IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三和シヤッター工業株式会社の特許一覧

特許7628003間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造
<>
  • 特許-間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造 図1
  • 特許-間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造 図2
  • 特許-間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造 図3
  • 特許-間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造 図4
  • 特許-間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造 図5
  • 特許-間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造 図6
  • 特許-間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造 図7
  • 特許-間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20250131BHJP
   E05D 7/083 20060101ALI20250131BHJP
   E06B 3/36 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
E04B2/74 561A
E05D7/083
E06B3/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020119344
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2022016073
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】村山 思保
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-033827(JP,A)
【文献】特開2000-248818(JP,A)
【文献】特開平11-081782(JP,A)
【文献】特開2006-316463(JP,A)
【文献】実開昭50-036958(JP,U)
【文献】特開昭62-133480(JP,A)
【文献】実公昭35-027329(JP,Y1)
【文献】実公昭48-015004(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72-2/82
E05D 1/00-9/00
E06B 3/04-3/46
E06B 3/50-3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間を前後に仕切るため設けられる間仕切りを、
縦支柱と、
該縦支柱に隣接し、軸部を軸心として開閉揺動する一対の板部を備えた蝶番と、
該蝶番を介して縦支柱に開閉揺動自在に軸支される開き戸タイプのパネル体と、
を備えて構成し、
前記蝶番の一対の板部のうち一方を縦支柱の前側見付面に取り付け、他方を開き戸タイプのパネル体に取り付けるにあたり、
縦支柱の前側見付け面を、軸部の配設がない縦支柱側板部の取り付け面として、
前記蝶番の板部を、軸部が縦支柱の前側見付け面を戸尻側に越えて配されるよう長いものに設定ることを特徴とする間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造。
【請求項2】
前記開き戸タイプのパネル体が軸支される縦支柱が、躯体側に設けたドア枠に隣接するよう設けられたものである場合に、蝶番の板部は、軸部が縦支柱を越えてドア枠側の見付け面部位にまで至るよう長いものに設定されていることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造。
【請求項3】
縦支柱が、室内空間を前後および左右に仕切るコーナー間仕切りのコーナー支柱である場合に、蝶番の板部は、軸部がコーナー支柱の戸尻側見込み面部位にまで至るよう長いものに設定されていることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造。
