(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】皮膚外用組成物、抗炎症成分又は抗菌成分の皮膚浸透性をコントロールする方法、及び抗炎症成分又は抗菌成分による皮膚刺激を低減する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20250203BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20250203BHJP
A61K 31/4402 20060101ALI20250203BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20250203BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250203BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20250203BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250203BHJP
【FI】
A61K31/05
A61K9/08
A61K31/4402
A61K47/12
A61P29/00
A61P31/04
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2020147888
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2019159840
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】アラマ タマム
(72)【発明者】
【氏名】清水 崇
(72)【発明者】
【氏名】山科 翔
(72)【発明者】
【氏名】ヌエン タン タオ
(72)【発明者】
【氏名】林 綾子
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-065799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0049795(US,A1)
【文献】特開2017-203000(JP,A)
【文献】特開平09-169640(JP,A)
【文献】特開2012-149061(JP,A)
【文献】特開2013-147466(JP,A)
【文献】特開2015-010059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有するジカルボン酸、並びに
(B)抗炎症成分(b1)及び抗菌成分(b2)からなる群より選択される少なくとも1種の成分を含有する
皮膚外用組成物であって、
(A)ジカルボン酸がアジピン酸であり、抗炎症成分(b1)がイブプロフェンピコノールであり、抗菌成分(b2)がイソプロピルメチルフェノールであり、
前記皮膚外用組成物が抗菌成分(b2)としてのイソプロピルメチルフェノールを含む場合、その含有量が、組成物全体の0.3重量%~1重量%であることを特徴とする皮膚外用組成物
(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテルを含有するものを除く)。
【請求項2】
(B)成分が、抗炎症成分(b1)
としてのイブプロフェンピコノール及び抗菌成分(b2)
としてのイソプロピルメチルフェノールを含む、請求項
1に記載の皮膚外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用組成物、抗炎症成分又は抗菌成分の皮膚浸透性をコントロールする方法、及び抗炎症成分又は抗菌成分による皮膚刺激を低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗菌剤や抗炎症剤は、皮膚疾患の治療、種々の皮膚症状の改善のために、医薬品及び医薬部外品の有効成分として、皮膚外用剤に配合され使用されている。
【0003】
ところで、一部の患者及び/又は使用者においては、皮膚疾患の治療用医薬品の有効成分による副作用が発生し得ることが報告されており、ステロイド接触アレルギー、非ステロイド接触アレルギー、抗真菌剤接触アレルギー、抗生物質接触アレルギー、アレルギー性接触皮膚炎等がこれにあたる(非特許文献1参照)。
【0004】
また、アトピー性皮膚炎(AD)患者においては、局所薬物に対する接触皮膚炎の発症割合が、非AD患者よりも比較的高く表れることも知られている。(非特許文献2参照)。そのため、有効成分の肌への浸透性をコントロールすることが可能となれば、外用組成物の作用効果を維持しつつも、皮膚炎や皮膚刺激等の副作用の低減を実現出来るため、抗菌剤や抗炎症剤の浸透性をコントロールする技術が強く望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】中毒研究,Vol.12,No.3,Page.275-282,1999
【文献】Environmental Dermatology,Vol.7,No.3,Page137-143,2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、抗炎症成分、抗菌成分等の治療用医薬品の有効成分の皮膚への浸透性をコントロールできる技術を提供することを課題とする。さらに、上記有効成分の皮膚への浸透性をコントロール可能な皮膚外用組成物を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有するジカルボン酸を皮膚外用組成物中に含有させることにより、抗炎症成分、抗菌成分等の治療用医薬の有効成分の皮膚への浸透性をコントロールすることが可能であることを見出した。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0008】
