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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】中間像が内部に形成される光学系
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/16 20060101AFI20250131BHJP
   G02B 15/20 20060101ALI20250131BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20250131BHJP
【FI】
G02B13/16
G02B15/20
G02B13/18
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2022531847
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 JP2021022770
(87)【国際公開番号】W WO2021256477
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2024-01-29
(31)【優先権主張番号】P 2020103528
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227364
【氏名又は名称】株式会社nittoh
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】松尾 恭彦
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-143032(JP,A)
【文献】国際公開第2014/045596(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/045559(WO,A1)
【文献】特開2009-192785(JP,A)
【文献】特開2016-156986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間像を挟んで、拡大側に配置された第1の光学サブシステムと、縮小側に配置された第2の光学サブシステムから構成され、
前記第1の光学サブシステムは、第1の絞りに対して、他のレンズを配置可能な間隔であって、他のレンズが配置されていない第1の間隔を空けて拡大側に配置された第1のレンズ群であって、負の屈折力の第1の成分を拡大側に備えた第1のレンズ群と、
前記第1の絞りに対して、他のレンズを配置可能な間隔であって、他のレンズが配置されていない第2の間隔を空けて縮小側に配置された正の屈折力の第2のレンズであって、縮小側に隣接して、前記中間像が拡大側に傾斜するように結像される第2のレンズ群とを含む、光学系。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の間隔SP1と、前記第2の間隔SP2と、前記第1の絞りの有効径SD1とが以下の条件を満たす、光学系。
0.5<SP1/SD1<1.7
0.5<SP2/SD1<1.7
【請求項3】
請求項1または2において、
前記中間像の像面湾曲量IMFcと、前記第1の光学サブシステムの焦点距離f1とが以下の条件を満たす、光学系。
0<|IMFc/f1|<2.5
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記第2のレンズ群は、複数のレンズを含み、それらのレンズの最大有効径Dg2maxと、最小有効径Dg2minとが以下の条件を満たす、光学系。
1<Dg2max/Dg2min<1.7
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記第2のレンズ群は、複数の正の屈折力のレンズを含み、前記第2のレンズ群の前記第1の絞りに面した面から前記中間像に面した面までの長さLg2と、前記複数の正の屈折力のレンズが占める厚みLg2pとが以下の条件を満たす、光学系。
0.5<Lg2p/Lg2<1.0
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、
前記第1の光学サブシステムの焦点距離f1と、当該光学系の広角端における焦点距離fwとが以下の条件を満たす、光学系。
1.0<|f1/fw|<2.0
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記第2のレンズ群は、最も縮小側に、前記中間像の拡大側に隣接した正の屈折力の群末のレンズを含み、前記群末のレンズの焦点距離fg2eと当該光学系の広角端における焦点距離fwとが以下の条件を満たす、光学系。
2.5<|fg2e/fw|<10.0
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記第2のレンズ群は、最も縮小側に、前記中間像の拡大側に隣接した正の屈折力の群末のレンズを含み、前記群末のレンズの拡大側の面の曲率半径Rg2erと当該光学系の広角端における焦点距離fwとが以下の条件を満たす、光学系。
2.0<|Rg2er/fw|<35.0
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかにおいて、
前記第2のレンズ群は、最も中間像側に、正-負-正の屈折力の組み合わせからなる第2の成分を含む、光学系。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかにおいて、
前記第2のレンズ群は、最も中間像側に、縮小側に凸の正の屈折力のレンズを含む、光学系。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかにおいて、
前記第1の光学サブシステムは、フォーカシングの際に移動するレンズを含むフォーカス群を含み、前記フォーカス群は、前記第1のレンズ群の前記第1の成分に含まれる負の屈折力のレンズを含む、光学系。
【請求項12】
請求項11において、
前記フォーカス群は、前記第1のレンズ群の最も拡大側に配置された負の屈折力の第1のレンズを含む、光学系。
【請求項13】
請求項12において、
前記フォーカス群は、前記第1のレンズに加えて、前記第1の光学サブシステムに含まれる少なくとも1枚のレンズを含む、光学系。
【請求項14】
請求項12または13において、
前記フォーカス群は、前記第1のレンズに加えて、前記第2のレンズ群に含まれる少なくとも1枚の正の屈折力のレンズを含む、光学系。
【請求項15】
請求項12ないし14のいずれかにおいて、
前記フォーカス群は、前記第1のレンズを含む第1のフォーカスレンズ群と、前記第1のフォーカスレンズ群と異なる動きを行う第2のフォーカスレンズ群とを含む、光学系。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかにおいて、
前記第2の光学サブシステムは、第2の絞りに対して、他のレンズを配置可能な間隔であって、他のレンズが配置されていない第3の間隔を空けて拡大側に配置された第3のレンズ群であって、負の屈折力の第3の成分を拡大側に備えた第3のレンズ群と、
前記第2の絞りに対して、他のレンズを配置可能な間隔であって、他のレンズが配置されていない第4の間隔を空けて縮小側に配置された正の屈折力の第4のレンズ群とを含む、光学系。
【請求項17】
請求項16において、
前記第3の間隔SP3と、前記第4の間隔SP4と、前記第2の絞りの有効径SD2とが以下の条件を満たす、光学系。
0.4<SP3/SD2<1.5
0.4<SP4/SD2<1.5
【請求項18】
請求項16または17において、
前記第1の成分の焦点距離fc1と、前記第3の成分の焦点距離fc3とが以下の条件を満たす、光学系。
0.1<fc1/fc3<0.3
【請求項19】
請求項16または17において、
前記第1の成分の焦点距離fc1と、前記第3の成分の焦点距離fc3とが以下の条件を満たす、光学系。
0.8<fc1/fc3<1.2
【請求項20】
請求項16ないし19のいずれかにおいて、
当該光学系の全長Lopと、前記第1の光学サブシステムの全長Lop1とが以下の条件を満たす、光学系。
0.2<Lop1/Lop<0.33
【請求項21】
請求項16ないし20のいずれかにおいて、
前記第3のレンズ群の前記第3の成分は前記中間像に隣接して配置され、拡大側から順に配置された正の屈折力の最も中間像側のレンズと、2枚の負の屈折力のレンズとを含む、光学系。
【請求項22】
請求項16ないし21のいずれかにおいて、
前記第3のレンズ群は、最も拡大側に、中間像の縮小側に隣接した、拡大側に凸の正の屈折力のレンズを含む、光学系。
【請求項23】
請求項16ないし22のいずれかにおいて、
前記第2の光学サブシステムは、ズーミングの際に移動するレンズを含むズーム群を含む、光学系。
【請求項24】
請求項23において、
前記ズーム群は、前記第3のレンズ群のレンズを含む第1のズームレンズ群と、前記第4のレンズ群のレンズを含む第2のズームレンズ群とを含む、光学系。
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれかに記載の光学系と、
前記光学系の縮小側に配置された光変調器とを有する、プロジェクタ。
【請求項26】
請求項1ないし24のいずれかに記載の光学系と、
前記光学系の縮小側に配置された撮像素子とを有する、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間像が内部に形成される光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本国特開2015-152890号公報には、再結像方式を利用し、広画角で全ズーム範囲にわたり高い光学性能を有し、全系の小型化が容易なズーム光学系を提供することが記載されている。ズーム光学系は、拡大共役側から縮小共役側へ順に、第1光学系、ズーム機能を有する第2光学系より構成され、拡大共役側の拡大共役点が第1光学系と第2光学系の間の中間結像位置に結像し、中間結像位置に結像した像が縮小共役側の縮小共役点に再結像する光学作用を有する。第2光学系は拡大共役側から縮小共役側へ順に、正の屈折力のレンズ群、正の屈折力のレンズ群、正の屈折力のレンズ群より構成される。
【発明の開示】
【0003】
中間像が内部で形成される光学系であって、さらにコンパクトで、諸収差の補正が容易な構成の光学系が要望されている。
【0004】
本発明の態様の1つは、中間像を挟んで拡大側に配置された第1の光学サブシステムと、縮小側に配置された第2の光学サブシステムとを有する光学系である。第1の光学サブシステムは、第1の絞りに対して、他のレンズを配置可能な間隔であって、他のレンズが配置されていない第1の間隔を空けて拡大側に配置された第1のレンズ群と、第1の絞りに対して、他のレンズを配置可能な間隔であって、他のレンズが配置されていない第2の間隔を空けて縮小側に配置された正の屈折力の第2のレンズ群とを含む。第1のレンズ群は、拡大側に負の屈折力の第1の成分を含む。第2のレンズ群の縮小側に隣接して中間像が拡大側に傾斜するように結像される。
【0005】
屈折力が負の成分が拡大側(拡大共役側)に配置された負-正のパワー配置のレトロフォーカスタイプは、拡大側は画角の大きな広角で、縮小側はバックフォーカスが長くテレセントリックまたはそれに近くなる光学系を得ることができる。その一方、拡大側のレンズ径が大きくなることに加えて、縮小側の正のパワーの光学系を複数のレンズで構成する際にそれらのレンズの径の差が大きく、間隔が広くなる。このため、光学系のスペース効率が悪く、コンパクトに効率よく複数のレンズを配置することが難しい。
【0006】
これに対し、本発明の光学系においては、負の成分を備えた第1のレンズ群と、正の屈折力の第2のレンズ群との間の、周辺光と中心光とが交差して光束が集中する付近に第1の絞りを設け、その前後にレンズを配置可能な第1および第2の間隔を設けて、それらの間隔にレンズを配置しないことにより、正の屈折力の第2のレンズ群を構成するレンズの径の差を小さくしている。
【0007】
