、その行番号と列番号によって識別するものであってよい。ただし、共通インタフェース名は、物理的な位置を特定せず、抽象化されたものであることが好ましい。この場合、ネットワークシステム1は、共通インタフェース名と変換データとを組み合わせることで、物理的な位置が決定され、設定のインタフェース名として使用可能とすることができる。例えば、上からN段目、左からM番目のLANインタフェースの共通インタフェース名は、「LAN_N/M」であってよい。具体的には、上から2段目、左から4番目のLANインタフェースの共通インタフェース名は、「LAN_02/04」であってよい。共通インタフェース名は、共通項目名の一例である。また、第1の実施形態に係る共通インタフェース名は、ネットワークインタフェースを物理配置によらず番号によって識別するものであってもよい。
インタフェーステーブル114は、ネットワークインタフェースの情報として、さらにタイプ情報、VLAN IDなどを記憶してもよい。タイプは、例えば物理インタフェースである有線および無線、帯域、仮想インタフェースであるLAG(Link Aggregation Group)、VPN(Virtual Private Network)などを示す。VLAN IDは、ネットワークを仮想的な論理グループに分割するVLANのグループを示すIDである。VLANを用いることで、同一の物理ネットワーク上に設けられた複数の物理デバイスを、仮想的に異なるネットワーク上に存在させることができる。VLAN IDは、後述のVLANテーブル116に記憶されるVLANの情報に関連付けられたIDである。なお、ネットワークをVLANで分割しない場合、VLAN IDの値は空白であってよい。
【0016】
IPアドレステーブル115は、論理デバイスのネットワークインタフェースに割り当てられるIPアドレスの情報を格納するテーブルである。IPアドレステーブル115は、IPアドレスの値と、当該IPアドレスを割り当てるインタフェースを示すインタフェースIDとを関連付けて記憶する。
【0017】
VLANテーブル116は、論理デバイスのVLAN(Virtual Local Area Network)の設定情報を格納するテーブルである。VLANテーブル116は、VLAN IDと、VLAN名と、プラントIDとを関連付けて記憶する。VLAN IDは、VLANを識別するための識別情報である。VLAN IDは、同一のプラントにおいて一意であることが好ましいが、異なるプラントにおいては重複が許容され、また同一のプラントにおいても重複が許容される場合がある。なお、VLANに係るプレフィックスは、ネットワークアドレステーブル117を参照することで得ることができる。
【0018】
ネットワークアドレステーブル117は、ネットワークセグメントに関する情報を管理するテーブルである。ネットワークアドレステーブル117は、ネットワークセグメントIDと、プレフィックスと、プラントIDと、VLAN IDとを関連付けて記憶する。ネットワークセグメントIDは、ネットワークセグメントを一意に識別する識別情報である。プレフィックスは、当該ネットワークセグメントを特定するためのネットワークアドレスのプレフィックスの値である。VLAN IDは、当該ネットワークセグメントに関連付けられたVLANを示すVLAN IDである。ネットワークセグメントにVLANが設定されていない場合、VLAN IDの値は空白であってよい。なお、本実施形態では、対応するVLANを参照可能とするためにネットワークアドレステーブルがVLAN IDを記憶するが、他の実施形態では、VLAN IDに代えて例えばVLANテーブル116の主キーを記憶してもよい。
【0019】
接続情報テーブル118は、ネットワークインタフェースどうしの接続に関する情報を管理するためのテーブルである。接続情報テーブル118は、接続元のデバイスIDと、接続元のインタフェースIDと、接続先のデバイスIDと、接続先のインタフェースIDとを関連付けて記憶する。デバイスIDとインタフェースIDの組み合わせは、まとめて1項目の値として取り扱われてもよい。なお、他の実施形態においては、接続情報テーブル118は接続元のインタフェースIDと接続先のインタフェースIDとを関連付けて記憶するものであってよい。この場合、ネットワークシステム1は、インタフェーステーブル114を参照することで、インタフェースIDからデバイスIDを特定することができる。
【0020】
モジュールフォーマットテーブル119は、物理デバイス50を設定するための個別モジュールのフォーマットであるモジュールフォーマットMFを物理デバイス50の機種ごとに記憶するテーブルである。
