(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法
(51)【国際特許分類】
D06P 1/94 20060101AFI20250203BHJP
D06B 19/00 20060101ALI20250203BHJP
D06P 1/645 20060101ALI20250203BHJP
D06P 1/647 20060101ALI20250203BHJP
D06P 1/649 20060101ALI20250203BHJP
D06P 1/653 20060101ALI20250203BHJP
D06P 3/54 20060101ALI20250203BHJP
D06P 5/20 20060101ALI20250203BHJP
【FI】
D06P1/94
D06B19/00 Z
D06P1/645
D06P1/647
D06P1/649
D06P1/653
D06P3/54 Z
D06P5/20 A
(21)【出願番号】P 2023548808
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 CN2022138068
(87)【国際公開番号】W WO2023179106
(87)【国際公開日】2023-09-28
【審査請求日】2023-08-13
(31)【優先権主張番号】202210307169.6
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515034828
【氏名又は名称】青▲島▼即▲発▼集▲団▼股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521311665
【氏名又は名称】東華大学
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(74)【代理人】
【識別番号】100166121
【氏名又は名称】松本 克
(72)【発明者】
【氏名】毛 志平
(72)【発明者】
【氏名】呉 偉
(72)【発明者】
【氏名】葛 懐富
(72)【発明者】
【氏名】徐 紅
(72)【発明者】
【氏名】鐘 毅
(72)【発明者】
【氏名】楊 為東
(72)【発明者】
【氏名】王 健
(72)【発明者】
【氏名】万 剛
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲クン▼
(72)【発明者】
【氏名】林 大鵬
(72)【発明者】
【氏名】王 大偉
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-517619(JP,A)
【文献】特表2021-519873(JP,A)
【文献】特表平11-507704(JP,A)
【文献】特開2002-105228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06P 1/94
D06B 19/00
D06P 1/645
D06P 1/647
D06P 1/649
D06P 1/653
D06P 3/54
D06P 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル繊維またはその製品の分散染料の染色系に、分散染料の超臨界二酸化炭素流体に対する溶解速度と溶解度を高める助溶剤を添加する高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素流体染色法であって、
前記分散染料は、ディスパ-スイエロ-163であり、前記助溶剤は、安息香酸、ニコチンアミド、p-アミノ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、L-チロシンメチル若しくはL-トリプトファンメチルであるか、又は安息香酸とニコチンアミドであるか、又はp-アミノ安息香酸メチルとp-ヒドロキシ安息香酸メチルであるか、又はL-チロシンメチルとL-トリプトファンメチルである、或いは、
前記分散染料は、ディスパ-スブル-60であり、前記助溶剤は、ニコチンアミドである、或いは、
前記分散染料は、ディスパ-スオレンジ44であり、前記助溶剤は、安息香酸である、或いは、
前記分散染料は、ディスパ-スオレンジ30:2であり、前記助溶剤は、安息香酸である、或いは、
前記分散染料は、ディスパ-スレッド19であり、前記助溶剤は、安息香酸である、或いは、
前記分散染料は、ディスパ-スブル-104であり、前記助溶剤は、安息香酸である、或いは、
前記分散染料は、ディスパ-スバイオレット26であり、前記助溶剤は、安息香酸であり、
前記助溶剤を添加しない場合に比べ、染着率が123%~194.7%向上する、
ことを特徴とする高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素流体染色法。
【請求項2】
分散染料と助溶剤をそれぞれ粉末にするステップ(1)と、
粉末状態の分散染料と助溶剤を一定のモル比でブレンドして混合物を得るステップ(2)と、
粉砕した混合物を染料釜に入れ、同時にポリエステル繊維またはその製品を染色釜に入れ、液体二酸化炭素を導入し、染色釜内の温度と圧力を調節して高温高圧染色を行い、染色終了後、ポリエステル繊維またはその製品を取り出すステップ(3)と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素流体染色法。
【請求項3】
ステップ(1)において、分散染料と助溶剤とのモル比は1:1~10である