[1](A)炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有するジカルボン酸、並びに
(B)抗炎症成分(b1)及び抗菌成分(b2)からなる群より選択される少なくとも1種の成分
を含有する皮膚外用組成物。
[2](A)ジカルボン酸の炭素数が4~9である、[1]に記載の皮膚外用組成物。
[3](b1)抗炎症成分が、非ステロイド系消炎鎮痛成分である、[1]又は[2]に記載の皮膚外用組成物。
[4](b2)抗菌成分が、イソプロピルメチルフェノールである、[1]から[3]のいずれかに記載の皮膚外用組成物。
[5](B)成分が、抗炎症成分(b1)及び抗菌成分(b2)を含む、[1]から[4]のいずれかに記載の皮膚外用組成物。
[6](A)ジカルボン酸が、アジピン酸、アゼライン酸、酒石酸、及びコハク酸からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]から[5]のいずれかに記載の皮膚外用組成物。
[7](A)炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有するジカルボン酸を使用することを特徴とする、製剤中の(B)抗炎症成分(b1)及び抗菌成分(b2)からなる群より選択される少なくとも1種の成分の皮膚浸透性をコントロールする方法。
[8](A)炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有するジカルボン酸を使用することを特徴とする、製剤中の(B)抗炎症成分(b1)及び抗菌成分(b2)からなる群より選択される少なくとも1種の成分による皮膚刺激を低減する方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の皮膚外用組成物によると、(A)炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有するジカルボン酸を含有していることにより、(B)抗炎症成分及び抗菌成分からなる群より選択される少なくとも1種の成分の皮膚層のより深部への浸透性を効果的にコントロールすることができる。そのため、本発明によると、上記(B)成分のような有効成分が皮膚層のより深部まで浸透してしまうことにより引き起こされる皮膚炎や皮膚刺激を低減することが可能な皮膚外用組成物を設計することができる。また、上記浸透性をコントロールすることで、有効成分がその作用効果を発揮すべき皮膚の層に貯留することができ、より効果的に作用を発揮することも出来る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書中で使用される用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で解釈される。
【0011】
<皮膚外用組成物>
本発明の皮膚外用組成物は、(A)炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有するジカルボン酸(本明細書中、単に「(A)ジカルボン酸」ともいう)、並びに(B)抗炎症成分(b1)及び抗菌成分(b2)からなる群より選択される少なくとも1種の成分(本明細書中、単に「(B)成分」ともいう)を含有する。本発明の皮膚外用組成物は、(A)ジカルボン酸を含有していることにより、(B)成分の皮膚層のより深部への浸透性を効果的にコントロールすることができる。そのため、本発明によると、上記(B)成分のような有効成分が皮膚層のより深部まで浸透してしまうことにより引き起こされる皮膚炎や皮膚刺激を低減・抑制することが可能となる。また、上記浸透性をコントロールすることで、有効成分がその作用効果を発揮すべき皮膚の層に貯留することができ、より効果的に作用を発揮することも出来る。
【0012】
本発明の皮膚外用組成物は、(A)ジカルボン酸及び(B)成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。以下に(A)ジカルボン酸及び(B)成分、並びにその他の成分について説明する。
【0013】
[(A)ジカルボン酸]
本発明の皮膚外用組成物が含有する(A)ジカルボン酸は、炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有する化合物である。具体的には、マロン酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。これらのうち、後述する(B)成分の皮膚層深部への浸透をコントロールする効果、特に抑制する効果に優れる観点から、炭素数が4~9のジカルボン酸であることが好ましく、アジピン酸、アゼライン酸であることがより好ましく、アジピン酸であることがさらに好ましい。なお、(A)成分としては、上記成分を1種単独で含んでいてもよいし、2種以上を一緒に含んでいてもよい。
【0014】
本発明の皮膚外用組成物における(A)ジカルボン酸の含有量としては、0.001重量%~10重量%であり、0.005重量%~5重量%であることが好ましく、0.01重量%~1重量%であることがより好ましく、0.05重量%~0.5重量%であることがさらに好ましい。本発明の皮膚外用組成物は、(A)ジカルボン酸を上記数値範囲で含有することにより、後述する(B)成分の皮膚層深部への浸透を効果的に抑制することができる。
