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特許7628336情報出力装置、情報出力システム、情報出力設備、情報出力方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】情報出力装置、情報出力システム、情報出力設備、情報出力方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/06 20060101AFI20250203BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20250203BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20250203BHJP
   H04H 20/59 20080101ALN20250203BHJP
【FI】
H04B1/06 Z
G08B21/10
G08B27/00 C
H04H20/59
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023175601
(22)【出願日】2023-10-10
【審査請求日】2024-08-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501467751
【氏名又は名称】株式会社エー・ピー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】三浦 政和
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-055223(JP,A)
【文献】特開2003-256962(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2527877(KR,B1)
【文献】特開2006-330982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/06
G08B 21/00 - 21/24
G08B 23/00
G08B 27/00
G09F 13/00 - 13/46
G09F 19/00 - 19/22
G09F 27/00
H04H 20/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を本装置に対して遠距離に設けられる装置から取得する第1取得手段と、
少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を本装置に対して近距離に設けられる装置またはユーザから取得する第2取得手段と、
視覚的または聴覚的に出力情報を出力する出力手段と、
前記第1取得手段および前記第2取得手段が取得した前記取得情報に基づいて、前記出力手段が出力する前記出力情報を制御する制御手段と、
を備え
前記出力手段は、前記出力情報の重要度に応じた段階的な表示を行い、
前記制御手段は、地域に関する情報、前記出力情報の内容、および重要度に基づいて、前記出力手段による段階的な表示を制御する、
ことを特徴とする情報出力装置。
【請求項2】
情報を報知する報知設備と、当該報知設備とネットワークを介して通信可能に接続された情報処理装置と、を備える情報出力システムであって、
前記報知設備は、
少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を前記報知設備に対して遠距離に設けられる装置から取得する第1取得手段と、
少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を前記報知設備に対して近距離に設けられる装置またはユーザから取得する第2取得手段と、
視覚的または聴覚的に出力情報を出力する出力手段と、
前記第1取得手段および前記第2取得手段で受け付けたそれぞれの情報に基づいて前記出力手段が出力する前記出力情報を制御する制御手段と、を備え、
前記情報処理装置は、
通信を介して外部から情報を収集する収集手段と、
収集した情報から非常時に関する情報を特定する特定手段と、
特定した非常時に関する情報を前記報知設備に送信する送信手段と、を備え
前記第1取得手段、前記第2取得手段、前記出力手段および前記制御手段を備える前記報知設備が互いに離間する地域に複数設置され、当該報知設備同士がネットワークを介して互いに通信可能であって、
前記報知設備は、当該報知設備が設置される地域の環境に関する情報を他の前記報知設備へ送信し、
前記第1取得手段は、他の前記報知設備から前記環境に関する情報を受け付け、
前記制御手段は、前記第1取得手段が受け付けた前記環境に関する情報に基づいて前記出力手段に出力させ、
前記出力手段は、前記出力情報の重要度に応じた段階的な表示を行い、
前記制御手段は、前記第1取得手段が受け付けた前記環境に関する情報から重要度を特定するとともに、前記出力手段にて出力している前記出力情報の重要度と比較し、いずれか高い方の重要度に応じた態様で前記出力手段の出力を行う、
ことを特徴とする情報出力システム。
【請求項3】
前記制御手段は、他の前記報知設備から情報を取得できない場合に、前記出力手段が出力している前記出力情報の重要度を高めた態様で前記出力手段に出力させる、
ことを特徴とする請求項に記載の情報出力システム。
【請求項4】
通信を介して外部から緊急事態に関する情報を受け付ける第1受付手段と、
ユーザの直接的な操作に応じて緊急事態に関する情報を受け付ける第2受付手段と、
地域の環境に関する情報を取得する取得手段と、
前記第1受付手段または前記第2受付手段で受け付けた緊急事態に関する情報を、視覚的または聴覚的なお知らせとして出力する出力手段と、
前記第1受付手段および前記第2受付手段で受け付けた緊急事態に関する情報を選択して前記出力手段にて出力することを指示する制御手段と、
を備え
前記出力手段は、前記お知らせの重要度に応じた段階的な表示を行い、
前記制御手段は、
前記第2受付手段で受け付けた情報を優先して前記出力手段にて出力させ、
前記第1受付手段で受け付けた情報を解析して、対象地域と、お知らせ内容、および当該お知らせの重要度を特定し、当該地域への報知が必要な場合に、当該重要度に応じた態様で前記出力手段にお知らせを出力させ、
前記第1受付手段での緊急事態に関する情報が取得できない場合に、前記取得手段にて取得した環境に関する情報を解析して重要度を特定し、当該重要度に応じた態様で前記出力手段にお知らせを出力させ、
前記第1受付手段での緊急事態に関する情報が取得できない場合に、前記取得手段にて取得した環境に関する情報を解析して重要度を特定し、当該重要度に応じて前記出力手段にて出力しているお知らせを停止させる、
ことを特徴とする情報出力設備。
【請求項5】
少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を遠距離に設けられる装置から取得するステップと、
少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を近距離に設けられる装置またはユーザから取得するステップと、
視覚的または聴覚的に出力情報を出力するステップと、
取得した前記取得情報に基づいて、出力する前記出力情報を制御するステップと、
前記出力情報の重要度に応じた段階的な表示を行うステップと、
地域に関する情報、前記出力情報の内容、および重要度に基づいて、前記段階的な表示を制御するステップと、
を備えることを特徴とする情報出力方法。
【請求項6】
コンピュータに、
少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を遠距離に設けられる装置から取得する機能と、
少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を近距離に設けられる装置またはユーザから取得する機能と、
視覚的または聴覚的に出力情報を出力する機能と、
取得した前記取得情報に基づいて、出力する前記出力情報を制御する機能と、
前記出力情報の重要度に応じた段階的な表示を行う機能と、
地域に関する情報、前記出力情報の内容、および重要度に基づいて、前記段階的な表示を制御する機能と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、情報出力装置、情報出力システム、情報出力設備、情報処理装置、情報出力方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、掲示板本体と、掲示板本体に配設された電子表示装置と、掲示板本体に配設され且つ電子表示装置に供給される電力を発電するための太陽電池と、無線モジュールとを備えていることを特徴とするので、電源設備のない場所や、災害などの有事などにおいて、電源設備が機能しない場合にあっても、電子表示装置に必要な情報を表示させることができると共に、遠隔操作によって電子表示装置に表示させる情報を容易に変更することができ、必要な情報を迅速に掲示板に掲載することができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-052077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば消防庁や気象庁など国の行政機関、都道府県および市町村などの地方自治体、電気・ガス・水道・インターネットなどのライフライン事業者などが発出した緊急情報に基づいて、災害情報や注意喚起情報を報知している。しかしながら、ときには当該地域の現状にそぐわない情報が出力される場合がある。つまり、これら緊急情報は広域的なものであり、災害情報や注意喚起情報を出力する設備のある地域にピンポイントで適する狭域的なものではない場合もある。