【請求項4】
蝶番は、板部がコーナー支柱のコーナー部位で折曲されることで軸部がコーナー支柱の戸尻側見込み面に対向する部位にまで至るよう構成され、戸体の表面板は、軸部にまで至るようコーナー部位で折曲されてコーナー支柱の戸尻側見込み面に対向する部位にまで至る幅広のものに設定され、該折曲された表面板の見込み面は、コーナー支柱の戸尻側見込み面側に配されるパネル体の表面板と面一になるよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物に設けられる室内空間を仕切るため建て付けられる間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、ビル等の建造物に設けられる室内空間を、間仕切りを用いて前後(若しくは左右)に仕切る(区画する)ことがあり、このような間仕切りのなかには、間仕切りの構成部材であるパネル体を、前後方向に開閉自在な開き戸方式にして、点検用の戸体(ドア)にしたり消火栓用の戸体にしたりすることがある。そしてこのように間仕切りを構成するパネル体を開き戸方式の戸体にする場合、該戸体(パネル体)を、床面から立設した間仕切り用の縦支柱に蝶番(丁番、ヒンジ)を介して開閉揺動自在に軸支することになるが、この場合に、蝶番に設けられる縦支柱側板部を縦支柱の戸先側見込み面に取付けることが一般的に行われるが、このようにした場合、開放した戸体は、該戸体の厚み分、縦支柱の戸先側見込み面よりも戸先側に位置する(はみ出した状態に位置する)ことになって開口幅が狭くなるという問題がある。
そこで蝶番の軸部を、縦支柱の見付け面に配する構成にし、これによって開放した戸体が、縦支柱の前側見付け面部位にオーバーラップするようにして開口幅を広く確保できるように構成したものが提唱されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-33827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして前記従来のものは、蝶番の軸部が縦支柱の見付け面部位に配した分、開口幅を広く確保できるが、開口幅を縦支柱位置までさらに広げたものにしたい、という要望には応えることができないという問題がある。
しかも前記従来のものは、蝶番の軸部が縦支柱の見付け面部の左右方向中間部に位置しているため、間仕切りの正面視において全閉状態の戸体に対して支柱が段差状に凹んだ状態で視認されることになって意匠性が損なわれるという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、室内空間を前後に仕切るため設けられる間仕切りを、縦支柱と、該縦支柱に隣接し、軸部を軸心として開閉揺動する一対の板部を備えた蝶番と、該蝶番を介して縦支柱に開閉揺動自在に軸支される開き戸タイプのパネル体と、を備えて構成し、前記蝶番の一対の板部のうち一方を縦支柱の前側見付面に取り付け、他方を開き戸タイプのパネル体に取り付けるにあたり、縦支柱の前側見付け面を、軸部の配設がない縦支柱側板部の取り付け面として、前記蝶番の板部を、軸部が縦支柱の前側見付け面を戸尻側に越えて配されるよう長いものに設定ることを特徴とする間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造である。
請求項2の発明は、前記開き戸タイプのパネル体が軸支される縦支柱が、躯体側に設けたドア枠に隣接するよう設けられたものである場合に、蝶番の板部は、軸部が縦支柱を越えてドア枠側の見付け面部位にまで至るよう長いものに設定されていることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造である。
請求項3の発明は、縦支柱が、室内空間を前後および左右に仕切るコーナー間仕切りのコーナー支柱である場合に、蝶番の板部は、軸部がコーナー支柱の戸尻側見込み面部位にまで至るよう長いものに設定されていることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造である。
