(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】通信ケーブル及び通信ケーブルアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01B 7/00 20060101AFI20250131BHJP
【FI】
H01B7/00 310
(21)【出願番号】P 2023142524
(22)【出願日】2023-09-01
【審査請求日】2024-01-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591004146
【氏名又は名称】平河ヒューテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 友樹
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/092812(WO,A1)
【文献】Andrew Rogers,USB Type-CTMの概要,日本,Microchip Technology Inc.,2015年02月09日,pp1-16,http://ww1.microchip.com/downloads/jp/AppNotes/00001953A_JP.pdf,[ONLINE][検索日:2017/04/05]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両方の端末が
一対のプラグに電気的に接続される通信ケーブルであって、
高速差動信号を伝送する2つの第1の差動対と、低速差動信号を伝送する第2の差動対と、電源線と、グランド線と、前記プラグの表裏の向きを検出するためのコンフィギュレーションチャネル線と、
これらを含む複数の芯線の外側を被覆する外径3.7mm以上のシースと、を有し、
前記
一対のプラグは、
それぞれ嵌合部の形状及び構造に関してUSB Type-C規格に準拠し
たものであり、
前記第1の差動対は、前記2つの第1の差動対以外に有しない
構成であり、
前記第1の差動対を構成する信号線は、中心の導体と、前記導体を被覆する絶縁層とを備え、前記信号線の前記導体の導体径は、0.24mm以上であり、ケーブル径に対する前記導体の導体径の比は、0.06以上である、
通信ケーブル。
【請求項2】
前記プラグ内の回路用電源線、をさらに有する請求項1に記載の通信ケーブル。
【請求項3】
前記ケーブル径に対する前記高速差動信号の通信可能距離の比が800以上である、
請求項
1に記載の通信ケーブル。
【請求項4】
前記複数の芯線の芯線数が9以上、14以下である、
請求項1に記載の通信ケーブル。
【請求項5】
ケーブルの中心付近に配置された介在物、をさらに備え
、
前記複数の芯線が前記介在物の周囲に配置された請求項1に記載の通信ケーブル。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載の通信ケーブルと、
前記一対のプラグと、
前記通信ケーブルの両方の端末
と前記一対のプラグとを電気的に接続
する一対のコネクタ基板と、
を備えた通信ケーブルアッセンブリ。
【請求項7】
前記コネクタ基板は、基材と、前記基材に形成され、前記2つの第1の差動対の前記導体が接続される2つの端子対、及び前記コンフィギュレーションチャネル線が接続されるコンフィギュレーションチャネル端子を含む複数の端子が前記通信ケーブルの長手方向に直交する方向に配列されている端子群と、を備え、
前記端子対は、前記2つの端子対以外に有しないものであり、
前記端子群の前記複数の端子は、前記基材の表面に形成され、前記2つの端子対のうち一方の端子対を含む複数の表面端子と、前記基材の裏面に形成され、前記2つの端子対のうち他方の端子対を含む複数の裏面端子とに分割され、前記コンフィグレーションチャネル端子は、前記複数の表面端子又は前記複数の裏面端子に含まれ、
前記端子対の端子間のピッチは、1.2mm以上である、
請求項6に記載の通信ケーブルアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ケーブル及び通信ケーブルアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コストの低減及び伝送特性の向上を図ることが可能な伝送ケーブルが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
インターフェース規格の一つのUSB(Universal Serial Bus)規格は、現在までに様々策定され、最大転送速度が向上してきている。例えば、USB1.0及びUSB1.1では12Mbps、USB2.0では480Mbps、USB3.0では5Gbps、USB3.1では10Gbps、USB3.2では20Gbpsとなっている。一方、コネクタについては、Type-AとType-Bが規定されていたが、USB3.1以降はコネクタがリバーシブルなType-Cが規定されている。
【0004】
また、USB用のケーブルは、1本のケーブルで様々な通信ができるようになってきており、このために芯線の構成が複雑化し、芯線数が増加してきている。例えば、USB2.0では4芯、USB3.0では8芯、USB Type-Cでは15芯が推奨されている。
【0005】
特許文献1に記載された伝送ケーブルは、USB Type-C規格に準拠した伝送ケーブルであり、8本の同軸線(10Gbps伝送用)と、4本の信号線(第1のSBU線、第2のSBU線、CC線及びVconn線)と、1本の電源線と、2本のグランド線と、一対の撚り対線とを含む17芯のケーブルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のUSB Type-C規格に準拠した伝送ケーブルは、スマートフォン用充電ケーブルとして、多くの国で主流を占めている。さらに、スマートフォンに限らず、PCや他の通信機器、画像機器についても、USB Type-C規格を電源ケーブルや通信ケーブルとして採用する動きが出ている。これはケーブルの特性を統一化するためではなく、コネクタのプラグ(嵌合部)及び接続対象機器のレセプタクルを統一化して利便性を高めるためと考えられる。一方、USB Type-C規格では、ケーブル及びコネクタのそれぞれについて仕様を定めている。このUSB Type-C規格に準拠したコネクタの基板サイズの制約からケーブル外径(ケーブル径)にも制約がある。そのため、各芯線の導体断面積を大きくできず、ケーブル長が長いと通信品質が劣化するという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、レセプタクルに対して表裏逆でも差し込みが可能なリバーシブルなプラグを使用でき、ケーブル径に対して通信可能距離を長くすることができる通信ケーブル及び通信ケーブルアッセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]両方の端末が一対のプラグに電気的に接続される通信ケーブルであって、
