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特許7628036回転式バルブ及びそれに用いられるウェアリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】回転式バルブ及びそれに用いられるウェアリング
(51)【国際特許分類】
   B65B 37/06 20060101AFI20250131BHJP
   B65B 39/00 20060101ALI20250131BHJP
   F16K 5/06 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
B65B37/06
B65B39/00 B
F16K5/06 A
F16K5/06 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021040584
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139976
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】301032517
【氏名又は名称】エバラ食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 知佑
(72)【発明者】
【氏名】小竹 達也
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-299741(JP,A)
【文献】特開2008-202783(JP,A)
【文献】特開2017-215026(JP,A)
【文献】特開2017-007708(JP,A)
【文献】特開2018-165162(JP,A)
【文献】特開2008-110803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0072951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 37/06
B65B 39/00
F16K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒内周面を有する弁ハウジングと、該弁ハウジングに回転可能に挿入される円筒外周面を有する弁体とを備え、前記弁ハウジングと前記弁体との相対回転により、前記弁ハウジングに形成された弁ハウジングポートと前記弁体に形成された弁体ポートとを開閉して、液状体の流路を切換える回転式バルブであって、
前記弁ハウジングの円筒内周面又は前記弁体の円筒外周面に、前記弁ハウジングと前記弁体との間の隙間に漏れる液状体を溜める凹部が形成されていることを特徴とする回転式バルブ。
【請求項2】
前記凹部の少なくとも一部は、螺旋状の溝であることを特徴とする請求項1に記載の回転式バルブ。
【請求項3】
前記凹部の少なくとも一部は、前記弁体の円周方向に延びる環状の溝であることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転式バルブ。
【請求項4】
前記弁ハウジングと前記弁体との間には、冷間時に所定の隙間が設定され、
該隙間は、前記弁ハウジング及び前記弁体の熱膨張により小さくなることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の回転式バルブ。
【請求項5】
前記弁体には、前記円筒外周面を構成するウェアリングが設けられ、
前記凹部は、前記ウェアリングに形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれ1項に記載の回転式バルブ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の回転式バルブに用いられるウェアリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体を容器に充填する充填装置に適用される回転式バルブ及びそれに用いられるウェアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、供給タンクに貯留した液状体を一旦シリンダの充填室に充填し、充填した液状体をシリンダから充填ノズルを介して、容器に吐出することにより、容器に一定量の液状体を充填する充填装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような充填装置には、液状体の流路の連通状態、すなわち、供給タンクとシリンダとの連通、及び、充填ノズルとシリンダとの連通を適宜切り換える回転式バルブを備えたものがある。