ことを特徴とする請求項2に記載の高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素流体染色法。
【請求項4】
ステップ(2)において、ブレンドは蒸発結晶、乾式粉砕、湿式粉砕、溶融押し出しまたは溶融結晶の方式で行う
ことを特徴とする請求項2に記載の高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素流体染色法。
【請求項5】
ステップ(3)において、高温高圧染色の温度は100~150℃、圧力は16~30MPaである
ことを特徴とする請求項2に記載の高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素流体染色法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して染色技術に関し、より詳しくは、一種の高分散染料染着率ができる超臨界二酸化炭素媒体染色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル繊維の非水染色法として、超臨界二酸化炭素媒体染色は古来の染色に用いる水系媒体の代わりに超臨界状態の二酸化炭素を使う。該方法は、二酸化炭素の再利用ができ、助剤と排水が必要ならずに優れた均染性及び染色再現性ができ、乾燥もないから従来技術より時間コストとエネルギー消費が下がる。
【0003】
二酸化炭素は極性がない線形分子であって、弱極性の分散染料に対する良い溶解性がある一方、超臨界状態に伴う高温高圧はポリエステル繊維の可塑性も向上できるため、超臨界二酸化炭素媒体は分散染料を用いるポリエステル繊維染色に凄く似合う。しかしながら、部分的な分散染料の超臨界二酸化炭素媒体染色における低い染着率の問題はまだある。今の超臨界二酸化炭素媒体染色に関する染着率を高める方法は主に2種類ある。一つは染色中の超臨界二酸化炭素媒体に少量アセトンやエタノールなどの助溶剤を加えることであるが、これらの助溶剤は揮発しやすくて超臨界二酸化炭素媒体との効果的な分離がしにくいので、回収の超臨界二酸化炭素媒体は純度が低くて再利用ができない。もう一つは超臨界二酸化炭素媒体染色に適した新規染料を利用することであるが、新規染料の開発はコストも時間もかかるため困難である。
【0004】
つまり、前記欠陥を避けて超臨界二酸化炭素媒体染色の染着率を高める簡単な方法は意味深い課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一種の高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法を提供し、従来技術における困難を克服した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題に対して、本発明は以下の解決手段を選択する。
【0007】
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、ポリエステル繊維またはその製品の染色系に、分散染料の溶解速度及び溶解度を向上させる助溶剤を加えることである。
【0008】
述べた分散染料より助溶剤の超臨界二酸化炭素媒体への溶解度は高くする。染色系においては、助溶剤-超臨界二酸化炭素媒体の分子間相互作用>助溶剤-述べた分散染料の分子間相互作用>超臨界二酸化炭素媒体-述べた分散染料の分子間相互作用、という各物質間に働く相互作用が成り立つ。
【0009】
本発明の分散染料の超臨界二酸化炭素媒体染色系には助溶剤が含まれる。これらの助溶剤は分散染料より超臨界二酸化炭素媒体への溶解度が高くして、超臨界二酸化炭素媒体に速く溶解できる。さらに、本発明の助溶剤と分散染料との間により強い分子間相互作用(主にπ-πスタッキング)があり、すなわち、助溶剤-超臨界二酸化炭素媒体の分子間相互作用>助溶剤-述べた分散染料の分子間相互作用>超臨界二酸化炭素媒体-述べた分散染料の分子間相互作用、という各物質間に働く相互作用が存在するため、超臨界二酸化炭素媒体に溶解した分散染料は助溶剤と速く結合してその溶解度が著しく向上される。更に、助溶剤の含有量が十分に大きい場合、分散染料と助溶剤との結合過程はもっと明らかになり、分散染料の溶解速度と溶解度の向上も明らかになる。
【0010】
本発明の助溶剤は30~50℃の分離温度と5~6MPaの分離圧力の下で固体とする。述べた分離温度と分離圧力は超臨界二酸化炭素媒体がガス化して溶解した染料及び助溶剤を析出させることに対する温度と圧力である。従来技術における助溶剤はアセトンやエタノールなどであって超臨界二酸化炭素との分離がしにくいため、二酸化炭素の再利用が困難になる。けれども、本発明の助溶剤は分離温度と分離圧力の下で固体として、染色終了後、汎用分離釜でも超臨界二酸化炭素から分離できる。分離釜には圧力が超臨界圧力より低くなって、そこで超臨界二酸化炭素はガス化して助溶剤を析出させる。しかしながら、アセトンやエタノールなどの助溶剤はそんな分離条件で揮発性がまだ高いので、二酸化炭素からほとんど分離できない。
【0011】
高分散染料染着率は染着率が90.18~99.97%とすることである。
【0012】
本発明の高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は比較方法より染着率を123%~194.7%で高める。両方法の違いは、ただ比較方法において前記助溶剤が使われないことである。
【0013】
本発明の好適態様は以下に示す。
【0014】