高速差動信号を伝送する2つの第1の差動対と、低速差動信号を伝送する第2の差動対と、電源線と、グランド線と、前記プラグの表裏の向きを検出するためのコンフィギュレーションチャネル線と、これらを含む複数の芯線の外側を被覆する外径3.7mm以上のシースと、を有し、
前記一対のプラグは、それぞれ嵌合部の形状及び構造に関してUSB Type-C規格に準拠したものであり、
前記第1の差動対は、前記2つの第1の差動対以外に有しない構成であり、
前記第1の差動対を構成する信号線は、中心の導体と、前記導体を被覆する絶縁層とを備え、前記信号線の前記導体の導体径は、0.24mm以上であり、ケーブル径に対する前記導体の導体径の比は、0.06以上である、通信ケーブル。
[2]プラグ内の回路用電源線、をさらに有する前記[1]に記載の通信ケーブル。
[3]前記ケーブル径に対する前記高速差動信号の通信可能距離の比が800以上である、前記[1]に記載の通信ケーブル。
[4]前記複数の芯線の芯線数が9以上、14以下である、前記[1]に記載の通信ケーブル。
[5]ケーブルの中心付近に配置された介在物、をさらに備え、
前記複数の芯線が前記介在物の周囲に配置された前記[1]に記載の通信ケーブル。
[6]前記[1]から[5]のいずれか1つに記載の通信ケーブルと、
前記一対のプラグと、
前記通信ケーブルの両方の端末と前記一対のプラグとを電気的に接続する一対のコネクタ基板と、を備えた通信ケーブルアッセンブリ。
[7]前記コネクタ基板は、基材と、前記基材に形成され、前記2つの第1の差動対の前記導体が接続される2つの端子対、及び前記コンフィギュレーションチャネル線が接続されるコンフィギュレーションチャネル端子を含む複数の端子が前記通信ケーブルの長手方向に直交する方向に配列されている端子群と、を備え、
前記端子対は、前記2つの端子対以外に有しないものであり、
前記端子群の前記複数の端子は、前記基材の表面に形成され、前記2つの端子対のうち一方の端子対を含む複数の表面端子と、前記基材の裏面に形成され、前記2つの端子対のうち他方の端子対を含む複数の裏面端子とに分割され、前記コンフィグレーションチャネル端子は、前記複数の表面端子又は前記複数の裏面端子に含まれ、
前記端子対の端子間のピッチは、1.2mm以上である、前記[6]に記載の通信ケーブルアッセンブリ。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、5-7に係る発明によれば、レセプタクルに対して表裏逆でも差し込みが可能なリバーシブルなプラグを使用でき、ケーブル径に対して通信可能距離を長くすることができる。
請求項2に係る発明によれば、プラグ内の回路として、ICチップ(eMarker)を用いることで、機器への高速充電が可能となる。
請求項3、4に係る発明によれば、ケーブル径を従来と同じとした場合、通信可能距離を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信ケーブルアッセンブリの一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す通信ケーブルの一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、USB Type-C規格に準拠したケーブルに対応するコネクタ基板を示し、(a)はコネクタ基板を表側から見た平面図、(b)はコネクタ基板を裏側から見た平面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態に係るコネクタ基板の一例を示し、(a)はコネクタ基板を表側から見た平面図、(b)はコネクタ基板を裏側から見た平面図である。
【
図5】
図5は、第1の差動対を
図4に示すコネクタ基板に接続する様子を説明するための図を示し、(a)はコネクタ基板を表側から見た平面図、(b)はコネクタ基板を裏側から見た平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る通信ケーブルの一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る通信ケーブルの一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第4の実施の形態に係る通信ケーブルの一例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第1の差動対を
図4に示すコネクタ基板に接続する様子を説明するための図を示し、(a)はコネクタ基板を表側から見た平面図、(b)はコネクタ基板を裏側から見た平面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第5の実施の形態に係る通信ケーブルの一例を示す断面図である。
【
図11B】
図11Bは、それぞれの通信可能距離に対応するケーブル長による減衰特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0013】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信ケーブルアッセンブリの一例を示す平面図である。この通信ケーブルアッセンブリ100は、通信可能距離内の所定の長さの通信ケーブル1と、通信ケーブル1の一方の端末に接続された第1のプラグコネクタ(以下「第1のコネクタ」と略す。)110Aと、通信ケーブル1の他方の端末に接続された第2のプラグコネクタ(以下「第2のコネクタ」と略す。)110Bとを備える。
