IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特許7628174ライダー支援システムの制御装置及び制御方法
<>
  • 特許-ライダー支援システムの制御装置及び制御方法 図1
  • 特許-ライダー支援システムの制御装置及び制御方法 図2
  • 特許-ライダー支援システムの制御装置及び制御方法 図3
  • 特許-ライダー支援システムの制御装置及び制御方法 図4
  • 特許-ライダー支援システムの制御装置及び制御方法 図5
  • 特許-ライダー支援システムの制御装置及び制御方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】ライダー支援システムの制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/00 20060101AFI20250131BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20250131BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20250131BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
B60W30/00
B60W30/08
B60W50/14
B60W40/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023516858
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 IB2022053668
(87)【国際公開番号】W WO2022229792
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2021076946
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】プファウ ラース
【審査官】稲本 遥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/030132(WO,A1)
【文献】特表2021-535029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーン車両のライダーを支援するライダー支援システム(1)の制御装置(20)であって、
自車両(100)の走行中に、該自車両(100)の周囲環境情報に基づいて、該自車両(100)と該自車両(100)の周囲に位置する対象との位置関係情報を取得する取得部(21)と、
前記取得部(21)で取得された前記位置関係情報に基づいて、前記ライダーによる走行中の前記自車両(100)の運転を支援するライダー支援動作を実行する実行部(22)と、
を備えており、
前記実行部(22)は、前記自車両(100)の走行が前記グループ走行である場合に、該自車両(100)の走行が該グループ走行ではない場合と比較して、前記ライダーの支援度合いが抑制された前記ライダー支援動作を実行する
制御装置(20)。
【請求項2】
前記実行部(22)は、前記自車両(100)の走行が前記グループ走行ではない場合に、前記ライダー支援動作の実行を許可し、該自車両(100)の走行が該グループ走行である場合に、該ライダー支援動作の実行を禁止する、
請求項1に記載の制御装置(20)。
【請求項3】
前記実行部(22)は、前記自車両(100)の走行が前記グループ走行である場合に、該自車両(100)の走行が該グループ走行ではない場合と比較して、前記ライダー支援動作の開始時期を遅らせて、前記支援度合いを抑制する、
請求項に記載の制御装置(20)。
【請求項4】
前記ライダー支援動作は、前記ライダーに対する報知を行う報知動作を含む、
請求項1に記載の制御装置(20)。
【請求項5】
前記ライダー支援動作は、前記ライダーに対する報知を行う報知動作を含み、
前記実行部(22)は、前記自車両(100)の走行が前記グループ走行である場合に、該自車両(100)の走行が該グループ走行ではない場合と比較して、前記報知の前記ライダーによる知覚性を低下させて、前記支援度合いを抑制する、
請求項に記載の制御装置(20)。
【請求項6】
前記報知動作は、前記自車両(100)と前記対象との衝突の可能性を前記ライダーに報知する動作である、
請求項又はに記載の制御装置(20)。
【請求項7】
前記報知動作は、前記対象としての他車両の前記自車両(100)に対する相対距離又は通過時間差を前記ライダーに報知する動作である、
請求項又はに記載の制御装置(20)。
【請求項8】
前記報知動作は、前記対象としての他車両による前記自車両(100)に対するあおり運転を前記ライダーに報知する動作である、
請求項又はに記載の制御装置(20)。
【請求項9】
前記報知動作は、前記対象としての他車両による前記自車両(100)の死角の走行を前記ライダーに報知する動作である、
請求項又はに記載の制御装置(20)。
【請求項10】
前記ライダー支援動作は、前記自車両(100)に生じている速度、加速度、又は加加速度の制御を行う制御動作を含む、
請求項1~の何れか一項に記載の制御装置(20)。
【請求項11】
前記ライダー支援動作は、前記自車両(100)に生じている速度、加速度、又は加加速度の制御を行う制御動作を含み、
前記実行部(22)は、前記自車両(100)の走行が前記グループ走行である場合に、該自車両(100)の走行が該グループ走行ではない場合と比較して、前記速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させて前記支援度合いを抑制する、
請求項及びの何れか一項に記載の制御装置(20)。
【請求項12】
前記制御動作は、前記自車両(100)と前記対象との衝突の可能性を低減する動作である、
請求項10に記載の制御装置(20)。
【請求項13】
前記制御動作は、前記自車両(100)の前記対象としての他車両に対する相対距離又は通過時間差を調節する動作である、
請求項10に記載の制御装置(20)。
【請求項14】
リーン車両のライダーを支援するライダー支援システム(1)の制御方法であって、
制御装置(20)の取得部(21)が、自車両(100)の走行中に、該自車両(100)の周囲環境情報に基づいて、該自車両(100)と該自車両(100)の周囲に位置する対象との位置関係情報を取得する取得ステップ(S101)と、
前記制御装置(20)の実行部(22)が、前記取得ステップ(S101)で取得された前記位置関係情報に基づいて、前記ライダーによる走行中の前記自車両(100)の運転を支援するライダー支援動作を実行する実行ステップ(S102)と、
