(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】自動車投光器用の信号灯装置又は照射装置
(51)【国際特許分類】
F21S 43/241 20180101AFI20250131BHJP
F21S 43/243 20180101ALI20250131BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20250131BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20250131BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20250131BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250131BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20250131BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20250131BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/243
F21S43/245
F21S43/15
F21V8/00 310
F21Y115:10
F21W103:55
F21W103:20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023143855
(22)【出願日】2023-09-05
【審査請求日】2023-09-19
(32)【優先日】2022-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ペトル マヘル
【審査官】竹中 辰利
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/241
F21S 43/243
F21S 43/245
F21S 43/15
F21V 8/00
F21Y 115/10
F21W 103/55
F21W 103/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の又は自動車投光器用の信号灯装置又は照射装置であって、
- 光線を放出するための少なくとも1つの光源(50)と、
- 少なくとも1つの前記光源(50)に割り当てられた光導体(100)とを含み、
前記光導体(100)は、入射結合部分(110)並びに光出射領域(160)を含み、
前記入射結合部分(110)を介し、少なくとも1つの前記光源(50)から放出される光線は、前記光導体(100)内に入射結合され、前記光導体(100)内を伝播し、前記光出射領域(160)を介して前記光導体(100)から出射し、
前記光出射領域(160)は、2つの光出射面(161、162)を含み、
前記入射結合部分(110)は、少なくとも1つの前記光源(50)から放出された光線がライトガイド主伝播方向(X)に指向されるように構成されており、
また前記光導体(100)は、光線分割装置(200)を含み、
前記光線分割装置(200)は、全反射面(201)を含み、前記全反射面(201)は、前記全反射面(201)に当たる光線(S1)の少なくとも一部を全反射し、それによりこれらの光線(S3)は、前記光導体(100)内で前記ライトガイド主伝播方向(X)とは異なる所定の方向(Z)に伝播し、
また前記全反射面(201)は、複数の光学的な個別構造体(202)を有し、前記個別構造体(202)は、1つの前記個別構造体(202)に当たる光線(S1)の少なくとも一部が当該個別構造体(202)を介して前記光導体(100)から出射し且つ再入射面(203)を介して再び前記光導体(100)内に入射するように構成されており、再入射した光線(S2)は、前記光出射面のうちの1つ、即ち前記再入射面(203)とは反対の位置にある第1の光出射面(161)に向けられ、それによりこれらの光線は、前記第1の光出射面(161)から主放射方向(Y)に出射することができ、
また前記全反射面(201)により全反射された光線(S3)は、前記光導体(100)の背面部(101)において全反射され、それにより第2の光出射面(162)の方に向けられ、そこでこれらの光線(S5)は、前記主放射方向(Y)の方向に前記光導体(100)から出射し、
更に各光学的な前記個別構造体(202)は、前記全反射面(201)内の窪み部として構成されており、
1つの前記窪み部は、前記光導体(100)内の開口部(2021)から始まり、前記光導体(100)内に向かって延在するマントル面部(2022、2023、2024;2022、2023、2024a、2024b)により画定されており、
前記マントル面部のうちの1つである
底面部(2022)は、当該底面部(2022)に当たる光線(S1)が当該底面部(2022)を通って前記第1の光出射面(161)の方向に通過するように配向されており、
また各前記開口部(2021)は、前記全反射面(201)内の1つの面である
開口面を開口し、1つの前記開口面は、開口面積A
B,iを有し、前記全反射面(201)は、全面積A
gesを有し、ここでA
gesは、全ての前記開口面積
A
B,i
の合計を含み、また前記第1の光出射面(161)は、第1の面積A
1を有し、前記第2の光出射面(162)は、第2の面積A
2を有し、そして、以下の式、即ち、
Σ
iA
B,i/(A
ges-Σ
iA
B,i)=A
1/A
2
が成り立つこと、
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記底面部(2022)を除いた更なる前記マントル面部(2023、2024;2023、2024a、2024b)は、前記個別構造体(202)に当たる光線と平行にないしその方向に指向されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記窪み部(202)は、三角形状の開口部(2021)と、底面部(2022)と、前記光導体(100)内に向かって延在する2つのマントル面部(2023、2024)とを有するピラミッド形状で形成されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記窪み部(202)は、少なくとも部分的にシリンダ形状で形成されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記底面部(2022)は、前記光導体(100)内に向かい、湾曲して形成されており、他の前記マントル面部(2023、2024;2023、2024a、2024b)は、平坦に形成されており、これらの平坦なマントル面部(2023、2024)は、前記ライトガイド主伝播方向(X)と平行に延在すること、
