IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジボダン エス エーの特許一覧

特許7628092有機化合物におけるまたはこれに関する改善
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】有機化合物におけるまたはこれに関する改善
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/15 20060101AFI20250131BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20250131BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20250131BHJP
   A61K 8/30 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
G01N33/15 Z
G16H50/30
A61Q13/00 101
A61K8/30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021577370
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2020062178
(87)【国際公開番号】W WO2020165463
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】1909221.2
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリエール,トマ
(72)【発明者】
【氏名】ブルックス,ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】コンタリス,イオアンニス
(72)【発明者】
【氏名】マギー,クリストファー ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】プレイデル-ピアース,クリストファー
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/206297(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0063604(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/15
G01N 33/46-33/98
G06Q 50/22
G16H 50/30
A61Q 13/00
A61K 8/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象のウェルビーイング(well-being)に対する試験香料組成物の影響を、以下のステップを実施することによって評価する方法:
1) 試験香料組成物の不在における基本のウェルビーイング得点を、1人以上のヒト対象(単数または複数)に、試験香料組成物の不在における複数のウェルビーイング属性を得点化させて得られた各ウェルビーイング属性の得点に対応する重みを乗じて積(product)を出すことおよびすべてのウェルビーイング属性についてのこれらの積を合計することによって、計算すること;
i. ここで、ウェルビーイング属性は、「不安ではない」、「悲しくない」、「せわしなくない」、「いらいらしていない」、「ストレスを受けていない」、「幸せである」、「楽観的である」、「わくわくしている」、「満たされている」、「やる気がある」、「元気がある」、「興味津々である」、「退屈ではない」、「疲れていない」、「精神的に機敏である」、「穏やかである」、「落ち着いている」、および「忍耐力がある」を包含し;ならびに
ii. ここで、各ウェルビーイング属性は、重みを有する;
2) 試験香料組成物でのウェルビーイング得点を決定するために、試験香料組成物の存在下でステップ1)を繰り返すこと;ならびに
3) 試験香料組成物でのウェルビーイング得点から基本のウェルビーイング得点を減じることによって、ウェルビーイングに対する試験香料組成物の影響を決定すること。
【請求項2】
ウェルビーイング属性の重みが、以下のとおりである、請求項1に記載の方法:
【表1】
【請求項3】
ヒト対象のウェルビーイングを増強させるための香料組成物を調製するまたは最適化する方法であって、方法が、以下のステップ:
1~3) 請求項1または2に記載の方法に従って、ヒト対象のウェルビーイングに対する1以上の香料組成物(単数または複数)の影響を決定すること;および
4) ウェルビーイングに対して肯定的な影響を伴う香料組成物を選択すること、
を含む、前記方法。
【請求項4】
以下のステップ:
5) ウェルビーイングに対して肯定的な影響を有するそれらの香料組成物において、存在する香料成分を比較すること;
6) それらの香料組成物に共通する匂い属性を同定すること;および
7) ステップ6)において同定された匂い物質を伴う香料成分の増大した割合を伴う、新しい香料組成物を創作すること、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ7)において、「シトラス-マンダリン」、「シトラス-オレンジ」、「フローラル-オレンジフラワー」、「動物性-糞」、「フローラル-メディシナル」、「フルーティ-砂糖漬果実」、「スパイシー-シナモン」、「スイート-トンカ」、「シトラス-ライム」および「スパイシー-クローブ」からなる群から選択される匂い属性を有する1以上の香料成分(単数または複数)の割合が増大される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも3つの群からの香料成分を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法で調製されたまたは最適化されたヒト対象のウェルビーイングを増強させるための香料組成物であって、各群が各々異なる匂い属性を有し、ここで、群の匂い属性が、「シトラス-マンダリン」、「シトラス-オレンジ」、「フローラル-オレンジフラワー」、「動物性-糞」、「フローラル-メディシナル」、「フルーティ-砂糖漬果実」、「スパイシー-シナモン」、「スイート-トンカ」、「シトラス-ライム」および「スパイシー-クローブ」からなる群から選択され、
前記香料組成物は、
- 0.1~25重量%の濃度における「シトラス-オレンジ」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- 0.05~5重量%の濃度における「シトラス-ライム」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- 0.05~5重量%の濃度における「シトラス-マンダリン」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- 0.05~1重量%の濃度における「スイート-トンカ」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- 0.01~1重量%の濃度における「フルーティ-砂糖漬果実」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- 0.01~1重量%の濃度における「フローラル-オレンジフラワー」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- 0.01~1.0重量%の濃度における「フローラル-オレンジメディシナル」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- 0.005~0.7重量%の濃度における「スパイシー-クローブ」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- 0.005~0.07重量%の濃度における「動物性-糞」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- 0.0001~0.05重量%の濃度における「スパイシーシナモン」の匂い属性を有する1以上の香料成分、
を含む、前記香料組成物。
【請求項7】
ORANGE OILSおよびORANGE RECONSTITUTIONSORANGE OIL COLORLESS、ORANGE OIL CONCENTRATED、ORANGE ESSENCE、ORANGE TERPENE、BIGARADE PHASE OIL、TANJELO OIL、天然オレンジカルボニルおよびアルデヒド、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「シトラス-オレンジ」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- CYMENE PARA(4-メチル-1-イソプロピルベンゼン)、CEDRAT OIL、CITRATHAL R(1,1-ジエトキシ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン)、DELTA-3-CARENE(3,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]へプタ-3-エン)、DIPENTENE(1-メチル-4-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキサ-1-エン)、ELEMI OIL、BENZYL BENZOATE中50%ELEMI RESINOID、LEMON GREEN PHASE OIL、LIME DIENES、LIME OIL DISTILLED、LIME OIL EXPRESSED、LIME OXIDE、LIME TERPENE RECONSTITUTION、OCIMENE((E)-3,7-ジメチルオクタ-1,3,6-トリエン)、TERPINENE ALPHA(1-メチル-4-プロパン-2-イルシクロヘキサ-1,3-ジエン)、TERPINENE GAMMA(1-メチル-4-プロパン-2-イルシクロヘキサ-1,4-ジエン)、TERPINEOL(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-2-プロパノール)およびTERPINOLENE(1-メチル-4-プロパン-2-イリデンシクロヘキセン)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「シトラス-ライム」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- CLEMENTINE OIL、DIMETHYL