(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】容器を把持、保持、及び案内するための把持装置、及びそのような把持装置を有する搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65B 35/16 20060101AFI20250203BHJP
B67C 7/00 20060101ALI20250203BHJP
B65B 35/36 20060101ALI20250203BHJP
【FI】
B65B35/16
B67C7/00
B65B35/36
(21)【出願番号】P 2023513446
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2021071142
(87)【国際公開番号】W WO2022048830
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-01
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512137991
【氏名又は名称】ティロロン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Tyrolon GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラドヴィグ シュールニグ
(72)【発明者】
【氏名】エルマー シュールニグ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター メイヤー
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/108758(WO,A1)
【文献】特開2009-007018(JP,A)
【文献】特開2010-023919(JP,A)
【文献】特開2009-161294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B35/00-35/58
B67C 3/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器、特にボトル状容器を把持、保持、及び案内するための把持装置であって、
第1グリッパアーム(2)および反対に設計された第2グリッパアーム(2’)を有する少なくとも1つのグリッパアーム対(1)であって、両方のグリッパアーム(2;2’)は、それぞれの軸受孔(4;4’)を有し、それを介して前記両方のグリッパアーム(2;2’)を旋回可能に取り付けることができる、前記少なくとも1つのグリッパアーム対(1)と、
前記グリッパアーム対(1)のための閉手段(13)または開手段と、を備え、
前記第1グリッパアーム(2)は輪郭レバー(3)を有し、前記第2グリッパアーム(2’)は従動レバー(3’)を有し、それらは互いに動作可能に係合するとともに前記グリッパアーム対(1)のための開手段または閉手段として働き、
前記第1グリッパアーム(2)及び前記第2グリッパアーム(2’)は、軸受ピンを収容するための中空シリンダ(10;10’)をそれぞれ有し、
前記第1グリッパアームおよび前記第2グリッパアーム(2;2’)は、それぞれ、2つの前記グリッパアームの運動同期または位置決めのために互いに動作可能に係合するそれぞれの歯付き部(11;11’)を有し、
前記輪郭レバー(3)
、前記従動レバー(3’)
、及び前記歯付き部(11;11’)は、
前記グリッパアームの対応する前記中空シリンダ(10;10’)の
周囲に沿って形成されており、
前記歯付き部(11;11’)は、前記輪郭レバーまたは前記従動レバー(3;3’)の下方または上方にそれぞれ形成されることを特徴とする、把持装置。
【請求項2】
前記輪郭レバー(3)および前記従動レバー(3’)は、前記グリッパアーム(2;2’)の特定の旋回角度において、2つの前記レバーの間に最大当接面が存在するように形成されることを特徴とする、請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記輪郭レバー(3)は有効部(6)を有し、前記従動レバー(3’)は第1従動部(6’)を有し、
