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特許7628179タバコ加工産業のフィルター内のカプセルの欠陥を識別する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】タバコ加工産業のフィルター内のカプセルの欠陥を識別する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A24C 5/34 20060101AFI20250131BHJP
   A24D 3/02 20060101ALI20250131BHJP
   G01N 22/04 20060101ALI20250131BHJP
   G01N 22/02 20060101ALI20250131BHJP
   G01N 22/00 20060101ALI20250131BHJP
   A24F 40/50 20200101ALN20250131BHJP
【FI】
A24C5/34 Z
A24D3/02
G01N22/04 Z
G01N22/02 Z
G01N22/00 V
A24F40/50
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023527679
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2021079812
(87)【国際公開番号】W WO2022101010
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】102020129732.7
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521382078
【氏名又は名称】テウス エレクトロニク ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】シュレム ウド
(72)【発明者】
【氏名】エガーズ ヨルン
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-252792(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02796061(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第110279142(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102016114642(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/32- 5/345
A24D 3/00- 3/18
A24F 40/00-47/00
G01N 22/00-22/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ加工産業のフィルター内のカプセルの欠陥を識別する方法であって、マイクロ波測定装置が、前記フィルターの密度および/または水分含有量に対して前記フィルターの長手方向に示す値を測定し、
前記方法は、
a.測定値を閾値と比較し、前記閾値を下回る場合、前記フィルター内にカプセルの欠陥が存在するステップと、
b.少なくとも1つの測定値が前記閾値未満である測定位置の前方および/または後方の領域における前記測定値の標準偏差を決定するステップと、
c.前記標準偏差を所定のカプセルの閾値と比較し、
i.前記カプセルの閾値を超えた場合、破損したカプセルが存在し、
ii.前記カプセルの閾値を下回る場合、カプセルが欠落しているステップと
を含み、
ベストフィットのラインが前記少なくとも1つの測定値が前記閾値未満である測定位置の前方および/または後方の領域における前記測定値の線形回帰によって決定され、前記標準偏差が前記ベストフィットのラインに対して決定されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
最大値の探索が、前記少なくとも1つの測定値が前記閾値未満である測定位置の前方および/または後方の領域において行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロ波測定装置は、マイクロ波共振器として設計され、前記マイクロ波共振器の共振曲線の幅の少なくとも1つの変化、および/または前記マイクロ波共振器の共振周波数の変化を測定することを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロ波測定装置は、密度信号および/または水分含有量の信号を測定するマイクロ波共振器として設計されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記標準偏差は、長手方向の前記少なくとも1つの測定値が前記閾値未満である測定位置の前方および/または後方の領域の所定の長さに対して決定されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記カプセルは、長手方向の特定の位置にあると予想されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記標準偏差は、前記カプセルの予想される前記位置の周囲に一定の間隔で、それぞれの場合において決定されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記フィルターは、長手方向に搬送されるフィルターロッドとして、またはフィルターストランドとして設計されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記フィルターは、長手方向に搬送されるシガレットのフィルター片として設計されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記カプセルの閾値は、前記カプセルの材料および/またはカプセル充填の種類に依存しないことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記カプセルの閾値は、周囲のフィルタートウに依存しないことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
タバコ加工産業のフィルター内のカプセルの欠陥を測定する装置であって、マイクロ波測定装置と、測定値を処理する制御装置とを備え、
a.前記マイクロ波測定装置は、前記フィルター内の密度および/または水分含有量を示す値を測定し、前記制御装置は、前記測定値を閾値と比較し、前記閾値を下回る場合、カプセルの欠陥を識別するように設計され、
b.前記制御装置は、少なくとも1つの測定値が前記閾値未満である測定位置の前方および/または後方の領域における測定値に対して標準偏差を決定し、前記標準偏差をカプセルの閾値と比較するように設計され、
i.前記カプセルの閾値を超えた場合、破損したカプセルが識別され、
ii.前記カプセルの閾値を下回る場合、前記カプセルが欠落していると識別され
ベストフィットのラインが前記少なくとも1つの測定値が前記閾値未満である測定位置の前方および/または後方の領域における前記測定値の線形回帰によって決定され、前記標準偏差が前記ベストフィットのラインに対して決定されることを特徴とする、装置。
【請求項13】
フィルターロッドのテストステーションの一部として設計されることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
シガレット、またはフィルター用の製造機の一部として設計されることを特徴とする、請求項12または13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ加工産業のフィルター内のカプセルの欠陥を識別する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タバコ加工産業のフィルターは、フィルターストランド、カットされたフィルターロッドの形態、またはシガレットに接続されたフィルターピースとしての形態とすることができる。味覚の理由から、香味物質を有するカプセルがフィルター内に組み込まれ、そのカプセルは、シガレットが吸われる直前にフィルター内で砕かれ、その結果、フィルター内でそれらの香味物質が放出される。一般的に使用される香味物質は、例えば、メントールである。中に1つまたは複数のカプセルが組み込まれたこの種のフィルターを使用する利点は、香味物質が既にフィルター内に位置し、タバコと一緒に燃焼されるのではなく、燃焼されずにタバコ煙に加えられることである。したがって、香味物質の燃焼による健康に有害な物質の生成が防止される。同様に、タバコとの燃焼による香料の変質も排除される。
【0003】
カプセルの様々なパラメータは、製造中および/または最終製品の検査中に適切なセンサシステムで測定でき、それらの品質を監視できる。ここで、カプセルに関連するパラメータは、例えば、フィルター内のカプセルの位置と間隔、ならびにカプセルの状態、すなわちカプセルが無傷か破損しているのかどうかである。
【0004】
欧州特許第2249670号は、フィルターストランド内のカプセルの状態および存在を検出できる、カプセルを検査するための様々なセンサシステムを開示している。
【0005】
欧州特許第2207027号は、非金属基板中の多数の分割ユニット内の質量または密度を測定する方法および/または水分含有量を測定する方法を開示している。少なくとも1つの共振モードを発生させる少なくとも1つのマイクロ波共振器からなるマイクロ波測定装置は、局所的に制限された測定範囲において測定する。マイクロ波測定装置は、分割ユニットがない測定範囲に基板のみが位置する場合、および分割ユニットが測定範囲に少なくとも部分的に位置する場合のそれぞれの場合に、共振モードの少なくとも1つの特性変数を測定する。評価ユニットは、基板に対して測定された変数を、分割ユニットに対する測定値から減算し、特性マップを用いて、少なくとも1つの差分から水分含有量および/または分割ユニットの質量もしくは密度の値を決定する。
【0006】
