(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-29
(45)【発行日】2025-02-06
(54)【発明の名称】保持器及び該保持器を備える転がり軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 33/44 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
F16C33/44
(21)【出願番号】P 2024560780
(86)(22)【出願日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2024027151
【審査請求日】2024-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2023130334
(32)【優先日】2023-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠山 裕隆
(72)【発明者】
【氏名】小池 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】松田 倫宜
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/154124(WO,A1)
【文献】特開2019-178231(JP,A)
【文献】特開2017-179065(JP,A)
【文献】特開2017-227327(JP,A)
【文献】特開2023-89646(JP,A)
【文献】特開2016-194046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と繊維状強化材とを含む軸受保持器であって、
前記繊維状強化材が、PAN系炭素繊維と、ピッチ系炭素繊維を含み、
前記軸受保持器に含まれる、
前記ピッチ系炭素繊維は、前記PAN系炭素繊維より平均繊維径が大きい
、
軸受保持器。
【請求項2】
樹脂と繊維状強化材とを含む軸受保持器であって、
前記繊維状強化材が、PAN系炭素繊維と、ピッチ系炭素繊維を含み、
前記軸受保持器に含まれる、
前記ピッチ系炭素繊維は、前記PAN系炭素繊維より平均繊維長が短い
、
軸受保持器。
【請求項3】
前記ピッチ系炭素繊維は、等方性ピッチ系炭素繊維である、
請求項
1に記載の軸受保持器。
【請求項4】
樹脂と繊維状強化材とを含む軸受保持器であって、
前記繊維状強化材が、PAN系炭素繊維と、ピッチ系炭素繊維を含み、
前記軸受保持器に含まれる、
前記PAN系炭素繊維の繊維長の四分位範囲
が90μm以上であり、
前記ピッチ系炭素繊維の繊維長の四分位範囲
が40μm以下である、
軸受保持器。
【請求項5】
前記軸受保持器に含まれる、
前記ピッチ系炭素繊維と前記PAN系炭素繊維の含有割合は、質量比で、ピッチ系炭素繊維:PAN系炭素繊維=1:5~5:1である、
請求項
1に記載の軸受保持器。
【請求項6】
前記軸受保持器に含まれる、
前記PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維は、その合計量で、軸受保持器
の質量を100質量部
としたとき、10~35質量部の割合で含有される、
請求項1に記載の軸受保持器。
【請求項7】
前記樹脂がポリアミド系樹脂を含む、
請求項1に記載の軸受保持器。
【請求項8】
前記ポリアミド系樹脂が半芳香族ポリアミドである、
請求項
7に記載の軸受保持器。
【請求項9】
前記ポリアミド系樹脂が、ポリノナメチレンテレフタルアミド(PA9T)又はポリアミド46(PA46)である、
請求項
7に記載の軸受保持器。
【請求項10】
請求項1乃至請求項
9のうち何れか一項に記載の軸受保持器を備える、転がり軸受。
【請求項11】
請求項
10に記載の転がり軸受を備えているモータ。
【請求項12】
請求項
10に記載の転がり軸受を備えているデンタルハンドピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転がり軸受に備えられる保持器、並びに該保持器を備える転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受内の転動体(ボール)を保持する役割を果たす保持器(リテーナ)は、形状別に、鋼板をプレス成形した部品で構成される波形の保持器と、鋼板のプレス成形や削り出し、或いは樹脂の成形などにて造られる冠形またはもみ抜きの保持器に大別される。樹脂製の保持器は高速回転時や低騒音の用途に使用され、金属材料に比べて軽量かつ複雑な形状の成形が容易であり生産性が高いというメリットを有するため、その適用範囲が拡大している。
