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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】反射防止フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/111 20150101AFI20250203BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20250203BHJP
   G02B 1/18 20150101ALI20250203BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20250203BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20250203BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20250203BHJP
   B32B 27/16 20060101ALI20250203BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20250203BHJP
【FI】
G02B1/111
G02B1/14
G02B1/18
B32B7/023
B32B27/30 A
B32B27/18 Z
B32B27/16 101
B32B27/20 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022198542
(22)【出願日】2022-12-13
(65)【公開番号】P2024084335
(43)【公開日】2024-06-25
【審査請求日】2024-11-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399020212
【氏名又は名称】東山フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 晋平
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕伸
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-167043(JP,A)
【文献】特開2022-165392(JP,A)
【文献】特開2022-025625(JP,A)
【文献】特開2021-144201(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107189646(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/111
G02B 1/14
G02B 1/18
B32B 7/023
B32B 27/30
B32B 27/18
B32B 27/16
B32B 27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、前記ハードコート層の面上に形成され、前記ハードコート層の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層と、を有する反射防止フィルムであって、
前記低屈折率層は、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物と、中空シリカ粒子と、前記(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子と、含フッ素(メタ)アクリレートと、を含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成され、
前記反射防止フィルムの表面の水接触角が100°以上であり、
前記低屈折率層における前記アルミナ粒子の含有量が、前記低屈折率層の固形分100質量%に対し、0.1質量%以上6.0質量%以下であり、
前記アルミナ粒子の平均粒子径rと、厚み方向において前記アルミナ粒子に起因する凹凸のない部分における前記低屈折率層の厚みdとの差(r-d)が、10nm以上100nm以下である、反射防止フィルム。
【請求項2】
基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、前記ハードコート層の面上に形成され、前記ハードコート層の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層と、前記低屈折率層の面上に形成された防汚層と、を有する反射防止フィルムであって、
前記低屈折率層は、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物と、中空シリカ粒子と、前記(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子と、を含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成され、
前記防汚層は、含フッ素(メタ)アクリレートを含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成され、
前記反射防止フィルムの表面の水接触角が100°以上であり、
前記低屈折率層における前記アルミナ粒子の含有量が、前記低屈折率層の固形分100質量%に対し、0.1質量%以上6.0質量%以下であり、
前記アルミナ粒子の平均粒子径rと、厚み方向において前記アルミナ粒子に起因する凹凸のない部分における前記低屈折率層の厚みdとの差(r-d)が、10nm以上100nm以下である、反射防止フィルム。
【請求項3】
前記防汚層における前記含フッ素(メタ)アクリレートの含有量が、前記防汚層の固形分全量基準で90質量%以上である、請求項2に記載の反射防止フィルム。
【請求項4】
前記低屈折率層は、含フッ素化合物を含有しない、請求項2に記載の反射防止フィルム。
【請求項5】
前記低屈折率層において、前記シランカップリング剤の含有量が、前記アルミナ粒子100質量部に対し、1質量部以上50質量部以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止フィルムに関し、さらに詳しくは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、スマートホンなどのタッチパネル等のディスプレイ表面に好適に用いられる反射防止フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、スマートホンなどのタッチパネル等のディスプレイ表面には、画面への外光の映り込みを防止するなどのために、反射防止フィルムを配置することがある。反射防止フィルムとしては、基材フィルム上にハードコート層および反射防止層(低屈折率層)をこの順に有するものが知られている。例えば、出願人の出願による特許文献1では、ハードコート層の面上に形成される低屈折率層の組成を検討することで、反射防止フィルムの反射防止性、耐擦傷性、防汚性の向上を図っている。特許文献1においては、低屈折率層に含フッ素化合物が含有され、それが防汚性の向上に寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2021/020504号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
反射防止フィルム、特にタッチパネルの表面に配置されるものをはじめとして、手指の接触を頻繁に受ける反射防止フィルムにおいては、高い防汚性を有することが求められる。特許文献1に開示されているように、反射防止フィルムを構成する低屈折率層に、含フッ素化合物をはじめとする防汚作用のある物質を添加することで、反射防止フィルムの防汚性を向上させることができる。一方で、低屈折率層の表面に、低屈折率層とは独立した層として、それら防汚作用のある物質を含んだ防汚層を設ける形態も用いられる。しかし、防汚層を設けても、十分に高い防汚性が得られない場合や、手指の接触を繰り返すと表面が摩耗して防汚性が低下する場合がある。手指の接触を頻繁に受ける反射防止フィルムにおいては、高い反射防止性および防汚性を有することに加えて、使用時の耐久性の観点から、高い耐擦傷性を有すること、および高い摩耗耐久性を有することが、重要な特性となる。
【0005】
また近年、特にタッチパネルの表面に配置されるものをはじめとして、手指の接触を頻繁に受ける反射防止フィルムにおいては、清掃や除菌のためにアルコール等の溶剤で表面を拭き取ることが増えている。しかしながら従来の反射防止フィルムは、アルコールの付着した布で拭き取ったり、アルコールの付着した手指で操作を繰り返したりすると、反射防止フィルム表面が摩耗したり、防汚性が低下したりしてしまうという課題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、優れた耐擦傷性を有するとともに、高い防汚性と摩耗耐久性を有し、さらにアルコール等の溶剤が付着した布や手指での摩擦に耐えられる耐溶剤性を備えた、反射防止フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る反射防止フィルムは、以下の構成を有している。
[1]本発明に係る第一の反射防止フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、前記ハードコート層の面上に形成された低屈折率層と、を有する反射防止フィルムであって、前記低屈折率層は、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物と、中空シリカ粒子と、前記(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子と、を含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成され、前記反射防止フィルムの表面の水接触角が100°以上である。
【0008】
[2]上記[1]の態様において、前記低屈折率層を構成する前記電離放射線硬化性組成物は、さらに含フッ素(メタ)アクリレートを含有するとよい。
【0009】
[3]本発明に係る第二の反射防止フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、前記ハードコート層の面上に形成された低屈折率層と、前記低屈折率層の面上に形成された防汚層と、を有する反射防止フィルムであって、前記低屈折率層は、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物と、中空シリカ粒子と、前記(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子と、を含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成され、前記防汚層は、含フッ素(メタ)アクリレートを含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成され、前記反射防止フィルムの表面の水接触角が100°以上である。
【0010】
[4]上記[3]態様において、前記防汚層における前記含フッ素(メタ)アクリレートの含有量が、前記防汚層の固形分全量基準で90質量%以上であるとよい。
【0011】
[5]上記[3]または[4]の態様において、前記低屈折率層は、含フッ素化合物を含有しないとよい。
【発明の効果】
【0012】