ANTHRANILATE(メチル2-メチルアミノベンゾアート)、MANDARIN OIL、MANDARIN OIL COLORLESS、MANDARIN GREEN OIL、MANDARIN YELLOW OIL、MANDARIN PHASE OIL、TAMARINE OIL、TAMARINE RECONSTITUTIONS、TANGERINE OIL、TANGERINE RECONSTITUTION、TANGERINOL((E)-6,10-ジメチルウンデカ-5,9-ジエン-2-イルアセタート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される「シトラス-マンダリン」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- BICYCLO NONALACTONE(3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロクロメン-2-オン)、COUMARIN(クロメン-2-オン)、およびTOLYL ALDEHYDE PARA(4-メチルベンズアルデヒド)、COUMARIN RECONSTITUTION、FLOUVE OIL、FLOUVE RECONSTITUTION、HAY OIL、HAY ABSOLUTE、KOUMALACTONE(3,6-ジメチル-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-3H-ベンゾフラン-2-オン)、MARSHALLOW ABSOLUTE、MATE ABSOLUTE、MATE RECONSTITUTION、METHYL OCTALACTONE(5-ブチル-4-メチルオキソラン-2-オン)、TONKAROSE((E)-デカ-9-エン-1-イル3-(2-ヒドロキシフェニル)アクリラート)、SESAME ROASTED ABSOLUTE、TOBACCO LEAF ABSOLUTE、TONKA ABSOLUTE、TONKA ABSOLUTE COLORLESS、TONKA BEAN OIL、ACETANISOLE(1-(4-メトキシフェニル)エタノン)、ACETOPHENONE EXTRA(1-フェニルエタノン)、ANISIC ALDEHYDE(4-メトキシベンズアルデヒド)、ANISYL ALCOHOL((4-メトキシフェニル)メタノール)、AUBEPINE PARA CRESOL(4-メトキシベンズアルデヒド)、DIMETHYL HYDROQUINONE CRYSTALS(1,4-ジメトキシベンゼン)、HELIOTROPINE CRYSTALS(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルバルデヒド)、HYDRATROPIC ALDEHYDE(2-フェニルプロパナール)、METHYL ACEOPHENONE(1-(p-トリル)エタノン)、MIMOSA ABSOLUTE、VERATRYL ALDEHYDE(3,4-ジメトキシベンズアルデヒド)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「スイート-トンカ」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- CRISTALON(エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート)、GIVESCONE(エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシラート)、DAMASCENONE((E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン)、DAMASCONE ALPHA((E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ブタ-2-エン-1-オン)、DAMASCONE BETA((E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)ブタ-2-エン-1-オン)、DAMASCONE DELTA(1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)ブタ-2-エン-1-オン、およびPOMAROSE((2E,5Z)-5,6,7-トリメチルオクタ-2,5-ジエン-4-オン)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「フルーティ-砂糖漬果実」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含み;および/または
- ORANGE FLOWER RECONSTITUTIONS、METHYL ANTHRANILATE(メチル2-アミノベンゾアート)、ORANGER CRYSTALS(1-ナフタレン-2-イルエタノン)、JASMIN SAMBAC OIL、およびそれらの混合物からなる群から選択される「フローラル-オレンジフラワー」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- YARA YARA(2-メトキシナフタレン)、CRESYL METHYL ETHER PARA(1-メトキシ-4-メチルベンゼン)、ETHYL BENZOATE、ETHYL SALICYLATE、METHYL BENZOATE、METHYL SALICYLATE、TEBERUSE FLOWER RECONSTITUTIONS、およびそれらの混合物からなる群から選択される「フローラル-メディシナル」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- EUGENYL ACETATE((2-メトキシ-4-プロパ-2-エニルフェニル)アセタート)、ACETYL ISOEUGENOL(2-メトキシ-4-プロパ-1-エン-2-イルフェノールアセタート)、粗製の、無色および精留CLOVE LEAF OIL、DIHYDRO EUGENOL(2-メトキシ-4-プロピルフェノール)、EUGENOL(2-メトキシ-4-プロパ-2-エニルフェノール)、およびISO EUGENOL(2-メトキシ-4-プロパ-1-エン-2-イルフェノール)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「スパイシー-クローブ」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- INDOLEおよびINDOLENE(8,8-ビス(1H-インドール-3-イル)-2,6-ジメチルオクタン-2-オール)、INDOFLOR(4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ジオキシン)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「動物性-糞」の匂い属性を有する1以上の香料成分;および/または
- CINNAMIC ALDEHYDE(3-フェニルプロパ-2-エナール)、CINNAMALVA((E)-3-フェニルプロパ-2-エンニトリル)、CINNAMON BARK OIL;METHYL CINNAMIC ALDEHYDE((Z)-2-メチル-3-フェニルアクリルアルデヒド)、およびそれらの混合物からなる群から選択される「スパイシーシナモン」の匂い属性を有する1以上の香料成分、
を含む、請求項6に記載の香料組成物。
【請求項8】
CITRONELLOL(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール)、DECALACTONE GAMMA(5-ヘキシルオキソラン-2-オン)、GARDENOL(1-フェニルエチルアセタート)、HEXENOL-3-CIS((Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール)、IONONE BETA(4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン)、LINALOOL(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール)、LINALYL ACETATE(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オールアセタート)およびPEACH PURE(5-へプチルオキソラン-2-オン)からなる群から選択される、少なくとも5の香料成分;または、
CITRONELLOL(5-へプチルオキソラン-2-オン)、ETHYLENE BRASSYLATE(1,4-ジオキサシクロへプタデカン-5,17-ジオン)、BENZYL ACETATE、HEDIONE(メチル3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタンアセタート)、LINALLOL(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール)、ISO E SUPER(1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-2-イル)エタノン)、PHENYL ETHYL ALCOHOL、ETHYL VANILLIN、およびVANILLINからなる群から選択される、少なくとも5の香料成分
との組み合わせにおいてINDOLEを含む、請求項6または7に記載の香料組成物。
【請求項9】
CITRONELLOL(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール)、GARDENOL(1-フェニルエチルアセタート)、HEXENYL-3-CIS ACETATE((Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール)、IONONE BETA((4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン)、LINALOOL(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール)、LINALYL ACETATE(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オールアセタート)、およびPEACH PURE(5-へプチルオキソラン-2-オン)からなる群から選択される、少なくとも5の香料成分との組み合わせにおいてDAMASCENONEを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の香料組成物。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか一項に記載の香料組成物と好適なベースとを含む、消費者製品。