本発明の高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法において、染色系の中に分散染料とポリエステル繊維またはその製品との結合力は分散染料と他の物質との結合力より大きいであり、助溶剤と超臨界二酸化炭素流体との結合力は助溶剤と他の物質との結合力より大きいである。
【0015】
助溶剤、分散染料、超臨界二酸化炭素及びポリエステル繊維またはその製品が混在する染色系に、同様に弱極性を持つポリエステル繊維またはその製品と分散染料は互いに結合しやすい一方、助溶剤はポリエステル繊維またはその製品よりも超臨界二酸化炭素と結合しやすい。すなわち、分散染料とポリエステル繊維またはその製品との結合力は分散染料と他の物質(助溶剤、超臨界二酸化炭素)との結合力より大きいであり、助溶剤と超臨界二酸化炭素流体との結合力は助溶剤と他の物質(分散染料、ポリエステル繊維またはその製品)との結合力より大きいである。したがって、大量の分散染料及び助溶剤を溶解した超臨界二酸化炭素流体がポリエステル繊維又はその製品に触れる時に、分散染料は絶えずポリエステル繊維またはその製品に吸着されるさらに繊維内部へ拡散するけれど、助溶剤はポリエステル繊維またはその製品と結合せずに超臨界二酸化炭素に残っており、すなわち染色釜においては染色媒体中の分散染料がひっきりなしに消費され、助溶剤が消費されないである。
【0016】
染色釜において超臨界二酸化炭素に溶解した助溶剤が消費されないので、染色釜から返る超臨界二酸化炭素は分散染料がある染料釜を経る際に、助溶剤の分散染料の溶解速度と溶解度を高めることがまだできる。したがって、各染色循環において超臨界二酸化炭素が携える分散染料の濃度は従来技術より高くなっており、同じ染色時間でポリエステル繊維またはその製品と結合する染料は多くなる。これは本発明における染着率が向上した理由である。
【0017】
本発明の高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法において、述べた助溶剤は、安息香酸(溶解度5.7g/L、溶解速度1.14g/(L・min))、ニコチンアミド(溶解度3.2g/L、溶解速度0.64g/(L・min)、pーアミノ安息香酸メチル(溶解度2.5g/L、溶解速度0.24g/(L・min))、pーヒドロキシ安息香酸メチル(溶解度2.3g/L、溶解速度0.21g/(L・min))、
【化1】
(溶解度1.5g/L、溶解速度0.14g/(L・min))及びL-トリプトファンメチル(溶解度1.2 g/L、溶解速度0.28 g/(L・min))の中の1種以上とする。
【0018】
述べた分散染料は、ディスパースイエロー163(溶解度2.12*10
ー3g/L、溶解速度1.4*10
ー4g/(L・min))、ディスパースブルー60(溶解度4.56*10
ー3g/L、溶解速度2.17*10
ー4g/(L・min))、ディスパースオレンジ44(溶解度2.56*10
ー3g/L、溶解速度2.13*10
ー4g/(L・min))、ディスパースオレンジ30:2(溶解度7.59*10
ー4g/L、溶解速度5.06*10
ー5g/(L・min))、
【化2】
(溶解度3.56*10
ー3g/L、溶解速度7.12*10
ー4g/(L・min))、ディスパースブルー104(溶解度4.12*10
ー3g/L、溶解速度1.87*10
ー4g/(L・min))または
【化3】
(溶解度2.38*10
ー3g/L、溶解速度1.32*10
ー4g/(L・min)))とする。
【0019】
前記2段落のうちに、溶解度と溶解速度の測定は、130℃と27MPaの超臨界二酸化炭素が溶剤とすることである。
【0020】
本発明の高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法において、具体的な手順は次の点である。
(1)分散染料と助溶剤を別々に粉末にする。
(2)粉末状態分散染料と助溶剤を一定のモル比でブレンドして混合物にさせる。
(3)研磨した混合物を染料釜に入れ、同時にポリエステル繊維またはその製品を染色釜に入れ、液体二酸化炭素を導入し、染色釜内の温度と圧力を調節して高温高圧染色を行い、染色終了後ポリエステル繊維またはその製品を取り出す。
【0021】
前記高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法の手順(1)において、分散染料と助溶剤とのモル比は1:1~10とする。
【0022】
前記高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法の手順(2)において、ブレンドは蒸発結晶、乾式研磨、湿式研磨、溶融押し出しまたは溶融結晶の方式で行うことである。
【0023】
前記高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法の手順(3)において、高温高圧染色の温度は100~150℃、圧力は16~30MPaとする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の利点としては、
(1)本発明の採用した助溶剤は環境に配慮し、操作者の安全に隠れた危険がない。
(2)本発明において、助溶剤は分散染料のポリエステル繊維またはその製品に対する染着率を著しく向上させる一方、超臨界二酸化炭素が助溶剤及び染料と分離しやすくて再利用できるため、染色コストは大幅に減少する。
【0025】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者のいろいろな本発明を改正することを許されても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内にも限定されている。
