(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】画像生成装置、プログラム及び画像生成方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20250203BHJP
A61B 3/12 20060101ALI20250203BHJP
【FI】
A61B3/10 100
A61B3/12 300
(21)【出願番号】P 2022526575
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2021019771
(87)【国際公開番号】W WO2021241564
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2020094055
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】巻田 修一
(72)【発明者】
【氏名】安野 嘉晃
【審査官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0228552(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0319060(US,A1)
【文献】特開2016-209200(JP,A)
【文献】特開2014-147780(JP,A)
【文献】国際公開第2019/203091(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の血流の分布が撮像されたOCTA断層像を取得する断層像取得部と、
前記被検体に、前記OCTA断層像の積層方向に照射された測定光の光減衰を取得する光減衰取得部と、
取得した前記OCTA断層像と、前記光減衰とに基づいて、前記光減衰の分布を示した光減衰-血流分布図を生成する画像生成部と
を備え
、
前記光減衰は、前記積層方向の位置に基づく値であり、
前記画像生成部は、前記光減衰のべき乗に基づく値を、前記OCTA断層像の積層方向に積算することにより前記光減衰-血流分布図を生成する
画像生成装置。
【請求項2】
前記光減衰-血流分布図とは、二次元画像である
請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記二次元画像は、前記光減衰の程度によって彩色された画像である
請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
生成した前記光減衰-血流分布図を出力する出力部を更に備える
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記光減衰取得部は、
前記被検体が撮像されたOCT画像を取得するOCT画像取得部と、
取得した前記OCT画像に基づき、OCT強度信号を算出するOCT強度信号算出部と、
算出した前記OCT強度信号に基づき、前記光減衰を算出する光減衰算出部と
を備える請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項6】
コンピュータに、
被検体の血流の分布が撮像されたOCTA断層像を取得する断層像取得ステップと、
前記被検体に、前記OCTA断層像の積層方向に照射された測定光の光減衰を取得する光減衰取得ステップと、
取得した前記OCTA断層像と、前記光減衰とに基づいて、前記光減衰の分布を示した光減衰-血流分布図を生成する画像生成ステップと、
を実行させるプログラム
であって、
前記光減衰は、前記積層方向の位置に基づく値であり、
前記画像生成ステップは、前記光減衰のべき乗に基づく値を、前記OCTA断層像の積層方向に積算することにより前記光減衰-血流分布図を生成する
プログラム。
【請求項7】
被検体の血流の分布が撮像されたOCTA断層像を取得する断層像取得工程と、
前記被検体に、前記OCTA断層像の積層方向に照射された測定光の光減衰を取得する光減衰取得工程と、
取得した前記OCTA断層像と、前記光減衰とに基づいて、前記光減衰の分布を示した光減衰-血流分布図を生成する画像生成工程と、
を有
し、
前記光減衰は、前記積層方向の位置に基づく値であり、
前記画像生成工程は、前記光減衰のべき乗に基づく値を、前記OCTA断層像の積層方向に積算することにより前記光減衰-血流分布図を生成する
画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、プログラム及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、眼底等の被検体を走査する光コヒーレンストモグラフィ装置(以後、OCT装置と記載する。)を用いて、被検体の断層画像を生成する技術があった。また、OCT装置により生成された被検体の断層画像を用いて、被検体の血流を抽出する技術(OCTアンギオグラフィー)があった(例えば、特許文献1を参照)。従来技術によれば、OCT装置により取得されたOCT信号の時間変化を画像化することにより、造影剤を用いることなく、造影検査により得られる画像に近い画像であるOCTA画像を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような技術を用いた場合、組織構造が表されたOCT画像と、血流が表されたOCTA画像とを用いて、被検体の三次元空間の情報が精査される。すなわち、従来技術を用いて、被検体の三次元空間の情報が精査するためには、複数の断層画像を一枚一枚精査することを要していた。