【請求項11】
請求項6~9のいずれか一項に記載の香料組成物の、ヒト対象のウェルビーイングを増強させるための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ヒト対象のウェルビーイングに対する香料組成物の影響を測定する方法に、ウェルビーイングを増強させる香料組成物を調製するまたは最適化する方法に、ウェルビーイングを増強させる香料組成物に、ならびに香料組成物を含有する消費者製品に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ウェルビーイング(または、より正確には「主観的ウェルビーイング」)は、一般に人々が簡単には説明できない複雑な概念である。ほとんどの人々は単純に、ウェルビーイングを、幸せの気持ちまたはおそらく落ち着きと同一視しているだろう。学術的文献において時として使用されるウェルビーイングのより正確な定義は、人による彼または彼女の人生の情動的および認知的評価としてのウェルビーイングを指している。この定義において、所謂「情動的」要素は、人の気分および感情を指す。経験した気分および感情が心地良い(例として、喜び、高揚、愛情、等)ときには肯定的情動が生じ、一方で経験した気分および感情が不快である(例として、罪悪、怒り、恥、等)ときには情動は否定的であると考えられる。心理学的には、情動的バランスが、肯定的情動が否定的情動を上回るようなときに、人は幸せの気分を経験する。
主観的ウェルビーイングの他の重要な要素(所謂「認知的」要素)は、広域的観点(例として、人生全体)、ならびに人間関係、人生設計(the control one has over one’s life)、目的意識およびその類似物における満足のの意味などでの狭域的観点の両方における、人による彼または彼女の人生満足度の評価を指す。
【0003】
ウェルビーイングは大抵、自己申告の方法を、典型的には質問票の形態のものを使用して測定される。
回答者は、一連の質問がされ、その各々は、ウェルビーイングの情動的または認知的要素に対する効果を有すると考えられる異なる主観的状態に関係がある測定基準に関する。これは、主観的ウェルビーイング、例として、悲しみ、疲労、忍耐、苛立ち等に対する肯定的または否定的影響を有する主観的状態を包含し得る。例として、「あなたは悲しいですか?」という型の各質問について、回答者は、例として、あまり該当しない、から、非常に該当する、までの、極端間の評定尺度上で各主観的状態の該当性を評定するように求められる。回答者の回答データを統計分析に供することによって、ウェルビーイングを定量化することが可能である。このように、多くの指標がウェルビーイングおよび関係がある概念を測定するために開発されている。しかしながら、どの質問を聞くべきかを知ることは、かかる測定技法の信頼性に有意に影響を及ぼし得る。
【0004】
主観的ウェルビーイングを測定または評定する信頼し得る手段は、ウェルビーイングパラメータに付随する経済的、政治的および社会学的重要性のために、20世紀後半から強く所望されている。ウェルビーイングもまた、より最近、ランドリーケア、ハウスホールドケア、およびパーソナルケア製品などの、消費者製品の開発および商業化における設計パラメータとして、重要性が増大していると推測されている。これらの製品の製造業者は、現代の消費者が彼らの購入する製品から感情的体験を求めていること、ならびに、彼らが個人的なつながりを感じるブランドおよび彼らに健康とウェルビーイングの感覚を提案するブランドに彼らがとくに興味があることを認識している。
香料は、消費者製品企業によって、心地良くとても好まれる匂いを彼らの製品に付与するために幅広く採用され、これは消費者の好みを促進してこの理由によって購買決定に影響を与えるものである。
【0005】
しかしながら、競争の激化する市場において、単なる好みでは、1のブランドをその競合物に対して差別化するのに充分でないことが多い。結果的に、彼らの製品の市場取引において、消費者製品企業は、広範囲な製品利益に頻繁に言及しており、それは典型的には多様な広告キャンペーンを通じて、ならびに彼らの製品のパッケージングおよびラベリング上で伝えられ、それらは共に彼らのブランディング戦略の重要な部分を形成する。新しい差別化効果は常に探し求められており、および香料はしばしばそれらの効果を達成する手段として採用されてきた。例えば、香料は、化粧品効果、衛生効果、悪臭緩和効果等に関連し得る、実際のまたは認識される機能的効果を創るために採用されてきた。
【0006】
その機能的効果に加えて、匂いは、ヒト対象における感情的反応を引き出すことが知られている。ヒトの感情に対する匂いの一時的に有益な心理学的効果は学術的文献において広く研究されている。例えば、ヒト対象の情動的(すなわち感情的)体験に対する匂いの効果は、C. Chrea et al. (2009), “Mapping the semantic space for the subjective experience of emotional responses to odours”, Chemical Senses, 34 (2009) 49-62およびS. Delplanque et al. “How to map the affective semantic space of Scents”, Cognition & Emotion 26(5) (2012) 885-898によって研究されている。とりわけ、これらの論文は、質問票の形態における言語的測定方法を記載し、ここで、測定期間は、香り付きおよびフレーバー付き製品から発生する匂いによって誘発される様々な気分および感情を差別化することが可能であるように選択される。しかしながら、これらの論文において、ウェルビーイングの認知的側面は、過小評価されており、および嗅覚的機能に関連する記憶的側面に限定されている。
【0007】
特許文献もまた、心地良い気分の状態(例えば、2008/050086 A1を参照)および睡眠の質(WO 2016/146673 A1を参照)を創るように具体的に設計される消費者製品用の香料組成物を記載する。しかしながら、これらの先行技術文献のすべてが、包括的概念としてのウェルビーイングの情動的および認知的側面の両方を実際に取り上げることなく、ウェルビーイングの個別の感情的側面(例として、幸せまたは睡眠の質)のみに触れている。
よって、ヒト対象の主観的ウェルビーイングに対する香料組成物の効果を測定する方法、ならびにヒト対象のウェルビーイングを増強させる香料組成物を調製するまたは最適化する方法を提供する必要性が未だにある。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
第1の側面において、本発明は、ヒト対象のウェルビーイングに対する試験香料組成物の影響を評価する方法であって、方法が、以下のステップ:
a) 1人以上のヒト対象(単数または複数)に、複数のウェルビーイング属性を得点化させることによって、試験香料組成物の不在における彼らのウェルビーイングを評価させること;
i) ここで、ウェルビーイング属性は、「不安ではない」、「悲しくない」、「せわしなくない」、「いらいらしていない」、「ストレスを受けていない」、「幸せである」、「楽観的である」、「わくわくしている」、「満たされている」、「やる気がある」、「元気がある」、「興味津々である」、「退屈ではない」、「疲れていない」、「精神的に機敏である」、「穏やかである」、「落ち着いている」、および「忍耐力がある」を包含し;ならびに
ii) ここで、各ウェルビーイング属性は、重みを有する;
【0009】
b) 試験香料組成物の不在における基本のウェルビーイング得点を、各ウェルビーイング属性の得点に対応する重みを乗じて積を出すことおよびすべてのウェルビーイング属性についてのこれらの積を合計することによって、計算すること;
c) 試験香料組成物でのウェルビーイング得点を決定するために、試験香料組成物の存在下でステップa)およびb)を繰り返すこと;ならびに
d) 試験香料組成物でのウェルビーイング得点から基本のウェルビーイング得点を減じることによって、ウェルビーイングに対する試験香料組成物の影響を決定すること、
を含む、前記方法を提供する。
【0010】
第2の側面において、本発明は、ヒト対象のウェルビーイングを増強させるための香料組成物を調製するまたは最適化する方法であって、方法が、以下のステップ:
a~d) 上に記載される方法に従って、ヒト対象のウェルビーイングに対する1以上の香料組成物(単数または複数)の影響を評価すること;および
e) ウェルビーイングに対して肯定的な影響を伴う香料組成物を選択すること、
を含む、前記方法を提供する。
【0011】
第3の側面において、本発明は、上に定義される方法に従って調製されるまたは最適化される香料組成物であって、少なくとも3つの群からの香料成分を含み、各群が各々異なる匂い属性を有し、ここで、群の匂い属性が、「シトラス-マンダリン」、「シトラス-オレンジ」、「フローラル-オレンジフラワー」、「動物性-糞」、「フローラル-メディシナル」、「フルーティ-砂糖漬果実」、「スパイシー-シナモン」、「スイート-トンカ」、「シトラス-ライム」および「スパイシー-クローブ」からなる群から;好ましくは、「シトラス-マンダリン」、「シトラス-オレンジ」、「フローラル-オレンジフラワー」、「動物性-糞」、「フローラル-メディシナル」および「フルーティ-砂糖漬果実」からなる群から選択される、前記香料組成物を提供する。
【0012】
第4の側面において、本発明の香料組成物と好適なベースとを含む、消費者製品を提供する。
第5の側面において、本発明は、本発明に従う香料組成物の、ヒト対象のウェルビーイングを増強させるための使用を提供する。
【0013】
発明の詳細な説明
先行技術の欠点を取り上げる際に、本出願人は、実験心理学の測定、消費者試験、および統計分析を採用して、香料組成物とヒト対象のウェルビーイングとの間の関係性についての広範な研究を実行してきた。
より具体的には、本出願人は、ウェルビーイングの概念をウェルビーイングの情動的または認知的要素に対する効果を有する主要属性に細分化する質問票を用いて、ウェルビーイングに対する香料組成物の影響を信頼性をもって評価するための手段を提供する。主要属性は、ウェルビーイングの包括的概念に対する各属性の相対的な重要性を反映するやり方において重み付けされる。
本発明の方法はとくに高感度であり、および香料が標準的な消費者試験技法を使用して試験された場合、好みまたは香料の強さのノイズの下にさもなくば隠れてしまうかもしれないウェルビーイングに関する、検知困難な香料の性能の認識を検知することができる。このように、本発明の方法は、香料組成物の創作者に、所望の香料組成物に到達するために必要とされる設計反復の数を低減させることを可能にする、有用な創作ツールを提案する。