前記有効部(6)が凸形状であり、前記第1従動部(6’)が凸形状であることを特徴とする、請求項1または2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記輪郭レバー(3)は、前記第2グリッパアーム(2’)の制動部(7’)と前記特定の旋回角度で能動的に係合するかまたは当接する当接部(7)を有し、それによって、さらなる旋回を停止することを特徴とする、請求項2に記載の把持装置。
【請求項5】
前記輪郭レバー(3)の前記当接部(7)は、前記第2グリッパアーム(2’)の前記制動部(7’)と相補的な形状に、特に凹状に成形されていることを特徴とする、請求項4に記載の把持装置。
【請求項6】
前記輪郭レバー(3)は、前記有効部(6)とは反対に配置され、前記第1グリッパアーム(2)を旋回させるための力を吸収することができる作動部(8)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の把持装置。
【請求項7】
前記作動部(8)は、特定の角度範囲αからの方向で前記作動部(8)に作用するとともに前記第1グリッパアーム(2)を旋回させる力を吸収するために、凸形状であることを特徴とする、請求項6に記載の把持装置。
【請求項8】
前記歯付き部(11;11’)の1つまたは複数の歯は、前記輪郭レバー(3)および前記従動レバー(3’)よりも薄く形成されていることを特徴とする、請求項
1~7のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項9】
前記閉手段または前記開手段は、板ばね(13)、別の種類のばね、および/または一対の磁石要素(14、14’)として構成されることを特徴とする、請求項1~
8のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項10】
前記把持装置は、前記各グリッパアーム(2;2’)を旋回可能に固定するための軸受ピンを備えることを特徴とする、請求項1~
9のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の1つまたは複数の把持装置を有する、容器を搬送するための搬送装置であって、前記1つまたは複数の把持装置をキャリアプレート上に位置決めおよび固定することを可能にするように設計された環状のキャリアプレートによって特徴付けられる、搬送装置。
【請求項12】
ボルト状の旋回可能な作動要素であって、前記ボルト状の旋回可能な作動要素は、軸受要素として前記第1グリッパアームに対して回転不能に接続され、前記作動要素を旋回させるための作動ローラを有する、前記作動要素によって特徴付けられる、請求項
11に記載の搬送装置。
【請求項13】
前記1つまたは複数の把持装置の前記第1グリッパアーム(2)の前記輪郭レバー(3)を作動させ、したがって前記少なくとも1つのグリッパアーム対(1)を開閉するための円弧状の作動要素によって特徴付けられる、請求項
11に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器、特にボトル状容器を把持、保持、及び案内するための把持装置、並びにそのような把持装置を有する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器を把持し、保持し、及び/又は案内するための把持及び搬送装置は、先行技術から、特に「クランピングスター」の名称で既に知られている。それらは、液体又は他のバルク製品で充填されることが特に意図される容器又は入れ物の製造ラインでの工程において主に使用される。そのような装置はまた、ラベルを容器に貼付するラベル貼付機、例えば容器の内容物を識別するラベル貼付機、または清掃もしくは洗浄ステーション、いわゆる「洗浄機」においても使用される。
【0003】
本発明の文脈における用語「容器」によって理解されるべきことは排他的ではないが、特に、実質的に円形の断面を有する容器、例えば、それぞれの用途に応じてガラス、金属、またはプラスチックからなるボトル、缶、またはガラス製品である。本発明の文脈における用語「軸受要素」によって理解されることは排他的ではないが、特に、例えば、それぞれの軸受要素にサイズ調整されたソケットに回転可能に嵌合する軸受ピンの形態の、特にピン形状の固定要素である。
