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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】医療用容器の検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20250131BHJP
   G01N 15/10 20240101ALI20250131BHJP
【FI】
G01N21/90 Z
G01N15/10 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022572302
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021064307
(87)【国際公開番号】W WO2021239927
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2024-01-16
(31)【優先権主張番号】20305564.5
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トマス ヴィロ
(72)【発明者】
【氏名】アルノー グランヴュイルマン
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253903(JP,A)
【文献】特表2013-523147(JP,A)
【文献】特開2012-208102(JP,A)
【文献】特開2001-194321(JP,A)
【文献】特開平11-37952(JP,A)
【文献】特公平3-194495(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0253256(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0297774(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0297795(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0230720(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
G01N 15/00 - G01N 15/1492
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝達性材料からなる医療用容器(100)の検査方法であって、
白色光共焦点システム(20)から放出される白色光によって、検査される医療用容器(100)の一部分(110)を走査することと、
前記白色光共焦点システム(20)によって、前記医療用容器(100)の前記一部分(110)から反射される光を検出することと、
前記白色光共焦点システム(20)によって取得される検査結果に基づいて、前記医療用容器(100)の前記一部分(110)の内部、またはその上に粒子が存在するか否かを決定することと、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記医療用容器(100)は、円筒形状を有し、
前記走査中、前記医療用容器(100)を前記医療用容器(100)の中心軸の周りに回転させ、前記医療用容器(100)の円周に沿って異なる位置で前記医療用容器(100)の前記一部分(110)の検査を実施すること、
をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医療用容器(100)は、長手方向の形状を有し、
前記走査中、前記白色光共焦点システム(20)を前記医療用容器(100)に対して移動させ、前記医療用容器(100)の長手方向に沿って異なる位置で前記医療用容器(100)の前記一部分の検査を実施すること、
をさらに備える請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記白色光共焦点システム(20)は、2Dセンサ(26)を備え、および前記走査および前記検出は、前記2Dセンサ(26)によって実行され、
前記医療用容器(100)の前記一部分(110)の2D画像を生成することと、前記粒子の有無を表示することと、
をさらに備え、
前記決定は、前記2D画像に基づいて実行される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの粒子が、存在すると決定される場合、
前記2D画像上の粒子数を計数すること、
をさらに備える請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも一つの粒子が、存在すると決定される場合、
前記2D画像上で検出された各粒子の前記寸法、および/または前記位置を測定すること、
をさらに備える請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記白色光共焦点システム(20)は、3Dセンサ(28)をさらに備え、
少なくとも一つの粒子が、存在すると決定される場合、
前記白色光共焦点システム(20)の前記3Dセンサ(28)から放出される白色光によって、前記粒子を含む前記医療用容器(100)の前記一部分(110)を走査することと、
前記白色光共焦点システム(20)によって、前記医療用容器(100)の前記一部分(110)により反射される光を検出することと、