さらに、第1の光学サブシステムの縮小側には中間像が結像されることに着目し、中間像を拡大側に倒すように形成する。一般に、光学系を設計する際は、ペッツバール和を小さくすることを目指す。この光学系においては、第1のレンズ群のペッツバール和がプラスとなり、中間像を縮小側に倒す。このため、第2のレンズ群のペッツバール和をマイナスとして中間像の傾斜をキャンセルする。この際に、第2のレンズ群のペッツバール和を中間像が拡大側に倒れる範囲とすることにより、第2のレンズ群の正のパワーが増大する方向に第2のレンズ群のペッツバール和を相対的に過剰に調整することが可能となる。このため、第2のレンズ群として、狭いスペースにレンズ面を多数配置する構成を採用でき、スペース効率が高く、コンパクトで、さらに、収差補正能力の高い、広角の光学系を提供できる。
【0008】
この光学系は、光軸が一直線に延びた配置であってもよい。この光学系は、光軸の向きを変える屈曲光学素子、典型的にはミラーまたはプリズムを含み、光軸がL字形またはU字形に折り曲げられた光学系であってもよい。この光学系は、プロジェクタ用の光学系であってもよく、本願の他の態様の1つは、この光学系と、光学系の縮小側に配置された光変調器とを有するプロジェクタである。また、この光学系は、撮像用の光学系であってもよく、本願のさらに異なる他の態様の1つは、この光学系と、光学系の縮小側に配置された撮像素子とを有する撮像装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】光学系および光学系を含む装置の一例を示す図。
図2図1に示す光学系のレンズデータを示す図。
図3図1に示す光学系の非球面データを示す図。
図4図1に示す光学系のフォーカシングおよびズーミングで移動する各群の前後の間隔を示す図。
図5図1に示す光学系の中間像の像面湾曲を示す図。
図6図1に示す光学系の広角端(ワイド)望遠端(テレ)における諸収差を示す図。
図7図1に示す光学系の広角端(ワイド)の各像高における横収差図。
図8図1に示す光学系の望遠端(テレ)の各像高における横収差図。
図9】フォーカスグループの他の例を示す図。
図10】光学系および光学系を含む装置の他の一例を示す図。
図11図10に示す光学系のレンズデータを示す図。
図12図10に示す光学系の非球面データを示す図。
図13図10に示す光学系のフォーカシングおよびズーミングで移動する各群の前後の間隔を示す図。
図14図10に示す光学系の中間像の像面湾曲を示す図。
図15図10に示す光学系の広角端(ワイド)望遠端(テレ)における諸収差を示す図。
図16図10に示す光学系の広角端(ワイド)の各像高における横収差図。
図17図10に示す光学系の望遠端(テレ)の各像高における横収差図。
図18】光学系および光学系を含む装置の他の一例を示す図。
図19図18に示す光学系のレンズデータを示す図。
図20図18に示す光学系の非球面データを示す図。
図21図18に示す光学系のフォーカシングおよびズーミングで移動する各群の前後の間隔を示す図。
図22図18に示す光学系の中間像の像面湾曲を示す図。
図23図18に示す光学系の広角端(ワイド)望遠端(テレ)における諸収差を示す図。
図24図18に示す光学系の広角端(ワイド)の各像高における横収差図。
図25図18に示す光学系の望遠端(テレ)の各像高における横収差図。
図26】光学系および光学系を含む装置の他の一例を示す図。
図27図26に示す光学系のレンズデータを示す図。
図28図26に示す光学系の非球面データを示す図。
図29図26に示す光学系のフォーカシングおよびズーミングで移動する各群の前後の間隔を示す図。
図30図26に示す光学系の中間像の像面湾曲を示す図。
図31図26に示す光学系の広角端(ワイド)望遠端(テレ)における諸収差を示す図。
図32図26に示す光学系の広角端(ワイド)の各像高における横収差図。
図33図26に示す光学系の望遠端(テレ)の各像高における横収差図。
【発明の実施の形態】
【0010】
図面を参照して、さらに本発明について説明する。図1に、本発明の一実施例の光学系(光学システム)を含む装置を示している。装置の一例はプロジェクタ1であり、光学系10と、縮小側2に配置された光変調器(ライトバルブ)5とを有する。プロジェクタ用の光学系10は、光変調器5の像面5aから入射された光を、像面5aと共役な光学系10内の位置に中間像IMを形成し、さらに拡大側3から投影光19として出力してスクリーンまたは壁面(不図示)へ投射(投影)して拡大像として再結像させる。ライトバルブ5は、LCD、デジタルミラーデバイス(DMD)あるいは有機ELなどの画像を形成できるものであればよく、単板式であっても、各色の画像をそれぞれ形成する方式であってもよい。ライトバルブ5は発光タイプであってもよく、照明タイプであってもよい。照明タイプの場合は、プロジェクタ1はさらに照明光学系(不図示)を含んでもよい。スクリーンは、壁面やホワイトボードなどであってもよく、プロジェクタ1はフロントプロジェクタであっても、スクリーンを含むリアプロジェクタであってもよい。
【0011】
装置の他の例は撮像装置21であり、光学系10と、縮小側2に配置された撮像素子25とを有する。撮像装置用の光学系10は、拡大側(物体側)3から入射された光で、縮小側結像面である撮像素子25の撮像面25aと共役な位置に中間像IMを結像し、さらに、撮像面25aに再結像する。撮像装置用の光学系であってもプロジェクタ用の光学系であっても、光学系10の構成および機能としては共通するので、以降においては、プロジェクタ1およびプロジェクタ用の光学系10を例にさらに説明する。
【0012】
光学系10は、中間像IMを挟んで拡大側3に配置された第1の光学サブシステム、本例においては第1の屈折光学系RS1と、縮小側2に配置された第2の光学サブシステム、本例においては第2の屈折光学系RS2とを有する。第1の屈折光学系RS1および第2の屈折光学系RS2は、複数のレンズ群を構成する複数枚のレンズをそれぞれ含む。以下においては、各光学サブシステムRS1およびRS2は、複数枚のレンズで構成された例を説明している。各光学サブシステムRS1およびRS2は、光軸を折り曲げるためのミラーあるいはプリズムを含んでいてもよく、レンズと共に、あるいはレンズに代わりに光束を屈折するパワーを備えた鏡面を備えていてもよい。
【0013】
本例では、第1の屈折光学系RS1は、第1の絞りST1に対して、他のレンズを配置可能な間隔であって、他のレンズが配置されていない第1の間隔SP1を空けて拡大側(拡大共役側)3に配置され、拡大側3に負の屈折力の第1の成分(サブレンズ群)G1fを備えた第1のレンズ群G1と、第1の絞りST1に対して、他のレンズを配置可能な間隔であって、他のレンズが配置されていない第2の間隔SP2を空けて縮小側(縮小共役側)2に配置され正の屈折力(合成屈折力)の第2のレンズ群G2とを含む。第2のレンズ群G2の縮小側2には隣接して中間像IMが形成される。第1のレンズ群G1の一例は、レンズL11~L14の4枚で構成され、第2のレンズ群G2の一例は、レンズL21~26の6枚で構成されている。
【0014】
具体的には、第1のレンズ群G1の一例は、拡大側3から負-負-負のパワー配置のレンズL11~L13を含む第1のサブレンズ群G1fと、正のパワーのレンズL14を含む。第1のレンズ群G1の一例は、拡大側3から順番に配置された、拡大側3に凸の負のメニスカスレンズL11およびL12と、両凹の負レンズL13と、両凸の正レンズL14とを含む。第2のレンズ群G2の一例は、拡大側3から正-正-負のパワー配置のレンズL21~L23と、正-負-正のパワー配置のレンズL24~L26とを含み、レンズL24~L26は第2の成分(第2のサブレンズ群)G2rを構成している。第2のレンズ群G2の一例は、拡大側3から順番に配置された、両凸の正レンズL21およびL22と、縮小側2に凸の負のメニスカスレンズL23と、両凸の正レンズL24と、縮小側2に凸の負のメニスカスレンズL25と、両凸の正レンズL26とを含む。
【0015】
第2の屈折光学系RS2は、第2の絞りST2に対して、他のレンズを配置可能な間隔であって、他のレンズが配置されていない第3の間隔SP3を空けて拡大側3に配置され、拡大側3に負の屈折力の第3の成分(サブレンズ群)G3fを備えた第3のレンズ群G3と、第2の絞りST2に対して、他のレンズを配置可能な間隔であって、他のレンズが配置されていない第4の間隔SP4を空けて縮小側2に配置された正の屈折力の第4のレンズ群G4とを含む。第3のレンズ群G3の一例は、レンズL31~L37の7枚で構成され、第4のレンズ群G4の一例は、レンズL41~L49の9枚で構成されている。
【0016】
具体的には、第3のレンズ群G3の一例は、拡大側3から正-負-負のパワー配置のレンズL31~L33を含む第3のサブレンズ群G3fと、負-正-正-正のパワー配置のレンズL34~L37とを含む。第3のレンズ群G3の一例は、拡大側3から順番に配置された、両凸の正レンズL31と、両凹の負レンズL32と、拡大側3に凸の負のメニスカスレンズL33と、両凹の負レンズL34と、両凸の正レンズL35と、縮小側2に凸の正のメニスカスレンズL36と、両凸の正レンズL37とを含む。第4のレンズ群G4の一例は、拡大側3から正-負-負-正-負―正-負-正-正のレンズL41~L49を含む。第4のレンズ群G4の一例は、拡大側3から、順番に配置された、縮小側2に凸の正のメニスカスレンズL41と、縮小側2に凸の負のメニスカスレンズL42と、拡大側3に凸の負のメニスカスレンズL43と、両凸の正レンズL44と、両凹の負レンズL45と、両凸の正レンズL46と、縮小側2に凸の負のメニスカスレンズL47と、縮小側2に凸の正のメニスカスレンズL48と、両凸の正レンズL49とを含む。
【0017】
このように、本例の光学系(レンズシステム、光学装置)10は、合計26枚のレンズにより構成されている。なお、この光学系10においては、第1の絞り(開口絞り)ST1の前後に視野絞りFS11およびFS12が配置されており、第2の絞り(開口絞り)ST2の前後に視野絞りFS21およびFS22が配置されている。
【0018】
この光学系10は、中間の固定レンズ群Fimに対して拡大側3に配置された4つのフォーカスレンズ群Fg1~Fg4と、縮小側2に配置された4つのズームレンズ群Zg1~Zg4とを含み、さらに最も縮小側2に端末の固定レンズ群Fieを含む。ズームレンズ群Zg1~Zg4はズーミング(変倍)の際に移動し、像面、例えば、縮小側2の像面25aに対して距離が変動する。フォーカスレンズ群Fg1~Fg4はズーミング(変倍)の際には移動せず、フォーカシング(合焦)の際に移動する。固定レンズ群FimおよびFieはいずれの場合も移動しない。
【0019】
本例の光学系10においては、第1のフォーカスレンズ群Fg1は、第1のレンズ群G1の最も拡大側3の負のパワーのレンズL11の一枚構成であり、第2のフォーカスレンズ群Fg2は、第1のレンズ群G1の負-負-正のパワーのレンズL12~L14により構成されている。第3のフォーカスレンズ群Fg3は、第1の絞りST1を含めた正のパワーの第2のレンズ群L21~L26により構成されている。第4のフォーカスレンズ群Fg4は、第3のレンズ群G3の最も拡大側3、すなわち、最も中間像IMに面した正のパワーのレンズL31により構成されている。中間の固定レンズ群Fimは、第3のレンズ群G3の負のパワーのレンズL32およびL33により構成されている。
【0020】
第1のズームレンズ群Zg1は、第3のレンズ群G3の負-正-正のパワーのレンズL34~L36により構成され、第2のズームレンズ群Zg2は、第3のレンズ群G3の最も縮小側2の正のパワーのレンズL37により構成されている。第3のズームレンズ群Zg3は、第2の絞りST2を含めた第4のレンズ群G4の正-負のパワーのレンズL41およびL42により構成されている。第4のズームレンズ群Zg4は、第4のレンズ群G4の負-正-負-正-負-正のレンズL43~L48のレンズにより構成されている。最終の固定レンズ群Fieは、第4のレンズ群G4の最も縮小側2の正のパワーのレンズL49により構成されている。
【0021】