被検体の異常な特徴を調査するため、被検体の三次元空間の情報を容易に調査できるよう表示することについての要求がある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、被検体の三次元構造が表された複数の断層画像を1枚ずつ観察することなく、1枚の二次元画像を観察することにより、容易に被検体に異常個所があるか否かを把握することが可能となるような二次元画像を生成する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る画像生成装置は、被検体の血流の分布が撮像されたOCTA断層像を取得する断層像取得部と、前記被検体に、前記OCTA断層像の積層方向に照射された測定光の光減衰を取得する光減衰取得部と、取得した前記OCTA断層像と、前記光減衰とに基づいて、前記光減衰の分布を示した光減衰-血流分布図を生成する画像生成部とを備え、前記光減衰は、前記積層方向の位置に基づく値であり、前記画像生成部は、前記光減衰のべき乗に基づく値を、前記OCTA断層像の積層方向に積算することにより前記光減衰-血流分布図を生成する。
【0007】
また、本発明の一態様に係る画像生成装置において、前記光減衰-血流分布図とは、二次元画像である。
【0008】
また、本発明の一態様に係る画像生成装置において、前記二次元画像は、前記光減衰の程度によって彩色された画像である。
【0009】
また、本発明の一態様に係る画像生成装置は、生成した前記光減衰-血流分布図を出力する出力部を更に備える。
【0010】
また、本発明の一態様に係る画像生成装置において、前記光減衰取得部は、前記被検体が撮像されたOCT画像を取得するOCT画像取得部と、取得した前記OCT画像に基づき、OCT強度信号を算出するOCT強度信号算出部と、算出した前記OCT強度信号に基づき、前記光減衰を算出する光減衰算出部とを備える。
【0014】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、被検体の血流の分布が撮像されたOCTA断層像を取得する断層像取得ステップと、前記被検体に、前記OCTA断層像の積層方向に照射された測定光の光減衰を取得する光減衰取得ステップと、取得した前記OCTA断層像と、前記光減衰とに基づいて、前記光減衰の分布を示した光減衰-血流分布図を生成する画像生成ステップと、を実行させるプログラムであって、前記光減衰は、前記積層方向の位置に基づく値であり、前記画像生成ステップは、前記光減衰のべき乗に基づく値を、前記OCTA断層像の積層方向に積算することにより前記光減衰-血流分布図を生成する。
【0015】
また、本発明の一態様に係る画像生成方法は、被検体の血流の分布が撮像されたOCTA断層像を取得する断層像取得工程と、前記被検体に、前記OCTA断層像の積層方向に照射された測定光の光減衰を取得する光減衰取得工程と、取得した前記OCTA断層像と、前記光減衰とに基づいて、前記光減衰の分布を示した光減衰-血流分布図を生成する画像生成工程と、を有し、前記光減衰は、前記積層方向の位置に基づく値であり、前記画像生成工程は、前記光減衰のべき乗に基づく値を、前記OCTA断層像の積層方向に積算することにより前記光減衰-血流分布図を生成する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容易に被検体の三次元空間の情報を得ることが可能な画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態に係る画像生成システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る画像生成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る画像生成装置が出力する彩色画像の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る画像生成装置の一連の動作の一例を示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係る光減衰取得部の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】第3の実施形態に係る画像生成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図7】第4の実施形態に係る画像生成装置が取得する画像、演算する画像、及び出力する画像の一例を示す図である。
【
図8】従来技術によるOCT画像及びOCTA画像の一例を示す図である。
【
図9】従来技術による深さ方向にセグメンテーションした場合の画像の一例を示す図である。
【
図10】第4の実施形態に係る画像生成装置が出力する彩色画像の一例を示す図である。
【
図11】第4の実施形態に係る画像生成装置が出力する彩色画像における第1の断面を示す図である。
【
図12】第4の実施形態に係る画像生成装置が出力する彩色画像における第1の断面におけるOCT画像及びOCTA画像を示す図である。
【
図13】第4の実施形態に係る画像生成装置が出力する彩色画像における第2の断面を示す図である。
【
図14】第4の実施形態に係る画像生成装置が出力する彩色画像における第2の断面におけるOCT画像及びOCTA画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る画像生成システム1のシステム構成の一例を示す図である。同図を参照しながら、画像生成システム1のシステム構成の一例について説明する。画像生成システム1は、OCT(Optical Coherence Tomography)により得られた被検体のOCT画像に基づき、容易に被検体の三次元空間の情報を得ることが可能な画像を生成する。本実施形態においては、被検体の一例として、被検体が眼球である場合の一例について説明する。本実施形態はこの一例に限定されず、様々な被検体に用いられることができる。