上記[1]の構成を有する本発明に係る第一の反射防止フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、前記ハードコート層の面上に形成された低屈折率層と、を有する反射防止フィルムであって、前記低屈折率層は、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物と、中空シリカ粒子と、前記(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子と、を含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成され、前記反射防止フィルムの表面の水接触角が100°以上である。低屈折率層が、(メタ)アクリレート化合物に加えて、その(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子を含有する組成物の硬化物より構成されていることで、反射防止フィルムが、優れた耐擦傷性を有するとともに、高い防汚性と摩耗耐久性を有するものとなる。さらに、反射防止フィルムの表面の水接触角が100°以上となっていることで、反射防止フィルムが高い防汚性を有するとともに、アルコール等の溶剤が付着した布や手指での摩擦に耐えられる耐溶剤性を備えたものとなる。
【0013】
上記[2]の態様においては、低屈折率層を構成する電離放射線硬化性組成物が、さらに含フッ素(メタ)アクリレートを含有することにより、反射防止フィルムの表面の防汚性および耐溶剤性を効果的に高めることができる。
【0014】
上記[3]の構成を有する本発明に係る第二の反射防止フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、前記ハードコート層の面上に形成された低屈折率層と、前記低屈折率層の面上に形成された防汚層と、を有する反射防止フィルムであって、前記低屈折率層は、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物と、中空シリカ粒子と、前記(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子と、を含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成され、前記防汚層は、含フッ素(メタ)アクリレートを含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成され、前記反射防止フィルムの表面の水接触角が100°以上である。低屈折率層が、(メタ)アクリレート化合物に加えて、その(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子を含有する組成物の硬化物より構成されていること、さらにその低屈折率の表面に、含フッ素(メタ)アクリレートを含有する組成物の硬化物より構成された防汚層を備えていることで、反射防止フィルムが、優れた耐擦傷性を有するとともに、高い防汚性と摩耗耐久性を有するものとなる。さらに、反射防止フィルムの表面の水接触角が100°以上となっていることで、反射防止フィルムが高い防汚性を有するとともに、アルコール等の溶剤が付着した布や手指での摩擦に耐えられる耐溶剤性を備えたものとなる。
【0015】
上記[4]の態様においては、前記防汚層における前記含フッ素(メタ)アクリレートの含有量が、前記防汚層の固形分全量基準で90質量%以上であることにより、反射防止フィルムの防汚性を効果的に高めることができる。
【0016】
上記[5]の態様においては、前記低屈折率層が、含フッ素化合物を含有しないことにより、反射防止フィルムの耐擦傷性を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。
図2】本発明の第二実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。
図3】本発明の第三実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。
図4】本発明の第四実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。
図5】本発明の第五実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書において、各種物性は、特記しない限り、室温、大気中における値を指すものとする。また、本明細書において、物質および物質層の屈折率は、特記しない限り、測定波長589.3nmにおける屈折率を指すものとする。
【0019】
<第一実施形態の反射防止フィルム>
図1は、本発明の第一実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る反射防止フィルム10は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層14と、ハードコート層14の面上に形成された低屈折率層16と、を有する。本実施形態においては、上記各層が、間に他の層を介さずに、順に積層されている。低屈折率層16は、反射防止フィルム10全体としての最表面に露出された層となる。
【0020】
(基材フィルム)
基材フィルム12は、透明性を有していれば、特に限定されるものではない。基材フィルム12としては、透明高分子フィルム、ガラスフィルムなどが挙げられる。透明性とは、可視光波長領域における全光線透過率が50%以上であることをいい、全光線透過率は、より好ましくは85%以上である。上記全光線透過率は、JIS K7361-1(1997)に準拠して測定することができる。基材フィルム12の厚みは、特に限定されるものではないが、取り扱い性に優れるなどの観点から、2μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは2μm以上200μm以下の範囲内である。なお、「フィルム」とは、一般に厚さが0.25mm未満のものをいうが、厚さが0.25mm以上のものであってもロール状に巻くことが可能であれば、厚さが0.25mm以上のものであっても「フィルム」に含まれるものとする。
【0021】
基材フィルム12の高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリエチレンナフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリプロピレン樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリシクロオレフィン樹脂,シクロオレフィンコポリマー樹脂などのポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂,ジアセチルセルロース樹脂などのセルロース系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などが挙げられる。基材フィルム12の高分子材料は、これらのうちの1種のみで構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。これらのうちでは、光学特性や耐久性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂、トリアセチルセルロース樹脂がより好ましい。
【0022】
基材フィルム12は、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層からなる単層で構成されていてもよいし、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層と、この層とは異なる高分子材料の1種または2種以上を含む層など、2層以上の層で構成されていてもよい。
【0023】
(ハードコート層)
ハードコート層14は、反射防止フィルム10の耐擦傷性の向上に寄与する。ハードコート層14は、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物を含む電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成されている。電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味する。電離放射線としては、紫外線(UV)、X線、γ線等の電磁波、電子線(EB)、α線、イオン線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらのうちでは、生産性の観点から、紫外線(UV)が特に好ましい。以下、電離放射線硬化性組成物を、単に、硬化性組成物と称する場合がある。また、本明細書において「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよびメタクリロイルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリル」は「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリレート化合物」は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、モノマー、オリゴマー、プレポリマーなどが挙げられる。以下、(メタ)アクリレート化合物を単に(メタ)アクリレートと称する場合がある。
【0024】
(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレートであっても、多官能(メタ)アクリレートであってもよい。あるいは、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの組み合わせで構成されていてもよい。硬化性組成物は、(メタ)アクリレートとして、硬化性の向上等の観点から、多官能(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
【0025】
(メタ)アクリレートとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうちでは、ウレタン(メタ)アクリレート、特にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物と、必要に応じてポリオール化合物とを反応させて得られるものが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、およびこれらのヌレート変性体、アダクト変性体、ビウレット変性体などが挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、およびこれらのポリオキシアルキレン変性体、ポリラクトン変性体などが挙げられる。ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビフェノール、ビスフェノール等が挙げられる。ハードコート層14を形成するための硬化性組成物が紫外線硬化性樹脂としてウレタン(メタ)アクリレートを含む場合には、ハードコート層14が適度な柔軟性を有するため、反射防止フィルム10の耐屈曲性が高くなり、フォルダブルディスプレイやローラブルディスプレイ等の繰り返し屈曲されるフレキシブルディスプレイに好適に用いることができる。また、例えば基材フィルム12がポリシクロオレフィンやシクロオレフィンコポリマーなどから形成され、比較的割れやすいものでも、基材フィルム12の割れを抑えやすい。
【0026】
硬化性組成物を構成する(メタ)アクリレートとしてさらに、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート化合物が含有されることが好ましい。ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが硬化性組成物に含有されることが好ましい。
【0027】
ハードコート層14を形成する硬化性組成物には、紫外線硬化性樹脂に加え、非紫外線硬化性樹脂が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。また、ハードコート層14を形成する硬化性組成物には、光重合開始剤が含まれていてもよい。また、必要に応じ、硬化性組成物に一般に添加可能な添加剤などが含まれていてもよい。添加剤としては、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、防汚剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤、帯電防止剤、無機粒子、樹脂粒子などが挙げられる。また、必要に応じ、溶剤が含まれていてもよい。