【0004】
そのような容器または入れ物のバルク工程は、一対のグリッパアームの頻繁な開閉を必要とする。例えば、制御カム又はピボットシャフトのような、その目的のための開機構は、従来技術から知られている。グリッパアームに関して、互いに動作可能に係合するために、それぞれのグリッパアーム上に適切な第1の歯付き部および第2の歯付き部を提供する位置決め装置が知られている。歯付き部は開機構を支持し、したがって、互いに対するグリッパアームの平面上の位置合わせおよび同期運動を確実にするので、力伝達および位置決めの両方の機能を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に存在する1つの問題は、歯付き部が強い力を受け、その結果、急速に摩耗することである。これは、グリッパアーム対を開閉するのに必要な力が1つのグリッパアームのみに直接的に作用し、歯付き部を介して第2のグリッパアームに伝達されるという事実による。歯付き部の不具合は、充填設備の停止につながるだけでなく、特に食品等を充填又はその後に加工する場合に、生産組立ライン内の衛生的側面を考慮する必要がある。
【0006】
本発明は、従来技術から知られている問題を排除するか、または少なくとも最小限にするという課題に基づいている。特に、この課題は、グリッパアームの歯付き部の高程度の摩耗を低減することを目的とする。
【発明を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の把持装置によりこの課題を解決する。したがって、容器、特にボトル状容器を把持、保持、及び案内するための把持装置であって、第1グリッパアームおよび反対に設計された第2グリッパアームを有する少なくとも1つのグリッパアーム対であって、両方のグリッパアームは、それぞれの軸受孔を有し、それを介して両方のグリッパアームを旋回可能に取り付けることができる、少なくとも1つのグリッパアーム対と、グリッパアーム対のための閉手段と、を備える把持装置が提供される。信頼性のある開機構を提供することを目的として、第1グリッパアームは輪郭レバーを備え、第2グリッパアームは従動レバーを備え、それらは互いに動作可能に係合するとともにグリッパアーム対のための開手段として働く。
【0008】
そのように設計された装置の1つの利点は、第1グリッパアームの輪郭レバーが第2グリッパアームの従動レバーへの力伝達接続を確立することである。これにより、輪郭レバーに直接作用することができる外力が、従動レバーに直接伝達される。これにより、一対のグリッパアームが閉位置から開位置に移行する。力の直接伝達は、第1グリッパアームの旋回運動だけでなく、同時に第2グリッパアームの旋回運動も引き起こす。これにより、歯付き部なしでも使用することができる、より信頼性の高い開機構が提供される。また、能動係合レバーとも呼ばれるこれらのレバーが、開手段として設計され、したがって、それに応じて成形され、組み立てられているという事実により、伝達される力は早期のレバー摩耗を誘発しない。最後に、グリッパアーム対の故障の可能性が低減されるか、または、耐用年数が増加する。
【0009】
本発明による把持装置は更に、少数の構成要素からなり、取付け板、制御カムシャフト等のような既知の要素が省かれるという利点を有する。
【0010】
本発明の把持装置、特に第1グリッパアームの輪郭レバーおよび第2グリッパアームの従動レバーのさらなる利点は、作動されたとき、したがって把持装置を開くときに、作動装置としての制御カムシャフトまたはピボットシャフトで動作する把持装置と比較して、より材料摩耗が少ない。
【0011】
あるいは、輪郭レバーおよび従動レバーが閉手段として、および一対の磁石またはばね要素が開手段として設計されてよい。磁石対は、この場合、反発する磁石対として設計され、把持装置の、把持部とグリッパアームの軸受軸との間に配置される。ばね要素は、把持位置において広がる要素、例えば螺旋ばねとして設計され、把持部と軸受軸との間に配置される。
【0012】
輪郭レバーおよび従動レバーは、好ましくはグリッパアームの特定の旋回角度において、2つのレバーの間に最大当接面が存在するように構成される。したがって、2つのレバーが動作可能に係合されるとき、力は表面にわたって分散され、レバーのうちの1つに点荷重をもたらさない。したがって、レバーの材料摩耗が低減される。特定の角度は特に、次の容器を把持するために、グリッパアームが特定の時間にわたって開位置に留まる開角度である。
