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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】ケーブル巻回システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 59/38 20060101AFI20250131BHJP
   B65H 75/34 20060101ALI20250131BHJP
   B01F 33/502 20220101ALI20250131BHJP
   C02F 11/02 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
B65H59/38 W
B65H75/34 ZAB
B01F33/502
C02F11/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023106647
(22)【出願日】2023-06-29
(65)【公開番号】P2025006081
(43)【公開日】2025-01-17
【審査請求日】2024-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591196625
【氏名又は名称】株式会社晃伸製機
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角谷 博規
(72)【発明者】
【氏名】角谷 一範
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-174423(JP,U)
【文献】特開平7-033329(JP,A)
【文献】特開平1-281262(JP,A)
【文献】特開2011-103709(JP,A)
【文献】国際公開第2015/198452(WO,A1)
【文献】特開2007-284244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 59/00-59/40
B65H 75/34-75/50
B01F 33/502
C02F 11/02
H02G 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に前進し、又は逆方向に後進する移動体と、
一端側が外部電源に接続され、前記移動体に電力を供給するケーブルと、
前記ケーブルの他端側を保持しつつ前記ケーブルが巻回され、前記移動体の前進時に前記ケーブルが繰り出されるように一方向に回転する正転駆動、及び前記移動体の後進時に前記ケーブルが巻き取られるように逆方向に回転する反転駆動が可能なリール部と、前記リール部の前記正転駆動のために一方向に回転し、又は前記リール部の前記反転駆動のために逆方向に回転する出力軸を含むモータと、前記ケーブルのうち前記リール部側から前記一端側に延びた部分からなる対象部の張り具合を検知する検知センサとを有し、前記移動体と共に前進又は後進するケーブルリール装置と、
前記検知センサの検知結果に基づいて前記出力軸の回転を制御する制御装置とを備えるケーブル巻回システムであって、
前記制御装置は、
前記移動体の前進時において、前記検知センサにより前記対象部のたるみが検知されると、所定の減速時間T1をかけて、前記リール部の回転を徐々に停止させる第1減速・停止処理と、前記第1減速・停止処理の後、前記検知センサにより前記対象部の張りが検知されると、所定の加速時間T2をかけて、前記リール部を徐々に回転させて前記正転駆動を再開させる第1加速・再開処理とを実行し、かつ
前記移動体の後進時において、前記検知センサにより前記対象部の張りが検知されると、前記減速時間T1をかけて、前記リール部の回転を徐々に停止させる第2減速・停止処理と、前記第2減速・停止処理の後、前記検知センサにより前記対象部のたるみが検知されると、前記加速時間T2をかけて、前記リール部を徐々に回転させて前記反転駆動を再開させる第2加速・再開処理とを実行するケーブル巻回システム。
【請求項2】
一方向に前進し、又は逆方向に後進する移動体と、
一端側が前記移動体に接続され、他端側から外部電源より供給された電力を前記移動体に供給するケーブルと、
前記ケーブルの前記他端側を保持しつつ前記ケーブルが巻回され、前記移動体の前進時に前記ケーブルが繰り出されるように一方向に回転する正転駆動、及び前記移動体の後進時に前記ケーブルが巻き取られるように逆方向に回転する反転駆動が可能なリール部と、前記リール部の前記正転駆動のために一方向に回転し、又は前記リール部の前記反転駆動のために逆方向に回転する出力軸を含むモータと、前記ケーブルのうち前記リール部側から前記一端側に延びた部分からなる対象部の張り具合を検知する検知センサとを有し、前記外部電源側に配置されるケーブルリール装置と、
前記検知センサの検知結果に基づいて前記出力軸の回転を制御する制御装置とを備えるケーブル巻回システムであって、
前記制御装置は、
前記移動体の前進時において、前記検知センサにより前記対象部のたるみが検知されると、所定の減速時間T1をかけて、前記リール部の回転を徐々に停止させる第1減速・停止処理と、前記第1減速・停止処理の後、前記検知センサにより前記対象部の張りが検知されると、所定の加速時間T2をかけて、前記リール部を徐々に回転させて前記正転駆動を再開させる第1加速・再開処理とを実行し、かつ
前記移動体の後進時において、前記検知センサにより前記対象部の張りが検知されると、前記減速時間T1をかけて、前記リール部の回転を徐々に停止させる第2減速・停止処理と、前記第2減速・停止処理の後、前記検知センサにより前記対象部のたるみが検知されると、前記加速時間T2をかけて、前記リール部を徐々に回転させて前記反転駆動を再開させる第2加速・再開処理とを実行するケーブル巻回システム。
【請求項3】
前記制御装置は、インバータ制御装置からなる請求項1又は請求項2に記載のケーブル巻回システム。
【請求項4】
前記移動体は、有機性廃棄物を攪拌するための撹拌機を有する自走式攪拌装置からなる請求項1又は請求項2に記載のケーブル巻回システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル巻回システムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定幅で直線状に設けられた醗酵処理プラント用の処理槽を、往復移動する自走式の攪拌装置が知られている(特許文献1参照)。この種の攪拌装置は、処理槽内に収容された有機性廃棄物(鶏糞等)を効率的に堆肥化するために、処理槽の長手方向に沿って往復移動しながら、有機性廃棄物を攪拌する。このような攪拌装置は、処理槽の長手方向に配設された側壁上のレールに沿って移動する電動式の車輪や、処理槽内に収容された有機性廃棄物(鶏糞等)を攪拌する電動式の撹拌機等の電動装置(電力を動力源とする装置)を備えている。そのため、攪拌装置には、それらの電動装置に外部電源から電力を供給するための給電ケーブルが設けられている。
【0003】
給電ケーブルは、ケーブルリール装置(コードリール機構)に巻回された状態で使用される。ケーブルリール装置は、給電ケーブルの巻き取りや繰り出しを行うリール部(リールドラム)を備えており、このリール部の回転が制御されることで、外部電源と攪拌装置との間に配される給電ケーブルの長さが適宜、調整される。なお、リール部の回転制御は、リール部を駆動するためのモータの回転を制御することで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-144890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リール部に巻回された環状の給電ケーブルの大きさ(リール部を中心とした直径)は、リール部に巻回されている給電ケーブルの長さ(巻回量)に応じて変化する。つまり、リール部の回転速度が一定の場合でも、実際にリール部に給電ケーブルが巻き取られる速度や、リール部から給電ケーブルが繰り出される速度は、給電ケーブルの巻き取り量(巻回量)等に応じて、適宜、変化する。