【0028】
非紫外線硬化性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0029】
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系などの光重合開始剤が挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジルメチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチルー6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾールー3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。光重合開始剤は、これらの1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされて用いられてもよい。
【0030】
光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の固形分全量基準で、0.1質量%以上10質量%以下の範囲とすることが好ましい。より好ましくは1質量%以上であり、また5質量%以下である。
【0031】
無機粒子および樹脂粒子は、例えばハードコート層14のブロッキングを防止する、ハードコート層14の屈折率を調整する、などの目的でハードコート層14に添加することができる。添加する無機粒子や樹脂粒子により、ハードコート層14に微細な表面凹凸を形成することで、低屈折率層16を形成する前の、基材フィルム12およびハードコート層14からなるハードコートフィルムを、ロール状に巻き付けた際に、表面と裏面が接着するブロッキングを抑えやすい。
【0032】
ハードコート層14の屈折率を調整可能な無機粒子としては、チタン,ジルコニウム,スズ,亜鉛,ケイ素,ニオブ,アルミニウム,クロム,マグネシウム,ゲルマニウム,ガリウム,アンチモン,白金などの金属の酸化物からなる金属酸化物粒子が挙げられる。これらは、光学調整可能な無機粒子として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。これらのうちでは、高屈折率と透明性の両立に優れるなどの観点から、チタン酸化物,ジルコニウム酸化物が特に好ましい。また、樹脂粒子としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、セルロースなどの樹脂からなる樹脂粒子が挙げられる。これらは、樹脂粒子として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
【0033】
ハードコート層14の厚みは、特に限定されるものではないが、十分な硬度を有するなどの観点から、0.5μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.75μm以上である。また、基材フィルム12との熱収縮差に起因するカールが抑えられやすいなどの観点から、20μm以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以下である。ハードコート層14の厚みは、厚み方向において無機粒子や樹脂粒子に起因する凹凸のない部分における比較的平滑な部分の厚みである。
【0034】
ハードコート層14の屈折率は、基材フィルム12とハードコート層14の屈折率差から生じる干渉ムラを抑制する観点から、1.49以上1.56以下の範囲内が好ましい。
ハードコート層14の表面凹凸が形成されている表面の算術平均粗さRaは、ブロッキング抑制などの観点から、0.3nm以上20nm以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.5nm以上であり、また10nm以下である。
【0035】
ハードコート層14を形成する硬化性組成物において用いられる溶剤としては、エタノール,イソプロピルアルコール(IPA),n-ブチルアルコール(NBA),エチレングリコールモノメチルエーテル(EGM),エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG),プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM),ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール系溶剤や、メチルエチルケトン(MEK),メチルイソブチルケトン(MIBK),シクロヘキサノン,アセトンなどのケトン系溶剤、トルエン,キシレンなどの芳香族系溶剤、酢酸エチル(EtAc),酢酸プロピル,酢酸イソプロピル,酢酸ブチル(BuAc)などのエステル系溶剤、N-メチルピロリドン,アセトアミド,ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これらは、溶剤として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
【0036】
硬化性組成物の固形分濃度(溶剤以外の成分の濃度)は、塗工性、膜厚などを考慮して適宜定めればよい。例えば、1質量%以上90質量%以下、1.5質量%以上80質量%以下、2質量%以上70質量%以下などとすればよい。
【0037】
(低屈折率層)
本実施形態に係る反射防止フィルム10において、ハードコート層14の面上には、反射防止層として、低屈折率層16が設けられている。低屈折率層16は、ハードコート層14よりも低い屈折率を有するものであって、ハードコート層14との屈折率差により反射防止効果を発現させる。
【0038】
低屈折率層16は、バインダー樹脂としての反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物と、(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子と、中空シリカ粒子を含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成されている。上記でハードコート層14について説明したとおり、電離放射線には、種々の電磁波および荷電粒子線が含まれるが、低屈折率層16は、紫外線(UV)硬化性組成物の硬化物より構成されることが好ましい。そして、(メタ)アクリレート化合物およびシランカップリング剤に含有される反応性基は、紫外線反応性であることが好ましい。以下、組成物の好適な組成について説明する。
【0039】
反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、(メタ)アクリレート化合物は、反応性基として、(メタ)アクリロイル基のみを有するものであっても、(メタ)アクリロイル基に加えて、別の反応性基を有するものであってもよい。
【0040】
(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレートのみで構成されていてもよいし、多官能(メタ)アクリレートのみで構成されていてもよいし、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの組み合わせで構成されていてもよい。(メタ)アクリレートとしては、多官能(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
【0041】
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0042】
多官能(メタ)アクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレート、三官能(メタ)アクリレート、四官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。より具体的には、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0043】
硬化性組成物に含有される(メタ)アクリレート化合物は、上記する(メタ)アクリレートの1種単独で構成されていてもよいし、2種以上で構成されていてもよい。硬化性組成物に含有される(メタ)アクリレート化合物は、耐擦傷性の向上の観点から、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、また、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートの含有率を大きくすることが好ましい。
【0044】
また、多官能(メタ)アクリレートは、二量体を含むことが好ましい。多官能(メタ)アクリレートの二量体は硬化速度に優れ、硬化性組成物の硬化率を容易に上げることができるため、より耐擦傷性を向上させることができる。なかでも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、および、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの二量体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、および、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの二量体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0045】
上記二量体の含有量は、耐擦傷性や透明性、溶剤への溶解性の観点から、多官能(メタ)アクリレートの固形分全量基準で、25質量%以上50質量%以下の範囲とすることが好ましい。より好ましくは30質量%以上であり、また40質量%以下である。
【0046】
さらに、低屈折率層16を構成する硬化性組成物は、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物の一部として、含フッ素(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。すると、反射防止フィルム10に高い防汚性を付与することができる。含フッ素(メタ)アクリレートの具体例として、パーフルオロポリエーテル基を含有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。パーフルオロポリエーテル基は、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテルにおける水素が全てフッ素に置換されたものをいい、例えば、パーフルオロメチレンオキシド(-CFO-)、パーフルオロエチレンオキシド(-CFCFO-)、パーフルオロプロピレンオキシド(-CFCFCFO-)、パーフルオロイソプロピレンオキシド(-CF(CF)CFO-)のいずれか、またはこれらのうちの複数の組み合せによる繰り返し構造を有するフルオロポリエーテル基等が挙げられる。上記繰り返し構造の繰り返し単位数としては、好ましくは1~100である。具体的な化合物としては、信越化学工業製「KY-1203」「KY-1207」「KY-1211」「KY-1216」「KY-1240」、DIC製「メガファックRS-75」、ダイキン工業製「オプツールDAC-HP」「オプツールDAC-100」、ネオス製「フタージェント601AD」「フタージェント601ADH2」を挙げることができる。このような含フッ素(メタ)アクリレートにより、汚れや指紋の付着を抑え、また汚れや指紋の除去を容易にすることができる。
【0047】
含フッ素(メタ)アクリレートは、その構造中にウレタン結合を有さないことが好ましい。含フッ素(メタ)アクリレートが構造中にウレタン結合を有さないことで、低屈折率層16の硬度が高くなり、低屈折率層16が特に高い摩耗耐久性を与えるものとなる。
【0048】