回転式バルブは、樹脂製のウェアリングを装着することにより、摺動部の摩擦抵抗を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-110803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の回転式バルブを適用した充填装置では、微粉末を含む高温度の液状体を容器に充填する場合、金属製の弁ハウジングと、樹脂製のウェアリングとの熱膨張率の差を考慮して、弁体と弁ハウジングとの間に隙間を設けている。ここで、充填装置の冷間時(例えば、メンテナンスなどの長時間停止直後)では、ウェアリングが熱膨張していないので、充填装置を動作させると、弁体と弁ハウジングとの間の隙間に液状体が漏れることがある。そして、温度上昇により、隙間が小さくなり、隙間に漏れた微粉末を含む液状体によって摩擦が生じる。その後、弁体の回動を繰り返すことで、液状体に含まれる微粉末が蓄積され、摩擦力が増大する。これにより、回転式バルブの円滑な動作が阻害されるという問題がある。
特に、液状体に含まれる微粉末が澱粉質を含有する場合、摩擦によって生じる摩擦熱により、液状体の粘度が高まり、摩擦力がさらに増大することになり、問題となる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、液状体の漏れに伴う摩擦力の増大を抑制し、円滑に動作可能な回転式バルブ及びそれに用いられるウェアリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る回転式バルブでは、円筒内周面を有する弁ハウジングと、該弁ハウジングに回転可能に挿入される円筒外周面を有する弁体とを備え、前記弁ハウジングと前記弁体との相対回転により、前記弁ハウジングに形成された弁ハウジングポートと前記弁体に形成された弁体ポートとを開閉して、液状体の流路を切換える回転式バルブであって、前記弁ハウジングの円筒内周面又は前記弁体の円筒外周面に、前記弁ハウジングと前記弁体との間の隙間に漏れる液状体を溜める凹部が形成されていることを特徴とする。
請求項2に係る回転式バルブでは、前記凹部の少なくとも一部は、螺旋状の溝であることを特徴とする。
請求項3に係る回転式バルブでは、前記凹部の少なくとも一部は、前記弁体の円周方向に延びる環状の溝であることを特徴とする。
請求項4に係る回転式バルブでは、前記弁ハウジングと前記弁体との間には、冷間時に所定の隙間が設定され、該隙間は、前記弁ハウジング及び前記弁体の熱膨張により小さくなることを特徴とする。
請求項5に係る回転式バルブでは、前記弁体には、前記円筒外周面を構成するウェアリングが設けられ、前記凹部は、前記ウェアリングに形成されていることを特徴とする。
請求項6に係るウェアリングでは、請求項1~5のいずれか1項に記載の回転式バルブに用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願発明の回転式バルブ及びウェアリングによれば、液状体の漏れに伴う摩擦力の増大を抑制し、円滑な動作が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る回転式バルブが適用される充填装置の概略斜視図である。
図2図1に示す充填装置の回転式バルブが第1位置に配置された状態の概略断面図である。
図3図1に示す充填装置の回転式バルブが第2位置に配置された状態の概略断面図である。
図4図1に示す回転式バルブの弁体の概略正面図である。
図5図4に示す回転式バルブの弁本体の図であり、(a)は正面図、(b)は図5(a)に示すA-A線に沿った断面図、(c)は図5(a)に示すB-B線に沿った断面図である。
図6図4に示す回転式バルブのウェアリングの図であり、(a)は正面図、(b)は図6(a)に示すC-C線に沿った断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る回転式バルブのウェアリングを示す図であり、(a)は正面図、(b)は図7(a)に示すD-D線に沿った断面図、(c)は図7(a)に示すE-E線に沿った断面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る回転式バルブのウェアリングを示す図であり、(a)は正面図、(b)は図8(a)に示すF-F線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態に係る回転式バルブを適用した充填装置の構成を図1図6を参照して詳細に説明する。
図1図3に示すように、充填装置1は、複数の容器3(例えば、ポーション容器)に香辛料等の微粉末を含む高温度の液状体5(例えば、カレー等の食品)を定量充填するものであり、回転式バルブ11Aと、充填部13と、充填ノズル15と、供給タンク17と、制御部19とを少なくとも備える。回転式バルブ11A及び充填部13は、ハウジング21内に収納される。
【0010】