【0014】
通信ケーブル1は、USB Type-C規格に準拠したケーブルの芯線構成に対して芯線数を減らして9芯のケーブルとしたものである。すなわち、USB Type-C規格に準拠したケーブルは、4対の高周波信号線(SSTX1線、SSRX1線、SSTX2線、SSRX2線)を有するが、本通信ケーブル1は、高周波信号線を2対(例えば、(SSTX1線、SSRX1線)に限定したものである。
【0015】
また、USB Type-C規格に準拠したケーブルは、オルタネートモード(HDMI(登録商標) DisplayPort等)のための信号線(SBU1線、SBU2線)を有するが、本通信ケーブル1は、オルタネートモードを有していない構成、言い換えると、信号線(SBU1線、SBU2線)を含まない構成、又はUSB信号に特化した構成としている。なお、必要に応じて信号線(SBU1線、SBU2線)を付加してもよい。
【0016】
上記構成により、芯線数を減らすことができ、ケーブル径を従来と同じとした場合、SSTX1線、SSRX1線の導体径を大きくでき、通信可能距離を長くすることができる。すなわち、ケーブル径に対する通信可能距離を長くすることができる。また、USB Type-C規格に準拠したCC線を残すことで、USB Type-C規格に準拠したコネクタ、すなわちレセプタクルに対して表裏(上下)逆でも差し込みが可能なリバーシブルなプラグを採用することができる。また、芯線数を減らすことができることから、芯線を太くでき、後述するように樹脂層の材料の選択上のメリット、製造上のメリット等が得られる。なお、USB Type-C規格に準拠したコネクタの統一化による利便性を享受すべく、少なくともコネクタの嵌合部の形状及び構造が接続対象となる機器のUSB Type-C規格の嵌合部の形状及び構造に整合するものであればよく、コネクタの嵌合部以外のコネクタ基板やケーブルの形状及び構造は、USB Type-C規格に準拠していなくてもよい。また、通信品質を劣化させずにケーブル長を長くすることができ、軽量化も図れることから、例えば、車載機器に使用することも可能である。
【0017】
第1のコネクタ110Aは、例えば、コンピュータに設けられたレセプタクルに接続されるものであり、樹脂製のハウジング111Aと、ハウジング111Aから露出するように設けられたプラグ112Aと、ハウジング111A内に配置されたコネクタ基板200とを備える。第1のコネクタ110Aのコネクタ基板200Aは、プラグ112Aと通信ケーブル1の一方の端末とを電気的に接続する。
【0018】
第2のコネクタ110Bは、例えば、周辺機器に設けられたレセプタクルに接続されるものであり、
図1(a)に示すように、第1のコネクタ110Aと同一のコネクタを用いる。すなわち、第2のコネクタ110Bは、樹脂製のハウジング111Aと、ハウジング111Aから露出するように設けられたプラグ112Aと、ハウジング111A内に配置されたコネクタ基板200Aとを備える。第2のコネクタ110Bのコネクタ基板200Aは、プラグ112Aと通信ケーブル1の他方の端末とを電気的に接続する。
【0019】
なお、本実施の形態では、
図1(a)に示すように、第1のコネクタ110Aと第2のコネクタ110Bは、同一のコネクタを用いているが、
図1(b)に示すように、異なるコネクタを用いてもよい。例えば、第2のコネクタ110Bは、コネクタ抜け防止用のネジを備えた樹脂製のハウジング111Bと、ハウジング111Bから露出するように設けられたプラグ112Bと、ハウジング111B内に配置されたコネクタ基板200Aとを備える。また、本実施の形態では、第1のコネクタ110Aのコネクタ基板200Aと第2のコネクタ110Bのコネクタ基板200Aは、同一の基板を用いているが、互いに異なる基板を用いてもよい。
【0020】
(通信ケーブルの構成)
図2は、
図1に示す通信ケーブル1の一例を示す断面図である。この通信ケーブル1は、高速差動信号(例えば、5Gbps~20Gbps)を伝送する2つの第1の差動対2A、2Bと、低速差動信号(例えば、480Mbps)を伝送する第2の差動対3と、電源線4(Vbus線)と、グランド線5と、USB Type-C規格に準拠したプラグの表裏の向きを検出するためのコンフィギュレーションチャネル線(以下「CC線」という。)6とを有し、第1の差動対は、2つの第1の差動対2A、2B以外に有しない、9芯のケーブルである。なお、通信ケーブル1は、9芯のケーブルに限定されるものではなく、10芯以上、14芯以下のケーブルでもよい。14芯以下とすることで、USB Type-Cにおける推奨芯線数(15芯)と差別化を図ることができる。また、CC線6は、USB Type-C規格に準拠していないものでもよい。
【0021】
第1の差動対2A、2Bを構成する信号線2a~2dのうち、隣り合う2本の信号線2a、2bにより第1の差動ペアを構成し、他の隣り合う2本の信号線2c、2dにより第2の差動ペアを構成している。一対の信号線2a、2bは、ドレイン線10とともに撚り合わされてシールド層11により一括して覆われている。これにより第1のツイナックスケーブル(Twinax Cable)を構成している。他方の一対の信号線2a、2bも、ドレイン線10とともに撚り合わされてシールド層11により一括して覆われ、これにより第2のツイナックスケーブル(Twinax Cable)を構成している。第1の差動対2A、2Bにツイナックスケーブルを用いた通信ケーブル1を、以下、Twinaxタイプの通信ケーブルともいう。なお、ツイナックスケーブルとして、撚り合わせないタイプでもよい。ドレイン線10は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせた撚線である。信号線2a~2dは、第1の差動対を構成する信号線の一例である。
【0022】
信号線2a~2dは、導体21と、導体21を被覆する絶縁層22とを備える。導体21は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせた撚線である。絶縁層22は、樹脂材料(例えば、架橋ポリエチレン)から形成されている。導体21は、中心の導体の一例である。
