(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】非対称電気モータを有する低ノイズギアモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 21/16 20060101AFI20250131BHJP
H02K 1/14 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
H02K21/16 M
H02K1/14 Z
(21)【出願番号】P 2021568587
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 FR2020050816
(87)【国際公開番号】W WO2020234532
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-04-26
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501377391
【氏名又は名称】ムービング マグネット テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ラフォルジュ,ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ビイェ,リオネル
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-534457(JP,A)
【文献】特開昭54-094610(JP,A)
【文献】特表2015-524650(JP,A)
【文献】特開2019-030145(JP,A)
【文献】特開2015-171195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K1/00-1/16
1/18-1/26
1/28-1/34
7/00-7/20
21/00-21/48
37/00-37/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速ギア列(18)と、3相電気モータと、を備えるギアモータであって、
前記3相電気モータは、
複数のシートのスタック(12)と、3の倍数である複数の電気コイル(5、5A、5B、5C)と、から形成される固定子(1)と、
k×N組の磁極対(11)を有する回転子(6)と、を備え、
前記固定子(1)は、k=1または2の状態で、2つの別個の角度セクタであるアルファ1およびアルファ2を有し、
当該2つの別個の角度セクタであるアルファ1およびアルファ2は、
前記モータの回転中心を中心とし、
複数のノッチ(2)と規則的に離間され前記回転中心に向かって集中する3×k×N個の歯(4)との交互配列を備え、
前記回転子(6)が配置されるキャビティ(3)を画定し、
N=4であり、アルファ1が180度以下であり前記モータの前記複数のコイル(5、5A、5B、5C)のすべてを含み、複数のコイルの数は複数の歯の数の半分以下であることを特徴とする、ギアモータ。
【請求項2】
前記複数の歯(4)は、複数の幅の広い歯と複数の幅の狭い歯との交互配列からなり、
前記複数の幅の広い歯は、前記複数の幅の狭い歯の幅の2倍以上の幅を有し、
前記ノッチの幅は、前記幅の狭い歯の幅よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のギアモータ。
【請求項3】
前記複数の歯(4)は全て、同一の幅を有し、前記幅が前記ノッチの幅以下であることを特徴とする請求項1に記載のギアモータ。
【請求項4】
前記複数の歯(4)は同一であり、前記回転子(6)に向かって広がった複数の磁極ヘッドを有し、前記複数の磁極ヘッドの幅が前記ノッチの幅よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のギアモータ。
【請求項5】
前記回転子(6)は、非磁性支持体(7)によって支持されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のギアモータ。
【請求項6】