請求項4の発明は、蝶番は、板部がコーナー支柱のコーナー部位で折曲されることで軸部がコーナー支柱の戸尻側見込み面に対向する部位にまで至るよう構成され、戸体の表面板は、軸部にまで至るようコーナー部位で折曲されてコーナー支柱の戸尻側見込み面に対向する部位にまで至る幅広のものに設定され、該折曲された表面板の見込み面は、コーナー支柱の戸尻側見込み面側に配されるパネル体の表面板と面一になるよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、開き戸タイプのパネル体は、支柱の前側見付け面を戸尻側に越えて配された蝶番の軸部を軸心として開閉揺動することになって、開き戸タイプのパネル体を開いたときの開口幅を、可及的に広く採ることができる。
請求項2の発明とすることにより、縦支柱に隣接してドア枠が設けられていても、開き戸タイプのパネル体を開いたときの開口幅を十分に広く採ることができる。
請求項3の発明とすることにより、開き戸タイプのパネル体を開いたときの開口幅を十分に広く採ることができるものでありながら、蝶番の軸部がコーナー支柱の戸尻側空間に大きく突出してしまうことを回避できる。
請求項4の発明とすることにより、開き戸タイプのパネル体の全閉状態での正面視においてコーナー支柱が開き戸タイプのパネル体の表面板によって覆蓋された状態となって視認されず、意匠性が向上する。さらに、コーナー支柱の戸尻側見込み面側から見た場合の意匠性にも優れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(A)、(B)は間仕切りの正面図、平面図である。
図2】(A)は第一戸体の背面図、(B)は(A)の水平断面図である。
図3】第一戸体の開閉状態を示す図である。
図4】縦支柱に対する第一戸体の軸支部位の水平断面図である。
図5】縦支柱に隣接するドア枠の見付け幅が異なる場合の第一戸体の開閉状態を示す図である。
図6】(A)は第二戸体の背面図、(B)は(A)の水平断面図である。
図7】第二戸体の開閉状態を示す図である。
図8】コーナー支柱に対する第二戸体の軸支部位の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は室内空間をコーナー状に仕切るため設けられる間仕切りであって、該間仕切り1は、室内空間を前後に仕切るべく左右方向に面一状になった第一間仕切り部2と、左右に仕切るべく前後方向に面一状になった第二間仕切り部3とを備えて構成されるが、第一間仕切り部2は、複数枚のパネル体Pを左右方向面一状に連接したものであり、そのうちの左右両端側に設けられるパネル体Pは、開閉揺動自在な開き戸タイプのものであって、これら開き戸タイプのパネル体P(後述する第一、第二戸体5、6)に本発明が実施されており、以下、これらの構成について詳述する。
尚、前後左右の方向は方向性を関連付けるためにした便宜上の記載であって、本発明はこれに限定されないものであることは勿論である。
【0009】
前記第一間仕切り部2は、左右方向一端側(図1において左側)に、隣接する室内とのあいだを仕切る仕切り壁Wの先端部に設けられるドア枠7に隣接する状態で、第一間仕切り部2を形成するための縦支柱8が設けられる一方、左右方向他端側(図1において右側)に、第一間仕切り部2と第二間仕切り部3とのコーナー部に立設されるコーナー用の縦支柱9(該コーナー用の縦支柱9を、以下、コーナー支柱9とも称する)が設けられている。そして、これら縦支柱8、コーナー支柱9に、前記開き戸タイプのパネル体Pがそれぞれ蝶番10、11を介して開閉揺動動自在に軸支されているが、本実施の形態では、以降、ドア枠7に隣接して設けられる縦支柱8に開閉揺動自在に軸支されるパネル体Pを第一戸体5、該第一戸体5を開閉揺動自在に軸支する蝶番10を第一蝶番10と称し、コーナー支柱9に開閉揺動自在に軸支されるパネル体Pを第二戸体6、該第二戸体6を開閉揺動自在に軸支する蝶番11を第二蝶番11と称する。尚、第一、第二蝶番10、11は、上下方向複数箇所(例えば、二、三箇所)で第一、第二戸体5、6を軸支するようになっている。
【0010】
前記縦支柱8、コーナー支柱9は、床面に固定される床レール12と、該床レール12と並行となる状態で天井面に固定される天レール13との間に立設されるものであって、その下端部は、床レール12に設置されるアジャスタ14および下側支持金具15を介して床レール12に支持され、また上端部は、天レール13に固定される上側支持金具16を介して天レール13に支持されている。
【0011】
また、第一、第二戸体5、6は、上框5a、6a、下框5b、6b、戸尻側縦框5c、6c、戸先側縦框5d、6d、前(正面)側表面板5e、6eおよび後(背面)側表面板5f、6f等を備えて構成されている。