【0006】
そのため、例えば、給電ケーブルの繰り出し時に、攪拌装置の移動速度と比べて、給電ケーブルの繰り出し速度が遅すぎると、リール部から繰り出される給電ケーブルが引っ張られ過ぎて、給電ケーブル自体に負荷がかかってしまう。これに対して、給電ケーブルの繰り出し時に、攪拌装置の移動速度と比べて、給電ケーブルの繰り出し速度が速すぎると、リール部から繰り出された後の給電ケーブルがたるみ過ぎてそれが絡まる等して、ケーブルリール装置が正常に稼働しなくなる虞があった。
【0007】
また、給電ケーブルの巻き取り時に、攪拌装置の移動速度と比べて、給電ケーブルの繰り出し速度が遅すぎると、リール部に巻き取られる前の給電ケーブルがたるみ過ぎてそれが絡まる等して、ケーブルリール装置が正常に稼働しなくなる虞があった。これに対して、給電ケーブルの巻き取り時に、攪拌装置の移動速度と比べて、給電ケーブルの巻き取り速度が速すぎると、リール部に巻き取られる給電ケーブルが引っ張られ過ぎて、給電ケーブル自体に負荷がかかってしまう。
【0008】
本発明の目的は、ケーブルリール装置に巻回された移動体用の給電ケーブルの巻き取り時や繰り出し時に、給電ケーブルが過剰に引っ張られることや、給電ケーブルが過剰にたるむことが抑制されたケーブル巻回システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 一方向に前進し、又は逆方向に後進する移動体と、一端側が外部電源に接続され、前記移動体に電力を供給するケーブルと、前記ケーブルの他端側を保持しつつ前記ケーブルが巻回され、前記移動体の前進時に前記ケーブルが繰り出されるように一方向に回転する正転駆動、及び前記移動体の後進時に前記ケーブルが巻き取られるように逆方向に回転する反転駆動が可能なリール部と、前記リール部の前記正転駆動のために一方向に回転し、又は前記リール部の前記反転駆動のために逆方向に回転する出力軸を含むモータと、前記ケーブルのうち前記リール部側から前記一端側に延びた部分からなる対象部の張り具合を検知する検知センサとを有し、前記移動体と共に前進又は後進するケーブルリール装置と、前記検知センサの検知結果に基づいて前記出力軸の回転を制御する制御装置とを備えるケーブル巻回システムであって、前記制御装置は、前記移動体の前進時において、前記検知センサにより前記対象部のたるみが検知されると、所定の減速時間T1をかけて、前記リール部の回転を徐々に停止させる第1減速・停止処理と、前記第1減速・停止処理の後、前記検知センサにより前記対象部の張りが検知されると、所定の加速時間T2をかけて、前記リール部を徐々に回転させて前記正転駆動を再開させる第1加速・再開処理とを実行し、かつ前記移動体の後進時において、前記検知センサにより前記対象部の張りが検知されると、前記減速時間T1をかけて、前記リール部の回転を徐々に停止させる第2減速・停止処理と、前記第2減速・停止処理の後、前記検知センサにより前記対象部のたるみが検知されると、前記加速時間T2をかけて、前記リール部を徐々に回転させて前記反転駆動を再開させる第2加速・再開処理とを実行するケーブル巻回システム。
【0010】
<2> 一方向に前進し、又は逆方向に後進する移動体と、一端側が前記移動体に接続され、他端側から外部電源より供給された電力を前記移動体に供給するケーブルと、前記ケーブルの前記他端側を保持しつつ前記ケーブルが巻回され、前記移動体の前進時に前記ケーブルが繰り出されるように一方向に回転する正転駆動、及び前記移動体の後進時に前記ケーブルが巻き取られるように逆方向に回転する反転駆動が可能なリール部と、前記リール部の前記正転駆動のために一方向に回転し、又は前記リール部の前記反転駆動のために逆方向に回転する出力軸を含むモータと、前記ケーブルのうち前記リール部側から前記一端側に延びた部分からなる対象部の張り具合を検知する検知センサとを有し、前記外部電源側に配置されるケーブルリール装置と、前記検知センサの検知結果に基づいて前記出力軸の回転を制御する制御装置とを備えるケーブル巻回システムであって、前記制御装置は、前記移動体の前進時において、前記検知センサにより前記対象部のたるみが検知されると、所定の減速時間T1をかけて、前記リール部の回転を徐々に停止させる第1減速・停止処理と、前記第1減速・停止処理の後、前記検知センサにより前記対象部の張りが検知されると、所定の加速時間T2をかけて、前記リール部を徐々に回転させて前記正転駆動を再開させる第1加速・再開処理とを実行し、かつ前記移動体の後進時において、前記検知センサにより前記対象部の張りが検知されると、前記減速時間T1をかけて、前記リール部の回転を徐々に停止させる第2減速・停止処理と、前記第2減速・停止処理の後、前記検知センサにより前記対象部のたるみが検知されると、前記加速時間T2をかけて、前記リール部を徐々に回転させて前記反転駆動を再開させる第2加速・再開処理とを実行するケーブル巻回システム。
【0011】
<3> 前記制御装置は、インバータ制御装置からなる前記<1>又は<2>に記載のケーブル巻回システム。
【0012】
<4> 前記移動体は、有機性廃棄物を攪拌するための撹拌機を有する自走式攪拌装置からなる前記<1>~<3>の何れか1つに記載のケーブル巻回システム。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ケーブルリール装置に巻回された移動体用の給電ケーブルの巻き取り時や繰り出し時に、給電ケーブルが過剰に引っ張られることや、給電ケーブルが過剰にたるむことが抑制されたケーブル巻回システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係るケーブル巻回システムの右側面図
図2】ケーブル巻回システムの上面図
図3】攪拌装置の背面図
図4】ケーブルリール装置の右側面図
図5】ケーブルリール装置の上面図
図6】攪拌装置が往路を前進する様子を模式的に表した説明図
図7】攪拌装置が往路を前進する際のリール部の回転速度と時間との関係及び検知センサのオン・オフ状態を模式的に表したグラフ
図8】給電ケーブルの繰り出し時に、検知センサが対象部の張りを検知した状態を模式的に表した説明図
図9】給電ケーブルの繰り出し時に、検知センサが対象部のたるみを検知した状態を模式的に表した説明図
図10】攪拌装置が復路を後進する様子を模式的に表した説明図
図11】攪拌装置が復路を後進する際のリールの回転速度と時間との関係及び検知センサのオン・オフ状態を模式的に表したグラフ
図12】給電ケーブルの巻き取り時に、検知センサが対象部の張りを検知した状態を模式的に表した説明図
図13】給電ケーブルの巻き取り時に、検知センサが対象部のたるみを検知した状態を模式的に表した説明図
図14】実施形態2に係るケーブル巻回システムの説明図
図15】他の実施形態のケーブルリール装置が備える2つの検知センサを示す説明図
図16】他の実施形態のケーブルリール装置が備える2つの検知センサを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係るケーブル巻回システム100を、図1図13を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1に係るケーブル巻回システム100の右側面図である。ケーブル巻回システム100は、自走式の攪拌装置(移動体)1の移動にあわせて、攪拌装置1用の給電ケーブル2の繰り出しや巻き取りを自動で行うシステムである。このようなケーブル巻回システム100は、主として、攪拌装置1、給電ケーブル(ケーブル)2、ケーブルリール装置3、制御装置5を備える。