を備えており、
前記実行ステップ(S102)では、前記実行部(22)が、前記自車両(100)の走行が前記グループ走行である場合に、該自車両(100)の走行が該グループ走行ではない場合と比較して、前記ライダーの支援度合いが抑制された前記ライダー支援動作を実行する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーン車両のライダーを支援するライダー支援システムの制御装置と、リーン車両のライダーを支援するライダー支援システムの制御方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のライダー支援システムとして、リーン車両の周囲環境情報が取得され、その周囲環境情報を用いてそのリーン車両のライダーによる運転を支援するライダー支援動作が実行されるものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-116882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のライダー支援システムでは、リーン車両とそのリーン車両の周囲に位置する対象との位置関係情報が取得され、その位置関係情報に基づいてライダー支援動作が実行される。一方で、リーン車両では、他の車両(例えば、乗用車、トラック等)と比較して、その車体サイズが小さいことから、複数のリーン車両がグループで走行する際に、特有の隊列を採用することが可能である。そのため、その特有な隊列が採用された状況への対応を検討する必要が生じる。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、ライダーの安全性を向上することが可能なライダー支援システムの制御装置を得るものである。また、ライダーの安全性を向上することが可能なライダー支援システムの制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、リーン車両のライダーを支援するライダー支援システムの制御装置であって、自車両の走行中に、該自車両の周囲環境情報に基づいて、該自車両と該自車両の周囲に位置する対象との位置関係情報を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記位置関係情報に基づいて、前記ライダーによる走行中の前記自車両の運転を支援するライダー支援動作を実行する実行部と、を備えており、前記実行部は、前記自車両の走行が複数のリーン車両がグループで走行するグループ走行ではない場合と、該自車両の走行が該グループ走行である場合と、で、前記ライダー支援動作を変化させるものである。
【0007】
本発明に係る制御方法は、リーン車両のライダーを支援するライダー支援システムの制御方法であって、制御装置の取得部が、自車両の走行中に、該自車両の周囲環境情報に基づいて、該自車両と該自車両の周囲に位置する対象との位置関係情報を取得する取得ステップと、前記制御装置の実行部が、前記取得ステップで取得された前記位置関係情報に基づいて、前記ライダーによる走行中の前記自車両の運転を支援するライダー支援動作を実行する実行ステップと、を備えており、前記実行ステップでは、前記実行部が、前記自車両の走行が複数のリーン車両がグループで走行するグループ走行ではない場合と、該自車両の走行が該グループ走行である場合と、で、前記ライダー支援動作を変化させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る制御装置及び制御方法では、制御装置の実行部が、自車両の走行がグループ走行ではない場合と、自車両の走行がグループ走行である場合と、で、ライダー支援動作を変化させる。そのため、リーン車両に特有の隊列が採用された状況に対応することが可能となって、ライダーの安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、自車両への搭載状態を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、システム構成を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、構成を説明するための図である。
図4】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、構成を説明するための図である。
図5】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、構成を説明するための図である。
図6】本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、制御装置の動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る制御装置及び制御方法について、図面を用いて説明する。
【0011】
なお、以下で説明する構成、動作等は、一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成、動作等である場合に限定されない。
【0012】
例えば、以下では、本発明に係る制御装置及び制御方法が、自動二輪車のライダー支援システムに用いられる場合を説明しているが、本発明に係る制御装置及び制御方法が、自動二輪車以外の他のリーン車両のライダー支援システムに用いられてもよい。リーン車両は、右方向への旋回走行に際して車体が右側に倒れ、左方向への旋回走行に際して車体が左側に倒れる車両を意味する。リーン車両には、例えば、モータサイクル(自動二輪車、自動三輪車)、自転車等が含まれる。モータサイクルには、エンジンを動力源とする車両、電気モータを動力源とする車両等が含まれる。モータサイクルには、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。自転車は、ペダルに付与されるライダーの踏力によって路上を推進することが可能な車両を意味する。自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。
【0013】
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部分については、同一の符号を付すか又は符号を付すことを省略している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0014】
実施の形態.