この光学系10の第1の屈折光学系(第1の光学サブシステム)RS1は、屈折力が負の成分G1fが拡大側(拡大共役側)3に配置された負-正のパワー配置のレトロフォーカスタイプであり、拡大側3は画角の大きな広角で、縮小側2はバックフォーカスが長くテレセントリックまたはそれに近くなる光学サブシステムを得ることができる。第1の屈折光学系RS1の縮小側(縮小共役側)2には隣接して(他のレンズを挟まずに)中間像IMが形成される。中間像IMは拡大側3に倒れるように形成される。すなわち、中間像IMは、光軸7上の像に対して周辺の像は(像高が増すと)拡大側3に近づくように結像された部分を含む。あるいは、中間像IMは、光軸7上の像に対して拡大側3に近くなるように結像された部分を含む。中間像IMが拡大側3に倒れるように形成されることにより、第2のレンズ群G2のペッツバール和G2PTZが相対的に負の大きな値となることを許容できる。このため、第2のレンズ群G2が、正のパワーの複数の屈折面が短い距離に集中して配置した構成を含むことができる。この光学系10においては、第2のレンズ群G2を正-正-負-正-負-正のレンズL21~L26の構成とし、正のパワーの4枚のレンズを含む6枚のレンズをコンパクトに配置している。
【0022】
すなわち、この光学系10においては、第1のレンズ群G1に拡大側3に凸の負のメニスカスレンズを複数含めることが可能である。したがって、第1のレンズ群G1のペッツバール和G1PTZがプラスとなり、中間像IMを縮小側に傾斜(オーバー、像面湾曲がプラス方向)させる。これに対し、第2のレンズ群G2のペッツバール和G2PTZを相対的に過剰にマイナスとして、中間像IMを拡大側に傾斜(アンダー、像面湾曲がマイナス方向)させる。したがって、中間像IMを拡大側に傾斜させることにより、相対的に第2のレンズ群G2の正のパワーを大きく設定できる。また、第1のレンズ群G1においては、ペッツバール和G1PTZが大きくなることを許容するため、第1のレンズ群G1における光線の広がり(画角)を大きく設定でき、相対的に第2のレンズ群G2のレンズ径を小さくすることが可能となる。したがって、全体として、第2のレンズ群G2として、比較的小径で、レンズ面が密集した構成を採用することが可能となる。このため、スペース効率が高く、コンパクトで、さらに、収差補正能力の高い、広角の光学系10を提供できる。なお、上記の説明は、この光学系10において中間像IMの傾斜の方向をコントロールする際に、ペッツバール和をどのように調整すれば有用であるかを示した説明である。他の光学系における中間像IMの傾斜の方向は、ペッツバール和のみで決定されず、非点収差や高次の収差の影響を受ける。そのため、ペッツバール和の値と中間像IMの傾斜の方向とは、上記の説明とは一致しない場合も生じ得る。
【0023】
第1のレンズ群G1のペッツバール和G1PTZと、第2のレンズ群G2のペッツバール和G2PTZとは以下の条件(1)を満足してもよい。
0.6<|G2PTZ/G1PTZ|<1.7・・・(1)
下限を超えると第2のレンズ群G2による補正が不足して第2の光学サブシステムRS2の負荷が大きくなり、上限を超えると第2のレンズ群G2による補正が過剰すぎて第2の光学サブシステムRS2の負荷が大きくなる。
【0024】
中間像IMの像面湾曲量IMFcと、第1の屈折光学系RS1の焦点距離(合成焦点距離)f1とが以下の条件(2)を満たしてもよい。なお、中間像IMの像面湾曲量IMFcは、中間像IMの最大画角(最大像高)における像面湾曲量である。
0<|IMFc/f1|<2.5・・・(2)
条件(2)の上限を超えると像面湾曲量が大きくなりすぎて収差補正が難しくなる。上限は、1.5であってもよい。像面湾曲量IMFcは、ペッツバール和G1PTZとG2PTZとの合計に非点収差を加えることにより制御される。
【0025】
中間像IMの像面湾曲量IMFcと、光学系10の広角端における焦点距離(合成焦点距離)fwとが以下の条件(3)を満たしてもよい。
0<|IMFc/fw|<2.5・・・(3)
条件(2)および(3)の上限を超えると像面湾曲量が大きくなりすぎて収差補正が難しくなる。上限は、1.5であってもよい。
【0026】
さらに、光学系10においては、負の成分を備えた第1のレンズ群G1と、正の屈折力の第2のレンズ群G2との間の周辺光と中心光とが交差して光束が集中する付近に第1の絞りST1を設け、その前後にレンズを配置可能な間隔を設けながら、その間隔(距離)にレンズを配置しないことにより、第2のレンズ群G2のレンズL21~L26の径の差が小さくなる構成を採用している。レトロフォーカスタイプのレンズシステムにおいては、拡大側のレンズ径が大きくなることに加えて、縮小側の正のパワーの光学系を複数のレンズで構成する際にそれらのレンズの径の差が大きく、間隔が広くなり、光学系のスペース効率が悪く、コンパクトに効率よく複数のレンズを配置することが難しい。この光学系10は、第1の絞りST1を設け、その前後にレンズの配置が可能でありながらレンズが配置されてない間隔SP1およびSP2を設けて第2のレンズ群G2の構成を改善している。
【0027】
第1の間隔SP1と、第2の間隔SP2と、第1の絞りST1の有効径SD1とが以下の条件(4)および(5)を満たしてもよい。
0.5<SP1/SD1<1.7・・・(4)
0.5<SP2/SD1<1.7・・・(5)
第1の間隔SP1は、第1の絞りST1と、それに拡大側3で隣接するレンズL14の縮小側2の面との距離であり、第2の間隔SP2は、第1の絞りST1と、それに縮小側2で隣接するレンズL21の拡大側3の面との距離である。条件(4)および(5)の下限を超えると、絞りST1に対してレンズ面が近くなり、レンズへの光による寄与が増大し、ピントずれなどの弊害が大きくなる。上限を超えるとレンズ間隔が広くなりすぎてコストが増大するとともに、コンパクトな光学系を提供することが難しい。下限は0.6であってもよい。
【0028】
さらに、第1の絞りST1の拡大側3および縮小側2に向かい合った面を対称な面とすることにより絞りST1を通過する光束を両面で制御し、絞りST1による光量の低下を抑制するようにしている。すなわち、第1の絞りST1の前後の面Sf1およびSr1を絞りST1に対して凹面同士、または凸面同士となるようにしている。図1に示した光学系10においては、凸面が向かい合った構成としている。また、第1の絞りST1の拡大側3のレンズ面Sf1の曲率半径Sf1rと、縮小側2のレンズ面Sr1の曲率半径Sr1rとが以下の条件(6)を満たしてもよい。絞りに対して光学面をコンセントリック配置とすることで,各面で発生する、収差をキャンセルすることが可能となる。以下の条件の範囲を逸脱するとそれが困難となる。
0.1<|Sf1r/Sr1r|<3・・・(6)
第1の絞りST1の前後の面の曲率半径の差が大きくなりすぎると絞りST1による光量の減少が大きくなりやすい。
【0029】
したがって、光学系10においては、第2のレンズ群G2を構成するレンズL21~L26の有効径の差を小さくでき、短い空間に多数のレンズを配置できる。第2のレンズ群G2の複数のレンズL21~L26の最大有効径Dg2maxと、最小有効径Dg2minとが以下の条件(7)を満たしてもよい。
1<Dg2max/Dg2min<1.7・・・(7)
最大有効径Dg2maxと、最小有効径Dg2minとの差を小さくすることにより、光学系10を収納する鏡筒などのハウジング内のスペースを有効活用できるコンパクトな光学系10を提供できる。
【0030】
第2のレンズ群G2の第1の絞りST1に面したレンズL21の拡大側3の面から中間像IMに面したレンズL26の縮小側2の面までの長さLg2と、複数の正の屈折力のレンズ、本例ではL21、L22、L24、L26が占める厚みLg2pとが以下の条件(8)を満たしてもよい。
0.5<Lg2p/Lg2<1.0・・・(8)
正の屈折力の第2のレンズ群G2に、ほとんど最小の空気間隔を設けるだけで複数の、本例では4枚の正の屈折力のレンズを配置することにより、収差補正が可能な多数の面を狭い範囲に配置できる。したがって、コンパクトで収差補正能力が高い第2のレンズ群G2を備えた光学系10を提供できる。条件(8)の下限は0.7であってもよく、上限は0.96であってもよい。また、正レンズの合成厚を大きくすることで倍率色収差も効果的に補正できる。
【0031】
このように光学系10においては、第2のレンズ群G2に含まれる複数のレンズL21~L26が占める割合(スペース効率、占有効率)を向上でき、光学系10の全長Lopに対する、第2のレンズ群G2を含む第1の屈折光学系RS1の長さLop1の割合を低減できる。光学系10の全長Lopと、第1の屈折光学系RS1の長さLop1とは以下の条件(9)を満たしてもよい。
0.25<Lop1/Lop<0.33・・・(9)
下限を下回ると倍率色収差の補正が不足し、中間像付近のレンズ径が過大となる。上限を上回ると第1のレンズ群G1の全長が短縮されパワーが強まり非点収差やコマ収差が、増大する。
【0032】
この光学系10は、アプリケーションによっては、第1の屈折光学系RS1と第2の屈折光学系RS2との間、および/または第1のレンズ群G1と第2のレンズ群G2との間で折り曲げて使うことが可能である。例えば、プロジェクタ1においては、光学系10を折り曲げて配置することにより広角な画像を近距離で投影できるコンパクトなプロジェクタを提供することが可能となる。また、最もスクリーン側に配置される第1の屈折光学系RS1の占める割合を低減することにより、よりコンパクトなプロジェクタ1を提供できる。全長Lopは、最も拡大側3のレンズL11の拡大側3の面から、最も縮小側2のレンズL49の縮小側2の面までの光軸7上の距離である。第1の屈折光学系RS1の長さLop1は、第1の屈折光学系RS1の最も拡大側3のレンズL11の拡大側3の面から中間像IMまでの光軸7上の距離である。
【0033】
光学系10においては、拡大側3から順に、正の屈折力の第1の屈折光学系RS1と、中間像IMと、正の屈折力の第2の屈折光学系RS2とが配置された構成を含む。第1の屈折光学系RS1は、拡大側3に負の成分G1fを含み、縮小側2に正の第2のレンズ群G2を含むレトロフォーカス型であるが、第2のレンズ群G2によるオーバーコレクションを抑制しつつ正のパワーを確保することにより第2のレンズ群G2のレンズ配置を上記のようにコンパクトにしている。また、中間像IMを拡大側3に若干傾斜するように設定することにより、第2の屈折光学系RS2の収差の補正負荷を低減し、第2の屈折光学系RS2を高倍率のズーミングに適合した構成を採用できるようにしている。
【0034】
第2の光学サブシステムである第2の屈折光学系RS2の収差補正の負荷を低減できるように、第1の光学サブシステムである第1の屈折光学系RS1のパワーをある程度確保することが望ましい。第1の屈折光学系RS1の焦点距離(合成焦点距離)f1と、当該光学系10の広角端における焦点距離(合成焦点距離)fwとが以下の条件(10)を満たしてもよい。
1.0<|f1/fw|<2.0・・・(10)
【0035】
条件(10)の下限を超えると第1の屈折光学系RS1のパワーが強くなりすぎて第2の屈折光学系RS2の収差補正負荷が増大し、上限を超えると第1の屈折光学系RS1のパワーが弱くなりすぎて第2の屈折光学系RS2の収差補正負荷が増大する。条件(10)の上限は1.7であってもよい。
【0036】
第1の屈折光学系RS1は拡大側3の第1のレンズ群G1の拡大側3に負の成分(第1の成分)G1fを含み、縮小側2に正の第2のレンズ群G2を含むレトロフォーカスタイプのパワー配置を含む。したがって、縮小側2の中間像IMの位置でのテレセントリック性(最周辺画角の主光線が光軸となす角と平行に近い)を確保できる。テレセントリック性は、中間像IMの前後のレンズ径に影響する。テレセントリック性が良好ではない場合、中間像IMの前後のどちらかのレンズ径が過大となり、コストが増大する。そのため、最周辺画角におけるテレセントリック性も含めて良好であることが好ましい。
【0037】
最も拡大側3の第1の成分G1fの焦点距離fc1と、第1の屈折光学系RS1の焦点距離f1とは以下の条件(11)を満たしてもよい。また、光学系10の広角端における焦点距離(全系の焦点距離)fwに対して以下の条件(12)を満たしてもよい。
1.2<|fc1/f1|<2.8・・・(11)
1.5<|fc1/fw|<3.5・・・(12)