実際には、無傷のカプセルは、フィルターの密度信号において顕著な局所的な最大値を示す。カプセルが破損した場合、液体香味物質は最初にフィルター内に広がり、その後蒸発する。破損したカプセルの殻は、カプセルの位置に残る。カプセルおよびその殻の大きさと性質、ならびにその破壊の度合いに応じて、残されたカプセルの殻は、1つまたは複数の密度信号をもたらす。密度信号の振幅を用いて、フィルター内の欠陥のあるカプセルを確実に識別できる。したがって、カプセルに欠陥がある場合、フィルターを製品から廃棄できる。しかしながら、カプセルが欠落しているのか、またはカプセルが既に破壊されているのかどうかは、確実に区別できない。したがって、カプセルが欠落している場合のカプセルの欠陥と、カプセルが破壊されている場合のカプセルの欠陥とを確実に区別できない。したがって、カプセルと、フィルター内のカプセルの欠陥とに関する追加情報を、少ない労力で信頼できる方法により得るという技術的ニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第2249670号
【文献】欧州特許第2207027号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、タバコ加工産業のフィルターのカプセルの欠陥に対する測定信号を正確かつ確実に評価できる方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明に係る請求項1の特徴を有する方法、および請求項13の特徴を有する装置によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0010】
タバコ加工産業のフィルターストランド内のカプセルの欠陥を識別する本発明による方法は、フィルターの密度および/または水分含有量をフィルターの長手方向で測定するマイクロ波測定装置を使用する。
【0011】
第1の方法ステップでは、測定プロファイルの特定領域において、測定値の最大値を閾値と比較する。この場合、測定値は密度および/または水分含有量を示し、密度および/または水分含有量の値は、前記測定値から直接または追加の変数を用いて決定できることを意味する。閾値を下回る場合、カプセルの欠陥がフィルター内で識別される。カプセルの欠陥を正確に分析するために、密度および/または水分含有量の変動の程度を、測定位置の前方および/または後方の領域で記録する。カプセルの目標位置の周囲の領域が、測定位置とされる。第2の比較ステップでは、領域に対して決定された変動の程度の値を、測定値に対するカプセルの閾値と比較する。カプセルの閾値を超えた場合、破損したカプセルが識別される。値がカプセルの閾値以下の場合は、カプセルの欠落がフィルター内で識別される。それぞれの場合において、変動の程度の値をカプセルの閾値と比較する。測定位置の選択は、カプセルの欠落の識別に特に関連している。カプセルの欠落は、カプセルがそこにあるはずの状態の場合にのみ欠陥として識別可能である。したがって、目標位置または予想位置が測定位置として選択される。
【0012】
本発明は、カプセルの破損により測定信号の変動が増大し、その結果、カプセルを欠き、破損したカプセルの残骸および/または漏れた香味物質の残骸がない均一な密度、したがって、測定信号の低い変動の程度を示す、純フィルターよりも、変動の程度に関してより大きな値となるという観察に基づく。第2の比較は、密度および/または水分含有量に対する測定信号自体に基づくのではなく、カプセルの欠陥の領域におけるその変動の程度に基づくという事実により、カプセルの状態に関する情報を、少ない技術的労力で確実に得ることができる。
【0013】
好ましい展開では、測定位置の周囲の調整領域における測定値に対してベストフィットのラインが決定され、ベストフィットのラインに対して変動の程度が決定される。調整領域は、例えば、測定位置の前方または後方に所定の距離を有してもよい。好ましくは、ベストフィットのラインは、調整領域における測定値の線形回帰によって形成される。ベストフィットのラインの使用は、カプセルまたはその内容物に起因しない水分含有量および密度の変動が、よりゆっくりと局所的に変化し、したがって、線形回帰によって良好に表すことができるという洞察に基づく。
【0014】
好ましい展開では、マイクロ波測定装置は、共振幅の変化および/または共振周波数の変化を測定するマイクロ波共振器として設計される。マイクロ波共振器の誘電特性は、そこに挿入されたカプセルの有無にかかわらず、フィルターに起因して変化する。これにより、共振曲線の幅が広がり、その共振周波数が変化する。マイクロ波測定装置の測定信号の評価中、共振曲線の幅の変化および共振周波数の変化は、水分含有量および密度の値として評価され得る。信号の評価中、共振曲線の変化は一般に、空の共振器に対して記録される。2つ以上の共振モードを有する適切なマイクロ波測定装置を動作させ、様々な共振モード間の信号の変化を評価することも可能である。概して、本発明による方法は、密度信号および/または水分含有量の信号の値を測定し、空間的範囲における変動の程度に応じてそれらの変化を決定することで十分である。
【0015】
本発明による方法の好ましい展開では、変動の程度の値は、フィルターの長手方向における所定の長さに対して決定される。この展開の長さは、カプセルに対して予想された目標位置に適合させる必要がある。所定の長さは、例えば、密度および/または水分含有量に対して測定された最大値が閾値未満である場合のカプセルの目標位置の前方および/または後方に位置してもよい。さらに、所定の長さは、例えば、ベストフィットのラインの調整領域と一致してもよい。