前記白色光共焦点システム(20)によって取得される検出結果に基づいて、前記粒子を含む前記医療用容器(100)の前記一部分(110)の3Dの幾何学的情報を取得することと、
をさらに備える請求項4乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子の前記幾何学的情報を含む、前記医療用容器(100)の前記一部分(110)の3D画像を生成することと、
をさらに備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記走査は、前記医療用容器(100)の前記一部分(110)に実質的に直交する前記光によって、実行される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用容器を検査するための方法に関し、特に、医療用容器の一部分の内部、またはその上の粒子の存在を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用容器は、可能な限り汚染物質を含まないようにする必要がある。例えば、微粒子が、容器の内部容積を規定する医療用容器の内部表面の内部、またはその上に存在する場合、この粒子は、医療用容器に保管された医療製品の汚染を惹起するか、医療製品が注射された使用者に傷害を与える可能性がある。とはいえ、極度の注意を払っても、医療用容器の製造工程で生成され、または医療用容器に付着された外部粒子のような、粒子を常に防止するのは可能でない。
【0003】
粒子の存在による汚染の可能性を避けるため、目視検査を実施する。しかし、肉眼検査では、一般的に300μm、またはそれ以上の粒子しか識別できない。光学、またはデジタル顕微鏡を、微粒子を見つけるために、任意に使用することができる。しかし、顕微鏡検査は、相当の資源を必要とする傾向があるため、大規模な検査には適していない。さらに、顕微鏡による粒子の綿密な調査は、容器および液体の抽出と、その後のフィルター上の粒子の観察が必要となる場合がある。そのため、これは破壊的な検査方法であり、可能な適用範囲は限定される。
【0004】
また、粒子の幾何学的情報を3次元(3D)で取得することが望ましい場合もある。顕微鏡、またはカメラ検査は、2次元(2D)での粒子情報の生成のみが可能である。
【0005】
白色光共焦点技術は、透明な物体の厚さ、または表面粗さを判断するための非破壊、非接触センシングプロセスとして知られている。粒子の観察のために白色光共焦点技術を適用することも知られている。例えば、特許文献1は、生物学的粒子のクラスターが、培養され得る培地の表面の地形的表現を生成するための白色光共焦点イメージングを開示している。特許文献2は、流体、または気体中の粒子のサイズ、量および/または存在、または速度の測定、または深さ測定方法で使用するための光学装置を記載している。
【0006】
白色光共焦点センシングは、回折レンズを通して白色光に色収差(光軸に沿った色収差)を与え、対物レンズを通して光を測定対象物に向けることを含む。測定対象物で反射された光は、光学ピンホールに向けられ、対象物に焦点を合わせた光ビームのみが通過できる。色収差により、光軸に沿った光ビームの焦点位置は、波長に依存する。したがって、反射光の波長をモニタすることで、測定対象物までの距離を判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2013/0084598号明細書
【文献】欧州特許第2503376号明細書
【発明の概要】
【0008】
医療用容器を検査する際の上記の問題を考慮して、本発明の目的は、医療用容器を検査する方法を実施することである。
【0009】
本発明により、添付の特許請求の範囲に規定された方法が設けられる。
【0010】
具体的には、光伝達性材料からなる医療用容器の検査方法を設けており、その方法は、白色光共焦点システムから放出される白色光によって、検査される医療用容器の一部分を走査することと、白色光共焦点システムによって、医療用容器の一部分から反射される光を検出することと、白色光共焦点システムによって取得される検査結果に基づいて、医療用容器の一部分の内部、またはその上に、粒子が存在するか否かを決定することとを備える。
【0011】
医療用容器は、円筒形状を有することができ、この方法は、走査中に、医療用容器を医療用容器の中心軸の周りに回転させ、医療用容器の円周に沿って異なる位置で医療用容器の一部分の検査を実施することをさらに備える。
【0012】
医療用容器は、長手方向の形状を有することができ、この方法は、走査中に、白色光共焦点システムを医療用容器に対して移動させ、医療用容器の長手方向に沿って異なる位置で医療用容器の一部分の検査を実施することをさらに備える。
【0013】
本発明の方法で使用される白色光共焦点システムは、2Dセンサを備え、および走査および検出は、2Dセンサによって実行され、医療用容器の一部分の2D画像を生成すること、粒子の有無を表示することをさらに備え、決定は、2D画像に基づいて実行される。
【0014】
少なくとも一つの粒子が、存在すると決定される場合、この方法は、2D画像上の粒子数を計数することをさらに備えることができる。
【0015】