【0005】
本発明は、広域的な情報と共に、狭域的な情報を出力することを可能とした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を本装置に対して遠距離に設けられる装置から取得する第1取得手段と、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を本装置に対して近距離に設けられる装置またはユーザから取得する第2取得手段と、視覚的または聴覚的に出力情報を出力する出力手段と、前記第1取得手段および前記第2取得手段が取得した前記取得情報に基づいて、前記出力手段が出力する前記出力情報を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする情報出力装置である。
【0007】
ここで、前記制御手段は、前記第2取得手段が取得した前記取得情報を前記第1取得手段よりも優先して前記出力手段に出力させるとよい。
また、前記出力手段は、前記出力情報の重要度に応じた段階的な表示を行い、前記制御手段は、地域に関する情報、前記出力情報の内容、および重要度に基づいて、前記出力手段による段階的な表示を制御するとよい。
また、本装置が設置される地域の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得手段を備えるとよい。
また、前記制御手段は、前記第1取得手段が前記取得情報を取得できない場合に、前記環境情報取得手段が特定した前記環境情報を用いて前記出力手段に前記出力情報を出力させるとよい。
また、前記制御手段は、前記第1取得手段が前記取得情報を取得できない場合に、前記環境情報取得手段が特定した前記環境情報に基づいて、前記出力手段による前記出力情報の出力を停止させるとよい。
また、前記第1取得手段は、全国瞬時警報、災害情報、防災避難情報および防災気象情報の少なくともいずれかの情報を取得し、前記第2取得手段は、マイクロホン、照明器具スイッチ、通信端末用インターフェースおよび受信機のうちの少なくともいずれか含み、前記環境情報取得手段は、ソーラ発電ユニット、監視カメラおよび気温計のうちの少なくともいずれかを含み、前記出力手段は、避難誘導情報表示器、災害情報表示器、照明器具およびスピーカのうちの少なくともいずれかを含むとよい。
また、デバイスに対して電力供給が可能な非常電源手段を備え、前記非常電源手段は、本装置への電力供給がされない場合に、他のデバイスに給電をせずに、非常時に稼働するデバイスに電力を供給するとよい。
【0008】
また、かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、情報を報知する報知設備と、当該報知設備とネットワークを介して通信可能に接続された情報処理装置と、を備える情報出力システムであって、前記報知設備は、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を前記報知設備に対して遠距離に設けられる装置から取得する第1取得手段と、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を前記報知設備に対して近距離に設けられる装置またはユーザから取得する第2取得手段と、視覚的または聴覚的に出力情報を出力する出力手段と、前記第1取得手段および前記第2取得手段で受け付けたそれぞれの情報に基づいて前記出力手段が出力する前記出力情報を制御する制御手段と、を備え、前記情報処理装置は、通信を介して外部から情報を収集する収集手段と、収集した情報から非常時に関する情報を特定する特定手段と、特定した非常時に関する情報を前記報知設備に送信する送信手段と、を備える、ことを特徴とする情報出力システムである。
【0009】
ここで、前記第1取得手段、前記第2取得手段、前記出力手段および前記制御手段を備える前記報知設備が互いに離間する地域に複数設置され、当該報知設備同士がネットワークを介して互いに通信可能であって、前記報知設備は、当該報知設備が設置される地域の環境に関する情報を他の前記報知設備へ送信し、前記第1取得手段は、他の前記報知設備から前記環境に関する情報を受け付け、前記制御手段は、前記第1取得手段が受け付けた前記環境に関する情報に基づいて前記出力手段に出力させるとよい。
また、前記出力手段は、前記出力情報の重要度に応じた段階的な表示を行い、前記制御手段は、前記第1取得手段が受け付けた前記環境に関する情報から重要度を特定するとともに、前記出力手段にて出力している前記出力情報の重要度と比較し、いずれか高い方の重要度に応じた態様で前記出力手段の出力を行うとよい。
また、前記制御手段は、他の前記報知設備から情報を取得できない場合に、前記出力手段が出力している前記出力情報の重要度を高めた態様で前記出力手段に出力させるとよい。
【0010】
また、かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、通信を介して外部から緊急事態に関する情報を受け付ける第1受付手段と、ユーザの直接的な操作に応じて緊急事態に関する情報を受け付ける第2受付手段と、地域の環境に関する情報を取得する取得手段と、前記第1受付手段または前記第2受付手段で受け付けた緊急事態に関する情報を、視覚的または聴覚的なお知らせとして出力する出力手段と、前記第1受付手段および前記第2受付手段で受け付けた緊急事態に関する情報を選択して前記出力手段にて出力することを指示する制御手段と、を備えることを特徴とする情報出力設備である。
【0011】
ここで、前記出力手段は、前記お知らせの重要度に応じた段階的な表示を行い、前記制御手段は、前記第2受付手段で受け付けた情報を優先して前記出力手段にて出力させ、前記第1受付手段で受け付けた情報を解析して、対象地域と、お知らせ内容、および当該お知らせの重要度を特定し、当該地域への報知が必要な場合に、当該重要度に応じた態様で前記出力手段にお知らせを出力させ、前記第1受付手段での緊急事態に関する情報が取得できない場合に、前記取得手段にて取得した環境に関する情報を解析して重要度を特定し、当該重要度に応じた態様で前記出力手段にお知らせを出力させ、前記第1受付手段での緊急事態に関する情報が取得できない場合に、前記取得手段にて取得した環境に関する情報を解析して重要度を特定し、当該重要度に応じて前記出力手段にて出力しているお知らせを停止させるとよい。
【0012】
また、かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、全国瞬時警報システム、災害情報共有システム、防災避難情報および防災気象情報のうちの少なくともいずれかの情報を収集する収集手段と、収集した情報を解析して、対象地域と、出力内容および重要度を特定する特定手段と、特定した前記出力内容と重要度を含む緊急報知情報を生成し、特定した前記対象地域に存在する前記緊急報知情報を出力する出力設備へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置である。
【0013】
ここで、前記収集手段は、前記出力設備から地域の環境に関する情報を収集し、前記特定手段は、受け付けた前記環境に関する情報を用いて重要度を特定し、前記送信手段は、前記重要度に関する情報を前記出力設備へ送信するとよい。
【0014】
また、かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を遠距離に設けられる装置から取得するステップと、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を近距離に設けられる装置またはユーザから取得するステップと、視覚的または聴覚的に出力情報を出力するステップと、取得した前記取得情報に基づいて、出力する前記出力情報を制御するステップと、備えることを特徴とする情報出力方法である。
【0015】
また、かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、コンピュータに、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を遠距離に設けられる装置から取得する機能と、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を近距離に設けられる装置またはユーザから取得する機能と、視覚的または聴覚的に出力情報を出力する機能と、取得した前記取得情報に基づいて、出力する前記出力情報を制御する機能と、