条件(11)、(12)の下限を超えると負の第1の成分G1fのパワーが大きくなりすぎ、テレセントリック性を確保するために縮小側2の正のパワーを大きくする必要があり、収差補正が難しくなる。逆に上限を超えると、負の成分G1fのパワーが不足して、テレセントリック性を確保することが難しくなる。
【0038】
正のパワーの第2のレンズ群G2においては、中間像IMに拡大側3で隣接する正のパワーのレンズ(本例ではレンズL26)と、さらに、その拡大側3に配置された正のパワーのレンズ(本例ではレンズL24)とに比較的パワーの強い正のレンズを配置してもよい。この構成により強いアンダーコレクションの像面湾曲が発生する。付随して発生する、球面収差、コマ収差、色収差の補正のため、それらのレンズL26およびL24の間に、同様にパワーの強い拡大側3の負レンズ(本例ではL25)を配置してもよい。これにより第1の屈折光学系RS1の像面湾曲をアンダーコレクションにする適切なパワーを確保できる。第1の屈折光学系(拡大側の光学系)RS1の収差補正をアンダーコレクションとし、かつ、アンダーコレクションの量が過大とならないようにすることで、第2の屈折光学系RS2の収差負荷を軽減して、ズーミングに適した光学系とすることができる。
【0039】
また、中間像IMに面して向かい合う隣接レンズ、すなわち、第1の屈折光学系RS1の最も縮小側2のレンズL26と、第2の屈折光学系RS2の最も拡大側3のレンズL31とを、正の屈折力のレンズとすることで中間像IMの位置におけるテレセントリック性を高め、中間像IM付近のレンズの径が過大とならないようにでき、これによりコストを低減できる。これらの隣接レンズ(本例においては、L26およびL31)は凸面が対向するように配置すると、よりテレセントリック性を高める効果が得られやすい。
【0040】
上述したように、第2のレンズ群G2は、最も縮小側2に、中間像IMの拡大側に隣接した正の屈折力のレンズ(群末のレンズ、本例ではレンズL26)を含み、そのレンズの焦点距離fg2eと当該光学系10の広角端における焦点距離fwとが以下の条件(13)を満たしてもよい。
2.5<|fg2e/fw|<10.0・・・(13)
中間像IMの側のテレセントリック性を良好に保ち、かつ、発生する収差を一定に抑えることができる。条件(13)の下限は3.0であってもよく、上限は9.0であってもよい。
【0041】
また、中間像IMの拡大側3のレンズ(群末のレンズ、本例ではレンズL26)の拡大側3の面の曲率半径Rg2erと当該光学系10の広角端における焦点距離fwとが以下の条件(14)を満たしてもよい。
2.0<|Rg2er/fw|<35.0・・・(14)
収差補正の観点から、拡大側の曲率が大きい(曲率半径が小さい)ことが望ましい。下限を下回ると球面収差の発生が過大となり、上限を超えるとテレセントリック性を良好に保つことが難しくなる。下限は3.0であってもよく、4.0であってもよい。上限は、30.0であってもよい。
【0042】
この光学系10において、中間像IMの付近におけるテレセントリック性は以下の条件(15)を満足するように設定できる。角度θtは、中間像IMにおける最周辺像高において主光線が光軸7となす角度である。
|θt|<15.0・・・(15)
【0043】
第2のレンズ群G2は、最も中間像側、すなわち、最も縮小側2に、正-負-正の屈折力の組み合わせからなる第2の成分(第2のレンズ群G2の縮小側2のサブレンズ群)G2rを備えていてもよい。本例で第2の成分G2rは、レンズL24、L25およびL26から構成されている。また、第2のレンズ群G2は、最も中間像IMの側(縮小側2)に、縮小側2に凸の正の屈折力のレンズL26を含んでもよい。
【0044】
第2の成分G2rの構成において、中間像IMに拡大側3で隣接するレンズ(本例ではL26)の縮小側2のレンズ面から、第2の成分G2rの拡大側3の正のレンズ(本例ではL24)の拡大側3のレンズ面までの距離(第2の成分G2rの全長)LAと、隣接レンズL26の縮小側2のレンズ面から、隣接レンズL26の拡大側3の負レンズ(本例ではL25)の縮小側2のレンズ面までの距離LBが以下の条件(16)を満たしてもよい。
0.2<LB/LA<0.5・・・(16)
第2の成分G2rを構成するレンズ枚数を最低限としつつ色収差を良好に補正するには負正のレンズ群の相向かう面の曲率半径を小さくすることが好適である。そのスペース確保のため、上式を満たすことが好ましい。
【0045】
拡大側3から正-負-正の第2の成分G2rの拡大側の正-負のレンズの組み合わせは、相対偏芯の誤差感度が高く、周縁部当てつけ構造とすることが製造上好ましい。したがって、第2のレンズ群G2の最も縮小側2のレンズL26に拡大側3で隣接する負のレンズL25の拡大側3の面の曲率半径Rg2mと、負のレンズL25の拡大側3に隣接する正のレンズL24の縮小側2の面の曲率半径Rg2pとが以下の条件(17)を満たしてもよい。
0.5<Rg2m/Rg2p<1・・・(17)
縮小側2に凸の正のパワーのレンズL24の縮小側2の面と、拡大側3に凹の負のパワーのレンズL25の拡大側3の面とを、凸面側の曲率半径が緩く、凹面の周縁部を当て付けた組み合わせ(構造)を採用できる。
【0046】
上述したように第1の屈折光学系RS1はレトロフォーカス型であり、最も拡大側3は負のパワーの成分(第1の成分、サブグループ)G1fを含む。さらに、第1の成分G1fは、最も拡大側3から負-負のパワー構成を含むことが望ましい。さらには、第1の成分G1fは、最も拡大側3から、負のメニスカスレンズL11と負のメニスカスレンズL12の構成を取ることが好ましい。第1のメニスカスレンズL11の縮小側2に配置される第2のメニスカスレンズL12は、少なくとも縮小側2のレンズ面が非球面として形成されてもよい。また、このメニスカスレンズL12の縮小側2の面の法線角度の最大値θnmは50度以下であり、法線角度の最大値θnmは、最周辺の法線角度θnpよりも大きくてもよい。すなわち、以下の条件(18)および(19)を満たしてもよい。
40<θnm<50・・・(18)
0.5<θnp/θnm<1・・・(19)
これらの条件を満たす面は法線角度が最周辺で緩く戻る面であり、高画角を実現するための拡大側3のレンズの口径を小さくでき、また、非点収差の収差補正に適した非球面を加工しやすい面として提供できる。
【0047】
この光学系10の最も拡大側3のメニスカスレンズL11の拡大側3の面は、この光学系10の中で最も大きなレンズ面となることが多い。したがって、光線が分散してレンズ面を通過する。このため、このレンズL11をフォーカシング用に動かすことによりフォーカス制御とともに収差補正を行いやすい。また、メニスカスレンズL11に隣接するメニスカスレンズL12も面積が大きく、フォーカシングに用いるために適している。レンズL11およびL12は一体でフォーカシングのために動かしてもよく、独立して、あるいは他のレンズと連動してフォーカシングのために動かしてもよい。
【0048】
中間像IMの縮小側2に配置される第2の光学サブシステムである第2の屈折光学系RS2は、第2の絞りST2に対して第3の間隔SP3を空けて拡大側3に配置され、拡大側3に負の屈折力の第3の成分(サブレンズグループ)G3fを備えた第3のレンズ群G3と、第2の絞りST2に対して第4の間隔SP4を空けて縮小側に配置された正の屈折力の第4のレンズ群G4とを含む。第2の屈折光学系RS2も、拡大側3に負のパワーが配置され、縮小側2に正のパワーが配置された、全体としてレトロフォーカス型のレンズシステムであり、縮小側2をテレセントリックとしつつ、バックフォーカスを長く確保しやすい構成である。
【0049】
第3の間隔SP3および第4の間隔SP4は、他のレンズを配置可能な間隔であるが、他のレンズを配置していない間隔(部分)であり、広角端における第3の間隔SP3と、第4の間隔SP4と、第2の絞りST2の有効径SD2とが以下の条件(20)および条件(21)を満たしてもよい。
0.4<SP3/SD2<1.5・・・(20)
0.4<SP4/SD2<1.5・・・(21)
第2の絞りST2の前後における光線(光束)の変動および広がりを避けて収差補正を良好に行えるとともに、絞りST2による光量の低下を抑制できる。
【0050】
縮小側2の第2の屈折光学系RS2は、全体として正のパワーを有し、かつ、アンダーコレクションの第1の屈折光学系RS1に適合して、オーバーコレクションであることが好ましい。このため、中間像IMに隣接するレンズ、すなわち、第2の屈折光学系RS2の最も拡大側3に正のパワーのレンズL31を配置するとともに、その縮小側2に隣接して、負のパワーの2枚のレンズL32およびL33を配置する。すなわち、第3のレンズ群G3の第3の成分G3fは中間像IMに隣接して配置され、拡大側3から順に配置された正の屈折力の最も中間像側のレンズL31と、2枚の負の屈折力のレンズL32およびL33とを含む。
【0051】
これらの負のパワーの2枚のレンズL32およびL33により、第2の屈折光学系RS2の最も拡大側3に負のパワーのレンズ群(第3の成分)G3fを配置することでき、第2の屈折光学系RS2をレトロフォーカス配置にでき、縮小側2に長いバックフォーカスを確保することも可能となる。
【0052】
第1の屈折光学系RS1の拡大側3の負のパワーの第1の成分G1fの焦点距離fc1と、第2の屈折光学系RS2の拡大側3の負のパワーの第3の成分G3fの焦点距離fc3とが以下の条件(22)を満たしてもよい。
0.1<fc1/fc3<0.30・・・(22)
この条件の下限を下回ると、十分な広角度を確保することが難しくなる。一方、上限を上回ると中間像付近のレンズが大径となり、コストが増大する。
【0053】
焦点距離fc1と、焦点距離fc3は以下の条件(23)を満たしてもよい。
0.8<fc1/fc3<1.2・・・(23)
収差が良好に補正された光学系10であって、バックフォーカスが比較的短い光学系10を提供できる。
【0054】
第3のレンズ群G3は、最も拡大側3に、中間像IMに隣接して縮小側2に配置された、拡大側3に凸の正の屈折力のレンズL31を含む。中間像IMに隣接して拡大側3に凸のレンズL31を配置することにより、中間像IMの位置でのテレセントリック性を改善でき、中間像IMの前後のレンズ径が過大とならないようにすることができる。これによりコストの増大を抑制することができる。中間像IMの前後の隣接レンズL26およびL31は、テレセントリック性の改善のため、正レンズであることが好ましく、さらに凸面を対向させることが好ましい。
【0055】
上述したように、光学系10は、フォーカス群を主に第1の屈折光学系RS1に配置し、ズーム群を第2の屈折光学系RS2に配置している。光学系10は、中間像IMを拡大側傾斜とすることで、第1の屈折光学系RS1および第2の屈折光学系RS2のそれぞれにおける収差負荷は低減されている。したがって、これらの光学系RS1およびRS2に適宜移動群を配置することにより、高精細なズーム、フォーカスを達成できる。ズーム群およびフォーカス群はどちらの光学サブシステムに配しても良い。本例の2つの光学サブシステム、すなわち、第1の屈折光学系RS1と、第2の屈折光学系RS2を比較すると、上述したように、第1の屈折光学系RS1は、正群かつアンダーフォーカスであるので収差状態として自然でありコンパクトに設計できる。一方、第2の屈折光学系RS2はオーバーフォーカスであるので収差補正の負荷は、第1の屈折光学系RS1に比べると若干大きい。そのため全長を長く設計してあり、空気間隔が大きい。フォーカスによるレンズの移動量は僅少であり、ズームによる移動量は大きいことから、第1の屈折光学系RS1にフォーカス群を主に配置し、第2の屈折光学系RS2にズーム群を配置することが好適である。
【0056】
すなわち、第1の屈折光学系RS1は、フォーカシングの際に移動するレンズを含むフォーカス群FGを含む。本例のフォーカス群FGは、第1の屈折光学系RS1に含まれる3つのフォーカスレンズ群Fg1~Fg3と、第2の屈折光学系RS2に含まれるフォーカスレンズ群Fg4とを含む。フォーカス群FGは、第1のレンズ群G1の第1の成分G1fに含まれる負の屈折力のレンズを含む。具体的には、フォーカス群FGは、第1のレンズ群G1の最も拡大側3に配置された負の屈折力の第1のレンズL11を含み、本例の第1のフォーカスレンズ群Fg1は、第1のレンズL11の一枚構成である。
【0057】