低屈折率層16における含フッ素(メタ)アクリレートの含有量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。低屈折率層16における含フッ素(メタ)アクリレートの含有量が低屈折率層16の固形分100質量%に対し1.0質量%以上であると、低屈折率層16の表面の滑り性が向上し、耐擦傷性が向上する。また、防汚性が向上する。そして、この観点から、低屈折率層16における含フッ素(メタ)アクリレートの含有量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し、より好ましくは3.0質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上である。そして、低屈折率層16における含フッ素(メタ)アクリレートの含有量が低屈折率層16の固形分100質量%に対し15.0質量%以下であると、耐擦傷性の低下が抑えられる。また、この観点から、低屈折率層16における含フッ素(メタ)アクリレートの含有量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し、より好ましくは13.0質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以下である。なお、ここでいう低屈折率層16の固形分とは、低屈折率層16においてバインダー樹脂に固定化されていない、常温において液状の成分を除く成分である。低屈折率層16の固形分としては、アルミナ粒子、中空シリカ粒子、バインダー樹脂などが含まれる。添加剤としてのオイル成分やバインダー樹脂に固定化されていない界面活性剤などは含まれない。
【0049】
アルミナ粒子は、低屈折率層16に含まれることで、低屈折率層16の表面に凸部を形成するものである。アルミナ粒子によって低屈折率層16の表面に凸部が形成されることで、低屈折率層16は良好な耐擦傷性を有することができる。
【0050】
アルミナ粒子は、中実粒子であってもよいし、中空粒子であってもよいが、アルミナ粒子は、中実粒子であることが好ましい。中実粒子とは、粒子の内部に実質的に空洞を有していない粒子であり、空洞の割合が中実粒子の体積の5%未満である粒子をいう。中空粒子は、粒子の内部に空洞を有している粒子であり、空洞の割合が中空粒子の体積の5%以上である粒子をいう。アルミナ粒子が中実粒子であると、低屈折率層16の耐擦傷性が向上し、反射防止フィルム10の耐擦傷性が向上する。一方、アルミナ粒子が中空粒子であると、低屈折率層16の屈折率を低くして、光の反射を低減することができる。中空粒子において、空洞の割合は、中空粒子の体積の10%以上80%以下であることが好ましい。空洞の割合が10%以上であると、屈折率を低くして光の反射を低減することができる。より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。一方、空洞の割合が80%以下であると、アルミナ粒子の分散性の低下を抑えることができる。より好ましくは60%以下である。
【0051】
アルミナ粒子の形状は、特に限定されるものではなく、球状、針状、鱗片状、棒状、繊維状、不定形などであってもよい。これらのうちでは、球状であることが好ましい。
【0052】
アルミナ粒子は、(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されている。シランカップリング剤が、(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有することで、そのシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子が、低屈折率層16に含まれる(メタ)アクリレートと強固に結合し、さらに隣接するハードコート層14などの樹脂層に含まれる反応性基と結合することができる。それらの結合が形成されると、反射防止フィルム10の摩耗耐久性と耐溶剤性が向上する。
【0053】
シランカップリング剤は、一般に、ケイ素原子に結合されて、分子中に加水分解性基とそれ以外の官能基を有する。ここで、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応および/または縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基が挙げられる。加水分解性基が炭素原子を有する場合、その炭素数は6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。特に、炭素数4以下のアルコキシ基または炭素数4以下のアルケニルオキシ基が好ましい。加水分解性基が加水分解を受け、アルミナ粒子の表面の酸素原子との間に結合を形成することで、アルミナ粒子が表面処理される。
【0054】
ここで用いられるシランカップリング剤は、上記加水分解性基以外に、(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を含むものである。反応性基としては、(メタ)アクリロイル基,ビニル基,スチリル基,アリル基などの炭素-炭素不飽和二重結合性基、エポキシ基,オキセタニル基等の開環重合性基等が挙げられる。これらの反応性基は、紫外線反応性を有する。反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物と反応性基を有するシランカップリング剤によって表面処理されたアルミナ粒子とを含有する低屈折率層16において、(メタ)アクリレート化合物の反応性基とシランカップリング剤の反応性基とが反応し、結合を形成する。
【0055】
反応性基として炭素-炭素不飽和二重結合性基を有するシランカップリング剤としては、例えば、p-スチリルトリメトキシシラン、2―(アリルオキシメチル)アクリル酸(トリメトキシシリル)プロピル、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、8-メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、7-オクテニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0056】
反応性基として開環重合性基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0057】
これらのうち、(メタ)アクリレート化合物との反応性の観点から、炭素-炭素不飽和二重結合性基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、中でも、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等、エチレン性炭素-炭素二重結合性基を有するシランカップリング剤が特に好ましい。
【0058】
シランカップリング剤の含有量は、アルミナ粒子100質量部に対し、1質量部以上50質量部以下の範囲とすることが好ましい。すると、シランカップリング剤による表面処理の効果を高められる。また、低屈折率層16の耐擦傷性を高く維持するとともに、摩耗耐久性、耐溶剤性を高めることができる。より好ましくは、その含有量は10質量部以上であり、また40質量部以下である。低屈折率層16中には、アルミナ粒子に結合されていないシランカップリング剤が残存してもよく、ここに記載した好ましい含有量範囲は、それらアルミナ粒子に結合されていないシランカップリング剤も含めて、シランカップリング剤全体としての含有量を指す。
【0059】
シランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子(以下単に「アルミナ粒子」と称する場合がある)は、低屈折率層16の表面に凸部を形成し、良好な耐擦傷性を得るために、アルミナ粒子の平均粒子径rと低屈折率層16の厚みdの差(r-d)が、10nm以上であるとよい。差(r-d)は、より好ましくは15nm以上、さらに好ましくは18nm以上である。一方、形成される凸部の高さを抑えて透明性を維持するなどの観点から、差(r-d)は、300nm以下である。より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。
【0060】
アルミナ粒子の平均粒子径rは、低屈折率層16の厚みdにもよるが、60nm以上400nm以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは70nm以上、さらに好ましくは90nm以上である。また、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。アルミナ粒子の平均粒子径rは、JIS Z8825に従うレーザー回折・散乱法により得られる体積基準の平均算術値であって、一次粒子径だけではなく、粒子の凝集体である二次粒子径も含む。
【0061】
低屈折率層16におけるアルミナ粒子の含有量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し0.1質量%以上6.0質量%以下であるとよい。低屈折率層16におけるアルミナ粒子の含有量が低屈折率層16の固形分100質量%に対し0.1質量%以上であると、優れた耐擦傷性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層16におけるアルミナ粒子の含有量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは2.0質量%以上である。そして、低屈折率層16におけるアルミナ粒子の含有量が低屈折率層16の固形分100質量%に対し6.0質量%以下であると、高い透明性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層16におけるアルミナ粒子の含有量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し、より好ましくは5.5質量%以下、さらに好ましくは5.0質量%以下である。
【0062】
中空シリカ粒子は、低屈折率層16の平均厚さdよりも平均粒子径の小さい粒子である。中空シリカ粒子は、低屈折率層16の表面に凸部を形成するアルミナ粒子よりも平均粒子径の小さい粒子であるとよい。中空シリカ粒子は、低屈折率層16の表面凹凸の形成に実質的に寄与しない粒子である。中空シリカ粒子は、粒子の内部に空洞を有している粒子であり、空洞の割合が体積の5%以上である粒子をいう。中空とは、外殻とその内部の空洞からなるシェル構造のものや、多数の空洞を有する多孔質構造のものなどをいう。中空シリカ粒子は、中空構造であることで、低屈折率層16の屈折率を低くして、光の反射を低減させることができる。中空シリカ粒子の形状は、特に限定されるものではないが、球状、紡錘状、卵状、平板状、立方体状、不定形などが好ましい。これらのうちでは、球状、平板状、立方体状などが特に好ましい。
【0063】
中空シリカ粒子において、空洞の割合は、体積の10%以上80%以下であることが好ましい。空洞の割合が体積の10%以上であると、屈折率を低くして光の反射を低減することができる。より好ましくは体積の20%以上、さらに好ましくは体積の30%以上である。一方、空洞の割合が体積の80%以下であると、中空シリカ粒子の分散性の低下を抑えることができる。より好ましくは体積の60%以下である。
【0064】
中空シリカ粒子の平均粒子径は、低屈折率層16の厚みdにもよるが、5nm以上100nm以下であることが好ましい。より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40nm以上である。また、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは70nm以下である。中空シリカ粒子の平均粒子径がこれら好ましい範囲内であると、低屈折率層16において優れた反射防止効果と透明性を得ることができる。平均粒子径は、JIS Z8825に従うレーザー回折・散乱法により得られる体積基準の平均算術値である。一次粒子径だけではなく、粒子の凝集体である二次粒子径も含む。
【0065】