図3は、第1の実施形態に係るモジュールフォーマットMFおよび個別モジュールIMの例を示す図である。個別モジュールIMは、設定される各項目について、コマンド名と、実行対象となる項目を示す第1パラメータと、当該項目の設定値を示す第2パラメータとを含む。コマンド名は、物理デバイス50ごと、設定される項目ごとに異なっていてよい。コマンド名の例としては、“set”、“change”などが挙げられる。第1パラメータの例としては、“hostname”、“language”、“timeout”などが挙げられる。なお、コマンドによっては、パラメータが1つのもの、3つ以上のものがあってよい。モジュールフォーマットMFでは、
図3に示すように、第1パラメータおよび第2パラメータが変数で表されており、当該変数の値は、代入すべき項目名または設定値を表す。
【0021】
図3に示す例では、モジュールフォーマットMFには変数として{device.name}、{interface.common_name}、{ip_address.ip_address}、{vlan.vlan_id}、{vlan.vlan_name}が含まれる。{device.name}は、デバイステーブル113のデバイス名を代入するための変数である。{interface.common_name}は、インタフェーステーブル114の共通インタフェース名を代入するための変数である。{ipaddress.ipaddress}は、IPアドレステーブル115のIPアドレスを代入するための変数である。{vlan.vlan_id}は、VLANテーブル116のVLAN IDを代入するための変数である。{vlan.vlan_name}は、VLANテーブル116のVLAN名を代入するための変数である。
モジュールフォーマットMFの各変数に値が代入されることで、
図3に示すような個別モジュールIMが生成される。なお、各変数に代入される値は、各テーブルの値そのもののほか、テーブルの値に所定の変換処理を行ったものでもありうる。
【0022】
ウェブサーバ部12は、ネットワークシステム1の管理者からウェブブラウザなどによるアクセスを受け付ける。ウェブサーバ部12は、アクセスに応答して、記憶部11が記憶するテーブルの値の編集のためのウェブページである編集画面を作成し、当該編集画面をウェブブラウザに表示させる。ウェブサーバ部12は、編集画面を介して、管理者からテーブルの値の入力を受け付ける。
【0023】
図4は、第1の実施形態に係るデバイステーブル113の編集画面の一例である。
デバイステーブル113の編集画面には、論理デバイスを縦方向に並べ、項目名を横方向に並べたデバイスリストL1が含まれる。デバイスリストL1の各セルは入力フォームになっている。具体的には、デバイスリストL1は、論理デバイスごとのデバイスID、デバイス名、プラント名および機種名、並びにインタフェースの編集ボタンおよび詳細ボタンを格納するリストである。デバイスリストL1のうち、デバイス名、プラント名および機種名が表示されるセルは入力フォームとなっている。デバイス名の入力フォームはテキストボックスであり、プラント名および機種名の入力フォームはドロップダウンリストである。プラント名は、プラントマスタ111に格納されたプラント名の中から選択可能である。機種名は、デバイスタイプマスタ112に格納された機種名の中から選択可能である。デバイスリストL1は編集リストの一例である。
デバイステーブル113の編集画面には、追加ボタンが含まれる。追加ボタンが押下されると、新たな論理デバイスの情報の入力を受け付ける追加画面が表示される。
デバイスリストL1の詳細ボタンが押下されると、押下された行に対応する論理デバイスの個別の詳細編集画面が表示される。個別の詳細編集画面には、当該論理デバイスの各項目の入力フォームが含まれ、各項目の編集が可能である。つまり、ユーザは、
図4に示すデバイスリストL1の入力フォームを用いて複数の論理デバイスについて並列に編集処理を行ってもよいし、詳細編集画面から個別の論理デバイスについて編集処理を行ってもよい。
【0024】
図5は、第1の実施形態に係る論理デバイスのインタフェース編集画面の一例である。
ユーザがデバイスリストL1のインタフェースの編集ボタンを押下すると、ウェブサーバ部12は、押下された行に対応する論理デバイスが備えるインタフェースの編集画面を生成する。論理デバイスのインタフェース編集画面には、選択された論理デバイスのインタフェースを縦方向に並べ、項目名を横方向に並べた個別インタフェースリストL11が含まれる。個別インタフェースリストL11の各セルは入力フォームになっている。具体的には、個別インタフェースリストL11は、インタフェースごとのインタフェースID、共通インタフェース名、IPアドレス、および接続先を格納するリストである。個別インタフェースリストL11のうち、IPアドレスおよび接続先が表示されるセルは入力フォームになっている。