【0015】
[(B)成分]
本発明の皮膚外用組成物が含有する(B)成分は、抗炎症成分(b1)及び抗菌成分(b2)からなる群より選択される少なくとも1種の成分である。皮膚疾患の治療用医薬品の有効成分として用いられるこれらの成分は、皮膚外用組成物に用いられた場合に、皮膚の表面付近だけでなく、皮膚層の真皮のより深部まで浸透することがあり、皮膚炎や皮膚刺激等の副作用を起こすこともある。本発明の皮膚外用組成物は、これらの有効成分と共に、上述の(A)ジカルボン酸を含有することで、有効成分の肌への浸透性をコントロールし、作用効果を維持しつつも、皮膚炎や皮膚刺激等の副作用の低減・抑制を実現出来るというものである。また、上記浸透性をコントロールすることで、有効成分がその作用効果を発揮すべき皮膚の層に貯留することができ、より効果的に作用を発揮することも出来る。さらに、(A)ジカルボン酸を含有させることにより、(B)成分の皮膚層のより深部への浸透性を効果的にコントロールすることができるだけでなく、(B)成分の安定性を向上させるという予想もできない効果が得られることもがわかった。
【0016】
上記抗炎症成分(b1)としては、炎症を抑える効果を奏する成分であれば特に限定されない。抗炎症成分は、ステロイド系抗炎症成分(SAIDs)と非ステロイド系抗炎症成分(NSAIDs)に分類されるが、(A)ジカルボン酸による浸透コントロール効果が得られやすいという観点から、本発明においては、非ステロイド系抗炎症成分(非ステロイド性消炎鎮痛成分)の方が好ましい。
【0017】
本発明において、非ステロイド性消炎鎮痛成分としては、例えば、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール(IPPN)、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート、ジフルニサル、インドメタシン、スプロフェン、ウフェナマート、ジメチルイソプロピルアズレン、ブフェキサマク、フェルビナク、ジクロフェナク、トルメチンナトリウム、クリノリル、フェンブフェン、ナプメトン、プログルメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、モフェゾラク、エトドラク、メフェナム酸、メフェナム酸アルミニウム、トルフェナム酸、フロクタフェニン、ケトフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ナパゲルン軟膏、エピリゾール、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、エモルファゾン、スルピリン、ミグレニン、サリドン、セデスG、アミピロ-N、ソルボン、ピリン系感冒薬、アセトアミノフェン、フェナセチン、メシル酸ジメトチアジン、シメトリド配合剤、非ピリン系感冒薬、アラントイン及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、サリチル酸誘導体、アミノカプロン酸、アズレン及びその誘導体、酸化亜鉛、酢酸トコフェロール等が挙げられる。
【0018】
これらのうち、(A)ジカルボン酸による浸透コントロール効果が得られやすいという観点から、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン等のプロピオン酸系抗炎症剤が好ましく、中でもイブプロフェンピコノールがより好ましい。
【0019】
本発明の皮膚外用組成物における抗炎症成分(b1)の含有量としては、0.01重量%~10重量%であり、0.05重量%~8重量%であることが好ましく、0.1重量%~5重量%であることがより好ましく、0.2重量%~3重量%であることがさらに好ましい。皮膚外用組成物が抗炎症成分(b1)を上記数値範囲で含有すると、皮膚層の真皮のより深部にまで浸透し、種々の副作用を起こすことがあるところ、上述の(A)成分を含むことにより、(b1)成分の浸透が制御され、副作用を低減・抑制することができる。
【0020】
上記抗菌成分(b2)としては、各種の細菌の増殖を抑制する効果、殺菌効果を奏する成分であれば特に限定されないが、例えば、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、サリチル酸、安息香酸、アモロルフィン、クロルヘキシジン、及びこれらの塩、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノグリシン等が挙げられる。
【0021】
これらのうち、(b2)成分としては、(A)ジカルボン酸による浸透コントロール効果が得られやすいという観点からイソプロピルメチルフェノール、及びこれらの塩が好ましく、イソプロピルメチルフェノール、サリチル酸、安息香酸がより好ましく、イソプロピルメチルフェノールがさらに好ましい。
【0022】
本発明の皮膚外用組成物における(b2)成分の含有量としては、0.005重量%~10重量%であり、0.01重量%~8重量%であることが好ましく、0.05重量%~5重量%であることがより好ましく、0.1重量%~3重量%であることがさらに好ましく、0.3重量%~1重量%が特に好ましい。皮膚外用組成物が抗菌成分(b2)成分を上記数値範囲で含有すると、皮膚層の真皮のより深部にまで浸透し、種々の副作用を起こすことがあるところ、上述の(A)成分を含むことにより、(b2)成分の浸透が制御され、副作用を低減・抑制することができる。
【0023】