中空シリカ粒子の屈折率は、1.01以上1.45以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは1.15以上1.38以下の範囲内、さらに好ましくは1.15以上1.35以下の範囲内である。中空シリカ粒子の屈折率がこの範囲内であると、優れた反射防止効果が得られる。
【0066】
低屈折率層16における中空シリカ粒子の含有量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し6.0質量%以上49.9質量%以下であるとよい。低屈折率層16における中空シリカ粒子の含有量が低屈折率層16の固形分100質量%に対し6.0質量%以上であると、優れた反射防止性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層16における中空シリカ粒子の含有量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。そして、低屈折率層16における中空シリカ粒子の含有量が低屈折率層16の固形分100質量%に対し49.9質量%以下であると、耐擦傷性の低下が抑えられる。また、この観点から、低屈折率層16における中空シリカ粒子の含有量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0067】
そして、低屈折率層16におけるアルミナ粒子と中空シリカ粒子の合計量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し10質量%以上50質量%以下であるとよい。低屈折率層16におけるアルミナ粒子と中空シリカ粒子の合計量が低屈折率層16の固形分100質量%に対し10質量%以上であると、優れた耐擦傷性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層16におけるアルミナ粒子と中空シリカ粒子の合計量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。一方、低屈折率層16におけるアルミナ粒子と中空シリカ粒子の合計量が低屈折率層16の固形分100質量%に対し50質量%以下であると、低屈折率層16にアルミナ粒子と中空シリカ粒子を十分に保持することができるため、優れた耐擦傷性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層16におけるアルミナ粒子と中空シリカ粒子の合計量は、低屈折率層16の固形分100質量%に対し、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0068】
低屈折率層16は、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物と、(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子と、中空シリカ粒子とを含む電離放射線硬化性組成物を用いて形成される。低屈折率層16において、電離放射線照射を経て、(メタ)アクリル化合物どうし、表面処理されたアルミナ粒子どうし、また(メタ)アクリル化合物と表面処理されたアルミナ粒子との間や、それら(メタ)アクリル化合物や表面処理されたアルミナ粒子と隣接する層に含まれる反応性基を有する成分との間に、反応性基を介して結合が形成されることで、低屈折率層16が、高い耐擦傷性、摩耗耐久性および耐溶剤性を有するものとなる。上記のとおり、(メタ)アクリル化合物およびシランカップリング剤に含まれる反応性基は、紫外線反応性であることが好ましい。(メタ)アクリル化合物およびアルミナ粒子が紫外線反応性の反応性基を有すると、(メタ)アクリル化合物および表面処理されたアルミナ粒子を含む組成物より形成した低屈折率層16に対して紫外線照射を行うことで、低屈折率層16の耐擦傷性、摩耗耐久性および耐溶剤性が向上し、反射防止フィルム10の耐擦傷性、摩耗耐久性および耐溶剤性が向上する。
【0069】
また、低屈折率層16の形成用組成物は、(メタ)アクリル化合物が紫外線反応性の反応性基を有するものを含む場合(紫外線硬化性樹脂である場合)、光重合開始剤を含むことが好ましい。さらに低屈折率層16の形成用組成物は、必要に応じ、溶剤(アルミナ粒子の粒子分散体において分散媒として用いられる溶剤、および/またはそれとは別に添加される溶剤)を含んでいてもよい。低屈折率層16のバインダー樹脂は、(メタ)アクリル樹脂等の紫外線硬化性樹脂のみで構成されていてもよいし、紫外線硬化性樹脂と非紫外線硬化性樹脂の組み合わせで構成されていてもよい。非紫外線硬化性樹脂、光重合開始剤、溶剤としては、それぞれ、上記でハードコート層14の形成用組成物に含有されうるものの具体例として挙げた化学種を、低屈折率層16の形成用組成物においても、好適に適用することができる。
【0070】
光重合開始剤の含有量は、低屈折率層16の形成用組成物の固形分全量基準で、0.1質量%以上10質量%以下の範囲とすることが好ましい。より好ましくは1質量%以上であり、また5質量%以下である。
【0071】
他に、低屈折率層16には、必要に応じて、添加剤などが含まれていてもよい。このような添加剤としては、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤、屈折率調整剤、アルミナ粒子以外の無機粒子、樹脂粒子などが挙げられる。アルミナ粒子以外の無機粒子が含有される場合に、それらの無機粒子も、アルミナ粒子と同様に、(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されていてもよい。
【0072】
本実施形態においては、反射防止フィルム10の表面、つまり低屈折率層16の表面の水接触角が、100°以上となっている。これにより、反射防止フィルム10は、高い防汚性を有するものとなる。また、低屈折率層16の表面の滑り性が向上するため、耐擦傷性の向上に寄与する。低屈折率層16の表面の水接触角は、より高い防汚性を得る観点から、好ましくは105°以上、さらに好ましくは110°以上である。低屈折率層16の表面の水接触角は、低屈折率層16の構成材料の成分組成に依存する。例えば、低屈折率層16に、含フッ素(メタ)アクリレートまたは含シリコーン(メタ)アクリレートを含有させることで、水接触角が大きくなる。また、低屈折率層16の表面に微細な凹凸を付与することでも、低屈折率層16の表面の水接触角を大きくすることができ、本実施形態においては、低屈折率層16に含有されるアルミナ粒子が、その役割を果たしうる。ただし、低屈折率層16の表面への凹凸の付与は、表面の拭き取り性を低下させる可能性があり、その可能性を低減する観点からは、凹凸の付与による方法の代わりに、あるいはその方法に加えて、含フッ素(メタ)アクリレートまたは含シリコーン(メタ)アクリレートを添加する方法を用いて、水接触角を大きくすることが好ましい。低屈折率層16の表面の水接触角に特に上限は設けられないが、おおむね130°以下である。
【0073】
低屈折率層16の屈折率は、ハードコート層14より低い限りにおいて特に限定されないが、好ましくは1.35以上1.52以下である。屈折率が1.35以上であると、低屈折率層16の強度を十分なものとすることができ、良好な耐擦傷性を得ることができる。一方、屈折率が1.52以下であると、反射防止フィルム10をより低反射率化することができる。上記観点から低屈折率層16の屈折率は、より好ましくは1.38以上1.50以下であり、さらに好ましくは1.40以上1.49以下である。
【0074】
低屈折率層16の平均厚みdは、好ましくは80nm以上110nm以下の範囲内である。より好ましくは85nm以上、さらに好ましくは90nm以上である。また、より好ましくは105nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。この範囲内であると、良好な低い視感度反射率を得ることができ、光の反射を軽減することができる。低屈折率層16の厚みは、厚み方向においてアルミナ粒子に起因する凹凸のない部分における比較的平滑な部分の厚みである。
【0075】
(反射防止フィルムの製造方法)
反射防止フィルム10を製造するには、ハードコート層14、低屈折率層16をこの順に形成すればよい。各層を形成するには、各層の形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥後、紫外線をはじめとする電離放射線の照射等、組成物が有する硬化性に応じた方法で、硬化を行えばよい。ある層を形成した後、次の層の形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥後、組成物を硬化させればよい。この工程を順次繰り返すことで、ハードコート層14、低屈折率層16の積層構造を形成し、反射防止フィルム10を製造することができる。
【0076】
各層を形成する組成物の塗工には、湿式法を好適に用いることができる。具体的には、例えば、リバースグラビアコート法,ダイレクトグラビアコート法,ダイコート法,バーコート法,ワイヤーバーコート法,ロールコート法,スピンコート法,ディップコート法,スプレーコート法,ナイフコート法,キスコート法などの各種コーティング法や、インクジェット法、オフセット印刷,スクリーン印刷,フレキソ印刷などの各種印刷法を用いることができる。
【0077】
各層に対する乾燥工程は、塗工液に用いた溶剤等を除去できれば特に限定されるものではないが、50~150℃の温度で10秒~180秒程度行うことが好ましい。
【0078】
各層に対する紫外線照射には、高圧水銀ランプ、無電極(マイクロ波方式)ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、その他任意の紫外線照射装置を用いることができる。紫外線照射は、必要に応じて、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。紫外線照射量は、特に限定されるものではないが、50~800mJ/cmが好ましく、100~300mJ/cmがより好ましい。
【0079】
基材フィルム12の面上にハードコート層14を形成する際には、基材フィルム12とハードコート層14の密着性を向上させるために、基材フィルム12の表面には、塗工前に表面処理が施されてもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線処理などが挙げられる。
【0080】
(反射防止フィルムの特性)
以上の構成の反射防止フィルム10は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層14と、ハードコート層14の面上に形成された低屈折率層16と、を有し、低屈折率層16は、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物と、中空シリカ粒子と、(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子と、を含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成され、反射防止フィルム10表面の水接触角が100°以上であることで、優れた耐擦傷性を有するとともに、高い防汚性と摩耗耐久性、耐溶剤性を有するものとなる。
【0081】
本実施形態にかかる反射防止フィルム10においては、表面の水接触角が100°以上であることにより、反射防止フィルム10は高い防汚性を有するものとなる。反射防止フィルム10が高い防汚性を有することで、指紋等の汚れが反射防止フィルム10の表面に付着しにくくなり、また付着したとしても容易に除去することができる。また、本実施形態に係る反射防止フィルム10において、低屈折率層16に含有されるアルミナ粒子が、反射防止フィルム10における耐擦傷性に寄与している。さらにアルミナ粒子が上記のとおり表面処理されており、アルミナ粒子と(メタ)アクリレート化合物との間に結合が形成されることが、摩耗耐久性、および耐溶剤性の向上に寄与している。このように、本実施形態に係る反射防止フィルム10は、高い反射防止性および防汚性に加え、高い耐擦傷性、摩耗耐久性、耐溶剤性を有することから、タッチパネルの表面に配置されるものをはじめとして、手指の接触を頻繁に受ける用途に特に適している。反射防止フィルム10が高い耐溶剤性を有することで、清掃や除菌等のために、アルコール等の溶剤が付着した布や手指で反射防止フィルム10の表面を摩擦した際にも、高い耐擦傷性や摩耗耐久性を有する表面の状態を保持することができる。