【0023】
シールド層11は、内側に設けられ、導電性テープ(例えば、アルミニウムとポリエステルとが積層されたテープ)を巻き付けて形成された内側シールド層11aと、内側シールド層11aの外側に設けられ、樹脂テープ(例えば、ポリエステルテープ)を巻き付けて形成された外側シールド層11bとを備える。
【0024】
第2の差動対3は、2本の信号線3a、3bを撚り合わせることで構成されている。信号線3a、3bは、導体31と、導体31を被覆する絶縁層32とを備える。導体31は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせた撚線である。絶縁層32は、樹脂材料(例えば、架橋ポリエチレン)から形成されている。
【0025】
電源線4は、導体41と、導体41を被覆する絶縁層42とを備える。導体41は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせた撚線である。絶縁層42は、樹脂材料(例えば、架橋ポリエチレン)から形成されている。
【0026】
グランド線5は、導体51と、導体51を被覆する絶縁層52とを備える。導体51は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせた撚線である。絶縁層52は、樹脂材料(例えば、架橋ポリエチレン)から形成されている。なお、グランド線5は、絶縁層を外周に有していない裸電線でもよい。
【0027】
CC線6は、導体61と、導体61を被覆する絶縁層52とを備える。導体61は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせた撚線である。絶縁層62は、樹脂材料(例えば、ポリ塩化ビニル)から形成されている。
【0028】
第1の差動対2A、2B、第2の差動対3、電源線4、グランド線5及びCC線6は、介在紐13とともにシールド層12により被覆され、その外側がシース7により被覆されている。シース7は、厚さ0.6~0.9mm程度の樹脂材料(例えば、ポリ塩化ビニル)から形成されている。介在紐13は、繊維質材料(例えば、木綿、絹等)から形成されている。介在紐13は、介在物の一例である。
【0029】
シールド層12は、内側に設けられ、導電性テープ(例えば、アルミニウムとポリエステルとが積層されたテープ)を巻き付けて形成された内側シールド層12aと、内側シールド層12aの外側に設けられ、金属編組(例えば、すずめっき軟銅線編組)から形成された外側シールド層12bとを備える。
【0030】
(コネクタ基板の構成)
図3は、USB Type-C規格に準拠したケーブルに対応するコネクタ基板200Bを示し、(a)はコネクタ基板200Bを表側から見た平面図、(b)はコネクタ基板200Bを裏側から見た平面図である。
図4は、本実施の形態に係るコネクタ基板200Aの一例を示し、(a)はコネクタ基板200Aを表側から見た平面図、(b)はコネクタ基板200Aを裏側から見た平面図である。
図3及び
図4において、Aはプラグ側を示し、Bはケーブル側を示し、Cはコネクタ基板の幅方向を示す。
【0031】
(USB Type-C規格に準拠したケーブルに対応するコネクタ基板の構成)
USB Type-C規格に準拠したケーブルに対応するコネクタ基板200Bは、
図3に示すように、18芯のケーブルに対応できる構成、すなわち端子(パットともいう。)数が18個となっており、絶縁材料から形成された基材201を有する。
【0032】
基材201の表面201aには、
図3(a)に示すように、プラグ側Aに設けられた端子211a~211lからなるプラグ側表面端子群211と、プラグ側Aとケーブル側Bとの中間に設けられた端子221a、221bと、ケーブル側Bに設けられた端子231a~231iからなるケーブル側表面端子群231とが形成されている。
【0033】
基材201の裏面201bには、
図3(b)に示すように、プラグ側Aに設けられた212a~212jからなるプラグ側裏面端子群212と、プラグ側Aとケーブル側Bとの中間に設けられた端子222a、222bと、ケーブル側Bに設けられた端子232a~232iからなるケーブル側裏面端子群232とが形成されている。
【0034】
ケーブル側表面端子群231の端子231a~231iは、ピッチ0.9~1.0mmで形成され、ケーブル側裏面端子群232の端子232a~232iは、ピッチ0.9~1.0mmで形成されている。すなわち、コネクタ基板200Bの幅方向Cにおける端子の最小ピッチを0.9mmとしている。
【0035】
(本実施の形態に係るコネクタ基板の構成)
本実施の形態に係るコネクタ基板200Aは、USB Type-C規格に準拠したものではあるが、
図4に示すように、9芯及び10芯のケーブルに対応できる構成、すなわち端子(パットともいう。)数が10個となっており、絶縁材料から形成された基材201を有する。
【0036】
基材201の表面201aには、
図4(a)に示すように、プラグ側Aに設けられた端子211a~211lからなるプラグ側表面端子群211と、プラグ側Aとケーブル側Bとの中間に設けられ、プラグ112Aの図示しない金属カバー用の端子221a、221bと、ケーブル側Bに設けられた端子231a~231fからなるケーブル側表面端子群231とが形成されている。ケーブル側表面端子群231のうち端子231fは、シールド端子であり、長手方向をコネクタ基板200Aの幅方向Cとする矩形状を有する。ケーブル側表面端子群231の端子231a、321bは、一対の表面端子の一例である。シールド端子231fは、表面シールド端子の一例である。
【0037】
基材201の裏面201bには、
図4(b)に示すように、プラグ側Aに設けられた端子212a~212jからなるプラグ側裏面端子群212と、プラグ側Aとケーブル側Bとの中間に設けられ、プラグ112Aの図示しない金属カバー用の端子222a、222bと、ケーブル側Bに設けられた端子232a~232fからなるケーブル側裏面端子群232とが形成されている。ケーブル側裏面端子群232のうち端子232fは、シールド端子であり、長手方向をコネクタ基板200Aの幅方向Cとする矩形状を有する。表面201a及び裏面201bは、一方の面の一例である。ケーブル側裏面端子群232の端子232a、232bは、一対の裏面端子の一例である。シールド端子232fは、裏面シールド端子の一例である。