【0026】
実施例1
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、無水超臨界二酸化炭素染色設備で行うこととして、具体的に、以下の手順を含み:
(1)ディスパースイエロー163のろ過ケーキ(中国の浙江閏土株式会社から購入)と安息香酸を別々に均一に分散する明らかに見える破片のない粉末にする。
(2)粉末状態のディスパースイエロー163と安息香酸を1:3のモル比で秤量し、それらの総重量の10倍のジルコニアビーズにより200r/minの速度で乾式研磨して、100メッシュの混合粉末にさせる。
(3)一定量の手順(2)から得られた混合粉末を染料釜に入れ、染料に対する重量比が100:1とする75D/48Fのポリエステル巻き糸を染色釜に入れ、そして染料釜と染色釜を閉める。
(4)増圧ポンプと二酸化炭素タンクのバルブを開け、染料釜に液体二酸化炭素を通液し、循環ポンプを開けて二酸化炭素循環速度を30秒/回に設定し、同時に染料釜と染色釜を含む無水超臨界二酸化炭素染色設備の全体を1℃/minの速度で加熱し、液体二酸化炭素の体積(流量計により判断する)と巻き糸の質量との比の1L:60gまで二酸化炭素タンクのバルブと増圧ポンプを閉め、130℃まで染料釜と染色釜を1℃/minの速度で加熱続け、染料釜と染色釜の圧力を27MPaに制御し(130℃と27MPaの条件下で二酸化炭素は超臨界状態になる)、超臨界二酸化炭素流体の循環速度を30秒/回に維持して染色を2h行う。
染色終了後、超臨界二酸化炭素を温度は30~50℃、圧力は5~6MPaとする分離釜いわゆる低圧区域へ流して気化させてディスパースイエロー163と安息香酸を析出させ、そして純二酸化炭素ガスを冷却して液体にさせてタンクに回送する(回収率100%)。
染料釜と染色釜を開け、巻き糸を取り出し、中国国家標準GB/T 9337-2009に記載する「分散染料の高温染色における染着率の測定方法」により巻き糸の内、中及び外層の染着率を測定し、それらの平均値を染料の染着率とする。結局はディスパースイエロー163の染着率が92.17%になる。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸を添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定し、結局は33.67%になる。
【0027】
実施例2
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:二酸化炭素タンクのバルブと増圧ポンプを閉める後、120℃まで染料釜と染色釜を1℃/minの速度で加熱続け、染料釜と染色釜の圧力を26MPaに制御し、120℃と26MPaの条件下で染色を行う。
測定したディスパースイエロー163の染着率は90.18%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸を添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定して31.52%の結果を得る。
【0028】
実施例3
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:二酸化炭素タンクのバルブと増圧ポンプを閉める後、140℃まで染料釜と染色釜を1℃/minの速度で加熱続け、染料釜と染色釜の圧力を28MPaに制御し、140℃と28MPaの条件下で染色を行う。
測定したディスパースイエロー163の染着率は93.15%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸を添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定して34.53%の結果を得る。
【0029】
実施例4
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:二酸化炭素タンクのバルブと増圧ポンプを閉める後、150℃まで染料釜と染色釜を1℃/minの速度で加熱続け、染料釜と染色釜の圧力を29MPaに制御し、150℃と29MPaの条件下で染色を行う。
測定したディスパースイエロー163の染着率は93.96%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸を添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定して34.69%の結果を得る。
【0030】
実施例5
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:ディスパースイエロー163をディスパースブルー60(ろ過ケーキ、中国浙江閏土株式会社から購入)に置換し、安息香酸をニコチンアミドに置換し、なお、手順(2)におけるモル比1:3をモル比1:2に置換する。
測定したディスパースブルー60の染着率は92.55%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にニコチンアミドを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースブルー60の染色率を測定して40.78%の結果を得る。
【0031】
実施例6