【0013】
これにより、輪郭レバーが有効部を有し、従動レバーが第1従動部と、特に第2従動部を有することが有利であることが分かった。第1従動部は、第2従動部に近接して形成され、有効部との当接面を呈し、それにより輪郭レバーの旋回運動が従動レバーに伝達される。グリッパアームの旋回運動中、例えば、グリッパアームが開かれるとき、この当接面はグリッパアームの軸受の方向に(従動レバーとともに)第1従動部から第2従動部に、またはその逆にシフトする。さらに、第2従動部は有効部に対して少なくとも部分的に相補的な形状であり、特定の旋回角度において、少なくとも大部分について、または最大当接面と動作可能に係合する。相補的な形状は、連続当接面又は最大当接面を可能にし、したがって、輪郭レバーの有効部から従動レバーの第2従動部へ伝達される力の均一な分布を可能にする。したがって、これは、点荷重を排除し、レバーの激しい摩耗を低減する。
【0014】
特に単純な相補的な設計が有利な実施形態において使用され、それは、有効部が凸形状であり、第1従動部が凸形状であり、第2従動部が凹形状である。これは、特に、弓形または円形の部分として理解されるべきである。このような形状の部分は、容易かつ迅速に製造することができる。加えて、この形状は、特にレバーがその部分に沿って案内されるときにレバーにとって有利であり、なぜなら、当接面はサイズを着実に増大させることができ、結果として、レバーの急激な動きまたはがたつきがなくなり、したがって、グリッパアームの急激な動きまたはがたつきがなくなるからである。
【0015】
輪郭レバー、したがってグリッパアームの移動を停止するために、輪郭レバーは好ましくは当接部を有し、該当接部は第2グリッパアーム、特にその中空シリンダの外側と、特定のまたは第2の旋回角度で能動的に係合するか、またはそれに当接し、さらなる旋回を防止する。把持装置は、高運動で回転する搬送装置と一体化され、把持装置は同様に迅速に駆動されるので、閉手段は、グリッパアームの開運動を十分に迅速に減速させることができないことが多い。これは、例えば、レバー又は歯付き部のようなグリッパアームの相互作用するパーツの摩耗を促進する望ましくない振動につながる可能性がある。
【0016】
輪郭レバーの当接部は、好ましくは第2グリッパアームの外側に対して相補的な形状に、特に凹状に成形されている。その結果、当接部の広い領域がグリッパアームの外側に当接し、グリッパアームの開運動のより速い停止または中断をもたらす。
【0017】
さらなる有利な実施形態では、輪郭レバーは作動部を有し、作動部は、有効部とは反対に配置され、第1グリッパアームを旋回させるための力を吸収することができる。この構成により、輪郭レバーの作動部に対する作動要素の力は、輪郭レバーの旋回運動に変換される。この運動または力は、特に有効部を介して、元の力の方向と本質的に同じ方向で従動レバーに伝達される。
【0018】
有利には、作動部は、特定の角度範囲αからの方向で作動部に作用するとともに第1グリッパアームを旋回させる力を吸収するために、凸形状である。作動部と相互作用するために(したがって、グリッパアーム対を開くために)使用される作動要素は通常、円弧形状であり、その形状により、回転して通過していく把持装置の輪郭レバーを押圧する。それによって、作動要素の縁部は通常、作動要素に沿ってレバーを案内するために、特定の角度または勾配で形成される。作動部、特にその形状により、異なる作動要素の勾配、ひいてはグリッパアーム対の異なる開動作速度が可能である。
【0019】
同様に、それぞれギア付き部または歯付き部を有する第1グリッパアームおよび第2グリッパアームの構成も有利である。これらの部分は互いに動作可能に係合し、したがって、主に、2つのグリッパアームの運動同期、または位置同期をもたらす。したがって、グリッパアームは常に、第1グリッパアームと第2グリッパアームとの間の二等分線である対称軸に対して同じ角度を有する。これらの部分は、輪郭レバーおよび従動レバーと同様に、力伝達に付加的に役立つ。
【0020】