前記非磁性支持体(7)は、前記ギア列を駆動するためのピニオン(8)も形成する射出材料から作られることを特徴とする、請求項5に記載のギアモータ。
【請求項7】
k=2であり、かつ電気位相ごとに2つのコイル(5A、5B、5C)を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のギアモータ。
【請求項8】
前記減速ギア列(18)は、ネジ棒(27)を駆動するウォーム(26)により形成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のギアモータ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の技術分野〕
本発明は、ギアモータ(すなわち、電気モータを速度または運動減速ギア列(速度乗算器)に関連付ける装置)の分野に関し、より詳細には、モータ固定子において非対称性を有する表面実装永久磁石ブラシレス多相モータを使用するギアモータに関する。
【0002】
〔従来技術〕
欧州特許出願公開第3483454号明細書から、磁気アーマチュアと、回転子の周りに非対称に配置され、特に回転子の周りに180度未満の円弧状に配置される、磁気アーマチュアの複数の分岐に取り付けられた3つのコイルと、を備える固定子の使用が知られている。複数のコイルの反対側の固定子の複数の磁極は、コイルのないアーマチュアの複数の歯によって形成される。これにより、複数のコイルの反対側に小径の固定子を有することが可能となる。回転子は5組の磁極対を有する。
【0003】
さらに、文書WO2017013266が知られており、この文書は少なくとも2つの電気相、軸の周りを回転する回転子を有し、複数のコイルをそれぞれ支持する少なくとも2つの磁極を有する固定子アセンブリから構成され、その巻線軸は180度未満の機械的角度だけ離間されているブラシレスモータを提示している。
【0004】
また、回転子が4組のS磁極対を備え、固定子が6つの磁極を備えるモータを提示する特許出願EP3010127も知られている。2つの巻線された固定子極は、互いに112.5°だけ角度的にオフセットされている。
【0005】
先行技術のこれらの装置の目的は、ノイズおよび部品の摩耗を避けるために、モータの電流なしにトルクを最小化するという一般的な問題を解決することである。
【0006】
しかしながら、小型で無音のギアモータを使用したい場合、固定子の歯幅に関して上述の文献によって提供される選択は残留トルク(電流なし)を最小化することを可能にするが、教示された回転子上の磁極対の数は非対称の固定子と関連して、無音駆動を達成することはできない。
【0007】
実際、狭い歯を有する非対称に巻かれた固定子と磁気的に相互作用する5組の磁極対を有する回転子を使用すると、これらの文献に示されているように、複数のコイルが作動されるときに固定子と回転子との間に及ぼされる横方向の力(半径方向の力に参照される)により音響放射が生じる点で好ましくないことが分かっている。特に、3相タイプの電源は、それが正弦波であるか、ブロックであるか、あるいは多段階であるかに関わらず、5組の表面実装された磁極対を有する回転子が使用される場合に、残留力に対して固定子と回転子との間に顕著な横方向の力を発生させ、ある場合には構造の共振周波数(固有モード)に応力を加えることによって振動を促進することに留意されたい。
【0008】
〔発明の開示〕
本発明は、小型で無音のギアモータを製造することによって、従来技術の欠点を克服することを目的とする。本発明は特に、減速ギア列を特定の固定子および回転子と組み合わせることを目的としており、これにより、許容可能な残留トルクを維持しつつ、固定子と回転子との間の横方向の力を低減することによって、音響放射を最小化することができる。
【0009】
本発明の別の目的は、回転子に対する、回転子の位置決め公差に対するこれらの横方向の力の変動を最小化することである。
【0010】
これを行うために、3相非対称固定子と相互作用する4組の磁極対を有する回転子を使用すると、モータ電力の種類に依存しない従来技術のものよりも静かな駆動ソリューションを導くことが驚くべきことに観測されている。機械式ギア減速機と組み合わせると、得られるソリューションはコンパクトかつ無音である。回転子の偏心の間、これらの力の変動は、最先端技術のソリューションと比較して、さらに最小化される。