画像生成システム1は、OCT装置81と、画像生成装置10と、表示装置86とを備える。
【0019】
OCT装置81は、被検体に測定光を照射し、被検体から反射した反射光と、測定光に対応する参照光との干渉状態に基づいてOCT信号SOCTを取得する。OCT装置81は、取得したOCT信号SOCTに基づき、OCT画像POCTを生成する。OCT画像POCTは、被検体の三次元構造を表す断層画像である。
OCT装置81は、OCT信号SOCT又はOCT画像POCTのうち少なくともいずれか一方を、画像生成装置10に提供する。この一例において、例えば、OCT装置81は、OCT画像POCTを画像生成装置10に提供する場合の一例について説明する。
【0020】
また、OCT装置81は、取得したOCT信号SOCTの時間変化を画像化することにより、造影剤を用いることなく、造影検査により得られる画像に近い画像であるOCTA(OCTアンギオグラフィー)画像POCTAを得る。すなわち、OCTA画像POCTAは、被検体の三次元血流分布を表す断層画像である。
OCT装置81は、OCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTAのうち少なくともいずれか一方を画像生成装置10に提供する。OCTA信号SOCTAとは、OCTA画像POCTAを生成するために用いられる信号である。この一例において、例えば、OCT装置81は、OCTA画像POCTAを画像生成装置10に提供する場合の一例について説明する。
【0021】
画像生成装置10は、OCT装置81から、被検体の三次元構造を表すOCT信号SOCT又はOCT画像POCTと、被検体の血流を表すOCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTAとを取得する。画像生成装置10は、取得したOCT信号SOCT又はOCT画像POCTと、OCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTAとに基づいて、被検体の三次元構造と血流とを表す出力画像POUTを出力する。出力画像POUTは、被検体の三次元空間の情報を容易に調査できるよう表示された画像である。例えば、出力画像POUTとは、二次元画像である。具体的には、出力画像POUTとは、血流の分布と、その血流の深度における光減衰とを色彩等により表す二次元画像であってもよい。
【0022】
表示装置86は、画像生成装置10により出力された出力画像POUTを表示する。例えば、表示装置86は液晶ディスプレイ等である。
なお、画像生成システム1は、表示装置86を備える代わりに、不図示の記憶装置を備え、画像生成装置10により出力された出力画像POUTを記憶装置に記憶するよう構成してもよい。記憶装置は、不図示のネットワークを介して接続されていてもよい。本実施形態においては、画像生成装置10は、表示装置86に出力画像POUTを出力する場合の一例について説明する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る画像生成装置10の機能構成の一例を示す図である。同図を参照しながら、画像生成装置10の機能構成の一例について説明する。
画像生成装置10は、光減衰取得部110と、OCTA画像取得部(断層像取得部)120と、画像生成部130と、出力部140とを備える。
【0024】
光減衰取得部110は、OCT装置81がOCT信号SOCTを取得する際に照射された測定光の光減衰A(z)を取得する。OCT装置81は、少なくともOCTA断層像の積層方向(被検体の深さ方向)に測定光を照射する。すなわち、光減衰取得部110は、被検体に、OCTA断層像の積層方向に照射された測定光の光減衰A(z)を取得する。光減衰A(z)は、断層像の積層方向の位置z(被検体の深さ方向の深度)に基づく値である。
【0025】
OCTA画像取得部120は、OCT装置81により被検体から得られたOCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTAを取得する。OCTA画像POCTAとは、被検体の血流の分布が撮像されたOCTA断層像である。すなわち、OCTA画像取得部120は、被検体の血流の分布が撮像されたOCTA断層像を取得する。
【0026】
画像生成部130は、取得した光減衰A(z)と、OCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTAとに基づいて、出力画像POUTを生成する。出力画像POUTとは、OCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTAに含まれる血流と、その深さでの光減衰とに基づき光減衰-血流分布図である。出力画像POUTは、例えば、二次元画像である。また、出力画像POUTは、所定の関数に基づいて、断層像の積層方向における深度zに応じた光減衰によりパターン画像化される。すなわち、画像生成部130は、取得したOCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTA(OCTA断層像)と、光減衰A(z)とに基づいて、OCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTAに含まれる血流と、その深さでの光減衰とによりパターン化された二次元画像を生成する。画像を認識しやすくするために、光減衰に基づいて彩色された二次元画像としても良い。