IPアドレスの入力フォームは、リストと追加ボタンとを含む。リストには当該インタフェースに割り当てられたIPアドレスが表示される。各IPアドレスには削除ボタン(
図5における「×」ボタン)が割り当てられており、割り当てられた削除ボタンが押下されると、当該IPアドレスが削除される。追加ボタンを押下すると、コンボボックスが表示される。当該コンボボックスにおいて、IPアドレステーブル115に登録されているIPアドレスから1つを選択可能である。IPアドレステーブル115に登録されていないIPアドレスが入力フォームに入力された場合、記録部13は、当該IPアドレスに係る情報を作成し、IPアドレステーブル115に当該情報を新たに登録する。選択され、または入力されたIPアドレスがリストに追加される。
接続先の入力フォームは、デバイス名のドロップダウンリストと、共通インタフェース名のドロップダウンリストとを含む。デバイス名は、デバイステーブル113に格納されたデバイス名の中から選択可能である。共通インタフェース名は、デバイス名のドロップダウンリストにて選択された論理デバイスの機種に関連付けてデバイスタイプマスタ112に格納された共通インタフェース名の中から選択可能である。
【0025】
図6は、第1の実施形態に係る論理デバイスのインタフェース追加画面の一例である。
論理デバイスのインタフェース編集画面には、作成ボタンが含まれる。追加ボタンが押下されると、当該論理デバイスが備える新たなインタフェースの情報の入力を受け付けるインタフェース追加画面が表示される。論理デバイスのインタフェース追加画面には、新たなインタフェースに関する各項目の入力フォームが含まれる。具体的には、インタフェース追加画面には、デバイス名、共通インタフェース名、IPアドレス、接続先などの入力フォームが含まれる。インタフェース追加画面のうち、論理デバイスの入力フォームには、選択された論理デバイスの名称が予め入力されている。なお、他の実施形態では、接続先は、インタフェース追加画面とは別個に設けられた接続情報設定画面にて編集されてもよい。
【0026】
図7は、第1の実施形態に係るインタフェーステーブル114の編集画面の一例である。
ウェブサーバ部12は、インタフェーステーブル114に登録された複数のインタフェースに関する情報を編集する編集画面を作成することができる。
インタフェーステーブル114の編集画面には、各論理デバイスのインタフェースを縦方向に並べ、項目名を横方向に並べたインタフェースリストL2が含まれる。インタフェースリストL2の各セルは入力フォームになっている。具体的には、インタフェースリストL2は、インタフェースごとのインタフェースID、デバイス名、共通インタフェース名およびIPアドレスを格納するリストである。インタフェースリストL2のうち、デバイス名、インタフェース名およびIPアドレスが表示されるセルは入力フォームになっている。デバイス名の入力フォームはドロップダウンリストである。デバイス名は、デバイステーブル113に格納されたデバイス名の中から選択可能である。デバイス名に係るドロップダウンリストは、共通項目名フォームの一例である。インタフェース名の入力フォームはコンボボックスである。コンボボックスは、文字列の自由入力を受け付けるテキストボックスと、ドロップダウンリストとを組み合わせたフォームである。インタフェース名は、予め定められた使用可能なインタフェース名のリストの中から選択可能である。また、インタフェーステーブル114に登録されていないインタフェース名が入力フォームに入力された場合、記録部13は、当該インタフェース名に係るインタフェースの情報を作成し、インタフェーステーブル114に当該情報を新たに登録する。インタフェースリストL2は編集リストの一例である。
IPアドレスの入力フォームは、リストと追加ボタンとを含む。リストには当該インタフェースに割り当てられたIPアドレスが表示される。各IPアドレスには削除ボタン(
図7における「×」ボタン)が割り当てられており、割り当てられた削除ボタンが押下されると、当該IPアドレスが削除される。追加ボタンを押下すると、コンボボックスが表示される。当該コンボボックスにおいて、IPアドレステーブル115に登録されているIPアドレスから1つを選択可能である。IPアドレステーブル115に登録されていないIPアドレスが入力フォームに入力された場合、記録部13は、当該IPアドレスに係る情報を作成し、IPアドレステーブル115に当該情報を新たに登録する。選択され、または入力されたIPアドレスがインタフェースリストL2に追加される。