【0014】
ウェルビーイング測定基準は、ウェルビーイングを評価するのに最も関係がある側面(dimension)を同定するために、実験心理学およびウェルビーイングの言語属性の教師無しクラスタリング(unsupervised clustering)を適用することによって定義された。ウェルビーイング属性は、情動的、幸福に関する、社会的、および物理的側面などの、ウェルビーイングの様々な側面を考慮する。これらの側面は、情動的(感情的)および認知的(理性的)構成要素の両方を有してもよい。
【0015】
典型的な言語的ウェルビーイング属性は、例えば、「活動的である」、「冒険心がある」、「怒っている」、「心配している」、「恥じている」、「退屈である」、「穏やかである」、「注意深い」、「明晰である」、「快適である」、「自信がある」、「充足している」、「大胆である」、「落ち込んでいる」、「不愉快である」、「元気がある」、「熱心である」、「わくわくしている」、「恐れている」、「いらいらしている」、「幸せである」、「健康的である」、「衝動的である」、「己の状況をコントロールしている」、「不安定である」、「興味津々である」、「苛立っている」、「孤立している」、「喜んでいる」、「孤独である」、「愛されている」、「精神的に機敏である」、「やる気がある」、「神経質である」、「楽観的である」、「忍耐力がある」、「落ち着いている」、「休まっている」、「せわしない」、「悲しんでいる」、「安全である」、「満たされている」、「自意識がある」、「自尊心がある」、「社会的環境にあるとき社交的である」、「ストレスを受けている」、「サポートされている」、「驚いている」、「脅かされている」、「疲れている」、「不安である」、「脆弱である」、「ウェルビーイング」、「価値がある」または「気掛かりがある」などを包含する。
【0016】
研究の過程において、18の言語属性が、香料組成物の出現に関連するおよび香料品質の変化に関連するウェルビーイング認識の変化に対して、とくに応答性であることが見出された。したがって、これらの属性は、香料がどのようにヒト対象のウェルビーイングに影響し得るかを調査するためにとくに関係する。これらの属性は、以下のとおりである:「不安ではない」、「退屈ではない」、「穏やかである」、「わくわくしている」、「疲れていない」、「いらいらしていない」、「幸せである」、「興味津々である」、「元気がある」、「精神的に機敏である」、「やる気がある」、「楽観的である」、「忍耐力がある」、「落ち着いている」、「せわしない」、「悲しくない」、「満たされている」、および「ストレスを受けていない」。これらの18のウェルビーイング属性は、以降、WB-18属性と称される。
【0017】
驚くべきことに、「恥じている」、「孤立している」、「孤独である」、「愛されている」、「社会的環境にあるとき社交的である」、「サポートされている」、および「価値がある」などの、社会的側面に関連するウェルビーイング属性は、香料組成物の文脈において無関係であることまたは適用できないことが見出された。ゆえに、WB-18属性は、個々人の情動的(感情的)および認知的(理性的)側面の両方を主に考慮している。
【0018】
ウェルビーイング属性の重み付けは、以下のとおり決定される:
a) 1人以上のヒト対象(単数または複数)に、WB-18属性の各々についてウェルビーイング得点wbiを提供させることによって、試験香料組成物の不在における彼らのウェルビーイングを評価させること;
b) 総合的なウェルビーイングに対する各ウェルビーイング属性の影響を決定するために、ステップa)において得られたウェルビーイング得点に対して、因子分析、とりわけ主成分分析を適用し、M個のウェルビーイング因子Fをもたらすこと;
【0019】
i) ここで、ウェルビーイング因子Fjの各々は、すべてのウェルビーイング因子の分散の合計のパーセンテージとして表される分散vjを有する;
ii) ここで、ウェルビーイング因子Fjの各々は、njの負荷量の合計のパーセンテージとして表される負荷量ljを有するウェルビーイング属性の有限数njを含む;および
iii) ここで、ウェルビーイング属性のいずれも、1を超えるウェルビーイング因子において現れない;ならびに
c) 方程式1
【数1】

に従って、試験香料の不在におけるウェルビーイング得点を計算すること。
【0020】
主成分分析は、以下を明らかにした:
- ウェルビーイング属性「不安ではない」、「悲しくない」、「せわしなくない」、「いらいらしていない」、「ストレスを受けていない」は、分散v1を有する第1ウェルビーイング因子F1に関連する;
- ウェルビーイング属性「幸せである」、「楽観的である」、「わくわくしている」、「満たされている」、分散v1「やる気がある」、「元気がある」は、分散v2を有する第2ウェルビーイング因子F2に関連する;
- ウェルビーイング属性「興味津々である」および「退屈ではない」は、分散v3を有する第3ウェルビーイング因子F3に関連する;
- ウェルビーイング属性「疲れていない」および「精神的に機敏である」は、分散v4を有する第4ウェルビーイング因子F4に関連する;
- ウェルビーイング属性「穏やかである」、「落ち着いている」、および「忍耐力がある」は、分散v5を有する第5ウェルビーイング因子F5に関連する;
【0021】
- 分散v1は、すべてのウェルビーイング因子の分散の合計の48%である;
- 分散v2は、すべてのウェルビーイング因子の分散の合計の24%である;
- 分散v3は、すべてのウェルビーイング因子の分散の合計の12%である;
- 分散v4は、すべてのウェルビーイング因子の分散の合計の9%である;
- 分散v5は、すべてのウェルビーイング因子の分散の合計の7%である;
【0022】
さらに、以下のことが見出された、
- 第1ウェルビーイング因子F1のうち、ウェルビーイング属性「不安ではない」の負荷量は22.2%であり、ウェルビーイング属性「悲しくない」の負荷量は21.5%であり、ウェルビーイング属性「せわしなくない」の負荷量は20.5%であり、ウェルビーイング属性「いらいらしていない」の負荷は20.1%であり、およびウェルビーイング属性「ストレスを受けていない」の負荷量は15.7%である;
- 第2ウェルビーイング因子F2のうち、ウェルビーイング属性「幸せである」の負荷量は19.6%であり、ウェルビーイング属性「楽観的である」の負荷量は19.2%であり、ウェルビーイング属性「わくわくしている」の負荷量は17.2%であり、ウェルビーイング属性「満たされている」の負荷量は16.3%であり、ウェルビーイング属性「やる気がある」の負荷量は13.9%であり、およびウェルビーイング属性「元気がある」の負荷量は13.8%である;
【0023】
- 第3ウェルビーイング因子F3のうち、ウェルビーイング属性「興味津々である」の負荷量は51.0%であり、およびウェルビーイング属性「退屈ではない」の負荷量は49.0%である;
- 第4ウェルビーイング因子F4のうち、ウェルビーイング属性「疲れていない」の負荷量は51.0%であり、およびウェルビーイング属性「精神的に機敏である」の負荷量は49.0%である;ならびに
- 第5ウェルビーイング因子F5のうち、ウェルビーイング属性「穏やかである」の負荷量は38.0%であり、ウェルビーイング属性「落ち着いている」の負荷量は32.0%であり、およびウェルビーイング属性「忍耐力がある」の負荷量は30.0%である。
【0024】
したがって、本発明の態様において、各ウェルビーイング属性は、以下の表に従う重みを有する:
【表1】
【0025】
好ましくは、パネリストによって好まれない香料組成物は、これらの香料組成物がウェルビーイングに対する肯定的な評価を生成しそうではないため、評価される試験香料組成物のリストから除外される。残りの試験香料組成物の好みの程度は、予め定義された尺度に従ってなお変動してもよい。例えば、「私は、この香料を少し好む」、「この香料は素敵だ」、「私はこの香料が大好きだ」などの語彙が、好みを定義するために使用されてもよい。好ましくは、好みの強さは、例えば、1(私はそれを極度に嫌う)~9(私はそれを極度に好む)など、好みの連続的な範囲に亘るスライダーボタンを動かすことによって表されてもよい。スライダーは、物理的デバイス、またはバーチャルの、例えば、デジタルタッチスクリーン上などのものであってもよい。
【0026】
同様に、スライダーは、本明細書に上述されたウェルビーイング属性を得点化させるために、有利に使用されてもよい。この場合において、スライダーの動きの根拠となる連続的な尺度は、好ましくは、極めて否定的な得点から極めて肯定的な得点に及ぶ。好ましくは、可変の香料組成物の強さによって誘導される偏りは、すべての試験香料組成物が大体同じ強さまたは強度を有するように、強力な香料組成物を希釈することによって除去される。
ゆえに、本発明の態様において、試験香料組成物の強度を等しくするように注意がなされたとしても、試験香料組成物の強度はヒト対象(単数または複数)によってもまた評価される。
【0027】
同じ強度における一般にとても好まれる複数の香料組成物に対してウェルビーイング評価を実施することによって、驚くべきことに、ウェルビーイングに対する影響の分散は、香料の好みの分散とも、個々のヒト対象によって認識されるとおりの香料の強度の分散とも相関しないことが見出された。これは、例3に示される。よって、ウェルビーイングに対する肯定的な影響は、香料組成物の好みから独立している。これは、決定的な結果であり、当業者によって予測され得なかった。この即時の利点は、消費者研究において、さもなければ見落とされていただろう隠れた機能を解明することが可能になることである。
【0028】
態様において、本発明の方法は、以下のステップ:
f) ウェルビーイングに対して肯定的な影響を有するそれらの香料組成物において存在する香料成分を比較すること;
g) それらの香料組成物に共通する匂い属性を同定すること;および
h) ステップg)において同定された匂い属性を伴う香料成分の増大した割合を伴う、新しい香料組成物を創作すること、
をさらに含む。
【0029】
香料組成物および個々の香料成分は、それらの匂い属性によって特徴付けされてもよい。香料創作は部分的に科学であり部分的に芸術であって、香料組成物および香料成分の匂い属性についての絶対的に規定された定義はないが、それにもかかわらず、熟練した調香者は、いくらかの主観の余地があるだろうことを認知しつつ、香料組成物および成分を一般的な匂い記述子(descriptor)および匂いファミリーに割り当てることができるだろう。
【0030】