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記個別構造体(202)は、
行を成して、及び/又は列を成して、前記全反射面(201)にわたり分配されて配設されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
2つ以上の光源(50)が設けられており、それらの光源(50)の1つのために又は複数のためにそれぞれ前記入射結合部分(110)が、各光源(50)から放出された光線が前記ライトガイド主伝播方向(X)に指向されるように構成されており、それらの光源(50)は、一列に、横に並んで、前記ライトガイド主伝播方向(X)に対して横方向に配設されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記光出射面(161、162)は、直接的に互いに隣接し、1つの真っ直ぐの縁部において交わり、及び/又は一方の前記光出射面(161)は、他方の前記光出射面(162)の上側に配設されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記光出射面(161、162)を水平面と交差させた場合には、前記光出射面(161、162)が平坦に形成されていると仮定して、得られる交線(g161、g162)は、
- 特別な直線(g50)と平行に延在するか、又は、
- 特別な直線(g50)に対して斜めに延在し、
ここで特別な直線(g50)とは、水平面内に位置し且つ前記ライトガイド主伝播方向(X)に対して直角に延在する直線であること、
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
水平断面において前記全反射面(201)により得られる交線(g201)は、
- 前記特別な直線(g50)と平行であるか、又は、
- 前記特別な直線(g50)に対して斜めであること、
を特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
上側の前記光出射面(161)は、1つ又は複数の前記光源(50)とほぼ同じ高さに位置し、及び/又は、前記全反射面(201)は、少なくとも1つの前記光源(50)とほぼ同じ高さに位置すること、
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記全反射面(201)は、複数のファセット(201A)に分割されており、前記ファセット(201A)は、横に並んで位置し、また前記ファセット(201A)は、それぞれ、前記ライトガイド主伝播方向(X)に対して0°よりも大きく90°よりも小さい角度で回転されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの前記光源(50)は、LEDとして構成されているか、又は少なくとも1つのLEDを含むこと、
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の装置を1つ又は複数含んだ自動車投光器。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の装置を1つ又
は複数含んだ自動車。
【請求項16】
請求項14に記載の自動車投光器を1つ又は複数含んだ自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の記載)
本出願は、2022年9月20付けで出願の欧州特許出願第22196548.6号(DAS Code: F91B)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は、引用をもって本明細書に組み込み記載されているものとする。
【0002】
本発明は、自動車用の又は自動車投光器用の信号灯装置又は照射装置に関し、
- 光線を放出するための少なくとも1つの光源と、
- 少なくとも1つの光源に割り当てられた光導体とを含み、
光導体は、入射結合部分並びに光出射領域を含み、入射結合部分を介し、少なくとも1つの光源から放出される光線は、光導体内に入射結合され、光導体内を伝播し、光出射領域を介して光導体から出射し、光出射領域は、2つの光出射面を含み、入射結合部分は、少なくとも1つの光源から放出された光線が実質的にライトガイド主伝播方向に指向されるように、例えばコリメータの形態で構成されており、また光導体は、光線分割装置を含み、光線分割装置は、全反射面を含み、全反射面は、全反射面に当たる光線の少なくとも一部を全反射し、それによりこれらの光線は、光導体内でライトガイド主伝播方向とは異なる所定の方向に伝播し、また全反射面は、複数の光学的な個別構造体を有し、個別構造体は、1つの個別構造体に当たる光線の少なくとも一部が当該個別構造体を介して光導体から出射し且つ再入射面を介して再び光導体内に入射するように構成されており、再入射した光線は、光出射面のうちの1つ、即ち再入射面とは反対の位置にある第1の光出射面に向けられ、それによりこれらの光線は、第1の光出射面から主放射方向に出射することができ、また全反射面により全反射された光線は、光導体の背面部において全反射され、それにより第2の光出射面の方に向けられ、そこでこれらの光線は、主放射方向の方向に光導体から出射し、更に各光学的な個別構造体は、全反射面内の窪み部として構成されており、1つの窪み部は、光導体内の開口部から始まり、光導体内に向かって延在するマントル面部(境界面部:Mantelflaechen)により画定されており、マントル面部のうちの1つである所謂底面部は、底面部に当たる光線が底面部を通って第1の光出射面の方向に通過するように配向されている。
【0003】
更に本発明は、そのような装置を1つ又は複数含んだ自動車投光器に関する。
【0004】
それに加え、本発明は、そのような装置を1つ又は複数、及び/又は本発明による自動車投光器を1つ又は複数含んだ自動車に関する。