インタフェーステーブル114の編集画面には、追加ボタンが含まれる。追加ボタンが押下されると、新たなインタフェースの情報の入力を受け付ける追加画面が表示される。
【0027】
上述の通り、ウェブサーバ部12は、共通項目名であるデバイス名や共通インタフェース名などの値の入力を、
図4~7に示す編集画面にて受け付ける。つまり、ウェブサーバ部12は、デバイスIDと、複数の共通項目の1つを一意に特定する共通項目名と、共通項目名が示す共通項目の設定値とを、ユーザに、ネットワーク図を用いることなく、指定させる指定部の一例である。なお、他の実施形態においては、指定部はウェブサーバ部でなくてもよい。つまり、他の実施形態に係るネットワークシステム1は、ウェブインタフェースを介さずに設定値の指定を受け付けてもよい。
【0028】
記録部13は、ウェブサーバ部12によって表示された編集画面において変更された値に基づいて、テーブルを更新する。例えば、
図4に示すデバイスリストL1のデバイス名が変更されると、記録部13は変更された行に係るデバイスIDを特定し、デバイステーブル113において、特定されたデバイスIDに関連付けられたデバイス名の値を、変更後の値に更新する。また例えば、
図4に示すデバイスリストL1のプラント名が変更されると、記録部13は書き換えられた行に係るデバイスIDを特定し、デバイステーブル113において、特定されたデバイスIDに関連付けられたプラントIDの値を、プラントマスタ111において変更後のプラント名に関連付けられたプラントIDの値に更新する。
例えば、
図7に示すインタフェースリストL2のデバイス名が変更されると、記録部13は変更された行に係るインタフェースIDを特定し、インタフェーステーブル114において、特定されたインタフェースIDに関連付けられたデバイスIDの値を、デバイステーブル113において変更後のデバイス名に関連付けられたデバイスIDの値に更新する。また例えば、
図7に示すインタフェースリストL2のIPアドレスの値が変更されると、記録部13は書き換えられた行に係るインタフェースIDを特定し、IPアドレステーブル115において、変更後のIPアドレスに関連付けられたインタフェースIDの値を、特定したインタフェースIDに更新する。
また記録部13は、編集画面の追加ボタンの押下によって表示される追加画面に入力されたデータに基づいて、テーブルを更新する。
【0029】
クエリ処理部14は、入力されたクエリに従って記憶部11が記憶する情報を取得する。
【0030】
《設定装置30》
図8は、第1の実施形態に係る設定装置30のソフトウェア構成を示すブロック図である。
設定装置30は、記憶部31、受付部32、取得部33、判定部34、決定部35、生成部36、設定部37を備える。
【0031】
受付部32は、物理デバイス50の設定を行う作業者から、物理デバイス50に実装する論理デバイスのデバイスIDの入力を受け付ける。
取得部33は、データベース装置10から入力されたデバイスIDに係る論理デバイスを物理デバイス50に実装するための個別モジュールIMの作成に用いる情報を取得する。具体的には、受付部32に入力されたデバイスIDに基づいて情報を得るためのクエリを生成し、生成したクエリをデータベース装置10に送信する。これにより、取得部33は、クエリに対する応答としてデータベース装置10から論理デバイスを物理デバイス50に実装するための個別モジュールIMの作成に用いる情報を取得することができる。取得部33が取得する情報は、項目名と設定値の組、デフォルト設定データ、および変換データを含む。
【0032】
判定部34は、取得部33が取得した項目名と設定値のそれぞれについて、変換データにおいて個別項目名が設定されているか否かを判定する。例えば、判定部34は、インタフェーステーブルから取得された、項目名「共通インタフェース名」に関連付けられた設定値「LAN_01/01」について、変換データにおいて対応する個別項目名(個別インタフェース名)が設定されていると判定する。なお、共通インタフェース名の例においては、設定値について個別項目名が設定されているが、他の項目においては、項目名について個別項目名が設定されていることがあってもよい。例えば、IPアドレスにおけるネットワークアドレスを示す領域を設定するために、サブネットマスクを示す32ビットの値を設定する機種と、プリフィックス長を表す整数値を設定する機種とが存在する場合に、項目名「ネットワークアドレス領域」について個別項目名「サブネットマスク」または個別項目名「プリフィックス長」が設定されていてもよい。例えば、機器に設定するホスト名が文字数制限等の仕様により、記憶サーバに登録しているデバイス名を設定できない場合、項目名「デバイス名」について個別項目名「短縮ホスト名」が設定されていてもよい。