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例5と大体同じで、違いが次の点だけである:手順(2)におけるモル比1:2をモル比1:4に置換する。
測定したディスパースブルー60の染着率は92.55%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にニコチンアミドを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースブルー60の染色率を測定して40.78%の結果を得る。
【0032】
実施例7
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例5と大体同じで、違いが次の点だけである:手順(2)におけるモル比1:2をモル比1:6に置換する。
測定したディスパースブルー60の染着率は98.69%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にニコチンアミドを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースブルー60の染色率を測定して40.78%の結果を得る。
【0033】
実施例8
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例5と大体同じで、違いが次の点だけである:手順(2)におけるモル比1:2をモル比1:8に置換する。
測定したディスパースブルー60の染着率は99.52%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にニコチンアミドを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースブルー60の染色率を測定して40.78%の結果を得る。
【0034】
実施例9
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例5と大体同じで、違いが次の点だけである:手順(2)におけるモル比1:2をモル比1:10に置換する。
測定したディスパースブルー60の染着率は99.97%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にニコチンアミドを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースブルー60の染色率を測定して40.78%の結果を得る。
【0035】
実施例10
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:元手順(2)の工程は、モル比の1:3の粉末状態のディスパースイエロー163と安息香酸を、1g:50mLの粉末総量:溶剤比でアセトンに溶解し、常温常圧で蒸発結晶させ、得られた混合物を研磨して100メッシュの混合粉末にさせることで置換する。
測定したディスパースイエロー163の染着率は92.56%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸を添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定して33.67%の結果を得る。
【0036】
実施例11
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:元手順(2)の工程は、モル比の1:3の粉末状態のディスパースイエロー163と安息香酸に、1g:100μLの粉末総量:エタノール比でエタノールを添加しながら、湿式研磨して混合粉末を100メッシュにすることで置換する。
測定したディスパースイエロー163の染着率は92.89%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸を添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定して31.52%の結果を得る。
【0037】
実施例12
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、無水超臨界二酸化炭素染色設備で行うこととして、具体的に、以下の手順を含み:
(1)ディスパースイエロー163のろ過ケーキ(中国の浙江閏土株式会社から購入)とニコチンアミドを別々に均一に分散する明らかに見える破片のない粉末にする。
(2)粉末状態のディスパースイエロー163とニコチンアミドを1:3のモル比で秤量し、200℃で60r/minのダブルスクリューにより1min混合し、得られた混合物を研磨して100メッシュにする。
(3)一定量の手順(2)から得られた混合粉末を染料釜に入れ、染料に対する重量比が100:1とする75D/48Fのポリエステル巻き糸を染色釜に入れ、そして染料釜と染色釜を閉める。
(4)増圧ポンプと二酸化炭素タンクのバルブを開け、染料釜に液体二酸化炭素を通液し、循環ポンプを開けて二酸化炭素循環速度を30秒/回に設定し、同時に染料釜と染色釜を含む無水超臨界二酸化炭素染色設備の全体を1℃/minの速度で加熱し、液体二酸化炭素の体積(流量計により判断する)と巻き糸の質量との比の1L:60gまで二酸化炭素タンクのバルブと増圧ポンプを閉め、130℃まで染料釜と染色釜を1℃/minの速度で加熱続け、染料釜と染色釜の圧力を27MPaに制御し(130℃と27MPaの条件下で二酸化炭素は超臨界状態になる)、超臨界二酸化炭素流体の循環速度を30秒/回に維持して染色を2h行う。