【背景技術】
【0005】
そのような装置により、例えばデイタイムランニングライト(TFL:Tagfahrtlicht)とターンシグナルライト(FRA:Fahrtrichtungsanzeiger)のような2つの光機能を唯一の光導体(ライトガイドボディ)を用いて実現することができる。そのために光導体は、共通の全光出射面を構成する2つの光出射面を有する。
【0006】
デザイン技術的な理由から、多くの場合は、特別に形成された光出射面が望まれている。対象となる装置では、例えば2つの光出射面が設けられており、これらの光出射面は、典型的には、異なる大きさで及び/又はそれらの形状に関して異なって形成されている。
【0007】
例えば、両方の光出射面は、上下に位置し、この際、光出射面のうちの一方、例えば上側の面は、光を光導体内に入射することのできる1つ又は複数の光源に対し、同じ高さで位置している。
【0008】
光導体内には、入射された光を両方の光出射面に分割する光線分割装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第102018126955号
【文献】独国特許出願公開第102017105838号
【文献】欧州特許出願公開第2354637号
【文献】欧州特許出願公開第3330601号
【文献】国際公開第2017/068309号
【文献】欧州特許出願公開第2317214号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのような装置において、光が両方の光出射面を介して同時に出射する場合に均質の発生像(外観)を達成することは、問題があると分かった。それにより、多くの場合は、2つの光導体を備えた二部材式の構成を選択する必要があるが、この構成は、一部材式の形態が頻繁に望まれることに相反している。
【0011】
それに応じ、本発明の課題は、冒頭に記載した装置のために均質な発生像を達成することのできる解決策を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題は、冒頭に記載した装置において、以下の構成により解決される。即ち本発明により各開口部が、全反射面内の1つの面である所謂開口面を開口し、この際、1つの開口面は、開口面積AB,iを有し、全反射面は、全面積Agesを有し、ここでAgesは、全ての開口面積の合計を含み、また第1の光出射面は、第1の面積A1を有し、第2の光出射面は、第2の面積A2を有し、そして、以下の式、即ち、
ΣiAB,i/(Ages-ΣiAB,i)=A1/A2
が成り立つ。
【0013】
即ち本発明の第1の視点により、
自動車用の又は自動車投光器用の信号灯装置又は照射装置であって、
- 光線を放出するための少なくとも1つの光源と、
- 少なくとも1つの前記光源に割り当てられた光導体とを含み、
前記光導体は、入射結合部分並びに光出射領域を含み、
前記入射結合部分を介し、少なくとも1つの前記光源から放出される光線は、前記光導体内に入射結合され、前記光導体内を伝播し、前記光出射領域を介して前記光導体から出射し、
前記光出射領域は、2つの光出射面を含み、
前記入射結合部分は、少なくとも1つの前記光源から放出された光線がライトガイド主伝播方向に指向されるように構成されており、
また前記光導体は、光線分割装置を含み、
前記光線分割装置は、全反射面を含み、前記全反射面は、前記全反射面に当たる光線の少なくとも一部を全反射し、それによりこれらの光線は、前記光導体内で前記ライトガイド主伝播方向とは異なる所定の方向に伝播し、
また前記全反射面は、複数の光学的な個別構造体を有し、前記個別構造体は、1つの前記個別構造体に当たる光線の少なくとも一部が当該個別構造体を介して前記光導体から出射し且つ再入射面を介して再び前記光導体内に入射するように構成されており、再入射した光線は、前記光出射面のうちの1つ、即ち前記再入射面とは反対の位置にある第1の光出射面に向けられ、それによりこれらの光線は、前記第1の光出射面から主放射方向に出射することができ、
また前記全反射面により全反射された光線は、前記光導体の背面部において全反射され、それにより第2の光出射面の方に向けられ、そこでこれらの光線は、前記主放射方向の方向に前記光導体から出射し、
更に各光学的な前記個別構造体は、前記全反射面内の窪み部として構成されており、
1つの前記窪み部は、前記光導体内の開口部から始まり、前記光導体内に向かって延在するマントル面部により画定されており、
前記マントル面部のうちの1つである所謂底面部は、当該底面部に当たる光線が当該底面部を通って前記第1の光出射面の方向に通過するように配向されており、
また各前記開口部は、前記全反射面内の1つの面である所謂開口面を開口し、1つの前記開口面は、開口面積AB,iを有し、前記全反射面は、全面積Agesを有し、ここでAgesは、全ての前記開口面積の合計を含み、また前記第1の光出射面は、第1の面積A1を有し、前記第2の光出射面は、第2の面積A2を有し、そして、以下の式、即ち、
ΣiAB,i/(Ages-ΣiAB,i)=A1/A2
が成り立つこと、
を特徴とする装置が提供される。
より詳しくは、前記第1の視点において、
自動車用の又は自動車投光器用の信号灯装置又は照射装置であって、
- 光線を放出するための少なくとも1つの光源と、
- 少なくとも1つの前記光源に割り当てられた光導体とを含み、
前記光導体は、入射結合部分並びに光出射領域を含み、
前記入射結合部分を介し、少なくとも1つの前記光源から放出される光線は、前記光導体内に入射結合され、前記光導体内を伝播し、前記光出射領域を介して前記光導体から出射し、
前記光出射領域は、2つの光出射面を含み、
前記入射結合部分は、少なくとも1つの前記光源から放出された光線がライトガイド主伝播方向に指向されるように構成されており、
また前記光導体は、光線分割装置を含み、
前記光線分割装置は、全反射面を含み、前記全反射面は、前記全反射面に当たる光線の少なくとも一部を全反射し、それによりこれらの光線は、前記光導体内で前記ライトガイド主伝播方向とは異なる所定の方向に伝播し、
また前記全反射面は、複数の光学的な個別構造体を有し、前記個別構造体は、1つの前記個別構造体に当たる光線の少なくとも一部が当該個別構造体を介して前記光導体から出射し且つ再入射面を介して再び前記光導体内に入射するように構成されており、再入射した光線は、前記光出射面のうちの1つ、即ち前記再入射面とは反対の位置にある第1の光出射面に向けられ、それによりこれらの光線は、前記第1の光出射面から主放射方向に出射することができ、