判定部34の機能を実現するプログラムは、データベース装置10に記録されていてもよい。この場合、設定装置30は、当該プログラムをデータベース装置10からダウンロードして実行することで、判定部34としての機能を備えてもよい。この場合、ネットワークシステム1が複数の設定装置30を備えていても、判定部34の機能を一元管理することができる。
【0033】
決定部35は、個別モジュールIMの第1パラメータに用いる値を決定する。決定部35は、判定部34によって個別項目名が設定されていると判定された場合に、個別モジュールIMの第1パラメータに当該個別項目名を用いることを決定する。決定部35は、判定部34によって個別項目名が設定されていないと判定された場合に、個別モジュールIMの第1パラメータに項目名または設定値を用いることを決定する。
【0034】
生成部36は、取得部33が取得した情報と決定部35が決定した値とを、記憶部31が記憶するフォーマットに当てはめることで、論理デバイスを物理デバイス50に実装するために用いる個別モジュールIMを生成する。
設定部37は、生成部36が生成した個別モジュールIMを用いて物理デバイス50の設定を実行する。
取得部33、決定部35および生成部36の機能を実現するプログラムは、データベース装置10に記録されていてもよい。この場合、設定装置30は、当該プログラムをデータベース装置10からダウンロードして実行することで、取得部33、決定部35および生成部36としての機能を備えてもよい。なお、当該プログラムは、適用するデバイスの機種別に用意されていてよく、物理デバイス50の機種に応じて選択して実行されてよい。
【0035】
《ネットワークの設計について》
図9は、第1の実施形態に係るネットワーク機器の設定処理を示す第1のフローチャートである。
ネットワークの設計者は、データベース装置10へアクセスし、デバイステーブル113、インタフェーステーブル114およびIPアドレステーブル115にネットワークの設計情報を入力する(ステップS1)。なお、ネットワークの設計段階において具体的な物理デバイス50の機種は決まっていないこともあるため、設計段階においては、デバイステーブル113の機種IDの値は空白であってよい。なお、デバイスタイプマスタ112に実装する物理デバイス50の機種が存在しない場合には、設計者は、設計情報として、デバイスタイプマスタ112に機種情報を入力する(ステップS2)。なお、デバイスタイプマスタ112への機種情報の入力は、物理デバイス50の機種が決まったときになされればよい。デバイスタイプマスタ112に実装する物理デバイス50の機種が存在する場合は、設計者は、ステップS2の処理を行わなくてよい。
【0036】
図10は、第1の実施形態に係る機器の設定処理を示す第2のフローチャートである。
設計が完了すると、設定作業者は、デバイステーブル113に登録された各論理デバイスを実装する物理デバイス50の機種を決定する。ネットワークの設定作業者は、デバイステーブル113の機種IDに決定した機種を示す値を入力することで、設計情報と機種情報とを紐づける(ステップS3)。
【0037】
図11は、第1の実施形態に係る機器の設定処理を示す第3のフローチャートである。
次に、デバイスの設置作業者は、決定した機種に係る未設定の物理デバイス50を、設定装置30に接続する(ステップS4)。物理デバイス50と設定装置30とは、LANによって接続される等、ネットワーク経由で接続されてもよいし、USBなどの他の手段を介して接続されてもよい。なお、物理デバイス50に論理デバイスを実装する段階では、少なくとも設定対象の機種の機種IDがデバイステーブル113に記録されている必要がある。
【0038】
ネットワークの設定作業者は、ステップS4で接続した物理デバイス50に実装する論理デバイスのデバイスIDを設定装置30に入力する。設定装置30の受付部32はデバイスIDの値の入力を受け付ける(ステップS5)。
【0039】
取得部33は、ステップS4で入力されたデバイスIDの値を用いてデータベース装置10から情報を得るためのクエリを生成し、クエリをデータベース装置10に送信する(ステップS6)。取得部33が生成するクエリは、
入力された値をデバイスIDに持つタプル(第1タプル)をデバイステーブル113から取得するクエリ、
入力された値をデバイスIDに持つタプル(第2タプル)をインタフェーステーブル114から取得するクエリ、