を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、広域的な情報と共に、狭域的な情報を出力することを可能とした技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る情報出力システムを構成する情報出力設備を示す模式図である。
図2】第1実施形態の情報出力設備の構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態の情報出力システムでの処理の流れを説明するシーケンス図である。
図4】第1実施形態の情報出力設備における情報処理の動作を示すフローチャートである。
図5】第1実施形態に係る情報出力設備における情報処理の他の動作を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る情報出力システムの構成を示す模式図である。
図7】第2実施形態に係る情報出力システムでの処理の流れを説明するシーケンス図である。
図8】第2実施形態に係る情報出力設備における情報処理の動作を示すフローチャートである。
図9】第3実施形態に係る情報出力システムの構成を示す模式図である。
図10】第3実施形態に係る情報出力システムに含まれる装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図11】第3実施形態に係る情報出力システムを構成する装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図12】第3実施形態に係る情報出力システムでの処理の流れを説明するシーケンス図である。
図13】第3実施形態に係る装置における情報処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態の一例について、図面に基づき説明する。
本実施形態に係わる情報出力システムは、災害などの緊急事態発生時に、地域住民や当該地域を訪れている人々へ災害情報や避難情報などを提供するための仕組みである。
すなわち、本実施形態に係わる情報出力システムは、大雨などによる土砂災害や地震災害、火山噴火などの災害発生時において、地域住民の安心・安全を守るため、また訪日外国人などに対する情報出力のため、見える、伝える、の防災対策を施した安全情報出力システムである。
【0019】
本実施形態では、全国瞬時警報システム(以下、「Jアラート」という。)で発出される緊急情報や、災害情報共有システム(以下、「Lアラート」という。)で発出される災害関連情報、自治体のコミュニティ放送で発出される台風接近情報や避難所開設情報、ライフラインに関する情報などを含む防災避難情報、気象庁で発表される気象・地震・火山などに関する防災気象情報といった緊急事態に関する情報(以下、「非常時緊急情報」という。)と共に、地域の防災関係者から当該地域(現場)の緊急事態に関する情報(以下、「現場情報」という。)を受け付け、これらの情報を当該地域に適切な態様で出力することを想定した例について説明する。
【0020】
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0021】
<第1実施形態>
(システム構成)
図1は、第1実施形態において情報出力サービスが実施される情報出力システムを構成する情報出力設備の概要を示す図である。
図2は、情報出力設備の構成を示すブロック図である。
【0022】
本実施形態における情報出力設備100は、外部との通信が可能であると共に、設備全体の制御プログラムや避難情報などの提供に関わる各種処理を行うためのアプリケーションプログラムがインストールされており、これらのプログラムが実行されることによって所定の情報を出力することができるものとなっている。
【0023】
図1および図2に示すように、この情報出力設備100は、地上に立設された支柱1に、第1取得部10と、第2取得部20と、環境取得部30と、出力部40と、制御部50とが搭載され、主として外部の商用電源P(AC100V)から電力の供給を受けて動作するものとなっている。また、この情報出力設備100は非常電源部60を備え、非常電源部60から電力の供給を受けて動作するものでもある。
【0024】
第1取得部10は、通信を介した外部からの情報を受け付ける手段であって、災害などの発生時に発せられる緊急アラームを受信(検知)する機能を備える。すなわち、第1取得部10は、例えば情報出力設備100に対して遠隔で情報を受け付ける。緊急アラームとは、前述したように、たとえば、JアラートやLアラート、防災避難情報、防災気象情報など、様々なシステムや機関から発せられる非常時緊急情報であって、第1取得部10は、これらの非常時緊急情報を受信する装置をいう。
【0025】
つまり、第1取得部10は、ネットワークNを介して配信される緊急アラーム信号を受信する受信器や、テレビやラジオ或いは防災無線から流れ出る緊急アラーム音を検出する検出器など、出力メディアの異なる複数種類の緊急アラームを受信(検知)する機能を備えるものである。
【0026】
ゆえに、第1取得部10は、たとえば、Jアラート受信装置、Lアラート受信装置、防災避難情報受信装置、防災気象情報受信装置などのうち、いずれか1または2以上の機能を備えることが望ましい。
本実施形態において、このような非常時緊急情報を受信する機能を備える装置を、緊急アラーム受信装置11という。この緊急アラーム受信装置11は、緊急アラームを受信(検知)するアンテナを備える。
【0027】
図1において、第1取得部10は、非常時緊急情報を受信(検知)するアンテナとして示されている。
また、第1取得部10本体としての緊急アラーム受信装置11は、支柱1の基端(根元)近傍に設置された分電盤ケース9内に収容されたものとすることができる。
なお、例えば分電盤ケース9には、スマートフォンなどの携帯端末通信装置のスマホ充電器7などを設置しても良い。
【0028】
なお、非常時緊急情報には、各都道府県の警察本部が発表する犯罪発生情報や、防犯に関する注意情報、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿された災害状況を知らせる一定数の情報を含めるものとしてもよい。
【0029】
第2取得部20は、地域の防災関係者(以下、単に「ユーザ」という。)の直接的な操作に応じて現場情報を受け付ける手段であって、情報出力設備100へ各種の情報や指示などを入力する機能を備える。
ユーザとは、たとえば、本情報出力システムを利用して地域住民や当該地域に訪れている人々へ非常時緊急情報などの必要な情報を提供する任を負っている防災責任者や防災管理者、またはそれらの命令を受けて実行する担当者などをいう。
【0030】
つまり、第2取得部20は、テキスト情報や音声情報の入力、所定の指示情報の入力または解除を可能とするものである。第2取得部20は、例えば音声情報の入力を可能とするマイクロホン21や、回転灯に対する指示情報の入力または解除を可能とする回転灯スイッチ22、テキスト情報の入力を可能とする通信端末用インターフェース23やWi-Fi受信機24を挙げることができる。
【0031】
マイクロホン21は、後述する出力部40のスピーカ44にて放音(放送)する音声情報を受け付ける手段である。
回転灯スイッチ22は、後述する出力部40の回転灯43の点灯または消灯を行う指示情報を受け付ける手段である。
通信端末用インターフェース23やWi-Fi受信機24は、後述する出力部40の避難誘導情報表示器41や災害情報表示器42で表示するテキスト情報を、パーソナルコンピュータやタブレットコンピュータ、スマートフォンなどより受け付ける手段である。
【0032】
図1において、支柱1に取り付けられた操作ボックス8内に、第2取得部20としてマイクロホン21と回転灯スイッチ22が収容されていることが示されている。
なお、図1において通信端末用インターフェース23やWi-Fi受信機24は示されていなが、マイクロホン21や回転灯スイッチ22と共に、操作ボックス8内に収容することができる。
【0033】
この操作ボックス8には、第2取得部20でのいたずらを防止するため、扉を設けて施錠するようにしてもよい。また、第2取得部20を介して情報や指示の入力権限を有する者であることを確認するための顔認証カメラを備えるようにしてもよい。
【0034】
本実施形態の第1取得部10は、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を情報出力設備100に対して遠距離に設けられる装置から取得する。一方、本実施形態の第2取得部20は、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を情報出力設備100に対して近距離に設けられる装置から取得する。すなわち、第1取得部10は、携帯電話やインターネットなどのネットワーク通信網、放送通信網、衛星通信網などの通信網を介して情報を取得するものと捉えてもよい。一方で、第2取得部20は、通信網ではなく、通信ケーブルや近距離無線通信などの一対一での通信を介して情報を取得するものと捉えてもよい。また、第2取得部20は、装置間の通信を介さず、キーボード、スイッチ、ボタンなどユーザの指など情報出力設備100に対する物理的な接触を伴う操作に基づいて情報を取得するものと捉えてもよい。