染色終了後、超臨界二酸化炭素を温度は30~50℃、圧力は5~6MPaとする分離釜いわゆる低圧区域へ流して気化させてディスパースイエロー163とニコチンアミドを析出させ、そして純二酸化炭素ガスを冷却して液体にさせてタンクに回送する(回収率100%)。
染料釜と染色釜を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染着率を測定し、結局は92.35%になる。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にニコチンアミドを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定し結局は33.67%になる。
【0038】
実施例13
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例12と大体同じで、違いが次の点だけである:元手順(2)の工程は、モル比の1:3の粉末状態のディスパースイエロー163とニコチンアミドを200℃で5minかけて溶融混合し、そして冷却結晶し、研磨して100メッシュにすることで置換する。
測定したディスパースイエロー163の染着率は92.21%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にニコチンアミドを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定し結局は34.69%になる。
【0039】
実施例14
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:ディスパースイエロー163をディスパースオレンジ44(ろ過ケーキ、中国浙江閏土株式会社から購入)に置換する。
測定したディスパースオレンジ44の染着率は93.85%で、二酸化炭素回収率は100%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸を添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースオレンジ44の染色率を測定し結局は35.32%になる。
【0040】
実施例15
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:ディスパースイエロー163をディスパースオレンジ30:2(ろ過ケーキ、中国浙江閏土株式会社から購入)に置換する。
測定したディスパースオレンジ30:2の染着率は92.55%で、二酸化炭素回収率は100%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸を添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースオレンジ30:2の染色率を測定し結局は39.87%になる。
【0041】
実施例16
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:ディスパースイエロー163をディスパースレッド19(ろ過ケーキ、中国遼寧省大連染料工場から購入)に置換する。
測定したディスパースレッド19の染着率は93.89%で、二酸化炭素回収率は100%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸を添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースレッド19の染色率を測定し結局は42.10%になる。
【0042】
実施例17
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:ディスパースイエロー163をディスパースブルー104(ろ過ケーキ、中国浙江閏土株式会社から購入)に置換する。
測定したディスパースブルー104の染着率は92.77%で、二酸化炭素回収率は100%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸を添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースブルー104の染色率を測定し結局は35.15%になる。
【0043】
実施例18
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:ディスパースイエロー163をディスパースバイオレット26(ろ過ケーキ、中国浙江閏土株式会社から購入)に置換する。
測定したディスパースバイオレット26の染着率は92.18%で、二酸化炭素回収率は100%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸を添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースバイオレット26の染色率を測定し結局は39.78%になる。
【0044】
実施例19
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:安息香酸をpーアミノ安息香酸メチルに置換する。
測定したディスパースイエロー163の染着率は91.59%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にpーアミノ安息香酸メチルを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定し結局は33.67%になる。
【0045】
実施例20