【0012】
そして、第一戸体5は、前述したようにドア枠7に隣接して設けられる縦支柱8に第一蝶番10を介して開閉自在に軸支されるが、該第一蝶番10は、軸部10aと、該軸部10aを軸心として開閉揺動する一対の戸体側板部10b、縦支柱側板部10cとを備え、戸体側板部10bが第一戸体5に固定され、縦支柱側板部10cが縦支柱8に固定されるように構成されているとともに、戸体側板部10bおよび縦支柱側板部10cは、軸部10aが縦支柱8の前側見付け面部8aを戸尻側に超えてドア枠7の見付け面部位にまで至るように配されるよう長いものに設定されている。
【0013】
つまり、第一蝶番10の縦支柱側板部10cは、縦支柱8の前側見付け面部8aにビス17を介して取付けられるとともに、その戸尻側端部に軸部10aが設けられるが、この場合に、縦支柱側板部10cの横幅は縦支柱8の前側見付け面部8aの横幅よりも長く設定されていて、縦支柱側板部10cは、その戸尻側半部が前側見付け面部8aの戸尻側端部よりも戸尻側に突出する状態で前側見付け面部8aに取付けられるようになっている。これにより、縦支柱8の前側見付け面部8aは、軸部10aの配設がない縦支柱側板部10cの取付け面になっているとともに、軸部10aは、縦支柱8の前側見付け面部8aを戸尻側に超えて、つまり前側見付け面部8aの戸尻側端縁部よりも戸尻側に突出して、縦支柱8に隣接して配されるドア枠7の見付け面部位に至るように配される構成になっている。
尚、本実施の形態において、前記縦支柱8に隣接するドア枠7は、仕切り壁Wによって仕切られた隣室に出入りするためのドア18用の戸尻側のドア枠であって、該ドア枠7には、ドア18が蝶番19を介して開閉揺動自在に軸支されているが、縦支柱8に隣接するドア枠は戸先用のドア枠であっても良い。
【0014】
また、第一蝶番10の戸体側板部10bは、戸尻側縦框5cの後側見付け面部5nにビス20を介して固定される第一面部10dと、第一面部10dの戸尻側端部から見込み方向前側に向けて折曲形成され、戸尻側縦框5cの戸尻側見込み面部5pにビス21を介して固定される第二面部10eと、第二面部10eの見込み方向前端部から戸尻側に向けて折曲形成されて前記軸部10aにまで至る第三面部10fとを有している。この場合に、第三面部10fの横幅は、縦支柱8の前側見付け面部8aを戸尻側に超えた軸部10aにまで至るよう、前記縦支柱側板部10cの横幅よりもさらに長く設定されている。
そして、このように、第一戸体5が開閉するときの軸心となる第一蝶番10の軸部10aが縦支柱8の前側見付け面部8aを戸尻側に超えてドア枠7の見付け面部位にまで至るように配されることで、第一戸体5を開いたときの開口幅を、可及的に広く採ることができるようになっている(図3参照)。
尚、第一蝶番10の軸部10aが縦支柱8の前側見付け面部8aを超えて戸尻側に突出する突出長は、縦支柱8に隣接するドア枠7の見付け面幅等に応じて適宜設定される。この場合、戸尻側への突出長が長いほど、全開状態の第一戸体5部分における開口幅を広くすることができるが、図5に示す如く、ドア枠7の見付け面幅が狭いような場合であっても、軸部10aが縦支柱8の前側見付け面部8aを超えて戸尻側に突出していることで、開口幅を十分に広く採ることができる。
【0015】
また、第一戸体5の戸尻側縦框5cの前側見付け面部5hは、戸尻側に向けて延出された延長部5iを有しているが、該延長部5iは、前記戸体側板部10bの第三面部10fの前側に位置する状態で第一蝶番10の軸部10aにまで至るように設けられている。さらに、第一戸体5の前側表面板5eには、前記戸尻側縦框5cの延長部5iの戸尻側端部にまで至る延長面部5kが形成されている。
そして、このように前側表面板5eに第一蝶番10の軸部10aにまで至る延長面部5kが形成されていることで、第一戸体5の全閉状態での正面視において縦支柱8が延長面部5kによって覆蓋された状態となって視認されないとともに、縦支柱8と該縦支柱8に隣接するドア枠7との間の隙間も視認されないことになって、意匠性に優れる。
【0016】
一方、第二戸体6は、コーナー支柱9に第二蝶番11を介して開閉揺動自在に軸支されるが、該第二蝶番11は、軸部11aと、該軸部11aを軸心として開閉揺動する一対の戸体側板部11b、縦支柱側板部11cとを備え、戸体側板部11bが第二戸体6に固定され、縦支柱側板部11cがコーナー支柱9に固定されるように構成されているとともに、戸体側板部11bおよび縦支柱側板部11cは、軸部11aがコーナー支柱9の前側見付け面部9aを戸尻側に超えて戸尻側見込み面部9bに対向する部位にまで至るように配されるよう長いものに設定されている。