本発明の方法で使用される白色光共焦点システムは、3Dセンサをさらに備え、少なくとも一つの粒子が、存在すると決定される場合、この方法は、白色光共焦点システムの3Dセンサから放出される白色光によって、粒子を含む医療用容器の一部分を走査することと、白色光共焦点システムによって、医療用容器の一部分により反射される光を検出することと、白色光共焦点システムによって取得される検出結果に基づいて、粒子を含む医療用容器の一部分の3Dの幾何学的情報を取得することとをさらに備える。
【0016】
本方法は、粒子の幾何学的情報を含む、医療用容器の一部分の3D画像を生成することをさらに備える。
【0017】
本発明の方法において、走査は、医療用容器の一部分に実質的に直交する光によって実行することができる。
【0018】
方法は、医療用容器の一部分の内部、またはその上に、粒子が存在するか否かを決定するように構成された白色光共焦点システムを含むシステムを使用して実施することができる。
【0019】
システムは、医療用容器を回転可能に保持するように構成されたホルダと、ホルダ上で医療用容器を回転させるように構成される回転駆動装置をさらに備えることができる。
【0020】
システムは、白色光共焦点システムをホルダに対して移動させるように構成された線形駆動装置をさらに備えることができる。
【0021】
白色光共焦点システムは、2Dセンサを備えることができ、医療用容器の一部分の2D画像を生成するように構成することができ、2D画像上で以下の、各粒子の位置、および各粒子の寸法のうちの少なくとも一つを決定するように構成することができる。
【0022】
白色光共焦点システムは、3Dセンサを備えることができ、粒子を含む医療用容器の一部分の3D幾何学的情報を取得するように構成することができる。
【0023】
白色光共焦点システムは、粒子を含む医療用容器の一部分の3D画像を生成するように構成することができる。
【0024】
本発明の方法により、医療用容器の一部分の内部、および/またはその上に存在する任意の粒子を確実かつ効率的に検出、計数、および/または測定することができる。発見された任意の粒子の測定を含む徹底的な検査が必要な場合、本発明は、時間効率のよい粒子の幾何学的測定を3次元で設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照してさらに詳細に説明される。
図1】一実施形態による検査システムの概略的に示す図である。
図2】実施形態による医療用容器の検査に使用される白色光共焦点システムを示す図である。
図3】白色光共焦点システムによって検出される光の波長に対する信号強度を示す図である。
図4】粒子の存在を表示する白色光共焦点システムによって生成される2D画像を示す図である。
図5】検出された粒子の高さを表示する測定結果を示す図である。
図6】検出された粒子を含む医療用容器の内部表面の幾何学的情報を表す3Dグラフィックスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、医療用容器の一部分の内部、および/またはその上に存在し得る粒子を検出、計数、および/または測定するために、白色光共焦点技術を使用する。
【0027】
今現在、白色光共焦点技は、当業者に広く知られており、主に、対象までの距離の測定、対象の厚み、および/または対象の表面の粗さの測定に使用される。医療用容器の一部分の内部、および/またはその上の潜在的な粒子の存在を検出するためにこの技術を適用した事例は報告されていない。本発明によって検出できる粒子は、限定されないが、ガラス、プラスチック、または綿の粒子、並びに医療製品凝集物のような異物粒子を含む。粒子は、医療用容器の製造工程中で生成されることがあり、異物粒子は、医療用容器のその製造工程で付着されることもある。
【0028】
図1は、実施形態による検査システム10を概略的に示す。図示された実施形態では、検査システム10は、ガラス製の注射器100のような医療用容器の検査を実施するために使用される。
【0029】
注射器100は、一般に、X軸を画定することができるその長手方向軸に沿って延びる長手方向形状を有する。注射器100は、長手方向軸に沿って延びる中空の円筒バレル102と、注射針を装着することができる先端部104と、注射する際に注射器100を保持するフランジ部106とを含む。円筒バレル102は、注射を実施するためにプランジャ(図示せず)を先端部分104に向かって押したり、先端部分104から引き離したりすることができる内部キャビティを画定する。
【0030】
ここでは、検査される対象として、ガラス注射器100を例として表示する。しかし、他の医療用容器も、それらの容器が光透過性材料、または非不透明材料で作られている限り、それらのサイズ、形状および用途に関係なく、同様の方法で本発明によって検査され得る。材料は、透明でも半透明でもよく、好ましくはガラスであるが、プラスチックでもよい。
【0031】
図1に示すように、検査システム10は、注射器100の検査実施のための白色光共焦点システム20と、検査中に注射器100を回転および並進可能に保持するためのホルダ12とを含む。
【0032】
注射器100は、回転駆動装置50によって、バレル102の中心軸の周りをホルダ12上で回転させることができる。回転駆動装置50は、いずれの公知の回転駆動装置であってもよい。ホルダ12は、注射器100と共にX軸に沿って移動可能のように構成されてもよい。
【0033】
白色光共焦点システム20は、光学ケーブル24を介して互いに連結されたセンサヘッド22と、制御装置30を含む。
【0034】
光学ケーブル24は、光学ファイバ束を含むことができる。制御装置30は、光源32と工学システム34、2次元(2D)データ処理ユニット36、および任意に3次元(3D)データ処理ユニット38をさらに含む。