フォーカス群FGは、第1のレンズL11に加えて、第1の屈折光学系RS1に含まれる少なくとも1枚のレンズを含む。具体的には、第1の屈折光学系RS1は、負のパワーのレンズL12およびL13、および正のパワーのL14を含む第2のフォーカスレンズ群Fg2と、第1の絞りST1を含む第2のレンズ群G2からなる第3のフォーカスレンズ群Fg3とを含む。フォーカス群FGは、さらに、第2の屈折光学系RS2の最も拡大側3に正のレンズL31からなる第4のフォーカスレンズ群Fg4を含む。この構成により、フォーカス群FGは、中間像IMを挟んで、前後に隣接する第3のフォーカスレンズ群Fg3と、第4のフォーカスレンズ群Fg4とを含む。中間像IMの前後はテレセントリック性が高く、第3および第4のフォーカスレンズ群Fg3およびFg4がフォーカシング(合焦)のために移動できる範囲を比較的大きく確保でき、像倍率の変動が小さく、より鮮明な画像を拡大側3または縮小側2に形成できる。
【0058】
フォーカス群FGは、最も拡大側3の負のパワーの第1のレンズに加えて、正のパワーの第2のレンズ群に含まれる少なくとも1枚の正の屈折力のレンズを含んでもよい。フォーカシングのために負のパワーと正のパワーとを同期して、または独立して動かすことができ、フォーカシングのための収差補正が容易となる。本例の光学系10においては、第2のレンズ群G2の全体を第3のフォーカスレンズ群Fg3としてフォーカシングのために移動している。第2のレンズ群G2の少なくともいずれかの正のパワーを含むフォーカスレンズ群、本例ではフォーカスレンズ群Fg3は、第2のレンズ群G2の最も縮小側2の正のパワーのレンズL26を少なくとも含むことが望ましい。上述したように、中間像IMの位置はテレセントリック性が高いので、フォーカシングのためにある程度の移動量を確保しやすく、フォーカス時の像倍率の変動が少ない。
【0059】
フォーカス群FGの4つのフォーカスレンズ群Fg1~Fg4は、フォーカシングのために、それぞれが独立して異なる動きをしてもよく、いくつかのレンズ群が同期して移動してもよい。最も面積が広い最も拡大側3のレンズ(第1のレンズ)L11と、それに隣接して次に面積が広いレンズ(第2のレンズ)L12とを異なるフォーカスレンズ群Fg1およびFg2として、フォーカシングの際に異なる動きをさせることによりフォーカシングとともに収差補正を行うことは、1つの好ましい実施例である。
【0060】
光学系10では、ズーミングの際に移動するレンズを含むズーム群ZGは、移動距離を確保しやすい縮小側2の第2の屈折光学系RS2に含まれる。フォーカス群FGとズーム群ZGとの間に固定群Fimを含んでいてもよい。ズーム群ZGは、第3のレンズ群G3のレンズを含む第1のズームレンズ群Zg1および第2のズームレンズ群Zg2と、第4のレンズ群G4のレンズを含む第3のズームレンズ群Zg3および第4のズームレンズ群Zg4とを含む。ズーム群ZGを、第2の絞りST2の前後のレンズ群G3およびG4に分散して配置することにより移動量を確保しやすく、各ズーム位置での収差補正も容易となる。
【0061】
図1(a)は、光学系10の広角端におけるレンズ配置を示し、図1(b)は、光学系10の望遠端におけるレンズ配置を示している。図2は、光学系10の各エレメントのデータを示している。図2において、Sはレンズの場合の面番号、Rdyは拡大側3から順に並んだ各エレメント(レンズの場合は各レンズ面)の曲率半径(mm)、Typはレンズ面のタイプを示し、SPHは球面、ASPは非球面を示す。dは拡大側3から順に並んだ各エレメントの面の間の距離(間隔、mm)、H*2は各エレメントの有効径(直径、mm)、屈折率nd(d線)、アッベ数νd(d線)とを示している。図3は、各エレメントの面の中の、非球面の面番号と、非球面データを示している。非球面は、Xを光軸方向の座標、Yを光軸と垂直方向の座標、光の進行方向を正、Rdyを近軸曲率半径とすると、図2に示した係数Rと図3に示した係数K、A、B、C、およびDを用いて次式で表わされる。なお、「en」は、「10のn乗」を意味する。以下の各実施例においても同様である。
X=(1/Rdy)Y/[1+{1-(1+K)(1/Rdy)}1/2]
+AY+BY+CY+DY10
【0062】
図4は、フォーカシングおよびズーミングの際に移動するフォーカスレンズ群Fg1~Fg4およびズームレンズ群Zg1~Zg4の移動量を典型的な状態(ケース)Z1からZ6について示している。具体的には、拡大側3の端(面S1)からスクリーン(不図示)までの距離d0が近距離(1554.4mm)および遠距離(6000.0mm)の各位置における広角端(ケースZ1およびZ4)、中間位置(ケースZ2およびZ5)および望遠端(ケースZ3およびZ6)の各レンズ群の前後の間隔により示している。Zはケース番号を示し、EFLは各ケースZ1~Z6における光学系10の合成焦点距離を示し、Lopは光学系10の全長を示し、d0は拡大側3の像面までの距離を示す。本例において、フォーカスレンズ群Fg1~Fg4およびズームレンズ群Zg1~Zg4の移動量が間隔d2~d57により示されている。以下においても同様である。
【0063】
図5に、中間像IMの像面湾曲量(mm)を画角(度)に対して示している。図6(a)および(b)に、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。図7および図8に、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各像高における横収差図を示している。なお、これらの図には、波長460nm(一点鎖線)と、波長550nm(破線)と、波長630nm(実線)とを示している。以下の各実施例においても同様である。
【0064】
図1に示す光学系10の主なパラメータは以下の通りである。なお、長さ、距離および間隔の単位はmmであり、以下の他の例においても同様である。
倍率(広角端、近距離における倍率):233.8倍
F値:2.33(広角端)/2.43(望遠端)
最大画角(半画角):58.6(広角端)/52.2(望遠端)
変倍比:1.27
全系の合成焦点距離(近距離、広角端、fw):-6.77
全系の合成焦点距離(近距離、望遠端、ft):-8.60
第1の屈折光学系RS1の合成焦点距離(近距離、f1):8.3
第2の屈折光学系RS2の合成焦点距離
(近距離、広角端、f2w):120.8
第2の屈折光学系RS2の合成焦点距離
(近距離、望遠端、f2t):141.4
光学系の全長(Lop):500.00
第1の屈折光学系RS1の全長(Lop1):150.85
第2の屈折光学系RS2の全長(Lop2):349.15
第1のレンズ群G1の合成焦点距離(近距離、fg1):-44.89
第2のレンズ群G2の合成焦点距離(近距離、fg2):31.01
第3のレンズ群G3の合成焦点距離
(近距離、広角端、fg3):90.74
第4のレンズ群G4の合成焦点距離
(近距離、広角端、fg4):72.69
第1の成分G1fの合成焦点距離(fc1):-10.89
第3の成分G3fの合成焦点距離(fc3):-42.16
群末のレンズL26の焦点距離(fg2e):59.7
中間像IMの像面湾曲量(IMFc):-0.07
第1のレンズ群G1のペッツバール和(G1PTZ):0.0323
第2のレンズ群G2のペッツバール和(G2PTZ):-0.0273
第2のレンズ群G2の拡大側の面から縮小側の面までの長さ
(Lg2):42.29
第2のレンズ群G2の正のパワーのレンズの総厚(Lg2p):36.05
第1の間隔(SP1):17.00
第2の間隔(SP2):15.25
第3の間隔(SP3):31.20
第4の間隔(SP4):20.30
最大法線角度(θnm):46.16
最周辺法線角度(θnp):42.84
長さLA:23.11
長さLB:11.56
条件(1)(|G2PTZ/G1PTZ|):0.845
条件(2)(|IMFc/f1|):0.01
条件(3)(|IMFc/fw|):0.01
条件(4)(SP1/SD1:SP1/H*2-10):0.91
条件(5)(SP2/SD1:SP2/H*2-10):0.82
条件(6)(|Sf1r/Sr1r|:|Rdy8/Rdy12|):1.95
条件(7)(Dg2max/Dg2min:H*2-22/H*2-12):1.16
条件(8)(Lg2p/Lg2):0.85
条件(9)(Lop1/Lop):0.30
条件(10)(|f1/fw|):1.23
条件(11)(|fc1/f1|):1.31
条件(12)(|fc1/fw|):1.61
条件(13)(|fg2e/fw|):8.82
条件(14)(|Rg2er/fw|:|Rdy22/fw|):4.40
条件(15)(|θt|):0.10
条件(16)(LB/LA):0.50
条件(17)(Rg2m/Rg2p:Rdy20/Rdy19):0.99
条件(18)(θnm):46.16
条件(19)(θnp/θnm):0.93
条件(20)(SP3/SD2:SP3/H*2-40):1.00
条件(21)(SP4/SD2:SP4/H*2-40):0.65
条件(22)(fc1/fc3):0.26
【0065】
この光学系10においては、上述した条件(1)~(22)のすべてを満たし、中間像IMよりも拡大側3の第1の屈折光学系RS1に配置されたレンズ群により主にフォーカシングを行い、縮小側2の第2の屈折光学系RS2に配置されたレンズ群によりズーミングを行うことができる。さらに、第1の屈折光学系RS1および第2の屈折光学系RS2はともに、負のパワーが拡大側3に配置されたレトロフォーカス型であり、中間像IMの近傍および縮小側2をテレセントリックにすることができる。中間像IMの近傍をテレセントリックとすることにより中間に配置されるレンズ径の増大を抑制できる。さらに、中間像IMを拡大側3に傾斜させることにより、第2のレンズ群G2の正のパワーを適切に設定でき、第2のレンズ群G2を多数のレンズが密集したコンパクトな配置を実現できる。したがって、全体としてコンパクトにまとめることができる光学系10を提供できる。
【0066】
特に、この光学系10は、バックフォーカスが非常に長く、イメージサークルが小さい設計であり、高倍率で、照明系などとの組み合わせが要求されるアプリケーションに適している。この光学系10は、収差図にも示すように、ズーミングおよびフォーカシングの際の収差補正も良好であり、投射光学系としては、ズーミングが可能で、コンパクトでありながら、収差補正が良好にされた像を投影できる投射光学系10、および投射光学系10を備えたプロジェクタ1を提供できる。
【0067】
図9に、フォーカス群FGのいくつかの異なる例を示している。図9(a)は、第1のレンズ群G1を2つに分けてフォーカシングを行う例である。すなわち、第1のレンズ群G1のレンズL11により第1のフォーカスレンズ群Fg1を構成し、他のレンズL12~L14により第2のフォーカスレンズ群Fg2を構成し、これらの2つのレンズ群Fg1およびFg2によりフォーカシングを行う。
【0068】
図9(b)は、第1のレンズ群G1を3つに分けてフォーカシングを行う例である。すなわち、第1のレンズ群G1のレンズL11により第1のフォーカスレンズ群Fg1を構成し、レンズL12およびL13により第2のフォーカスレンズ群Fg2を構成し、レンズL14により第3のフォーカスレンズ群Fg3を構成し、これらの3つのレンズ群Fg1~Fg3によりフォーカシングを行う。
【0069】
図9(c)は、第2のレンズ群G2もフォーカシングの際に動かす例である。すなわち、第1のレンズ群G1のレンズL11により第1のフォーカスレンズ群Fg1を構成し、レンズL12~L14により第2のフォーカスレンズ群Fg2を構成し、第2のレンズ群L21~L26により第3のフォーカスレンズ群Fg3を構成し、これらの3つのレンズ群Fg1~Fg3によりフォーカシングを行う。
【0070】
図9(d)は、第2のレンズ群G2の一部のレンズをフォーカシングの際に動かす例である。すなわち、第1のレンズ群G1のレンズL11により第1のフォーカスレンズ群Fg1を構成し、レンズL12~L14により第2のフォーカスレンズ群Fg2を構成し、第2のレンズ群G2の最も中間像IMに近いレンズL26により第3のフォーカスレンズ群Fg3を構成し、これらの3つのレンズ群Fg1~Fg3によりフォーカシングを行う。