【0017】
つまり、第二蝶番11の縦支柱側板部11cは、コーナー支柱9の前側見付け面部9aにビス22を介して固定され、戸尻側端部がコーナー支柱9の前側見付け面部9aよりも戸尻側に突出する第一面部11dと、該第一面部11dの戸尻側端部から見込み方向後側に向けて折曲形成される、つまり、コーナー支柱9の戸尻側前コーナー部位で折曲されてコーナー支柱9の戸尻側見込み面部9bに対向する部位にまで至る第二面部11eとを有しており、該第二面部11eの見込み方向後端部に軸部11aが設けられている。これにより、コーナー支柱9の前側見付け面部9aは、軸部11aの配設がない縦支柱側板部11cの取付け面になっているとともに、軸部11aは、コーナー支柱9の前側見付け面部9aを戸尻側に超えて戸尻側見込み面部9bに対向する部位にまで至るように配される構成になっている。
【0018】
また、第二蝶番11の戸体側板部11bは、戸尻側縦框6cの後側見付け面部6qにビス23を介して固定される第一面部11fと、第一面部11fの戸尻側端部から見込み方向前側に向けて折曲形成され、戸尻側縦框6cの戸尻側見込み面部6sにビス24を介して固定される第二面部11gと、第二面部11gの見込み方向前端部から戸尻側に向けて折曲形成され、コーナー支柱9の前側見付け面部9aよりも戸尻側に突出する第三面部11hと、該第三面部11hの戸尻側端部から見込み方向後側に向けて折曲形成される、つまり、コーナー支柱9の戸尻側前コーナー部位で折曲されて前記軸部11aまで至る第四面部11iとを有している。
そして、このように、第二戸体6が開閉するときの軸心となる第二蝶番11の軸部11aがコーナー支柱9の前側見付け面部9aを戸尻側に超えて戸尻側見込み面部9bに対向する部位にまで至るように配することで、第二戸体6を開いたときの開口幅を、可及的に広く採ることができるようになっているとともに、第二蝶番11の軸部11aがコーナー支柱9の戸尻側空間に大きく突出してしまうことを回避できる(図7参照)。
【0019】
また、第二戸体6の戸尻側縦框6cの前側見付け面部6hは、戸尻側に向けて延長され、前記戸体側板部11bの第三面部11hの前側に位置する状態でコーナー支柱9の前側見付け面部9aよりも戸尻側に突出する第一延長部6iと、該第一延長部6iの戸尻側端部から見込み方向後側に向けて折曲形成される、つまり、コーナー支柱9の戸尻側前コーナー部位で折曲されて第二蝶番11の軸部11aまで至る第二延長部6kとを有している。さらに、第二戸体6の前側表面板6eは、前記戸尻側縦框6cの第一延長部6iの先端にまで至る第一延長面部6mと、該第一延長面部6mの先端部から折曲形成されて第二延長部6kの先端にまで至る第二延長面部6nとを有している。つまり、第二戸体6の前側表面板6eは、第二蝶番11の軸部11aにまで至るようコーナー支柱9のコーナー部位で折曲されてコーナー支柱9の戸尻側見込み面部9bに対向する部位にまで至る第一、第二延長面部6m、6nが形成された幅広のものに設定されている。そして、前記第二延長面部6n(本発明の折曲された表面板の見込み面に相当する。)は、第二戸体6の全閉状態で、コーナー支柱9の戸尻側見込み面部9bに対して平行状態で対向するとともに、コーナー支柱9の戸尻側見込み面部9b側に配されるパネル体(第二間仕切り部3を構成するパネル体)25の表面板25aと面一状になるように構成されている。
そして、このように前側表面板6eに第二蝶番11の軸部11aにまで至る第一、第二延長面部6m、6nが形成されていることで、第二戸体6の全閉状態での正面視においてコーナー支柱9が第一、第二延長面部6m、6nによって覆蓋された状態となって視認されず、意匠性に優れる。さらに、コーナー支柱9の戸尻側見込み面部9bに対向する第二延長面部6nは、コーナー支柱9の戸尻側見込み面部9b側に配されるパネル体(第二間仕切り部3を構成するパネル体)25の表面板25aと面一状になるように構成されているから、コーナー支柱9の戸尻側見込み面部9b側から見た場合の意匠性にも優れる。
尚、前記第二戸体6の前側表面板6e、第一、第二延長面部6m、6nは、本発明の戸体の表面板に相当するが、後側表面板6fは本発明の戸体の表面板に相当しない。
【0020】