また前記全反射面により全反射された光線は、前記光導体の背面部において全反射され、それにより第2の光出射面の方に向けられ、そこでこれらの光線は、前記主放射方向の方向に前記光導体から出射し、
更に各光学的な前記個別構造体は、前記全反射面内の窪み部として構成されており、
1つの前記窪み部は、前記光導体内の開口部から始まり、前記光導体内に向かって延在するマントル面部により画定されており、
前記マントル面部のうちの1つである底面部は、当該底面部に当たる光線が当該底面部を通って前記第1の光出射面の方向に通過するように配向されており、
また各前記開口部は、前記全反射面内の1つの面である開口面を開口し、1つの前記開口面は、開口面積A
B,i
を有し、前記全反射面は、全面積A
ges
を有し、ここでA
ges
は、全ての前記開口面積A
B,i
の合計を含み、また前記第1の光出射面は、第1の面積A
1
を有し、前記第2の光出射面は、第2の面積A
2
を有し、そして、以下の式、即ち、
Σ
i
A
B,i
/(A
ges
-Σ
i
A
B,i
)=A
1
/A
2
が成り立つこと、
を特徴とする。
更に本発明の第2の視点により、前記装置を1つ又は複数含んだ自動車投光器が提供される。
更に本発明の第3の視点により、前記装置を1つ又は複数含んだ自動車が提供される。
更に本発明の第4の視点により、前記自動車投光器を1つ又は複数含んだ自動車が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車用の又は自動車投光器用の信号灯装置又は照射装置であって、
- 光線を放出するための少なくとも1つの光源と、
- 少なくとも1つの前記光源に割り当てられた光導体とを含み、
前記光導体は、入射結合部分並びに光出射領域を含み、
前記入射結合部分を介し、少なくとも1つの前記光源から放出される光線は、前記光導体内に入射結合され、前記光導体内を伝播し、前記光出射領域を介して前記光導体から出射し、
前記光出射領域は、2つの光出射面を含み、
前記入射結合部分は、少なくとも1つの前記光源から放出された光線が実質的にライトガイド主伝播方向に指向されるように、例えばコリメータの形態で、構成されており、
また前記光導体は、光線分割装置を含み、
前記光線分割装置は、全反射面を含み、前記全反射面は、前記全反射面に当たる光線の少なくとも一部を全反射し、それによりこれらの光線は、前記光導体内で前記ライトガイド主伝播方向とは異なる所定の方向に伝播し、
また前記全反射面は、複数の光学的な個別構造体を有し、前記個別構造体は、1つの前記個別構造体に当たる光線の少なくとも一部が当該個別構造体を介して前記光導体から出射し且つ再入射面を介して再び前記光導体内に入射するように構成されており、再入射した光線は、前記光出射面のうちの1つ、即ち前記再入射面とは反対の位置にある第1の光出射面に向けられ、それによりこれらの光線は、前記第1の光出射面から主放射方向に出射することができ、
また前記全反射面により全反射された光線は、前記光導体の背面部において全反射され、それにより第2の光出射面の方に向けられ、そこでこれらの光線は、前記主放射方向の方向に前記光導体から出射し、
更に各光学的な前記個別構造体は、前記全反射面内の窪み部として構成されており、
1つの前記窪み部は、前記光導体内の開口部から始まり、前記光導体内に向かって延在するマントル面部により画定されており、
前記マントル面部のうちの1つである所謂底面部は、当該底面部に当たる光線が当該底面部を通って前記第1の光出射面の方向に通過するように配向されており、
また各前記開口部は、前記全反射面内の1つの面である所謂開口面を開口し、1つの前記開口面は、開口面積AB,iを有し、前記全反射面は、全面積Agesを有し、ここでAgesは、全ての前記開口面積の合計を含み、また前記第1の光出射面は、第1の面積A1を有し、前記第2の光出射面は、第2の面積A2を有し、そして、以下の式、即ち、
ΣiAB,i/(Ages-ΣiAB,i)=A1/A2
が成り立つこと。
(形態2)
形態1に記載の装置において、更なる前記マントル面部は、前記個別構造体に当たる光線と実質的に平行にないしその方向に指向されていること、が好ましい。
(形態3)
形態1又は2に記載の装置において、前記窪み部は、三角形状の開口部と、底面部と、前記光導体内に向かって延在する2つのマントル面部とを有するピラミッド形状で形成されていること、が好ましい。
(形態4)
形態1又は2に記載の装置において、前記窪み部は、少なくとも部分的にシリンダ形状で形成されていること、が好ましい。
(形態5)
形態1~4のいずれか1つに記載の装置において、前記底面部は、特に前記光導体内に向かい、湾曲して形成されており、好ましくは、他の前記マントル面部は、平坦に形成されており、例えばこれらの平坦なマントル面部は、前記ライトガイド主伝播方向と平行に延在すること、が好ましい。
(形態6)
形態1~5のいずれか1つに記載の装置において、前記個別構造体は、均等に、及び/又は行を成して、及び/又は列を成して、前記全反射面にわたり分配されて配設されていること、が好ましい。
(形態7)
形態1~6のいずれか1つに記載の装置において、2つ以上の光源が設けられており、それらの光源の1つのために又は複数のためにそれぞれ前記入射結合部分が、各光源から放出された光線が実質的に前記ライトガイド主伝播方向に指向されるように、例えばコリメータの形態で構成されており、好ましくは、それらの光源は、一列に、特に横に並んで、前記ライトガイド主伝播方向に対して横方向に配設されていること、が好ましい。
(形態8)
形態1~7のいずれか1つに記載の装置において、前記光出射面は、直接的に互いに隣接し、特に1つの真っ直ぐの縁部において交わり、及び/又は一方の前記光出射面は、他方の前記光出射面の上側に配設されていること、が好ましい。
(形態9)
形態1~8のいずれか1つに記載の装置において、前記光出射面を水平面と交差させた場合には、前記光出射面が平坦に形成されていると仮定して、得られる交線は、
- 特別な直線と平行に延在するか、又は、
- 特別な直線に対して斜めに延在し、
ここで特別な直線とは、水平面内に位置し且つ前記ライトガイド主伝播方向に対して直角に延在する直線であること、が好ましい。