以後、画像生成部130により生成された二次元画像を彩色画像Eと記載する。彩色画像Eは、出力画像POUTの一例である。彩色画像Eは、下の式(1)により算出される。
【0027】
【0028】
式(1)における関数Tは、渡された引数を変換する操作であり、例えばRGB(Red Green Blue)による三次元ベクトルの1次元配列であるカラーテーブルから一つを選択する操作である。
【0029】
彩色する場合、色の選択は、光減衰A(z)のべき乗に基づいて行われる。式(1)に示されるように、彩色画像Eは、例えば、三次元の血流信号であるOCTA信号と、光減衰A(z)のべき乗に基づく色ベクトルとを乗ずることにより算出されてもよい。関数Tにカラーテーブルを用いる場合は、光減衰A(z)を配列内の要素の位置を示すインデックス([0、1、2、・・・])に変換し、特定の色を選び出す。すなわち、彩色画像Eは、光減衰A(z)に基づいて色を決定し、血流信号OCTA(z)で重みをつけた三次元データを深度z方向に積算することにより算出することができる。
【0030】
なお、式(1)に示す一例においては、カラーテーブルTが、光減衰A(z)の10乗に基づく値である場合の一例について説明するが、光減衰A(z)の指数はこの一例に限定されない。光減衰A(z)の指数が大きいほど、被検体の血流の変化が小さい場合においても、彩色画像Eの変化は大きくなる。また、光減衰A(z)の指数が小さいほど、被検体の血流の変化が大きい場合においても、彩色画像Eの変化は小さくなる。また、血流信号OCTAの変化は彩色画像Eの明るさを変化させる。すなわち、彩色画像Eの視認性は、光減衰A(z)の指数により調整される。例えば、光減衰A(z)の指数は、被検体の種類ごとに所定の値に設定されていてもよい。
【0031】
式(1)に示したように、画像生成部130は、所定の関数Tと、光減衰A(z)と、OCTA断層像の積層方向の位置zと、OCTA信号OCTA(z)とに基づき、光減衰-血流分布図である彩色画像Eを算出する。
【0032】
出力部140は、画像生成部130により生成された二次元画像(例えば、彩色画像E)を出力する。本実施形態において、出力部140は、表示装置86に彩色画像Eを出力し、表示装置86に彩色画像Eを表示させる。
【0033】
図3は、第1の実施形態に係る画像生成装置10が出力する彩色画像Eの一例を示す図である。同図を参照しながら、画像生成装置10が出力する彩色画像Eの一例について説明する。
図3(A)から
図3(C)は、いずれも被検体である眼球の一部を撮像した結果を示す図である。
【0034】
図3(A)は、本実施形態における彩色画像Eの一例を示す図である。同図に示すように、彩色画像Eにおいては、被検体の三次元構造と血流とを、色彩により同時に認識することができる。また、彩色画像Eは、複数の二次元画像から構成される断層画像ではなく、1枚の二次元画像である。
【0035】
図3(B)は、従来技術におけるOCT断層画像の投影図の一例である。同図には、被検体の二次元構造が表されている。従来技術におけるOCT投影画像では、被検体の三次元構造を認識することができない。また、血流を認識することができない。
【0036】
図3(C)は、従来技術におけるOCTA画像の一例である。同図には、血流が表されている。従来技術におけるOCTA画像は、一般には深さ方向への投影図であるため、積算範囲内の血流の深さを認識することが出来ない。また、被検体の血流以外の分布を認識することができない。
【0037】
図4は、第1の実施形態に係る画像生成装置10の一連の動作の一例を示す図である。同図を参照しながら、画像生成装置10の一連の動作について説明する。
(ステップS100)光減衰取得部110は、光減衰A(z)を取得する。例えば、光減衰取得部110は、OCT装置81から光減衰A(z)を取得する。
(ステップS110)OCTA画像取得部120は、OCTA信号S
OCTA又はOCTA画像P
OCTAを取得する。例えば、OCTA画像取得部120は、OCT装置81からOCTA信号S
OCTA又はOCTA画像P
OCTAを取得する。
(ステップS120)画像生成部130は、取得した光減衰A(z)と、OCTA信号S
OCTA又はOCTA画像P
OCTAとに基づいて、彩色画像Eを生成する。例えば、画像生成部130は、式(1)に基づいて、彩色画像Eを生成する。
(ステップS130)出力部140は、画像生成部130により生成された彩色画像Eを出力する。例えば、出力部140は、表示装置86に彩色画像Eを出力し、表示装置86に彩色画像Eを表示させる。
【0038】
[第1の実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、画像生成装置10は、光減衰取得部110とOCTA画像取得部120とを備えることにより、光減衰A(z)と、OCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTAとを取得する。画像生成装置10は、画像生成部130を備えることにより、取得した光減衰A(z)と、OCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTAとに基づき、彩色画像Eを生成する。画像生成装置10は、彩色画像Eを、出力画像POUTとして出力する。彩色画像Eは、被検体の三次元構造と血流とが表された二次元画像である。
