(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】電気味覚提示装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20250203BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2023208670
(22)【出願日】2023-12-11
【審査請求日】2023-12-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522294969
【氏名又は名称】株式会社UBeing
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】福島 大喜
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-151747(JP,A)
【文献】特許第6436756(JP,B2)
【文献】特開2021-171204(JP,A)
【文献】特開2023-028676(JP,A)
【文献】特開昭59-227268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0027507(US,A1)
【文献】NAKAMURA, Hiromi, et al.,Method of Modifying Spatial Taste Location Through Multielectrode Galvanic Taste Stimulation,IEEE Access,2021年,Vol. 9,pp. 47603-47614,ISSN 2169-3536
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体への電気刺激によって電気味覚を提示する電気味覚提示装置であって、
前記人体の左顎の上方に当接される細長形状の第1電極と、前記人体の左顎の下方に当接される細長形状の第2電極、又は、前記人体の右顎の上方に当接される細長形状の第1電極と、前記人体の右顎の下方に当接される細長形状の第2電極、
前記第1電極と前記第2電極との間に電気信号を印加する電気信号発生部、
を備え、
前記第1電極および前記第2電極によって前記人体の味覚器官に前記電気信号を印加することで前記人体に電気味覚を提示する電気味覚提示装置。
【請求項2】
人体への電気刺激によって電気味覚を提示する電気味覚提示装置であって、
前記人体の左顎の上方に当接される複数の第1電極と、前記人体の左顎の下方に当接される複数の第2電極、又は、前記人体の右顎の上方に当接される複数の第1電極と、前記人体の右顎の下方に当接される複数の第2電極、
前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との間に電気信号を印加する電気信号発生部、
を備え、
前記複数の第1電極および前記複数の第2電極によって前記人体の味覚器官に前記電気信号を印加することで前記人体に電気味覚を提示する電気味覚提示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気味覚提示装置であって、
前記電気信号発生部は、前記第1電極が陽極であって前記第2電極が陰極である陽極電気刺激状態または前記第1電極が陰極であって前記第2電極が陽極である陰極電気刺激状態を所定時間毎に切り替えて前記電気信号を印加する、
電気味覚提示装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の電気味覚提示装置であって、
前記電気信号発生部は、前記電気信号の大きさについて、第1値から第2値まで、第1所定間隔毎に第3値ずつ増大させる、
電気味覚提示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電気味覚提示装置であって、
前記電気信号発生部は、前記電気信号の大きさについて、前記第2値から第4値まで、前記第1所定間隔より長い第2所定間隔毎に第5値ずつ増大させる、
電気味覚提示装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の電気味覚提示装置であって、
前記電気信号発生部は、前記人体の迷走神経が刺激されるように前記電気信号を印加する、
電気味覚提示装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の電気味覚提示装置であって、
前記電気信号発生部は、前記人体の嚥下関与筋が刺激されるように前記電気信号を印加する、
電気味覚提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気味覚提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康被害の誘因の一つとして塩分や糖分の取りすぎが報告されている。一方で塩分量を抑えた減塩食が推奨されているが、一般的に食事に対する充足感を低下させている。
【0003】