【0035】
図示しないが、制御装置30は、注射器100の検査に必要なデータ処理の実施するように構成されたコンピュータを含む。したがって、制御装置30は、多様な計算を実施するためのプロセッサ、センシング装置、または計算によって得られるデータ、または情報を一時的に保存するためのランダムアクセスメモリ(RAM)、操作ソフトウェアを保存するための読み出し専用メモリ(ROM)、およびパラメータを保存するための不揮発性メモリ、参照テーブル、注射器100の意図された領域を走査するためのセンサヘッド22の動作を制御するためのプログラム、および得られた情報に基づいて粒子を検出、計数、および/または測定するための画像処理を実行するために必要なプログラムなどを含む。
【0036】
光源32は、多色光や白色光、好ましくは白色光などの光を発するように構成されたいずれの公知の照明装置であってもよい。光学システム34は、光源32によって発光された光を、光学ケーブル24を介して、センサヘッド22に伝達するための光学装置含むこともできる。光学システム34は、また、センサヘッド22によって受信された光を2Dデータ処理ユニット36、および3Dデータ処理ユニット38に伝達するための光学装置
を含むこともできる。
【0037】
センサヘッド22は、2Dセンサ26、および3Dセンサ28を備える。2Dセンサ26、および3Dセンサ28は、同じセンサヘッド22に設けられてもよい。読みやすくするために、一つの2Dセンサ26、および一つの3Dセンサ28のみが図1に図示される。あるいは、2Dセンサ26、および3Dセンサ28は、別個の専用のセンサヘッドに設けてもよい。
【0038】
2Dセンサ26は、検査される注射器100の一部分を白色光で走査するように構成され、注射器100の一部分によって反射された光を受信する。その後、反射光は、2Dデータ処理ユニット36に伝達される。3Dセンサ28は、2Dデータ処理に基づいて粒子が検出される注射器100の一部分を走査し、注射器100の一部分によって反射された光を受信するように構成される。その後、反射光は、3Dデータ処理ユニット38に伝達される。
【0039】
それぞれの2Dセンサ26、および3Dセンサ28は、光源32からの白色光に色収差を与えるための回折レンズのような光学レンズ(図示せず)を含むことができる。また、センサヘッド22は、センサヘッド22から出射される光ビームLBを測定対象物に向けるための対物レンズ(図示せず)を含むこともできる。
【0040】
本発明によれば、光ビームLBは、検査のために走査される注射器100の一部分に向けられる。一実施形態では、図2に示すように、注射器100の内部表面110を検査のために走査することができる。別の実施形態では、注射器100の外部表面112も検査のために走査することができる。さらに別の実施形態では、外部表面112と内部表面110との間に延びる注射器100内の任意の点も走査することができる。
【0041】
色数差により、光ビームLBは、各波長に応じて、Z軸で画定され得るその光軸に沿って異なる焦点位置を有する。図2では、読みやすくするために、注射器100の内部表面110上の測定点Mに焦点を合わせた光ビームLBのみを示す。共焦点構成のおかげで、内部表面110上の測定点Mによって反射された光ビームLBのみ収集され、光ケーブル24で伝達され、その後、制御装置30の光学システム34に伝達される。注射器100の内部表面110の測定点M上に焦点を有しない他の光ビームは、センサヘッド22によって収集されない。
【0042】
再度図1を参照すると、センサヘッド22は、注射器100のバレル102に沿って、すなわちX軸に沿って移動するように構成され得る。線形駆動装置60を使用して、センサヘッド22がバレル102の全長に沿って移動させることができる。この構成により、バレル102の全長にわたって確実に検査を実施することができる。あるいは、または付加的に、ホルダ12は、バレル102の全長にわたる検査を可能にするために、センサヘッド22に対して注射器100と共に移動可能であるように構成され得る。さらに、回転駆動装置50は、注射器100をセンサヘッド22に対して移動させ、バレル102の全周にわたって検査を可能にすることができる。
【0043】
図3は、共焦点色数差システム20によって、検出された光の波長に対する信号強度を示す。信号強度は、波長λに対して最大値を有する。波長λの光ビームは、注射器100の内部表面110上、または図2の測定点M上に焦点を有する。特定の波長と測定対象までの距離に対する焦点位置との関係は、事前に決定することができる。事前に決められた関係に基づき、最も信号強度の高い反射光の波長を監視することにより、注射器100の内部表面110の測定点Mまでの距離を求めることができる。
【0044】
2Dデータ処理ユニット36は、2Dセンサ26を介して測定対象から反射された光に基づいて測定結果を取得し、測定対象物の2D画像を生成するように構成される。2D画像は、2D画像上の粒子の寸法、例えば、粒子の長さまたは幅を計算するために、使用することができる。ここでいう長さとは、2D画像上のその長手方向に沿った粒子の寸法、例えば、X軸に沿った粒子の寸法を指す。ここでいう幅とは、2D画像上のその長手方向の垂直方向に沿った粒子の寸法、例えば、Y軸に沿った粒子の寸法を指す。2D画像は、粒子の高さ(または厚さ)情報が不足している。高さは、長さおよび幅が画定される方向に垂直な方向に画定され得る。高さは、Z軸に沿った粒子の寸法として画定することもできる。