【0071】
図9(e)は、第2のレンズ群G2の一部に加えて、第3のレンズ群G3のレンズをフォーカシングの際に動かす例である。すなわち、第1のレンズ群G1のレンズL11により第1のフォーカスレンズ群Fg1を構成し、レンズL12~L14により第2のフォーカスレンズ群Fg2を構成し、第2のレンズ群G2の最も中間像IMに近いレンズL26により第3のフォーカスレンズ群Fg3を構成し、第3のレンズ群G3の最も中間像IMに近いレンズL31により第4のフォーカスレンズ群Fig4を構成し、これらの4つのレンズ群Fg1~Fg4によりフォーカシングを行う。
【0072】
図9(f)は、第1のレンズ群G1を一体でフォーカシングを行う例である。すなわち、第1のレンズ群G1のレンズL11~L14により第1のフォーカスレンズ群Fg1を構成し、第2のレンズ群G2の最も中間像IMに近いレンズL26により第3のフォーカスレンズ群Fg2を構成し、第3のレンズ群G3の最も中間像IMに近いレンズL31により第3のフォーカスレンズ群Fig3を構成し、これらの3つのレンズ群Fg1~Fg3によりフォーカシングを行う。
【0073】
フォーカス群FGの構成はこれらに限定されないが、光学系10においては、最も拡大側3の、光線が通過する面積が最も大きい2枚のレンズL11およびL12を協働して、すなわち、独立して、あるいは同期して、フォーカシングの際に動かすことにより、光線を効率よく制御することができ、良好なフォーカシング性能が得られる。
【0074】
図10に、プロジェクタの他の例を示している。このプロジェクタ1も、縮小側2の光変調器(ライトバルブ)5の像面(第1の像面)5aから拡大側3のスクリーンまたは壁面へ投射する光学系10を含む。この光学系10は撮像装置21用の光学系であってもよいことは上記の実施例と同様である。以下においても、投射用の光学系10を例に説明する。この光学系10は全23枚のレンズで構成され、拡大側3に配置された複数のレンズを含む第1の光学サブシステム(第1の屈折光学系)RS1と、中間像IMを挟んで縮小側2に配置された複数のレンズを含む第2の光学サブシステム(第2の屈折光学系)RS2とを含み、第2の屈折光学系RS2により結像された中間像IMを、広角な第1の屈折光学系RS1によりスクリーン等に対して拡大投影する。
【0075】
第1の屈折光学系RS1は、第1の絞りST1に対して、他のレンズを配置可能な間隔であって他のレンズが配置されていない第1の間隔SP1を空けて拡大側(拡大共役側)3に配置され、拡大側3に負の屈折力の第1の成分(サブレンズ群)G1fを備えた第1のレンズ群G1と、第1の絞りST1に対して、他のレンズを配置可能な間隔であって他のレンズが配置されていない第2の間隔SP2を空けて縮小側(縮小共役側)2に配置され、縮小側2が中間像IMに隣接する屈折力(合成屈折力)が正の第2のレンズ群G2とを含む。第1のレンズ群G1は、レンズL11~L14の4枚で構成され、第2のレンズ群G2は、レンズL21~25の5枚で構成されている。
【0076】
第1のレンズ群G1の基本的な構成は、図1に示した光学系10と共通し、負-負-負-正のパワー配置であり、レンズL14の正のパワーを強く設定しているので第1のレンズ群G1の全体の焦点距離fg1は若干正となっている。第2のレンズ群G2は、拡大側3から正-負のパワー配置のレンズL21およびL22と、正-負-正のパワー配置のレンズL23~L25とを含み、レンズL23~L25は第2の成分(第2のサブレンズ群)G2rを構成している。第2のレンズ群G2は、拡大側3から、両凸の正レンズL21と、縮小側2に凸の負のメニスカスレンズL22と、両凸の正レンズL23と、両凹の負レンズL24と、両凸の正レンズL25とを含む。本実施例における群末のレンズは、正レンズL25となる。
【0077】
第2の屈折光学系RS2は、第2の絞りST2に対して第3の間隔SP3を空けて拡大側3に配置され、拡大側に負の屈折力の第3の成分(サブレンズ群)G3fを備えた第3のレンズ群G3と、第2の絞りST2に対して第4の間隔SP4を空けて縮小側2に配置された正の屈折力の第4のレンズ群G4とを含む。第3のレンズ群G3は、レンズL31~L37の7枚で構成され、第4のレンズ群G4は、レンズL41~L47の7枚で構成されている。
【0078】
第3のレンズ群G3の具体的なパワー配置は、図1に示した光学系10と共通する。第3のレンズ群G3は、拡大側3から、縮小側2に凸の正のメニスカスレンズL31と、両凹の負レンズL32と、拡大側3に凸の負のメニスカスレンズL33と、両凹の負レンズL34と、両凸の正レンズL35~L37とを含む。第4のレンズ群G4は、拡大側3から負-正-負―正-負-正-正のレンズL41~L47を含む。第4のレンズ群G4は、拡大側3から、拡大側3に凸の負のメニスカスレンズL41と、両凸の正レンズL42と、両凹の負レンズL43と、両凸の正レンズL44と、縮小側2に凸の負のメニスカスレンズL45と、縮小側2に凸の正のメニスカスレンズL46と、両凸の正レンズL47とを含む。すなわち、図1に示した光学系10の第4のレンズ群G4の拡大側3の2枚のレンズを省いた構成と共通する。
【0079】
この光学系10は、中間の固定レンズ群Fim1およびFim2に対して拡大側3に配置された3つのフォーカスレンズ群Fg1~Fg3と、縮小側2に配置された4つのズームレンズ群Zg1~Zg4とを含み、さらに最も縮小側2に端末の固定レンズ群Fieを含む。ズームレンズ群Zg1~Zg4はズーミング(変倍)の際に移動し、像面、例えば、縮小側2の像面25aに対して距離が変動する。フォーカスレンズ群Fg1~Fg3はズーミング(変倍)の際には移動せず、フォーカシング(合焦)の際に移動する。固定レンズ群Fim1、Fim2およびFieはいずれの場合も移動しない。
【0080】
本例の光学系10は、第1のレンズ群G1を3つに分けて独立して動かすことによりフォーカシングを行う。すなわち、第1のフォーカスレンズ群Fg1は、第1のレンズ群G1の最も拡大側3の負のパワーのレンズL11の一枚構成であり、第2のフォーカスレンズ群Fg2は、第1のレンズ群G1の負-負のパワーのレンズL12およびL13により構成され、第3のフォーカスレンズ群Fg3は、正のパワーのレンズL14により構成されている。
【0081】
第2のレンズ群G2および第3のレンズG3の拡大側3のレンズ群G3fはフォーカシングおよびズーミングにおいて動かない。すなわち、中間像IMの前後に配置されたレンズ群はフォーカシングおよびズーミングの際に動かず、中間像IMが移動しない、またはほとんど移動せず、フォーカシングおよびズーミングによる光学的性能の変動が小さい光学系10を提供できる。
【0082】
ズーム群ZGは4つのズームレンズ群を含む。第1のズームレンズ群Zg1は、第3のレンズ群G3の負-正のパワーのレンズL34およびL35により構成され、第2のズームレンズ群Zg2は、第3のレンズ群G3の正のパワーのレンズL36により構成され、第3のズームレンズ群Zg3は、第3のレンズ群G3の最も縮小側2の正のパワーのレンズL37により構成されている。第4のズームレンズ群Zg4は、第2の絞りST2を含めた第4のレンズ群G4の負-正-負-正-負-正のレンズL41~L46により構成されている。最終の固定レンズ群Fieは、第4のレンズ群G4の最も縮小側2の正のパワーのレンズL47により構成されている。
【0083】
この光学系10も、第1の屈折光学系RS1および第2の屈折光学系RS2は、屈折力が負の成分G1fおよびG3fがそれぞれ拡大側(拡大共役側)3に配置されたレトロフォーカスタイプであり、拡大側3は画角の大きな広角で、縮小側2はバックフォーカスが長くテレセントリックまたはそれに近くなる光学系を得ることができる。さらに、中間像IMは、拡大側3に傾斜するように結像される設計となっている。このため、図1に示した光学系10と同様に、レンズ径の変化を小さくでき、また、多数のレンズを接近させた状態でコンパクトに配置できる。このため、コンパクトで収差も良好に修正できる光学系10を提供できる。他の具体的な構成については、図1に示した光学系10と共通する。
【0084】
図10(a)は、光学系10の広角端におけるレンズ配置を示し、図10(b)は、光学系10の望遠端におけるレンズ配置を示している。図11は、光学系10の各エレメントのデータを示している。図12は、各エレメントの面の中の、非球面の面番号と、非球面データを示している。図13は、フォーカシングおよびズーミングの際に移動するフォーカスレンズ群およびズームレンズ群の移動量を、拡大側3の端(面S1)からスクリーン(不図示)までの距離d0が近距離(3400mm)および遠距離(12000mm、12m)の各位置における広角端(Z1、Z4)、中間位置(Z2、Z5)および望遠端(Z3、Z6)の各レンズ群の前後の間隔により示している。
【0085】
図14に、中間像IMの像面湾曲量(mm)を画角(度)に対して示している。図15(a)および(b)に、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。図16および図17に、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各像高における横収差図を示している。
【0086】
図10に示した光学系10の主なパラメータは以下の通りである。
倍率(広角端、近距離における倍率):217.4
F値:2.37(広角端)/2.44(望遠端)
最大画角(半画角):54.8(広角端)/49.5(望遠端)
変倍比:1.21
全系の合成焦点距離(近距離、広角端、fw):-15.87
全系の合成焦点距離(近距離、望遠端、ft):-19.20
第1の屈折光学系RS1の合成焦点距離(近距離、f1):16.0
第2の屈折光学系RS2の合成焦点距離
(近距離、広角端、f2w):213.6
第2の屈折光学系RS2の合成焦点距離
(近距離、望遠端、f2t):267.6
光学系の全長(Lop):900.00
第1の屈折光学系RS1の全長(Lop1):283.97
第2の屈折光学系RS2の全長(Lop2):616.03
第1のレンズ群G1の合成焦点距離(近距離、fg1):131.65
第2のレンズ群G2の合成焦点距離(近距離、fg2):68.45
第3のレンズ群G3の合成焦点距離
(近距離、広角端、fg3):135.86
第4のレンズ群G4の合成焦点距離
(近距離、広角端、fg4):127.29
第1の成分G1fの合成焦点距離(fc1):-19.76
第3の成分G3fの合成焦点距離(fc3):-160.25
群末のレンズL25の焦点距離(fg2e):48.8
中間像IMの像面湾曲量(IMFc):-21.35
第1のレンズ群G1のペッツバール和(G1PTZ):0.0171
第2のレンズ群G2のペッツバール和(G2PTZ):-0.0122
第2のレンズ群G2の拡大側の面から縮小側の面までの長さ
(Lg2):60.85
第2のレンズ群G2の正のパワーのレンズの総厚(Lg2p):41.43
第1の間隔(SP1):30.25
第2の間隔(SP2):30.25
第3の間隔(SP3):62.07
第4の間隔(SP4):40.44
最大法線角度(θnm):43.03
最周辺法線角度(θnp):30.53
長さLA:40.52
長さLB:18.50
条件(1)(|G2PTZ/G1PTZ|):0.71
条件(2)(|IMFc/f1|):1.33
条件(3)(|IMFc/fw|):1.35
条件(4)(SP1/SD1:SP1/H*2-10):0.69
条件(5)(SP2/SD1:SP2/H*2-10):0.69
条件(6)(|Sf1r/Sr1r|:|Rdy8/Rdy12|):0.19
条件(7)(Dg2max/Dg2min:H*2-21/H*2-12):1.11
条件(8)(Lg2p/Lg2):0.68
条件(9)(Lop1/Lop):0.32
条件(10)(|f1/fw|):1.01
条件(11)(|fc1/f1|):1.24
条件(12)(|fc1/fw|):1.25
条件(13)(|fg2e/fw|):3.07
条件(14)(|Rg2er/fw|:|Rdy20/fw|):2.59
条件(15)(|θt|):1.01
条件(16)(LB/LA):0.46
条件(17)(Rg2m/Rg2p:Rdy18/Rdy17):1.01