【0035】
環境取得部30は、当該地域の周囲の状況や環境に関する情報(以下、まとめて「環境情報」という。)を取得する手段であって、その都度特別な指示を要することなく常時取得する機能を有する。この環境情報とは、たとえば、太陽から受ける放射エネルギーに関する情報や、通行人数や通行方向といった人流に関する(画像)情報、気温や湿度、風速、風向、降雨量および暑さ指数(WBGT)といった気象に関する情報をいう。
つまり、環境取得部30は、たとえば、ソーラ発電ユニット31や、監視カメラ32、気温計33とすることができる。
【0036】
ソーラ発電ユニット31は、太陽から受ける放射エネルギーに関する情報を取得する手段であって、太陽電池を含んでおり、太陽光を受けることにより直流電流(電力)を発生する。ソーラ発電ユニット31で発生した電力は、後述するバッテリ62へ蓄電される。
図1において、ソーラ発電ユニット31は、支柱の頂部において太陽光を受けることができるように、南向きに傾斜して設置されたものとして示されている。
【0037】
監視カメラ32は、人流や周囲の状況に関する情報を取得する手段であって、たとえば、赤外線照明による暗視機能を搭載して夜間でも撮影が可能で、24時間、365日連続録画に対応する、ドームタイプまたはバレットタイプの高感度撮影ができるカメラとなっている。撮影した映像は、たとえば、HDDレコーダや、インターネット上のクラウドサーバに保存することができる。
【0038】
また、この監視カメラ32は、LANケーブルを通して電力を供給するPoE(Power over Ethernet)給電となっている。すなわち、電力とネットワーク通信の両方の供給を計り、コンセントからの電力供給は不要となっている。ゆえに、商用電源Pやバッテリ62からの電力の供給が途絶えたとしても、環境情報を取得することが可能となっている。
【0039】
気温計33は、気象に関する情報を取得する手段であって、外気温を測定する。
この環境取得部30で取得された、太陽から受ける放射エネルギーに関する情報や、人流などに関する情報、気象に関する情報の1または2以上に基づいて、当該地域の状況が把握(推測)される。
【0040】
つまり、監視カメラ32の場合、撮影した映像から人流が活発になってきているのが確認できれば、当該地域の状況は好転していると推測することができ、また、付近の河川の水位が確認できれば、時間的に前後する二つの水位を比較することで、状況の好転または悪化を推測することができる。
また、ソーラ発電ユニット31や気温計33の場合、太陽から受ける放射エネルギーが多く、気温が高ければ、天気が回復して状況が好転していると推測することができ、逆に、太陽から受ける放射エネルギーが少なく、気温が低ければ、未だ天気は回復していない、またはこれからさらに悪化すると推測することができる。
【0041】
出力部40は、第1取得部10または第2取得部20で受け付けた非常時緊急情報や現場情報を、視覚的または聴覚的なお知らせ(出力情報の一例)として出力する手段であって、1または2以上備えられている。
つまり、出力部40は、視覚的または聴覚的なお知らせとして情報を出力する機器であって、視覚的なお知らせを出力する大型ディスプレイや電子看板といった表示装置や、発光(放光)装置、聴覚的なお知らせとして情報を出力する放音装置とすることができる。具体的には、たとえば、表示装置としての避難誘導情報表示器41や、災害情報表示器42、発光装置としての回転灯(警告灯)43、放音装置としてのスピーカ44を挙げることができる。
【0042】
避難誘導情報表示器41は、たとえば、内照式表示灯であって、お知らせ発信中の点灯・点滅表示が可能なものとなっている。また、この避難誘導情報表示器41は、出力するお知らせの重要度(報知レベル)に応じて段階的に変化する識別可能な複数の態様を備えるものとなっている。お知らせの重要度は、たとえば、気象庁の避難情報発令と同様に、5段階の報知レベルに分けることができ、報知レベルの具体的な態様としては、たとえば、次のように表示することができる。
【0043】
まず、最も低いレベル1に相当する態様として、白地に、災害への心構えを高めるための「注意報発令」の文字を赤色で示すもの。また、レベル2に相当する態様として、黄地に、自らの避難行動確認を促すための「大雨洪水注意報」の文字を赤色で示すもの。また、レベル3に相当する態様として、赤地に、高齢者らは危険な場所から非難することを促すための「高齢者避難」の文字を白抜きで示すもの。また、レベル4に相当する態様として、青地に、危険な場所から全員避難することを促すための「全員避難」の文字を白抜きで示すもの。そして、最も高いレベル5に相当する態様として、黒地に、緊急安全確保を促すための「命の危険、直ちに安全確保」の文字を白抜きで示すものとすることができる。
【0044】
避難誘導情報表示器41は、上述のとおり、5段階の報知レベルに応じてそれぞれ表示部が設けられ、発信中に点灯することで該当するレベルを報知するものである。避難誘導情報表示器41は、点灯していない状態であっても、警告などの内容をユーザが視認することができる。したがって、非常時ではない平常時から避難誘導情報表示器41の存在やその内容をユーザが予め把握することができる。このように、避難誘導情報表示器41は、平常時からユーザが把握することができるため、非常時に実際に用いられる際にもユーザが混乱することなく報知内容を理解することが可能になっている。
【0045】
災害情報表示器42は、文字や静止画、動画情報を、発光ダイオード(LED)や液晶、電球などを用いて表示出力するものであって、たとえば、有機ELディスプレイや、無機ELディスプレイ、液晶ディスプレイなどとすることができる。
この災害情報表示器42を用いて出力するお知らせとしては、災害発生からの時間経過に応じて、たとえば、次のように表示することができる。
【0046】
災害発生から30分以内は、安全確保のための情報として、災害発生情報を伝えると共に、落ち着いた行動を促すようにする。具体的には、「○○時△△地域を震源とする震度5強の地震が発生」「○○地区で土砂崩れが発生」「町内に大雨洪水注意報発生」といった情報と共に、「安全を確保して行動してください」といったメッセージを出力する。
【0047】
また、災害発生から6時間以内は、一斉帰宅抑制のための情報として、道路情報や公共交通機関の情報を伝えると共に、帰宅抑制の呼びかけを行うようにする。具体的には、「○○道路が通行止めになっています。」「バス/電車○○線が利用できなくなっています。」「近くの頑丈な建物に避難してください。」といった情報と共に、「正しい情報を確認し、無理をせず、安全を確保して行動してください。」」といったメッセージを出力する。
【0048】
また、災害発生から24時間以内は、安全な非難を随時支援する情報として、近くの避難場所などへの案内と共に、一時避難場所情報を出力する。また、災害情報表示器42では出力しきれない詳細な情報を確認することができるように、自治体などのホームページへ自動的に接続する二次元コードの利用促進を行う。具体的には、「○○公民館へ避難してください。」といった情報と共に、「町からの情報を確認してください。」といったメッセージを出力する。
【0049】
図1において、災害情報表示器42のすぐ近くに設けられた操作ボックス8に、上述の二次元コード45が付されていることが示されている。この二次元コードは、たとえば、観光客や外国人などが自分の位置情報と避難情報を知ることができるものとなっており、自治体などのホームページへ接続した後は、多言語文字表示が可能なものとなっている。ゆえに、災害情報表示器42では概略情報だけを出力し、詳しい情報は二次元コード45を利用して取得することを促すメッセージを災害情報表示器42に出力することで、多くの情報を円滑に伝えることができる。
【0050】
そして、災害発生から72時間以内は、帰宅を支援する情報として、公共交通機関の情報や、道路状況の情報と共に、大雨や強風などの気象情報、地震情報、噴火情報を出力する。具体的には、「○○道路一部通行止め」「○○線△△日再開見込み」「○○地区で土砂崩れ発生」「町内に大雨洪水注意報発生」といった情報と共に、周辺の一時的な避難場所の情報、軽食などの取れる場所の情報、トイレ案内/飲料水・防寒具の配布などの情報を出力する。
【0051】
回転灯(警告灯)43は、台座に対し水平方向に回転放光させる照明器具であって、人の気を引くと共に、遠方からも目立つ、視認が容易なものとなっている。具体的には、たとえば、赤色に発光する赤色回転灯とすることができる。この回転灯43は、単独で発光するものとしてもよいが、避難誘導情報表示器41や、災害情報表示器42で出力するお知らせの重要度に応じて一緒に発光するものとすると望ましい。
【0052】
スピーカ44は、第1取得部10で受け付けた警報音情報を発鳴することができると共に、第2取得部20のマイクロホン21で受け付けた音声情報を緊急放送として出力することができる放音装置である。マイクロホン21とスピーカ44には、スピーカアンプシステムやDC/DCコンバータを要するが、たとえば、緊急アラーム受信装置11と同様に、これらは分電盤ケース9内に収容されたものとすることができる。
【0053】