すなわち、本実施形態によれば、画像生成装置10は、OCT装置81から取得した光減衰A(z)と、OCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTAとにより、被検体の三次元構造と血流とが表された二次元画像を生成することができる。
【0039】
また、以上説明した実施形態によれば、画像生成装置10は、被検体の三次元構造と血流とが表された二次元画像を生成することができるため、高精度な被検体の画像診断を、容易に行うことができる。また、本実施形態によれば、高精度な被検体の画像診断を容易に行うことができるため、診断精度の向上を図ることができる。また、本実施形態によれば、高精度な被検体の画像診断を容易に行うことができるため、被検体に存在する異常を容易に見つけることができ、被検体に存在する異常を見落とすことを抑制することができる。
【0040】
また、以上説明した実施形態によれば、画像生成装置10は、OCT装置81から取得した情報に基づき、彩色画像Eを生成する。すなわち、本実施形態によれば、OCT装置81に画像生成装置10をアドオン搭載することができるため、従来使用されている装置に、容易に画像生成装置10を適用することができる。したがって、本実施形態によれば、新たな装置を導入することなく、従来装置に対して、容易に画像生成装置10をアドオン搭載することができる。
また、本実施形態によれば、従来使用されている装置のオプション構成として画像生成装置10を適用することができる。
【0041】
また、以上説明した実施形態によれば、被検体は眼球である。また、画像生成装置10により出力される二次元画像は、被検体である眼球内の血流分布を明度、血流の断層像の積層方向における深度での光減衰を色彩により表す画像である。
したがって、本実施形態によれば、眼球の三次元構造及び血流を診断する際に、従来のように複数の積層画像をもれなく確認することなく、1枚の2次元画像を確認することにより、眼球の三次元構造及び血流を迅速に認識することができ、細部を正確に調べる必要があると判断した場合のみ断層画像を確認すればよい。すなわち、本実施形態によれば、眼球の三次元構造及び血流を診断する場合、複数の断層画像をもれなく確認するような煩わしい手間を省略することができる。
【0042】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図5は、第2の実施形態に係る光減衰取得部110Aの機能構成の一例を示す図である。同図を参照しながら、光減衰取得部110Aの機能構成の一例について説明する。光減衰取得部110Aは、光減衰取得部110の変形例である。光減衰取得部110と同様の構成については、同様の符号を付すことにより、説明を省略する場合がある。
【0043】
光減衰取得部110Aは、OCT画像取得部111と、OCT強度信号算出部112と、光減衰算出部113とを備える。光減衰取得部110Aは、OCT装置81から取得したOCT画像POCTに基づき、光減衰A(z)を算出する点において、光減衰取得部110とは異なる。
【0044】
OCT画像取得部111は、OCT装置81からOCT画像POCTを取得する。OCT画像POCTとは、被検体が撮像された断層像である。すなわち、OCT画像取得部111は、被検体が撮像されたOCT画像POCTを取得する。
【0045】
OCT強度信号算出部112は、集録された光信号を処理し、OCT信号を算出する。ここで、OCT強度信号Iの算出方法について説明する。
まず、光の減衰を求めるための物理モデルとして、ランベルト=ベールの法則がある。所定の深度における光の照射強度は、ランベルト=ベールの法則に基づき、下の式(2)で表される。
【0046】
【0047】
式(2)におけるL0は、被検体表面での光の照射強度を示している。μ(z)は、深度zにおける減衰係数を示している。式(2)に基づき、深度zにおける光減衰A(z)は、下の式(3)で表される。
【0048】
【0049】
ここで、一般に、深度zにおける強度のモデル式として、深度zにおけるOCT強度信号I(z)は、下の式(4)で表される。ここで、OCT強度信号I(z)は一般に、検出光強度に比例するように、深さ依存の信号減衰・雑音オフセット・共焦点効果を校正したものを用いる。
【0050】
【0051】
OCT強度信号算出部112は、式(4)に基づき、OCT強度信号Iを算出する。
【0052】
光減衰算出部113は、算出したOCT強度信号Iに基づき、光減衰A(z)を算出する。ここで、光減衰A(z)の算出方法について説明する。
まず、式(3)及び式(4)から、光減衰A(z)を求めると、下の式(5)で表される。
【0053】
【0054】
ここで、A(0)=1を式(5)に代入することにより、式(6)を得ることができる。A(0)=1は、画像上部の最小深さにおいて、光照射強度が一定であるという場合の仮定である。
【0055】
【0056】
式(6)により、光減衰A(z)を下の式(7)のように表すことができる。
【0057】
【0058】
式(7)は、OCT強度信号I(z)についての関数である。すなわち、光減衰算出部113は、式(7)を適用することにより、OCT強度信号I(z)から光減衰A(z)を算出することができる。
なお、式(7)を計算する際には、測定光がイメージング深さ範囲内で全て減衰されている条件を用いてもよい。I(z>zmax)=0となり、無限大の積分を有限範囲の積分で置換えることができる。zmaxとは、OCTで画像化できる最大深さを示す。
【0059】