匂いファミリーは匂い空間(odour space)の説明を提供し、およびそれらの数は大抵限定される。ゆえに、香料において使用され、および本発明の文脈において具体的に有用である成分のほとんどは、「アルデヒド」、「アンバー」、「動物性」、「芳香性/ハーバル」、「シトラス」、「フローラル」、「フルーティ」、「グリーン」、「ムスク」、「スパイシー」、「スイート」、「ウォータリー」、および「ウッディ」からなる群から選択される少ない一連の匂いファミリーによって説明されてもよい。
【0031】
匂い記述子は、ファミリー内の香料組成物または成分の匂いのより正確な説明を提供する。それらはより豊富であり、およびそれらの数および多様性はしばしば無限である。
本発明の文脈において、匂い記述子の数は、「アルデヒド様」、「アーモンド」、「アンバードライ」、「アンバーグリス」、「アニスタラゴン」、「リンゴ」、「アルモワーズ」、「バルサム」、「バナナ」、「ブラックカラント」、「バター」、「砂糖漬果実」、「キャラウェイシード」、「シーダー」、「シナモン」、「シトロネラ」、「クローブ」、「ココア」、「ココナッツ」、「針葉樹」、「調理済糖」、「コパイバ」、「コリアンダーリーフ」、「キュウリ」、「ユーカリ」、「糞」、「フリージア」、「ガルバナム」、「グレープフルーツ」、「草」、「ヘリオトロープ」、「ジャスミン」、「ラベンダー」、「葉」、「皮」、「レモン」、「リコリス-フェヌグリーク」、「スズラン」、「ライム」、「酒」、「ライチ」、「マンダリン」、「マンゴー」、「メディシナル」、「メロン」、「金属性」、「ミルククリーム」、「糖蜜」、「苔」、「マッシュルーム」、「ムスク」、「ムスクトンキン」、「ナッツ」、「オレンジ」、「オレンジフラワー」、「オリス」、「パッションフルーツ」、「パチュリ」、「モモ」、「洋ナシ」、「ペパーミント」、「パイナップル」、「ラズベリー」、「ルバーブ」、「ローズ」、「ローズマリー」、「サンダルウッド」、「海水」、「ソーラー(solar)」、「イチゴ」、「テルペン性」、「タイム」、「トンカ」、「バニラ」、「ベチバー」、「スミレ」、および「ワックス」からなる、最小限の数の言語的項目に限定されている。
【0032】
匂いファミリーおよび匂い記述子のこの選択は、熟達した調香者に、調香者のパレットに含有されるすべての香料成分の匂いを特徴付けさせることを可能にする。それにもかかわらず、本明細書全体の内容を彼らの一般常識と共に読む熟練した調香者にとって、主観が存在するこの語彙の一部またはすべてを改変することは過度の負担を生じさせず、およびかかる改変はウェルビーイングの認識に肯定的に影響するのに有用な香料成分の選択に影響しないだろう。
【0033】
一連の匂いファミリーおよび記述子は、多次元の匂いスペースの次元に吸収されてもよい。
香料組成物の全体の匂いは、香料組成物に含まれる個々の香料成分の匂い属性の寄与の、重み付けされた合計として表されてもよい。匂いの高次元性のため、主成分分析、多次元尺度(multiple-scaling)、または自己組織化写像(self-organized map)などの統計的方法を適用することによって、この高次元性を低減することが便利であり得る。好ましくは、主成分分析(PCA)が使用される。
本出願人は、今や、ある匂い属性が他のものよりもより肯定的にウェルビーイングに影響すること、および、香料成分の分類が、匂いスペースおよびウェルビーイングの認識に対する影響におけるそれらの位置に従い、可能であることを発見した。
【0034】
とりわけ、「シトラス-マンダリン」、「シトラス-オレンジ」、「フローラル-オレンジフラワー」、「フルーティ-砂糖漬果実」、「フローラル-メディシナル」、および「動物性-糞」などの匂い属性を有する香料組成物はウェルビーイングに対して高度に肯定的な影響を有し、一方で、「スパイシー-シナモン」、「スイート-トンカ」、「シトラス-ライム」、および「スパイシー-クローブ」などの匂い属性を有する香料はあまり機能しないことが見出された。これらの結果はまた、「フローラル-メディシナル」および「動物性-糞」等の匂い属性が、「スパイスシナモン」または「シトラス-ライム」よりもウェルビーイングに対してより肯定的な評価を有すると予測しなかっただろう当業者、とりわけ、評価者および調香者にとって驚くべきものとして考えられ得る。
【0035】
したがって、本発明の一態様において、「シトラス-マンダリン」、「シトラス-オレンジ」、「フローラル-オレンジフラワー」、「動物性-糞」、「フローラル-メディシナル」、「フルーティ-砂糖漬果実」、「スパイシー-シナモン」、「スイート-トンカ」、「シトラス-ライム」および「スパイシー-クローブ」からなる群から選択される匂い属性を有する1以上の香料成分(単数または複数)の;より好ましくは「シトラス-マンダリン」、「シトラス-オレンジ」、「フローラル-オレンジフラワー」、「動物性-糞」、「フローラル-メディシナル」および「フルーティ-砂糖漬果実」からなる群からなる群から選択される匂い属性を有する1以上の香料成分(単数または複数)の割合は、ステップh)において増大される。
【0036】
ゆえに、本発明は、熟達した調香者に、ウェルビーイングの増大を誘導するまたはそれに関連するだろう香料組成物に彼らが迅速に到達しそうであるやり方において、どのように香料組成物を配合するかを教示する。効果は、それらが信頼的かつ再現的に測定され得ることが充分に述べられている。本明細書に開示される教示に従って作られる香料組成物は、快楽的に心地良く、広範囲の消費者製品に好適であり、および付加された機能性を保有していなかったとしても適切であろう充分な快適性/受容性のものであり得る。
【0037】
本発明の方法は、以下:
- 否定性、つまり対象が感じていると報告している心配、悲しさ、せわしなさ、いらいら、および/またはストレスの程度、の低減を促進すること;ならびに/もしくは
- 肯定性、つまり対象が感じていると報告している幸せ、楽観、わくわく、満足、やる気、および/または元気の程度、の増大を促進すること;ならびに/もしくは
- 興味、つまり対象が感じていると報告しているより多くの興味、および/またはより少ない退屈さの程度、の増大を促進すること;ならびに/もしくは
【0038】
- 疲労、つまり対象が感じていると報告しているより少ない疲労、および/またはより多い精神的な機敏性の程度、の減少を促進すること;ならびに/もしくは
- 平穏、つまり対象が感じていると報告している穏やかさ、落ち着き、および/または忍耐力の程度、の増大を促進すること、
によって、ヒト対象のウェルビーイングを増強させる香料組成物の調製または最適化を可能にすることが見出された。
【0039】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって選択されるウェルビーイングを増強させる香料成分を含む香料組成物を提供する。とりわけ、本発明は、熟達した調香者に、以下:
i) ヒト対象におけるウェルビーイングに対して肯定的な影響を有することが見出された香料組成物に含有される香料成分を比較すること;
ii) これらの香料成分に共通する匂い属性を同定すること;および
iii) ステップb)において同定された匂い属性を有する成分の増大した量を含有する、新しい香料組成物を提示すること、
を可能にさせる。
【0040】
本発明は、ウェルビーイングを増強させるための香料組成物であって、少なくとも3つの群からの香料成分を含み、各群が異なる匂い属性を有し、ここで、群の匂い属性が、「シトラス-マンダリン」、「シトラス-オレンジ」、「フローラル-オレンジフラワー」、「動物性-糞」、「フローラル-メディシナル」、「フルーティ-砂糖漬果実」、「スパイシー-シナモン」、「スイート-トンカ」、「シトラス-ライム」、および「スパイシー-クローブ」からなる群から;より好ましくは、「シトラス-マンダリン」、「シトラス-オレンジ」、「フローラル-オレンジフラワー」、「動物性-糞」、「フローラル-メディシナル」、および「フルーティ-砂糖漬果実」からなる群から選択される、前記香料組成物を提供する。
【0041】
本発明の態様において、香料組成物は、0.1~25重量%の、より具体的には0.2~15重量%の、およびさらにより具体的には0.25~10重量%の濃度における「シトラス-オレンジ」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
本発明の態様において、香料組成物は、0.05~5重量%の、より具体的には0.1~3重量%の、およびさらにより具体的には0.12~1.5重量%の濃度における「シトラス-ライム」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
本発明の態様において、香料組成物は、0.05~5重量%の、より具体的には0.1~3重量%の、およびさらにより具体的には0.12~1.5重量%の濃度における「シトラス-マンダリン」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0042】
本発明の態様において、香料組成物は、0.05~1重量%の、より具体的には0.07~0.9重量%の、およびさらにより具体的には0.1~0.75重量%の濃度における「スイート-トンカ」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
本発明の態様において、香料組成物は、0.01~1重量%の、より具体的には0.02~0.9重量%の、およびさらにより具体的には0.03~0.65重量%の濃度における「フルーティ-砂糖漬果実」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
本発明の態様において、香料組成物は、0.01~1重量%の、より具体的には0.025~0.75重量%の、およびさらにより具体的には0.03~0.5重量%の濃度における「フローラル-オレンジフラワー」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0043】
本発明の態様において、香料組成物は、0.01~1.0重量%の、より具体的には0.02~1.0重量%の、およびさらにより具体的には0.035~0.5重量%の濃度における「フローラル-オレンジメディシナル」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
本発明の態様において、香料組成物は、0.005~0.7重量%の、より具体的には0.01~0.5重量%の、およびさらにより具体的には0.02~0.25重量%の濃度における「スパイシー-クローブ」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
本発明の態様において、香料組成物は、0.005~0.07重量%の、より具体的には0.07~0.05重量%の、およびさらにより具体的には0.01~0.030重量%の濃度における「動物性-糞」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0044】