以下に、実施の形態に係るライダー支援システムを説明する。
【0015】
<ライダー支援システムの構成>
実施の形態に係るライダー支援システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、自車両への搭載状態を示す図である。図2は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、システム構成を示す図である。図3図5は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、構成を説明するための図である。
【0016】
図1及び図2に示されるように、ライダー支援システム1は、リーン車両である自車両100に搭載される。ライダー支援システム1は、例えば、周囲環境センサ11と、車両挙動センサ12と、制御装置(ECU)20と、報知装置30と、制動装置40と、駆動装置50と、を含む。
【0017】
ライダー支援システム1では、制御装置20が、周囲環境センサ11及び車両挙動センサ12で検出された情報を用いて、走行中の自車両100のライダーによる運転を支援するライダー支援動作を実行する。制御装置20は、各種装置(例えば、報知装置30、制動装置40、駆動装置50等)に制御指令を出力して、ライダー支援動作を実行する。制御装置20には、必要に応じて、他の情報(例えば、ライダーによる制動装置40の操作状態の情報、ライダーによる駆動装置50の操作状態の情報等)を検出するための各種センサ(図示省略)の検出結果も入力される。ライダー支援システム1の各部は、ライダー支援システム1に専ら用いられるものであってもよく、また、他のシステムと共用されるものであってもよい。
【0018】
周囲環境センサ11は、自車両100の周囲環境情報を検出する。周囲環境情報には、自車両100の周囲に位置する被検体までの距離又は方位に関連する情報が含まれる。周囲環境センサ11は、例えば、自車両100の前方の周囲環境情報を検出する周囲環境センサ11aであってもよく、また、自車両100の後方の周囲環境情報を検出する周囲環境センサ11bであってもよく、また、自車両100の左方の周囲環境情報を検出する周囲環境センサ11cであってもよく、また、自車両100の右方の周囲環境情報を検出する周囲環境センサ11dであってもよく、また、それらの組み合わせであってもよい。周囲環境センサ11a、11b、11c、11dは、それぞれ、例えば、レーダー、Lidarセンサ、超音波センサ、カメラ等である。周囲環境センサ11c及び周囲環境センサ11dの少なくとも一部が、周囲環境センサ11a又は周囲環境センサ11bで代用されていてもよい。
【0019】
車両挙動センサ12は、自車両100の車両挙動情報を検出する。車両挙動センサ12は、例えば、車速センサ、慣性センサ(IMU)等である。車速センサは、自車両100に生じている速度を検出する。車速センサが、自車両100に生じている速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。慣性センサは、自車両100に生じている3軸(前後方向、車幅方向、車高方向)の加速度及び3軸(ロール角、ピッチ角、ヨー角)の角速度を検出する。慣性センサが、自車両100に生じている3軸の加速度及び3軸の角速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。また、慣性センサが、3軸の加速度及び3軸の角速度の一部を検出するものであってもよい。
【0020】
制御装置20は、少なくとも、取得部21と、実行部22と、を含む。制御装置20の全て又は各部は、1つの筐体に纏めて設けられていてもよく、また、複数の筐体に分けられて設けられていてもよい。また、制御装置20の全て又は各部は、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0021】
取得部21は、自車両100の走行中に、周囲環境センサ11で検出された周囲環境情報に基づいて、自車両100と自車両100の周囲に位置する対象(例えば、他車両、障害物、道路設備、人、動物等)との位置関係情報を取得する。位置関係情報は、例えば、相対位置、相対距離、相対速度、相対加速度、相対加加速度等の情報である。位置関係情報は、それらに実質的に換算可能な他の物理量の情報であってもよい。
【0022】
