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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】ピストンアキュムレータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 1/24 20060101AFI20250131BHJP
【FI】
F15B1/24
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022526144
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2020080366
(87)【国際公開番号】W WO2021089397
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】102019007711.3
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルト バルテス
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クロフト
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-182701(JP,A)
【文献】特開2003-294001(JP,A)
【文献】特開平03-107633(JP,A)
【文献】特表2008-531956(JP,A)
【文献】特表2009-537747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキュムレータハウジング(4)とその中で長手方向に変位可能に案内される分離ピストン(10)を有するピストンアキュムレータであって、前記分離ピストンが2つの媒体室(12、14)を互いに分離し、かつダブルシールシステム(16)を有し、前記ダブルシールシステムの一方のシールシステム(18)が一方の前記媒体室(12)に、そして他方のシールシステム(20)が他方の前記媒体室(14)に向けられている、ピストンアキュムレータにおいて、
2つの前記シールシステム(18、20)の間において補償装置(22)が少なくとも部分的に前記分離ピストン(10)内に収容されており、前記補償装置が、駆動の間の望ましくない圧力構築を回避するために、2つの前記シールシステム(18、20)の間の静水圧的な圧力補償を可能にし、
前記補償装置(22)が、前記分離ピストン(10)の環状溝(58)内に収容されており、かつ一周するシールリング(56)によって形成されており、前記シールリングが2つの突出するリングセグメント(70、72)によって前記アキュムレータハウジング(4)の内側(74)に添接しており、前記リングセグメントが自らの間にリングチャンバ(76)を画成し、前記リングチャンバが少なくとも1つの補償通路(78)を介して前記シールリング(56)の内側(80)と液体又は気体の媒体を案内するように接続されて、前記リングチャンバが前記シールリング(56)から出ている、ことを特徴とするピストンアキュムレータ。
【請求項2】
前記一方の媒体室(12)が、窒素などの、作業ガス(30)を有し、前記他方の媒体室(14)は、油圧媒体などの、液体(40)を有し、か
体(40)を有する前記他方の媒体室(14)に対応づけられた前記シールシステム(20)が、この液体(40)によって潤滑されている、ことを特徴とする請求項1に記載のピストンアキュムレータ。
【請求項3】
前記アキュムレータハウジング(4)内で前記分離ピストン(10)が、その自由な終端領域へ向かってガイドバンド(44、52)によって共に案内されており、前記ガイドバンドが自らの間に前記ダブルシールシステム(16)を収容している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のピストンアキュムレータ。
【請求項4】
圧力構築のゾーン(82)が、前記一方の媒体室(12)へ向いた前記シールシステム(18)と前記補償装置(22)との間に位置し、可能な圧力解体のゾーン(84)が、この前記補償装置(22)と、前記他方の媒体室(14)へ向いた他の前記シールシステム(20)との間に位置している、ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のピストンアキュムレータ。
【請求項5】
前記補償装置(22)の作用方法が、絞り作用を有し、逆止め弁がその閉鎖位置から液体(40)を有する前記他方の媒体室の方向に開放する、ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のピストンアキュムレータ。
【請求項6】
前記分離ピストン(10)を一周するシールリング(56)がその内側において、一周する支持リング(86)に支持され、前記支持リングが前記分離ピストン(10)の環状溝(58)内に共に収容されている、ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のピストンアキュムレータ。
【請求項7】
シールリング(56)のそれぞれの通路(78)がリングチャンバ(76)から始まって、30°から50°の仮想の傾斜角度だけ、支持リング(86)上へ、かつ前記分離ピストン(10)の内側の方向に、前記他方の媒体室(14)を画成する側へ向かって傾斜している、ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のピストンアキュムレータ。