【0011】
より詳細には、本発明は、減速ギア列と、3相電気モータと、を備えるギアモータであって、前記3相電気モータは、複数のシートのスタックと、3の倍数である複数の電気コイルと、から形成される固定子と、k×N組の磁極対を有する回転子と、を備え、前記固定子は、k=1または2の状態で、2つの別個の角度セクタであるアルファ1およびアルファ2を有し、当該2つの別個の角度セクタであるアルファ1およびアルファ2は、前記モータの回転中心を中心とし、複数のノッチ(2)と規則的に離間され前記回転中心に向かって集中する3×k×N個の歯(4)との交互配列を備え、前記回転子(6)が配置されるキャビティ(3)を画定し、N=4であり、アルファ1は180度以下であり前記モータの前記コイルのすべてを含み、複数のコイルの数は複数の歯の数の半分以下であることを特徴とする、ギアモータに関する。この構成は特に、上記の利点を得ることを可能にする。「規則的に離間され」とは、回転中心から複数の歯の間の角距離が一定であることを意味し、「磁極」は永久磁石を表す。
【0012】
第1の実施形態では、前記複数の歯は、複数の幅の広い歯と複数の幅の狭い歯との交互配列からなり、前記複数の幅の広い歯は、前記複数の幅の狭い歯の幅の2倍以上の幅を有し、前記ノッチの幅は、前記幅の狭い歯の幅よりも大きい。
【0013】
別の実施形態では、前記複数の歯は全て、同一の幅を有し、前記幅が前記ノッチの幅以下である。
【0014】
別の実施形態では、前記複数の歯は同一であり、前記回転子に向かって広がった複数の磁極ヘッドを有し、前記複数の磁極ヘッドの幅が前記ノッチの幅よりも大きい。
【0015】
好ましくは、回転子は非磁性支持体によって支持されるが、磁気ヨークの使用が想定され得る。前記非磁性支持体は、前記ギア列を駆動するためのピニオンも形成する射出材料から作られ得る。磁極型磁化を考慮する場合、回転子には非磁性支持体が好ましい。しかしながら、磁石が厚い場合、あるいはこの支持体に固定された焼結鋼ピニオンを作ることが望まれる場合は、非磁性支持体は必要とされない。
【0016】
代替の実施形態では、k=2であり、かつ電気位相ごとに2つのコイルを備える。この実施形態は特に、所定のギア列を有するギアモータのトルクを増加させることを可能にする。
【0017】
変形例では、前記減速ギア列は、ネジ棒を駆動するウォームにより形成される。
【0018】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な実施形態を読むことによって明らかになるだろう。当該図面を、以下にそれぞれ示す:
図1a、
図2aおよび
図3aは、本発明に係るギアモータの様々な固定子の分離斜視図である;
図1b、
図2bおよび
図3bは、それぞれ
図1a、
図2aおよび
図3aの固定子の上面図である;
図1c、
図2cおよび
図3cは、それぞれ
図1a、
図2aおよび
図3aの固定子を用いた電気モータの斜視図である;
図1d、
図2dおよび
図3dは、それぞれ
図1c、
図2cおよび
図3cのモータの側面図である;
図1e、
図2eおよび
図3eは、それぞれ
図1c、
図2cおよび
図3cのモータの上面図である;
図4は、回転子上の力の進展を示すグラフである;
図5a、
図5bおよび
図5cは、本発明に係るギアモータに属するモータの別の実施形態の、それぞれ斜視図、側方から見た図、および上方から見た図である;
図6aおよび
図6bは、
図5a~
図5cの実施形態の固定子の、それぞれ分離斜視図および上方から見た分離図である;
図7a、
図7bおよび
図7cは、本発明に係るギアモータに属するモータの別の実施形態の、それぞれ斜視図、側方から見た図、および上方から見た図である;
図8aおよび
図8bは、
図7a~
図7cの実施形態の固定子の、それぞれ分離斜視図および上方から見た分離図である;
図9aおよび
図9bは、
図1c~
図1eに示すようなモータを用いた、本発明に係るギアモータの一実施例を示す、カバー無しの上面図である;
図9cおよび
図9dは、
図9aおよび