【0016】
攪拌装置1は、所定幅で直線状に設けられた醗酵処理プラント用の処理槽6内の有機性廃棄物(鶏糞等)を堆肥化するために、処理槽6の長手方向に沿って往復移動しながら有機性廃棄物を攪拌する装置である。図1には、攪拌装置1の右側面が示されている。図1の右側に、攪拌装置1の前側(正面側)が示され、図1の左側に、攪拌装置1の後側(背面側)が示される。なお、本明細書では、攪拌装置1が図1の右側に移動する場合を「前進」と称し、図1の左側に移動する場合を「後進」と称する。また、本明細書では、攪拌装置1が前進する際に通る処理槽6を「往路」と称し、攪拌装置1が後進する際に通る処理槽6を「復路」と称する。
【0017】
図2は、ケーブル巻回システム100の上面図である。図2の右側に、攪拌装置1の前側(正面側)が示され、図2の左側に、攪拌装置1の後側(背面側)が示される。処理槽6は、有機性廃棄物(鶏糞等)を堆肥化するための設備であり、全体的には、細長く延びた長方形状をなしている。処理槽6は、細長く延びた長方形状をなし、有機性廃棄物が載せられるコンクリート製の床面61と、各々が床面61の長辺側の縁部に立設されると共に、床面61の幅方向において互いに間隔を保ちつつ平行に並んだ一対の側壁62とを備える。これらの側壁62のうち、図2の上側に示される側壁62を「左側壁62L」と称し、図2の下側に示される側壁62を「右側壁62R」と称する。
【0018】
側壁62は、一方向に沿って真っ直ぐに延びるように形成されている。側壁62は、例えば、コンクリート製の壁からなり、全体として、一方向に長く延びた長方形状をなしている。このような側壁62の上端面には、レール7が敷設されている。レール7は、側壁62の長手方向(一方向)に沿う形で設けられている。レール7は、左側壁62Lの上端面と、右側壁62Rの上端面とにそれぞれ1つずつ設けられている。
【0019】
図3は、攪拌装置1の背面図である。攪拌装置1は、主として、本体部11と、車輪12と、攪拌部13とを備えている。車輪12は、本体部11の前側に設けられる左右一対の前輪12aと、本体部11の後側に設けられる左右一対の後輪12bとを備える。前輪12a及び後輪12bは、それぞれ走行用のモータ14,15により駆動される駆動輪である。前輪12aは、モータ14により駆動され、後輪12bは、モータ15により駆動される。各モータ14,15は、それぞれ本体部11に設けられている。各モータ14,15は、給電ケーブル2を介して供給される電力により駆動する。なお、図3では、説明の便宜上、給電ケーブル2が除かれた状態のケーブルリール装置3が示されている。
【0020】
本体部11は、2個の前輪12aと、2個の後輪12bとによって支えられている。攪拌装置1(本体部11)の左側に配される前輪12a及び後輪12bは、左側壁62Lに設けられたレール7に載せられる。また、攪拌装置1(本体部11)の右側に配される前輪12a及び後輪12bは、右側壁62Rに設けられたレール7に載せられる。このような攪拌装置1の本体部11は、攪拌部13を保持しつつ、各車輪12がレール7に沿って移動することで、処理槽6の一方の端側から他方の端側に向かう往路を前進すると共に、処理槽6の前記他方の端側から前記一方の端側に向かう復路を後進する。
【0021】
攪拌装置1の前進(往路の移動)及び後進(復路の移動)は、通常、所定の速度(一定速度)で行われる。なお、処理槽6の往路を前進する攪拌装置1が、往路の終端(処理槽6の前記他方の端)に到達すると、制御装置5による制御の下、攪拌装置1の進行方向が切り替わり、処理槽6の前記一方の端側に向かって後進する。また、処理槽6の復路を後進する攪拌装置1が、復路の終端(処理槽6の前記一方の端)に到達すると、制御装置5による制御の下、攪拌装置1の進行方向が切り替わり、処理槽6の前記他方の端側に向かって前進する。攪拌装置1は、このような前進及び後進を交互に繰り返すように処理槽6を往復移動する。
【0022】
攪拌部13は、処理槽6内に収容された有機性廃棄物を攪拌する装置であり、攪拌装置1の本体部11に保持された状態で、有機性廃棄物を攪拌しながら処理槽6を往復する。このような攪拌部13は、一方向に回転する正転及び逆方向に回転する反転が可能な略円柱状の回転体13aと、回転体13aの周面に突出する形で設けられた複数の爪部13bとを有する。回転体13aは、攪拌用のモータ13cからの動力を受けて回転する。モータ13cは、本体部11に設けられている。回転体13aとモータ13cの出力軸との間には、動力伝達機構(チェーン等)13dが設けられており、モータ13cの出力軸が回転すると、回転体13aが回転する。
【0023】
攪拌装置1の前進時、攪拌部13の回転体13aは、図1において、時計回り(前進時の車輪12と同じ回転方向)に回転する。また、攪拌装置1の後進時、攪拌部13の回転体13aは、図1において、反時計回り(後進時の車輪12と同じ回転方向)に回転する。なお、攪拌装置1の進行方向が切り替わると、回転体13aの回転方向も逆方向に切り替わる。攪拌用のモータ13cは、上述した走行用のモータ14,15と同様、給電ケーブル2を介して供給される電力により駆動する。
【0024】
給電ケーブル2は、外部電源4からの電力を、攪拌装置1、ケーブルリール装置3、制御装置5等のケーブル巻回システム100の各構成に供給するためのケーブルである。給電ケーブル2は、長手状(長尺状)であり、可撓性を備えている。給電ケーブル2の一端2aには、コネクタ21が設けられており、このコネクタ21が、外部電源4が備える相手側コネクタに接続されることで、給電ケーブル2の一端2aが外部電源4に対して電気的に接続される。本実施形態の場合、外部電源4は、処理槽6の一方の端側(往路の始端側、復路の終端側)付近に配設されている。なお、給電ケーブル2の他端側は、後述するようにケーブルリール装置3に接続される。
【0025】
給電ケーブル2は、攪拌装置1が処理槽6を往復移動する際に、攪拌装置1等に電力を供給できるように、予め十分な長さに設定されている。このような給電ケーブル2は、ケーブルリール装置3に巻回された状態で使用される。給電ケーブル2の長さは、例えば、50mである。なお、給電ケーブル2の長さは、これに限られず、他の実施形態においては、例えば、10m~300m程度であってもよい。
【0026】
図4は、ケーブルリール装置3の右側面図であり、図5は、ケーブルリール装置3の上面図である。ケーブルリール装置3は、給電ケーブル2を巻回した状態で保持しつつ、攪拌装置1の往復移動に伴って、給電ケーブル2の繰り出し及び巻き取りを行う電動式の装置である。本実施形態のケーブルリール装置3は、攪拌装置1と共に移動(前進及び後進)できるように、攪拌装置1(本体部11)の右側面側に取り付けられている。ケーブルリール装置3は、主として、リール部31、モータ32、検知センサ33を備える。なお、説明の便宜上、図4には、給電ケーブル2が除かれた状態のケーブルリール装置3が示されている。
【0027】
リール部31は、給電ケーブル2の他端側を保持するドラム部31aを備える。ドラム部31aは、筒状をなしており、給電ケーブル2の他端側を保持する。このようなドラム部31aの周面に給電ケーブル2が巻回される。リール部31(ドラム部31a)の中心には、左右方向に延びたコードリール軸31bが設けられており、そのコードリール軸31bが回転することで、リール部31全体が回転する。コードリール軸31bの一方の端部31b1には、動力伝達機構34が備えるスプロケット(歯車)34aが外嵌される形で装着されている。そのようなコードリール軸31bの端部31b1は、動力伝達機構34が備える軸受341により、回転可能な状態で支持される。