制御部50は、第1取得部10および第2取得部20で受け付けたそれぞれの情報を選択して所定の出力部40にて出力することを指示する手段であって、情報解析部51と、出力指示部52と、給電調整部53とを有する。
【0054】
情報解析部51は、第1取得部10で受け付けた情報を解析して、対象地域と、お知らせ内容、および当該お知らせの重要度を特定する手段である。
情報解析部51は、例えばRSS(Really Simple Syndication)の文書フォーマットで記述された緊急に関する情報を取得した場合に、その内容を解析する。また、情報解析部51は、テレビ画面やウェブサイトなどの画像に含まれる文字情報をOCR分析によって特定することも可能である。情報解析部51は、例えばデジタル放送のネットワークを通じて取得可能な緊急警報放送の情報を特定することも可能である。情報解析部51は、解析することで特定した情報を、テキスト情報に変換したり、避難誘導情報表示器41で段階的に表示する際のレベル表示に対応させたりする。
【0055】
出力指示部52は、情報解析部51で特定された内容と判定された重度度を出力部40へ伝えて出力する指示を行う手段である。
給電調整部53は、この情報出力設備100に対して商用電源Pからの電力の供給が途絶えた場合、後述する非常電源部60に対して給電を指示すると共に、電力の供給先の優先度に基づいて、限られた電力の利用を調整する手段である。つまり、報出力設備100への商用電源Pからの電力供給がされない場合に、他のデバイス(例えば、気象時計3)に給電をせずに、非常時に稼働するデバイス(例えば、避難誘導情報表示器41)に電力を供給するとよい。
【0056】
つまり、制御部50は、第1取得部10で受け付けた情報を情報解析部51で解析して、対象地域と、お知らせ内容を特定すると共に、当該お知らせの重要度(現場に関係する危険の度合い)を特定する。そして、地域への報知が必要な場合に、出力指示部52が、当該重要度に応じた態様で出力部40にお知らせを出力させる指示を行うものである。
【0057】
たとえば、第1取得部10で受け付けた情報が緊急地震速報または津波警報である場合、地震または津波が発生したことのお知らせを文字や光、音声で出力する指示を出力部40に対して行う。具体的には、文字によるお知らせは、避難誘導情報表示器41や災害情報表示器42にて出力する指示を行い、光によるお知らせは、回転灯43にて出力する指示を行い、音声によるお知らせは、スピーカ44にて出力する指示を行う。
なお、文字によるお知らせには、津波の予想到達時間情報を含めるものとしてもよい。
【0058】
この制御部50は、第1取得部10および第2取得部20の双方で、同じ出力部40にて出力する情報を受け付けた場合、第2取得部20で受け付けた情報を優先して出力部40にて出力させる(更新する)指示を行うように出力部40の動作を制御する機能を有する。すなわち、第1取得部10および第2取得部20の双方で文字による情報を受け付けた場合、第2取得部20で受け付けた文字情報を優先して避難誘導情報表示器41や災害情報表示器42にて出力する指示を行う。
【0059】
また、制御部50は、第1取得部10での情報の受け付けが所定の時間途絶えている場合、環境取得部30にて取得した環境情報を解析して重要度を特定し、当該重要度に応じた態様で出力部40にお知らせを出力(または更新)させる指示、または当該重要度に応じて出力部40にて出力しているお知らせを停止させる指示を行う機能を有する。
【0060】
すなわち、制御部50は、環境取得部30で取得した太陽から受ける放射エネルギーに関する情報や、人流に関する情報、気象に関する情報から、当該地域の状況を把握(推測)する。そして、状況が悪化していると推測される場合は、重要度のレベルをワンランク高めて現在のお知らせを更新する指示を行う。また、状況が好転していると推測される場合は、重要度のレベルをワンランク下げて現在のお知らせを更新する、もしくはお知らせを停止する指示を行う。
なお、重要度のレベルは、避難誘導情報表示器41で説明した報知レベルを用いることができる。
【0061】
また、本実施形態における情報出力システムでは、情報出力設備100の傍らに、非常電源部60を備えるものとなっている。
非常電源部60は、外部(商用電源)からの電力供給が途絶えた場合、緊急デバイスとして指定されている装置を優先して電力を供給する手段である。つまり、停電時には自動的に商用電源Pから非常電源部60からの独立電源に切り替わる仕組みとなっている。
【0062】
非常電源部60には、DC/ACコンバータや、DC/AC正弦波パワーインバータ、DC/AC充放電コントローラなどからなる充電・給電制御システム61と、バッテリ62が設けられており、ソーラ発電ユニット31で発生した電力は、充電・給電制御システム61を用いてバッテリ62へ蓄電されるものとなっている。
【0063】
この非常電源部60は、緊急アラーム受信装置11と同様に、分電盤ケース9内に収容されたものとすることができる。
これにより、緊急事態が発生している間、お知らせが途絶えることなく、必要なお知らせを報知し続けることが可能になる。
【0064】
また、図1に示すように、本実施形態において情報出力設備100は、支柱1に、周囲を照らすLED照明投光器2や、地球気温が1.5℃上昇するまでの時間を表示する気象時計3、気温計33で取得した気象情報に基づいて外気温を表示する外気温表示器4、現在時刻表示器5、太陽光によって発電し、夜間に自動点灯すると共に、空が明るくなると自動消灯するソーラライト照明器具6、および操作ボックス8などを搭載したものとなっている。
【0065】
このような情報出力設備100は、出力部40(たとえば、災害情報表示器42)において、災害発生後の時間経過に適応して種々の情報を出力することができるが、非常時の情報出力だけではなく、日常における地域のイベントに関するお知らせを出力するものとしても活用できる。
【0066】
また、情報出力設備100は、LED照明投光器2やソーラライト照明器具6を備えることで、災害発生時はもちろんのこと、日常でも夜間に周囲を明るく照らす街路灯・防犯灯としても活用することができる。
さらに、情報出力設備100には、マイクロホン21や回転灯スイッチ22とは別に、緊急時に非常ボタンを押すことで警察や消防などへ接続することができる緊急通報システムを設けるようにしてもよい。
【0067】
次に、本実施形態に係る情報出力システムでの処理の流れを説明する。
図3は、第1実施形態に係る情報出力処理の一例を示すシーケンス図である。
ステップS301において、消防庁や気象庁など国の行政機関、都道府県および市町村などの地方自治体、電気・ガス・水道・インターネットなどのライフライン事業者などの団体が管理する緊急情報発出装置300が、非常時緊急情報を発出(発表)する。
【0068】
ステップS302において、情報出力設備100は、発出された非常時緊急情報を受け付ける(受信・検知する)。
引き続き、ステップS303において、情報出力設備100は、受け付けた非常時緊急情報を解析して、対象地域と、お知らせ内容を特定すると共に、当該お知らせの重要度(当該地域に関係する危険の度合い)を特定する。
【0069】
そして、ステップS304において、情報出力設備100は、特定した重要度に応じた態様で、非常時緊急情報を視覚的・聴覚的なお知らせとして出力する。
これにより、受け付けた非常時緊急情報を、適切な報知レベルで素早く地域の住民などへ報知することができる。
【0070】
また、ステップS305において、ユーザ(防災関係者)Uは、情報出力設備100に対して、災害情報や道路情報、公共交通機関情報、避難場所情報、気象情報、といった当該地域の現場情報を入力する。
ステップS306において、情報出力設備100は、入力された現場情報を受け付ける。
引き続き、ステップS307において、情報出力設備100は、お知らせする情報を選択する。つまり、先に受け付けていた非常時緊急情報と、新たに受け付けた現場情報とが、共に同じ出力部40にて出力する情報である場合、現場情報を優先して出力させる選択を行う。
なお、同じ出力部40にて出力する情報である場合とは、たとえば、非常時緊急情報と現場情報とが共に、災害情報表示器42で出力する情報である場合や、スピーカ44で出力する情報である場合をいう。
【0071】
そして、ステップS308において、情報出力設備100は、新たに受け付けた現場情報を視覚的・聴覚的なお知らせとして出力(お知らせを更新)する。
これにより、非常時緊急情報に基づく広域的なお知らせだけでなく、現場情報に基づく狭域的なお知らせを報知することができる。つまり、現場情報に基づくお知らせを最新のものとして適宜優先して報知することができる。
【0072】
また、外部からの通信が途絶えた場合、ステップS311において、情報出力設備100は、環境情報を取得する。
引き続き、ステップS312において、情報出力設備100は、取得した環境情報を解析して重要度を特定する。
そして、ステップS313において、情報出力設備100は、特定した重要度に応じた態様でお知らせを出力、または特定した重要度に応じて出力しているお知らせを停止する。
【0073】