図9bのギアモータと同じ実施例の、それぞれカバー有りおよび無しの斜視図である;
図10aおよび
図10bは、本発明に係るギアモータの第2の実施例の、それぞれ上面図および斜視図である;
図11は、本発明に係るギアモータの第3の実施例の斜視図である;
図12は、本発明に係るギアモータに属するモータの回転子の代替の実施形態の上面図である。
【0019】
〔実施例の詳細な説明〕
図1aおよび
図1bは、本発明に係るギアモータの三相モータの歯12個を備えた固定子の第1の実施例を示す。この固定子(1)は、約180度(数度以内の精度、回転中心からの角度)にわたって延在する第1の角度セクタ(アルファ1)を形成する複数のシート(12)のスタックによって形成される。第1の角度セクタ(アルファ1)は、その直径が複数のノッチ(2)と複数の歯(4)との交互配置により形成される円筒形キャビティ(3)を部分的に画定する。上記複数のノッチ(2)は、回転する固定子の磁界を生成するための3つの電気コイルを受け入れるように意図され、上記複数の歯は、交互配置される狭い角度幅と広い角度幅とを有する。上記「広い」角度幅は、「狭い」角度幅の2倍よりも大きい。角度幅は、モータの回転中心から、および複数の歯(4)の端部との接線において考慮される。
【0020】
残りの180度の円弧(アルファ2)にわたって延在する第2のセクタは、その直径が複数のノッチ(2)と複数の歯(4)との交互配置により形成される上記円筒形キャビティ(3)を部分的に画定する。上記複数のノッチ(2)は、いかなる電気コイルも受け入れず、上記複数の歯は、交互に狭い角度幅と広い角度幅とを有する。上記「広い」角度幅は、「狭い」角度幅の2倍よりも大きい。角度幅は、モータの回転中心から、および複数の歯の端部(4)との接線において考慮される。
【0021】
図2aおよび
図2bは、本発明に係るギアモータの三相モータの歯12個を備えた固定子の第2の実施例を示す。この固定子(1)は、約180度(数度以内の精度、回転中心からの角度)にわたって延在する第1の角度セクタ(アルファ1)を形成する複数のシート(12)のスタックによって形成される。第1の角度セクタ(アルファ1)は、その直径が複数のノッチ(2)と複数の歯(4)との交互配置により形成される円筒形キャビティ(3)を部分的に画定する。上記複数のノッチ(2)は、回転する固定子の磁界を生成するための3つの電気コイルを受け入れるように意図され、上記複数の歯は、一定の角度幅を有する。上記角度幅は、多くとも複数のノッチの角度幅に等しい。角度幅は、モータの回転中心から、および複数の歯(4)の端部との接線において考慮される。
【0022】
残りの180度の円弧(アルファ2)にわたって延在する第2のセクタは、その直径が複数のノッチ(2)と複数の歯(4)との交互配置により形成される上記円筒形キャビティ(3)を部分的に画定する。上記複数のノッチ(2)は、いかなる電気コイルも受け入れず、前記複数の歯は一定の角度幅を有する。上記角度幅は、多くとも複数のノッチの角度幅に等しい。角度幅はモータの回転中心から、および複数の歯(4)の端部との接線で考慮される。
【0023】
図1a、1bまたは2a、2bに係る固定子は特に、後者の完了後に電気コイル(5)を固定子上で摺動させることを可能にする。
【0024】
図3aおよび
図3bは、本発明に係るギアモータの三相モータの歯12個を備えた固定子の第3の実施例を示す。この固定子(1)は、約180度(数度以内の精度、回転中心からの角度)にわたって延在する第1の角度セクタ(アルファ1)を形成する複数のシート(12)のスタックによって形成される。第1の角度セクタ(アルファ1)は、その直径が複数のノッチ(2)と複数の歯(4)との交互配置により形成される円筒形キャビティ(3)を部分的に画定する。上記複数のノッチ(2)は、回転する固定子の磁界を生成するための3つの電気コイルを受け入れるように意図され、上記複数の歯は、一定の角度幅を有する。上記角度幅は、キャビティ(3)に向かってより広く、かつ複数のノッチの角度幅に少なくとも等しい複数の磁極ヘッドによって形成される。角度幅は、モータの回転中心から、および複数の歯(4)の端部との接線において考慮される。
【0025】