【0028】
また、コードリール軸31bの他方の端部31b2側には、コードリール軸31bと同期して回転するリング状の電極部と、ブラシ状の電極部とを有するスリップリング35が設けられている。ドラム部31aに保持された給電ケーブル2の他端は、スリップリング35が備えるブラシ状の電極部に電気的に接続される。スリップリング35は、図5に示されるように、ケーブルリール装置3の右側面側に設けられた収納箱37内に設置されている。なお、説明の便宜上、図5では、収納箱37やリール部31の一部(ドラム部31a等)が水平方向に切断された状態で示されている。
【0029】
給電ケーブル2は、リール部31(ドラム部31a)に対して、後側から前側に向かいつつ上側から下側に向かうように巻かれると共に、前側から後側に向かいつつ下側から上側に向かうように巻かれる形で巻回される。つまり、給電ケーブル2は、図4等において、リール部31に保持される他端側を基準とした場合、リール部31(ドラム部31a)に対して、時計回りで巻回される。このような向きで給電ケーブル2がリール部31に巻回されていると、給電ケーブル2の巻き取り時や繰り出し時に、給電ケーブル2が過剰に引っ張られることや、給電ケーブル2が過剰にたるむことがより確実に抑制される。
【0030】
このようなリール部31は、攪拌装置1の前進時に給電ケーブル2が繰り出されるように一方向に回転する正転駆動、及び攪拌装置1の後進時に給電ケーブル2が巻き取られるように逆方向に回転する反転駆動が可能である。
【0031】
攪拌装置1が前進する際、外部電源4とリール部31との間に配される給電ケーブル2の長さが、攪拌装置1の移動に伴って徐々に長くなるように(換言すれば、リール部31に巻回された給電ケーブル2の巻き数(量)が少なくなるように)、リール部31から給電ケーブル2が徐々に外部へ繰り出される(引き出される)。給電ケーブル2の繰り出しは、リール部31がコードリール軸31bを回転中心として前側から後側に向かいつつ上側から下側に向かうように回転することで行われる。このようにリール部31が、攪拌装置1の前進時に給電ケーブル2が繰り出されるように一方向に回転することを、「正転駆動」と称する。なお、リール部31の正転駆動は、図4等において、反時計回りの回転(図4中の矢印CCW)として示される。また、本実施形態の場合、繰り出し時のリール部31は、前進時の車輪12と逆方向に回転する。
【0032】
また、攪拌装置1が後進する際、外部電源4とリール部31との間に配される給電ケーブル2の長さが、攪拌装置1の移動に伴って徐々に短くなるように(換言すれば、リール部31に巻回された給電ケーブル2の巻き数(量)が多くなるように)、リール部31(ドラム部31a)に給電ケーブル2が徐々に巻き取られる。給電ケーブル2の巻き取りは、リール部31がコードリール軸31bを回転中心として後側から前側に向かいつつ上側から下側に向かうように回転することで行われる。つまり、給電ケーブル2の巻き取り時に、リール部31(ドラム部31a)は、繰り出し時の逆方向に回転する。このようにリール部31が、攪拌装置1の後進時に給電ケーブル2が巻き取られるように逆方向に回転することを、「反転駆動」と称する。なお、リール部31の反転駆動は、図4等において、時計回りの回転(図4中の矢印CW)として示される。また、本実施形態の場合、巻き取り時のリール部31は、後進時の車輪12と逆方向に回転する。
【0033】
モータ32は、リール部31を正転駆動、又は反転駆動するための駆動源であり、例えば、中空ギヤモータからなる。モータ32は、リール部31の正転駆動のために一方向に回転し、又はリール部31の反転駆動のために逆方向に回転する出力軸(中空出力軸)32aを備える。出力軸32aには、左右方向に延びた棒状の回転軸36が取り付けられており、出力軸32aの回転に伴って回転軸36が回転する。回転軸36の一端36a側は、モータ32の出力軸32aに接続されている。回転軸36の他端36bには、動力伝達機構34が備えるスプロケット(歯車)34bが外嵌される形で装着されている。そのような他端36bは、動力伝達機構34が備える軸受342により、回転可能な状態で支持される。なお、長さ方向における回転軸36の中央部分には、給電ケーブル2を、リール部31に対して偏りなく均等に巻回させるための公知の整列機構36cが設けられている。モータ32は、給電ケーブル2を介して供給される電力により駆動する。
【0034】
動力伝達機構34は、モータ32の出力を、リール部31(ドラム部31a)のコードリール軸31bに伝達するための機構である。動力伝達機構34は、コードリール軸31bに取り付けられるスプロケット34a、回転軸36に取り付けられるスプロケット34b、アイドラー34c、ブラケット34d等を備える。
【0035】
アイドラー(スプロケットアドラー)34cは、ブラケット34dに対して支持部(タイトナー)343を介して回転自在な状態で取り付けられている歯車である。ブラケット34dの前側には、コードリール軸31bの端部31b1を支持する軸受341が取り付けられ、ブラケット34dの後側には、回転軸36の端部36bを支持する軸受342が取り付けられている。前側から後側に向かって、スプロケット34a、アイドラー34c、スプロケット34bがこの順で一列に並んでおり、これらに対して、動力伝達用のループ状のチェーン(不図示)が掛けられる。
【0036】
なお、ケーブルリール装置3は、長手状の金属系材料が枠状に組み立てられてなるフレーム部38を備えている。このフレーム部38に対して、リール部31、モータ32、収納箱36、ブラケット34d(動力伝達機構34)等が取り付けられる。
【0037】
検知センサ33は、給電ケーブル2のうちリール部31側から一端2a側に延びた部分からなる対象部22の張り具合を検知するセンサである。検知センサ33は、図1に示されるように、ケーブルリール装置3の後側に設けられている。検知センサ33は、金属製の金具の接近や離反を検知する。検知センサ33の詳細は、後述する。
【0038】
制御装置5は、検知センサ33の検知結果に基づいてモータ32の出力軸32aの回転(回転速度)を制御する。制御装置5は、インバータ制御装置からなり、インバータ制御方式により、モータ32の出力軸32aの回転速度を適宜、変更する。
【0039】
ここで、図6図9を参照しつつ、攪拌装置1が往路を前進する際に、制御装置5が実行する処理内容を説明する。図6は、攪拌装置1が往路を前進する様子を模式的に表した説明図であり、図7は、攪拌装置1が往路を前進する際のリール部31の回転速度と時間との関係及び検知センサのオン・オフ状態を模式的に表したグラフであり、図8は、給電ケーブル2の繰り出し時に、検知センサ33が対象部22の張りを検知した状態を模式的に表した説明図であり、図9は、給電ケーブル2の繰り出し時に、検知センサ33が対象部22のたるみを検知した状態を模式的に表した説明図である。
【0040】
攪拌装置1が往路を前進する際、攪拌装置1は外部電源4から遠ざかる方向に移動するため、ケーブルリール装置3のリール部31から給電ケーブル2が徐々に繰り出される。前進時における攪拌装置1の移動速度は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、所定の値(一定値)に設定されることが好ましい。この際、ケーブルリール装置3が備えるリール部31の回転速度は、攪拌装置1の移動速度と略同じになるように合わせることが好ましい。特に、リール部31の回転速度は、攪拌装置1の移動速度よりも若干、速くなるように設定されることが好ましい。本実施形態の場合、例えば、リール部31が60Hzのパルス速度で回転するように、制御装置5によって制御される。