【0038】
ケーブル側表面端子群231のうちシールド端子231fを除く端子231a~231eは、ピッチ1.57~1.0mmで形成され、ケーブル側裏面端子群232のうちシールド端子232fを除く端子232a~232eは、ピッチ1.2~2.0mmで形成されている。すなわち、コネクタ基板200Aの幅方向Cにおける端子の最小ピッチを1.2mmとしている。
【0039】
本実施の形態に係るコネクタ基板200Aによれば、幅方向Cにおける端子の最小ピッチを、USB Type-C規格に準拠したコネクタ基板200Bの幅方向Cにおける最小ピッチに対して1.3倍以上に拡大することができる。また、ケーブルの芯数が減ったことから、コネクタ基板200Aのパッド数も削減でき、USB Type-C規格に準拠したコネクタ基板200Bと同寸法同面積に対してパット幅を例えば0.5mmから0.8mmへと広げることができる。以上の構成により、肉眼で接続作業を行うことができる。また、通信ケーブル1の接続する端部を整列させて保持する治具(整線部品)を用いなくても通信ケーブル1のコネクタ基板200Aへの接続作業を行うことができる。
【0040】
(通信ケーブルアッセンブリの製造方法)
次に、本実施の形態に係る通信ケーブルアッセンブリ100の製造方法の一例について説明する。
【0041】
まず、2つの第1の差動対2A、2B、第2の差動対3、電源線4、グランド線5、CC線6及び介在13を用意する。第1の差動対2A、2Bは、それぞれ2本の信号線2a、2b又は信号線2c、2d及びドレイン線10を撚り合わせつつ外周に導電性テープを巻き付けて内側シールド層11aを形成し、内側シールド層11aの外周に樹脂テープを巻き付けて外側シールド層11bを形成する。第2の差動対3は、2つの信号線3a、3bを撚り合わせて形成する。
【0042】
次に、用意した2つの第1の差動対2A、2B、第2の差動対3、電源線4、グランド線5、CC線6及び介在13を撚り合わせ、これらの外周に導電性テープを巻き付けることにより内側シールド層12aを形成し、内側シールド層12aの外周に金属編組を巻き付けて外側シールド層12bを形成する。次に、押出機を用いた押出成形によって、シールド層12の外周にシース7を形成する。
【0043】
以上のようにして通信ケーブル1が製造される。その後、通信ケーブル1を必要な長さに切断し、端末を第1のコネクタ110Aのコネクタ基板100A、及び第2のコネクタ110Bのコネクタ基板100Aを接続することで、通信ケーブル1の両端に第1のコネクタ100A及び第2のコネクタ100Bを備える通信ケーブルアッセンブリ100が製造される。なお、第1の差動対2A、2Bのコネクタ基板100Aへの接続作業については後述する。
【0044】
(第1の差動対の接続作業)
図5は、第1の差動対2A、2Bの信号線2a~2dを
図4に示すコネクタ基板100Aに接続する様子を説明するための図を示し、(a)はコネクタ基板100Aを表側から見た平面図、(b)はコネクタ基板100Aを裏側から見た平面図である。
【0045】
第1の実施の形態に係る通信ケーブル1の信号線2a、2bの導体21を、
図3(a)に示すUSB Type-C規格に準拠したケーブルに対応するコネクタ基板200Bのケーブル側表面端子群231の端子231a、231bに接続する場合、シールド層11を剥がし、さらに信号線2a、2bの絶縁層22を剥がし、露出した導体21をピッチの狭い端子231a、231bに接続しなければならない。一方、信号線2a、2bの導体21を
図4(a)に示すコネクタ基板200Aのケーブル側表面端子群231の端子231a、231bに接続する場合、端子231a、231bのピッチが広いため、信号線2a、2bの接続作業を容易に行うことができる。このことは、
図4(b)に示すコネクタ基板200Aの裏面201bでも同様である。ドレイン線10は、シールド層11から引き出し、プラグ112Aの図示しない金属カバーに接続する。
【0046】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態に係る通信ケーブルアッセンブリ100によれば、以下の効果を奏する。
(a)USB Type-C規格に準拠したケーブルの芯線構成に対して芯線数を削減することができ、製造コストを低減でき、軽量化も図れる。
(b)ケーブル外径が等しい場合に、芯線の外径を太くできることから、様々な特性(通信性能、耐屈曲性(繰り返し屈曲させた際の断線しにくい特性をいう。以下同じ。)、機械的強度)が向上する。また、導体が太くなることにより、成型時の射出圧による断線リスクが低減されるため、成型方法の選択肢が広がる。また、ケーブル外径が等しい場合に、信号線2a、2b等の芯線を太くできることから、絶縁層の材料の選定範囲が広がり、例えば、高価なポリアミド等のナイロン系樹脂から安価なポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂への構成材料の選定、及び低圧成型を行う専用成型機から射出成型を行う汎用成型機への成型機変更による成型時間短縮が可能となる。
(c)ケーブル径に対する高速差動信号の通信可能距離を長くできることから、ケーブル径を小さく(例えば、3.7mm)した場合、通信可能距離を短くせずに通信ケーブルの軽量化を図ることができる。また、ケーブル径を従来と同程度(例えば、6.8mm)とした場合、第1の差動対2A、2Bの導体21を太くすることができることから、通信可能距離を長くすることができる。
(d)CC線6を有しているので、レセプタクルに対して表裏(上下)逆でも差し込みが可能なリバーシブルなプラグを使用できる。
(e)コネクタ基板200Aの端子231a、231bのピッチ、及び端子232a、232bのピッチが広いため、第1の差動対2A、2Bを構成する信号線2a~2dのコネクタ基板200Aへの接続作業を容易に行うことができる。