【0082】
反射防止フィルム10におけるヘイズは、良好な視認性などの観点から、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下である。反射防止フィルム10における視感反射率は、低いほど好ましく、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2.0%以下である。視感反射率が2.0%以下であれば、反射防止フィルム10が十分に高い反射防止性を有するとみなすことができる。
【0083】
低屈折率層16表面の算術平均粗さRaは、耐擦傷性と摩耗耐久性の両立などの観点から、1.0nm以上20nm以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは3.0nm以上15nm以下、さらに好ましくは5.0nm以上であり、また10nm以下である。
【0084】
<第二実施形態の反射防止フィルム>
図2には、第二実施形態に係る反射防止フィルム20を示している。第二実施形態に係る反射防止フィルム20は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層14と、ハードコート層14の面上に形成された低屈折率層16と、低屈折率層16の面上に形成された防汚層18を有している。
【0085】
第二実施形態に係る反射防止フィルム20は、第一実施形態に係る反射防止フィルム10と比較して、低屈折率層16の面上に防汚層18を有している点が相違する。これ以外については第一実施形態に係る反射防止フィルム10と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
【0086】
(防汚層)
本実施形態に係る反射防止フィルム20において、低屈折率層16の面上に、防汚層18が設けられている。防汚層18は、反射防止フィルム20の防汚性を高めるものとなる。
【0087】
防汚層18は、含フッ素(メタ)アクリレートを含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成されている。特に、紫外線硬化性組成物の硬化物より構成されていることが好ましい。
【0088】
防汚層18が、含フッ素(メタ)アクリレートを含有する組成物の硬化物より構成されることで、防汚層18を表面に有する反射防止フィルム20が、防汚性と耐溶剤性、さらに摩耗耐久性および耐擦傷性に優れたものとなる。含フッ素(メタ)アクリレートの具体例として、パーフルオロポリエーテル基を含有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。パーフルオロポリエーテル基は、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテルにおける水素が全てフッ素に置換されたものをいい、例えば、パーフルオロメチレンオキシド(-CFO-)、パーフルオロエチレンオキシド(-CFCFO-)、パーフルオロプロピレンオキシド(-CFCFCFO-)、パーフルオロイソプロピレンオキシド(-CF(CF)CFO-)のいずれか、またはこれらのうちの複数の組み合せによる繰り返し構造を有するフルオロポリエーテル基等が挙げられる。上記繰り返し構造の繰り返し単位数としては、好ましくは1~100である。具体的な化合物としては、信越化学工業製「KY-1203」「KY-1207」「KY-1211」「KY-1216」「KY-1240」、DIC製「メガファックRS-75」、ダイキン工業製「オプツールDAC-HP」「オプツールDAC-100」、ネオス製「フタージェント601AD」「フタージェント601ADH2」を挙げることができる。
【0089】
含フッ素(メタ)アクリレートは、その構造中にウレタン結合を有さないことが好ましい。含フッ素(メタ)アクリレートが構造中にウレタン結合を有さないことで、防汚層18の硬度が高くなり、防汚層18が特に高い摩耗耐久性を与えるものとなる。
【0090】
防汚層18においては、含フッ素(メタ)アクリレートの含有量が、防汚層18の固形分全量基準で90質量%以上となっていることが好ましい。これにより、含フッ素(メタ)アクリレートによる防汚性向上効果を高く得ることができる。防汚性向上の効果をさらに高める観点から、防汚層18において、含フッ素(メタ)アクリレートの含有量は、防汚層18の固形分全量基準で92質量%以上であると、より好ましい。また、不可避的成分を除いて、防汚層18を構成する樹脂成分の全量が、含フッ素(メタ)アクリレートであると、より好ましい。なお、ここでいう防汚層18の固形分とは、防汚層18において硬化性成分に固定化されていない、常温において液状の成分を除く成分である。防汚層18の固形分としては、含フッ素(メタ)アクリレートなどが含まれる。
【0091】
防汚層18は、含フッ素(メタ)アクリレートを含む組成物を用いて形成することができる。防汚層18の形成用組成物を低屈折率層16の表面に層状に配置したうえで、硬化させればよい。防汚層18が紫外線硬化性を有する組成物の硬化物として形成される場合には、防汚層18の形成用組成物は、光重合開始剤をさらに含むことが好ましい。また、必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。
【0092】
光重合開始剤、溶剤としては、それぞれ、上記でハードコート層14の形成用組成物に含有されうるものの具体例として挙げた化学種を、防汚層18の形成用組成物においても、好適に適用することができる。光重合開始剤の含有量は、防汚層18の形成用組成物の固形分全量基準で、0.1質量%以上15質量%以下の範囲とすることが好ましい。より好ましくは3質量%以上であり、また10質量%以下である。
【0093】
他に、防汚層18には、必要に応じて、添加剤などが含まれていてもよい。このような添加剤としては、含フッ素(メタ)アクリレート以外の防汚剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤、屈折率調整剤などが挙げられる。ただし、防汚層18の表面の平滑性を高める観点から、防汚層18は、アルミナ粒子等の金属酸物粒子や中空シリカ粒子をはじめとして、固体粒子を含有しないことが好ましい。防汚層18が固体粒子を含有する場合であっても、固体粒子の粒径を10nm以下、また固体粒子の含有量を、防汚層18の固形分100質量%に対し1質量%以下に抑えておくとよい。
【0094】
本実施形態においては、反射防止フィルム20の表面、つまり防汚層18の表面の水接触角が、100°以上となっている。これにより、反射防止フィルム20は、高い防汚性を有するものとなる。また、防汚層18の表面の滑り性が向上するため、耐擦傷性の向上に寄与する。防汚層18の表面の水接触角は、より高い防汚性を得る観点から、好ましくは105°以上、さらに好ましくは110°以上である。防汚層18の表面の水接触角は、例えば、防汚層18における含フッ素(メタ)アクリレートの含有量を多くすることで、大きくなる。防汚層18の表面の水接触角に特に上限は設けられないが、おおむね130°以下である。
【0095】
防汚層18の厚みは、1nm以上であることが好ましい。すると、防汚層18による防汚性向上の効果が高く得られる。より好ましくは、防汚層18の厚みは、3nm以上、さらには5nm以上であるとよい。一方、防汚層18の厚みは、15nm以下であることが好ましい。すると、反射防止フィルム20の反射防止性を高く保つことができる。より好ましくは、防汚層18の厚みは、10nm以下であるとよい。
【0096】
防汚層18の屈折率は、1.6以下であることが好ましい。1.6以下であれば、反射防止フィルム20の反射防止性を高く保つことができる。より好ましくは、防汚層18の屈折率は、1.55以下、さらには1.50以下であるとよい。一方、防汚層18の屈折率は、防汚層18の厚みが上記範囲内であれば特に制限されるものではないが、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.35以上であればよい。
【0097】
防汚層18表面の算術平均粗さRaは、耐擦傷性と摩耗耐久性の両立などの観点から、1.0nm以上20nm以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは3.0nm以上15nm以下、さらに好ましくは5.0nm以上であり、また10nm以下である。
【0098】
本実施形態に係る反射防止フィルム20においては、低屈折率層16の組成は、上記第一実施形態に係る反射防止フィルム10における組成と同じであってよいが、第一実施形態に係る反射防止フィルム10とは異なり、低屈折率層16の上に防汚層18が設けられ、その防汚層18が高い防汚性を発揮するので、低屈折率層16には、防汚性の向上を目的として、含フッ素化合物を含有させる必要はない。低屈折率層16に多量の含フッ素化合物を含有させると、防汚層18を形成するための組成物との間の濡れ性が低くなり、防汚層18との密着性が弱まって反射防止フィルム20の耐擦傷性の低下につながるが、低屈折率層16を、含フッ素化合物を含まないものとしておくことで、反射防止フィルム20の耐擦傷性を高めることができる。低屈折率層16に含フッ素化合物を含有させる場合でも、その含有量を、低屈折率層16の固形分100質量%に対し1質量%以下に抑えておくとよい。
【0099】
本実施形態に係る反射防止フィルム20においては、低屈折率層16の表面に直接接して防汚層18が設けられている。例えば、低屈折率層16の表面に、フッ素非含有の(メタ)アクリレート樹脂よりなる層等、密着性向上効果を有するプライマー層は、形成されない。そのようなプライマー層を設けないことで、反射防止フィルム20の構成を簡素にし、反射防止フィルム20の生産性およびコスト抑制効果をを高められる。
【0100】
<他の形態の反射防止フィルム>
本発明に係る反射防止フィルムは、上記のとおり、基材フィルム12の面上に、ハードコート層14、低屈折率層16がこの順に積層され、さらに任意に防汚層18が積層されたものであり、低屈折率層16が所定の組成を有するものであれば、上記第一実施形態に係る反射防止フィルム10や第二実施形態に係る反射防止フィルム20の構成に限定されるものではない。以下に、本発明に係る反射防止フィルムの他の実施形態について例示する。
【0101】
(第三実施形態)
図3には、第三実施形態に係る反射防止フィルム30を示している。第三実施形態に係る反射防止フィルム30は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層14と、ハードコート層14の面上に形成された高屈折率層15と、高屈折率層15の面上に形成された低屈折率層16とを有している。
【0102】
第三実施形態に係る反射防止フィルム30は、第一実施形態に係る反射防止フィルム10と比較して、ハードコート層14と低屈折率層16の間に高屈折率層15を有している点が相違する。これ以外については第一実施形態に係る反射防止フィルム10と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
【0103】
高屈折率層15は、ハードコート層14および低屈折率層16よりも高い屈折率を有する層である。高屈折率層15をハードコート層14と低屈折率層16の間に設けることによって、反射防止フィルム30に、より高い反射防止効果を発現させる。高屈折率層15の屈折率は、好ましくは1.55以上1.80以下の範囲内である。より好ましくは1.60以上、また、1.70以下である。
【0104】