【0041】
また、攪拌装置1の前進時、検知センサ(近接センサ)33は、リール部31から繰り出された対象部22の張り具合に応じて上下動する金具(対向金具)332の位置を検知する。検知センサ33は、図8に示されるように、ケーブルリール装置3が備えるフレーム部38の上部後側に設けられたブラケット状の保持部331によって保持される。検知センサ33は、先端側にある検知部33aが下方を向く形で、保持部331により保持される。検知センサ33には、ケーブル(信号線、電力線)33bが設けられており、このケーブル33bを利用して、検知センサ33の検知結果が、制御装置5に送信される。
【0042】
また、ケーブルリール装置3には、検知センサ33の検知部33aと対向する側において、金属製の金具からなる対向金具332が設けられている。対向金具332は、給電ケーブル2を上側から覆いつつ、検知センサ33と対向する板状の天井部332aと、その天井部332aを支える板状の支持壁332bとを備える。対向金具332の支持壁332bは、攪拌装置1の前後方向に延びたアーム部333に取り付けられている。
【0043】
アーム部333は、全体的には、前後方向に延びた長手状をなしており、前側に配される一方の端部333aが回動軸334にて軸支されている。そのため、アーム部333は回動軸334を中心として、上下方向に揺動することができる。回動軸334は、保持部331に固定されたケーブル通過部335に設けられている。ケーブル通過部335は、給電ケーブル2が前後方向に通された状態で、リール部31側から攪拌装置1の後方側に延びた給電ケーブル2の根元側を支える部材である。ケーブル通過部335は、上下で並ぶように配設される回転自在な1組のガイドローラ336,337を備えている。給電ケーブル2は、下側に配されるガイドローラ337と、上側に配されるガイドローラ336との間を、前後方向に通過しつつ、それらの間で挟まれるように配置される。なお、下側のガイドローラ337は、上述した回動軸334に対して回転自在な状態で取り付けられている。
【0044】
また、アーム部333は、攪拌装置1の後側に配される他方の端部333b側に、上下で並ぶように配設された回転自在な1組のガイドローラ338,339を備える。給電ケーブル2は、下側に配されるガイドローラ339と、上側に配されるガイドローラ338との間を、前後方向に通過しつつ、それらの間で挟まれるように配置される。
【0045】
攪拌装置1の前進時、検知センサ(近接センサ)33は、ノーマリークローズ(NC)接点となっており、例えば、図8のように検知センサ33の検出領域(検知部33aの近傍)内に検出対象である対向金具332の天井部332aがあると、検知センサ33はOFF状態となる。また、図9のように検知センサ33の検出領域(検知部33aの近傍)内に検出対象である対向金具332の天井部332aが無いと、検知センサ33はON状態となる。
【0046】
攪拌装置1が往路を前進し始める際、給電ケーブル2の対象部22は、図8に示されるように、前後方向に延びて張られた状態となっている。その際の検知センサ33は、OFF状態となっている。そして、図7のグラフに示されるように、回転速度が一定でリール部31が正転駆動した状態で、攪拌装置1が前進し続けた場合、攪拌装置1の前進速度(移動速度)よりも給電ケーブル2の繰り出し速度が速いと、給電ケーブル2の対象部22は、図9に示されるように、前側から後側に向かって垂れ下がるようにたるんだ状態となる。その際の検知センサ33は、ON状態となっている。
【0047】
図7のグラフに示されるように、時間t1において、検知センサ33がON状態となることで、給電ケーブル2の対象部22のたるみが検知されると、制御装置5は、所定の減速時間T1(例えば、0.1秒~5秒)をかけて、リール部31の回転を徐々に停止させる第1減速・停止処理を実行する。制御装置5は、時間t1の時点で、リール部31の回転を停止せず、時間(時刻)t1から所定の減速時間T1が経過した時間(時刻)t2の時点で、リール部31の回転を停止させる。制御装置5は、例えば、検知センサ33がON状態を検知した時間t1から、所定の減速時間T1をかけて、リール部31のパルス速度(Hz)を徐々に減少させてもよい。このように減速時間T1をかけてリール部31の回転を徐々に停止させることで、給電ケーブル2にかかる張力が急激に変化することが抑制される。
【0048】
また、図7のグラフに示されるように、時間t2でリール部31の回転が停止した後(第1減速・停止処理の後)、攪拌装置1が前進し続けると、給電ケーブル2の対象部22のたるみが徐々に解消され、その後、給電ケーブル2の対象部22は、再び図8に示されるように、前後方向に延びて張られた状態となる。この場合、図7のグラフに示されるように、時間t3で、検知センサ33がOFF状態となることで、給電ケーブル2の対象部22の張りが検知されると、制御装置5は、所定の加速時間T2(例えば、0.1秒~10秒)をかけて、リール部31を徐々に回転させて、回転速度が一定の状態でのリール部31の正転駆動を再開させる第1加速・再開処理を実行する。制御装置5は、時間t3の時点で、リール部31の回転速度を、通常の正転駆動時の回転速度(一定値)に戻さず、時間(時刻)t3から所定の加速時間T2が経過した時間(時刻)t4の時点で、リール部31の回転速度を元(例えば、パルス速度:60Hz)に戻す。制御装置5は、例えば、検知センサ33がOFF状態を検知した時間t3から、所定の加速時間T2をかけて、リール部31のパルス速度(Hz)を徐々に増加させてもよい。このように加速時間T2をかけてリール部31を徐々に回転させることで、給電ケーブル2にかかる張力が急激に変化することが抑制される。なお、加速時間T2と減速時間T1とを同じ時間(値)に設定してもよいが、加速時間T2を、減速時間T1よりも長く設定することが好ましい(例えば、加速時間T2は、減速時間T1の5~12倍の長さに設定されることが好ましい)。
【0049】
攪拌装置1の前進時において、このような給電ケーブル2の対象部22のたるみと、張りとが、検知センサ33により交互に検知されつつ、制御装置5が上述した第1減速・停止処理と、第1加速・再開処理とを交互に実行する。そのため、ケーブルリール装置3から繰り出される給電ケーブル2に対して、長時間、過剰な張力が加えられることや、長時間、過剰なたるみが発生することが抑制される。
【0050】
このように攪拌装置1が往路を前進する場合において、ケーブルリール装置3に巻回された給電ケーブル2の繰り出し時に、給電ケーブル2が過剰に引っ張られることや、給電ケーブル2が過剰にたるむことが抑制される。特に、本実施形態の場合、減速時間T1をかけてリール部31の回転を徐々に停止し、かつ加速時間T2をかけてリール部31を徐々に回転させるため、給電ケーブル2の繰り出し時に、給電ケーブル2かかる張力が急激に変化することが抑制される。
【0051】
次いで、図10図13を参照しつつ、攪拌装置1が復路を後進する際に、制御装置5が実行する処理内容を説明する。図10は、攪拌装置1が復路を後進する様子を模式的に表した説明図であり、図11は、攪拌装置1が復路を後進する際のリールの回転速度と時間との関係及び検知センサのオン・オフ状態を模式的に表したグラフであり、図12は、給電ケーブル2の巻き取り時に、検知センサ33が対象部22の張りを検知した状態を模式的に表した説明図であり、図13は、給電ケーブル2の巻き取り時に、検知センサ33が対象部22のたるみを検知した状態を模式的に表した説明図である。
【0052】