【請求項8】
前記シールリングは前記2つの突出するリングセグメント(70、72)からなり、前記一方の媒体室(12)に隣接するシールリング(56)の前記2つの突出するリングセグメント(70、72)の内のリングセグメント(70)が形成する、前記アキュムレータハウジング(4)の内壁(74)との添接面が、球状に形成されている、前記2つの突出するリングセグメント(70、72)の内の他のリングセグメント(72)が形成する、前記アキュムレータハウジング(4)の内壁(74)との後続の添接面よりも小さい、ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のピストンアキュムレータ。
【請求項9】
一周するシールリング(56)のリングチャンバ(76)が、横断面で見て台形状である、ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のピストンアキュムレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキュムレータハウジングとその中で長手方向に変位可能に案内される分離ピストンとを有するピストンアキュムレータに関するものであって、分離ピストンが2つの媒体空間を互いに分離し、かつダブルシールシステムを有し、そのうちの1つのシールシステムが1つの媒体空間へ、そして他のシールシステムが他の媒体空間へ向けられている。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(独国特許出願公開第10248823号明細書)は、アキュムレータハウジング内でその軸方向に移動可能な、アキュムレータハウジングのガス側を液体側から分離するピストンを有する、ピストンアキュムレータの形式のハイドロアキュムレータを開示しており、そのピストンの周部分にアキュムレータハウジングの壁と協働するために設けられたガイド部材と複数のシール部材が設けられており、軸方向にガイド部材に対して変位し、ピストンのこれら間に位置する周セクション内に配置されて、圧力補償通路が設けられており、その圧力補償通路が液体側とピストン周セクションにおける空間との間に液体路を形成し、その液体路が液体側にもっとも近いガイド部材と軸方向にそれに続くシール部材との間に位置し、圧力補償通路内にその通過横断面を減少させる、ブラインド又はノズルの形式の装置が設けられている。
【0003】
この既知の解決の基礎となる考えは、液体側にあるハイドロオイル内に含まれ得る汚れ粒子が、ピストン周部分とアキュムレータハウジングの内壁との間の密閉及びガイドシステムの駆動挙動と同様に、ハイドロアキュムレータの長時間挙動に、ネガティブな影響を与えるということである。分離ピストン内の圧力補償通路によって、上述した問題に対処される。というのは、駆動中にピストン運動が発生する場合に、ガイド部材にもはや圧力差は発生せず、したがって場合によっては汚れ粒子を含む体積流も発生しないからである。圧力補償通路の通過横断面はブラインド又はノズルを介して縮小されているので、さらに、そのような圧力補償のプロセスにわずかな液体体積しか関与しないことが、保証される。
【0004】
実際においては、ここで言及される、分離ピストンのためのダブルシールシステムを有するハイドロノイマチックピストンアキュムレータにおいて、駆動中に2つのシールもしくはシールシステムの間に圧力構築がもたらされ、それがアキュムレータの最大の駆動圧力まで達し、あるいはいわゆるポンプ効果によって特にそれを上回り得ることが、明らかにされている。その結果、駆動騒音などの様々な効果、及びピストンの締めつけにいたるまでのシールシステムの膨張がもたらされることがある。このように発生する問題には、特許文献1(独国特許出願公開第10248823号明細書)に記載の作用の異なる圧力補償通路によっては対処できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第10248823号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来技術から出発して、本発明の課題は、既知のピストンアキュムレータ解決をさらに改良して、上述した圧力構築とその望ましくない作用がもたらされることがないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、その全体において特許請求項1の特徴を有するピストンアキュムレータによって解決される。
【0008】
請求項1の特徴部分に基づきダブルシールシステムの2つのシールシステムの間で補償装置が少なくとも部分的に分離ピストン内に収容されており、その補償装置が駆動の間の望ましくない圧力構築を回避するために、2つのシールシステムの間で静水圧的な圧力補償を可能にすることによって、上述したマイナス作用を有する、望ましくない圧力構築はもたらされない。
【0009】