残りの180度の円弧(アルファ2)にわたって延在する第2のセクタは、その直径が複数のノッチ(2)と複数の歯(4)との交互配置により形成される上記円筒形キャビティ(3)を部分的に画定する。上記複数のノッチ(2)は、いかなる電気コイルも受け入れず、上記複数の歯は、一定の角度幅を有する。上記角度幅は、キャビティ(3)に向かってより広く、かつ複数のノッチの角度幅に少なくとも等しい複数の磁極ヘッドによって形成される。角度幅は、モータの回転中心から、および複数の歯(4)の端部との接線において考慮される。
【0026】
図3aおよび
図3bのこの最後の実施形態では、複数のコイル(5)が複数の歯(4)に直接巻き付けられなければならない。
【0027】
種々の
図1c~1e、2c~2e、および3c~3eは、種々のコイル(5)が複数のノッチ(2)において複数の歯(4)上に配置され、加えて回転子(6)が上記キャビティ(3)の内側に配置された状態の、上述の固定子に関連する完全なモータを示す。複数のコイル(5)の幅は、複数の歯(4)の端部の幅の関数としての複数のノッチ(2)の幅に依存する。回転子(6)はN磁極およびS磁極の4つの交互配列(4組の磁極対、または4つのN-S振動を参照されたい)を有する多磁極磁石(11)を備える。各磁極は、出ていく/入ってくる半径方向磁化、または内向き/外向きの一方向磁化、または磁極タイプの磁化、または磁化された磁極の交互配列を実行する任意の既知の磁化を提示することができる。これらの磁石はここでは、減速ギア列を駆動するためのピニオン(8)を支持する、典型的には射出プラスチック製の非磁性支持体(7)によって支持されている。ピニオン(8)は好ましくは支持体(7)の材料と同じ材料で作られ、好ましくは注入中に同時に作られるが、これに限定されない。
【0028】
図1d、
図2dおよび
図3dに示すように、回転子は好ましくは、モータの軸方向の全長を不利にすることなく、複数の磁石によって生成され複数のコイル(5)によって収集される磁束密度を最大にするために、固定子(1)の複数のシート(12)の軸方向高さよりも大きい。複数のコイル接続部(5)は、複数の圧入型接点(9)または複数のラグ(10)のいずれかを用いてプリント回路(図示せず)に実装され、適切な接点にはんだ付けまたは挿入される。
【0029】
図4は、本発明に係るギアモータによって得られる典型的な性能を示すグラフである。
図4は、指標(A)によれば、および、5組の磁極対を有するモータを有するギアモータと比較する指標(B)によれば、複数のコイルに(ここでは、コイル当たり200アンペアターンの振幅を有する正弦波型の制御による)可変電流が供給されたとき、回転子に働く半径方向の力に関して示している。
図4は、回転子が中心にあるとき、指標(0)を、X方向およびY方向に偏心+0.035mm、すなわち、0.05mmの総偏心を有するとき、指標(+)を、あるいはこれらの同じ方向に-0.035mmだけオフセットされているとき、指標(-)を示している。
【0030】
中心に配置された回転子を有する従来技術のギアモータ(指標(B0))において、回転子の回転中、半径方向の力の振幅は円を描き、Xに沿って-1Nから+0.75Nまで、Yに沿って-0.25Nから約1.75Nまで変化する。同じ寸法および同じ使用条件において、本発明に係るギアモータ(指標(A0))では、半径方向の力の振幅は楕円を描き、Xに沿って-0.5Nから+0.25Nまで、ほぼYに沿って0.4Nから1.4Nまで変化する。すなわち、半径方向の力の振動の著しい低下を示す。
【0031】
回転子が偏心するとき、これらの変動は、
図4に示されるように、先行技術と比較して本発明に係るギアモータについてさらに低減され、このソリューションのより大きなロバスト性を実証する。実際、+0.035mmの偏心率(指標(B+))で、従来技術に係るモータは、最大の力の変動を経験し、円を描く半径方向の力の振幅は、Xに沿って-0.9Nから+1.35Nまで、およびほぼYに沿って0.0Nから2.4Nまで変化する。同じ条件下で、本発明に係るモータ(指標(A+))は半分の力の変動を示す。
【0032】
図5a、
図5bおよび