近年、自動車やクリーナー等、各種駆動用モータにおいて小型化・軽量化と高出力化を両立するべく、モータそして軸受のさらなる高速回転化が求められる中、軸受を構成する保持器にも、より高速回転に対応できる製品、たとえば高速回転に伴い起こりやすくなる摩擦摩耗や変形等に対応できる製品が求められている。
冠形保持器はその名称通り、環状の基部に軸方向に突出した複数の“つの”を配した外観形状を有しており、回転によって生ずる遠心力によってこの“つの”が変形しやすいとされ、例えば、軸受の高速回転時であっても変形が生じにくく、ボールの保持能力の向上を図った冠形保持器として、炭素繊維を含む樹脂組成物で形成された冠形保持器が提案されている(特許文献1)。
またもみ抜き保持器は、例えば成形された樹脂を切削加工等によってボールの保持部等を形成することで得られる保持器を指し、円筒形状の樹脂成形体に、径方向に貫通するボール保持孔を形成してなる。このような形状を有するもみ抜き保持器は、前記冠形保持器のような“つの”を有さないため、高速回転に伴う変形がより生じにくいとされる。例えば高温高湿環境下での強度低下を図った玉軸受の提案において、炭素繊維を含む樹脂組成物で形成されたもみ抜き保持器の採用が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-3070号公報
【文献】特許第6776485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高速回転が想定される使用環境に適した樹脂製の軸受保持器及び該軸受保持器を備える転がり軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、樹脂と繊維状強化材とを含む軸受保持器であって、前記繊維状強化材が、少くとも2種の異なる炭素繊維を含む、軸受保持器に関する。
また本発明は、前記軸受保持器を備えた転がり軸受に関する。
さらに本発明は、前記転がり軸受を備えたモータ並びに前記転がり軸受を備えたデンタルハンドピースに関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の軸受保持器(冠形保持器)の構造の一例を説明する模式図である。
【
図2】本発明の転がり軸受の構造の一例を説明する模式図である。
【
図3】本発明のモータの構造の一例を説明する模式図である。
【
図4】本発明の軸受保持器(もみぬき保持器)の構造の一例を説明する模式図である。
【
図5】本発明の転がり軸受の構造の一例を説明する模式図である。
【
図6】本発明のデンタルハンドピースの一例を説明する模式図であって、デンタルハンドピースの外観図(A)及びデンタルハンドピースのヘッド部周辺の拡大断面図(B)を説明する模式図である。
【
図7】摩擦摩耗試験(荷重9.8N)における、炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例1~例5、例9及び例10の摩擦発熱[℃]の結果、並びに例11~例13の摩擦発熱[℃]の結果を示す図である。
【
図8】摩擦摩耗試験(荷重49N)における、炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例1~例5、例9及び例10の摩擦発熱[℃]の結果、並びに例11~例13の摩擦発熱[℃]の結果を示す図である。
【
図9】摩擦摩耗試験における、炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例6~例8の摩擦発熱[℃]の結果を示す図である。
【
図10】摩擦摩耗試験における、炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例1~例5の摩耗痕幅[mm]の結果を示す図である。
【
図11】引張試験における、炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例1~例5の引張強度[MPa]の結果(●)、例6~例8の結果(○)を示す図である。
【
図12】耐久寿命試験における、炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例1~例5の耐久寿命[hrs]の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
前述の特許文献1に挙げるように、これまでにも軸受の回転に伴って生ずる環状保持器の課題、例えば遠心力による変形に対して、これを抑制するための材料やまた保持器の形状について検討を図った提案がなされている。