本発明の態様において、香料組成物は、0.0001~0.05重量%の、より具体的には0.001~0.025重量%の、およびさらにより具体的には0.005~0.01重量%の濃度における「スパイシーシナモン」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
本出願を通して、重量パーセントである重量%は、他に指し示されない限り、香料組成物に存在する香料成分の総重量に基づく。
好ましくは、上の群の各々は、仮に存在する場合は、上に指し示された濃度において存在する。
【0045】
本発明の態様において、香料組成物は、ORANGE BRAZIL CRUDE OIL、GRAPEFRUIT OIL、ORANGE OIL、ORANGE BITTER OIL、ORANGE BROOD OILなどの、ORANGE OILSおよびORANGE RECONSTITUTIONS;ORANGE OIL COLORLESS、ORANGE OIL CONCENTRATED、ORANGE ESSENCE、ORANGE TERPENE、BIGARADE PHASE OIL、TANJELO OIL、天然オレンジカルボニルおよびアルデヒド、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「シトラス-オレンジ」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0046】
本発明の態様において、香料組成物は、CYMENE PARA(4-メチル-1-イソプロピルベンゼン)、CEDRAT OIL、CITRATHAL R(1,1-ジエトキシ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン)、DELTA-3-CARENE(3,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]へプタ-3-エン)、DIPENTENE(1-メチル-4-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキサ-1-エン)、ELEMI OIL、ELEMI RESINOID、LEMON GREEN PHASE OIL、KIME DIENES、LIME OIL DISTILLED、LIME OIL EXPRESSED、LIME OXIDE、LIME TERPENE RECONSTITUTION、OCIMENE((E)-3,7-ジメチルオクタ-1,3,6-トリエン)、TERPINENE ALPHA(1-メチル-4-プロパン-2-イルシクロヘキサ-1,3-ジエン)、TERPINENE GAMMA(1-メチル-4-プロパン-2-イルシクロヘキサ-1,4-ジエン)、TERPINEOL(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-2-プロパノール)およびTERPINOLENE(1-メチル-4-プロパン-2-イリデンシクロヘキセン)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「シトラス-ライム」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0047】
本発明の態様において、香料組成物は、CLEMENTINE OIL、DIMETHYL ANTHRANILATE(メチル2-メチルアミノベンゾアート)、MANDARIN OIL、MANDARIN OIL COLORLESS、MANDARIN GREEN OIL、MANDARIN YELLOW OIL、MANDARIN PHASE OIL、TAMARINE OIL、TAMARINE RECONSTITUTIONS、TANGERINE OIL、TANGERINE RECONSTITUTION、TANGERINOL((E)-6,10-ジメチルウンデカ-5,9-ジエン-2-イルアセタート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される「シトラス-マンダリン」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0048】
本発明の態様において、香料組成物は、BICYCLO NONALACTONE(3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロクロメン-2-オン)、COUMARIN(クロメン-2-オン)、およびTOLYL ALDEHYDE PARA(4-メチルベンズアルデヒド)、COUMARIN RECONSTITUTION、FLOUVE OIL、FLOUVE RECONSTITUTION、HAY OIL、HAY ABSOLUTE、KOUMALACTONE(3,6-ジメチル-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-3H-ベンゾフラン-2-オン)、MARSHALLOW ABSOLUTE、MATE ABSOLUTE、MATE RECONSTITUTION、METHYL OCTALACTONE(5-ブチル-4-メチルオキソラン-2-オン)、TONKAROSE((E)-デカ-9-エン-1-イル3-(2-ヒドロキシフェニル)アクリラート)、SESAME ROASTED ABSOLUTE、TOBACCO LEAF ABSOLUTE、TONKA ABSOLUTE、TONKA ABSOLUTE COLORLESS、TONKA BEAN OIL、ACETANISOLE(1-(4-メトキシフェニル)エタノン)、ACETOPHENONE EXTRA(1-フェニルエタノン)、ANISIC ALDEHYDE(4-メトキシベンズアルデヒド)、ANISYL ALCOHOL((4-メトキシフェニル)メタノール)、AUBEPINE PARA CRESOL(4-メトキシベンズアルデヒド)、DIMETHYL HYDROQUINONE CRYSTALS(1,4-ジメトキシベンゼン)、HELIOTROPINE CRYSTALS(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルバルデヒド)、HYDRATROPIC ALDEHYDE(2-フェニルプロパナール)、METHYL ACEOPHENONE(1-(p-トリル)エタノン)、MIMOSA ABSOLUTE、VERATRYL ALDEHYDE(3,4-ジメトキシベンズアルデヒド)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「スイート-トンカ」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0049】
本発明の態様において、香料組成物は、CRISTALON(エチル2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-カルボキシラート)、GIVESCONE(エチル2-エチル-6,6-ジメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボキシラート)、DAMASCENONE((E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン)、DAMASCONE ALPHA((E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-2-エニル)ブタ-2-エン-1-オン)、DAMASCONE BETA((E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)ブタ-2-エン-1-オン)、DAMASCONE DELTA(1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)ブタ-2-エン-1-オン、より具体的には(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)ブタ-2-エン-1-オン)、およびPOMAROSE((2E,5Z)-5,6,7-トリメチルオクタ-2,5-ジエン-4-オン)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「フルーティ-砂糖漬果実」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0050】
本発明の態様において、香料組成物は、ORANGE FLOWER RECONSTITUTIONS、METHYL ANTHRANILATE(メチル2-アミノベンゾアート)、ORANGER CRYSTALS(1-ナフタレン-2-イルエタノン)、JASMIN SAMBAC OIL、およびそれらの混合物からなる群から選択される「フローラル-オレンジフラワー」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0051】
本発明の態様において、香料組成物は、YARA YARA(2-メトキシナフタレン)、CRESYL METHYL ETHER PARA(1-メトキシ-4-メチルベンゼン)、ETHYL BENZOATE、ETHYL SALICYLATE、METHYL BENZOATE、METHYL SALICYLATE、TEBERUSE FLOWER RECONSTITUTIONS、およびそれらの混合物からなる群から選択される「フローラル-メディシナル」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0052】
本発明の態様において、香料組成物は、EUGENYL ACETATE((2-メトキシ-4-プロパ-2-エニルフェニル)アセタート)、ACETYL ISOEUGENOL(2-メトキシ-4-プロパ-1-エン-2-イルフェノールアセタート)、粗製の、無色および精留CLOVE LEAF OIL、DIHYDRO EUGENOL(2-メトキシ-4-プロピルフェノール)、EUGENOL(2-メトキシ-4-プロパ-2-エニルフェノール)、およびISO EUGENOL(2-メトキシ-4-プロパ-1-エン-2-イルフェノール)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「スパイシー-クローブ」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0053】