グリッパアームの相互作用する構成要素間の最適な空間配分および力伝達のために、ギア付き部は、好ましくは軸受穴に沿って、輪郭/従動レバーの下方または上方に形成される。
【0021】
有利には、ギア付き部の1つまたは複数の歯はが、輪郭レバーおよび/または従動レバーよりも薄く形成される。これにより、材料を節約し、より高い精度を達成し、構成要素はそれらの機能のため適切に設計される、すなわち、運動を同期させるために歯付き部と、力を伝達するために輪郭レバーおよび従動レバーというように。
【0022】
本発明はまた、本発明による1つまたは複数の把持装置を有する、容器を搬送するための搬送装置を提供する。搬送装置は「クランピングスター」とも呼ばれ、特に、把持装置が取り付けられるキャリアプレートを有する回転軸を示す。
【0023】
キャリアプレートは好ましくは環状または円形であり、1つまたは複数の把持装置を前記キャリアプレート上に位置決めおよび固定することを可能にするように設計される。
【0024】
さらなる有利な実施形態では、把持装置は、ボルト状の旋回可能な作動要素であって、第1グリッパアームに、特にその軸受孔内に、軸受要素として回転不能に接続され、作動要素を旋回させるための作動ローラを有する、作動要素を備える。これにより、輪郭レバーはもはや直接作動される必要はなく、代わりに、作動要素によって開始された第1グリッパアームの旋回運動を従動レバーに、したがって第2グリッパアームに直接伝達する。
【0025】
あるいは、1つまたは複数の把持装置の第1グリッパアームの輪郭レバーを作動させ、したがってグリッパアーム対を開くための、円弧形状の作動要素を設けてもよい。したがって、全ての把持装置に対して1つの作動要素のみがしか必要となりでなく、材料およびコストが節約される。
【0026】
以下の特徴は、特許請求の範囲において特定されておらず、明確化の役割を果たし、他の有利な実施形態において見出されてもよい。
【0027】
従動レバーは、特に第2グリッパアームの中空シリンダの外側から、尖ったまたは丸い形状の突起によって形成される。この形状は特に安定しており、加えられた力を、従動レバーがその上に形成または固定されているグリッパアームの外側に均等に分配する。
【0028】
当接部のための第2旋回角度は、レバー間の最大当接面が得られる第1の角度の前または後に来る。それによって、レバーは当接面が第1の角度まで着実に増加し、および/または当該角度の後に減少するか、または同じままであるように形成されることが有利である。
【0029】
さらなる実施形態では、歯付き部が互いに対するグリッパアームの位置決めを確実にするために、中空シリンダの外側に少なくとも部分的に半径方向に配置された歯を呈する。従来技術からそれ自体公知のこの位置決め装置は、公知の従来技術の利点を実現する。
特に、グリッパアームの正確な同期と同様に、互いに対するグリッパアームの正確な位置決めが保証される。本発明によるさらなる基本的な利点は、位置決め装置が位置決めのためのみに使用され、それ自体はいかなる力も伝達せず、このことが、この装置の寿命を有意に延ばす。
【0030】
機能的には、板ばねに加えて、または板ばねに代えて、グリッパアーム対のための閉手段として2つの反対極性磁石を使用することが好都合であることが分かっている。第1の磁石は第1グリッパアームの内側に配置され、第2の磁石は第2のグリッパアームの内側に配置され、特に第1の磁石と位置的に一致する。本発明の文脈において、用語「位置的に一致する」は排他的ではないが、特に、空間的に近接するまたは接触する構成要素に正の接続を誘導する2つの対向して位置する構成要素として理解されるべきである。ここで指摘すべき点は、対向する極および軸受軸に対するそれらの配置に応じて、2つの磁石を閉手段または開手段として使用ができることである。閉手段としての磁石は特に、PETまたはプラスチックボトルまたは容器を取り扱うときに使用されるが、それはそれらがガラスまたは金属容器と比較してより柔軟であり、ばね要素が閉手段として使用される場合、それらは損傷を受ける可能性があるからである。
【0031】