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:安息香酸をpーヒドロキシ安息香酸メチルに置換する。
測定したディスパースイエロー163の染着率は92.67%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にpーヒドロキシ安息香酸メチルを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定し結局は33.67%になる。
【0046】
実施例21
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:安息香酸をL-チロシンメチルに置換する。
測定したディスパースイエロー163の染着率は92.23%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にL-チロシンメチルを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定し結局は33.67%になる。
【0047】
実施例22
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例1と大体同じで、違いが次の点だけである:安息香酸をL-トリプトファンメチルに置換する。
測定したディスパースイエロー163の染着率は93.30%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にL-トリプトファンメチルを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定し結局は33.67%になる。
【0048】
実施例23
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、無水超臨界二酸化炭素染色設備で行うこととして、具体的に、以下の手順を含み:
(1)ディスパースイエロー163のろ過ケーキ(中国の浙江閏土株式会社から購入)とニコチンアミドを別々に均一に分散する明らかに見える破片のない粉末にする。
(2)粉末状態のディスパースイエロー163と安息香酸とニコチンアミドを1:1:2のモル比で秤量し、それらの総重量の10倍のジルコニアビーズにより200r/minの速度で乾式研磨して200メッシュの混合粉末にする。
(3)一定量の手順(2)から得られた混合粉末を染料釜に入れ、染料に対する重量比が100:1とする75D/48Fのポリエステル巻き糸を染色釜に入れ、そして染料釜と染色釜を閉める。
(4)増圧ポンプと二酸化炭素タンクのバルブを開け、染料釜に液体二酸化炭素を通液し、循環ポンプを開けて二酸化炭素循環速度を30秒/回に設定し、同時に染料釜と染色釜を含む無水超臨界二酸化炭素染色設備の全体を1℃/minの速度で加熱し、液体二酸化炭素の体積(流量計により判断する)と巻き糸の質量との比の1L:60gまで二酸化炭素タンクのバルブと増圧ポンプを閉め、130℃まで染料釜と染色釜を1℃/minの速度で加熱続け、染料釜と染色釜の圧力を27MPaに制御し(130℃と27MPaの条件下で二酸化炭素は超臨界状態になる)、超臨界二酸化炭素流体の循環速度を30秒/回に維持して染色を2h行う。
染色終了後、超臨界二酸化炭素を温度は30~50℃、圧力は5~6MPaとする分離釜いわゆる低圧区域へ流して気化させてディスパースイエロー163と安息香酸とニコチンアミドを析出させ、そして純二酸化炭素ガスを冷却して液体にさせてタンクに回送する(回収率100%)。
染料釜と染色釜を開け、巻き糸を取り出し、中国国家標準GB/T 9337-2009に記載する「分散染料の高温染色における染着率の測定方法」により巻き糸の内、中及び外層の染着率を測定し、それらの平均値を染料の染着率とする。結局はディスパースイエロー163の染着率が92.13%になる。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜に安息香酸とニコチンアミドを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定し結局は33.67%になる。
【0049】
実施例24
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例23と大体同じで、違いが次の点だけである:安息香酸をpーアミノ安息香酸メチルに、ニコチンアミドをpーヒドロキシ安息香酸メチルに置換する。
測定したディスパースイエロー163の染着率は92.56%で、二酸化炭素回収率は100%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にpーアミノ安息香酸メチルとpーヒドロキシ安息香酸メチルを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定し結局は33.67%になる。
【0050】
実施例25
高分散染料染着率に向ける超臨界二酸化炭素媒体染色法は、具体的な手順が実施例23と大体同じで、違いが次の点だけである:安息香酸をL-チロシンメチルに、ニコチンアミドをL-トリプトファンメチルに置換する。
測定したディスパースイエロー163の染着率は93.87%で、二酸化炭素回収率は100%である。
比較方法は上述の方法と大体同じで、違いは染料釜にL-チロシンメチルとL-トリプトファンメチルを添加しないだけである。染色終了後、染料釜と染色釜の釜蓋を開け、巻き糸を取り出し、ディスパースイエロー163の染色率を測定し結局は33.67%になる。