しかし近年のより高速回転環境での軸受の使用に際し、高速回転による発熱そしてさらに増加する遠心力によって、軸受に備えられる保持器はますます摩擦摩耗や変形が生じやすい環境にある。また、高速回転による発熱は、潤滑剤の性能にも影響を及ぼす可能性がある。潤滑剤の性能変化によっては、軸受が短寿命となる可能性がある。
なお前述したもみ抜き保持器は冠形保持器に比べ高速回転に伴う変形がより生じにくいとされるものの、回転速度によっては遠心力の影響を避けられず、また摺動部材であるため摩擦摩耗等の課題があることは冠形保持器と同様である。
以上の通り、冠形保持器又はもみ抜き保持器のいずれの保持器においても、これらを備えた転がり軸受において高速回転における耐久性が求められている。
【0008】
本発明者らは、高速回転に適した保持器の提供という課題の検討を進める中、軸受の高速回転により発熱が生じた場合、熱に対して如何に変形し難い材料であったとしても、変形そのものは避けられない点に着目した。さらに上述のように、発熱は潤滑剤にも影響を及ぼすことが考えられる。そこで、発熱そのものを抑制するという観点から保持器の検討を進めたところ、軸受保持器において2種の異なる炭素繊維が存在する態様とすること、さらには、太さや長さの異なる2種の炭素繊維が存在する態様とすることにより、特異的に摩擦発熱が抑制され、これを転がり軸受の保持器に採用することで、軸受の耐久寿命が向上することを初めて見出した。
なお一般に、炭素繊維などの強化材は、その種類や量に応じてマトリクス樹脂に対して特有の特性を付与できることが知られている。そのため、伝熱性能が高いとされるピッチ系炭素繊維の配合によって、軸受保持器の発熱がより抑制されると予想される。しかし後述する実施例の結果に示すように、ピッチ系炭素繊維の存在によって確かに摩擦発熱温度が抑制された結果となったものの、ピッチ系炭素繊維の割合を増加させ、ピッチ系炭素繊維のみとした場合にはむしろ高い摩擦発熱温度を示すという結果となった。この結果は、単に特性を付与できるとみられる炭素繊維を配合しただけでは発熱抑制という効果を得ることはできず、異なる2種の炭素繊維の存在によって初めて発熱抑制ができる点を本発明者らは見出し、本発明を完成させたものである。
以下具体的に説明する。
【0009】
[軸受保持器]
本発明に係る軸受保持器は、樹脂と繊維状強化材とを含む。以下、軸受保持器を構成する各成分について詳述する。
【0010】
<繊維状強化材>
本発明において使用する繊維状強化材は、少くとも2種の異なる炭素繊維を含み、前記炭素繊維としては原料別にPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、及びレーヨン系炭素繊維を挙げることができる。
本発明では上記少くとも2種の異なる炭素繊維として、ポリアクリロニトリルを原料とするPAN系炭素繊維、そして、石炭や石油・コールタールの副生成物(ピッチ)を原料とするピッチ系炭素繊維を採用できる。
前記ピッチ系炭素繊維は、原料ピッチの改質や熱処理の過程によって、光学的に等方性(偏光を示さない)を示す等方性ピッチ系炭素繊維と、光学的に異方性を示す異方性ピッチ系炭素繊維に分類され、本発明では等方性ピッチ系炭素繊維を採用することができる。
【0011】
本発明の軸受保持器における前記ピッチ系炭素繊維と前記PAN系炭素繊維の含有割合は、質量比で、ピッチ系炭素繊維:PAN系炭素繊維=1:5~5:1とすることができ、また例えば同1:4~4:1、あるいは同1:3~3:1とすることができる。
【0012】
本発明の軸受保持器(製品)における、前記ピッチ系炭素繊維とPAN系炭素繊維における平均繊維径の大小や平均繊維長の長短は特に適宜選択され得るが、一態様において、前記ピッチ系炭素繊維は、前記PAN系炭素繊維と比べ、平均繊維径がより大きい(太い)態様とすることができ、また一態様において、前記ピッチ系炭素繊維は、前記PAN系炭素繊維と比べ、平均繊維長がより短い態様とすることができる。
また本発明の軸受保持器(製品)において、前記PAN系炭素繊維の繊維長の四分位範囲(75%繊維長-25%繊維長)を90μm以上、例えば90μm以上200μm以下とすることができ、前記ピッチ系炭素繊維の繊維長の四分位範囲(75%繊維長-25%繊維長)を40μm以下、例えば10μm以上40μm以下とすることができる。
上記PAN系炭素繊維の平均繊維長は、例えば90μm~180μmとすることができ、あるいは例えば100μmから180μmとすることができ、また例えば110μm~170μmとすることができる。またPAN系炭素繊維の平均繊維径は、例えば5μm~10μm、或いは7μm~8μmとすることができる。
上記ピッチ系炭素繊維の平均繊維長は、例えば35μm~55μmとすることができ、また例えば40μm~50μmとすることができる。またピッチ系炭素繊維の平均繊維径は、例えば12μm~18μm、或いは14μm~16μmとすることができる。