【0016】
前記方法の好ましい実施形態では、カプセルが長手方向にあると予想される位置が予め決定される。これは、例えば、カプセル型フィルターストランド自体の製造工程、例えば、カプセルが出発位置を起点として、所定の距離を空けてフィルター内に挿入されることに起因する場合がある。所定の位置は、例えば、カプセルの存在が閾値を超えたときに測定され、そこから、追加のカプセルに対する予想位置が所与の距離値を用いて決定されるという点で、カプセル間の所定の距離を用いて決定されてもよい。製造機でカプセル型フィルターストランドを製造中、継ぎ目のないカプセル型フィルターストランド内のカプセルの位置が、ストランドを個々のフィルターロッドに分割するナイフに対して正しいことが重要である。
【0017】
前記方法の好都合な展開では、変動の程度の値は、予想されるカプセルの位置の前方および/または後方の領域のそれぞれの場合において決定できる。このアプローチでは、密度および/または水分含有量の測定値が閾値未満であるか否かにかかわらず、変動の程度の値が連続的に計算される。次に、標準偏差はまた、値が閾値を下回った場合、過去の長さに対しても評価される。
【0018】
好ましい実施形態では、フィルターは、その長手方向に搬送されるフィルターロッドである。フィルターロッドは、フィルタートウから製造され、切断される前に一辺で搬送される。フィルターロッドは、継ぎ目のないストランド上で検査可能であり、かつ/あるいはフィルターストランドは、個々のフィルターロッドに切断された後に検査可能である。しかしながら、本発明による方法は、製造中だけでなく、完成したシガレットを検査するためにも使用できる。この場合、測定されるフィルターは、その長手方向に搬送されるシガレットのフィルター片である。
【0019】
シガレット上の完成したフィルターピースの測定および検査は、好ましくはテストステーションで行われる。ただし、原則として、シガレットの製造工程の範囲内で行われてもよい。
【0020】
本発明による方法では、カプセルおよびフィルターの材料、ならびにフィルターの水分含有量が、カプセルの閾値に顕著な影響を及ぼさないことが実験によって示されている。したがって、カプセルの閾値も、カプセルおよびフィルターの材料、ならびにフィルターの水分含有量に関係なく決定でき、カプセルの材料またはフィルターを変更したときにカプセルの閾値を適合させる必要がない。
【0021】
好ましくは、変動の程度の値は、標準偏差として決定される。
【0022】
また、本発明によるこの目的は、請求項13の特徴を有する装置によって達成される。この装置は、タバコ加工産業のフィルター内のカプセルの欠陥を測定するために使用される。この装置は、マイクロ波測定装置と制御装置とを備え、制御装置は、マイクロ波測定装置の一部であってもよい。マイクロ波測定装置は、フィルター内の密度および/または水分含有量を示す値を測定し、制御装置は、測定値を閾値と比較し、閾値を下回る場合にカプセルの欠陥を識別するように設計される。本発明による方法の場合と同様に、制御装置は、変動の程度の値とカプセルの閾値との比較を用いて、破壊されたカプセルと欠落したカプセルとを確実に区別するようにも設計される。好ましくは、前記装置は、フィルターロッドのテストステーションの一部である。同様に、前記装置は、フィルターを製造する装置、例えば、フィルターロッド製造機、または様々なフィルターピースを結合フィルターに組み立てる機械(フィルターロッドコンバイナ)の一部であってもよい。さらに、前記装置は、シガレットを製造する装置、例えばシガレット製造機の一部であってもよい。
【0023】
好ましくは、制御装置は、変動の程度の値として標準偏差を決定するように設計される。
【0024】
本発明は、以下に示す図を用いてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】無傷のカプセルおよび破損したカプセルのフィルターストランド内の位置をプロットした密度信号を示す。
図2】欠落したカプセルの密度信号をさらに示す。
図3】4つのカプセルを有するフィルターロッドにおける密度信号を示す。
図4】カプセルが破損した場合およびカプセルが欠落している場合の標準偏差の値を示す。
図5】無傷のカプセルおよび破損したカプセルに対して測定された密度の値、ならびにカプセルの欠落に対するベストフィットのラインを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、フィルターロッドに対して測定された密度の値(寸法なしでプロットされたもの)をミリメートル単位の位置の関数として示すグラフである。2つの測定曲線がプロットされており、実線の測定曲線10は、無傷のカプセルを有するフィルターストランドに対して測定した密度の値を示し、測定曲線12は、カプセルが破損した場合の密度の測定値を示す。56mmから約61~62mmの範囲、および76mmからの範囲では、2つの測定曲線が同じ密度の値を有することが明確に分かる。中間領域では、カプセルが無傷の場合、最大170という著しく高い測定値が生じる。破損したカプセルに対する測定値は、140をわずかに超える値まで上昇する。