【0045】
図4は、本実施形態による2Dセンサ26、および2Dデータ処理ユニット36によって得られたデータに基づいて、共焦点色数差システム20によって生成された2D画像である。図4の2D画像は、全周(すなわち、中心の周り360°)にわたる注射器100の内部表面110、および注射器100の長手方向(X軸)に沿って1.0cmの全長を表す。図のように、2D画像は、図4の円および矢印によって強調されるように、内部表面110上の粒子Pの存在を表示する。
【0046】
3Dデータ処理ユニット38は、3Dセンサ28を介して測定対象によって反射された光に基づく測定結果を取得し、測定対象物の3D幾何学的情報、すなわち、粒子の幅、長さ、および高さを取得するように構成される。図5は、検出された粒子の高さを表示する測定結果を示す。図5の強調された領域Rは、検出された粒子の位置と高さを表示する。
【0047】
ここから、検査システム10を用いた検査方法を説明する。
【0048】
本発明によって検査される医療用容器は、検査開始前にいかなる任意の流体(液体および/または気体)を空にすることができる。あるいは、検査は、医療用容器に医療製品が充填された状態で実施することもできる。
【0049】
白色光共焦点システム20は、事前に構成することができ、センサヘッド22によって放出する光ビームLBを指向し、検査が必要な医療用容器の一部分に焦点を合わせる。例えば、白色光共焦点システム20は、光ビームLBを指向し、医療用容器の内部表面、例えば、図2で示した注射器100の内部表面110に焦点を合わせるように構成され得る。医療用容器の内部表面は、内部キャビティを画定し、典型的に粒子の存在を回避する必要がある部分であるため、検査が必要である。図示のために、注射器100の内部表面110の検査について以下に説明する。
【0050】
まず、粒子の検出は、2Dセンサ26を用いて注射器100の内部表面110全体の2D画像を取得することで実施される。白色光共焦点システム20は、2Dセンサ26から放出される光ビームLBを用いて、注射器100の内部表面110を走査するように制御される。センサヘッド22は、白色光が2Dセンサ26から放出され、注射器100の内部表面110に対して、実質的に直交する方法で、注射器100に対して配置される。注射器100の全周を走査するために、走査は、注射器100が回転駆動装置50によって回転する際に実行される。回転速度は、白色光共焦点システム20の処理速度に基づいて、調整される。この段階では、粒子が検出された場合、粒子の高さを測定することなく、粒子の長さおよび幅のような2D情報のみが取得される。したがって、処理速度が非常に高速である。
【0051】
走査が注射器100の円周を処理している間、センサヘッド22、またはホルダ12は、注射器100の長手方向、すなわちX軸、に沿って動かされ、バレル102の全長が白色光共焦点システム20によって走査されるまで、走査を続ける。
【0052】
走査完了後、2Dデータ処理ユニット36は、図4で示すように、2Dセンサ26によって取得されたデータから2D画像を生成し、ここで、粒子Pは、2Dセンサ26による信号検出から惹起された干渉の結果として現れる。
【0053】
2Dデータ処理ユニット36は、画像上に存在するように見える任意の粒子検出するため、2D画像を処理する。画像処理の結果として、2D画像上の粒子Pの寸法(例えば、長さおよび幅)、および位置は、識別される。2D処理ユニット36は、2D画像上の粒子数を取得することもできる。
【0054】
したがって、白色光共焦点システム20の2Dセンサ26によって、取得されたデータから生成された2D画像を評価することによって、注射器100の内部表面110の内部、またはその上に粒子が存在するか否かを評価することができる。
【0055】
次に、前段階によって検出された粒子の高さ測定が実行される。各粒子の位置を知っているため、白色光共焦点システム20は、注射器100の内部表面110の前段階の検出処理で検出された粒子を含む領域のみを走査する。
【0056】
この第2の段階では、3Dセンサ28、および3Dデータ処理ユニット38によって3D測定が実施される。したがって、検出された粒子の高さを含む、完全なプロファイルを識別することができる。3D測定の結果に基づき、粒子近傍領域の幾何学的情報を表す3Dグラフィックスが、例えば、図6で示すように、生成され得る。
【0057】
上記の検査処理を通じて、医療用容器で発見される粒子数、各粒子の位置、および各粒子の3Dプロファイルのような以下の情報が取得される。制御装置30は、サイズ、または他の幾何学的情報によって分類される、識別された粒子のリストを生成する。
【0058】
本発明による検査処理は、粒子の位置を含めて、10μmまたはそれ以上の粒子の迅速な検出を可能にする。その後の3Dは、粒子が検出された一部分に対してのみ実行される。その結果、操作全体が、例えば、5分未満などの非常に短時間で、完了する場合がある。検査される注射器の長さおよび直径によって、必要とされる時間は、さらに短縮することができる。また、検索システムより、非破壊的方法で徹底的に検査することができる。白色光共焦点システムは、市場で広く利用可能であるため、本発明を実施することは、容易である。
【0059】
本明細書に開示された実施形態は、単に例示を目的として提示されたものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6