むしろ、2つのシールシステムの間の本発明に係る補償装置は、作業ガスを有する媒体室へ向いた、一方のシールシステムと補償装置の間の圧力構築のゾーンが、この圧力補償装置と、通常は油圧オイルの形状の液体を有する他の媒体室へ向いた、他の圧力システムとの間の圧力解体のゾーンの方向の圧力補償を受けることを、許す。独国特許出願公開第10248823号明細書に記載の既知の解決とは異なり、汚れ粒子の侵入を回避するために液体側のガイド部材における圧力差は除去されず、むしろ分離ピストンの2つの終端領域へ向かって分離ピストンの2つのガイドシステムの間に位置する、ダブルシールシステムの2つのシールシステムの間で真の静水圧的な圧力補償がもたらされる。したがって静水圧的な圧力補償によって、もはや駆動中に許されないほど高い圧力構築がもたらされることがないので、シールの押し出し及び/又はアキュムレータハウジング内の分離ピストンの締めつけ同様、騒音形成も回避される。
【0010】
また、圧力構築ゾーン内の液体が分離ピストンの、作業ガスを有する側へ向いたシールシステムのための液体潤滑の改良ももたらし、それは、油圧オイルなどの良好に潤滑する液体の代わりに、それに対して著しく低下した潤滑性能を有する、たとえばHFC(ハイドロフルオロカーボン)などの水性の液体が使用される場合に、特に役割を果たす。
【0011】
好ましい実施例において、補償装置は分離ピストンの環状溝内に収容されており、かつ一周するシールリングによって形成されており、そのシールリングは2つの突出するリングセグメントによってアキュムレータハウジングの内側に沿って添接し、それらのリングセグメントが自らの間にリングチャンバを画成し、そのリングチャンバが少なくとも1つの補償通路を介してシールリングの内側と媒体を案内するように接続されて、シールリングから出ている。好ましくは補償装置の作用方法は、絞り作用を有する逆止め弁と比較可能であり、その逆止め弁はその閉鎖位置から液体を有する他の媒体室の方向へ開放する。このようにして、圧力除去機能と、アキュムレータハウジングに対するガス側のシールのための、驚くほど改良された潤滑とを有する液体側のシールが得られる。
【0012】
他の好ましい実施例において、シールリングのそれぞれの通路は、リングチャンバから出て、約30°から50°、好ましくは40°の仮想の傾斜角度だけ、支持リング上へ、かつピストンの内側の方向に、他の媒体室を画成する側へ傾斜している。それによって、通路内への液体の流入が容易になり、それが、異なるシールシステムの3つのシールリングの間の圧力の望まれる補償を容易にする。このシールデザインは、シールの間の間隙内への最小の液体溢流は許すが、これらのシールの間に構築される圧力の確実な解体を保証する。その限りにおいて本発明に係るピストンアキュムレータによって、分離ピストンをより高速で変位させることもできる。
【0013】
他の好ましい実施形態が、その他の従属請求項の対象である。
【0014】
以下、本発明に係るピストンアキュムレータを、図面を用いて詳細に説明する。図は、原理的かつ縮尺にとらわれない表示である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明に係るピストンアキュムレータの図式的に簡略化した縦断面図であって、簡単にするために、分離ピストンをガイド装置、シール装置及び補償装置なしで示している。
図2図2は、ピストンアキュムレータ内で案内される分離ピストンの、図1に比較して拡大した部分セクションを示しており、その分離ピストンは簡単にするために補償装置なしで示されており、そうでない場合にその補償装置は図示されるスペースホルダ内にある種の空白箇所として収容されている。
図3図3は、図2に比較して拡大した部分セクションを、分離ピストン内の、図2に示すスペースホルダの箇所に収容された補償装置と共に示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、アキュムレータハウジング4とその中で長手方向に変位可能に案内される分離ピストン10とを有する、本発明に係るピストンアキュムレータを示しており、そのアキュムレータハウジングはその長手軸線6に沿って延びる円筒状の内部空間8を有している。分離ピストン10は、アキュムレータハウジング4内で媒体室12を他の媒体室14から分離し、かつダブルシールシステム16(図2)を有している。ダブルシールシステム16のシールシステム18が媒体室12の近くに、そしてダブルシールシステム16の他のシールシステム20が他の媒体室14の近くに位置している。2つのシールシステムの間において、補償装置22(図3)が少なくとも部分的に分離ピストン10内に収容されている。駆動の間の望ましくない圧力構築を回避するために、補償装置22が2つのシールシステム18、20の間の静水圧的な圧力補償を可能にする。
【0017】
円筒状のアキュムレータハウジング4は、その一方の端部21において、フランジ24を用いて固定された終端挿入片26によって閉鎖されており、その終端挿入片が同心に配置されたガス充填接続端28を有しており、それを介して、挿入片26によって画成された媒体室12がフル充填圧下にある作業ガス30によって充填可能である。アキュムレータハウジング4は、対向する端部31において、他の終端挿入片32によって閉鎖されており、その終端挿入片も同様にフランジ24によって固定されており、かつ、図には示されていない油圧循環の流体ガイドのための中央の開口部34を有している。各終端挿入片26、32は、その外周に環状溝36を有しており、その中にシールリング38が設けられており、そのシールリングがそれぞれの終端挿入片26、32をアキュムレータハウジング4に対して密閉する。一方の媒体室12は作業ガス30として窒素を、他方の媒体室14はハイドロリックオイル32の形状の液体40を有している。
【0018】