図5cは、本発明に係るギアモータに使用されるモータの代替実施形態を示している。このモータは、固定子(1)がここでは等しい幅の12個の歯(4)を有し、回転子が4組の磁極対を有している状態で、相あたり2つのコイルを有し、全部で6つのコイル(5A、5B、5C)を有する。指標A、B、およびCは各相を指す。これらは、互いに30°機械的に離間されている、すなわち、30°×4=120°電気的に離間されている。相に属する2つのコイルは互いに90°機械的に離間しているので、90°×4=360°=0°電気的に離間している。
【0033】
図6aおよび
図6bは、
図5a、
図5bおよび
図5cに示すモータ変形例の固定子(1)の2つの分離図である。それらは、複数のノッチ(2)に複数の電気コイルが搭載されている角セクタアルファ1と、コイルが搭載されていない角セクタアルファ2とを評価することを可能にする。この実施例では、12個の歯(4)は全て同一であり、真っ直ぐであり、多くともノッチ幅と等しい角度幅を有する。
図1bおよび
図3bを参照して図示し説明した歯幅も可能である。種々の丸いマーク(13)は、複数のシートのスタック(12)のステープル留めに関する。種々の穴(14)は、モータをギアモータ内に、またはモータが使用される適用内に位置決めし、固定するために使用される。複数の歯(4)の側面に存在する複数の隆起部(15)は、上記複数の歯(4)へのコイルの挿入中および挿入後に複数のコイルを保持および拘束する役割を果たす。これらの複数の隆起部(15)は、例えばスタンピングによって、それらの製造中にシートスタック上に直接的に製造される。
【0034】
図7a、
図7bおよび
図7cは、本発明に係るギアモータに使用されるモータの別の代替実施形態を示している。このモータは、固定子(1)がここでは等しい幅の24個の歯(4)を有し、回転子が8組の磁極対を有している状態で、相あたり2つのコイルを有し、全部で6つのコイル(5A、5B、5C)を有する。指標A、B、およびCは各相を指す。これらは、互いに15°機械的に離間されている、すなわち、15°×8=120°電気的に離間されている。相に属する2つのコイルは互いに90°機械的に離間しているので、90°×8=720°=0°電気的に離間している。
【0035】
図8aおよび
図8bは、
図7a、
図7bおよび
図7cに示すモータ変形例の固定子(1)の2つの分離図である。それらは、複数のノッチ(2)に複数の電気コイルが搭載されている角セクタアルファ1と、コイルが搭載されていない角セクタアルファ2とを評価することを可能にする。この実施例では、24個の歯(4)は全て同一であり、真っ直ぐであり、多くともノッチ幅と等しい角度幅を有する。
図1bおよび
図3bを参照して図示し説明した歯幅も可能である。種々の丸いマーク(13)は、複数のシートのスタック(12)のステープル留めに関する。種々の穴(14)は、モータをギアモータ内に、またはモータが使用される適用内に位置決めし、固定するために使用される。複数の歯(4)の側面に存在する複数の隆起部(15)は、上記複数の歯(4)へのコイルの挿入中および挿入後に複数のコイルを保持および拘束する役割を果たす。これらの複数の隆起部(15)は、例えばスタンピングによって、それらの製造中にシートスタック上に直接的に製造される。
【0036】
図9a~
図9dは、本発明に係るギアモータの第1の実施形態を示す。使用するモータは、
図1c~
図1eに示すものと同一である。後者はバルブ本体(16)上に設置され、モータをバルブ本体(16)の縁にできるだけ近づけて配置し、かくして磁石(11)/回転シャフト(17)の中心距離を増大させ、従って、ギア列(18)の減速ステージ上のレバーアームを歯車(19)によってここに形成するために、バルブの回転シャフト(17)の側面にセクタアルファ1は対向する。この歯車(19)は、パイプ(22)を閉じるフラップ(21)を支えてシャフト(17)に固定される。ギアモータのボックス(23)は、ここでは弁本体(16)の一体部分である。しかしながら、ギアモータのボックス(23)は、必要に応じて後者とは別の要素とすることができる。ギアモータは、ボックス(23)にねじ込まれたカバー(20)によって閉じられている。このギアモータは、通常、自動車内の流体を計量するために使用される。
【0037】
図10aおよび