【0013】
本発明において、ピッチ系炭素繊維及びPAN系炭素繊維における「平均繊維径」及び「平均繊維長」、並びに、「75%繊維長」及び「25%繊維長」から算出される「四分位範囲」は、軸受保持器の樹脂成分を熱処理にて除去した後、その残渣(繊維状強化材:炭素繊維)の2次元画像解析により得られる値である(なお、樹脂成分の熱処理操作によって、ピッチ系炭素繊維及びPAN系炭素繊維に変性が生じないことを確認している)。
詳細には、前記残渣を画像解析し、繊維径については1μm間隔の区間に分類して度数分布を作成し、繊維長について10μm間隔の区間に分類して度数分布を作成する(後述参照)。このとき、炭素繊維の繊維径は、樹脂との溶融混合操作によって変動がないと考えられ、実際、後述する実施例において、ピッチ系炭素繊維とPAN系炭素繊維を混合した際の繊維径の度数分布は、ピッチ系炭素繊維のみの度数分布とPAN系炭素繊維のみの度数分布を配合割合に応じて重ね合わせたもの(配合割合に応じて、各階級(繊維径)に属する度数が増減する)となったことを確認している。後述する実施例では、各炭素繊維の分類別に繊維径及び繊維長の平均値を算出する。また各炭素繊維の分類別に繊維長の度数分布を作成し、これより四分位数を得て、四分位範囲(75%繊維長(第3四分位)-25%繊維長(第1四分位))を求める。
【0014】
本発明の軸受保持器において、炭素繊維(ピッチ系炭素繊維やPAN系炭素繊維)等の繊維状強化材は、軸受保持器の質量を100質量部としたとき、その合計量にて10~35質量部の割合で含有することができる。
【0015】
<樹脂>
本発明の軸受保持器を構成する樹脂としては、耐熱性に優れるポリアミド系樹脂を選択することができる。
中でも、芳香族成分を部分的に導入して耐熱性等を向上させた半芳香族ポリアミドや、アミド基濃度を高めることで耐熱性を向上させたポリアミド46(PA46)などを用いることができる。
前記半芳香族ポリアミドとは、ポリアミドを構成するジカルボン酸成分またはジアミン成分中に芳香族成分を有するものを指し、一例としてノナンジアミンとテレフタル酸を主成分とするポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T、PA9Tとも)、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸を主成分とするポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T、PA6T)、デカンジアミンとテレフタル酸を主成分とするポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T、PA10T)等を挙げることができる。
【0016】
また、前記樹脂には、ポリアミド系樹脂の他、熱可塑性エラストマー等を含んでいてもよい。このような熱可塑性エラストマーとしては、たとえば酸変性ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0017】
<その他成分>
本発明の軸受保持器は、上記樹脂と繊維状強化材(炭素繊維)以外にも、本発明の効果を損なわない範囲において、公知の各種添加剤を含有していてもよい。
【0018】
軸受保持器は、上記樹脂と上記繊維状強化材を含む樹脂混合物を、射出成形することにより製造可能である。たとえば、二軸押出装置を用いて上記樹脂と上記繊維状強化材(所望により各種添加剤)を溶融混練して樹脂混合物を得、これを所望の形状・大きさの軸受保持器に射出成形すればよい。
また、軸受保持器の他の製造方法として、上記樹脂と上記繊維状強化材を含む樹脂混合物の成形体を切削加工等の機械加工により成形することでも、所望の形状・大きさの軸受保持器を得ることができる。
【0019】
本発明に係る軸受保持器の構造の一例を
図1および
図4に示すが、本発明は以下の実施形態により限定されるものではない。
図1に示すように、軸受保持器の一態様である冠形保持器10は、後述する転がり軸受20(図示せず)の中心軸(回転軸)を中心とする円筒形の環状部材11を有する。環状部材11は外周面及び内周面と、外周面及び外周面を連結する2つの端面11aを有する。環状部材11の一方の端面11aには、玉(後述の
図2中、転動体23、図示せず)を回転可能に収容する複数のボールポケット(凹部)12が、周方向に沿って所定間隔で形成される。更に、環状部材11は、各ボールポケット12の両端部に、上記一方の端面11aから延びる一対の爪13(13a、13b)を備える。一対の爪13は、各ボールポケット12に収容される玉の曲面に沿うように、互いに近づくように湾曲しており、これにより、各ボールポケット12に収容される玉の脱落を防止することができる。また2つのボールポケット12の間には、爪13の存在によりグリースポケット14が形成される。該グリースポケット14にはグリース組成物G(図示せず)が収容され得、該組成物はボールポケット12とそこに収容される玉(後述の