実行部22は、取得部21で取得された位置関係情報に基づいて、走行中の自車両100のライダーによる運転を支援するライダー支援動作を実行する。実行部22は、ライダー支援動作の実行、又は、その可否の判定にあたって、必要に応じて、車両挙動センサ12で検出された車両挙動情報を用いる。実行部22は、自車両100の走行がグループ走行ではない場合と、自車両100の走行がグループ走行である場合と、で、ライダー支援動作を変化させる。グループ走行は、特定の複数のリーン車両がグループで(つまり、一団となって)走行する状態である。グループ走行には、例えば、1つのレーン内で複数のリーン車両が千鳥状に並んで走行する隊列、1つのレーン内で複数のリーン車両又はそれらの車列がレーン幅方向に並んで走行する隊列等での走行が含まれる。実行部22が、グループ走行の隊列の種類を区別しないものであってもよく、また、グループ走行の隊列の種類を区別し、その区別に応じてライダー支援動作を変化させるものであってもよい。実行部22は、取得部21で取得された位置関係情報に基づく、特定の複数のリーン車両がグループで走行する状態の自動検知によって、自車両100の走行がグループ走行であるか否かを判定してもよく、また、ライダーによる手動でのグループ走行モードの選択、又は、周囲環境情報に基づく自動検知後のライダーによる手動での承諾操作によって、自車両100の走行がグループ走行であることを判定してもよい。例えば、実行部22は、自車両100と同一レーンを走行する他のリーン車両が自車両100に対して所定の位置に居る状態が基準時間又は基準走行距離を超えて継続していることを示す位置関係情報が取得部21で取得される場合に、自車両100の走行がグループ走行であると判定することができる。
【0023】
ライダー支援動作は、ライダーに対する報知を行う報知動作であってもよく、その場合には、実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であるか否かに応じて報知装置30に出力する制御指令を変化させる。また、ライダー支援動作は、自車両100に生じている速度、加速度又は加加速度の制御を行う制御動作であってもよく、その場合には、実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であるか否かに応じて制動装置40及び駆動装置50の少なくとも一方に出力する制御指令を変化させる。その制御動作は、ライダーによって制動装置40又は駆動装置50が操作されている状態で実行されてもよく、また、ライダーによって制動装置40又は駆動装置50が操作されていない状態で実行されてもよい。ライダー支援動作として、ライダーに対する報知動作と、自車両100に生じている速度、加速度又は加加速度の制御動作と、の両方が行われてもよい。
【0024】
報知装置30は、表示(つまり、視覚器が感覚器として用いられる知覚)によってライダーに報知するものであってもよく、また、音(つまり、聴覚器が感覚器として用いられる知覚)によってライダーに報知するものであってもよく、また、振動(つまり、触覚器が感覚器として用いられる知覚)によってライダーに報知するものであってもよく、また、それらの組み合わせによってライダーに報知するものであってもよい。具体的には、報知装置30は、ディスプレイ、ランプ、スピーカー、バイブレーター等であり、自車両100に設けられていてもよく、また、例えば、ヘルメット、グローブ等の自車両100に付随する備品に設けられていてもよい。また、報知装置30は、1つの出力器で構成されていてもよく、また、複数の同一種類又は異なる種類の出力器で構成されていてもよい。その複数の出力器は、一体的に設けられていてもよく、また、別体的に設けられていてもよい。
【0025】
制動装置40は、自車両100を制動するためのものである。駆動装置50は、自車両100の動力源として自車両100に駆動力を生じさせるためのものである。駆動装置50が、制動装置40の機能を担っていてもよい。
【0026】
一例として、実行部22は、ライダー支援動作として、自車両100と自車両100の周囲に位置する対象との衝突の可能性をライダーに報知する報知動作を実行する。例えば、取得部21で、自車両100と自車両100の前方、後方又は側方に位置する対象との衝突の可能性が閾値を上回る状態に対応する位置関係情報が取得された場合に、実行部22は、ライダーに対する報知動作を実行する。その報知動作では、衝突の可能性の有無が報知されてもよく、また、衝突の可能性の度合いを示すランクが報知されてもよい。また、それらに併せて、例えば、対象の種別等の付加的な情報が報知されてもよい。実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であるか否かに応じてその報知動作を変化させる。実行部22が、ライダー支援動作として、衝突の可能性を低減するべく、自車両100に生じている速度、加速度又は加加速度の制御動作を実行してもよく、そのような場合においても、実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であるか否かに応じて制御動作を変化させる。