本発明の態様において、香料組成物は、INDOLEおよびINDOLENE(8,8-ビス(1H-インドール-3-イル)-2,6-ジメチルオクタン-2-オール)、INDOFLOR(4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ジオキシン)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される「動物性-糞」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0054】
本発明の態様において、香料組成物は、CINNAMIC ALDEHYDE(3-フェニルプロパ-2-エナール)、CINNAMALVA((E)-3-フェニルプロパ-2-エンニトリル)、CINNAMON BARK OIL;METHYL CINNAMIC ALDEHYDE((Z)-2-メチル-3-フェニルアクリルアルデヒド)、およびそれらの混合物からなる群から選択される「スパイシーシナモン」の匂い属性を有する1以上の香料成分を含む。
【0055】
本発明の態様において、香料組成物は、CITRONELLOL(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール)、DECALACTONE GAMMA(5-ヘキシルオキソラン-2-オン)、GARDENOL(1-フェニルエチルアセタート)、HEXENOL-3-CIS((Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール)、IONONE BETA(4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン)、LINALOOL(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール)、LINALYL ACETATE(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オールアセタート)およびPEACH PURE(5-へプチルオキソラン-2-オン)からなる群から選択される、少なくとも5、より具体的には少なくとも6の香料成分;または、CITRONELLOL(5-へプチルオキソラン-2-オン)、ETHYLENE BRASSYLATE(1,4-ジオキサシクロへプタデカン-5,17-ジオン)、BENZYL ACETATE、HEDIONE(メチル3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタンアセタート)、LINALLOL(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール)、ISO E SUPER(1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-2-イル)エタノン)、PHENYL ETHYL ALCOHOL、ETHYL VANILLIN、およびVANILLINからなる群から選択される、少なくとも5、より具体的には少なくとも6の香料成分との組み合わせにおいてINDOLEを含む。
【0056】
本発明の態様において、香料組成物は、CITRONELLOL(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール)、GARDENOL(1-フェニルエチルアセタート)、HEXENYL-3-CIS ACETATE((Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール)、IONONE BETA((4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン)、LINALOOL(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール)、LINALYL ACETATE(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オールアセタート)、およびPEACH PURE(5-へプチルオキソラン-2-オン)からなる群から選択される、少なくとも5、より具体的には少なくとも6の香料成分との組み合わせにおいてDAMASCENONEを含む。
【0057】
本発明の文脈において、用語「香料成分」は、顕著かつ識別し得る匂いを香料組成物に提供する機能を有する成分を指す。香料成分は、強い嗅覚の印象を提供することが意図される高度に機能する成分、ならびに弱い嗅覚の印象を提供することが意図されるあまり機能しない成分を包含する。
本明細書中で参照されるある香料成分は、再構築物(reconstitution)を示す。再構築物は、特定の匂い、例えば、「ブラッドオレンジ」または「青リンゴ」のものなどを模倣することを目的とする香料成分の混合物である。
【0058】
本明細書において有用な香料成分を記載するために慣用名が使用される箇所で、熟達した調香者は、これらが香料の技術分野において一般的に使用される名称であることを理解するだろう。しかしながら、熟達した調香者は、これらの成分が他の慣用的な同義語によって、CAS登録番号によって、IUPAC命名法などのより正式な命名法によっても知られ得ることも理解するだろう。さらにまた、熟達した調香者は、これらの他の慣用的な同義語、ならびにより正式な命名法を熟知しているだろうし、または少なくとも、調香者のパレットに含まれる香料成分についての慣用的な名称、登録番号およびより正式な命名法の全体的なリストを含むGood Scents Company社のウェブサイトなどの、標準的な参考文献を心得ているだろう。
【0059】
本発明の香料組成物は、全体的に、本明細書の上に参照される香料成分からなり得るだろう。しかしながら、本明細書の上に言及される香料成分に加えて、本発明の香料組成物は、他の香料成分を含有してもよい。他の好適な香料成分の全体的なリストは、香料の文献、例えば、“Perfume & Flavor Chamicals”、S.Arctander (Allured Publishing、1994)、ならびに、この文献の後の版などに見出されてもよく、それに含まれる香料成分は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0060】
本発明の香料組成物は、実質的に無臭の(odourless)成分をさらに含有してもよい。本発明の文脈において、「実質的に無臭」は、成分が匂いを有さないこと、またはその匂いが弱いおよびしばしば辛うじて認識し得ることを意味する。これらの実質的に無臭の成分は、香料組成物中で香料成分と併せて従来使用される賦形剤、例えば担体材料など、および当該技術分野において一般的に使用される他の助剤、例として、ジプロピレングリコール(DPG)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、ベンジルベンゾアート(BB)、プロピレングリコール(PG)およびトリエチルシトラート(TEC)などの溶媒;鉱油および植物油;および抗酸化剤を包含する。そのため、これらの実質的に無臭成分は、本発明の文脈において香料成分とはみなされない。とりわけ、溶媒は、重量パーセンテージを算出するときには考慮されない。
【0061】
本発明の香料組成物は、オイルフリーの形態において表されてもよく、またはそれらはカプセル化されていてもよい。香料組成物をカプセル化することについて、いくつかのカプセル化媒体が当該技術分野において知られている。具体的なカプセル化媒体は、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリ尿素、ポリアミドなどのアミノプラスト樹脂、ならびにアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステルのコポリマーで形成されたマイクロカプセルを包含する。代替的に、カプセル化媒体は、多糖類またはタンパク質などの、天然または修飾された天然ポリマーで形成されていてもよい。
【0062】
本発明の香料組成物は、あらゆる種類の消費者製品、実例として、水アルコール性香料、デオドラント、制汗剤、スキンケア製品、ヘアケア製品、ランドリーケア製品、ホームケア製品、またはエアフレッシュナーなどに対して、所望の匂い印象を付与するために使用されてもよい。
より具体的には、本発明の香料組成物は、ランドリーケア適用、ヒト対象の毛髪および/または皮膚を処置するためのパーソナルケア製品、オーラルケア製品、およびエアケア製品において採用されてもよい。
消費者製品は、界面活性剤、乳化剤、ポリマー、充填剤および溶媒などの様々な機能的成分の配合混合物を含んでもよい。これらの配合混合物は、大抵、「ベース」と称される。
【0063】
具体的な消費者製品は、これらに限定されないが、身体(すなわち、皮膚または毛髪)への、硬い表面(例として、台所および浴室のカウンター、セラミック表面)への、ファブリック、およびエアケアベネフィット(例として、エアフレッシュナー)への適用が意図される消費者製品を包含する。かかる製品は、これらに限定されないが、粉末、バー、スティック、錠剤、クリーム、ムース、ゲル、液体、スプレー、およびシートを包含する様々な形態を取り得る。かかる製品に含まれる香料組成物の割合は、消費者製品の総重量に基づき、0.05%(例えば、低い匂いの皮膚クリーム中のものとして)~100重量%(例えば、エアフレッシュナー中のものとして)の範囲にあってもよい。香料組成物を消費者製品に組み込む手段は知られている。現行の技法が香料組成物を製品に直接組み込むために使用されてもよく、または香料組成物は担体上に吸収され、および次いで製品に混和されてもよい。
【0064】
よって、本発明はまた、本発明の香料組成物を含む消費者製品を提供する。
本発明の態様において、消費者製品は、ランドリーケア製品である。ランドリーケア製品は、粉末および液体洗浄剤ならびにファブリックソフトナー、染抜き剤および予洗いトリートメント、コンディショナーおよびソフトナー(標準および濃縮コンディショナー、ソフトナーおよびドライヤーシートを包含する)、ランドリー補助剤(染抜き剤、アイロン補助剤、漂白剤およびカラーケア製品、ならびに他の補佐的なファブリックケア製品を包含する)、ランドリー洗浄剤(洗濯機用液体洗浄剤、他の洗濯機用洗浄剤-粉末、カプセルおよび錠剤を包含する-、ならびに手洗い用洗浄剤-粉末、フレークおよびケーキ/バー-を包含する)、シートスプレー、衣類スプレー、ランドリー香料、ドライヤーサッシェ、香料付サッシェ、ドライヤーシート、ランドリー石鹸、ランドリー洗浄剤、繊細な織物用の洗浄剤、アイロンスプレー、デンプン、香料シート、ピローミスト、引き出し用ライナーシート、シーダークローゼットスプレー、リネンウォーター、およびレフィル、ならびにそれらの組み合わせを包含する。
【0065】