1つの有利な発展形態では、把持装置が力伝達器としての1つまたは複数のばね要素、好ましくは圧力ばね、板ばね、ねじりばね、または引張ばねを備え、ばね要素の一端は第1グリッパアームの内側グリッパアーム側に位置し、ばね要素の第2の端は第2グリッパアームの内側グリッパアーム側に位置する。従来技術からそれ自体知られているように、1つまたは複数のばね要素を使用することにより、ばね要素と関連して知られている利点が達成される。閉手段としてのばね要素は特に、クラウンコルクボトルキャップを有する、および/またはガラスまたは金属で作られたボトルまたは容器を取り扱うときに使用される。閉手段としての磁石は、クラウンコルクボトルキャップを引き付けて、結果、容器の円滑な運搬を妨げる可能性がある。加えて、磁石よりも強い力を呈することが多いばね要素は、そのような容器を損傷することができない。最後に、磁石(対)またはばね要素としての閉手段の設計に応じて、それは、より少ない保守作業しか必要とせず、汚染の影響をより受けにくく、および/または清掃がより容易であり得る。
【0032】
把持装置、特に一対のグリッパアームはさらに、2つのボルトおよびプレートを備えることができる。2つのボルトは、グリッパアーム対の軸受穴に取り付けられ、または固定され、キャリアプレートまたは追加の保持プレート片にそれ自体が固定され、または回転可能に取り付けられる。ボルトは、グリッパアーム対のための保持要素または軸受要素として機能することができる。ボルトのうちの少なくとも1つが作動レバーをさらに備える場合、ボルトは、それに取り付けられたグリッパアームを旋回させ、したがって、グリッパアーム対を開閉することもできる。
【0033】
グリッパアームは様々な材料から、特に一体に形成することができる。したがって、プラスチックのための射出成形プロセスまたはセラミックまたは金属のための焼結プロセスなどの様々な製造プロセスが利用可能である。セラミックから作製されたグリッパアームは好ましくは研磨された表面を有し、それによって、より良好な耐薬品性および洗浄特性を示す。
【0034】
さらなる有利な実施形態では、グリッパアーム、特にその把持部は、いわゆるスパイクを有し、スパイクは、グリッパアームと同じ材料から形成されるか、またはグリッパアームの一部である。これらのスパイクは少なくとも部分的に尖った、くさび形の、および/またはフック形の設計であり、プラスチック容器を搬送するとき、その外周/表面および/または下方から容器の前部にあるいわゆるネックリング内へ穏やかに押圧する。スパイクは最小限の侵襲性であり、容器に対していかなるダメージも、少なくともいかなる有意な損傷ももたらさない。これは、特に、いくつかのプロセスの間、例えば容器を閉じるときに必要な程度に、容器を把持する際の、より良好な安定性および保持能力を提供する。
【0035】
把持装置は同様に、さらなる安定化点/領域が把持装置の把持部に隣接して設けられるように設計された安定化案内要素を備えることができる。ボトルの本体および/または基部は、好ましくはその要素を通って案内される。案内要素は受動的であり、容器とのみ接触する。それゆえ、容器をそこに配置し案内することができる半円形または任意の他の容器形状に構成することができる。
【0036】
以下に記載される図は本発明の把持装置の好ましい例示的な実施形態に関し、これらの図は、限定としてではなく、むしろ本発明を実質的に例示するものとして役立つ。異なる図からの要素であって、同じ参照番号を有する要素は同一である。したがって、1つの図からのある要素の説明は他の図における同一の名称および/または同一の番号の要素にも当てはまる。
【0037】
以下に図を示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】第1の好ましい例示的な実施形態による把持装置の上方からの図。
【
図4】第2の好ましい実施形態による把持装置の上方からの図。
【
図5】さらなる好ましい実施形態による把持装置の開手段の上方からの拡大図。
【