図2中、転動体23)との間の潤滑に寄与する。
また
図4に示すように、軸受保持器の別態様であるもみ抜き保持器64は、後述する転がり軸受50(図示せず)の中心軸(回転軸)Aを中心とする円筒形状の成形体であり、径方向に貫通するように、玉(転動体(図示せず))を転動自在に保持するための複数のポケット(ボール保持孔)41が、周方向に沿って所定間隔で形成されてなる。
【0020】
[転がり軸受]
以下に添付図面を参照して、本発明に係る転がり軸受の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0021】
図2は、本発明の好ましい実施形態の転がり軸受20の径方向の断面図である。転がり軸受20は、従来技術の転がり軸受と同様の基本構造を有するものであって、環状の内輪21と外輪22と複数の転動体23と保持器24とシール部材25とを具備する。
内輪21は、図示を省略するシャフトの外周側に、その中心軸と同軸に設置される円筒形の構造体である。外輪22は、内輪21の外周側で、内輪21と同軸に配置される円筒形の構造体である。複数の転動体23の各々は、内輪21と外輪22との間に形成される環状の軸受空間26内の軌道に配置された玉である。すなわち、本実施形態における転がり軸受20は玉軸受である。
【0022】
本発明の転がり軸受の一実施形態において、保持器24として前述した樹脂と繊維状強化材とを含む冠形保持器(
図1参照)を用いる。保持器24は、軌道内に配置されて複数の転動体23を保持する。先に
図1を用いて説明したように、保持器24は、シャフトの中心軸と同軸に設置される環状体であり、中心軸の方向における一方の側に、転動体23を保持するための複数のポケット部(
図1中、ボールポケット12)を備え、各ポケット部内に転動体23が収容された構造を有する。
【0023】
シール部材25は、外輪22の内周面に固定されて内輪21側に延在し、軸受空間26を密封する。シール部材25により密封された軸受空間26には、通常、グリース組成物Gが封入されている。すなわちグリース組成物Gは、内輪21と外輪22との間に保持される。なお、軸受空間26内部へのグリースGの封入量は、例えばその容積の5~50%とすることができる。
シール部材25は、例えば鋼板又はゴムにより形成され、内輪21の外周と非接触である鋼板シールド、内輪21の外周と非接触である非接触式ゴムシールが挙げられる。本発明にあっては前記鋼板シールド又は非接触式ゴムシールの何れのシール部材でも使用することができる。なお本図はシール部材25を具備する態様であるが、本発明の転がり軸受はシール部材を具備しない転がり軸受の態様も対象とする。
【0024】
また本発明の転がり軸受の別の実施形態を
図5に示す。
図5は、本発明の好ましい実施形態の転がり軸受50の径方向の断面図である。転がり軸受50は、
図2に示す前述の転がり軸受20と同様、従来技術の転がり軸受と同様の基本構造を有するものであって、環状の内輪51と外輪52と複数の転動体53と保持器54を具備し、内輪51と外輪52との間に環状の軸受空間56が形成される。内輪51、外輪52、転動体53、及び軸受空間56は、前述の
図2に示す転がり軸受20の態様における内輪21、外輪22、転動体23、軸受空間26と同様の構成を有する。なお
図5の態様はシール部材を具備しない態様であるが、
図2に示す転がり軸受20の態様のように、シール部材を具備する態様であってもよい。
図5に示す本発明の転がり軸受の別の実施形態において、保持器54として前述した樹脂と繊維状強化材とを含む円筒形状のもみ抜き保持器(
図4参照)を用いる。保持器54は、軌道内に配置されて複数の転動体53を保持する。先に
図4を用いて説明したように、保持器54は、シャフトの中心軸と同軸に設置される環状体であり、転動体53を周方向に間隔をおいて回転可能に保持するための複数のポケット部(
図4中、ポケット41)を備え、各ポケット部内に転動体53が収容される構造を有する。
【0025】
本発明の一実施形態である上記冠形保持器を備えた転がり軸受、また別の実施形態である上記もみ抜き保持器を備えた転がり軸受は、特に大きさや使用条件等は限定されない。
本発明に係る転がり軸受は、自動車、家電機器、情報機器等に用いられるモータ(例えば、ファンモータ、クリーナーモータ)や、デンタルハンドピース等に用いられる軸受装置の転がり軸受として使用することができる。
【0026】
一例として、