第1タプルに係る機種IDの値に係るタプル(第3タプル)をデバイスタイプマスタ112から取得するクエリ、
第1タプルに係るプラントIDの値に係るタプル(第4タプル)をプラントマスタ111から取得するクエリ、
第2タプルに係るインタフェースIDの値に係るタプル(第5タプル)をIPアドレステーブル115から取得するクエリ、
第1タプルに係る機種IDに係るタプル(第6タプル)をモジュールフォーマットテーブル119から取得するクエリ、
並びに、その他の第1タプルに係るデバイスに関するタプルを取得するクエリを含む。なお、第1ダプルと第2タプルは、いずれも入力された値をデバイスIDに持つタプルではあるものの、第1タプルはデバイステーブルのタプル、第2タプルはインタフェーステーブルのタプルであることから、互いに異なる値を有している。
データベース装置10のクエリ処理部14は、設定装置30から送信されたクエリに従って各テーブルから情報を取得し、設定装置30に送信する。
取得部33は、データベース装置10からクエリに対する応答として情報を取得する(ステップS7)。これにより、取得部33は、データベース装置10から、デバイス名、各インタフェースのIPアドレス、デフォルト設定データなどの設定値、ポリシー情報、モジュールフォーマットMF、変換データなどを取得する。
【0040】
設定装置30は、ステップS7で取得されたモジュールフォーマットMFに含まれるパラメータの変数を1つずつ選択し(ステップS8)、以下のステップS9からステップS11の処理を実行する。
【0041】
判定部34は、選択されたパラメータの共通項目名が変換データの対象か否かを判定する。具体的には、判定部34は、選択されたパラメータの共通項目名が、ステップS7で取得した変換データによる変換の対象か否かを判定する(ステップS9)。選択されたパラメータの共通項目名が変換の対象である場合(ステップS9:YES)、決定部35は、当該パラメータの共通項目名を、変換データにおいて共通項目名に対応付けられた個別項目名に置き換える(ステップS10)。選択されたパラメータの共通項目名が変換データによる変換の対象でない場合(ステップS9:NO)、決定部35は、当該パラメータの値を変更しない(ステップS11)。
【0042】
モジュールフォーマットMFの変換対象の共通項目名がすべて個別項目名に置き換えられると、生成部36は、モジュールフォーマットMFの各パラメータを表す変数に、ステップS7で取得された設定値を代入する(ステップS12)。
このとき、生成部36は、ステップS6で取得したポリシー情報に基づいて、プラントPのセキュリティポリシーを順守するように第2パラメータの値を調整する。具体的には、生成部36は、ステップS6で取得したポリシー情報とステップS7で取得された設定値とに基づいて、モジュールフォーマットMFと組み合わせるべきパラメータの設定値を生成する。生成部36は、モジュールフォーマットMFの各変数のうち、ポリシー情報から生成されたパラメータに対応する変数に、ポリシー情報から生成した設定値を代入する。生成部36は、モジュールフォーマットMFの他の変数に、ステップS7で取得された設定値を代入する。
また、例えば、メーカによってデータの処理手順が異なるので、生成部36は、メーカに応じて第2パラメータの値を調整してもよい。例えば、ある通信経路にメーカXのルータとメーカYのルータが存在する場合において、メーカXのルータとメーカYのルータとはデータの処理手順が異なることがある。メーカXのルータは、以下のパラメータ群について値を設定する必要がある。
・From
・To
・入力インタフェース
・出力インタフェース、
・通信プロトコル
・通信可否
メーカYのルータは、入力インタフェースと出力インタフェースのそれぞれについて、以下のパラメータ群の値を設定する必要がある。
・From
・To
・通信プロトコル
・適用インタフェース
・通信可否
このように、メーカによってデータの処理手順が異なる場合、生成部36は、メーカごとの処理手順に従ってパラメータの値を設定する。メーカごとの処理手順は、例えば予めデータベース装置10に記録されていてよい。
なお、適用インタフェースは、メーカYのルータの入力インタフェース、又は、メーカYのルータの出力インタフェース、を特定する情報である。
【0043】