これにより、外部との通信が途絶えて新しい情報を得ることができなくなってしまっても、環境情報に基づいてお知らせを更新することで、当該地域において適切な報知レベルで最新のお知らせを報知することができると共に、既に解除された古いお知らせが発令されたままになることを防止することができる。
【0074】
次に、情報出力設備100での詳細な情報出力処理の流れについて説明する。
図4および図5は、本実施形態に係る情報出力処理の一例をそれぞれ示すフローチャート図である。
図4は、非常時緊急情報を受け付けた後の一般的な処理の流れを説明するものである。
図5は、非常時緊急情報の受け付けが所定の時間途絶えている場合の処理の流れを説明するものである。
【0075】
図4に示すように、ステップS401において、制御部50は、情報解析部51が、第1取得部10(緊急アラーム受信装置11)で非常時緊急情報を受け付けたか(受信したか)否か判定する処理を行う。第1取得部10が、非常時緊急情報を受け付けた場合(S401でYES)、ステップS402へ進み、そうでない場合(S401でNO)は、ステップS406へ進む。
【0076】
ステップS402において、制御部50は、情報解析部51が、受け付けた非常時緊急情報を解析し、対象地域と、お知らせ内容を特定すると共に、当該お知らせの重要度を特定する処理を行う。
ステップS403において、制御部50は、出力指示部52が、非常時緊急情報は当該地域へ向けたものか否か判定する処理を行う。制御部50は、出力指示部52が、当該地域へ向けた非常時緊急情報と判定した場合(S403YES)、ステップS404へ進み、そうでない場合(S403でNO)は、情報出力設備100での動作を終了する(END)。
【0077】
ステップS404において、制御部50は、出力指示部52が、該当する出力部40に対して非常時緊急情報をお知らせとして出力することを指示する処理を行う。
ステップS405において、出力部40は、非常時緊急情報を、重要度に応じた態様による視覚的・聴覚的なお知らせとして出力する処理を行う。
そして、情報出力設備100での動作は終了する(END)。
【0078】
一方、ステップS401において、第1取得部10が、緊急情報を受け付けていない場合(S401でNO)は、ステップS406において、制御部50は、情報解析部51が、第2取得部20でユーザUが入力した現場情報を受け付けたか(受信したか)否か判定する処理を行う。第2取得部20が、現場情報を受け付けた場合(S406でYES)、ステップS407へ進み、そうでない場合(S406でNO)は、情報出力設備100での動作を終了する(END)。
【0079】
ステップS407において、制御部50は、出力指示部52が、受け付けた現場情報を新たなお知らせとして選択し、該当する出力部40に対し、現場情報をお知らせとして出力することを指示する処理を行う。
ステップS408において、出力部40は、現場情報を優先的にお知らせとして出力(情報を更新)する処理を行う。
そして、情報出力設備100での動作は終了する(END)。
【0080】
また、図5に示すように、ステップS411において、制御部50は、情報解析部51が、第1取得部10(緊急アラーム受信装置11)での緊急情報の受け付け後、所定の時間、新たな緊急情報の受け付けが途絶えているか(取得できていないか)否か判定する処理を行う。制御部50は、情報解析部51が、第1取得部10での緊急情報の受け付けが所定の時間途絶えていると判定した場合(S411でYES)、ステップS412へ進み、そうでない場合(S411でNO)、情報出力設備100での動作を終了する(END)。すなわち、制御部50は、情報解析部51が、第1取得部10で緊急情報を受け付けている場合、上述した(図4で示す)非常時緊急情報を受け付けた後の一般的な処理を行う。
【0081】
ステップS412において、制御部50は、情報解析部51が、環境取得部30が取得している環境情報を解析し、その重要度を特定する処理を行う。
引き続き、ステップS413において、制御部50は、情報解析部51が、環境情報に基づいて特定した重要度と、現在お知らせとして出力している情報の重要度と比較し、重要度が同じであるか否か判定する処理を行う。
その結果、制御部50は、情報解析部51が、環境情報の重要度は、現在のお知らせの重要度と同じであると判定した場合(S413でYES)、情報出力設備100での動作を終了(END)し、そうでない(重要度は異なる)場合(S413でNO)は、ステップS414へ進む。
【0082】
ステップS414において、制御部50は、出力指示部52が、該当する出力部40に対して環境情報の重要度に応じた態様でお知らせ出力(態様を更新)することを指示する処理を行う。
ステップS415において、出力部40は、現在出力しているお知らせの重要度を更新する処理、または出力しているお知らせを停止(解除)する処理を行う。
そして、情報出力設備100での動作は終了する(END)。
【0083】
以上のように、本実施形態では、非常時緊急情報を広域的な情報として、地域住民や当該地域に訪れている人々に対し視覚的および/または聴覚的なお知らせとして出力すると共に、地域の防災関係者から受信した当該地域の現状に関する狭域的な情報を、広域的な情報に組み込みながら適切な態様で独自に出力することができる。
【0084】
<第2実施形態>
また、本発明においては、複数の情報出力設備同士を、ネットワークNを介して通信可能に接続し、さらに、他の情報出力設備から得た中域的な情報を組み込みながら、適切な態様で非常時緊急情報を出力させるものとすることができる。
すなわち、上述した第1実施形態は、単一の情報出力設備で構成されたスタンドアローン型であるのに対し、第2実施形態では、少なくとも二つ以上の情報出力設備で構成されたネットワーク型である点で異なる。
【0085】
(システム構成)
図6は、第2実施形態において情報出力サービスが実施される他の情報出力システムの構成を示す図である。
図6に示すように、本実施形態における情報出力システムは、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続された第1情報出力設備100Aおよび第2情報出力設備100Bにより構成されている。
ネットワークNは、インターネットに限定されるものではなく、たとえばLAN(Local Area Network)や、WAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークであってもよい。
【0086】
なお、以下に述べる他の各実施の形態では、上述した第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第1実施形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
また、第2実施形態では、説明の便宜上、第1情報出力設備100Aおよび第2情報出力設備100Bにより構成されたものとして説明するが、情報出力設備100の数はこれに限定されず、三つ以上であってもよい。
【0087】
第1情報出力設備100Aおよび第2情報出力設備100Bは、第1実施形態で説明した情報出力設備100と同様の構成をしており、上述した通り、互いに通信可能となっている点で異なる。
つまり、第1情報出力設備100Aおよび第2情報出力設備100Bは共に、少なくとも第1取得部10、第2取得部20、環境取得部30、出力部40、制御部50、および非常電源部60を一組として備える設備であって、互いに離間する隣接地域に設置され、ネットワークNを介して互いに通信可能なものとなっている。
【0088】
次に、本実施形態に係る情報出力システムでの処理の流れを説明する。
図7は、本実施形態に係る情報出力処理の一例を示すシーケンス図である。
【0089】
ステップS501において、第1情報出力設備100Aは、環境情報を取得する。
引き続き、ステップS502において、第1情報出力設備100Aは、取得した環境情報を定期的に、隣接する地域にある第2情報出力設備100Bへ送信する。
一方、ステップS503において、第2情報出力設備100Bもまた、環境情報を取得し、取得した環境情報を定期的に第1情報出力設備100Aへ送信する。
【0090】
ステップS504において、第1情報出力設備100Aは、隣接する地域にある第2情報出力設備100Bより送られた環境情報を受け付ける。
次いで、ステップS505において、第1情報出力設備100Aは、受け付けた環境情報を解析して重要度を特定する。
引き続き、ステップS506において、第1情報出力設備100Aは、自ら出力しているお知らせの重要度と、特定した重要度とを比較する。
そして、ステップS507において、第1情報出力設備100Aは、高い方の重要度に応じた態様でお知らせを出力(更新)する。
【0091】
これにより、当該地域で受け付けた狭域的な環境情報だけではなく、隣接する地域の環境情報を考慮しつつ、中域的なレベルで地域の状況を判断し、お知らせを報知することができる。つまり、当該地域の狭域的な環境情報だけで現状を判断するのではなく、隣接する地域の状況が悪ければ、当該地域に影響が及ぶのは時間の問題と判断して、最悪の状況を考慮しつつ適切なお知らせを報知するものである。
【0092】
また、隣接する地域にある第2情報出力設備100Bとの通信が途絶え、環境情報の受信が所定の時間無かった場合、ステップS511において、第1情報出力設備100Aは、出力しているお知らせの重要度を上げた態様でお知らせを出力(更新)する。