[第2の実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、光減衰取得部110Aは、OCT画像取得部111と、OCT強度信号算出部112と、光減衰算出部113とを備えることにより、OCT信号SOCT又はOCT画像POCTに基づき、光減衰A(z)を算出する。すなわち、光減衰取得部110Aは、OCT装置81から取得したOCT信号SOCT又はOCT画像POCTに基づき、光減衰A(z)を算出することができる。
したがって、本実施形態によれば、他の複雑な装置を用いることなく、OCT装置81から取得した取得したOCT信号SOCT又はOCT画像POCTに基づき、容易に光減衰A(z)を算出することができる。
【0060】
また、以上説明した実施形態によれば、光減衰取得部110AはA(0)=1である場合の仮定に基づいて、式(6)を得る。光減衰取得部110Aは、式(6)を式(5)に適用することにより、式(7)すなわち光減衰A(z)を得る。すなわち、光減衰取得部110Aは、OCT画像取得部111により取得されたOCT信号SOCT又はOCT画像POCTが、測定光の全てが減衰された深度z’(z’<zmax)まで、断層像の積層方向において撮像されている仮定に基づいて算出される。
したがって、本実施形態によれば、 A(0)=1である場合の仮定に基づいて演算を行うことにより、複雑な計算式を用いることなく、簡易な計算式により光減衰A(z)を算出することができる。
【0061】
[第3の実施形態]
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図6は、第3の実施形態に係る画像生成装置10Bの機能構成の一例を示す図である。画像生成装置10Bは、操作受付部310を更に備える点及び、画像生成部130に代えて画像生成部130Bを備える点において、画像生成装置10とは異なる。画像生成装置10と同様の構成については、同様の符号を付すことにより、説明を省略する場合がある。
【0062】
操作受付部310は、ユーザからの操作IOを受け付ける。ユーザとは、画像生成装置10を使用する者であり、例えば、画像生成装置10が眼科等の医療施設で用いられる場合において、ユーザは医師である。ユーザからの操作IOとは、例えば、キーボード等の文字入力装置に入力される操作や、ボタンを押下される操作、ダイヤルを回転される操作等の操作である。
【0063】
操作受付部310は、ユーザからの操作IOを受け付けることにより、彩色画像Eにおける彩色の度合いを指示する値を取得する。彩色画像Eにおける彩色の度合いを指示する値とは、具体的には、彩色画像Eを算出する際に用いられる、式(1)の光減衰A(z)の指数である。すなわち、本実施形態によれば、彩色画像Eを算出する際に用いられる光減衰A(z)の指数を、ユーザからの操作IOにより取得することにより、彩色画像Eにおける彩色の度合いを調整する。
【0064】
画像生成部130Bは、操作受付部310によりユーザからの操作IOにより取得した値を、光減衰A(z)の指数とすることにより、彩色画像Eを生成する。具体的には、画像生成部130Bは、操作受付部310が取得した値を式(1)における光減衰A(z)の指数として適用することにより、彩色画像Eを生成する。
すなわち、本実施形態において、画像生成部130Bは、光減衰取得部110により取得された光減衰A(z)と、OCTA画像取得部120により取得されたOCTA信号SOCTA又はOCTA画像POCTAと、操作受付部310により取得されたユーザからの操作IOとに基づき、彩色画像Eを生成する。
出力部140は、画像生成部130Bにより生成された彩色画像Eを、表示装置86に出力する。
【0065】
なお、ユーザは、表示装置86に表示された彩色画像Eを確認した結果、彩色画像Eの視認性が悪いと判断した場合には、再度調整、彩色画像Eの視認性を調整する場合がある。このような場合において、再度操作検出部310が再びユーザからの操作IOを取得することにより、画像生成部130Bは、新たなユーザからの操作IOに基づき彩色画像Eを生成する。出力部140は、画像生成部130Bにより新たに生成された彩色画像Eを、表示装置86に出力する。
【0066】
[第3の実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、画像生成装置10Bは、画像生成部130Bを備えることにより、光減衰A(z)のべき乗に基づく値を、OCT画像POCT(断層像)の積層方向に積算することにより、彩色画像Eを生成する。彩色画像Eの演算において、光減衰A(z)の指数を可変させることにより、血流の強弱を表現することができる。したがって、本実施形態によれば、血流の強弱を容易に表現することができる。
【0067】
また、以上説明した実施形態によれば、画像生成装置10Bは、操作受付部310を更に備えることにより、ユーザからの操作IOを取得する。画像生成部130Bは、取得したユーザからの操作IOに、更に基づいて彩色画像Eを生成する。したがって、本実施形態によれば、画像生成装置10Bにより出力された、彩色画像Eにより、ユーザが被検体の構造又は血流が認識し難い場合であっても、ユーザにより彩色画像Eの度合いが調整されることができる。すなわち、本実施形態によれば、画像生成装置10Bは、視認性の良い彩色画像Eをユーザに提供することができる。本実施形態によれば、画像生成装置10Bは、ユーザにより彩色画像Eの視認性を調整されることができる。
【0068】
また、画像生成装置10を、様々な被検体に適用する場合、アプリケーションにより最適な光減衰A(z)の指数の値が異なる場合がある。本実施形態によれば、操作受付部310を備えることにより、様々なアプリケーションに対応した、好適な彩色画像Eを出力することができる。