【0027】
一例として、実行部22は、ライダー支援動作として、自車両100の周囲に位置する他車両の自車両100に対する相対距離又は通過時間差をライダーに報知する報知動作を実行する。例えば、取得部21が、位置関係情報として、前方、後方又は側方を走行する他車両の自車両100に対する相対距離又は通過時間差の情報を取得し、実行部22が、その相対距離又は通過時間差の情報のライダーに対する報知動作を実行する。その報知動作では、相対距離又は通過時間差自体が報知されてもよく、また、相対距離又は通過時間差の度合いを示すランクが報知されてもよい。また、それらに併せて、例えば、他車両の車種等の付加的な情報が報知されてもよい。実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であるか否かに応じてその報知動作を変化させる。実行部22が、ライダー支援動作として、相対距離又は通過時間差を調節するべく、自車両100に生じている速度、加速度又は加加速度の制御動作を実行してもよく、そのような場合においても、実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であるか否かに応じて制御動作を変化させる。
【0028】
一例として、実行部22は、ライダー支援動作として、自車両100の周囲に位置する他車両による自車両100に対するあおり運転をライダーに報知する報知動作を実行する。例えば、取得部21で、自車両100の後方を他車両が閾値を下回る相対距離又は通過時間差で走行していて、且つ、その相対距離又は通過時間差が基準期間を超えて安定している状態に対応する位置関係情報が取得された場合に、実行部22は、ライダーに対する報知動作を実行する。その報知動作では、あおり運転の有無が報知されてもよく、また、その状態(例えば、相対距離又はその度合いを示すランク、通過時間差又はその度合いを示すランク、他車両の車種等)が報知されてもよい。実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であるか否かに応じてその報知動作を変化させる。実行部22が、ライダー支援動作として、相対距離又は通過時間差を調節するべく、自車両100に生じている速度、加速度又は加加速度の制御動作を実行してもよく、そのような場合においても、実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であるか否かに応じて制御動作を変化させる。
【0029】
一例として、実行部22は、ライダー支援動作として、自車両100の周囲に位置する他車両による自車両100の死角の走行をライダーに報知する報知動作を実行する。例えば、取得部21で、自車両100の側方のうちのライダーにとって死角となり得る領域を他車両が閾値を下回る相対距離で走行している状態に対応する位置関係情報が取得された場合に、実行部22は、ライダーに対する報知動作を実行する。その報知動作では、他車両による自車両100の死角の走行の有無が報知されてもよく、また、その状態(例えば、相対距離又はその度合いを示すランク、相対速度又はその度合いを示すランク、他車両の車種等)が報知されてもよい。実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であるか否かに応じてその報知動作を変化させる。
【0030】
実行部22は、自車両100の走行がグループ走行ではない場合に、ライダー支援動作の実行を許可し、自車両100の走行がグループ走行である場合に、ライダー支援動作の実行を禁止する。実行部22は、ライダー支援動作自体を実行できなくしてもよく、また、ライダー支援動作を実行できる状態で、周囲環境センサ11の検出範囲又は取得部21で位置関係情報を取得する処理演算範囲を狭める又はずらすことによって、ライダー支援動作の実行を禁止してもよい。例えば、実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であると判定すると、自車両100と同一グループで走行する他のリーン車両が含まれなくなるように、検出範囲又は処理演算範囲を狭める又はずらす。
【0031】