(形態10)
形態9に記載の装置において、水平断面において前記全反射面により得られる交線は、
- 前記特別な直線と平行であるか、又は、
- 前記特別な直線に対して斜めであること、が好ましい。
(形態11)
形態1~10のいずれか1つに記載の装置において、上側の前記光出射面は、1つ又は複数の前記光源とほぼ同じ高さに位置し、及び/又は、好ましくは、前記全反射面は、少なくとも1つの前記光源とほぼ同じ高さに位置すること、が好ましい。
(形態12)
形態1~11のいずれか1つに記載の装置において、前記全反射面は、複数のファセットに分割されており、前記ファセットは、横に並んで位置し、また好ましくは、前記ファセットは、それぞれ、前記ライトガイド主伝播方向に対して0°よりも大きく90°よりも小さい角度で回転されていること、が好ましい。
(形態13)
形態1~12のいずれか1つに記載の装置において、少なくとも1つの前記光源は、LEDとして構成されているか、又は少なくとも1つのLEDを含むこと、が好ましい。
(形態14)
形態1~13のいずれか1つに記載の装置を1つ又は複数含んだ自動車投光器。
(形態15)
形態1~13のいずれか1つに記載の装置を1つ又は複数、及び/又は形態14に記載の自動車投光器を1つ又は複数含んだ自動車。
【0015】
上記の一般的な式は、窪み部、即ち特に窪み部の開口部が、異なる大きさであってよいという仮定のもとで、有効である。好ましくは、窪み部、特に窪み部の開口部は、同じ大きさであり、即ち同じ開口面積を有することができる。もしもn個の窪み部が設けられている場合には、上記の式は、以下のように簡略化される(ABは、1つの窪み部の開口面積の面積である):
nAB/(Ages-nAB)=A1/A2
【0016】
開口面は、全反射面が平坦であると仮定すると、全反射面の面内に位置する。以下で更に説明するように、全反射面は、ファセット化されていることが可能であり、即ち複数の好ましくは平坦のファセットに分割されている。この場合、開口面は、それぞれのファセットの面内に位置し、その面から始まり窪み部が光導体内に向かって延在する。
【0017】
本発明による構成により、1つ又は複数の光源から放出された光は、両方の光出射面の大きさの比率に対応して分割されることが達成され、それにより両方の光出射面は、同じ光強度で照射され、従って同じ輝度ないし面の明るさを有することが達成可能である。
【0018】
この際、光出射面のうちの一方、例えば下側の光出射面は、他方の光出射面、例えば上側の光出射面よりも大きい面積を有することができる。
【0019】
本発明の有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0020】
(底面部を除いた)更なるマントル面部は、個別構造体に当たる光線と実質的に平行にないしその方向に、即ち好ましくは光放射方向と平行に指向されている。
【0021】
それによりこれらのマントル面部は、窪み部に当たる光線に作用を及ぼさない又はできる限り作用を及ぼさないことが達成される。
【0022】
例えば、窪み部は、三角形状の開口部と、底面部と、光導体内に向かって延在する2つのマントル面部とを有するピラミッド形状で形成されていることができる。
【0023】
この際「三角形状」とは、必ずしも(「部分的に変更された」三角形の場合には)「三角形」の2つの頂点の間の接続線が真っ直ぐでなくてはならないというわけではない。同様に「ピラミッド形状」とは、窪み部の形状がピラミッドに類似するが、例えばマントル面部が平坦でなく湾曲して形成されていることにより、必ずしもピラミッドと同じである必要はないことを意味する。
【0024】
窪み部は、少なくとも部分的にシリンダ形状(円柱形状)で形成されていることができる。
【0025】
この場合、窪み部は、光導体内ないし全反射面内の「切欠き」であり、この際、窪み部のマントル面部(境界面部)は、シリンダ側面部の一部の形状で形成されている。このマントル面部ないしシリンダ側面部の高さは、実質的に垂直に延在する。
【0026】
このマントル面部を介し、当たる光線は、第1の光出射面に向けられる。
【0027】
窪み部は、好ましくは平坦な3つの更なるマントル面部(境界面部)により画定され、これらのマントル面部は、窪み部の開口部に「通じている」。
【0028】
好ましくは、底面部は、特に光導体内に向かい、湾曲して形成されていることができる。
【0029】
それにより底面部に対する面法線は、ライトガイド主伝播方向と実質的に平行に延在し、この際、例えばこの面法線は、このマントル面部の幾何学的な中心点を通って延在し、特に、この中心点において底面部への接線面に対して直角に延在することができる。
【0030】
この湾曲により、平行な光線から成る入射光束に対する分割/拡開作用を達成することができ、それによりこれらの光線は、光出射面に対して均等に分散され、光出射面を均等に明るく照らす。
【0031】
他のマントル面部は、平坦に形成されていることができる。
【0032】
例えば、シリンダ形状に形成された窪み部では、2つの横側のマントル面部と、1つの底側のマントル面部とが設けられており、これらは、好ましくは平坦に形成されている。
【0033】
好ましくは、これらの平坦なマントル面部は、ライトガイド主伝播方向と平行に延在する。
【0034】
特に、個別構造体は、均等に、及び/又は行を成して、及び/又は列を成して、全反射面にわたり分配されて配設されていることができる。
【0035】
それにより第1の光出射面には、しかし第2の光出射面にも、できるだけ全面的に光源の光が「供給される」ことが達成可能である。
【0036】
2つ以上の光源が設けられていることができ、この際、それらの光源の1つのために又は複数のためにそれぞれ入射結合部分が、各光源から放出された光線が実質的にライトガイド主伝播方向に指向されるように、例えばコリメータの形態で、構成されており、この際、それらの光源は、一列に、特に横に並んで、ライトガイド主伝播方向に対して横方向(左右方向)に配設されている。
【0037】
光源が単に1つだけの場合でも、好ましくは、入射結合部分は、コリメータの形態で構成されていることができる。
【0038】