図3に、本実施形態の転がり軸受を備えているモータの実施形態について、また
図6に、本実施形態の転がり軸受を備えているデンタルハンドピースの実施形態について、それぞれ詳細に説明するが、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0027】
[モータ]
図3は、本発明の一実施形態のモータにおけるシャフト方向の断面図である。モータ30は、従来技術のモータと同様の基本構造を有するものであって、ハウジング31、ステータ32、コイル33、ロータマグネット34、シャフト35、及びシャフト35を支持する転がり軸受36から構成される。ここで使用される転がり軸受36として、上記冠形保持器(
図1)を備えた転がり軸受(
図2)を用いることができる。
モータ30は、駆動回路を介して電源(以上図示せず)より供給された電流をステータ32に巻回されたコイル33に流すことで磁力が発生し、それによりロータマグネット34が回転し、シャフト35を通じて外部の回転体に回転が伝えられる。
【0028】
[デンタルハンドピース]
デンタルハンドピース(歯科用ハンドピースともいう)は、歯の治療において歯を切削する器具を指し、硬い歯をスムーズに削れるように、ドリルが毎分40万~50万回ともされる超高速で回転する器具である。
図6は、本発明の一実施形態のデンタルハンドピースの外観図(A)及びデンタルハンドピースのヘッド部周辺の拡大断面図(B)である。
図6(A)に示すように、デンタルハンドピース60は、回転機構を有するヘッド部61と、該ヘッド部61に着脱可能に装着された工具62とを有する。デンタルハンドピース60を使用する際には、工具62を高速回転(たとえば毎分40万回転以上)させて、歯の切削等が行われる。
図6(B)に示すように、デンタルハンドピース60のヘッド部61は、ハウジング63の中に、工具62とともに、軸部材64、一対の転がり軸受65、タービン翼66および空気供給口67を有する。工具62は軸部材64に装着され、軸部材64は軸方向に存在する上下一対の転がり軸受65を介してハウジング63に回転自在に支持されている。さらに、軸部材64には、一対の転がり軸受65の間にタービン翼66が取り付けられている。このタービン翼66に対して空気供給口67から圧縮空気を供給すると、タービン翼66が高速回転する。これにより、軸部材64および工具62も高速回転させることができる。なお、デンタルハンドピースはタービン翼66を圧縮空気により高速回転させる構造に限らず、電動モータを介して軸部材64を高速回転させる構造(上記モータと同様の構造)であってもよい。
ここで使用される転がり軸受65として、上記もみ抜き保持器(
図4)を備えた転がり軸受(
図5)を用いることができる。デンタルハンドピース60のヘッド部61において、転がり軸受65の外輪(
図5中、62)はハウジング63に内嵌し、内輪(
図5中、61)は軸部材64に外嵌する。転がり軸受65においては、内輪および外輪が回転軸A(
図5参照)の周りに相対回転自在になっている。すなわち、デンタルハンドピース60を使用する際には、内輪が外輪に対して高速で回転する。
【0029】
本発明は、本明細書に記載された実施形態や具体的な実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
以下の実施例で評価した試験材料の詳細は以下のとおりである。
〈樹脂〉
・PA9T:ジェネスタ(登録商標)N1001A-M41、(株)クラレ製
・PA46:Stanyl(登録商標)TW341、DSM社製
〈炭素繊維〉
・炭素繊維1A(PAN系炭素繊維):テナックス(登録商標)-J HT C702 6MM、帝人(株)製(繊維長:6mm)
・炭素繊維1B(PAN系炭素繊維):テナックス(登録商標)-J HT M100(繊維長:40μm)
・炭素繊維2A(ピッチ系等方性炭素繊維):ドナカーボ(登録商標)・ミルド S2404N、大阪ガスケミカル(株)製(繊維長:40μm、繊維径:13μm)
・炭素繊維2B(ピッチ系等方性炭素繊維):ドナカーボ(登録商標)・ミルド S-246、大阪ガスケミカル(株)製(繊維長:1mm、繊維径:13μm)
注)なお、上記に記載する炭素繊維の繊維長は試験材料自体(樹脂混合前)の平均繊維長(メーカー公称値)であり、樹脂との溶融混練・成形後の繊維長を示すものではない。
【0032】
<樹脂混合物(試験材料)の調製>
下記表1(表1-1~1-3)に示す樹脂種及び炭素繊維種、並びに炭素繊維の配合割合(質量比)にて、例1~例13の樹脂混合物を調製した。なお何れにおいても樹脂80質量部に対して、炭素繊維(合計量)が20質量部となるように混合した。