【0093】
これによっても、隣接する地域の環境情報を考慮しつつ、中域的なレベルで現場の状況を判断し、お知らせを報知することができる。つまり、定期的な通信が途絶えたということは、隣接する地域において何らかの障害が発生したものと推測し、当該地域に影響が及ぶのも時間の問題と判断して、やはり最悪の状況を考慮しつつ適切なお知らせを報知するものである。
【0094】
なお、隣接する地域の正確な状況を確認せずにお知らせの重要度を上げることは、当該地域の住民へいたずらに不安を与えかねないかも知れないが、通信が回復して隣接する地域の安全性が確認できれば、新たにお知らせを更新すればよい。ゆえに、隣接する地域との通信状態に基づいてお知らせの重要度を変更することは、当該地域の住民の命と安全を守るためになされる本実施形態特有の有事における緊急措置である。
【0095】
次に、第1情報出力設備100Aでの詳細な情報出力処理の流れについて説明する。
図8は、第2実施形態に係る情報出力処理の一例をそれぞれ示すフローチャート図である。
【0096】
ステップS601において、制御部50は、出力指示部52が、環境取得部30で取得した環境情報を第2情報出力設備100Bへ送信する処理を行う。
ステップS602において、制御部50は、情報解析部51が、第2情報出力設備100Bから環境情報を受け付けたか(受信したか)否か判定する処理を行う。制御部50は、情報解析部51が、第2情報出力設備100Bから環境情報を受け付けたと判定した場合(S602でYES)、ステップS603へ進み、そうでない場合(S602でNO)は、ステップS606へ進む。
【0097】
ステップS603において、制御部50は、情報解析部51が、取得した環境情報を解析し、その重要度を特定する処理を行う。
引き続き、ステップS604において、制御部50は、情報解析部51が、現在お知らせとして出力している情報の重要度と比較し、取得した環境情報に基づく重要度の方が高いか否か判定する処理を行う。
その結果、制御部50は、情報解析部51が、環境情報の重要度は、現在のお知らせの重要度より高いと判定した場合(S604でYES)、ステップS605へ進み、そうでない場合(S6024でNO)、情報出力設備100での動作を終了(END)する。
そして、ステップS605において、制御部50は、出力指示部52が、出力部40に対して環境情報の重要度に応じた態様でお知らせ出力(態様を更新)することを指示する処理を行う。
【0098】
一方、ステップS602において、制御部50は、情報解析部51が、第2情報出力設備100Bから環境情報を受け付けていないと判定した場合(S602でNO)、ステップS606において、第2情報出力設備100Bからの環境情報の受け付けが所定の時間途絶えている(通信停止状態になっている)か否か判定する処理を行う。制御部50は、情報解析部51が、環境情報の受け付けが所定の時間途絶えていると判定した場合(S606でYES)、ステップS607へ進み、そうでない場合(S606でNO)、情報出力設備100での動作を終了する(END)。
【0099】
ステップS607において、制御部50は、出力指示部52が出力部40に対し、重要度のレベルをワンランク上げた態様でお知らせ出力(態様を更新)することを指示する処理を行う。
ステップS608において、出力部40は、現在出力しているお知らせの重要度を更新する処理を行う。
そして、情報出力設備100での動作は終了する(END)。
【0100】
以上のように、本実施形態では、隣接する地域の環境情報を考慮することで中域的な情報とし、広域的な情報に組み込みながら適切な態様で非常時緊急情報を出力することができる。
【0101】
<第3実施形態>
また、本発明においては、情報出力設備の構成を簡素化しつつ、近隣の地域を統括しながら適切な態様で非常時緊急情報を出力させるものとすることもできる。
すなわち、上述した第1実施形態は、単一の情報出力設備で構成されたスタンドアローン型であり、第2実施形態では、少なくとも二つ以上の情報出力設備で構成されたネットワーク型であるのに対し、第3実施形態では、複数の情報出力設備と情報処理装置とで構成され、情報処理装置から情報出力設備に対して出力する情報を提供するセントラルコントロール型とする点で異なる。
【0102】
(システム構成)
図9は、第3実施形態において情報出力サービスが実施されるさらに他の情報出力システムの構成を示す図である。
【0103】
図9に示すように、本実施形態における情報出力システムは、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続された情報出力設備100と情報処理装置500により構成されている。
以下の説明においては、情報処理装置500を「サーバ」と呼ぶことがある。
【0104】
なお、以下に述べる他の各実施の形態では、上述した第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第1実施形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
また、第3実施形態では、説明の便宜上、情報出力設備100と情報処理装置500とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して一対一で相互に接続して構成されたものとして説明するが、情報出力設備100の数はこれに限定されず、二つ以上であってもよい。
【0105】
図9に示す情報処理装置500は、非常時緊急情報を受け付けて、情報出力設備100へ送信する緊急報知情報を生成する装置である。この情報処理装置500は、演算処理機能や通信機能を有し、情報出力システムにおけるサーバとして機能する。本実施形態の情報処理装置500は、たとえば、サーバ装置や、パーソナルコンピュータ等の電子機器により実現される。
【0106】
(ハードウェア構成)
図10は、第3実施形態に係る情報処理装置500のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0107】
情報処理装置500は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、バス504と、入出力インターフェース505と、出力部506と、入力部507と、記憶部508と、通信部509と、を備えている。
【0108】
CPU501は、ROM502に記憶されているプログラム、または記憶部508からRAM503にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。すなわち、CPU501は、プログラムに従って各種の処理を実行する、サーバ500全体の動作を制御するプロセッサである。また、プログラムは、たとえば、サーバ500の各部を動作させるためのオペレーティングシステム(システムソフトウェア)や、後述の機能ブロックを実現するためのアプリケーションソフトウェアといったプログラムである。
【0109】
RAM503には、CPU501が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
CPU501、ROM502およびRAM503は、バス504を介して相互に接続されている。このバス504にはまた、入出力インターフェース505も接続されている。
入出力インターフェース505には、出力部506、入力部507、記憶部508、および通信部509が接続されている。
【0110】
出力部506は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部507は、キーボードやマウス、マイク、カメラ等で構成され、受け付けた指示操作に応じて各種情報を入力する。なお、たとえば、タッチパネルにより、出力部506と入力部507とを一体にして実現してもよい。
【0111】
記憶部508は、サーバ500が情報処理を実行するために必要な各種データを記憶するものであって、たとえば、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
通信部509は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0112】
なお、サーバ500には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディアが適宜装着されるドライブを備えるものとしてもよい。このドライブにより、リムーバブルメディアから読み出されたプログラムを記憶部508にインストールすることができる。
また、リムーバブルメディアは、記憶部508に記憶されている各種データも、記憶部508と同様に記憶することができる。
【0113】
なお、情報処理装置500は単体で動作する装置に限らず、ネットワークNを介して通信を行うことで協調動作する分散型サーバシステムや、クラウドサーバでもよい。
【0114】
(情報処理装置500)
図11は、第3実施形態においてサーバとして機能する情報処理装置500の構成例を説明するブロック図である。