回転式バルブ11Aは、ポート(流路)を開閉して、微粉末を含む液状体5の流れを切り換える三方向弁であり、ハウジング21に一体的に設けられた、円筒内周面33aを有する弁ハウジング33と、弁ハウジング33内に回転可能に挿入される、円筒外周面31aを有する弁体31と、を備える。回転式バルブ11Aは、制御部19よって、供給タンク17(弁ハウジングポート40a)と充填部13(弁ハウジングポート40b)とが連通する第1位置(図2参照)と、充填ノズル15(弁ハウジングポート40c)と充填部13(弁ハウジングポート40b)とが連通する第2位置(図3参照)とに切り換えることができる。後述のように、充填装置1の冷間時(例えば、メンテナンスなどの長時間停止直後)では、弁体31と弁ハウジング33と間に、隙間Sが形成されている(図2及び図3参照)。
【0011】
弁体31は、図2図6に示すように、略円柱状の弁本体35と、ウェアリング41Aとを備える。弁本体35は、ステンレス鋼等の金属からなり、互いに連通した三方に開口する弁体ポート39a,39b,39cを備える。弁体ポート39a,39b,39cは、弁本体35の軸方向に沿って所定の間隔を置いて複数箇所(図示の例では、3箇所)に設けられている。弁体ポート39a,39b,39cは、弁本体35の同一円周上に90°間隔を置いて三方に開口されている(図5(b)参照)。また、弁本体35は、チップ37を備える。チップ37は、円筒状を呈し、外周面から径方向外側に延びるフランジ37a(図5(b)及び図5(c)参照)を備え、弁本体35に外周面の弁体ポート39a,39b,39cの開口部に着脱可能に取り付けられる。
【0012】
ウェアリング41Aは、図6に示すように、ポリテトラフルオロエチレン(PTEF)等の樹脂からなる円筒体であり、弁本体35の外周面に着脱可能に設けられている。ウェアリング41Aには、弁本体35のチップ37に係合できるように、ウェアリング41Aの同一円周上に90°置きに3つの係合孔43a,43b,43cが形成され、これらの係合孔43a,43b,43cは、ウェアリング41Aの軸方向に沿って所定の間隔を置いて3組並ぶように配置されている。また、ウェアリング41Aは、その軸方向に沿って延びるスリット45が形成されており、スリット45を広げることにより、弁本体35に着脱することができる。さらに、ウェアリング41Aには、その外周面に形成された3条の螺旋溝47a,47b,47c(凹部)と、その外周面の両端部に形成された環状溝49(凹部)とを備える。各螺旋溝47a,47b,47cは、ウェアリング41Aの軸方向に沿って配置された3組の係合孔43a,43b,43c同士をそれぞれ結び、その両端部が環状溝49につながるように延びている。
【0013】
弁体31(ウェアリング41A)と弁ハウジング33との間は、金属製の弁本体35及び弁ハウジング33(熱膨張小)と、樹脂製のウェアリング41A(熱膨張大)との熱膨張率の差を考慮して、充填装置1の冷間時に所定の隙間Sが形成されており、高温の液状体5によって、加熱された通常の作動温度において、熱膨張により、必要なシール性及び摺動性を満たす適度な隙間になるように、寸法管理されている。
【0014】
図2及び図3に示すように、弁ハウジング33は、ステンレス鋼等の金属からなり、弁本体35の弁体ポート39a,39b,39cに対向する三方に開口する弁ハウジングポート40a,40b,40cを備える。弁ハウジングポート40aは、供給タンク17の供給流路55(後述参照)と連通し,弁ハウジングポート40bは、充填部17のシリンダ51の充填室51a(後述参照)に連通し、弁ハウジングポート40cは、充填ノズル15に連通する。
【0015】
これにより、回転式バルブ11Aでは、弁体31が図2に示す第1位置にあるとき、弁体31の弁体ポート39a,39bが弁ハウジング33の弁ハウジングポート40a,40bにそれぞれ連通し、弁体ポート39c及び弁ハウジングポート40cが閉じられることで、弁ハウジングポート40a,40b間が弁体ポート39a,39bを介して連通される。また、弁体31が図3に示す第2位置にあるとき、弁体31の弁体ポート39a,39cが弁ハウジング33の弁ハウジングポート40b,40cにそれぞれ連通し、弁体ポート39b及び弁ハウジングポート40aが閉じられることで、弁ハウジングポート40b,40c間が弁体ポート39a,39cを介して連通される。回転式バルブ11Aは、制御部19に接続された回転駆動源に連結されており、制御部19からの指令信号によって、弁体31を適宜第1位置及び第2位置に選択的に移動させることができる。
【0016】
充填部13は、供給タンク17内から一定量の液状体5を導入し、その液状体5を充填ノズル15に供給するためのものであり、シリンダ51と、ピストン53とを備える。シリンダ51は、ハウジング21内に収納され、液状体5を充填する充填室51aを形成する。充填室51aは、弁ハウジング33の弁ハウジングポート40bに連通されている。ピストン53は、シリンダ51内に往復動可能に設けられ、制御部19によって制御される空気圧シリンダ等の駆動源(図示せず)により、駆動される。
【0017】
充填ノズル15は、図1図3に示すように、液状体5を容器3に向けて吐出させるものであり、弁ハウジング33の弁ハウジングポート40cに連結されている。なお、説明の便宜上、図示の例では、充填ノズル15は、1本のノズルであるが、1つの弁体ポート39cに複数本のノズルを連通するように構成してもよく、又は、1つのノズルから複数枝分かれるように構成してもよい。