高屈折率層15の構成材料は特に制限されず、所定の屈折率が得られるように、従来より反射防止フィルム等に用いられる公知のものを用いればよい。例えば、ハードコート層14や低屈折率16において使用可能な材料として上記で説明した材料から適宜選択すればよい。高屈折率層15の屈折率は、バインダー樹脂、無機酸化物粒子、樹脂粒子の種類、配合量などにより調整することができる。例えば、無機酸化物粒子を十分な量で添加することで、低屈折率層16よりも屈折率の高い高屈折率層15を形成することができる。
【0105】
高屈折率層15の平均厚みは、屈折率の設定に応じて異なるが、例えば50nm以上200nm以下とすることで、反射防止機能をさらに高めることができる。高屈折率層15としては、相互に屈折率の異なる層を、2層以上積層して設けてもよい。
【0106】
(第四実施形態)
図4には、第四実施形態に係る反射防止フィルム40を示している。第四実施形態に係る反射防止フィルム40は、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の面上に形成されたハードコート層14と、ハードコート層14の面上に形成された低屈折率層16とを有する。また、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層22を有する。透明粘着層22の面上には、必要に応じて離型フィルム24が配置される。離型フィルム24は、反射防止フィルム40の使用前に透明粘着層22の保護層として機能し、反射防止フィルム40の使用時には、透明粘着層22から剥がされる。
【0107】
第四実施形態に係る反射防止フィルム40は、第一実施形態に係る反射防止フィルム10と比較して、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層22を有する点が相違し、これ以外については第一実施形態に係る反射防止フィルム10と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
【0108】
透明粘着層22は、反射防止フィルム40をディスプレイ等の表面に密着性良く貼り付けるためのものである。また、反射防止フィルム40は、透明粘着層22を有することで、ディスプレイ等のガラスの飛散を防止する効果を有する。すなわち、反射防止フィルム40は、飛散防止フィルムとしての機能も有する。
【0109】
透明粘着層22を形成する粘着剤組成物は、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などの公知の粘着性樹脂を含有することができる。中でも、光学的な透明性や耐熱性の観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。粘着剤組成物は、透明粘着層22の凝集力を高めるために、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、キレート系架橋剤などが挙げられる。
【0110】
粘着剤組成物は、必要に応じて、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、可塑剤、シランカップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、充填剤、硬化促進剤、硬化遅延剤などの公知の添加剤が挙げられる。また、生産性などの観点から、有機溶剤を使用して希釈してもよい。
【0111】
透明粘着層22の厚みは、特に限定されるものではないが、5μm以上100μm以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは10μm以上であり、また50μm以下である。
【0112】
透明粘着層22は、基材フィルム12の他方の面上に粘着剤組成物を直接塗布して形成する方法、離型フィルム24の面上に粘着剤組成物を塗布して形成した後、基材フィルム12の他方の面上に転写する方法、第一の離型フィルムの面上に粘着剤組成物を塗布して形成した後、第二の離型フィルムを貼り合わせ、いずれか一方の離型フィルムを剥離して基材フィルム12の他方の面上に転写する方法などにより形成することができる。
【0113】
透明粘着層22は、ガラスの飛散防止効果の観点から、ガラスに対する粘着力が、4N/25mm以上であることが好ましい。より好ましくは6N/25mm以上、さらに好ましくは10N/25mm以上である。
【0114】
(第五実施形態)
図5には、第五実施形態に係る反射防止フィルム50を示している。第五実施形態に係る反射防止フィルム50は、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の面上に形成されたハードコート層14と、ハードコート層14の面上に形成された低屈折率層16と、低屈折率層16の面上に粘着剤層26を介して配置された保護フィルム28と、を有する。また、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層22を有する。透明粘着層22の面上には、必要に応じて離型フィルム24が配置される。
【0115】
第五実施形態に係る反射防止フィルム50は、第四実施形態に係る反射防止フィルム40と比較して、低屈折率層16の面上に粘着剤層26を介して保護フィルム28を有する点が相違し、これ以外については第四実施形態に係る反射防止フィルム40と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
【0116】
保護フィルム28は、例えばロールプロセスなどで連続加工したりディスプレイ等に貼り合わせられたりするなどの反射防止フィルム50の取扱い時において、低屈折率層16の表面に傷が付くのを抑えることができるものである。保護フィルム28は、粘着剤層26を介して低屈折率層16の面に貼り付けられている。保護フィルム28は、反射防止フィルム50の加工後などにおいては、粘着剤層26とともに低屈折率層16の面から剥がされる。このため、粘着剤層26は、低屈折率層16と粘着剤層26の間の接着力よりも保護フィルム28と粘着剤層26の間の接着力のほうが強く、低屈折率層16と粘着剤層26の間で界面剥離可能な接着力に調整される。本実施形態に係る反射防止フィルム50において、表面の水接触角は、保護フィルム28および粘着剤層26を剥離した状態の表面に対して規定され、それらを剥離した表面における水接触角が100°以上となる。
【0117】
保護フィルム28を構成する材料は、基材フィルム12を構成する材料として例示したものなどを適宜選択することができる。保護フィルム28の厚みは、特に限定されるものではないが、2μm以上500μm以下の範囲内、2μm以上200μm以下の範囲内とすることができる。
【0118】
粘着剤層26としては、特許文献1に記載されているものを好適に適用することができる。粘着剤層26を形成する粘着剤は、特に限定されるものではなく、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などを好適に用いることができる。特に、アクリル系粘着剤は、透明性や耐熱性に優れるため、好適である。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル重合体および架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されることが好ましい。
【0119】
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリルモノマーの単独重合体もしくは共重合体である。(メタ)アクリルモノマーとしては、アルキル基含有(メタ)アクリルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーなどが挙げられる。
【0120】
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0121】
粘着剤組成物には、(メタ)アクリル重合体、架橋剤以外に、その他添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、架橋促進剤、架橋遅延剤、粘着性付与樹脂(タッキファイヤー)、帯電防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、剥離助剤、顔料、染料、湿潤剤、増粘剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、金属不活性剤、アルキル化剤、難燃剤などが挙げられる。これらは粘着剤の用途や使用目的に応じて、適宜選択して使用される。
【0122】
粘着剤層26の厚みは、特に限定されるものではないが、1μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは2μm以上であり、また7μm以下である。
【0123】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0124】
例えば上記実施形態では、基材フィルム12の表面に表面処理を施してもよい記載をしているが、表面処理に代えて、基材フィルム12の表面に、易接着層を設ける構成であってもよい。
【0125】
上記第三実施形態における高屈折率層15は、図3に示すように、図1に示す第一実施形態の反射防止フィルム10に追加する形で示しているが、図2に示す第二実施形態の反射防止フィルム20に追加する形であってもよい。そして、上記第四実施形態における透明粘着層22および離型フィルム24は、図4に示すように、図1に示す第一実施形態の反射防止フィルム10に追加する形で示しているが、図2に示す第二実施形態の反射防止フィルム20や、図3に示す第三実施形態の反射防止フィルム30に追加する形であってもよい。また、上記第五実施形態における粘着剤層26および保護フィルム28は、図5に示すように、図4に示す第四実施形態の反射防止フィルム40に追加する形で示しているが、図1に示す第一実施形態の反射防止フィルム10や、図2に示す第二実施形態の反射防止フィルム20に追加する形であってもよいし、図3に示す第三実施形態の反射防止フィルム30に追加する形であってもよい。第二実施形態の反射防止フィルム20に粘着剤層26および保護フィルム28を追加する場合には、粘着剤層26は、防汚層18と粘着剤層26の間の接着力よりも保護フィルム28と粘着剤層26の間の接着力のほうが強く、防汚層18と粘着剤層26の間で界面剥離可能な接着力に調整される。
【0126】
そして、基材フィルム12の表面には、各層を形成する前に、ガスバリア性向上層、帯電防止層、オリゴマーブロック層などの各種機能層を予め設けてもよい。帯電防止層としては、特許文献1に記載されているものを好適に適用することができる。
【実施例
【0127】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。以下、特記しない限り、試料の作製および評価は、室温、大気中において行っている。
【0128】
<ハードコート層形成用組成物の調製>
紫外線硬化性樹脂組成物ESS-620(DIC製、ウレタンアクリレート樹脂、溶剤(酢酸エチル)、固形分濃度79質量%)に、光重合開始剤「Omnirad127」(IGM Resins B.V.製)を、ハードコート層形成用組成物全量に対し3質量%となるように加えた。さらに、固形分濃度31質量%となるように酢酸エチルを加え、ハードコート層形成用組成物を調製した。
【0129】
<高屈折率層形成用組成物の調製>
紫外線硬化性樹脂組成物TYZ65-01(トーヨーケム製、アクリル系樹脂、酸化ジルコニウム含有(平均粒子径80nm)、光重合開始剤(上記「Omnirad127」)、溶剤(シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル)、固形分濃度35質量%)に、固形分濃度8質量%となるようにメチルエチルケトンを加え、高屈折率層形成用組成物を調製した。
【0130】
<反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子の調製>
