(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-30
(45)【発行日】2025-02-07
(54)【発明の名称】電動丸ノコに装着するルーローの三角型丸ノコ片刃
(51)【国際特許分類】
B26D 3/00 20060101AFI20250131BHJP
B26D 1/28 20060101ALI20250131BHJP
B26D 1/14 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
B26D3/00 601C
B26D1/28 H
B26D1/14 B
B26D1/28 B
(21)【出願番号】P 2024009062
(22)【出願日】2024-01-06
【審査請求日】2024-10-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522307616
【氏名又は名称】熊本 仁春
(72)【発明者】
【氏名】熊本 仁春
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-176793(JP,U)
【文献】実開平5-26289(JP,U)
【文献】特開2003-71804(JP,A)
【文献】特開平10-156795(JP,A)
【文献】特開昭54-94188(JP,A)
【文献】特開2006-336426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/00 - 1/28
B26D 3/00
B27B 5/00 ー 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記、電動丸ノコ刃は回転中心から刃先頂点までの、各中間距離をしめす穴や溝を有する請求項1に記載の電動丸ノコ刃。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
手持ち電動工具である電動丸ノコによって、アルミ薄膜・薄板・繊維シートで被覆された建築用発泡樹脂系断熱材を、粉塵を抑制しながら切削する電動丸ノコ刃に関するものです。
【背景技術】
【0002】
従来の手持ち型電動工具である電動丸ノコによる建築用発泡樹脂系断熱材の切削では円形の金属板外周部に数十の鋸刃状の硬質チップを配し、一例として金属板1mmの場合、硬質チップを左右に張り出し切削幅1.8mmとしていた。この場合、厚み50mmの発泡樹脂系断熱材を、切削距離910mmの一回の切断で粉塵を数十万粒発生させます。一日の作業量では100回をこえます。この大量の粉塵が作業者の健康を害することもあり、また建築家屋の屋根での切削は粉塵が作業者の足を滑らせ危険なことも知られています。発泡樹脂系断熱材の切削による粉塵は軽量であり微細であるため風が吹けば飛散し近所迷惑で清掃にも多大な時間と労力を必要とします。
【0003】
世界の電動工具メーカーおよび周辺機器業者がいくつかの商品で粉塵への対応をしているが、いまだ解決していない問題です。手道具のカッターナイフなどで粉塵を発生させず切削する方法もありますが、人間の手による切削は遅く、切削角度が極端に不正確であり、屋根勾配にあわせた切削は難しく、施工不良となるので、否応なしに速く切削角度の正確な電動丸ノコで切削施工しているのが一般的です。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築用発泡樹脂系断熱材の切削において粉塵を抑制する手段として電動丸ノコにルーローの三角形刃を装着し切削する方法があります。通常のチップソー丸ノコ刃は円形金属板外周に鋸状の硬質チップを数十個配し回転させ、回転によって被切削物に引っ掻き傷を重ねて切り進むものですが、ルーローの三角刃は回転によって刃が滑り込むように被切削物に切り込んで行きます。熱溶融する建築用発泡樹脂系断熱材について粉塵を百分の一以下に減少させることができるものです。ルーローの三角形刃は金属板1mmに対し切削による発泡樹脂系断熱材の減少は約 0.6mmで、残り0.4mmは切削抵抗になります。
通常の建築用発泡樹脂系断熱材であれば残りの0.4mmは問題にならないのですが、アルミ薄膜・薄板によって被覆された建築用発泡樹脂系断熱材ではアルミ薄膜・薄板の切削による減少は見られず丸ノコ刃の厚さ1mmそのままが切削抵抗になり電動丸ノコの直進性を失わせることになります。
本願はアルミ薄膜や薄板によって表面被覆された建築用発泡樹脂系断熱材であっても直線に切削できる電動丸ノコ刃を提供することです。
【課題を解決するための手段】
【0005】
建築用発泡樹脂系断熱材に貼り付けたアルミ薄膜・薄板の切削抵抗を受けない平面側と切削抵抗を押しのける傾斜側に分け、平面側端部を刃先とする片刃に研磨することで電動丸ノコの直進性を維持できるようになります。