【0018】
供給タンク17は、図2及び図3に示すように、微粉末を含む高温度の液状体5を貯留するためのものであり、充填部13に液状体5を供給するための供給流路55を備える。供給タンク17の供給流路55は、回転式バルブ11Aの弁ハウジング33の弁ハウジングポート40aに接続されている。
【0019】
次に、本発明の第1実施形態に係る回転式バルブ11Aを適用した充填装置1の動作を説明する。
まず、制御部19によって、回転式バルブ11Aを第1位置(図2参照)に配置して、供給タンク17と充填部13とを連通させる。そして、駆動源によって、ピストン53を後退させることで、回転式バルブ11Aを介して、液状体5が供給タンク17からシリンダ51の充填室51aに充填される。そして、液状体5が充填室51aに所定の量充填された後、制御部19によって、回転式バルブ11Aを第2位置(図3参照)に切り換え、充填ノズル15とシリンダ51の充填室51aとを連通させる。その後、駆動源によって、ピストン53を前進させることで、充填ノズル15から液状体5が吐出し、容器3に所定量の液状体5が充填される。そして、液状体5の充填後、ピストン53をある程度後退させることで、充填ノズル15に残留した液状体5がシリンダ51側に吸引され、充填ノズル15の液だれを防ぐ。
【0020】
液状体5の吐出後、制御部19によって、回転式バルブ11Aを第2位置から第1位置に切り換えて、ピストン53を完全に後退させることで、液状体5が供給タンク17から充填室51aに充填される。その後、再度、回転式バルブ11Aを第1位置から第2位置に切り換えて、ピストン53を前進させることで、充填ノズル15を介して、液状体5を新たな容器3に充填させることができる。
このように、充填装置1の上記動作を繰り返すことにより、一定量の液状体5を容器3に順次充填させることができる。
【0021】
第1実施形態に係る回転式バルブ11Aを適用した充填装置1によれば、次のような作用効果を得ることができる。
充填装置1の冷間時には、弁ハウジング33及び弁本体35と、ウェアリング41Aとの熱膨張差を考慮した、弁体31と弁ハウジング33との間の隙間Sが大きいので、この隙間Sに液状体5が漏れることがある。このとき、隙間Sに漏れた液状体5は、ウェアリング41Aの外周面に形成された螺旋溝47a,47b,47c及び環状溝49内に溜められるので、高温の液状体5によって、回転式バルブ11Aが加熱されて、ウェアリング41Aの熱膨張によって、隙間Sが小さくなっても、隙間Sに詰まりにくくなっている。
【0022】
また、ウェアリング41Aの外周面の螺旋溝47a,47b,47cは、弁体31の回動に伴って、隙間Sに詰まる液状体5を掻き取るように移動するので、螺旋溝47a,47b,47c内に漏れた液状体5をより溜めやすくすることができる。
【0023】
その結果、充填装置1の連続運転により、回転式バルブ11Aの弁体31が繰り返し動作し続けても、弁ハウジング33と弁体31との間で摩擦抵抗が過度に発生することがなく、摩擦熱による液状体5の粘度の上昇も抑制されることになる。これにより、回転式バルブ11Aの弁体31を円滑に回動させ続けることができる。
【0024】
上記第1実施形態に係る回転式バルブ11Aにおいて、螺旋溝47a,47b,47cは、ウェアリング41Aの係合孔43a,43b,43cを通るように形成されているが、係合孔43a,43b,43cを通らなくてもよく、少なくとも1つの一条の螺旋溝としてもよい。螺旋溝は、係合孔43a,43b,43cの少なくとも1つに連通するようにしてもよい。
【0025】
次に、本発明の第2実施形態に係る充填装置1について、図7を参照して説明する。なお、本実施形態に係る充填装置1は、上記第1実施形態に係る充填装置1に対して、ウェアリングの構造のみが異なるので、同様の部分には同じ参照符号を用いて、その説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0026】
図7(a)~図7(c)に示すように、本実施形態に係る充填装置1の回転式バルブ11Bのウェアリング41Bは、ウェアリング41Bの3組の係合孔43a,43b,43cの間に4つずつ配置された環状溝61(凹部)と、同一円周上に配置された3つの係合孔43a,43b,43c間の同じ円周上に形成された4つの孔63とを備える。孔63は、底部が弁本体35によって閉じられ、凹部を形成する。なお、孔63は、三角、四角、楕円等の他の形状の孔であってもよい。
【0027】
第2実施形態に係る回転式バルブ11Bを適用した充填装置1によれば、次のような作用効果を得ることができる。
回転式バルブ11Bのウェアリング41Bには、その外周面に、環状溝61、環状溝49及び孔63が形成されているので、隙間Sに漏れた液状体5を孔63で掻き取り、環状溝61、環状溝49及び孔63に溜めることができる。その結果、漏れた液状体5が隙間Sに詰まりにくくなり、上記第1実施形態と同様、回転式バルブ11Bの弁体31を円滑に回動させ続けることができる。