分離ピストン10は、その両方の自由な終端領域において、一周するガイドバンド44、52(図2)によってアキュムレータハウジング4内で実質的に案内されている。それらのガイドバンド44、52は、それぞれ分離ピストン10の外周48に設けられた、一周する環状溝46内に収容されており、それらの間にダブルシールシステム16が配置されている。すなわち一方のシールシステム18は、液体室14の方向においてガイドバンド44に対して軸方向に変位して、分離ピストンの外周48に設けられた環状溝50内に収容され、他方のシールシステム20はガス室12の方向において他のガイドバンド52に対して軸方向に変位して、分離ピストンの外周48に設けられた環状溝50内に収容されており、一方のシールシステム18と他方のシールシステム20は、さらに互いに軸方向に離隔している。ある種の一周するシールリング56と見なすことができ、かつ2つのシールシステム18、20の間に配置されている、補償装置22も、ピストンアキュムレータの外周48に設けられた環状溝58内に収容されている。
【0019】
分離ピストン10の外周48に形成されている、補償装置22を収容するための環状溝58は、分離ピストン10の軸方向の長さに関してその中央領域60内に設けられており、好ましくは分離ピストン10の互いに対向する2つの自由な前側62、64の中央に配置されている。分離ピストンの外周48に設けられている、補償装置22、それぞれのシールシステム18、20及びそれぞれのガイドバンド44、52のための環状溝46、50、58は、横断面において互いに対して直角となる壁66、68を有する多角形として形成されている。ガイドバンド44、52及びガス室12の近くに位置するシールシステム18のための環状溝46、50は溝底66を有しており、その溝底は軸方向に見て、その環状の側壁68の径方向に見た高さよりも、幅広に形成されている。それとは異なり、補償装置22及び液体室14の近くに位置するシールシステム20のための環状溝50、58は環状の側壁68を有しており、その側壁は径方向に見て、その溝底66の軸方向に見た幅よりも高い。
【0020】
補償装置22のシールリング56は、2つの突出したリングセグメント70、72を有しており、それらのリングセグメントは、ガス室12を液体室14に対して密閉するために、アキュムレータハウジング4の内壁74と添接している。リングセグメント70、72は、それらの間にリングチャンバ76を画成しており、そのリングチャンバは少なくとも1つの補償通路78を介してシールリング56の内側80と媒体を案内するように接続されて、シールリング56から、補償装置22を収容するための環状溝58内へ出ている。
【0021】
圧力構築のゾーン82は、ガス室12の近くに位置するシールシステム18と補償装置22の間にある。可能な圧力解体のゾーン84は、補償装置22と、液体室14の近くに位置する他のシールシステム20との間にある。補償装置22の作用方法は、絞り作用を有する逆止め弁にほぼ比較可能であって、その逆止め弁は閉鎖位置から液体室14の方向に開放する。
【0022】
補償装置22の、分離ピストン10を一周するシールリング56は、その内側80において、一周する支持リング86に支持されており、その支持リングは補償装置22のための環状溝58内に共に収容されている。支持リング86は、エラストマーのOリングとして形成されており、かつ補償装置22のシールリング5のための付勢部材として用いられる。Oリングを把持する、補償装置22のシールリング56は、好ましくはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)材料から形成されているが、代替的にサーモプラスト材料又はPU(ポリウレタン)材料から形成することもできる。ダブルシールシステム16のシールリング18、20は、同様にこれらの材料のいずれかから形成されている。
【0023】
支持リング86との組合せにおいて補償装置22のシールリング56によって形成される、分離ピストン10とアキュムレータハウジング4にわたる、2つの媒体室12、14の間の密閉は、高いシール作用、スティックスリップのない小さい摩擦、最小のブレーカウェイ力及び高い摩擦耐性と温度耐性を特徴としている。
【0024】
補償装置22のための環状溝58の、径方向に延びる側壁68と、シールリング56にそれぞれ形成された通路78との間の角度は、約40°であって、通路78はリングチャンバ76から始まってピストン内部の方向に、したがって支持リング86の方向に、径方向に対して斜めに延びて、ピストン10の、液体室14を共に画成する側64へ向かって傾斜している。図3に示す唯一の通路78の代わりに、複数の通路、あるいはまたパーフォレーションなどの、その他の中断部を、補償装置22のシールリング56に形成することもできる。好ましくはそれらの通路は、アキュムレータの長手軸線6に対して互いに直径方向に対向して配置されている。
【0025】
シールリップ形状に形成されて、作業ガス30を有する室12に隣接する、補償装置22のシールリング56のリングセグメント70が形成する、アキュムレータハウジング4の内壁74との添接面は、球状に形成された、液体室14に隣接する、他のリングセグメント72の後続の添接面よりも小さい。一方のリングセグメント70と他方のリングセグメント72によって共に画成されるリングチャンバ76の横断面は、台形状に形成されている。
【0026】