情報処理装置500は、収集部510と、解析部520と、送信部530とを有する。
【0115】
収集部510は、通信を介して外部からの緊急事態に関する情報を収集する手段である。この収集部510は、情報出力設備100から当該地域の状況に関する環境情報を受け付ける機能も備えている。
すなわち、収集部510は、第1実施形態における情報出力設備100が備える第1取得部10に相当する機能を有するものであって、災害などの発生時に発せられる緊急事態に関する情報を受信(検知)する機能を備える。ゆえに、収集部510は、たとえば、Jアラート、Lアラート、防災避難情報、防災気象情報、緊急地震速報など、様々なシステムや機関から発せられる非常時緊急情報を受信することができる機能を備えている。
【0116】
解析部520は、収集部510が受け付けた非常時緊急情報を解析して、対象地域と、お知らせ内容を特定すると共に、当該お知らせの重要度(現場に関係する危険の度合い)を判定する手段である。この解析部520は、収集部510が受け付けた環境情報を解析して重要度を判定する機能も備えている。
すなわち、収集部510は、第1実施形態における情報出力設備100が備える情報解析部51に相当する機能を有するものである。
【0117】
送信部530は、解析部520が特定したお知らせ内容と、解析部520が判定した重要度を含む緊急報知情報を生成し、対象地域に存在する情報出力設備100へ送信する手段である。この送信部530は、解析部520が判定した環境情報の重要度情報を当該情報出力設備100へ送信する機能も備えている。
すなわち、収集部510は、第1実施形態における情報出力設備100が備える出力指示部52に相当する機能を有するものである。
【0118】
したがって、情報処理装置500は、収集部510で受け付けた非常時緊急情報を解析部520で解析して、対象地域と、お知らせ内容を特定すると共に、当該お知らせの重要度を特定する。そして、送信部530が、お知らせ内容と重要度を含む緊急報知情報を生成し、対象地域に存在する情報出力設備100へ生成した緊急報知情報を送信するものである。
【0119】
次に、本実施形態に係る情報出力システムでの処理の流れを説明する。
図12は、第3実施形態に係る情報出力処理の一例を示すシーケンス図である。
【0120】
ステップS701において、緊急情報発出装置300が、非常時緊急情報を発出(発表)する。
【0121】
ステップS702において、情報処理装置500は、発出された非常時緊急情報を受け付ける。
引き続き、ステップS703において、情報処理装置500は、受け付けた非常時緊急情報を解析して、対象地域と、お知らせ内容を特定すると共に、当該お知らせの重要度(当該地域に関係する危険の度合い)を特定する。
そして、ステップS704において、情報処理装置500は、特定した重要度を含む緊急報知情報を生成し、対象地域に存在する情報出力設備100へ送信する。
【0122】
ステップS705において、情報出力設備100は、情報処理装置500から送信された緊急報知情報を受け付ける。
その後は、第1実施形態における情報出力システムでの処理の流れで説明したステップS305からステップS310と同じのため、その説明は省略する。
これにより、情報処理装置500は、広域的な非常時緊急情報を解析して対象地域に応じた非常時緊急情報を生成し、対象地域の情報出力設備100へ送信することで、情報出力設備100は、効率良く当該地域に関するお知らせを報知することができる。
【0123】
一方、ステップS711において、情報出力設備100は、取得している環境情報を情報処理装置500へ送信する。
ステップS712において、情報処理装置500は、情報出力設備100から送信される環境情報を受け付ける。
ステップS713において、情報処理装置500は、取得した環境情報を解析して重要度を特定する。
引き続き、ステップS714において、情報処理装置500は、特定した重要度情報を当該情報出力設備100へ送信する。この際、情報処理装置500は、当該情報出力設備100から受け付けた環境情報に基づく重要度情報を、当該情報出力設備100に隣接する他の情報出力設備に対して送信するようにしてもよい。
【0124】
ステップS715において、情報処理装置500は、情報処理装置500から送信された重要度情報を受け付ける。
そして、ステップS716において、情報処理装置500は、受け付けた重要度に応じた態様でお知らせを出力、または特定した重要度に応じて出力しているお知らせを停止する。
【0125】
これにより、地域の環境情報を情報処理装置500において解析して重要度を特定することができるので、情報出力設備100は、当該地域に関するお知らせを適切に、かつ、効率良く報知することができる。また、情報出力設備100に隣接する他の情報出力設備に対しても、当該情報出力設備100が取得した環境情報に基づく重要度情報を送信することで、緊急事態に関する情報を中域的なレベルで共有することができるものとなる。
【0126】
次に、情報処理装置500での詳細な情報出力処理の流れについて説明する。
図13は、本実施形態に係る情報出力処理の一例をそれぞれ示すフローチャート図である。
図13に示すように、ステップS801において、収集部510は、非常時緊急情報を受け付けたか(受信したか)否か判定する処理を行う。収集部510が、非常時緊急情報を受け付けた場合(S801でYES)、ステップS802へ進み、そうでない場合(S801でNO)は、ステップS805へ進む。
【0127】
ステップS802において、解析部520は、受け付けた非常時緊急情報を解析し、対象地域と、お知らせ内容を特定すると共に、当該お知らせの重要度を特定する処理を行う。
引き続き、ステップS803において、解析部520は、お知らせ内容と、その重要度を含む緊急報知情報を生成する処理を行う。
そして、ステップS804において、送信部530は、生成した緊急報知情報を対象地域に存在する情報出力設備100へ送信する処理を行う。
その後、情報処理装置500での動作は終了する(END)。
【0128】
一方、ステップS801において、収集部510が、非常時緊急情報を受け付けていない場合(S801でNO)は、ステップS805において、収集部510は、情報出力設備100から環境情報を受け付けたか(受信したか)否か判定する処理を行う。収集部510が、環境情報を受け付けた場合(S805でYES)、ステップS806へ進み、そうでない場合(S805でNO)は、情報処理装置500での動作を終了する(END)。
【0129】
ステップS806において、解析部520は、受け付けた環境情報を解析して重要度を特定する。
そして、ステップS807において、送信部530は、特定した重要度情報を、環境情報を受け付けた対象の情報出力設備100へ送信する。
その後、情報出力設備100での動作は終了する(END)。
【0130】
以上のように、本実施形態では、情報処理装置500において非常時緊急情報や環境情報の解析を行って必要な情報だけを該当地域の情報出力設備に対して送信するものとしているので、情報出力設備100は、効率良く当該地域に関するお知らせを報知することができる。
【0131】
なお、上述した一連の処理は例示に過ぎず、特に限定されない。ゆえに、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実装させることもできる。つまり、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるかは、特に上述の例に限定されない。
【0132】
ここで、第1取得部10は、第1取得手段、第1受付の一例である。第2取得部20は、第2取得手段、第2受付手段の一例である。環境取得部30は、環境情報取得手段、取得手段の一例である。出力部40は、出力手段の一例である。制御部50は、制御手段の一例である。情報出力設備100は、情報出力装置、報知設備、出力設備の一例である。収集部510は、収集手段の一例である。解析部520は、特定手段の一例である。送信部530は、送信手段の一例である。非常電源部60は、非常電源手段の一例である。
【0133】
以上、本実施形態について説明したが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0134】
10…第1取得部、20…第2取得部、30…環境取得部、40…出力部、41…避難誘導情報表示器、42…災害情報表示器、50…制御部、100…情報出力設備、500…情報処理装置
【要約】
【課題】広域的な情報と共に、狭域的な情報を出力することを可能とした技術を提供する。
【解決手段】本実施形態の情報出力装置は、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を本装置に対して遠距離に設けられる装置から取得する第1取得手段と、少なくとも非常時に関する情報を含む取得情報を本装置に対して近距離に設けられる装置またはユーザから取得する第2取得手段と、視覚的または聴覚的に出力情報を出力する出力手段と、第1取得手段および第2取得手段が取得した取得情報に基づいて、出力手段が出力する出力情報を制御する制御手段とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13