【0028】
次に、本発明の第3実施形態に係る充填装置1について、図8を参照して説明する。なお、本実施形態に係る充填装置1は、上記第2実施形態に係る充填装置1に対して、ウェアリングの構造の一部のみが異なるので、同様の部分には同じ参照符号を用いて、その説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0029】
図8(a)及び図8(b)に示すように、ウェアリング41Cは、上記第2実施形態のウェアリング41Bの構成に加えて、環状溝61及び環状溝49と、孔63とをつなぐ傾斜溝65を備える。傾斜溝65は、ウェアリング41Cの軸方向に対して傾斜され、孔63を通り、その両端部が係合孔43a,43b,43cに隣接する環状溝61,49に連通している。
【0030】
第3実施形態に係る回転式バルブ11Cを適用した充填装置1によれば、上記第2実施形態の作用効果に加え、次のような作用効果を得ることができる。
傾斜溝65によって、隙間Sに漏れた液状体5を掻き取り、孔63内に溜まった液状体5を、傾斜溝65を介して、環状溝61及び環状溝49側に逃がすことができる。これにより、液状体5が隙間Sに詰まりにくくなり、上記第2実施形態と同様、回転式バルブ11Cの弁体31を円滑に回動させ続けることができる。
【0031】
なお、第1~3実施形態に係る回転式バルブ11A,11B,11Cにおいて、弁体31のウェアリング41A,41B,41Cの外周面に、隙間Sに漏れた液状体5を溜める凹部(螺旋溝47a,47b,47c,環状溝61等)を設けているが、弁ハウジング33の円筒内周面33aに凹部を形成してもよい。また、これらの凹部は、弁体31の円筒外周面31a及び弁ハウジング33の円筒内周面33aの両方に形成するようにしてもよい。
【0032】
第1~3実施形態に係る回転式バルブ11A,11B,11Cにおいて、弁体31のウェアリング41A,41B,41Cの外周面に形成された凹部(螺旋溝47a,47b,47c,環状溝61等)は、連続した溝であるが、一定間隔又は不定間隔に分断された溝であってもよい。
【0033】
第1実施形態に係る回転式バルブ11Aにおいて、螺旋溝47a,47b,47cは、螺旋溝47a,47b,47cから、ウェアリング41Aの円周方向に延びる縦方向の溝、又は、ウェアリング41Aの軸方向に延びる横方向の溝等の溝を加えるようにしてもよい。
【0034】
第1~第3実施形態及び第3実施形態に係る回転式バルブ11A,11B,11Cにおいて、凹部(螺旋溝47a,47b,47c,環状溝61等)の数は、適宜変更してもよい。また、環状溝61は、ウェアリング41B,41Cの円周方向に延びているが、ウェアリング41B,41Cの軸方向に延びる溝であってもよく、又は、環状溝61とウェアリング41B,41Cの軸方向に延びる溝とを組み合わせるように構成してもよい。また、隣接する環状溝61を互いにつなぐように溝(凹部)を設けてもよい。
【0035】
第1~第3実施形態及び第3実施形態に係る回転式バルブ11A,11B,11Cにおいて、係合孔43a,43b,43cから、ウェアリング41A,41B,41Cの円周方向に延びる溝を設けてもよい。これにより、溝に微粉末を含む液状体5を溜めることができる。しかし、このような溝を設けたことにより、シール性が低下し、溝に溜まった液状体5が弁ハウジングポート40cを介して、充填ノズル15に流れることがある。その結果、充填ノズル15から液だれが生じる可能性がある。
【0036】
第2実施形態に係る回転式バルブ11Bにおいて、ウェアリング41Bは、一体の円筒状であるが、分割したリング状、すなわち、環状溝61及び環状溝49の底部を形成する円筒部分を取り除き、係合孔43a,43b,43c及び孔63のみが形成されたリング状のウェアリングとしてもよい。これにより、分割したリング状のウェアリングを弁体31に装着した際、これらの間に溝(空間)を形成し、この溝に微粉末を含む液状体5を溜めることができる。
【0037】
なお、第1~第3実施形態において、液状体5は、微粉末を含むものに限らず、ある程度粘度の高い、隙間Sに詰まる可能性のあるものであれば、本発明の作用効果が期待できる。また、本発明は、弁本体にウェアリングが設けられていないものに適用することもできる。
【符号の説明】
【0038】
5…液状体、11A,11B,11C…回転式バルブ、31…弁体、31a…筒状外周面、33…弁ハウジング、33a…筒状内周面、39a,39b,39c…弁体ポート、40a,40b,40c…弁ハウジングポート、41A,41B,41C…ウェアリング、47a,47b,47c…螺旋溝(凹部)、49…環状溝(凹部)、61…環状溝(凹部)、63…孔(凹部)、65…傾斜溝(凹部)、S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8