詳細には、二軸混練押出装置に、表1に示す樹脂(ペレット)と所定量の炭素繊維2A又は炭素繊維1Bを投入して溶融混練した後、ここに所定量の炭素繊維1A又は炭素繊維2Bを投入してさらに溶融混練し、ペレット状の樹脂混合物を得た。なお、例10は樹脂に対して先に炭素繊維2Bを投入し溶融混練した後、炭素繊維1Aを投入して溶融混練し、また例13は樹脂に対して先に炭素原子1Bを投入し溶融混練した後、炭素繊維2Aを投入して溶融混練し、それぞれペレット状の樹脂混合物を得た。
【0033】
【0034】
各例の樹脂混合物(試験材料)を、後述する各種試験に適合する形状(ディスク状、ダンベル状、冠形保持器)に成形し、各種評価に用いた。
以降の説明において、表1に示す樹脂混合物の例番号を、各試験サンプル(ディスク、ダンベル試験片、冠形保持器)の例番号、並びに、各試験評価の例番号としても扱うものとする。
【0035】
<冠形保持器における炭素繊維の分析>
例1~例8の冠形保持器の樹脂成分を熱処理(窒素雰囲気下 600℃ 1時間)にて除去した。熱処理後の残渣である炭素繊維を画像解析し、繊維径については1μm間隔の区間に分類し、繊維長については10μm間隔の区間に分類し、それぞれ度数分布を作成した。なお、炭素繊維1Aと炭素繊維2Aの組み合わせにおいて、繊維径が10μm以上であるもの(太いもの)を炭素繊維2A(ピッチ系炭素繊維)に帰属させ、繊維径が10μm未満であるもの(細いもの)を炭素繊維1A(PAN系炭素繊維)に帰属させ、それぞれの帰属に基づいて繊維径又は繊維長の平均値を得た。
例1~例5に関して得られた結果を表2~表4に示す。
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
<各種評価>
(1)摩擦摩耗試験
摩擦摩耗試験機(UMT TriboLab、ブルカー社製)を用いてボールオンディスク式で摩擦摩耗試験を実施し、サンプルの摩擦発熱及び摩擦摩耗を評価した。
試験は、ディスクとして、上記例1~例13の樹脂混合物から加工した試験板(長さ30mm、幅10mm、厚さ4mm)と、ボール(材質:SUJ2、φ24mm)を用いて実施した。試験条件は、荷重:9.8N又は49Nの2条件、測定温度:室温(25℃±5℃)、ストローク距離:12.5mm(1周期 25mm)、振動数:20Hz(摺動速度:0.5m/s)、試験時間:2分間(全摺動距離:60m)とした。
試験終了後、例1~例5のディスク側の摩耗痕幅の長さ(mm)を計測した(N=3の平均値)。また試験中、例1~例13のボール温度を試験装置付属の熱電対にて測定し、最高値に到達した温度を摩擦発熱(℃)として評価した。
【0040】
図7に、炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例1~例5、例9及び例10(樹脂:PA9T、荷重9.8N)の摩擦発熱[℃]の結果、
図8に炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例1~例5、例9及び例10(樹脂:PA9T、荷重49N)の摩擦発熱[℃]の結果をそれぞれ示す。なお、炭素繊維1A(PAN系)非含有の例11~例13の摩擦発熱の結果についても、2種の炭素繊維を50/50の質量割合で含む例3等の対照例として、
図7(荷重9.8N)及び
図8(荷重49N)のそれぞれにおいて、横軸:炭素繊維1A(PAN系)割合の50%の軸上に合わせて示す。また
図7及び
図8において、例1~例5の結果を白丸(○)、例9の結果をアスタリスク(*)、例10の結果を白三角(△)、例11の結果を十字(+)、例12の結果を白四角(□)、例13の結果を白菱形(◇)にてそれぞれ示す。
また
図9に炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例6~例8(樹脂:PA46)の摩擦発熱[℃]の結果を示す。
図9において、例6~例8における荷重9.8Nの結果を黒丸(●)、荷重49Nの結果を白丸(○)で示す
さらに
図10に炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例1~例5(樹脂:PA9T)の摩耗痕幅[mm]の結果を、それぞれ示す。
図10において、例1~例5における荷重9.8Nの結果を黒丸(●)、荷重49Nの結果を白丸(○)でそれぞれ示す。
また
図7及び
図8、並びに
図10において、炭素繊維1A(PAN系)割合の少ないものから順に例5~例1の結果を示し、
図9における結果は、炭素繊維1A(PAN系)割合の少ないものから順に例8~例6の結果を示すものである。
【0041】
(2)引張試験
引張圧縮試験機(TG-10kN ミネベアミツミ(株)製)を用いて引張試験を実施し、サンプルの引張強度(引張破壊応力)を評価した。