【0006】
古くから存在する鋸や、現代の回転刃の電動丸ノコ刃において「腰を抜く」という鋸刃の調整方法があります。鋸刃刃先を左右に張り出し(アサリ)、また鋸刃金属板の平面部にわずかな歪みや膨れがあると切削時に余計な抵抗を発生させるため、予め鋸刃金属板の平面部を薄くすることです。電動丸ノコ刃では金属板1mm、左右への刃先の張り出し0.4mm(アサリ)合計 1.8mmの切削幅とし1mmの金属板を通り易くします。
本願では金属板 1mm切削幅0.6mm以下であるため片刃とし、平面部を完全打ち抜きで空洞になる穴や溝を多用することで金属板平面部の切削抵抗を軽減しようとするものです。仮に平面部の面積が半減すれば歪みや膨れの確率も半減し摩擦も半減します。また電動丸ノコ刃の穴や溝は空気を通し冷却放熱効果、金属板の軽量化による省電力、急激な刃先への負荷を緩衝する役割などが知られていますが本願では中心からの距離を示す役割もあります。
【発明の効果】
【0007】
アルミ薄膜・薄板で被覆された建築用発泡樹脂系断熱材の切削で、作業者は大量の粉塵をあびることなく作業を終わらせることができます。
【0008】
アルミ薄膜・薄板で被覆された建築用発泡樹脂系断熱材の切削で、作業者は清掃の時間を大幅に短縮できます。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】左から平面図、断面図、右円の中に片刃拡大図です。 符号1は電動丸ノコに金属板の本願丸ノコ刃を装着する穴で日本産業規格では内径とされています。手持ち型電動工具の木工用電動丸ノコで外径100mm以上200mm未満のものは日本では内径20mmが多いです。米国では外径に関係なく8分の5インチ=約16mmが一般的です。 符号2は完全打ち抜きの空洞になる溝で回転中心から刃先頂点までの、各中間距離をしめすものです。従来の金属板表面に刻み付けや塗料印刷では摩擦によって消え、樹脂・錆びの付着によって見えなくなるものでしたが、本願の溝は空洞であるため摩擦によって消えることもなく樹脂や錆びの付着もなく、見えなくなるという不具合がおきないものです。一般にスリットと呼ばれます。 符号3は頂点の刃先で片刃の形状です。 符号4は外周部の刃先で片刃の形状です。本願では、一般に料理用包丁などで用いられる「片刃」の呼び方で使用しています。 符号5は完全打ち抜きの空洞となる穴です。効果は符号2と同じです。
【発明を実施するための形態】
【0010】
手持ち型電動工具の木工用電動丸ノコに本願ルーローの三角形型丸ノコ片刃を装着し回転させ、被切削材であるアルミ薄膜・薄板によって表面被覆された建築用発泡樹脂系断熱材を切削加工するものです。
【0011】
住宅など建築物は理論上の数値の通りに制作することは困難であり数ミリの誤差を生じます。手持ち型電動工具の木工用電動丸ノコは、人が持ち運び使用できることから屋根の上や建築物の壁などに既に貼り付けられた発泡樹脂系建築用断熱材を切削することにより断熱材形状・寸法の微調整が可能になり誤差を解消します。
【実施例】
【0011】
ルーローの三角型丸ノコ刃は21年以前に考案し使用してきました。回転使用時、本来の被切削物ではない木材や釘などにも接触させ危険性や問題点を探求する実験を繰り返してきましたが、未だ損壊や変形もなく使用しています。
しかし従来の発泡樹脂系建築用断熱材の高性能化を目的とした、アルミ薄膜・薄板を片面または両面に被覆した発泡樹脂系建築用断熱材については直進性を失うことが判明しました。これを克服するため刃先の形成と研磨を片刃とし直進性を維持することができました。
【産業上の利用可能性】
【0012】
日本では資源エネルギー庁のZEH、英国では高断熱住宅の義務化など建築物の冷暖房にかかるエネルギー消費を少なくし環境負荷を低減しようとの国際的潮流から、建築用発泡樹脂系断熱材の需要は高まっています。しかし速く正確に切削しようとすれば電動丸ノコでの切削が一般的であり、作業者が大量の粉塵に悩まされていることは日本でも世界各国でも周知の事実です。
建築用発泡樹脂系断熱材の切削施工について世界の電動工具各社がいくつかの対策としてジグソー刃や卓上丸ノコ刃や専用電動工具を開発販売していますが、切削の速さ、切削角度の正確さ、熱溶融素材の建築用発泡樹脂系断熱材の切削において粉塵を抑制する性能など、本願に遠く及ばないものです。
建築用発泡樹脂系断熱材の切削で本願の製品は世界の基準になります。
【要約】
【課題】アルミ薄膜・薄板によって表面被覆された発泡樹脂系建築用断熱材を粉塵の発生を抑制し正確に切削する。
【解決手段】手持ち型電動工具である木工用電動丸ノコに、
図1のルーローの三角形型であり刃先は片刃に研磨された丸ノコ刃を装着し、アルミ薄膜・薄板によって表面被覆された発泡樹脂系建築用断熱材を切削するものです。
【選択図】
図1