図6】第3の好ましい実施形態による把持装置の上方からの図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、2つのグリッパアーム2、2’を有するグリッパアーム対1を備える、好ましい例示的実施形態による把持装置の上方からの図を示す。両方のグリッパアーム2、2’はそれぞれ1つの部品であり、把持部5、5’、(軸受孔4、4’を有する)中空シリンダ10、10’、位置決め装置9の一部としての歯付き部11、11’、およびグリッパアーム対1の開機構の一部としての能動係合レバー3、3’を特徴とする。特に、第1グリッパアーム2の輪郭レバー3および第2グリッパアーム2’の従動レバー3’は、能動係合レバーとして互いに能動係合している。第1歯付き部11及び第2歯付き部11’についても同様である。歯付き部11、11’、および能動係合レバー3、3’を除いて、第1グリッパアーム2は、それによって、第2グリッパアーム2’と本質的に逆の形態である。把持部5、5’は、ボトルの首部を把持して保持するように設計されており、中空シリンダから離れて配置されている。中空シリンダ10、10’、または軸受孔4、4’は、それぞれ、開機構に応じて、中空シリンダ10、10’内に回転不能にまたは回転可能に挿入される軸受ピン(図示せず)を収容するように機能する。歯付き部11、11’および能動係合レバー3、3’は、中空シリンダの外側に形成される。また、把持部5、5’は、中空シリンダ10、10’に接続されている。グリッパアーム対1はさらに、留め金のようにグリッパアーム対1の周りを包む板ばね13の形態の閉手段を有する。それによって、板ばね13はグリッパアーム対1が閉じられるか、または把持位置に案内されるように、グリッパアーム対1の外側に力を及ぼす。歯付き部11、11’は、能動係合レバー3、3’の下方に配置されている。レバー3、3’は主に、第1グリッパアーム2から第2グリッパアーム2’に力を伝達する役割を果たし、したがって、歯付き部11、11’の歯よりも広い構成である。
図1に示す把持装置の右側には、特に輪郭レバー3及び従動レバー3’の詳細をより良く認識するために、2つの中空シリンダ10、10’の間の領域の拡大図が示されている。輪郭レバー3は、凸状の有効部6と、凹状の当接部7と、凸状の作動部8とを、その縁部に連続して呈する。従動レバー3’は、第1凸状従動部6’と、第2凹状従動部6’’とを備えて形成され、これらは有効部6と能動的に係合しているか、または能動係合状態になることができる。それによって、グリッパアーム2、2’の特定の第1旋回角度において、有効部6と第2従動部6’’との間に、最大の接触する面または最大当接面が形成される。旋回運動中、有効部6と第1従動部6’とは、互いに接しながら転がり離れていく。当接部7は、同様の、または第2の旋回角度において、第2中空シリンダ10’の外側または制動部7’にそれぞれ当接し、それによって、輪郭レバー3、ひいては従動レバー3’のさらなる運動を止める。作動部8は、円弧形状の作動要素(図示せず)が部分8を押圧することを可能にし、したがって、グリッパアーム対1の旋回または開運動を開始する。作動部8への凸形状によって、作動要素の圧縮力はさまざまに異なる方向から生じることができ、これが、動作を開始するための作動要素がこの角度内で最初に部分8と接触することができる理由である。
【0040】
図2は、
図1の把持装置の側面図、特にグリッパアーム対1の第2グリッパアーム2’の外側を示す。上述のように、板ばね13はグリッパアーム対1の周りに巻き付いており、各端部は第1グリッパアームまたは第2グリッパアームの凹部またはスロット12にそれぞれ係合する。グリッパアーム対1が作動要素(図示せず)によって開くことができるように、輪郭レバー3は板ばね13の上方に配置される。これにより、グリッパアーム対1の後部、把持部5、5’の反対側であるが、にある輪郭レバー3が妨害されない。
【0041】
図3は、
図1の把持装置、特に第1グリッパアーム2及び第2グリッパアーム2’を有するグリッパアーム対1の下方からの図を示す。
図1に関連して前述した特徴に加えて、位置決め装置9が特に明確に見える。位置決め装置9は、第1グリッパアーム2の中空シリンダ10の外側の第1歯付き部11と、第2グリッパアーム2’の中空シリンダ10’の外側の第2歯付き部11’とを備える。第1歯付き部11は3つの歯を有するように構成され、一方、第2歯付き部11’は2つの歯を備える。それらは、互いに(連動)係合し、主に、第1グリッパアーム2および第2グリッパアーム2’のそれぞれの旋回運動または運動の順序を同期させる働きをする。
【0042】
図4は、さらなる好ましい例示的実施形態による、グリッパアーム対1’を有する把持装置の上方からの図を示す。この把持装置は、閉手段として磁石要素14、14’を有する止まり穴15を除いて、