例1~例8の樹脂混合物を、JIS K 7139のダンベル形引張試験片 1Aの規格に従い加工して、各例のダンベル試験片を作製した。
JIS K 7161に準拠し、測定温度:室温(25℃±5℃)にて、つかみ具間距離 115mm、引張速度5mm/minで各例のダンベル試験片を伸長し、引張強度(引張破壊応力)(MPa)を計測した(N=3の平均値)。
【0042】
図11に、炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例1~例5(樹脂:PA9T)の引張強度[MPa]の結果を黒丸(●)、例6~例8(樹脂:PAN46)の結果を白丸(○)にてそれぞれ示す。また
図11における結果は、炭素繊維1A(PAN系)割合の少ないものから順に例5~例1(●)、例8~例6(○)の結果を示すものである。
【0043】
(3)耐久寿命試験
例1~例5の樹脂混合物製の冠形保持器を備えた玉軸受(内径5mm、外径13mm、幅4mm)をハウジングにセットして、該玉軸受の外輪に対してアキシアル方向より2.5Nの予圧をかけた後、該玉軸受の内径にシャフトを挿入して、試験用モータの回転軸にシャフトを結合し、玉軸受が内輪回転するようにした。
ついで、試験温度:室温(25℃±5℃)にて、回転数170,000rpmで玉軸受を回転させ、玉軸受が停止するまでの時間を計測した。
停止条件は、トルクが上昇して、規定よりも10%低下した回転速度となった時点を停止とし、停止するまでの試験時間を耐久寿命(hrs)とした。各例の冠形保持器を備えた玉軸受について、それぞれ3回ずつ試験を行い、平均値として耐久寿命を求めた。
【0044】
図12に、炭素繊維1A(PAN系)の割合[%]に対する例1~例5(樹脂:PA9T)の耐久寿命[hrs]の結果を示す。また
図12における結果は、炭素繊維1A(PAN系)割合の少ないものから順に例5~例1の結果を示すものである。
【0045】
<評価結果>
図7~
図10に示すように、細長い炭素繊維1A(PAN系)と、太くて短い炭素繊維2A(ピッチ系)の配合によって、摩擦発熱(
図7~
図9)及び摩擦摩耗(
図10)が抑制される結果が得られた(例2~例4、例7)。なお
図7及び
図8に示すように、細長い炭素繊維1A(PAN系)と細くて短い炭素繊維1B(PAN系)を配合した例9、細長い炭素繊維1A(PAN系)と太くて長い炭素繊維2B(ピッチ系)を配合した例10、細くて短い炭素繊維1B(PAN系)と太くて長い炭素繊維2B(ピッチ系)を配合した例11、太くて短い炭素繊維2A(ピッチ系)と太くて長い炭素繊維2B(ピッチ系)を配合した例12、そして細くて短い炭素繊維1B(PAN系)と太くて短い炭素繊維2A(ピッチ系)を配合した例13では、上記の細長い炭素繊維1A(PAN系)と太くて短い炭素繊維2A(ピッチ系)の組み合わせ(例2~例4)でみられた摩擦発熱の抑制には至らないとする結果が得られた。
一方、
図11に示すように、引張強度(引張破壊応力)については細長い炭素繊維1A(PAN系)の割合が増加するに連れて、強度が増加する傾向を示した。
また
図12に示すように、軸受の耐久寿命については、摩擦発熱や摩耗摩擦と同様に、細長い炭素繊維1A(PAN系)と太くて短い炭素繊維2A(ピッチ系)の配合によって寿命が延長する結果となった。
以上の通り、引張強度の増加と発熱抑制には相関がみられず、また前述したように、伝熱性能が高いとされるピッチ系炭素繊維だけでは発熱抑制という効果を得ることはできず、2種の炭素繊維の存在によって初めて摩擦発熱や摩耗摩擦が抑制され、軸受の耐久寿命も向上することが確認された。
【0046】
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれものである。
【符号の説明】
【0047】
10…冠形保持器、11…環状部材、11a…端面、12…ボールポケット(凹部)、13(13a、13b)…爪、14…グリースポケット、
20…転がり軸受、21…内輪、22…外輪、23…転動体、24…保持器、25…シール部材、26…軸受空間、
30…モータ、31…ハウジング、32…ステータ、33…コイル、34…ロータマグネット、35…シャフト、36…転がり軸受、
40…もみ抜き保持器、41…ポケット(ボール保持孔)
50…転がり軸受、51…内輪、52…外輪、53…転動体、54…保持器、56…軸受空間、
60…デンタルハンドピース、61…ヘッド部、62…工具、63…ハウジング、64…軸部材、65…転がり軸受、66…タービン翼、67…空気供給口
【要約】
【課題】高速回転が想定される使用環境に適した樹脂製の軸受保持器及び該軸受保持器を備える転がり軸受を提供すること。
【解決手段】樹脂と、少くとも2種の異なる炭素繊維を含む軸受保持器、並びに前記軸受保持器を備えた転がり軸受。
【選択図】
図1