条件(18)(θnm):43.03
条件(19)(θnp/θnm):0.71
条件(20)(SP3/SD2:SP3/H*2-39):1.15
条件(21)(SP4/SD2:SP4/H*2-39):0.75
条件(22)(fc1/fc3):0.12
【0087】
この光学系10においては、上述した条件(1)~(22)のうち、条件(17)については設計時に考慮されていないが、その他の条件をすべて満たす。この光学系10も、中間像IMよりも拡大側3の第1の屈折光学系RS1に配置されたレンズ群により主にフォーカシングを行い、縮小側2の第2の屈折光学系RS2に配置されたレンズ群によりズーミングを行うことができる。また、第2のレンズ群G2を多数のレンズが密集したコンパクトな配置を実現することにより、全体としてコンパクトにまとめることができる光学系10を提供できる。
【0088】
この光学系10は、バックフォーカスが非常に長く,イメージサークルが大きい設計である。また、フォーカシング可能な距離が3.4m~12mと非常に範囲が広い。したがって、照明系などと組み合わせて遠方に投影するようなアプリケーションに適している。この光学系10は、収差図にも示すように、ズーミングおよびフォーカシングの際の収差補正も良好であり、投射光学系としては、ズーミングが可能で、コンパクトでありながら、収差補正が良好にされた像を投影できる投射光学系10、および投射光学系10を備えたプロジェクタ1を提供できる。
【0089】
図18に、プロジェクタの他の例を示している。このプロジェクタ1も、縮小側2の光変調器(ライトバルブ)5の像面(第1の像面)5aから拡大側3のスクリーンまたは壁面へ投射する光学系10を含む。この光学系10は撮像装置21用の光学系であってもよいことは上記の実施例と同様である。この光学系10は全24枚のレンズで構成され、拡大側3に配置された複数のレンズを含む第1の光学サブシステム(第1の屈折光学系)RS1と、中間像IMを挟んで縮小側2に配置された複数のレンズを含む第2の光学サブシステム(第2の屈折光学系)RS2とを含み、第2の屈折光学系RS2により結像された中間像IMを、広角な第1の屈折光学系RS1によりスクリーン等に対して拡大投影する。
【0090】
第1の屈折光学系RS1は、第1の絞りST1に対して第1の間隔SP1を空けて拡大側(拡大共役側)3に配置され、拡大側3に負の屈折力の第1の成分(サブレンズ群)G1fを備えた第1のレンズ群G1と、第1の絞りST1に対して第2の間隔SP2を空けて縮小側(縮小共役側)2に配置され、縮小側2が中間像IMに隣接する屈折力(合成屈折力)が正の第2のレンズ群G2とを含む。第1のレンズ群G1は、レンズL11およびL12の2枚で構成され、第2のレンズ群G2は、レンズL21~25の5枚で構成されている。
【0091】
第1のレンズ群G1は、負の第1の成分G1fにより構成されている。負の第1の成分G1fは、負-負のパワー配置であり、拡大側3に凸の負のメニスカスレンズL11およびL12を含む。第2のレンズ群G2は、拡大側3から正-正のパワー配置のレンズL21およびL22と、正-負-正のパワー配置のレンズL23~L25とを含み、レンズL22~L25は第2の成分(第2のサブレンズ群)G2rを構成している。第2のレンズ群G2は、拡大側3から、縮小側2に凸の正のメニスカスレンズL21と、両凸の正レンズL22と、両凸の正レンズL23と、両凹の負レンズL24と、両凸の正レンズL25とを含む。本実施例における群末のレンズは、正レンズL25となる。
【0092】
第2の屈折光学系RS2は、第2の絞りST2に対して第3の間隔SP3を空けて拡大側3に配置され、拡大側に負の屈折力の第3の成分(サブレンズ群)G3fを備えた第3のレンズ群G3と、第2の絞りST2に対して第4の間隔SP4を空けて縮小側2に配置された正の屈折力の第4のレンズ群G4とを含む。第3のレンズ群G3は、レンズL31~L36の6枚で構成され、第4のレンズ群G4は、レンズL41~L51の11枚で構成されている。
【0093】
第3のレンズ群G3は、正-負-負のレンズL31~L33を含む負の第3の成分G3fと、負-正のレンズL34およびL35とを含む。第3のレンズ群G3は、拡大側3から、拡大側3に凸の正のメニスカスレンズL31と、拡大側3に凸の負のメニスカスレンズL32と、両凹の負レンズL33およびL34と、両凸の正レンズL35と、拡大側3に凸の正レンズのL36とを含む。
【0094】
第4のレンズ群G4は、拡大側3から正-負-正-負-正-負―正-負-正-負-正のレンズL41~L51を含む。第4のレンズ群G4は、拡大側3から、縮小側2に凸の正のメニスカスレンズL41と、両凹の負レンズL42と、両凸の正レンズL43と、拡大側3に凸の負のメニスカスレンズL44と、両凸の正レンズL45と、両凹の負レンズL46と、両凸の正レンズL47と、両凹の負レンズL48と、両凸の正レンズL49と、両凹の負レンズL50と、両凸の正レンズL51とを含む。すなわち、図2に示した光学系10の第4のレンズ群G4の拡大側3に正-負-正のパワーを追加し、最も縮小側2を負-正のパワーにした構成となっている。
【0095】
この光学系10は、中間の固定レンズ群はなく、中間像IMの拡大側3に配置された3つのフォーカスレンズ群Fg1~Fg3と、縮小側2に配置された4つのズームレンズ群Zg1~Zg4とを含み、さらに最も縮小側2に端末の固定レンズ群Fieを含む。ズームレンズ群Zg1~Zg4はズーミング(変倍)の際に移動し、像面、例えば、縮小側2の像面25aに対して距離が変動する。フォーカスレンズ群Fg1~Fg3はズーミング(変倍)の際には移動せず、フォーカシング(合焦)の際に移動する。
【0096】
本例の光学系10は、第2のレンズ群G2を2つに分けて独立して動かすことによりフォーカシングを行う。すなわち、第1のフォーカスレンズ群Fg1は、第1のレンズ群G1により構成され、第2のフォーカスレンズ群Fg2は、第2のレンズ群G2の正-正-正-負のレンズL21~L24により構成され、第3のフォーカスレンズ群Fg3は、正のパワーのレンズL25により構成されている。
【0097】
ズーム群ZGは4つのズームレンズ群を含む。第1のズームレンズ群Zg1は、第3のレンズ群G3の第3の負の成分G3fのレンズL31~L33により構成され、第2のズームレンズ群Zg2は、第3のレンズ群G3の負-正のレンズL34およびL35により構成され、第3のレンズ群G3の正のパワーのレンズL36により構成され、第4のズームレンズ群Zg4は、第2の絞りST2を含めた第4のレンズ群G4の正-負-正-負-正-負-正-負-正のレンズL41~L49により構成されている。最終の固定レンズ群Fieは、第4のレンズ群G4の最も縮小側2の負-正のパワーのレンズL50およびL51により構成されている。
【0098】
この光学系10も、第1の屈折光学系RS1および第2の屈折光学系RS2は、屈折力が負の成分G1fおよびG3fがそれぞれ拡大側(拡大共役側)3に配置されたレトロフォーカスタイプであり、拡大側3は画角の大きな広角で、縮小側2はバックフォーカスが長くテレセントリックまたはそれに近くなる光学系を得ることができる。さらに、中間像IMは、拡大側3に傾斜するように結像される設計となっている。このため、図1に示した光学系10と同様に、レンズ径の変化を小さくでき、また、多数のレンズを接近させた状態でコンパクトに配置できる。このため、コンパクトで収差も良好に修正できる光学系10を提供できる。他の具体的な構成については、図1に示した光学系10と共通する。
【0099】
図18(a)は、光学系10の広角端におけるレンズ配置を示し、図18(b)は、光学系10の望遠端におけるレンズ配置を示している。図19は、光学系10の各エレメントのデータを示している。図20は、各エレメントの面の中の、非球面の面番号と、非球面データを示している。図21(a)は、ズーミングの際に移動するズームレンズ群の移動量を、拡大側3の端(面S1)からスクリーン(不図示)までの距離d0が近距離(1625mm)の広角端(Z1)、中間位置(Z2)および望遠端(Z3)の各レンズ群の前後の間隔により示している。図21(b)は、フォーカシングの際に移動するフォーカスレンズ群の移動量を、近距離(1625mm、Z10)と、遠距離(3000mm、Z20)とで示している。
【0100】
図22に、中間像IMの像面湾曲量(mm)を画角(度)に対して示している。図23(a)および(b)に、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。図24および図25に、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各像高における横収差図を示している。
【0101】
図18に示した光学系10の主なパラメータは以下の通りである。
倍率(広角端、近距離における倍率):156.0
F値:1.89(広角端)/2.05(望遠端)
最大画角(半画角):58.7(広角端)/54.5(望遠端)
変倍比:1.18
全系の合成焦点距離(近距離、広角端、fw):-10.58
全系の合成焦点距離(近距離、望遠端、ft):-12.48
第1の屈折光学系RS1の合成焦点距離(近距離、f1):17.4
第2の屈折光学系RS2の合成焦点距離
(近距離、広角端、f2w):50.95
第2の屈折光学系RS2の合成焦点距離
(近距離、望遠端、f2t):56.2
光学系の全長(Lop):500.00
第1の屈折光学系RS1の全長(Lop1):151.93
第2の屈折光学系RS2の全長(Lop2):348.07
第1のレンズ群G1の合成焦点距離(近距離、fg1):-30.92
第2のレンズ群G2の合成焦点距離(近距離、fg2):30.07
第3のレンズ群G3の合成焦点距離
(近距離、広角端、fg3):95.67
第4のレンズ群G4の合成焦点距離
(近距離、広角端、fg4):52.98
第1の成分G1fの合成焦点距離(fc1):-30.92
第3の成分G3fの合成焦点距離(fc3):-37.92
群末のレンズL25の焦点距離(fg2e):60.9
中間像IMの像面湾曲量(IMFc):-3.46
第1のレンズ群G1のペッツバール和(G1PTZ):0.0195
第2のレンズ群G2のペッツバール和(G2PTZ):-0.0236
第2のレンズ群G2の拡大側の面から縮小側の面までの長さ
(Lg2):70.89
第2のレンズ群G2の正のパワーのレンズの総厚(Lg2p):59.79
第1の間隔(SP1):27.48
第2の間隔(SP2):15.28
第3の間隔(SP3):20.80
第4の間隔(SP4):24.33
最大法線角度(θnm):42.86
最周辺法線角度(θnp):33.84
長さLA:45.30
長さLB:22.74
条件(1)(|G2PTZ/G1PTZ|):1.21
条件(2)(|IMFc/f1|):0.20
条件(3)(|IMFc/fw|):0.33
条件(4)(SP1/SD1:SP1/H*2-6):1.31
条件(5)(SP2/SD1:SP2/H*2-6):0.73
条件(6)(|Sf1r/Sr1r|:|Rdy4/Rdy8|):0.18
条件(7)(Dg2max/Dg2min:H*2-17/H*2-8):1.55
条件(8)(Lg2p/Lg2):0.84
条件(9)(Lop1/Lop):0.30
条件(10)(|f1/fw|):1.64
条件(11)(|fc1/f1|):1.78
条件(12)(|fc1/fw|):2.92
条件(13)(|fg2e/fw|):5.76
条件(14)(|Rg2er/fw|:|Rdy16/fw|):5.11
条件(15)(|θt|):6.08
条件(16)(LB/LA):0.50
条件(17)(Rg2m/Rg2p:Rdy14/Rdy13):0.99
条件(18)(θnm):42.86
条件(19)(θnp/θnm):0.79
条件(20)(SP3/SD2:SP3/H*2-33):0.47
条件(21)(SP4/SD2:SP4/H*2-33):0.54
条件(23)(fc1/fc3):0.82
【0102】
この光学系10においては、上述した条件(1)~(21)および(23)のすべてを満たす。この光学系10も、中間像IMよりも拡大側3の第1の屈折光学系RS1に配置されたレンズ群により主にフォーカシングを行い、縮小側2の第2の屈折光学系RS2に配置されたレンズ群によりズーミングを行うことができる。また、第2のレンズ群G2を多数のレンズが密集したコンパクトな配置を実現することにより、全体としてコンパクトにまとめることができ、さらにF値が小さく、明るい光学系10を提供できる。