図1の把持装置と同じ特徴を有する。止まり穴15、15’は、グリッパアーム2、2’の外側から延びており、グリッパアームの軸受軸に対して垂直に形成されている。特に永久磁石の形態の磁石要素14、14’は、止まり穴15、15’と一体化され、例えば、圧力嵌合または固定要素によって固定される。2つの磁石要素14、14’は、互いに引き合うように、したがって把持装置の閉手段を形成するように、互いに逆の極性を有する。引力強度は、磁石要素14、14’の相互間の強度および距離に応じて画定されてよく、当該距離は、とりわけ、止まり穴の形状、特に深さによっても決定される。
【0043】
図5は、好ましい実施形態による把持装置の開手段の上方からの拡大図を示す。この図における要素は、把持装置1の右側に描かれた
図1からの開手段の拡大図の要素と同一である。加えて、作動部8上の輪郭レバー3は、作動部8上に部分的にシリンダ形状の補強要素16を有し、すなわち、補強要素16は、作動部8から部分的に突出するシリンダに対応する側面を有する。補強要素16は、グリッパアームと同じ材料から形成されてよく、および/または一体型グリッパアームの一部としてもよいす。代替的に、補強要素16は、円筒として形成され、輪郭レバー3の作動部8の領域内の空洞または凹部内に挿入され、固定されてもよいすることができる。補強要素8は、作動部の摩耗をさらに低減し、より画定された、またはより速い反応制御を提供するという利点を有する。
【0044】
図6は、さらなる好ましい例示的実施形態による、グリッパアーム対1’’を有する把持装置の上方からの図を示す。グリッパアーム対1’’は、互いに旋回可能な第1グリッパアーム2及び第2グリッパアーム2’を有する。動きが同期して実行できるように、すなわち、第1グリッパアーム2および第2グリッパアーム2’が各々、互いに向かってまたは互いから離れて等しく旋回する動きを実行するように、各グリッパアーム2および2’は、それぞれ、グリッパアーム2および2’の中空シリンダの回転軸の周りまたは外側に形成された歯付き部11および11’を有する。
図4からのグリッパアーム対1’と比較して、ここに描かれるグリッパアーム対1’’は、完全に半円形の把持部5および5’、中空シリンダ/ボアと把持部との間のより広いアーム延在部、ならびに閉手段としての磁石のためのより互いに近くに配置された止まり穴、または止まり穴の外面17および17’において、異なる。さらには、歯付き部11及び11’の下方には、輪郭レバー3及び従動レバー(図示せず)が形成されている。
【0045】
図7は、
図6のグリッパアーム対1’’を有する把持装置の側面図を示す。ここで主に目視できるのは、輪郭レバー3を有する第1グリッパアーム2である。輪郭レバー3は、体積に関して、ほとんどが輪郭レバー3に挿入されるか、またはその内に配置される円筒形補強セグメント16を備える。止まり穴15の開口部は、グリッパアーム2の外側であって、他方のグリッパアームに対向しないように形成されている。他方のグリッパアームの他方の磁石との閉手段として作用する好ましくは円筒形の磁石が、この開口部を通して挿入される。
【符号の説明】
【0046】
1:グリッパアーム対(第1実施形態)
1’:グリッパアーム対(第2実施形態)
1’’:グリッパアーム対(第3実施形態)
2:第1グリッパアーム
2’:第2グリッパアーム 2’
3:(開手段としての)輪郭レバー
3’:(開手段としての)従動レバー
4:第1軸受穴
4’:第2軸受穴
5:(第1グリッパアームの)把持部
5’:(第2グリッパアームの)把持部
6:有効部
6’:第1従動部(凸部)
6’’:第2従動部(凹部)
7:当接部
7’:制動部
8:作動部
9:位置決め/同期装置
10:(第1グリッパアームの)中空シリンダ/ボア
10’:(第2グリッパアームの)中空シリンダ/ボア
11:第1の歯付き/ギア付き部
11’:第2の歯付き/ギア付き部
12:(板ばねのための)凹部/スロット
13:(閉手段としての)板ばね
14:第1グリッパアームの(閉手段としての)磁石要素
14’:第2グリッパアームの(閉手段としての)磁石要素
15:第1グリッパアームの止まり穴
15’:第2グリッパアームの止まり穴
16:補強セグメント/要素
17:第1グリッパアームの止まり穴の外側
17’:第2グリッパアームの止まり穴の外側