叙述の如く構成された本実施の形態において、間仕切り1は、室内空間を前後に仕切る第一間仕切り部2と左右に仕切る第二間仕切り部3とを備えているとともに、第一間仕切り部2は、縦支柱8、コーナー支柱(コーナー用の縦支柱)9と、これら縦支柱8、コーナー支柱9にそれぞれ隣接する第一、第二戸体5、6とを備えて構成されている。そして、これら第一、第二戸体5、6は、軸部10a、11aと、該軸部10a、11aを軸心として開閉揺動する戸体側板部10b、11b、縦支柱側板部10c、11cとを備えた第一、第二蝶番10、11を介して縦支柱8、コーナー支柱9にそれぞれ軸支されることになるが、この場合に、縦支柱8、コーナー支柱9の前側見付け面8a、9aは、軸部10a、11aの配設がない縦支柱側板部10c、11cの取り付け面となっているとともに、第一、第二蝶番10、11の戸体側板部10b、11b、縦支柱側板部10c、11cは、軸部10a、11bが縦支柱8、コーナー支柱9の前側見付け面8a、9aを戸尻側に越えて配されるよう長いものに設定されることになる。
【0021】
この結果、第一、第二戸体5、6は、縦支柱8、コーナー支柱9の前側見付け面8a、9aを戸尻側に越えて配された第一、第二蝶番10、11の軸部10a、11bを軸心として開閉揺動することになって、第一、第二戸体5、6を開いたときの開口幅を、可及的に広く採ることができることになる。
【0022】
このものにおいて、第一戸体5が軸支される縦支柱8は、躯体側(本実施の形態においては仕切り壁W)に設けたドア枠7に隣接するよう設けられているが、該縦支柱8に第一戸体5を軸支する第一蝶番10の戸体側板部10b、縦支柱側板部10cは、軸部10aが縦支柱8を越えてドア枠7側の見付け面部位にまで至るよう長いものに設定されている。これにより、縦支柱8に隣接してドア枠7が設けられていても、第一戸体5を開いたときの開口幅を、十分に広く採ることができる。
【0023】
また、第二戸体6が軸支されるコーナー支柱9は、室内空間を前後に仕切る第一間仕切り部2と左右に仕切る第二間仕切り部3とのコーナー部に設けられるコーナー用縦支柱であるが、該コーナー支柱9に第二戸体6を軸支する第二蝶番11の戸体側板部11b、縦支柱側板部11cは、軸部11aがコーナー支柱9の戸尻側見込み面部9bに対向する部位にまで至るよう長いものに設定されている。これにより、第二戸体5を開いたときの開口幅を、十分に広く採ることができるものでありながら、軸部11aがコーナー支柱9の戸尻側空間に大きく突出してしまうことを回避できる。
【0024】
さらに、前記第二戸体6を軸支する第二蝶番11は、戸体側板部11b、縦支柱側板部11cがコーナー支柱9のコーナー部位で折曲されることで軸部11aがコーナー支柱9の戸尻側見込み面部9bに対向する部位にまで至るよう構成される一方、第二戸体6の前側表面板6eは、第二蝶番11の軸部11aにまで至るようコーナー支柱9のコーナー部位で折曲されてコーナー支柱9の戸尻側見込み面部9bに対向する部位にまで至る第一、第二延長面部6m、6nが形成された幅広のものに設定されている。そして、折曲された前側表面板6eの見込み面である第二延長面部6nは、コーナー支柱9の戸尻側見込み面側に配されるパネル体25の表面板25aと面一になるよう構成されている。この結果、第二戸体6の全閉状態での正面視においてコーナー支柱9が第一、第二延長面部6m、6nによって覆蓋された状態となって視認されず、意匠性が向上する。さらに、コーナー支柱9の戸尻側見込み面部9bに対向する第二延長面部6nは、コーナー支柱9の戸尻側見込み面部9b側に配されるパネル体25の表面板25aと面一状になるように構成されているから、コーナー支柱9の戸尻側見込み面部9b側から見た場合の意匠性にも優れることになる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、建造物に設けられる室内空間を仕切るため建て付けられる間仕切りにおける開き戸タイプのパネル体の取り付け構造として利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 間仕切り
2 第一間仕切り部
5 第一戸体
6 第二戸体
6e 前側表面板
7 ドア枠
8 縦支柱
8a 前側見付け面部
9 コーナー支柱
9a 前側見付け面部
9b 戸尻側見込み面部
10 第一蝶番
10a 軸部
10b 戸体側板部
10c 縦支柱側板部
11 第二蝶番
11a 軸部
11b 戸体側板部
11c 縦支柱側板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8