【0103】
この光学系10は、バックフォーカスが比較的短く、イメージサークルが大きい設計である。また、中間像IMを拡大結像するようにしている。したがって、バックフォーカスがそれほど要しないアプリケーションに適している。この光学系10は、収差図にも示すように、ズーミングおよびフォーカシングの際の収差補正も良好であり、投射光学系としては、ズーミングが可能で、コンパクトでありながら、収差補正が良好にされ像を投影できる投射光学系10、および投射光学系10を備えたプロジェクタ1を提供できる。
【0104】
図26に、プロジェクタの他の例を示している。このプロジェクタ1も、縮小側2の光変調器(ライトバルブ)5の像面(第1の像面)5aから拡大側3のスクリーンまたは壁面へ投射する光学系10を含む。この光学系10は全26枚のレンズで構成され、拡大側3に配置された複数のレンズを含む第1の光学サブシステム(第1の屈折光学系)RS1と、中間像IMを挟んで縮小側2に配置された複数のレンズを含む第2の光学サブシステム(第2の屈折光学系)RS2とを含み、第2の屈折光学系RS2により結像された中間像IMを、広角な第1の屈折光学系RS1によりスクリーン等に対して拡大投影する。
【0105】
第1の屈折光学系RS1は、第1の絞りST1に対して第1の間隔SP1を空けて拡大側(拡大共役側)3に配置され、拡大側3に負の屈折力の第1の成分(サブレンズ群)G1fを備えた第1のレンズ群G1と、第1の絞りST1に対して第2の間隔SP2を空けて縮小側(縮小共役側)2に配置され、縮小側2が中間像IMに隣接する屈折力(合成屈折力)が正の第2のレンズ群G2とを含む。この光学系10においては、第1のレンズ群G1および第2のレンズ群G2の構成は、図18に示した光学系10と共通する。
【0106】
第2の屈折光学系RS2は、第2の絞りST2に対して第3の間隔SP3を空けて拡大側3に配置され、拡大側に負の屈折力の第3の成分(サブレンズ群)G3fを備えた第3のレンズ群G3と、第2の絞りST2に対して第4の間隔SP4を空けて縮小側2に配置された正の屈折力の第4のレンズ群G4とを含む。第3のレンズ群G3は、レンズL31~L38の8枚で構成され、第4のレンズ群G4は、レンズL41~L51の11枚で構成されている。
【0107】
第3のレンズ群G3は、正-負-負のレンズL31~L33を含む負の第3の成分G3fと、負-正-正-負-正のレンズL34~L38とを含む。第3のレンズ群G3は、拡大側3から、拡大側3に凸の正のメニスカスレンズL31と、両凹の負レンズL32およびL33と、縮小側2に凸の負のメニスカスレンズL34と、縮小側2に凸の正のメニスカスレンズL35と、両凸の正レンズL36と、縮小側2に凸の負のメニスカスレンズL37と、拡大側3に凸の正のメニスカスレンズL38とを含む。
【0108】
第4のレンズ群G4は、図18に示した光学系10と同じく、拡大側3から正-負-正-負-正-負―正-負-正-負-正のレンズL41~L51を含む。第4のレンズ群G4は、最も拡大側3のレンズL41が両凸の正レンズであること以外は、基本的な構成は図18に示した光学系10と共通する。
【0109】
この光学系10は、中間の固定レンズ群はなく、中間像IMの拡大側3に配置された3つのフォーカスレンズ群Fg1~Fg3と、縮小側2に配置された4つのズームレンズ群Zg1~Zg4とを含み、さらに最も縮小側2に端末の固定レンズ群Fieを含む。
【0110】
本例の光学系10は、第1のレンズ群G1を2つに分けて独立して動かすことによりフォーカシングを行う。すなわち、第1のフォーカスレンズ群Fg1は、第1のレンズ群G1のレンズL11により構成され、第2のフォーカスレンズ群Fg2は、第1のレンズ群G1のレンズL12により構成され、第3のフォーカスレンズ群Fg3は、第2のレンズ群G2に第1の絞りST1を含めた正-正-正-負-正のレンズL21~L25により構成により構成されている。
【0111】
ズーム群ZGは4つのズームレンズ群を含む。第1のズームレンズ群Zg1は、第3のレンズ群G3の第3の負の成分G3fのレンズL31~L33と、レンズL34とにより構成され、第2のズームレンズ群Zg2は、第3のレンズ群G3の正-正-負のレンズL35、L36およびL37により構成され、第3のレンズ群G3の正のパワーのレンズL38により構成され、第4のズームレンズ群Zg4は、第2の絞りST2を含めた第4のレンズ群G4の正-負-正-負-正-負-正-負-正のレンズL41~L49により構成されている。最終の固定レンズ群Fieは、第4のレンズ群G4の最も縮小側2の負-正のパワーのレンズL50およびL51により構成されている。
【0112】
この光学系10も、第1の屈折光学系RS1および第2の屈折光学系RS2は、屈折力が負の成分G1fおよびG3fがそれぞれ拡大側(拡大共役側)3に配置されたレトロフォーカスタイプであり、拡大側3は画角の大きな広角で、縮小側2はバックフォーカスが長くテレセントリックまたはそれに近くなる光学系を得ることができる。さらに、中間像IMは、拡大側3に傾斜するように結像される設計となっている。このため、図1に示した光学系10と同様に、レンズ径の変化を小さくでき、また、多数のレンズを接近させた状態でコンパクトに配置できる。このため、コンパクトで収差も良好に修正できる光学系10を提供できる。他の具体的な構成については、図1に示した光学系10と共通する。
【0113】
図26(a)は、光学系10の広角端におけるレンズ配置を示し、図26(b)は、光学系10の望遠端におけるレンズ配置を示している。図27は、光学系10の各エレメントのデータを示している。図28は、各エレメントの面の中の、非球面の面番号と、非球面データを示している。図29(a)は、ズーミングの際に移動するズームレンズ群の移動量を、拡大側3の端(面S1)からスクリーン(不図示)までの距離d0が近距離(1625mm)の広角端(Z1)、中間位置(Z2)および望遠端(Z3)の各レンズ群の前後の間隔により示している。図29(b)は、フォーカシングの際に移動するフォーカスレンズ群の移動量を、近距離(1625mm、Z10)と、遠距離(3000mm、Z20)とで示している。
【0114】
図30に、中間像IMの像面湾曲量(mm)を画角(度)に対して示している。図31(a)および(b)に、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)における球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。図32および図33に、広角端(ワイド)および望遠端(テレ)の各像高における横収差図を示している。
【0115】
図26に示した光学系10の主なパラメータは以下の通りである。
倍率(広角端、近距離における倍率):156.7
F値:1。99(広角端)/2.10(望遠端)
最大画角(半画角):58.7(広角端)/54.3(望遠端)
イメージサークル(縮小側):φ35.0
バックフォーカス(縮小側):48.0
変倍比:1.18
全系の合成焦点距離(近距離、広角端、fw):-10.56
全系の合成焦点距離(近距離、望遠端、ft):-12.46
第1の屈折光学系RS1の合成焦点距離(近距離、f1):12.1
第2の屈折光学系RS2の合成焦点距離
(近距離、広角端、f2w):69.6
第2の屈折光学系RS2の合成焦点距離
(近距離、望遠端、f2t):81.5
光学系の全長(Lop):500.00
第1の屈折光学系RS1の全長(Lop1):150.85
第2の屈折光学系RS2の全長(Lop2):349.15
第1のレンズ群G1の合成焦点距離(近距離、fg1):-32.34
第2のレンズ群G2の合成焦点距離(近距離、fg2):28.11
第3のレンズ群G3の合成焦点距離
(近距離、広角端、fg3):81.37
第4のレンズ群G4の合成焦点距離
(近距離、広角端、fg4):91.20
第1の成分G1fの合成焦点距離(fc1):-32.34
第3の成分G3fの合成焦点距離(fc3):-30.89
群末のレンズL25の焦点距離(fg2e):44.9
中間像IMの像面湾曲量(IMFc):-1.66
第1のレンズ群G1のペッツバール和(G1PTZ):0.0170
第2のレンズ群G2のペッツバール和(G2PTZ):-0.0274
第2のレンズ群G2の拡大側の面から縮小側の面までの長さ
(Lg2):54.98
第2のレンズ群G2の正のパワーのレンズの総厚(Lg2p):51.49
第1の間隔(SP1):37.6
第2の間隔(SP2):14.66
第3の間隔(SP3):20.80
第4の間隔(SP4):20.35
最大法線角度(θnm):44.85
最周辺法線角度(θnp):42.59
長さLA:32.7
長さLB:11.50
条件(1)(|G2PTZ/G1PTZ|):1.61
条件(2)(|IMFc/f1|):0.14
条件(3)(|IMFc/fw|):0.16
条件(4)(SP1/SD1:SP1/H*2-6):1.63
条件(5)(SP2/SD1:SP2/H*2-6):0.64
条件(6)(|Sf1r/Sr1r|:|Rdy4/Rdy8|):0.26
条件(7)(Dg2max/Dg2min:H*2-11/H*2-8):1.34
条件(8)(Lg2p/Lg2):0.94
条件(9)(Lop1/Lop):0.30
条件(10)(|f1/fw|):1.15
条件(11)(|fc1/f1|):2.67
条件(12)(|fc1/fw|):3.06
条件(13)(|fg2e/fw|):4.25
条件(14)(|Rg2er/fw|:|Rdy16/fw|):4.01
条件(15)(|θt|):5.79
条件(16)(LB/LA):0.35
条件(17)(Rg2m/Rg2p:Rdy14/Rdy13):0.98
条件(18)(θnm):44.85
条件(19)(θnp/θnm):0.95
条件(20)(SP3/SD2:SP3/H*2-37):0.45
条件(21)(SP4/SD2:SP4/H*2-37):0.44
条件(23)(fc1/fc3):1.05
【0116】
この光学系10においては、上述した条件(1)~(21)および(23)のすべてを満たす。この光学系10も、中間像IMよりも拡大側3の第1の屈折光学系RS1に配置されたレンズ群により主にフォーカシングを行い、縮小側2の第2の屈折光学系RS2に配置されたレンズ群によりズーミングを行うことができる。また、第2のレンズ群G2を多数のレンズが密集したコンパクトな配置を実現することにより、全体としてコンパクトにまとめることができ、F値が小さく、明るい光学系10を提供できる。
【0117】
この光学系10は、バックフォーカスが比較的短く、イメージサークルが小さい設計である。さらに、中間像IMより縮小側2の第3のレンズ群G3に正のパワーのレンズを多く配置し、光線を内側に曲げることにより中間像IMを縮小結像するようにしている。したがって、バックフォーカスがそれほど要しないアプリケーションに適している。この光学系10は、収差図にも示すように、ズーミングおよびフォーカシングの際の収差補正も良好であり、投射光学系としては、ズーミングが可能で、コンパクトでありながら、収差補正が良好にされた像を投影できる投射光学系10、および投射光学系10を備えたプロジェクタ1を提供できる。
【0118】
なお、上記においては、本発明の特定の実施形態を説明したが、様々な他の実施形態および変形例は本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者が想到し得ることであり、そのような他の実施形態および変形は以下の特許請求の範囲の対象となり、本発明は以下の特許請求の範囲により規定されるものである。
図1
図2
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図5
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図10
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