【0069】
[第4の実施形態]
上述した第1の実施形態から第3の実施形態について、第4の実施形態としてより詳細に説明する。
【0070】
まず、本実施形態に係る画像生成装置10は、3次元のデータであるOCT信号SOCT又はOCT画像POCTに基づき、疾患が存在する疑いのある要注意箇所を容易に見つけ出すことができる2次元画像を生成し、出力することを目的とする。画像生成装置10により出力される2次元画像によれば、組織の異常(光減衰の変化)と、血管網(血流信号の分布)とを、同時に判別することができる。
【0071】
ここで、被検体が眼球である場合、血管網の被検体異常に加え、網膜の形態変化(肥厚化・浮腫など)や、散乱強度の低下などの被検体異常が起こることが知られている。特に、色素上皮層は網膜の代謝に重要な役割を担っており、かつ光散乱の非常に強い組織である。したがって、色素上皮層の異常は散乱強度の低下などを引き起こす。よって、色素上皮層の異常を容易に発見することについての要求がある。
【0072】
従来、医師は、被検体の三次元構造が表された複数の断層画像を1枚ずつ観察することにより、疾患の存在する三次元位置を特定していた。しかしながら、複数の画像を1枚ずつ確認していく作業は、時間と手間がかかるといった問題があった。
医師は、画像生成装置10により出力される1枚の二次元画像を確認することにより、疾患の有無を把握するスクリーニングをすることができるようになる。
【0073】
図7は、第4の実施形態に係る画像生成装置が取得する画像、演算する画像、及び出力する画像の一例を示す図である。同図に示す画像を参照しながら、第4の実施形態に係る画像生成装置10の処理について説明する。
【0074】
図7(A)は、OCT装置81により取得されたOCT信号S
OCTに基づき生成されたOCT画像P
OCTの一例を示す。同図には、網膜と、色素上皮とが示される。
図7(B)は、OCTA画像取得部120により取得されたOCTA画像P
OCTAの一例を示す。
図7(C)は、OCT信号S
OCTと上述した式(7)とに基づき算出された光減衰A(z)の一例を示す。
図7(D)は、OCTA画像P
OCTAに基づき明度(すなわち、重みづけ)を決定し、光減衰A(z)に基づき色彩を決定することにより、画像生成装置10により彩色された画像を示す。
図7(E)は、画像生成装置10により、彩色された画像をz方向に積算することにより生成された画像を示す。
【0075】
画像生成装置10は、上述した処理を行うことにより、光の累積減衰を色彩により表現することができる。また、画像生成装置10は、血流信号を明るさにより表現することができる。したがって、画像生成装置10によれば、色素上皮の光減衰低下を容易に判別することができる。また、画像生成装置10によれば、色素上皮より上方における血管新生を容易に判別することができる。また、画像生成装置10によれば、網膜内において高光減衰組織が生成されたことを容易に判別することができる。
【0076】
本実施形態によれば、画像生成装置10は、光の偏光均一性ではなく、光の累積減衰によって高光減衰組織との相対深さを表現する。ここで、偏光均一性の変化は、メラニン色素や線維化組織に特異的である。しかしながら、光減衰は様々な組織によって起こる。したがって、本実施形態によれば、画像生成装置10は、光の偏光均一性ではなく光の累積減衰に基づくため、組織特異度は低い。
また、本実施形態によれば、画像生成装置10は、市販のOCTA機器により取得された情報に基づき、2次元画像を生成することができる。
【0077】
[実施形態の効果]
図8から
図14を参照しながら、実施形態の効果について説明する。
図8及び
図9を参照しながら従来技術による画像の一例と、従来技術による問題点について説明し、
図10から
図14を参照しながら本実施形態による画像の一例と、本実施形態の効果について説明する。
【0078】
図8は、従来技術によるOCT画像及びOCTA画像の一例を示す図である。
図8(A)は、眼球のOCT画像の一例を示し、
図8(B)は、眼球のOCTA画像の一例を示す。同図に示すように、従来技術によれば、1枚の2次元画像から、疾患の存在する場所を特定することは困難であった。また、従来技術によれば、疾患の存在する場所を特定するためには、複数の断層画像を1枚ずつ確認していくことも可能であったが、非常に手間と時間がかかるという問題があった。
【0079】
図9は、従来技術による深さ方向にセグメンテーションした場合の画像の一例を示す図である。
図9(A)は、眼底の網膜だけを取り出した時のOCTA画像(Retinal OCTA)であり、
図9(B)は、脈絡膜だけを取り出した時のOCTA画像(Choroidal OCTA)である。
このように、OCTA画像を単に深さ方向にセグメンテーションすることにより、異常が存在する組織を把握することは可能である。また、Choroidal OCTA、すなわち
図9(B)を参照することにより、色素上皮としてセグメンテーションされた位置より深い場所に異常血流があることを推定することが可能である。しかしながら、色素上皮の状態(光減衰)まで把握することはできない。
さらに、OCTA画像を単に深さ方向にセグメンテーションした場合の問題点として、正確な組織セグメンテーションを行う必要がある点が挙げられる。異常組織の場合、組織の構造が崩れてしまい、組織の境界がはっきりしなくなる、又は組織の境界が無くなる場合がある。したがって、OCTA画像を単に深さ方向にセグメンテーションしただけでは、セグメンテーションした結果が何を意味するかがはっきりせず、読影者が想像して読影しなければならないという問題があった。