500mlステンレスポットに、表面処理されていないアルミナ粒子(平均粒子径160nm)を25g、シランカップリング剤(信越化学工業製「KBM-5103」、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を2.5g、プロピレングリコールモノメチルエーテルを72.5g加え、ホモミキサー(プライミクス社製「ホモミクサーMARKII 2.5型」)を用いて4000rpmで30分間、混合および分散処理を行い、反応性基としてのアクリロイル基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子分散体1を得た。
【0131】
<低屈折率層形成用組成物の調製>
表1に記載の配合組成(全固形分中の質量%)となるように、バインダー樹脂、中空シリカ粒子、アルミナ粒子、含フッ素(メタ)アクリレート(実施例2および比較例2のみ)、光重合開始剤を配合し、溶剤(MEK/PGM=1/3)を用いて、表1に記載の固形分濃度に調整することにより、低屈折率層形成用組成物を調製した。
【0132】
低屈折率層形成用組成物の材料として用いた材料は以下の通りである。
・バインダー樹脂:東亞合成製「アロニックスMT-3041」、多官能アクリレート、固形分濃度100質量%
・中空シリカ粒子:日揮触媒化成工業製「スルーリア4320」、平均粒子径60nm、溶剤:MIBK、固形分濃度20質量%
・アルミナ粒子1:上記アルミナ粒子分散体1
・アルミナ粒子2:トーヨーケム製 アルミナゾル「リオデュラスKT-110AL」、アルミナ粒子(平均粒子径:110nm、表面処理なし)25質量%、感光性モノマーおよび樹脂15質量%、溶剤(MEK、シクロヘキサノン、脂肪族系溶剤)
・含フッ素(メタ)アクリレート:信越化学工業製「KY-1216」、パーフルオロポリエーテル基含有(メタ)アクリレート、メチルエチルケトン、固形分濃度20質量%
・光重合開始剤:上記「Omnirad127」
【0133】
<防汚層形成用組成物の調製>
表1に記載の配合組成(全固形分中の質量%)となるように、含フッ素化合物(上記「KY-1216」)、光重合開始剤(上記「Omnirad127」)を配合し、溶剤(MEK/PGM=1/3)を用いて、表1に記載の固形分濃度に調整することにより、防汚層形成用組成物を調製した。
【0134】
<ハードコート層の作製>
実施例1~2および比較例1~3のそれぞれについて、基材フィルム(東レ製「ルミラー#50-U403」、ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み50μm)に、#12のワイヤーバーを用いてハードコート層形成用組成物を塗布し、80℃×60秒で乾燥後、高圧水銀ランプを用いて光量200mJ/cmの紫外線を照射してハードコート層(膜厚4μm)を形成した。
【0135】
<高屈折率層の作製>
実施例1~2および比較例1~3のそれぞれについて、ハードコート層の面上に、高屈折率層形成用組成物を塗布し、80℃×60秒で乾燥後、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプを用いて光量200mJ/cmの紫外線を照射して高屈折率層(膜厚110nm)を形成した。
【0136】
<低屈折率層の作製>
実施例1~2および比較例1~3のそれぞれについて、高屈折率層の面上に、低屈折率層形成用組成物を、#3のワイヤーバーを用いて塗布し、100℃×60秒で乾燥後、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプを用いて光量200mJ/cmの紫外線を照射して低屈折率層を形成した。膜厚は表1に示したとおりとした。
【0137】
<防汚層の作製>
実施例1および比較例1については低屈折率層の面上に、それぞれ、防汚層形成用組成物を、#3のワイヤーバーを用いて塗布し、100℃×60秒で乾燥後、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプを用いて光量200mJ/cmの紫外線を照射して防汚層を形成した。膜厚は表1に示したとおりとした。実施例2、および比較例2~3については防汚層を形成しなかった。
以上により、実施例1~2および比較例1~3に係る反射防止フィルムを作製した。
【0138】
<評価方法>
(各層の厚みおよび屈折率)
各試料について、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層、防汚層の各厚みおよび屈折率を評価した。この際、各層を形成するごとに、顕微分光膜厚計(大塚電子製「OPTM-F1」)を用いて得られた波長領域380~780nmの反射分光スペクトルと、フレネルの式に基づいて導出される理論スペクトルとを、最小二乗法によりカーブフィッティングすることにより、各層の厚みおよび波長589.3nmにおける屈折率を算出した。
【0139】
(視感反射率)
作製した反射防止フィルムの裏面(低屈折率層とは反対側の面)を#400のサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶし、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製「UV-3600」)を用いて、波長380nm~780nmにおける反射防止フィルムの表面の5°正反射率を測定し、この測定値に比視感度値を乗じて視感反射率を算出した。視感反射率が2.0%以下であれば、反射防止性が十分であるとみなすことができる。
【0140】
(水接触角)
作製した反射防止フィルムの表面について、水接触角の測定を行った。測定には、接触角計(協和界面科学製、DropMaster DMo-502)を使用し、4μLの純水を、試料の表面(実施例1および比較例1については防汚層の表面、実施例2および比較例2~3については低屈折率層の表面)に滴下して、水接触角を測定した。水接触角が100°以上であれば、防汚性の観点から、十分に大きいとみなすことができる。
【0141】
(摩耗耐久性)
各試料について、水接触角を指標とした消しゴム摩耗試験によって、摩耗耐久性を評価した。
各試料について、消しゴム摩耗試験を行った。この際、平面摩耗試験機(大栄科学精機製作所製「DAS-400」)を使用し、消しゴム摩耗試験用消しゴム(Minoan社製、接触面が直径φ6mmの円柱型)を、各試料の反射防止フィルムの表面に載せて往復させた。試験台のストローク長は50mm、試験台往復速度は30往復/分とし、印加荷重は1.0kgとした。500往復までは100往復ごとに、500往復を超えたときはそれ以降500往復ごとに水接触角を計測し、90°以上の水接触角を保つ最大の往復回数を評価値とした。評価値が2000回以上であれば、十分な摩耗耐久性を有するとみなすことができる。さらに評価値が4000回以上であれば、高い摩耗耐久性を有するとみなすことができる。水接触角の測定は、接触角計(協和界面科学製、DropMaster DMo-502)を使用し、4μLの純水を反射防止フィルムの表面に滴下して行った。
【0142】
(耐溶剤性)
各試料について、エタノール存在下で消しゴム摩耗試験を行い、水接触角を指標とした耐溶剤性を評価した。
各試料について、消しゴム摩耗試験を行った。この際、平面摩耗試験機(大栄科学精機製作所製「DAS-400」)を使用し、消しゴム摩耗試験用消しゴム(Minoan社製、接触面が直径φ6mmの円柱型)を、各試料の反射防止フィルムの表面に載せて、1500回往復させた。試験台のストローク長は50mm、試験台往復速度は30往復/分とし、印加荷重は1.0kgとした。このとき、試験開始前、および200回往復するごとに、各試料の消しゴムが接する箇所に、マイクロピペットを用いてエタノールを200μL滴下した。1500回の往復後、接触角を計測し、90°未満に低下していれば耐溶剤性は低い(×)と評価した。一方、90°以上の水接触角を維持していれば耐溶剤性が高い(〇)と評価した。また、90°以上の水接触角を維持し、さらに摩耗痕(摩擦箇所における反射特性の変化)が全く認められなければ耐溶剤性が特に優れている(◎)とした。
【0143】
(耐擦傷性)
各試料について、耐スチールウール試験を行った。この際、平面摩耗試験機(大栄科学精機製作所製「DAS-400」)を使用し、20mm×20mmの平面摩擦子に固定したスチールウール#0000(日本スチールウール株式会社製)を、各試料の反射防止フィルムの表面に載せて往復させた。試験台のストローク長は50mm、試験台往復速度は60往復/分、印加荷重は1.5kgとし、100回往復動させた。試験後の反射防止フィルムに、長さ10mm以上の傷があるものを、耐擦傷性が低い(×)と評価した。また、長さ10mm未満の傷はあるが長さ10mm以上の傷はないものを、耐擦傷性が高い(〇)と評価した。この程度の傷は、実用上問題とならない。さらに、傷がないものを、耐擦傷性が非常に高い(◎)と評価した。
【0144】
<評価結果>
表1に、実施例1~2および比較例1~3について、低屈折率層、防汚層の成分組成(単位:各層の全固形分中の質量%)および反射防止フィルムの層構成とともに、評価結果を示す。
【0145】
【表1】
【0146】
表1に示されるとおり、実施例1~2では、反射防止フィルム表面の水接触角が100°以上となっており、反射防止フィルムが高い防汚性を有することを示している。また、実施例1~2ではいずれも、評価値で2000回以上となる高い摩耗耐久性、および「◎」または「○」と評価される高い耐溶剤性が得られている。同時に、「◎」と評価される高い耐擦傷性を有している。これは、低屈折率層を構成する組成物が、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物および中空シリカ粒子に加えて、(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子を含んでいることによると考えられる。
中でも、実施例1では、低屈折率層の面上に、含フッ素(メタ)アクリレートを含有する組成物の硬化物よりなる防汚層を有していることと対応して、「◎」と評価される特に高い耐溶剤性が得られている。
【0147】
一方で、比較例1,2は、それぞれ実施例1,2と対比して、低屈折率層に含まれるアルミナ粒子が、(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたものでない点において異なっている。そのことと対応して、摩耗耐久性および耐溶剤性が低くなっている。耐擦傷性も、実施例1,2と比較すると、低くなっている。
比較例3では、反射防止フィルム表面の水接触角が100°未満となっており、反射防止フィルムの防汚性が低いことを示している。摩耗耐久性、耐溶剤性、および耐擦傷性も不足している。
【0148】
以上に示されるとおり、反射防止フィルムが、基材フィルムと、基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、ハードコート層の面上に形成された低屈折率層と、を有し、あるいはさらに低屈折率層の面上に形成された防汚層を有する反射防止フィルムであって、低屈折率層が、反応性基を有する(メタ)アクリレート化合物と、中空シリカ粒子と、(メタ)アクリレート化合物と結合形成可能な反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理されたアルミナ粒子と、を含有する電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成され、反射防止フィルム表面の水接触角が100°以上であることにより、反射防止フィルムは、優れた防汚性、耐擦傷性を有するとともに、高い摩耗耐久性と耐溶剤性を備えたものとなる。アルコール等の溶剤が付着した布や手指での摩擦にも耐えることが可能となる。
【0149】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0150】
10,20,30,40,50 反射防止フィルム
12 基材フィルム
14 ハードコート層
15 高屈折率層
16 低屈折率層
18 防汚層
22 透明粘着層
24 離型フィルム
26 粘着剤層
28 保護フィルム
図1
図2
図3
図4
図5