【0047】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る通信ケーブルの一例を示す断面図である。第1の実施の形態の通信ケーブル1では、CC線6を電源線4とグランド線5との間に配置したが、本実施の形態の通信ケーブル1は、第1の差動対2Bを覆うシールド層11とグランド線5に接する位置にCC線6を配置し、信号線2a~2dの導体21の導体径を小さくして、ケーブル径を小さくしたものである。第2の実施の形態に係る通信ケーブルアッセンブリ100は、第1の実施の形態と同様に製造されるため、その説明を省略する。
【0048】
第2の実施の形態によれば、電源線4、グランド線5及びCC線6の外径を適宜選択することにより、高速差動信号の通信可能距離を短くせずにケーブル外径を第1の実施の形態よりも小さくすることができる。
【0049】
[第3の実施の形態]
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る通信ケーブルの一例を示す断面図である。第1の実施の形態の通信ケーブル1では、9芯のケーブルとしたが、本実施の形態の通信ケーブル1は、第1の実施の形態の通信ケーブル1に対してUSB Type-C規格に準拠したプラグ内回路用電源線(以下「Vconn線」という。)を付加して10芯のケーブルとしたものである。以下、第1の実施の形態と異なる点を中心説明する。
【0050】
第3の実施の形態に係る通信ケーブル1は、第1の実施の形態と同様に、2つの第1の差動対2A、2Bと、第2の差動対3と、電源線4と、グランド線5と、USB Type-C規格に準拠したCC線6とを有し、さらにVconn線8を有する10芯のケーブルである。なお、通信ケーブル1は、10芯のケーブルに限定されるものではなく、11芯以上のケーブルでもよい。また、Vconn線8は、USB Type-C規格に準拠していないものでもよい。
【0051】
Vconn線8は、導体81と、導体81を被覆する絶縁層82とを備える。導体81は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせた撚線である。絶縁層82は、樹脂材料(例えば、ポリ塩化ビニル)から形成されている。
【0052】
第1の実施の形態では、CC線6を電源線4とグランド線5との間に配置したが、本実施の形態は、電源線4とグランド線5と並べて配置し、それらの一方の側にCC線6を配置し、他方の側にVconn線8を配置したものである。CC線6及びVconn線8は、プラグに内蔵されたICチップ(eMarker)に接続される。第3の実施の形態に係る通信ケーブルアッセンブリ100は、第1の実施の形態と同様に製造されるため、その説明を省略する。
【0053】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するとともに、CC線6及びVconn線8を備えているので、充電器と機器とを当該通信ケーブル1で接続してUSB PD(Power Delivery)規格に対応した電力で機器の高速充電が可能となる。
【0054】
[第4の実施の形態]
図8は、本発明の第4の実施の形態に係る通信ケーブルの一例を示す断面図である。第1の実施の形態の通信ケーブル1では、2つの第1の差動対2A、2Bを構成する信号線2a、2bの第1の差動ペアと信号線2c、2dの第2の差動ペアをそれぞれシールド層11により一括してシールドしたが、本実施の形態の通信ケーブル1は、2つの第1の差動対2A、2Bを構成する信号線として同軸線(Coaxial Cable)9a~9dを用いたもの(Coaxialタイプの通信ケーブルともいう。)である。以下、第1の実施の形態と異なる点を中心説明する。
【0055】
第4の実施の形態に係る通信ケーブル1は、第1の差動対2Aを一対の同軸線9a、9bの第1の差動ペアにより構成し、第1の差動対2Bを一対の同軸線9c、9dの第2の差動ペアにより構成し、これらの同軸線9a~9dを外周側に配置し、中心にCC線6及び介在紐14を配置し、第1の差動対2A、2B、第2の差動対3、電源線4及びグランド線5は、介在紐13とともにシールド層12により被覆され、その外側がシース7により被覆されている。介在紐14は、樹脂材料(例えば、ポリエチレン)から形成されている。同軸線9a~9dは、第1の差動対を構成する信号線の一例である。介在紐14は、介在物の一例である。
【0056】
同軸線9a~9dは、中心導体91と、中心導体91を被覆する内側絶縁層92と、内側絶縁層92の外側に形成された外側導体93と、外側導体93を被覆する外側絶縁層94とを備える。中心導体91は、例えば、複数の金属素線を撚り合わせて形成された撚線である。内側絶縁層92は、樹脂材料(例えば、架橋ポリエチレン)から形成されている。外側導体93は、例えば、金属編組等から形成されている。外側絶縁層94は、樹脂材料(例えば、ポリ塩化ビニル)から形成されている。中心導体91は、中心の導体の一例である。
【0057】
(通信ケーブルアッセンブリの製造方法)
次に、第4の実施の形態に係る通信ケーブルアッセンブリ100の製造方法の一例について説明する。
【0058】
まず、2つの第1の差動対2A、2B、第2の差動対3、電源線4、グランド線5、CC線6及び介在13、14を用意する。第1の差動対2A、2Bは、それらを構成する4本の同軸線9a~9dを用意する。第2の差動対3は、2つの信号線3a、3bを撚り合わせることで形成する。
【0059】
次に、用意した2つの第1の差動対2A、2B、第2の差動対3、電源線4、グランド線5、CC線6及び介在13、14を撚り合わせ、これらの外周に導電性テープを巻き付けることにより内側シールド層12aを形成し、内側シールド層12aの外周に金属編組を巻き付けて外側シールド層12bを形成する。次に、押出機を用いた押出成形によって、シールド層12の外周にシース7を形成する。
【0060】
以上のようにして通信ケーブル1が製造される。その後、通信ケーブル1を必要な長さに切断し、端末を第1のコネクタ110Aのコネクタ基板100A、及び第2のコネクタ110Bのコネクタ基板100Aを接続することで、通信ケーブル1の両端に第1のコネクタ100A及び第2のコネクタ100Bを備える通信ケーブルアッセンブリ100が製造される。なお、第1の差動対2A、2Bを構成する同軸線9a~9dのコネクタ基板100Aへの接続作業については後述する。