【0027】
無傷のカプセルは、約158の上限閾値14に基づいて、フィルターストランド内で確実に識別できる。曲線10の測定値は、上限閾値14を大幅に超えるので、無傷のカプセルが確実に識別される。また、図1は、140弱の値を有する下限閾値16を示す。示した例では、破損したカプセルの信号は、下限閾値16に基づいて識別され得る。
【0028】
図1に示す方法は、原則として、カプセルが欠落した状況を識別するのにも適しているであろう。図2は、フィルターストランド内にカプセルが欠落している場合のコース18を示す。図1に示した閾値14および16も、破損したカプセルとカプセルの欠落とを区別するのに十分であろう。
【0029】
しかしながら、上記に概説した方法は、実際には一連の重大な欠点を有する。具体的には、小さなカプセルを使用する場合、カプセルの欠落の信号と破損したカプセルの信号の間の差はあまり大きくない。その結果、これらのカプセルの欠陥を確実に区別できない。さらに、実用化される場合、カプセルが様々な破片に分解され、信号に、最大ではなく、様々な弱く顕著な局所最大値が生じる場合もある。ここで、カプセルの欠落と破損したカプセルとを区別できない。測定上の観点から特に重大な欠点は、測定信号の絶対値が、両方の閾値の比較に使用されることである。これらの絶対値は、環境条件、特に水分含有量の値に応じて非常に大きく変化する。フィルタートウの水分含有量が変化すると、絶対値が大きく変化し、乾燥したフィルタートウと同じ閾値を使用できない。これにより、2つの閾値を用いた測定方法を実用化できず、カプセルの欠落と破損したカプセルとを確実に区別できない。
【0030】
図3は、フィルターストランド内に位置する4つのカプセルに対して測定した密度信号を示し、一方は無傷のカプセルの信号、他方は破損したカプセルの信号である。この場合、フィルターロッドは既に切断されており、4つの個々のフィルターを含む。
【0031】
本発明による方法では、測定信号の閾値を下回る場合、周囲領域は、カプセルの欠陥を有する領域として識別される。測定信号の標準偏差は、周囲領域において、例えば+/-10mm、好ましくは+/-5mmの範囲内で計算される。図4は、測定信号に対する測定標準偏差を示す。この場合、測定信号が閾値未満であるか否かにかかわらず、標準偏差は、各信号に対して測定される。図4は、破損したカプセルに伴う信号に対して決定された標準偏差が、カプセルが欠落した場合の信号の標準偏差よりも著しく大きいことを示している。標準偏差にカプセルの閾値20を用いることにより、2つのカプセルの欠陥を互いに確実に区別できる。この特に有利な点は、標準偏差の値が、周囲条件、および/または材料組成と性質、例えばフィルタートウの水分含有量によって変化しないことでもある。これは、カプセルの閾値20を広範囲な用途に一様に使用できることを意味する。小さなカプセルであっても、2つのカプセルの欠陥を確実に区別できる。
【0032】
全体として、標準偏差の使用は、一連の利点を有する。特により小さなカプセルの場合、破損したカプセルの信号とカプセルの欠落の信号との間に、より大きな相対的な差が観察され得る。したがって、陰影画像の区別をより高い精度で行うことができる。また、破損したカプセルとカプセルの欠落との区別は絶対値に依存しないので、フィルタートウの密度および水分含有量に関係なく使用できる。
【0033】
図5は、測定されたフィルタートウの密度を示す。密度の値の2つの最大値が、信号値22および28で示されている。最大値22および28は、無傷のカプセルの存在を示している。信号の値24は、そのより低い値により、破損したカプセルを示している。
【0034】
特にフィルターのフィルタートウの密度が均質な場合、カプセルの欠落は、フィルタートウの密度の平均値に対する標準偏差の計算を用いて、容易に識別できる。しかしながら、フィルタートウの密度が不均質な場合、標準偏差は増加し、カプセルの欠落を検出するには限られた範囲にしか適さない。有利な展開では、線形回帰によって目標位置の周囲の領域における測定点に対して、ベストフィットのラインが決定される。ベストフィットのライン26は、例えば、フィルタートウの密度の傾向を示す。ベストフィットのラインに対する測定値の変動の程度は、この場合、破損したカプセルとカプセルの欠落とを区別するのに適した基準である。
【0035】
図5は、長さ100mmのフィルターロッドを示し、4つのカプセルを含む必要があることを示す。位置22および28のカプセルのうち2つは無傷であり、位置24の1つのカプセルは破損しており、位置26の1つのカプセルは欠落している。約50mmから80mmの間の領域におけるフィルタートウの密度は不均質であり、この領域では単調に増加する。密度の平均値に対する密度の標準偏差は、破損したカプセルが存在しないにもかかわらず、この領域で増加することになる。また、図では、目標カプセル位置(+/-5mm)の周囲に、ベストフィットのライン26が確認できる。前記ベストフィットのラインに対する測定値の変動の程度は低い。この理由は、破損したカプセルが存在している場合、非単調な信号の偏差が生じ、これによりベストフィットのラインに対しても測定値の変動の程度が大きくなるためである。
図1
図2
図3
図4
図5