食事に対する充足感を低下させる「薄味」とされる減塩食であっても満足できるような十分な味覚を提示する方法として、ユーザの口腔内の味覚器官に電気刺激を与えることにより味覚を電気的に提示する手法が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ユーザの頭部に電気信号を印加する電極を装着する味覚電気刺激装置が開示されている。また、特許文献2には、ユーザの指先に電極を設置し、導電性を有した箸やフォークなどの食器と食材を介して電気信号を印加する電気味覚提示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-42991号公報
【文献】特開2021-45399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている味覚電気刺激装置や、特許文献2に開示されている電気味覚提示装置においては、ユーザの口腔内の味覚器官に電気刺激を与える際、ユーザに痛みや違和感が生じるおそれ、ひいてはユーザに対する味覚の提示効果が低減するおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、ユーザに対する味覚の提示効果の低減を抑制することが可能な電気味覚提示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下の構成の電気味覚提示装置が提供される。
[1]人体への電気刺激によって電気味覚を提示する電気味覚提示装置であって、前記人体の顎の第1部分に当接される細長形状の第1電極と、前記人体の顎の第2部分に当接される細長形状の第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に電気信号を印加する電気信号発生部と、を備え、前記第1電極および前記第2電極によって前記人体の味覚器官に前記電気信号を印加することで前記人体に電気味覚を提示する電気味覚提示装置。
[2]人体への電気刺激によって電気味覚を提示する電気味覚提示装置であって、前記人体の顎の第1部分に当接される複数の第1電極と、前記人体の顎の第2部分に当接される複数の第2電極と、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極との間に電気信号を印加する電気信号発生部と、を備え、前記複数の第1電極および前記複数の第2電極によって前記人体の味覚器官に前記電気信号を印加することで前記人体に電気味覚を提示する電気味覚提示装置。
【0009】
本発明によれば、電気信号を印加するために人体の顎の第1部分に当接される第1電極と、人体の顎の第2部分に当接される第2電極との形状を細長形状とすることにより、ユーザの口腔内の味覚器官に電気刺激を与える際、顎に対する電気信号の印加範囲を分散してユーザに痛みや違和感が生じるおそれを抑制し、ひいてはユーザに対する味覚の提示効果の低減を抑制することができる。また、本発明によれば、電気信号を印加するために人体の顎の第1部分に当接される第1電極を複数に分けるとともに、人体の顎の第2部分に当接される第2電極を複数に分けることにより、ユーザの口腔内の味覚器官に電気刺激を与える際、顎に対する電気信号の印加範囲を分散してユーザに痛みや違和感が生じるおそれを抑制し、ひいてはユーザに対する味覚の提示効果の低減を抑制することができる。
【0010】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
[3][1]または[2]に記載の電気味覚提示装置であって、前記電気信号発生部は、前記第1電極が陽極であって前記第2電極が陰極である陽極電気刺激状態または前記第1電極が陰極であって前記第2電極が陽極である陰極電気刺激状態を所定時間毎に切り替えて前記電気信号を印加する、電気味覚提示装置。
[4][1]~[3]の何れかに記載の電気味覚提示装置であって、前記電気信号発生部は、前記電気信号の大きさについて、第1値から第2値まで、第1所定間隔毎に第3値ずつ増大させる、電気味覚提示装置。
[5][4]に記載の電気味覚提示装置であって、前記電気信号発生部は、前記電気信号の大きさについて、前記第2値から第4値まで、前記第1所定間隔より長い第2所定間隔毎に第5値ずつ増大させる、電気味覚提示装置。
[6][1]~[5]の何れかに記載の電気味覚提示装置であって、前記電気信号発生部は、前記人体の迷走神経が刺激されるように前記電気信号を印加する、電気味覚提示装置。
[7][1]~[5]の何れかに記載の電気味覚提示装置であって、前記電気信号発生部は、前記人体の嚥下関与筋が刺激されるように前記電気信号を印加する、電気味覚提示装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザに対する味覚の提示効果の低減を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】人体への電気刺激によって電気味覚を提示する様子を示す図である。
【
図2】電気味覚提示装置が設けられるマスクの構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電気味覚提示装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0014】
図1は、電気味覚提示装置10を使用し、人体(以下、「ユーザU」と称する)への電気刺激によって電気味覚を提示する様子を示す図である。電気味覚提示装置10は、例えば、紐をユーザUの右耳および左耳に掛け、ユーザUの顎(口元の下方で顔の中心である下顎骨の中央部分)を覆うように装着可能なマスク1に設けられる。電気味覚提示装置10は、ユーザUの顎の印可部位2(本発明の「第1部分」に対応)に当接される細長形状の第1電極15(