【0061】
(第1の差動対の接続作業)
図9は、第1の差動対を
図4に示すコネクタ基板に接続する様子を説明するための図を示し、(a)はコネクタ基板を表側から見た平面図、(b)はコネクタ基板を裏側から見た平面図である。
【0062】
第4の実施の形態に係る通信ケーブル1の同軸線9a、9bの中心導体91を、
図3(a)に示すUSB Type-C規格に準拠したケーブルに対応するコネクタ基板200Bのケーブル側表面端子群231の端子231a、231bに接続する場合、外側絶縁層94を剥がし、さらに同軸線9a、9bの内側絶縁層92を剥がし、露出した中心導体91をピッチの狭い端子231a、231bに接続しなければならない。また、外側導体93を1本の導線のように引き出してシールド端子(プラグ112Aの図示しない金属カバー)に接続する必要がある。一方、同軸線9a、9bの中心導体91を
図4(a)に示すコネクタ基板200Aのケーブル側表面端子群231の端子231a、231bに接続する場合、端子231a、231bのピッチが広いため、同軸線9a、9bの接続作業を容易に行うことができる。また、露出した外側導体93を1本の導線のように引き出さなくても外周面をシールド端子231fに接続することができる。このことは、
図4(b)に示すコネクタ基板200Aの裏面201bでも同様である。
【0063】
(第4の実施の形態の効果)
第4の実施の形態に係る通信ケーブル1よれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するとともに、第1の差動対2A、2Bを構成する信号線として同軸線9a~9dを用いているので、同軸線9a~9dの外側絶縁層94を剥がして露出した外側導体93の外周面をシールド端子231f、232fに接続できることから、同軸線9a~9dのコネクタ基板200Aへの接続作業が容易となる。
【0064】
また、第1の差動対2A、2Bとして同軸線(Coaxial Cable)9a~9dを採用しているので、同軸線9a~9dが互いに独立していることで差動における特性変化が非常に少ないことから、Twinaxタイプの通信ケーブルと比較して、耐屈曲性を向上させることができる。このことは以下の耐久試験の結果から明らかである。すなわち、本実施の形態からCC線6を省いた8芯のCoaxialタイプの通信ケーブルをケーブルベア(登録商標)に取り付け、所定の条件(移動距離:1m、曲げ速度:30回/分、曲げ半径(内側):75mm)で移動曲げを繰り返し行う耐久試験を行った結果、移動曲げが3000万回を超えてもシースの損傷や伝送特性に多少影響があるものの、必要とする特性は維持できている。一方、芯線構成を同じ8芯としたTwinaxタイプの通信ケーブルでは、移動曲げが10万回を超えると、機械的ダメージにより第1の差動対2A、2Bにおける伝送特性変化をもたらし、通信劣化を引き起こす。
【0065】
[第5の実施の形態]
図10は、本発明の第5の実施の形態に係る通信ケーブルの一例を示す断面図である。本実施の形態に係る通信ケーブル1は、第4の実施の形態に係る通信ケーブル1に対して、中心にVconn線8を付加し、樹脂材料(例えば、ポリエチレン)から形成された2つの介在紐14a、14bを用いたものである。介在紐14a、14bは、介在物の一例である。なお、第5の実施の形態に係る通信ケーブルアッセンブリ100は、第4の実施の形態と同様に製造されるため、その説明を省略する。
【0066】
第5の実施の形態に係る通信ケーブル1よれば、第4の実施の形態と同様の効果を奏するとともに、CC線6及びVconn線8を備えているので、充電器と機器とを当該通信ケーブル1で接続してUSB PD(Power Delivery)規格に対応した電力で機器の高速充電が可能となる。また、第1の差動対2A、2Bとして同軸線9a~9dを採用しているので、耐屈曲性を向上させることができる。
【実施例】
【0067】
第1の実施の形態に対応する実施例1、第2の実施の形態に対応する実施例2、及び比較例について、以下に説明するように、通信性能(通信可能距離及び減衰特性)を試験して評価した。
【0068】
(通信可能距離の試験条件)
コンピュータとしてのPCと周辺機器としてのカメラとを試験対象の通信ケーブルで接続した。PCはHP社製のProBook 430 G5を用い、カメラはIDS社製のUSB3.1 Gen1 uEye SEシリーズを用いた。試験対象の通信ケーブルは、以下の実施例1、実施例2及び比較例とした。これらの構成を表1に示す。なお、表1において、Tは錫メッキ軟銅線を示し、AGは銀メッキ軟銅線を示す。また、比較例では実施例1及び実施例2との比較可能な電線のみを表1に示す。
【0069】
【0070】
実施例1は、9芯のケーブル径6.8mmを用い、第1の差動対2A、2Bを構成する信号線2a~2dの導体21としてAWGサイズ27(導体径0.42mm)を用いた。ケーブル径Dに対する導体径d(d/D)は0.062であった。
【0071】
実施例2は、9芯のケーブル径3.7mmを用い、第1の差動対2A、2Bを構成する信号線2a~2dの導体21としてAWGサイズ32(導体径0.24mm)を用いた。ケーブル径Dに対する導体径d(d/D)は0.065であった。
【0072】
比較例は、17芯のケーブル径5.2mmを用い、第1の差動対を構成する信号線の導体としてAWGサイズ30(導体径0.3mm)を用いた。ケーブル径Dに対する導体径dの比(d/D)は0.058であった。当該比(d/D)が0.07を超えると、通信ケーブルの重量が増加するすることから、実施例1、実施例2及び比較例より、比(d/D)は0.06以上0.07以下が好ましいといえる。
【0073】
(通信可能距離の評価方法)
カメラで撮影した映像を試験対象の通信ケーブルを介してPCに送信し、10分間の撮像中に映像が固まる、落ちる、ノイズ、画像変色等の有無で通信性能(通信可能距離)を評価した。10分間映像に問題ない場合を○、PCに映像が写らない場合を×とした。評価結果を表2に示す。
【0074】
(減衰特性)
図11Aは、ケーブル長を3mとした場合の減衰特性を示す図である。
図11Bは、それぞれの通信可能距離に対応するケーブル長(使用ケーブル長)による減衰特性を示す図である。使用したカメラのデータ転送速度が5Gbpsであることから、2.5GHz付近の減衰特性を測定した。