【0080】
図10は、第4の実施形態に係る画像生成装置が出力する彩色画像の一例を示す図である。同図を参照しながら、画像生成装置10が出力する彩色画像の一例について説明する。
図10(A)は、画像生成装置10が出力する彩色画像を示す。同図では、深さに対応する色が彩色されている。同図から、図中、円で囲われた部分に疾患が存在することが認識できる。
図10(B)、
図10(C)及び
図10(D)は、視認性をよくするため、
図10(A)の彩色画像から、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)成分を抽出した画像である。
【0081】
次に、
図11及び
図12を参照しながら、疾患が存在すると認められる箇所の断面について説明する。
図11は、第4の実施形態に係る画像生成装置が出力する彩色画像における第1の断面を示す図である。
図11(A)から
図11(D)は、
図10(A)から
図10(D)にそれぞれ対応する。図中に示すa-a’断面は、画像生成装置10が出力する彩色画像により、疾患が存在すると特定された箇所の断面である。
図11(A)から
図11(D)に示したa-a’断面を、
図12に示す。
【0082】
図12は、第4の実施形態に係る画像生成装置が出力する彩色画像における第1の断面におけるOCT画像及びOCTA画像を示す図である。
図12(A)は、
図11(A)から
図11(D)に示したa-a’断面のOCT画像を、
図12(B)はOCTA画像をそれぞれ示す。
図12(A)と
図12(B)から、異常血流信号が脈絡膜上方、色素上皮下に位置していることがわかる。また、
図12(A)から、異常血流信号上の色素上皮の光減衰が低下することで、脈絡膜の信号が高くなっていることがわかる(図中楕円部を参照)。したがって、画像生成装置10により疾患が存在すると特定された箇所には、異常所見が発生していると考えられる。
【0083】
図13は、第4の実施形態に係る画像生成装置が出力する彩色画像における第2の断面を示す図である。同図を参照しながら、a-a’断面とは異なるb-b’断面について説明する。
図13(A)から
図13(D)は、
図10(A)から
図10(D)にそれぞれ対応する。図中に示すb-b’断面は、画像生成装置10が出力する彩色画像により、疾患が存在すると特定された箇所の断面である。
図13(A)から
図13(D)に示したb-b’断面を、
図14に示す。
【0084】
図14は、第4の実施形態に係る画像生成装置が出力する彩色画像における第2の断面におけるOCT画像及びOCTA画像を示す図である。
図14(A)は、
図13(A)から
図13(D)に示したb-b’断面のOCT画像を、
図14(B)はOCTA画像をそれぞれ示す。
図14(A)から、色素上皮の光減衰が低下して、脈絡膜への深達度が上昇していることがわかる。したがって、画像生成装置10により疾患が存在すると特定された箇所には、異常所見が発生していると考えられる。
【0085】
上述した実施形態によれば、画像生成装置10により生成された、1枚の色彩画像により、疾患が存在する位置を特定することができる。したがって、医師は、被検体の三次元構造が表された複数の断層画像を1枚ずつスクリーニングすることを要せず疾患の存在するおおよその位置を容易に特定することができる、
よって、画像生成装置10は、容易に被検体の三次元空間の情報を得ることが可能な画像を生成する
【0086】
なお、上述した画像生成装置10が備える機能の全部又は一部は、プログラムとしてコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、このプログラムがコンピュータシステムにより実行されてもよい。コンピュータシステムは、OS、周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置、インターネット等のネットワーク上のサーバ等が備える揮発性メモリ(Random Access Memory:RAM)である。なお、揮発性メモリは、一定時間プログラムを保持する記録媒体の一例である。
【0087】
また、上述したプログラムは、伝送媒体、例えば、インターネット等のネットワーク、電話回線等の通信回線により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0088】
また、上記プログラムは、上述した機能の全部又は一部を実現するプログラムであってもよい。なお、上述した機能の一部を実現するプログラムは、上述した機能をコンピュータシステムに予め記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるプログラム、いわゆる差分プログラムであってもよい。
【0089】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、具体的な構成が上述した実施形態に限られるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1…画像生成システム、10…画像生成装置、81…OCT装置、86…表示装置、110…光減衰取得、120…OCTA画像取得部、130…画像生成部、140…出力部、111…OCT画像取得部、112…OCT強度信号算出部、113…光減衰算出部、310…操作受付部、A(z)…光減衰、POCT…OCT画像、POCTA…OCTA画像、SOCT…OCT信号、SOCTA…OCTA信号、E…彩色画像、T…カラーテーブル、I…OCT強度信号