実行部22は、自車両100の走行がグループ走行である場合に、自車両100の走行がグループ走行ではない場合と比較して、ライダーの支援度合いが抑制されたライダー支援動作を実行する。実行部22は、ライダー支援動作の制御パラメータ自体を変更して支援度合いを抑制してもよく、また、ライダー支援動作の制御パラメータを変更せずに、周囲環境センサ11の検出範囲又は取得部21で位置関係情報を取得する処理演算範囲を狭める又はずらすことによって、ライダー支援動作の支援度合いを抑制してもよい。例えば、実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であると判定すると、自車両100と同一グループで走行する他のリーン車両が含まれ難くなるように、検出範囲又は処理演算範囲を狭める又はずらす。
【0032】
例えば、ライダー支援動作がライダーに対する報知動作である場合、又は、ライダー支援動作が自車両100に生じている速度、加速度又は加加速度の制御動作である場合には、実行部22は、ライダー支援動作の開始時期を遅らせることで、ライダー支援動作の支援度合いを抑制する。実行部22は、ライダー支援動作の実行の決定から実際の実行までの時間遅れを設ける又は延長することで、ライダー支援動作の開始時期を遅らせてもよく、また、ライダー支援動作の開始基準となる閾値(例えば、衝突の可能性、相対距離、通過時間差、ライダーによる制動装置40の操作量等)をその開始基準が満たされ難くなる値に変更することで、ライダー支援動作の開始時期を遅らせてもよい。
【0033】
例えば、ライダー支援動作がライダーに対する報知動作である場合には、実行部22は、報知のライダーによる知覚性を低下させることで、ライダー支援動作の支援度合いを抑制する。実行部22は、報知の強度(例えば、表示の明るさ、表示の大きさ、音の大きさ、振動の振幅等)を低下させることで、報知のライダーによる知覚性を低下させてもよく、また、報知の周期(例えば、表示変化の周期、音量変化の周期、振動の周波数等)を低下させることで、報知のライダーによる知覚性を低下させてもよい。また、実行部22は、知覚のタイプをよりライダーに知覚され難いものに切り替えることで、報知のライダーによる知覚性を低下させてもよい。例えば、振動によるライダーへの報知が、表示又は音によるライダーへの報知に切り替えられてもよい。また、実行部22は、報知装置30をよりライダーに知覚され難いものに切り替えることで、報知のライダーによる知覚性を低下させてもよい。例えば、ヘルメットに設けられた報知装置30を用いた表示又は音による報知が、自車両100に設けられた報知装置30を用いた表示又は音による報知に切り替えられてもよい。
【0034】
例えば、ライダー支援動作が自車両100に生じている速度、加速度又は加加速度の制御動作である場合には、実行部22は、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることで、ライダー支援動作の支援度合いを抑制する。実行部22は、その制御動作において設定される目標速度を自車両100の車速に近づけるように変更してもよく、また、その制御動作において設定される目標加速度の絶対値又は目標加加速度の絶対値の上限を低下させてもよく、また、その制御動作の全期間において、その制御動作において設定される目標加速度の絶対値又は目標加加速度の絶対値を低下させてもよく、また、その制御動作の開始直後において、その制御動作において設定される目標加速度の絶対値又は目標加加速度の絶対値を低下させ、徐々にその絶対値を増加させてもよい。実行部22は、その変更量を、例えば、自車両100と対象(ここでは、自車両100と同一グループで走行する他のリーン車両)との衝突の可能性の度合い、他車両(ここでは、自車両100と同一グループで走行する他のリーン車両)の自車両100に対する相対距離の度合い、他車両(ここでは、自車両100と同一グループで走行する他のリーン車両)の自車両100に対する通過時間差の度合い等に応じて変化させるとよい。
【0035】
なお、ライダー支援動作が自車両100を減速させる制御動作である場合において、実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であると判定した際に、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行するか否かを、自車両100の後方の状況及び/又は前方の状況に応じて決定してもよい。また、ライダー支援動作が自車両100を加速させる制御動作である場合において、実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であると判定した際に、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行するか否かを、自車両100の後方の状況及び/又は前方の状況に応じて決定してもよい。実行部22は、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行するか否かではなく、変化量を低下させる度合いを維持するか減らすかを決定してもよい。実行部22は、自車両100の走行がグループ走行であるか否かに関わらず、そもそも、ライダー支援動作が自車両100を減速又は加速させる制御動作を実行するか否か、又は、その減速又は加速の度合いを、自車両100の後方の状況及び/又は前方の状況に応じて決定してもよい。