【0075】
通信ケーブルの長さを3mとした場合の減衰量は、通信ケーブルのAWGサイズが起因しており、
図11Aに示すように、AWGサイズが小さいほど(導体径が大きいほど)減衰量が小さくなった。すなわち、周波数2.5GHz付近における減衰量は、実施例1では6dB、実施例2では11dB、比較例では8dBとなった。これらの減衰量の値を表2に示す。
【0076】
通信可能距離に対応するケーブル長における減衰量は、
図11Bに示すように、実施例1、2の場合、周波数2.5GHz付近で13dBであり、これが通信限度と推定できる。一方、比較例の場合、周波数2.5GHz付近で8dBと小さいものの、電源線4(Vbus線)による電源供給仕様、GNDとの電位差その他の要因により通信可能距離が最も短い3mとなった考えられる。上記減衰量の値を表2に示す。
【0077】
【0078】
(評価のまとめ)
(1)実施例1(ケーブル径6.8mm)は、比較例(ケーブル径5.2mm)と比較して、通信可能距離を3mから6mと2倍に延ばすことができた。実施例2(ケーブル径3.7mm)は、比較例(ケーブル径5.2mm)と比較して、同等の通信性能を有し、通信ケーブルの軽量化を図ることができた。
(2)ケーブル径をD、通信可能距離をLとしたとき、通信性能の評価値として、ケーブル径Dに対する通信可能距離L(L/D)は、実施例1はL/D=6000mm/6.8mm=882、実施例2はL/D=3500mm/3.7mm=946、比較例はL/D=3000mm/5.2mm=577となった。したがって、ケーブル径に対する通信可能距離L/Dは、800以上あるいは880以上が好ましく、900以上あるいは940以上がより好ましいといえる。
【0079】
(芯線の配置例)
図12の(a)~(q)は、通信ケーブル1を構成する芯線の配置例を模式的に示す図である。
図12(a)~(e)は、高い耐屈曲性を必要としない芯線のレイアウトを示す図、
図12(f)~(q)は、高い耐屈曲性を必要とする芯線のレイアウトを示す図である。また、
図12(a)は、第1の実施の形態(
図2)に対応し、
図12(c)は、第3の実施の形態(
図7)に対応し、
図12(i)は、第4の実施の形態(
図8)に対応し、
図12(l)は、第5の実施の形態(
図10)に対応する。
【0080】
第1の差動対2A、2Bにツイナックスケーブルを採用した9芯の通信ケーブル1において、電源線(芯線No.7)及びグランド線(芯線No.8)は、第1の実施の形態では、
図12(a)に示すように、CC線(芯線No.9)の両側に配置したが、
図12(b)に示すように、第2の差動対3の両側に配置することも可能である。
【0081】
第1の差動対2A、2Bにツイナックスケーブルを採用した10芯の通信ケーブル1において、CC線(芯線No.9)及びVconn線(芯線No.10)は、第3の実施の形態では、
図12(c)に示すように、電源線(芯線No.7)及びグランド線(芯線No.8)の両側に配置したが、
図12(d)に示すように、第2の差動対(芯線No.5、6)の両側に配置してもよい。また、
図12(e)に示すように、第2の差動対(芯線No.5、6)の両側に電源線(芯線No.7)及びグランド線(芯線No.8)を配置し、CC線(芯線No.9)及びVconn線(芯線No.10)を第2の差動対(芯線No.5、6)と反対側に配置してもよい。
【0082】
第1の差動対2A、2Bに同軸線9a~9dを採用した9芯の通信ケーブル1において、ペアとなる同軸線は、第4の実施の形態では、
図12(i)に示すように、互いに隣接したが、
図12(h)、(k)に示すように、間に電源線(芯線No.7)又はグランド線(芯線No.8)を配置してもよい。
【0083】
第1の差動対2A、2Bに同軸線9a~9dを採用した10芯の通信ケーブル1において、ペアとなる同軸線は、第5の実施の形態では、
図12(l)に示すように、互いに隣接したが、
図12(n)、(q)に示すように、間に電源線(芯線No.7)又はグランド線(芯線No.8)を配置してもよい。
【0084】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形、実施が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…通信ケーブル、2A、2B…第1の差動対、2a~2d…信号線、3…第2の差動対、3a、3b…信号線、4…電源線、5…グランド線、6…CC線、7…シース、8…Vconn線、9a~9d…同軸線、10…ドレイン線、11…シールド層、11a…内側シールド層、11b…外側シールド層、12…シールド層、12a…内側シールド層、12b…外側シールド層、13…介在紐、21…導体、22…絶縁層、31…導体、32…絶縁層、41…導体、42…絶縁層、51…導体、52…絶縁層、61…導体、62…絶縁層、81…導体、82…絶縁層、91…中心導体、92…内側絶縁層、93…外側導体、94…外側絶縁層、100…通信ケーブルアッセンブリ、110A…第1のコネクタ、110B…第2のコネクタ、111A、111B…ハウジング、112A、112B…プラグ、200A、200B…コネクタ基板、201…基材、201a…表面、201b…裏面、211…プラグ側表面端子群、211a~211l、221a、221b…端子、212…プラグ側裏面端子群、212a~212j、222a、222b…端子、231…ケーブル側表面端子群、231a~231e…端子、231f…シールド端子、232…ケーブル側裏面端子群、232a~232e…端子、232f…シールド端子
【要約】
【課題】レセプタクルに対して表裏逆でも差し込みが可能なリバーシブルなプラグを使用でき、ケーブル径に対して通信可能距離を長くすることができる通信ケーブル及び通信ケーブルアッセンブリを提供する。
【解決手段】通信ケーブル1は、高速差動信号を伝送する2つの第1の差動対2A、2Bと、低速差動信号を伝送する第2の差動対3と、電源線4と、グランド線5と、プラグの表裏の向きを検出するためのコンフィギュレーションチャネル線6と、を有し、第1の差動対は、2つの第1の差動対2A、2B以外に有しない。
【選択図】
図2