図2を参照)と、ユーザUの顎の印可部位3(本発明の「第2部分」に対応)に当接される細長形状の第2電極16(
図2を参照)との間に電気信号を印加して顎周辺部で閉回路を形成し、ひいてはユーザUの味覚器官に電気信号を印加することでユーザUに電気味覚を提示する。
【0015】
図3は、電気味覚提示装置10が設けられるマスク1の構成を示す図である。
図3に示すように、マスク1の裏側面(ユーザUの顔への装着面)には、ユーザUの顎の印可部位2に当接されるように細長形状の第1電極15が取り付けられ、ユーザUの顎の印可部位3に当接されるように細長形状の第2電極16が取り付けられている。
【0016】
本実施形態では、印可部位2は、ユーザUの右顎の前面または後面である。また、印可部位3は、ユーザUの左顎の前面または後面である。なお、印可部位2は、ユーザUの右顎の上方および下方の一方の前面または後面であり、印可部位3は、ユーザUの右顎の上方および下方の他方の前面または後面であっても良い。また、印可部位2は、ユーザUの左顎の上方および下方の一方の前面または後面であり、印可部位3は、ユーザUの左顎の上方および下方の他方の前面または後面であっても良い。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に係る電気味覚提示装置10の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、電気味覚提示装置10は、その構成として制御部11、記憶部12、電気信号発生部13、バッテリー部14、第1電極15および第2電極16を備える。
【0018】
制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)等であり、電気味覚提示装置10の全体の動作を制御する。
【0019】
記憶部12の一部は、例えば、RAM(Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成されており、制御部11による各種プログラムに基づく処理の実行時のワークエリア等として用いられる。
【0020】
また、記憶部12の一部は、例えば、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリまたはHDD(Hard Disk Drive)であり、各種データおよび制御部11の処理に利用されるプログラム等を保存する。記憶部12は、各種情報および処理結果等を記録しておくための1以上のテーブル等を含むデータベースを保持することが可能である。
【0021】
記憶部12に記憶されるプログラムは、例えば、電気味覚提示装置10の基本的な機能を実現するためのOS(Operating System)、各種ハードウェアを制御するためのドライバ、各種機能を実現するためのプログラム等である。
【0022】
電気信号発生部13は、制御部11の制御を受けて第1電極15と第2電極16との間に電気信号を印加する。例えば、電気信号発生部13は、第1電極15を陽極に設定し、第2電極16を陰極に設定して、第1電極15と第2電極16との間に電気信号を印加する(陽極電気刺激状態)。または、電気信号発生部13は、第1電極15を陰極に設定し、第2電極16を陽極に設定して、第1電極15と第2電極16との間に電気信号を印加する(陰極電気刺激状態)。第1電極15と第2電極16との間に電気信号が印加されると、その印加された電気信号により口腔内の味覚器官に味覚調整電流が流れて口腔内の味覚の増強、抑止または提示が行われる。
【0023】
電気信号発生部13は、味覚を惹起、抑制するため、電気信号の振幅、周波数、波形、断続時間等を組み合わせた様々な波形の電気信号を発生する。
【0024】
電気信号発生部13は、電気信号の振幅、周波数、波形、断続時間等を様々に組み合わせることで塩味、酸味、苦味、甘味、うま味を増強または抑制することができる。また、電気信号発生部13は、塩味、酸味、苦味、甘味、うま味のそれぞれを個別に増強または抑制することにより味覚を提示することができる。
【0025】
また、電気信号発生部13は、電気信号の振幅、周波数、波形、断続時間等を様々に組み合わせることで渋味、辛味、脂肪味、えぐ味、冷涼感、こく、濃厚さを増強、抑制し、さらにこれら呈味の広がりや持続感を提示することで、食事から得られる「おいしさ」を提供することができる。
【0026】
本実施形態においては、ユーザUの顎の印可部位2に細長形状の第1電極15が当接されるとともに、ユーザUの顎の印可部位3に細長形状の第2電極16が当接されることにより、ユーザUの口腔内の味覚器官に電気刺激を与える際、顎に対する電気信号の印加範囲を分散してユーザUに痛みや違和感が生じるおそれを抑制し、ひいてはユーザUに対する味覚の提示効果の低減を抑制することができる。
【0027】
なお、電気信号発生部13は、ユーザUに痛みや違和感が生じる箇所の偏りを低減させる観点から、第1電極15が陽極であって第2電極16が陰極である陽極電気刺激状態、または第1電極15が陰極であって第2電極16が陽極である陰極電気刺激状態を所定時間(例えば、数ミリ秒)毎に切り替えて電気信号を印加しても良い。
【0028】