モジュールフォーマットMFのすべての行の変数に値が代入されることで、個別モジュールIMが生成される。設定部37は、生成された個別モジュールIMに従って、ステップS3で接続された物理デバイス50の設定を行う(ステップS13)。設定部37は、個別モジュールIMがコンフィグレーションファイルである場合、当該コンフィグレーションファイルを物理デバイス50に記録する。設定部37は、個別モジュールIMがバッチファイルである場合、当該バッチファイルを実行する。設定部37は、バッチファイルを実行すると、バッチファイルに従ってコマンドを物理デバイス50に送信する。設定部37は、個別モジュールIMがコマンド列である場合、当該コマンド列を物理デバイス50に送信する。
【0044】
これにより、物理デバイス50の設定がなされる。設定された物理デバイスは、対応するプラントPに搬送され、プラントPにおいてネットワークに組み込まれる。
【0045】
ここで、具体的なネットワークの構築作業の例について説明する。
例えば、第1プラントP1に物理デバイス50Aを設け、第2プラントP2に物理デバイス50Bを設ける場合、設置作業者は、物理デバイス50A及び物理デバイス50Bをネットワーク設定施設Cに仮設置する。設置作業者は、まず物理デバイス50Aを設定装置30に接続させる。設置作業者は、設定装置30に物理デバイス50Aに実装させる論理デバイスのデバイスIDを入力することで、物理デバイス50Aが処理可能な個別モジュールIMの生成を指示する。これにより、設定装置30は、
図11に示す処理に従って個別モジュールIMを生成し、物理デバイス50Aのネットワーク設定を行う。このとき、物理デバイス50Aは、個別モジュールIMによって、第1プラントP1のセキュリティポリシーを順守するように設定される。
【0046】
次に、設置作業者は、物理デバイス50Bを設定装置30に接続させる。設置作業者は、設定装置30に物理デバイス50Bに実装させる論理デバイスのデバイスIDを入力することで、物理デバイス50Bが処理可能な個別モジュールIMの生成を指示する。これにより、設定装置30は、
図11に示す処理に従って個別モジュールIMを生成し、物理デバイス50Bのネットワーク設定を行う。このとき、物理デバイス50Aは、個別モジュールIMによって、第2プラントP2のセキュリティポリシーを順守するように設定される。
【0047】
設置作業者は、ネットワーク設定された物理デバイス50Aを、第1プラントP1に設置する。また、設定作業者は、ネットワーク設定された物理デバイス50Bを、第2プラントP2に設置する。
【0048】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態に係るネットワークシステム1のデータベース装置10は、ウェブサーバ部12(指定部)と記録部13とを備える。ウェブサーバ部12は、複数の論理デバイスの1つを特定するデバイスIDと、複数の共通項目の1つを一意に特定する共通項目名と、共通項目名が示す共通項目の設定値とを、ネットワーク設計者などの第1ユーザに、ネットワーク図を用いることなく、指定させる。記録部13は、ウェブサーバ部12によって指定されるデバイスIDと、ウェブサーバ部12によって指定される共通項目名と、ウェブサーバ部12によって指定される設定値と、を関連付けて記憶部11に記憶させる。ネットワークシステム1の設定装置30は、受付部32、取得部33、生成部36を備える。受付部32は、設定作業者などの第2ユーザからデバイスIDを受け付ける。取得部33は、受付部32によって受け付けられたデバイスIDに関連付けて記憶される共通項目名及び設定値を記憶部11から取得する。生成部36は、受付部32によって受け付けられるデバイスIDと、取得部33によって取得される共通項目名及び設定値と、を用い、受付部32によって受け付けられたデバイスIDが示す論理デバイスが処理可能な形式の個別モジュールIMを生成する。複数のデバイスのそれぞれは、設定装置30によって生成される個別モジュールIMを受信する受信部を備える。
これにより、ネットワークシステム1は、ネットワーク図を用いることなくネットワーク機器を容易に設定することができる。ネットワーク図は、ネットワーク機器同士の接続関係を直感的に理解できる一方で、設定値などを確認することが困難であり、また機器の数が多い場合にはかえって接続関係が読み取れなくなることがある。これに対し、第1の実施形態に係るネットワークシステム1によれば、DCIM/IPAM機能を有するデータベース装置10を用いてネットワーク機器の情報を設定することができる。
【0049】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
上述した実施形態に係るデータベース装置10および設定装置30は、それぞれ単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで機能するものであってもよい。また他の実施形態においては、データベース装置10および設定装置30が同一のコンピュータに実装されてもよい。