光源が複数ある場合には、コリメータごとにそれぞれ2つの光源、例えば、第1の色のLEDの光源(例えば白色)と、第2の色のLEDの光源(例えばオレンジ色又は黄色)とを設けることができ、それにより当該装置により、2つの光機能、一方ではデイタイムランニングライト/ポジションライトの機能、他方ではターンシグナルライトの機能を実現することができる。均質性ないし放射特性は、両方の光機能で類似しており、全光出射面は、第1の色で点灯するか又は第2の色で点滅する。
【0039】
光出射面は、直接的に互いに隣接し、特に1つの真っ直ぐの縁部において交わり、及び/又は、一方の光出射面は、他方の光出射面の上側に配設されている。
【0040】
特に、両方の光出射面は、90°よりも大きい角度のもと互いに傾けられていることが可能であり、それにより両方の光出射面のV字形状の配設構成が得られる。
【0041】
光出射面を水平面と交差させた場合には、光出射面が平坦に形成されていると仮定して、交線が得られ、該交線は、
- 特別な直線と平行に延在するか、又は、
- 特別な直線に対して斜めに延在し、
この際、特別な直線とは、水平面内に位置し且つライトガイド主伝播方向に対して直角に延在する直線である。
【0042】
更に、水平断面において全反射面により得られる交線は、全反射面が平坦に形成されていると仮定して、
- 特別な直線と平行であるか、又は、
- 特別な直線に対して斜めである。
【0043】
特別な直線に対して斜めに配設された全反射面は、対応の方向に全反射される光線に基づき、主放射方向で見て斜めに形成された光導体ないし光出射面の照射を可能にする。
【0044】
上側の光出射面は、1つ又は複数の光源とほぼ同じ高さに位置し、及び/又は、この際、好ましくは、全反射面は、少なくとも1つの光源とほぼ同じ高さに位置する。
【0045】
更に、全反射面は、ライトガイド主伝播方向に対して横方向(左右方向)に延在し、また好ましくは、上側の縁部領域が下側の縁部領域よりも少なくとも1つの光源の近くに位置するように傾けられていることができる。
【0046】
全反射面が複数のファセット(小面)に分割されていると有利であり、この際、ファセットは、横に並んで位置し、またこの際、好ましくは、これらのファセットは、それぞれ、ライトガイド主伝播方向に対して0°よりも大きく90°よりも小さい角度で回転(傾斜)されている。
【0047】
例えば、各ファセットは、実質的に長方形の平坦な面である。この面に対する法線ベクトルは、ライトガイド主伝播方向を含んだ実質的に水平に位置する面内の水平成分と、実質的に水平の面に対して直角に延在する垂直面内の垂直成分とに分割されることが可能である。
【0048】
好ましくは、全てのファセットは、ライトガイド主伝播方向に対して同じ角度で回転(傾斜)されている。
【0049】
上述の角度(回転角/傾斜角)は、前記の法線ベクトルの水平成分がライトガイド主伝播方向に対してとる角度である。
【0050】
ファセットは、例えば1つ又は複数の上下に位置する列において並んで位置する。
【0051】
ファセットは、ファセット化されていない全反射面(即ち連続する平坦な全反射面)と比べて利点を有し、つまり第2の光出射面がライトガイド主伝播方向に対して斜めに延在することで全反射面全体が前記の角度だけ回転(傾斜)されなくてはならず、それによりこの面は、極めて多くの構造空間を必要とすることになるからである。
【0052】
少なくとも1つの光源は、LEDとして構成されているか、又は少なくとも1つのLEDを含むことができる。
【0053】
以下、例示の図面に基づき、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明による装置の第1実施形態の斜視図を示す図である。
【
図2】
図1の装置を上方から見た図として示す図である。
【
図3】
図1の装置を概略側方図として示す図である。
【
図4】ライトガイド主伝播方向と平行に
図1の装置に沿った概略垂直断面図を示す図である。
【
図5】
図1の装置の全反射面の一詳細部分を示す図である。
【
図6】
図5の全反射面内の一窪み部の詳細図を示す図である。
【
図7】
図6の窪み部に沿った水平断面図を示す図である。
【
図8】
図6の窪み部に沿ったライトガイド主伝播方向と平行な垂直断面図を示す図である。
【
図9】本発明による装置の第2実施形態を上方から見た図として示す図である。
【
図10】ライトガイド主伝播方向と平行に
図9の装置に沿った概略垂直断面図を示す図である。
【
図11】
図9の装置の全反射面内の一窪み部の詳細図を示す図である。
【
図13】
図11の窪み部に沿ったライトガイド主伝播方向と平行な垂直断面図を示す図である。
【実施例】
【0055】
図1~4は、自動車用の又は自動車投光器用の信号灯装置又は照射装置10を示している。当該装置10は、光導体100並びに光導体100に割り当てられた複数の光源50を含んでいる。光導体100は、入射結合部分110並びに光出射領域160を有する。入射結合部分110を介し、光源50から放出される光線は、光導体100内に入射結合され、それらの光線は、光導体100内を伝播し、光出射領域160介して光導体100から出射する。
【0056】
入射結合部分110は、少なくとも1つの光源50から放出された光線が実質的にライトガイド主伝播方向Xに指向され且つ光導体100内でライトガイド主伝播方向Xと平行な方向S1に伝播するように、例えば1つのコリメータ111又は複数のコリメータの形態で構成されている。
【0057】
光源50は、好ましくは一列に、特に横に並んで、ライトガイド主伝播方向Xに対して横方向(左右方向)に配設されている。これらの光源50は、例えばそれぞれLEDとして構成されているか、又は少なくとも1つのLEDを含んでいる。
【0058】
光出射領域160は、2つの光出射面161、162を含んでいる。光出射面161、162は、直接的に互いに隣接し、1つの真っ直ぐの縁部において交わっている。一方の(第1の)光出射面161は、他方の第2の光出射面162の上側に位置する。両方の光出射面161、162は、好ましくは90°よりも大きい角度のもと互いに傾けられており、それにより両方の光出射面161、162のV字形状の配設構成が得られる。
【0059】
好ましくは、図示されているように、上側の光出射面161は、1つ又は複数の光源50とほぼ同じ高さに位置し、また好ましくは、全反射面201も、少なくとも1つの光源50とほぼ同じ高さに位置する。
【0060】
この際、光出射面のうちの一方、例えば下側の光出射面162は、他方の光出射面、例えば上側の光出射面161よりも大きい面積を有することができる。