また、電気信号発生部13は、電気信号の大きさを段階的に増大させることでユーザUに生じる皮膚違和感や痛みをより緩和させる(つまり、皮膚違和感や痛みに段階的に慣れさせながら電気信号を大きくする)観点から、電気信号の大きさについて、第1値(例えば、0.5mA)から第2値(例えば、1.0mA)まで、第1所定間隔(例えば、5秒)毎に第3値(例えば、0.1mA)ずつ増大させても良い。この場合、電気信号発生部13は、電気信号の大きさについて、第2値(例えば、1.0mA)から第4値(例えば、1.5mA)まで、第1所定間隔(例えば、5秒)より長い第2所定間隔(例えば、10秒)毎に第5値(例えば、0.1mA)ずつ増大させても良い。
【0029】
また、電気信号発生部13は、ユーザUに生じる皮膚違和感や痛みをより緩和させる観点から、第1所定期間(例えば、3分)電気信号を印加する毎に、第2所定期間(例えば、1分)電気信号の印加を停止しても良い。
【0030】
バッテリー部14は、例えば、電気味覚提示装置10の各部(例えば、制御部11や電気信号発生部13など)に供給する電力を蓄える。バッテリー部14は、例えば、放電および充電を繰り返し可能である。なお、電気味覚提示装置10は、バッテリー部14に代えて、または加えて、電源コードを介して外部電源から電力の供給を受けても良い。この場合、電源コードは、特に制限されず、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子がついたコードであっても良い。
【0031】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、電気味覚提示装置10は、人体(ユーザU)の顎の第1部分(印可部位2)に当接される細長形状の第1電極15と、人体(ユーザU)の顎の第2部分(印可部位3)に当接される細長形状の第2電極16と、第1電極15と第2電極16との間に電気信号を印加する電気信号発生部13とを備える。そして、電気味覚提示装置10は、第1電極15および第2電極16によって人体(ユーザU)の味覚器官に電気信号を印加することで人体(ユーザU)に電気味覚を提示する。
【0032】
このように構成した本実施形態によれば、ユーザUの口腔内の味覚器官に電気刺激を与える際、顎に対する電気信号の印加範囲を分散してユーザUに痛みや違和感が生じるおそれを抑制し、ひいてはユーザUに対する味覚の提示効果の低減を抑制することができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、ユーザUの顎の印可部位2に細長形状の第1電極15が当接され、ユーザUの顎の印可部位3に細長形状の第2電極16が当接される例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、ユーザUの顎の印可部位2に複数の第1電極15が分けて当接され、ユーザUの顎の印可部位3に複数の第2電極16が分けて当接されても良い。この場合でも、ユーザUの口腔内の味覚器官に電気刺激を与える際、顎に対する電気信号の印加範囲を分散してユーザUに痛みや違和感が生じるおそれを抑制し、ひいてはユーザUに対する味覚の提示効果の低減を抑制することができる。
【0034】
また、上記実施形態において、電気信号発生部13は、ユーザUの迷走神経が刺激されるように電気信号を印加しても良い。この場合、ユーザUの味覚器官に電気信号を印加しつつ、ユーザUの迷走神経が刺激されるような顎の位置に第1電極15および第2電極16を当接できれば良い。ユーザUの迷走神経が刺激されると、ユーザUに電気味覚を提示する効果に加えて、疼痛緩和効果(例えば、頭痛、腰痛、肩こりの緩和や、腎臓病の改善)、満腹中枢に対する刺激作用による肥満症の緩和効果などを得ることができる。なお、電気信号発生部13は、頭痛、腰痛、肩こりの緩和効果を得るため、ユーザUの頭痛、腰痛、肩こりの関与、関連筋や、三叉神経が刺激されるように電気信号を印加しても良い。
【0035】
また、上記実施形態において、電気信号発生部13は、ユーザUの嚥下関与筋が刺激されるように電気信号を印加しても良い。この場合、ユーザUの味覚器官に電気信号を印加しつつ、ユーザUの嚥下関与筋が刺激されるような顎の位置に第1電極15および第2電極16を当接できれば良い。ユーザUの嚥下関与筋が刺激されると、ユーザUに電気味覚を提示する効果に加えて、嚥下運動の誘発効果(嚥下障害の改善効果)などを得ることができる。なお、電気信号発生部13は、嚥下運動の誘発効果(嚥下障害の改善効果)を得るため、ユーザUの上喉頭神経(感覚神経)が刺激されるように電気信号を印加しても良い。
【0036】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1:マスク、2,3:印可部位、10:電気味覚提示装置、11:制御部、12:記憶部、13:電気信号発生部、14:バッテリー部、15:第1電極、16:第2電極
【要約】
【課題】ユーザに対する味覚の提示効果の低減を抑制することが可能な電気味覚提示装置を提供する。
【解決手段】電気味覚提示装置は、人体の顎の第1部分に当接される細長形状の第1電極と、人体の顎の第2部分に当接される細長形状の第2電極と、第1電極と第2電極との間に電気信号を印加する電気信号発生部とを備える。または、電気味覚提示装置は、人体の顎の第1部分に当接される複数の第1電極と、人体の顎の第2部分に当接される複数の第2電極と、複数の第1電極と複数の第2電極との間に電気信号を印加する電気信号発生部とを備える。電気味覚提示装置は、第1電極および第2電極によって人体の味覚器官に電気信号を印加することで人体に電気味覚を提示する。
【選択図】
図1