本発明の態様において、消費者製品は、パーソナルケア製品である。パーソナルケア製品は、石鹸、シャワーゲル、ボディクリーム、ボディローション、ボディミスト、香料、化粧品、フローティングバスオイル、アフターシェーブ、クリーム、ローション、デオドラント(スティックデオドラントを包含する)、プレ電気シェーブローション、アフターシェーブローション、制汗剤、シャンプー、コンディショナー、リンス、スキンケア製品、アイメイクアップ、ボディシャンプー、皮膚保護製剤、リップスティック、リップグロス、アフターバススプラッシュ、プレサンおよびサン製品(日焼け止めを包含する)を包含する。事実上、毛髪または皮膚と接触し、および有効量、濃度または割合の1以上の本願発明の香料組成物を包含し得る任意の化学製品は、本願発明に従うパーソナルケア製品と考えられ得る。
【0066】
本発明の態様において、消費者製品は、オーラルケア製品である。オーラルケア製品は、歯磨き剤、歯科用クリーム、ゲルまたは歯磨き粉、歯用のマウスウォッシュ(プラーク除去液体を包含する)、プレまたはポストブラッシングリンス製剤、チューイングガム、トローチ、およびキャンディーを包含する。
【0067】
本発明の態様において、消費者製品は、エアケア製品である。エアケア製品は、キャンドル、ならびに液体電気エアフレッシュナーデバイス、エアロゾルスプレー、ポンプ作用スプレー、香料付キャンドル、膜浸透デバイス、液体ウィックデバイス、油ベースのゲル香料、および水性ゲルなどののエアフレッシュナーデバイスを包含する。
【0068】
本発明の態様において、消費者製品は、ホームケア製品である。ホームケア製品は、具体的には、工業、家庭または共用の硬い表面、ならびに織物物品表面のクリーニング、リンス、ケア、またはトリートメントのために使用され得る;それらは、処理された表面に対して、撥水性、ソイルリリース、汚れ耐性、防曇性、表面修復、防シワ、輝き、滑らかさなどの利益を与える、および/または、ホームケア製品に含まれる活性材料の残余性、影響、および/または有効性を改善することが目標とされる。ゆえに、本発明に従うホームケア組成物は、表面クリーニング組成物(例えば、ガラス、床、カウンター、浴室、便器、シンク、電気器具、および家具クリーニング組成物)、殺菌剤(例えば、ゲルを含む、スプレーおよび固体の空気消毒剤、ならびにスプレー、固体、液体およびペースト状の表面殺菌剤)、ワックスおよび他の表面保護および/またはポリシング組成物、ならびにカーペットシャンプーを包含する。
【0069】
本発明の方法は、コンピュータ手段によって促進されてもよい。
コンピュータ手段は、当該技術において一般的に知られているおよび使用される好適なハードウェアおよびソフトウェア構成要素を含んでもよい。
【0070】
コンピュータ手段は、香料成分または香料組成物のデータベースを、コンピュータ可読形態で含んでもよい。各香料成分または香料組成物について、データベースは、その成分または組成物の少なくとも1の定義付けするパラメータ、特性または機能を含有してもよい。とりわけ、各香料成分または組成物について、上に記載の方法に従って定義付けられたウェルビーイング得点が割り当てられてもよい。
【0071】
コンピュータ手段は、データベースから香料成分を選択することおよび選択される香料成分を含有する香料組成物についてウェルビーイング得点を計算することを、処方者に可能とさせるために構築されおよび動作可能とされた、データプロセシング手段を含んでもよい。
以降、本発明は、例を参照してさらに詳細に記載される。しかしながら、これらの例は説明のためのみのものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるものではないことが理解されるものである。
【0072】
例1: ウェルビーイング測定基準(WB-18)の開発
A. ウェルビーイング属性の同定
予備研究において、言語的ウェルビーイング属性の広い選択が検討され、および匂いの作用に対して感度があることが示されたものが保持された。これらの属性のうち最も関係のあるものは、対照、悪臭および/または香料状態の間の、および重要なことには、心地良い香料の間の有意差を示したものであった。これは、主成分分析に従い、香料に対して最も高い感度を示した18属性の部分集合に繋がった。そのように同定されたWB-18属性は、以下の表1中に挙げられる。
各アイテムは、タッチスクリーン上でバーチャルスライダーを移動させるパネリストによって評価された。4つの異なる研究にわたる138名のパネリストは、評価を完了した。
【0073】
パネリストはまず、試験香料組成物の不存在下でおよびこれへの曝露前にWB-18属性の2つのベースライン測定を完了し、第二のベースライン測定は第一のものの直後に完了された。因子分析(上記参照)は、平均化されたベースラインデータに適用され、5つのウェルビーイング因子および関連する分散、ならびに5つのウェルビーイング因子内の各ウェルビーイング属性についての負荷量を決定した(表1参照)。因子負荷量は、いくつかのウェルビーイング属性間にあり得る相関がために、オブリミン回転での主軸因子分析に基づく。
【表2】

表1:主成分分析から得られたウェルビーイング属性、因子および因子負荷量
【0074】
上記分析に基づき、各ウェルビーイング属性についての重み付けが、表2に示されるとおり決定された:
【表3】

表2:ウェルビーイング属性の重み付け
【0075】
B. ウェルビーイング研究のためのメソドロジープロトコル
21歳と53歳との間の690名の対象(283名の男性および407名の女性)が、本研究のために募集された。対象は、正常なまたは矯正視力を有し、ネイティブな英語スピーカーであり、英国における一般市民から募集された。すべての対象は、知る限りにおいて、彼らの嗅覚(sense of smell)における欠点、嗅覚(olfactory)過敏または神経学的疾患を有さないことを供述した。試験香料組成物は、押出されたポリエステルファイバーロッド、例えばPorexからなるSorbarod上へ適用された。各参加者は、試験香料組成物を伴う4つの異なるサンプルを受け取り、1日1サンプルを、彼らが選択するほぼ同時刻に嗅ぎ、オンラインで得点化するよう指示された。
毎日、参加者はまず、試験香料組成物の不存在下で、WB-18属性を得点化した。
【0076】
参加者は次いで、試験香料組成物が適用されたSorbarodから3回嗅ぐこと、および追加的に試験の50%を完了した後にさらに3回嗅ぐことを指示された。
ウェルビーイング属性は、各評価のために各参加者について無作為に割り振られた。
【0077】
4つのサンプルのすべてのWB-18属性の得点化を完了した後、4日目に、参加者は、4日に亘り匂いを嗅いだ試験香料組成物の一連の評定を提供するように求められた。各サンプルを個々に嗅ぎ、および次の匂いを嗅ぐ前に各サンプルについての評定を完了する指示と共に、サンプルの順序は再び無造作化された。各試験香料組成物について、参加者は、1(私はそれが極度に嫌う)~9(私はそれが極度に好む)の尺度上で好み評定を提供した。
【表4】
【0078】
加えて、参加者は、1(極度に弱い)~9(極度に強い)のスケールで強度評点を提供した。
【表5】
【0079】
C. ウェルビーイングに対する試験香料組成物の影響の測定
推定される等しい好みの得点を伴う18の試験香料組成物が、2人の専門家のパネルによって選択された。
これらの18の試験香料組成物の強度(強さ)は、15人の熟練したパネリストのパネルによって推計され、ならびに希釈倍率は、すべての試験香料組成物および集合において強度が最も低い試験香料組成物の間の強度の差に応じて定義付けされた。希釈倍率は、試験香料組成物の匂いの強さを等しくするために使用された。
よって、調製された18の試験香料組成物はSorbarodに適用され、およびセクションBに記載される方法に従って、ウェルビーイング評価についての研究の参加者に供された。
【0080】
参加者は、試験香料組成物の不存在下の(w/o)各ウェルビーイング属性についての第一の個人ウェルビーイング得点(=ベース)ウェルビーイング得点xi、ならびに各試験香料組成物の存在下で(w)第二の個人ウェルビーイング得点yiを提供して、WB-18属性を評価した。対応するウェルビーイング得点は、各ウェルビーイング属性の個人得点をセクションAにおいて決定されたとおりの重み付け(表2参照)を乗じることおよび個人得点を合計することによって、計算された。
【0081】
最後に、ウェルビーイング増強得点は、ベースウェルビーイング得点(すなわち第一の個人ウェルビーイング得点xiの和にそれらの重み付けを乗じたもの)を試験香料組成物でのウェルビーイング得点(すなわち第二の個人ウェルビーイング得点yiの和にそれらの重み付けを乗じたもの)から減じることによって計算された。すべての参加者にまたがる平均的な結果は、表3において示される。
【表6】

表3:試験香料組成物の匂いを嗅ぐ前および嗅いだ後の平均化されたウェルビーイング得点、ならびにパーセントにおけるウェルビーイング増強
【0082】
例2:ウェルビーイングに対する肯定的な影響に関する匂い属性の同定
例のセクションCにおいて評価された18の試験香料組成物について、含有される香料成分の匂い属性が決定された。匂い空間の2次元画像において、18の香料組成物の最大限の区別を提供するために、主成分分析(PCA)が実施された。各試験香料組成物は、そのウェルビーイング増強評定によってタグ付けされた(表3の最後の列)。
総じて10の匂い属性はウェルビーイングの増強と相関し、およびそれらの6は強いウェルビーイング増強に関することが見出された:
【表7】
【0083】
【表8-1】
【0084】
【表8-2】
【0085】
【表8-3】
【0086】
【表8-4】

表4:試験香料組成物1~17の匂い説明に基づく組成物
【0087】
【表9-1】
【0088】
【表9-2】
【0089】
【表9-3】
【0090】
【表9-4】

表5:試験香料組成物10~18の匂い説明に基づく組成物
【0091】
【表10-1】
【0092】
【表10-2】
【0093】
【表10-3】
【0094】
【表10-4】
【0095】
【表10-5】

表6:試験香料組成物1~18において使用された成分
【0096】
例3:ウェルビーイング認識と好み/強度との間の相関の欠如
ウェルビーイングに対する影響が試験香料組成物の好みおよび/または強度と連動していないことを確認するために、好みおよび強度のパネリストの個人評点(例1、セクションB)、ならびにウェルビーイング得点(例1、セクションC)に対して、主成分分析が実施された。対応する相関係数は、表7において報告される:
【表11】

表7:香料の好み、香料の強度、およびウェルビーイング得点に関連する相関マトリックス
【0097】
表7から明らかなとおり、ウェルビーイング得点は、パネリスト間の香料の好みのバリエーションにも、パネリスト間の香料強度認識のバリエーションにも相関しない。