本発明に係る解決の趣旨における、シールリング18、20、56を備えた、互いに独立して作動する3つのシールシステム16、22を有する分離ピストン10は、分離ピストン10によって互いに分離された、アキュムレータハウジング4内の媒体室12、14の異なる充填、したがってガス/液体の他に、液体/液体、ガス/ガス又は液体/ガスの充填も、許す。圧力を案内する通路78の方向を簡単に反転させることによって、上述したように、圧力補償機能が反転される。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
アキュムレータハウジング(4)とその中で長手方向に変位可能に案内される分離ピストン(10)を有するピストンアキュムレータであって、前記分離ピストンが2つの媒体室(12、14)を互いに分離し、かつダブルシールシステム(16)を有し、前記ダブルシールシステムの一方のシールシステム(18)が一方の前記媒体室(12)に、そして他方のシールシステム(20)が他方の前記媒体室(14)に向けられている、ピストンアキュムレータにおいて、
2つの前記シールシステム(18、20)の間において補償装置(22)が少なくとも部分的に前記分離ピストン(10)内に収容されており、前記補償装置が、駆動の間の望ましくない圧力構築を回避するために、2つの前記シールシステム(18、20)の間の静水圧的な圧力補償を可能にする、ことを特徴とするピストンアキュムレータである。
第2の態様は、
前記一方の媒体室(12)が、窒素などの、作業ガス(30)を有し、前記他方の媒体室(14)は、油圧媒体などの、液体(40)を有し、かつ
好ましくは、液体(40)を有する前記他方の媒体室(14)に対応づけられた前記シールシステム(20)が、この液体(40)によって潤滑されている、ことを特徴とする第1の態様におけるピストンアキュムレータである。
第3の態様は、
前記アキュムレータハウジング(4)内で前記分離ピストン(10)が、その自由な終端領域へ向かってガイドバンド(44、52)によって共に案内されており、前記ガイドバンドが自らの間に前記ダブルシールシステム(16)を収容している、ことを特徴とする第1の態様又は第2の態様におけるピストンアキュムレータである。
第4の態様は、
前記補償装置(22)が、前記分離ピストン(10)の環状溝(58)内に収容されており、かつ一周するシールリング(56)によって形成されており、前記シールリングが2つの突出するリングセグメント(70、72)によって前記アキュムレータハウジング(4)の内側(74)に添接しており、前記リングセグメントが自らの間にリングチャンバ(76)を画成し、前記リングチャンバが少なくとも1つの補償通路(78)を介して前記シールリング(56)の内側(80)と媒体を案内するように接続されて、前記シールリング(56)から出ている、ことを特徴とする第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおけるピストンアキュムレータである。
第5の態様は、
圧力構築のゾーン(82)が、前記一方の媒体室(12)へ向いた前記シールシステム(18)と前記補償装置(22)との間に位置し、可能な圧力解体のゾーン(84)が、この前記補償装置(22)と、前記他方の媒体室(14)へ向いた他の前記シールシステム(20)との間に位置している、ことを特徴とする第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおけるピストンアキュムレータである。
第6の態様は、
前記補償装置(22)の作用方法が、絞り作用を有する逆止め弁と比較可能であり、前記逆止め弁がその閉鎖位置から液体(40)を有する前記他方の媒体室の方向に開放する、ことを特徴とする第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおけるピストンアキュムレータである。
第7の態様は、
前記分離ピストン(10)を一周するシールリング(56)がその内側において、一周する支持リング(86)に支持され、前記支持リングが前記分離ピストン(10)の環状溝(58)内に共に収容されている、ことを特徴とする第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおけるピストンアキュムレータである。
第8の態様は、
シールリング(56)のそのときどきの通路(78)がリングチャンバ(76)から始まって、30°から50°の、好ましくは40°の、仮想の傾斜角度だけ、支持リング(86)上へ、かつ前記分離ピストン(10)の内側の方向に、前記他方の媒体室(14)を画成する側へ向かって傾斜している、ことを特徴とする第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおけるピストンアキュムレータである。
第9の態様は、
前記一方の媒体室(12)に隣接するシールリング(56)のリングセグメント(70)が形成する、前記アキュムレータハウジング(4)の内壁(74)との添接面が、好ましくは球状に形成されている他のリングセグメント(72)の後続の添接面よりも小さい、ことを特徴とする第1の態様~第8の態様のいずれか1つにおけるピストンアキュムレータである。
第10の態様は、
一周するシールリング(56)のリングチャンバ(76)が、横断面で見て台形状である、ことを特徴とする第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおけるピストンアキュムレータである。
図1
図2
図3