【0036】
図3及び図4に示されるように、例えば、実行部22は、ライダー支援動作が自車両100を減速させる制御動作である場合において、自車両100と自車両100の後方に位置する他のリーン車両200とがレーン幅方向又は車幅方向において離れている状況では、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行しない。また、例えば、実行部22は、ライダー支援動作が自車両100を減速させる制御動作である場合において、自車両100と自車両100の前方に位置する他のリーン車両300とがレーン幅方向又は車幅方向において近づいている状況では、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行しない。また、例えば、実行部22は、ライダー支援動作が自車両100を加速させる制御動作である場合において、自車両100と自車両100の後方に位置する他のリーン車両200とがレーン幅方向又は車幅方向において近づいている状況では、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行しない。また、例えば、実行部22は、ライダー支援動作が自車両100を加速させる制御動作である場合において、自車両100と自車両100の前方に位置する他のリーン車両300とがレーン幅方向又は車幅方向において離れている状況では、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行しない。図3に示されるように、自車両100と他のリーン車両200、300とがレーン幅方向又は車幅方向において離れているか近づいているかは、自車両100の車幅中心線又は走行軌跡(過去、現在又は将来の走行軌跡)と、他のリーン車両200、300の車幅中心線又は走行軌跡(過去、現在又は将来の走行軌跡)と、のレーン幅方向又は車幅方向での相対距離が基準値と比較されることで判定されるとよい。また、図4に示されるように、自車両100と他のリーン車両200、300とがレーン幅方向又は車幅方向において離れているか近づいているかは、自車両100の車幅方向の端部を通る車体前後方向に延びる線又はその端部の軌跡(過去、現在又は将来の軌跡)と、他のリーン車両200、300の車幅方向の端部を通る車体前後方向に延びる線又はその端部の軌跡(過去、現在又は将来の軌跡)と、の重なりの度合いが基準値と比較されることで判定されるとよい。その際に、自車両100及び/又は他のリーン車両200、300における、リーンの増加に伴う車幅の増加が加味されるとよい。
【0037】
図5に示されるように、例えば、実行部22は、ライダー支援動作が自車両100を減速させる制御動作である場合において、自車両100と自車両100の後方に位置する他のリーン車両200とがレーン延伸方向又は車体前後方向において離れている状況では、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行しない。また、例えば、実行部22は、ライダー支援動作が自車両100を減速させる制御動作である場合において、自車両100と自車両100の前方に位置する他のリーン車両300とがレーン延伸方向又は車体前後方向において近づいている状況では、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行しない。また、例えば、実行部22は、ライダー支援動作が自車両100を加速させる制御動作である場合において、自車両100と自車両100の後方に位置する他のリーン車両200とがレーン延伸方向又は車体前後方向において近づいている状況では、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行しない。また、例えば、実行部22は、ライダー支援動作が自車両100を加速させる制御動作である場合において、自車両100と自車両100の前方に位置する他のリーン車両300とがレーン延伸方向又は車体前後方向において離れている状況では、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行しない。