【0050】
上述した実施形態に係るデータベース装置10および設定装置30は、ネットワーク機器である物理デバイス50のネットワーク設定を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るデータベース装置10および設定装置30は、同様の構成により、物理デバイス50のアプリケーションのインストールおよび設定を行ってもよい。例えば、アプリケーションのライセンス管理のためにデータベース装置10が用いられてもよい。
【0051】
〈コンピュータ構成〉
図12は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ70は、プロセッサ71、メインメモリ72、ストレージ73、インタフェース74を備える。
上述のデータベース装置10および設定装置30は、それぞれコンピュータ70に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ73に記憶されている。プロセッサ71は、プログラムをストレージ73から読み出してメインメモリ72に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ71は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ72に確保する。プロセッサ71の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0052】
プログラムは、コンピュータ70に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ70は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ71によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。また、他の実施形態においては、コンピュータ70は、1または複数のコンピュータ上で仮想化されたものであってもよい。
【0053】
ストレージ73の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ73は、コンピュータ70のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース74または通信回線を介してコンピュータ70に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ70に配信される場合、配信を受けたコンピュータ70が当該プログラムをメインメモリ72に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ73は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0054】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ73に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…ネットワークシステム 10…データベース装置 11…記憶部 111…プラントマスタ 112…デバイスタイプマスタ 113…デバイステーブル 114…インタフェーステーブル 115…IPアドレステーブル 12…ウェブサーバ部 13…記録部 14…クエリ処理部 30…設定装置 31…記憶部 32…受付部 33…取得部 34…判定部 35…決定部 36…生成部 37…設定部 50…物理デバイス 70…コンピュータ 71…プロセッサ 72…メインメモリ 73…ストレージ 74…インタフェース C…ネットワーク設定施設 L1…デバイスリスト L2…インタフェースリスト P…プラント MF…モジュールフォーマット IM…個別モジュール
【要約】
【課題】ネットワーク図を用いることなくネットワーク機器を容易に設定する。
【解決手段】指定部は、デバイスIDと共通項目名と設定値とを、ネットワーク図を用いることなく指定させる。記録部は、指定されたデバイスIDと共通項目名と設定値とを関連付けて記憶部に記憶させる。受付部は、第2ユーザからデバイスIDを受け付ける。取得部は、受け付けられたデバイスIDに関連付けて記憶される共通項目名及び設定値を記憶部から取得する。生成部は、受け付けられたデバイスIDと取得された共通項目名及び設定値とを用い、個別モジュールを生成する。
【選択図】
図1