攪拌装置1が復路を後進する際、攪拌装置1は外部電源4に近付く方向に移動するため、ケーブルリール装置3のリール部31に給電ケーブル2が徐々に巻き取られる。後進時における攪拌装置1の移動速度は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、前進時と同様、例えば、所定の値(一定値)に設定されることが好ましい。この際、ケーブルリール装置3が備えるリール部31の回転速度は、前進時と同様、攪拌装置1の移動速度と略同じになるように合わせることが好ましい。特に、リール部31の回転速度は、前進時と同様、攪拌装置1の移動速度よりも若干、速くなるように設定されることが好ましい。
【0053】
攪拌装置1の後進時、検知センサ(近接センサ)33は、リール部31に巻き取られる給電ケーブル2の対象部22の張り具合に応じて上下動する金具(対向金具)332の位置を検知する。
【0054】
攪拌装置1の後進時、検知センサ(近接センサ)33は、ノーマリーオープン(NO)接点となっており、例えば、図12のように検知センサ33の検出領域(検知部33aの近傍)内に検出対象である対向金具332の天井部332aがないと、検知センサ33はOFF状態となる。また、図13のように検知センサ33の検出領域(検知部33aの近傍)内に検出対象である対向金具332の天井部332aがあると、検知センサ33はON状態となる。
【0055】
攪拌装置1が復路を後進し始める際、給電ケーブル2の対象部22は、図12に示されるように、前側から後側に向かって垂れ下がるようにたるんだ状態となっている。その際の検知センサ33は、OFF状態となっている。そして、図11のグラフに示されるように、回転速度が一定でリール部31が反転駆動した状態で、攪拌装置1が後進し続けた場合、攪拌装置1の後進速度(移動速度)よりも給電ケーブル2の巻き取り速度が速いと、給電ケーブル2の対象部22は、図13に示されるように、前後方向に延びて張られた状態となっている。その際の検知センサ33は、ON状態となっている。
【0056】
図11のグラフに示されるように、時間t11において、検知センサ33がON状態となることで、給電ケーブル2の対象部22の張りが検知されると、制御装置5は、所定の減速時間T1をかけて、リール部31の回転を徐々に停止させる第2減速・停止処理を実行する。制御装置5は、時間t11の時点で、リール部31の回転を停止せず、時間(時刻)t11から所定の減速時間T1が経過した時間(時刻)t12の時点で、リール部31の回転を停止させる。制御装置5は、例えば、検知センサ33がON状態を検知した時間t11から、所定の減速時間T1をかけて、リール部31のパルス速度(Hz)を徐々に減少させてもよい。
【0057】
また、図11のグラフに示されるように、時間t12でリール部31の回転が停止した後(第2減速・停止処理の後)、攪拌装置1が後進し続けると、給電ケーブル2の対象部22の張りが徐々に解消され、その後、給電ケーブル2の対象部22は、再び図12に示されるように、前側から後側に向かって垂れ下がるようにたるんだ状態となる。この場合、図11のグラフに示されるように、時間t13で、検知センサ33がOFF状態となることで、給電ケーブル2の対象部22のたるみが検知されると、制御装置5は、所定の加速時間T2をかけて、リール部31を徐々に回転させて、回転速度が一定の状態でのリール部31の反転駆動を再開させる第2加速・再開処理を実行する。制御装置5は、時間t13の時点で、リール部31の回転速度を、通常の反転駆動時の回転速度(一定値)に戻さず、時間(時刻)t13から所定の加速時間T2が経過した時間(時刻)t14の時点で、リール部31の回転速度を元(例えば、パルス速度:60Hz)に戻す。制御装置5は、例えば、検知センサ33がOFF状態を検知した時間t13から、所定の加速時間T2をかけて、リール部31のパルス速度(Hz)を徐々に増加させてもよい。
【0058】
攪拌装置1の後進時において、このような給電ケーブル2の対象部22の張りと、たるみとが、検知センサ33により交互に検知されつつ、制御装置5が上述した第2減速・停止処理と、第2加速・再開処理とを交互に実行する。そのため、ケーブルリール装置3に巻き取られる給電ケーブル2に対して、長時間、過剰な張力が加えられることや、長時間、過剰なたるみが発生することが抑制される。
【0059】
このように攪拌装置1が復路を後進する場合において、ケーブルリール装置3に巻回された給電ケーブル2の巻き取り時に、給電ケーブル2が過剰に引っ張られることや、給電ケーブル2が過剰にたるむことが抑制される。特に、本実施形態の場合、減速時間T1をかけてリール部31の回転を徐々に停止し、かつ加速時間T2をかけてリール部31を徐々に回転させるため、給電ケーブル2の巻き取り時に、給電ケーブル2かかる張力が急激に変化することが抑制される。
【0060】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2に係るケーブル巻回システム100Aを、図14を参照しつつ説明する。図14は、実施形態2に係るケーブル巻回システム100Aの説明図である。本実施形態のケーブル巻回システム100Aでは、ケーブルリール装置3Aが、外部電源4A近くの地面上に設置されている。つまり、ケーブル巻回システム100Aは、攪拌装置(移動体)1Aと共に移動しないように、攪拌装置(移動体)1Aと別置きされている。このようなケーブル巻回システム100Aは、主として、攪拌装置1A、給電ケーブル(ケーブル)2A、ケーブルリール装置3A、制御装置5Aを備える。
【0061】
攪拌装置(移動体)1Aは、実施形態1と同様、一方向に往路を前進し、又は逆方向に後進する。攪拌装置1Aは、実施形態1と同様、図示されないレールに沿いつつ車輪12Aが駆動することで、往路を前進し、又は復路を後進する。
【0062】
給電ケーブル2Aは、一端2Aa側が攪拌装置1Aに接続され、他端側から外部電源4Aより供給された電力を攪拌装置1Aに供給する。給電ケーブル2Aの他端は、ケーブルリール装置3Aが備えるリール部によって保持される。なお、本実施形態の場合、ケーブルリール装置3Aと外部電源4Aとの間を繋ぐ電源側ケーブル23Aが利用される。この電源側ケーブル23Aの一端23Aaには、コネクタ21Aが設けられており、このコネクタ21Aが、外部電源4Aが備える相手側コネクタに接続されることで、電源側ケーブル23Aの一端23Aaが外部電源4Aに対して電気的に接続される。また、電源側ケーブル23Aの他端側は、給電ケーブル2Aの他端側と電気的に接続するように、ケーブルリール装置3Aに取り付けられている。
【0063】
ケーブルリール装置3Aは、給電ケーブル2Aの他端側を保持しつつ給電ケーブル2Aが巻回されるリール部31Aを備える。リール部31Aは、攪拌装置1Aの前進時に給電ケーブル2Aが繰り出されるように一方向に回転する正転駆動、及び攪拌装置1Aの後進時に給電ケーブル2Aが巻き取られるように逆方向に回転する反転駆動が可能である。
【0064】
リール部31Aから給電ケーブル2Aが繰り出される際、リール部31Aは、図14において、反時計回りに回転する。本実施形態の場合、リール部31Aは、前進時の攪拌装置1Aにおける車輪12Aの回転方向(図14において、時計回り)とは逆方向に回転する。
【0065】
また、リール部31Aに給電ケーブル2Aが巻き取られる際、リール部31Aは、図14において、時計回りに回転する。本実施形態の場合、リール部31Aは、後進時の攪拌装置1Aにおける車輪12Aの回転方向(図14において、反時計回り)とは逆方向に回転する。
【0066】