実行部22が、レーン延伸方向又は車体前後方向における自車両100と他のリーン車両200、300との距離に換えて、自車両100と他のリーン車両200、300との直線距離を用いて、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行するか否かを決定してもよく、また、その時点での他のライダー支援動作(例えば、自車両100と自車両100の周囲に位置する対象との衝突の可能性をライダーに報知する報知動作、自車両100の周囲に位置する他車両の自車両100に対する相対距離又は通過時間差をライダーに報知する報知動作、自車両100の周囲に位置する他車両による自車両100に対するあおり運転をライダーに報知する報知動作、自車両100の周囲に位置する他車両による自車両100の死角の走行をライダーに報知する報知動作等)の実行の有無の情報、又は、その実行での判定に用いられた情報を用いて、速度、加速度、又は加加速度の変化量を低下させることを実行するか否かを決定してもよい。
【0038】
<ライダー支援システムの動作>
実施の形態に係るライダー支援システムの動作について説明する。
図6は、本発明の実施の形態に係るライダー支援システムの、制御装置の動作フローを示す図である。
【0039】
制御装置20は、自車両100の走行中において、図6示される動作フローを実行する。
【0040】
(取得ステップ)
ステップS101において、取得部21は、自車両100の走行中に、自車両100の周囲環境情報に基づいて、自車両100と自車両100の周囲に位置する対象との位置関係情報を取得する。
【0041】
(実行ステップ)
ステップS102において、実行部22は、取得部21で取得された位置関係情報に基づいて、走行中の自車両100のライダーによる運転を支援するライダー支援動作を実行する。そして、実行部22は、そのライダー支援動作を、自車両100の走行が複数のリーン車両がグループで走行するグループ走行であるか否かに応じて変化させる。
【0042】
<ライダー支援システムの効果>
実施の形態に係るライダー支援システムの効果について説明する。
制御装置20が、自車両100の走行中に、自車両100の周囲環境情報に基づいて、自車両100と自車両100の周囲に位置する対象との位置関係情報を取得する取得部21と、取得部21で取得された位置関係情報に基づいて、走行中の自車両100のライダーによる運転を支援するライダー支援動作を実行する実行部22と、を備えており、実行部22が、自車両100の走行が複数のリーン車両がグループで走行するグループ走行ではない場合とグループ走行である場合とで、ライダー支援動作を変化させる。そのため、リーン車両に特有の隊列が採用された状況に対応することが可能となって、ライダーの安全性が向上する。
【0043】
好ましくは、実行部22は、自車両100の走行がグループ走行ではない場合にライダー支援動作の実行を許可し、自車両100の走行がグループ走行である場合にライダー支援動作の実行を禁止する。そのように構成されることで、ライダーの安全性の向上が確実化される。
【0044】
好ましくは、実行部22は、自車両100の走行がグループ走行である場合に、自車両100の走行がグループ走行ではない場合と比較して、ライダーの支援度合いが抑制されたライダー支援動作を実行する。そのように構成されることで、ライダーの安全性の向上が確実化される。
【0045】
以上、実施の形態について説明したが、実施の形態の一部のみが実施されてもよく、また、実施の形態の一部が異なる態様に変更されてもよい。つまり、本発明は実施の形態の説明に限定されない。
【0046】
例えば、以上では、取得部21が、自車両100と自車両100の周囲に位置する対象との位置関係情報を、周囲環境センサ11で検出された周囲環境情報に基づいて取得する場合を説明したが、取得部21が、自車両100と自車両100の周囲に位置する対象との位置関係情報を、他の手段(例えば、自車両100とその周辺に位置する対象との無線通信、自車両100とその周辺に位置するインフラストラクチャ設備との無線通信等)を用いて取得してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 ライダー支援システム、11 周囲環境センサ、12 車両挙動センサ、20 制御装置、21 取得部、22 実行部、30 報知装置、40 制動装置、50 駆動装置、100 自車両、200、300 他のリーン車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6