【0061】
光導体100は、好ましくは、入射結合された光が伝播することのできる透明な材料から構成された透明な中実体から成る。
【0062】
光導体100は、光線分割装置200を有し、この際、光線分割装置200は、全反射面201を含み、全反射面201は、全反射面201に当たる光線S1の少なくとも一部を全反射し、それによりこれらの全反射された光線S3は、光導体100内でライトガイド主伝播方向Xとは異なる所定の方向Zに、特に下方に、伝播する。
【0063】
全反射面201は、複数の光学的な個別構造体202を有し、個別構造体202は、1つの個別構造体202に当たる光線S1の少なくとも一部が当該個別構造体202を介して光導体100から出射し且つ再入射面203を介して再び光導体100内に入射するように構成されており、この際、再入射した光線S2は、再入射面203とは反対に位置する第1の光出射面161に向けられ、それによりこれらの光線は、第1の光出射面161から主放射方向Yに(光線S4として)出射する。
【0064】
光出射面161及び/又は再入射面203は、出射する光(光線S4)を所望の方向(主放射方向Y)に向けるために、光学的な構造体ないし要素を有することができる。
【0065】
全反射面201により全反射された光線S3は、光導体100の背面部101においてもう一度全反射され、それにより光線S3’として第2の光出射面162の方に向けられ、そこで光線S5は、同様に主放射方向Yに光導体100から出射する。
【0066】
また第2の光出射面162は、光線S5を所望の方向に放射するために及び/又は放射された光の更なる均質化をもたらすために、光学的な構造体を有することができる。
【0067】
図1~
図4において、特に
図2において、この実施例では、全反射面201が、しかし光出射面161、162も、ライトガイド主伝播方向Xに対して斜めに延在することが見てとれる。
【0068】
このことは、仮想直線g50、g161、g162、g201からも見てとれる。光出射面161、162を水平面と交差させた場合には、光出射面161、162が平坦に形成されていると仮定して、交線g161、g162が得られる。
【0069】
更に所謂「特別な」直線g50が見てとれ、特別な直線g50とは、水平面内に位置し且つライトガイド主伝播方向Xに対して直角に延在する直線である。図示の例において、光源50の列は、特別な直線g50と平行に延在する。
【0070】
さて本実施例において、両方の直線g161、g162は、特別な直線g50に対して斜めに、ないしライトガイド伝播方向Xに対して斜めに延在する。
【0071】
水平断面において全反射面201により得られる直線g201も、全反射面201が平坦に形成されていると仮定して、特別な直線g50に対して斜めに延在する。
【0072】
直線g161、g162、g201は、互いに平行に配設されていることが可能であるが、互いに斜めに延在することも可能である。
【0073】
特に、個別構造体202は、例えば
図1又は
図5の図面でよく見てとれるように、均等に、及び/又は行を成して、及び/又は列を成して、全反射面201にわたり分配されて配設されていることができる。
【0074】
それにより第1の光出射面161には、しかし第2の光出射面162にも、できるだけ全面的に光源の光が「供給される」ことが達成可能である。
【0075】
図1~
図8に基づいて説明される実施形態では、更に有利には、全反射面201が複数のファセット(小面)201Aに分割されていることができ、この際、ファセット201Aは、横に並んで位置し、またこの際、好ましくは、これらのファセット201Aは、それぞれ、ライトガイド主伝播方向Xに対して0°よりも大きく90°よりも小さい角度で回転(傾斜)されている。好ましくは、全てのファセット201Aは、ライトガイド主伝播方向Xに関して同じ角度だけ回転(傾斜)されている。
【0076】
例えば、各ファセット201Aは、実質的に長方形の平坦な面である。この面に対する法線ベクトルは、ライトガイド主伝播方向Xを含んだ実質的に水平に位置する面内の水平成分と、実質的に水平の面に対して直角に延在する垂直面内の垂直成分とに分割されることが可能である。上述の角度(回転角/傾斜角)は、法線ベクトルの水平成分がライトガイド主伝播方向Xに対してとる角度である。
【0077】
ファセット201Aは、例えば1つ又は複数の上下に位置する列において並んで位置する。ファセット201Aは、ファセット化されていない全反射面(即ち連続する平坦な全反射面)と比べて利点を有し、つまり第2の光出射面162がライトガイド主伝播方向Xに対して斜めに延在することで全反射面全体が前記の角度だけ回転(傾斜)されなくてはならず、それによりこの面は、極めて多くの構造空間を必要とすることになるからである。ファセット化により、大きい連続した面を回転させる必要はなく、所定数/多数の小さい面「だけ」が回転され、これらの面は、連続する面と比較して横方向で明らかに小さい大きさにより、僅かな空間だけを必要とする。
【0078】
光学的な個別構造体202に戻り、
図5~
図8を見ると、各個別構造体202は、全反射面201から始まり、全反射面201内の窪み部として、ないし正確の述べると光導体100内の窪み部として構成されている。
【0079】
そのような窪み部は、光導体100内(即ち全反射面201内)の開口部2021から始まり、光導体100内に向かって延在するマントル面部(光導体との境界面部:Mantelflaeche)2022、2023、2024により画定され、この際、マントル面部のうちの1つである所謂底面部2022は、底面部2022に当たる光線S1が底面部2022を通って第1の光出射面161の方向に通過するように配向されている。
【0080】
窪み部202は、この例では、三角形状の開口部2021と、底面部2022と、光導体100内に向かって延在する2つの更なるマントル面部2023、2024とを有する「ピラミッド形状」で形成されている。
【0081】
この際「三角形状」とは、必ずしも(「部分的に変更された」三角形の場合には)「三角形」の2つの頂点の間の接続線が真っ直ぐでなくてはならないというわけではない。同様に「ピラミッド形状」とは、窪み部の形状がピラミッドに類似するが、例えばマントル面部が平坦でなく湾曲して形成されていることにより、必ずしもピラミッドと同じである必要はないことを意味する。
【0082】