図10bは、本発明に係るギアモータの第2の実施形態を示す。使用するモータは、
図1c~
図1eに示すものと同一である。後者は、出力シャフト(17)を動かす多数の減速ステージとして形成される4つの中間車輪からなるギア列(18)を収容するボックス(23)内に設置される。セクタアルファ1は、ギア列(18)の配置のための空間を自由にするために、ボックス(23)の壁側に配置され、軸方向にコンパクトなギアモータを製造することを目的とする。ボックス(23)は、カバー(図示せず)によって閉鎖され、意図された適用に取り付けられる作動モジュールを生成するように意図されている。ここでギアモータは、
図1dに記載されている複数の圧入要素(9)を介してモータコイルが接続されるプリント回路(24)を備えている。このプリント回路(24)は特に、電気モータを制御するために必要な電子素子を含む。ボックス(23)はまた、ボックス(23)を外部電源に接続するためのコネクタ(25)を備え、位置、使用診断などの情報の通信も可能にする。
【0038】
図11は、本発明に係るギアモータの第3の実施形態を示す。使用するモータは、
図1c~1eに示すものと同一である。後者は、回転子(6)に固定され、ネジ棒(27)に結合されるウォーム(26)から成るギア列(18)に結合されている。後者は、固定ナット(28)によって案内され、制御部材(30)に固定された可動ナット(29)を駆動する。セクタアルファ1は、ネジ棒(27)の軸方向の下に部分的に配置されている。次いで、製造されたギアモータアセンブリは、適用内に搭載されるボックス(図示せず)に一体化されることが意図される。
【0039】
図12では、回転子(6)の代替実施形態が示されており、
図1aのものと同様の固定子に結合している。この回転子は、軟強磁性ヨーク(31)に埋設された複数の磁石(7)を有する。この実施形態は、場合によっては回転子の磁束を増大させ、また製造コストを低減することを可能にする。この回転子は、当該分野における最新技術の教示に従って寸法決めされる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1a】本発明に係るギアモータの様々な固定子の孤立した斜視図である。
【
図1c】
図1aの固定子を用いた電気モータの斜視図である。
【
図2a】本発明に係るギアモータの様々な固定子の孤立した斜視図である。
【
図2c】
図2aの固定子を用いた電気モータの斜視図である。
【
図3a】本発明に係るギアモータの様々な固定子の孤立した斜視図である。
【
図3c】
図3aの固定子を用いた電気モータの斜視図である。
【
図5a】本発明に係るギアモータに属するモータの別の実施形態の斜視図である。
【
図5b】本発明に係るギアモータに属するモータの別の実施形態の側方から見た図である。
【
図5c】本発明に係るギアモータに属するモータの別の実施形態の上方から見た図である。
【
図6b】
図5a~
図5cの実施形態の固定子の上方から見た分離図である。
【
図7a】本発明に係るギアモータに属するモータの別の実施形態の斜視図である。
【
図7b】本発明に係るギアモータに属するモータの別の実施形態の側方から見た図である。
【
図7c】本発明に係るギアモータに属するモータの別の実施形態の上方から見た図である。
【
図8b】
図7a~
図7cの実施形態の固定子の上方から見た分離図である。
【
図9a】
図1c~
図1eに示すようなモータを用いた、本発明に係るギアモータの一実施例を示す、カバー無しの上面図である。
【
図9b】
図1c~
図1eに示すようなモータを用いた、本発明に係るギアモータの一実施例を示す、カバー無しの上面図である。
【
図9c】
図9aおよび
図9bのギアモータと同じ実施例の、カバー有りの斜視図である。
【
図9d】
図9aおよび
図9bのギアモータと同じ実施例の、カバー無しの斜視図である。
【
図10a】本発明に係るギアモータの第2の実施例の上面図である。
【
図10b】本発明に係るギアモータの第2の実施例の斜視図である。
【
図11】本発明に係るギアモータの第3の実施例の斜視図である。
【
図12】本発明に係るギアモータに属するモータの回転子の代替の実施形態の上面図である。