ケーブルリール装置3Aは、実施形態1と同様、給電ケーブル2Aを巻回した状態で保持しつつ、攪拌装置1Aの往復移動に伴って、給電ケーブル2Aの繰り出し及び巻き取りを行う電動式の装置である。本実施形態のケーブルリール装置3Aは、実施形態1と同様、リール部31A、モータ、検知センサ33A、前記モータの出力を、リール部31A(ドラム部)のコードリール軸に伝達する動力伝達機構、フレーム部38A、制御装置5A等を備える。ケーブルリール装置3Aは、上述したように、外部電源4A側に配置される。
【0067】
前記モータは、リール部31Aの正転駆動のために一方向に回転し、又はリール部31Aの反転駆動のために逆方向に回転する出力軸を含む。
【0068】
また、ケーブルリール装置3Aは、給電ケーブル2Aのうちリール部31A側から一端2Aa側に延びた部分からなる対象部22Aの張り具合を検知する検知センサ33Aを有する。検知センサ33Aが対象部22Aの張り具合(張り、たるみ)を検知する仕組みは、実施形態1と同様である。
【0069】
制御装置5Aは、実施形態1と同様、検知センサ33Aの検知結果に基づいてモータの出力軸の回転を制御する。
【0070】
ここで、攪拌装置1Aが往路を前進する際(図14の右側に移動する際)に、制御装置5Aが実行する処理内容を説明する。攪拌装置1Aが往路を前進する際、攪拌装置1Aは外部電源4Aから遠ざかる方向に移動するため、ケーブルリール装置3Aのリール部31Aから給電ケーブル2Aが徐々に繰り出される。
【0071】
前進時の攪拌装置1Aの移動速度は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、所定の値(一定値)に設定されることが好ましい。この際、ケーブルリール装置3Aが備えるリール部31Aの回転速度は、攪拌装置1Aの移動速度と略同じになるように合わせることが好ましい。特に、リール部31Aの回転速度は、攪拌装置1Aの移動速度よりも若干、速くなるように設定されることが好ましい。本実施形態の場合、例えば、リール部31Aが60Hzのパルス速度で回転するように、制御装置5Aによって制御される。
【0072】
攪拌装置1Aの前進時、検知センサ(近接センサ)33Aは、ノーマリークローズ(NC)接点となっており、例えば、検知センサ33Aの検出領域(検知部近傍)内に検出対象である対向金具の天井部があると、検知センサ33AはOFF状態となる。また、検知センサ33Aの検出領域(検知部近傍)内に検出対象である対向金具の天井部が無いと、検知センサはON状態となる。
【0073】
攪拌装置1が往路を前進し始める際、給電ケーブル2の対象部22は、前後方向に延びて張られた状態となっており、その際の検知センサ33は、OFF状態となっている。そして、回転速度が一定でリール部31Aが正転駆動した状態で、攪拌装置1Aが前進し続けた場合、攪拌装置1Aの前進速度(移動速度)よりも給電ケーブル2Aの繰り出し速度が速いと、給電ケーブル2Aの対象部22Aは、ケーブルリール装置3Aの後側から前側に向かって垂れ下がるようにたるんだ状態となる。その際の検知センサ33Aは、ON状態となっている。
【0074】
検知センサ33AがON状態となることで、給電ケーブル2Aの対象部22Aのたるみが検知されると、制御装置5Aは、実施形態1と同様、所定の減速時間T1をかけて、リール部31Aの回転を徐々に停止させる第1減速・停止処理を実行する。制御装置5Aは、例えば、検知センサ33AがON状態を検知した時点から、所定の減速時間T1をかけて、リール部31Aのパルス速度(Hz)を徐々に減少させてもよい。このように減速時間T1をかけてリール部31Aの回転を徐々に停止させることで、給電ケーブル2Aにかかる張力が急激に変化することが抑制される。
【0075】
リール部31Aの回転が停止した後(第1減速・停止処理の後)、攪拌装置1Aが前進し続けると、給電ケーブル2Aの対象部22Aのたるみが徐々に解消され、その後、給電ケーブル2Aの対象部22Aは、再び前後方向に延びて張られた状態となる。この場合、所定の時間(時刻)で、検知センサ33AがOFF状態となることで、給電ケーブル2Aの対象部22Aの張りが検知されると、制御装置5Aは、実施形態1と同様、前記所定の時間(時刻)から所定の加速時間T2をかけて、リール部31Aを徐々に回転させて、回転速度が一定の状態でのリール部31Aの正転駆動を再開させる第1加速・再開処理を実行する。制御装置5Aは、例えば、検知センサ33AがOFF状態を検知した時間(時刻)から、所定の加速時間T2をかけて、リール部31Aのパルス速度(Hz)を徐々に増加させてもよい。このように加速時間T2をかけてリール部31を徐々に回転させることで、給電ケーブル2にかかる張力が急激に変化することが抑制される。
【0076】
このように攪拌装置1Aの前進時において、このような給電ケーブル2Aの対象部22Aのたるみと、張りとが、検知センサ33Aにより交互に検知されつつ、制御装置5Aが上述した第1減速・停止処理と、第1加速・再開処理とを交互に実行する。そのため、ケーブルリール装置3Aから繰り出された給電ケーブル2Aに対して、長時間、過剰な張力が加えられることや、長時間、過剰なたるみが発生することが抑制される。
【0077】
このようにケーブルリール装置3Aとは別体の攪拌装置1Aが往路を前進する場合において、ケーブルリール装置3Aに巻回された給電ケーブル2Aの繰り出し時に、給電ケーブル2Aが過剰に引っ張られることや、給電ケーブル2Aが過剰にたるむことが抑制される。特に、本実施形態の場合、減速時間T1をかけてリール部31Aの回転を徐々に停止し、かつ加速時間T2をかけてリール部31Aを徐々に回転させるため、給電ケーブル2Aの繰り出し時に、給電ケーブル2Aかかる張力が急激に変化することが抑制される。
【0078】
次いで、攪拌装置1が復路を後進する際(図14の左側に移動する際)に、制御装置5Aが実行する処理内容を説明する。攪拌装置1Aが復路を後進する際、攪拌装置1Aは外部電源4Aに近付く方向に移動するため、ケーブルリール装置3Aのリール部31Aに給電ケーブル2Aが徐々に巻き取られる。後進時の攪拌装置1Aの移動速度は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、前進時と同様、例えば、所定の値(一定値)に設定されることが好ましい。この際、ケーブルリール装置3Aが備えるリール部31Aの回転速度は、前進時と同様、攪拌装置1Aの移動速度と略同じになるように合わせることが好ましい。特に、リール部31Aの回転速度は、前進時と同様、攪拌装置1Aの移動速度よりも若干、速くなるように設定されることが好ましい。
【0079】
攪拌装置1Aの後進時、検知センサ(近接センサ)33Aは、リール部31Aに巻き取られる給電ケーブル2Aの対象部22Aの張り具合に応じて上下動する金具(対向金具)の位置を検知する。
【0080】
攪拌装置1Aの後進時、検知センサ(近接センサ)は、ノーマリーオープン(NO)接点となっており、検知センサ33Aの検出領域(検知部近傍)内に検出対象である対向金具の天井部がないと、検知センサ33AはOFF状態となる。また、検知センサ33Aの検出領域(検知部近傍)内に検出対象である対向金具の天井部があると、検知センサ33AはON状態となる。
【0081】
攪拌装置1Aが復路を後進し始める際、給電ケーブル2Aの対象部22Aは、ケーブルリール装置3Aの後側から前側に向かって垂れ下がるようにたるんだ状態となっている。その際の検知センサ33Aは、OFF状態となっている。そして、回転速度が一定でリール部31Aが反転駆動した状態で、攪拌装置1Aが後進し続けた場合、攪拌装置1Aの後進速度(移動速度)よりも給電ケーブル2Aの巻き取り速度が速いと、給電ケーブル2Aの対象部33Aは、前後方向に延びて張られた状態となっている。その際の検知センサ33Aは、ON状態となっている。
【0082】