両方の更なるマントル面部2023、2024は、好ましくは平坦に形成されており、個別構造体202に当たる光線と実質的に平行にないしその方向に、即ち好ましくはライトガイド主伝播方向Xと平行に指向されている。
【0083】
それによりこれらのマントル面部は、窪み部に当たる光線に作用を及ぼさない又はできる限り作用を及ぼさないことが達成される。
【0084】
更に好ましくは、底面部2022は、特に光導体100内に向かい、湾曲して形成されていることができる。それにより底面部2022に対する面法線は、ライトガイド主伝播方向Xと実質的に平行に延在し、この際、例えばこの面法線は、このマントル面部の幾何学的な中心点を通って延在し、特に、この中心点において底面部への接線面に対して直角に延在することができる。
【0085】
この湾曲により(
図7を参照)、平行な光線S1から成る入射光束に対する分割/拡開作用を達成することができ、それによりこれらの光線は、光出射面161に対して均等に分散され、光出射面161を均等に明るく照らす。
【0086】
図9~
図13による更なる一実施形態では、基本的な構成関係は、
図1に基づいて説明されたバリエーションのように与えられており、ここで再度の説明はしないが、この実施形態において、窪み部202は、少なくとも部分的にシリンダ形状(円柱形状)で形成されている。この際、窪み部202のこの構成は有利であり、その理由は、このバリエーションでは、特別な直線g50と、直線g161(これらの概念については
図1のバリエーションの説明を参照)が互いに平行に延在し(
図9)、ライトガイド主伝播方向Xに対して横方向(左右方向)に且つ直角に延在するからである。この例において、直線g161、g162、g201も、特別な直線g50と平行に延在する。
【0087】
この場合、窪み部は、全反射面201から始まり、光導体100内ないし全反射面201内の「切欠き」であり、この際、窪み部のマントル面部(境界面部)2022は、シリンダ側面部の一部の形状で形成されている。このマントル面部ないしシリンダ側面部の高さは、実質的に垂直に延在する。
【0088】
このマントル面部2022を介し、当たる光線S1は、第1の光出射面161に向けられる。好ましくは、マントル面部2022は、湾曲しており、特に光導体100内に向かって湾曲しており、それにより
図1の実施形態におけるように、光線S1は、適切に「散乱」(平行な光線S1から成る入射光束に対する分割/拡開作用)され、それにより更なる結果として光出射面161はより均質に照らされる。
【0089】
窪み部202は、好ましくは平坦な3つの更なるマントル面部(境界面部)2023、2024a、2024bにより画定され、これらのマントル面部2023、2024a、2024bは、窪み部の開口部に「通じている」。例えばこれらのマントル面部は、2つの横側のマントル面部2024a、2024bと、1つの底側のマントル面部2023とであり、これらは、好ましくは平坦に形成されている。好ましくは、これらの平坦なマントル面部2023、2024a、2024bは、ライトガイド主伝播方向Xと平行に延在する。
【0090】
両方の実施形態において、各開口部2021は、全反射面201内の1つの面である所謂開口面を開口することができ、この際、1つの開口面は、開口面積AB,iを有し、全反射面201は、全面積Agesを有し、ここでAgesは、全ての開口面積の合計を含み、また第1の光出射面161は、第1の面積A1を有し、第2の光出射面162は、第2の面積A2を有し、そして、以下の式、即ち、
ΣiAB,i/(Ages-ΣiAB,i)=A1/A2
が成り立つ。
【0091】
上記の一般的な式は、窪み部、即ち特に窪み部の開口部が、異なる大きさであってよいという仮定のもとで、有効である。好ましくは、窪み部、特に窪み部の開口部は、同じ大きさであり、即ち同じ開口面積を有することができる。もしもn個の窪み部が設けられている場合には、上記の式は、以下のように簡略化される(ABは、1つの窪み部の開口面積の面積である):
nAB/(Ages-nAB)=A1/A2
【0092】
開口面は、全反射面が平坦であると仮定すると、全反射面の面内に位置する。上述したように、全反射面は、ファセット化されていることが可能であり、即ち複数の好ましくは平坦のファセットに分割されている。この場合、開口面は、それぞれのファセットの面内に位置し、その面から始まり窪み部が光導体内に向かって延在する。
【0093】
ファセット化された全反射面201の場合には、全面積Agesは、ファセット201Aの面の合計により計算されることが可能であり、この際、それらの面から始まり窪み部202が光導体100内に向かって延在する。
【0094】
本発明による構成により、1つ又は複数の光源50から放出された光は、両方の光出射面161、162の大きさの比率に対応して分割されることが達成され、それにより両方の光出射面161、162は、同じ光強度で照射され、従って同じ輝度ないし面の明るさを有することが達成可能である。
【0095】
尚、上記の特許文献ないし非特許文献の各開示は、それらの引用をもって本書に組み込まれているものとする。また本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。更に本発明の全開示の枠内において、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。即ち本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想に従って当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0096】
10 照射装置
50 光源
100 光導体
101 光導体の背面部
110 入射結合部分
111 コリメータ
160 光出射領域
161 光出射面
162 光出射面
200 光分割装置
201 全反射面
201A ファセット
202 個別構造体/窪み部
203 再入射面
2021 開口部
2022 マントル面部/底面部
2023 マントル面部
2024 マントル面部
2024a マントル面部
2024b マントル面部
g50 仮想直線
g161 仮想直線
g162 仮想直線
g201 仮想直線
S1 光線
S2 光線
S3 光線
S3’ 光線
S4 光線
S5 光線
X ライトガイド主伝播方向
Y 主放射方向
Z 所定の方向