所定の時間(時刻)において、検知センサ33AがON状態となることで、給電ケーブル2Aの対象部22Aの張りが検知されると、制御装置5Aは、所定の減速時間T1をかけて、リール部31Aの回転を徐々に停止させる第2減速・停止処理を実行する。制御装置5Aは、例えば、検知センサ33AがON状態を検知した時間(時刻)から、所定の減速時間T1をかけて、リール部31Aのパルス速度(Hz)を徐々に減少させてもよい。
【0083】
また、リール部31Aの回転が停止した後(第2減速・停止処理の後)、攪拌装置1Aが後進し続けると、給電ケーブル2Aの対象部22Aの張りが徐々に解消され、その後、給電ケーブル2Aの対象部22Aは、再び、ケーブルリール装置3Aの後側から前側に向かって垂れ下がるようにたるんだ状態となる。この場合、所定の時間(時刻)で、検知センサ33AがOFF状態となることで、給電ケーブル2Aの対象部22Aのたるみが検知されると、制御装置5Aは、所定の加速時間T2をかけて、リール部31Aを徐々に回転させて、回転速度が一定の状態でのリール部31Aの反転駆動を再開させる第2加速・再開処理を実行する。制御装置5Aは、例えば、検知センサ33AがOFF状態を検知した時間(時刻)から、所定の加速時間T2をかけて、リール部31Aのパルス速度(Hz)を徐々に増加させてもよい。
【0084】
攪拌装置1Aの後進時において、このような給電ケーブル2Aの対象部22Aの張りと、たるみとが、検知センサ33Aにより交互に検知されつつ、制御装置5Aが上述した第2減速・停止処理と、第2加速・再開処理とを交互に実行する。そのため、ケーブルリール装置3Aに巻き取られる給電ケーブル2Aに対して、長時間、過剰な張力が加えられることや、長時間、過剰なたるみが発生することが抑制される。
【0085】
このようにケーブルリール装置3Aとは別体の攪拌装置1Aが復路を後進する場合において、ケーブルリール装置3Aに巻回された給電ケーブル2Aの巻き取り時に、給電ケーブル2Aが過剰に引っ張られることや、給電ケーブル2が過剰にたるむことが抑制される。特に、本実施形態の場合、減速時間T1をかけてリール部31Aの回転を徐々に停止し、かつ加速時間T2をかけてリール部31Aを徐々に回転させるため、給電ケーブル2Aの巻き取り時に、給電ケーブル2Aかかる張力が急激に変化することが抑制される。
【0086】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0087】
(1)実施形態1では、攪拌装置1における車輪12の回転方向と、ケーブルリール装置3におけるリール部31の回転方向とが、互いに逆方向であったが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、前進又は後進する際に、リール部の回転方向が、車輪の回転方向と同じ方向になるように、給電ケーブルをケーブルリール装置のリール部に巻回してもよい。例えば、攪拌装置1が前進する際、車輪12が時計回りに回転し、かつケーブルリール装置3のリール部31は、給電ケーブル2の繰り出し時に、時計回りに回転する。また、攪拌装置1が後進する際、車輪12が反時計回りに回転し、かつケーブルリール装置3のリール部31は、給電ケーブル2の巻き取り時に、反時計回りに回転する。
【0088】
(2)実施形態2では、攪拌装置1Aにおける車輪12Aの回転方向と、ケーブルリール装置3Aにおけるリール部31Aの回転方向とが、互いに異なっているが、本発明はおれに限られず、他の実施形態においては、前進又は後進する際に、リール部の回転方向と、車輪の回転方向とが、互いに同じになるように、給電ケーブルをケーブルリール装置のリール部に巻回してもよい。
【0089】
(3)上記実施形態1,2では、移動体が有機性廃棄物を攪拌する攪拌装置であったが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、例えば、移動体が、鉄鋼スラグ等の無機性物質を攪拌する攪拌装置であってもよいし、更には、移動体が攪拌装置ではない他の装置(例えば、水を噴射しながら移動する洗浄装置)であってもよい。
【0090】
(4)上記実施形態1,2では、給電ケーブルの張り具合を検知するために1つの検知センサを使用したが、本発明はこれに限られず、他の実施形態では、例えば、図15及び図16に示されるように、2つの検知センサ33B,133Bを使用してもよい。図15及び図16は、他の実施形態のケーブルリール装置3Bが備える2つの検知センサ33B,133Bを示す説明図である。図15には、給電ケーブル2Bの対象部22Bが、前側から後側に向かって垂れ下がるようにたるんだ状態が示され、図16には、給電ケーブル2Bの対象部22Bが、前後方向に延びて張られた状態が示される。検知センサ33Bは、実施形態1と同様、ケーブルリール装置3Bが備えるフレーム部38Bの上部後側に設けられたブラケット状の保持部331Bにより、給電ケーブル2Bの上側に配置される形で保持される。給電ケーブル2Bは、ケーブル通過部335Bに対して、前後方向に通される。リール部31B側からケーブルリール装置3Bの後方側に延びた給電ケーブル2Bの根元側は、ケーブル通過部335Bによって支えられる。ケーブル通過部335Bは、保持部331Bに固定されている。ケーブル通過部335Bには、回動軸334Bが設けられており、この回動軸334Bを中心として、前後方向に延びた長手状のアーム部333Bが上下方向に揺動する。アーム部333Bには、実施形態1と同様、上下で並ぶように配設された1組のガイドローラ338B,339Bを備える。
【0091】
アーム部333Bが上昇した際に検知センサ33Bの検知部33Baと対向し、かつアーム部333Bが下降した際に検知センサ133Bの検知部133Baと対向するように、金属製の金具からなる対向金具332Bが、アーム部333Bに設けられている。対向金具332Bは、全体的には「コの字(C字)」状をなしている。このような対向金具332Bは、給電ケーブル2Bを上側から覆いつつ、上側の検知センサ33Bと対向可能な板状の天井部332Baと、その天井部332Baを支える板状の支持壁332Bbと、この支持壁332Bbの下端に固定され、天井部332Baと間隔を保ちつつ平行に配される板状の底部332Bcとを備える。底部332Bcの一端は、支持壁332Bbの下端に固定され、底部332Bcの他端は、アーム部333Bに固定される。
【0092】
アーム部333Bが上昇した際、上側に配される検知センサ33Bの検知部33Baは、対向金具332Bの天井部332Baと対向する。この検知センサ33Bにより、給電ケーブル2Bの対象部22Bが延びて張った状態が検知される。また、アーム部333Bが下降した際、下側に配される検知センサ133Bの検知部133Baは、対向金具332Bの底部332Bcと対向する。この検知センサ133Bにより、給電ケーブル2Bの対象部22Bが垂れ下がるようにたるんだ状態が検知される。検知センサ133Bは、ケーブル通過部335に固定される、図示されない支持部材によって支持される。このように、2つの検知センサ33B,133Bを使用して、給電ケーブル2Bの張り具合を検知してもよい。
【符号の説明】
【0093】
100…ケーブル巻回システム、1…攪拌装置(移動体)、2…給電ケーブル(ケーブル)、22…対象部、3…ケーブルリール装置、31…リール部、31a…ドラム部、31b…コードリール軸、32…モータ、32a…出力軸、33…検知センサ、34…動力伝達機構、36…回転軸、37…収納箱、38…フレーム部、4…外部電源、5…制御装置、6…処理槽、7…レール、12…車輪、13…攪拌部
図1
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