本発明の皮膚外用組成物は、(A)成分による浸透コントロール効果が顕著であるという観点から、(B)成分として(b1)成分を少なくとも含むことが好ましく、(b1)成分及び(b2)成分を両方含むことがより好ましい。(B)成分として、(b1)、(b2)のいずれかを単独で含む場合と比較して、両方の成分を含む場合、(A)ジカルボン酸による皮膚への浸透コントロール効果がより顕著なものとなることは、本発明者も全く予想しなかった結果であった。
【0024】
本発明の皮膚外用組成物における(B)成分全体としての含有量としては、0.005重量%~20重量%であり、0.01重量%~15重量%であることが好ましく、0.05重量%~10重量%であることがより好ましく、0.1重量%~8重量%であることがさらに好ましく、0.5重量%~6重量%であることが特に好ましく、1重量%~5重量%であることが特により好ましく、2.0重量%~4.0重量%であることが最も好ましい。皮膚外用組成物が(B)成分を上記数値範囲で含有すると、皮膚層の真皮のより深部にまで浸透し、種々の副作用を起こすことがあるところ、上述の(A)成分を含むことにより、(B)成分の浸透が顕著に制御され、副作用を低減・抑制することができる。また、(B)成分の浸透がコントロールされ、皮膚層の上部に貯留されることにより、より有効に効果を奏することができる。
【0025】
本発明の皮膚外用組成物において、(A)ジカルボン酸と(B)成分の含有量の比は、(B)成分1重量部に対して、(A)ジカルボン酸が0.0001重量部~10重量部であり、0.001重量部~5重量部であることが好ましく、0.005重量部~1重量部であることがより好ましく、0.01重量部~0.5重量部であることがさらに好ましく、0.025重量部~0.1重量部であることが特に好ましい。本発明の皮膚外用組成物が(A)ジカルボン酸と(B)成分とを上記割合で含有することで、(B)成分が皮膚層の真皮のより深部にまで浸透し、種々の副作用を起こすことを効果的に抑制することができる。
【0026】
本発明の皮膚外用組成物において、(A)ジカルボン酸と(b1)成分の含有量の比は、(b1)成分1重量部に対して、(A)ジカルボン酸が0.0002重量部~5重量部であり、0.001重量部~4重量部であることが好ましく、0.002重量部~2重量部であることがより好ましく、0.01重量部~2重量部であることがさらにより好ましい。本発明の皮膚外用組成物が(A)ジカルボン酸と(b1)成分とを上記割合で含有することで、(b1)成分が皮膚層の真皮のより深部にまで浸透し、種々の副作用を起こすことを効果的に抑制することができる。
【0027】
本発明の皮膚外用組成物において、(A)ジカルボン酸と(b2)成分の含有量の比は、(b2)成分1重量部に対して、(A)ジカルボン酸が0.001重量部~200重量部であり、0.005重量部~100重量部であることが好ましく、0.01重量部~20重量部であることがより好ましく、0.05重量部~10重量部であることがさらに好ましく、0.1重量部~0.5重量部であることが特に好ましい。本発明の皮膚外用組成物が(A)ジカルボン酸と(b2)成分とを上記割合で含有することで、(b2)成分が皮膚層の真皮のより深部にまで浸透し、種々の副作用を起こすことを効果的に抑制することができる。
【0028】
[(C)キレート剤]
本発明の皮膚外用組成物は、さらに(C)キレート剤を含有することが好ましい。本発明の皮膚外用組成物は、(C)キレート剤をさらに含有することで、(B)成分の皮膚浸透をより効果的にコントロールすることができる。
【0029】
(C)キレート剤としては、例えば、EDTA、ヒドロキシエタンジホスホン酸、クエン酸及び、それらの塩が挙げられる。より具体的には、EDTA(EDTA-2Na塩、EDTA-4Na塩)、ヒロドキシエタンジホスホン酸・カルシウム・2ナトリウム塩等が挙げられる。これらのうち、本発明の効果をより促進する観点から、EDTA及びその塩が好ましい。
【0030】
本発明の皮膚外用組成物における(C)キレート剤の含有量としては、皮膚外用組成物全体の0.001重量%~1重量%であり、0,005重量%~0.5重量%であることが好ましく、0.01重量%~0.1重量%であることがより好ましい。(C)キレート剤を上記数値範囲で含有することで、(B)成分の皮膚浸透をより効果的にコントロールすることができる。
【0031】
[(D)脂質]
本発明の皮膚外用組成物は、さらに(D)脂質を含有することが好ましい。本発明の皮膚外用組成物は、(D)脂質をさらに含有することで、(B)成分の皮膚浸透を効果的にコントロールすることができる。
【0032】
(D)脂質としては、リン脂質、コレステロール、セラミド等が挙げられる。これらのうち、本発明の効果をより促進する観点から、リン脂質が好ましく、中でもレシチン、水素添加レシチンがより好ましい。
【0033】
本発明の皮膚外用組成物における(D)脂質の含有量としては、皮膚外用組成物全体の0.001重量%~8重量%であり、0,01重量%~5重量%であることが好ましく、0.05重量%~3重量%であることがより好ましく、0.1重量%~2重量%であることがさらにより好ましい。(D)脂質を上記数値範囲で含有することで、(B)成分の皮膚浸透をより効果的にコントロールすることができる。
【0034】
本発明の皮膚外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の(A)~(D)の成分以外に、その他の任意成分、基剤又は担体、添加剤等を含んでいてもよい。
【0035】
[任意成分]
本発明の皮膚外用組成物が含む任意成分としては、例えば、美白成分、ターンオーバー促進剤、抗糖化成分、抗酸化成分、老化防止成分、(b1)成分以外の抗炎症剤、清涼化剤、ビタミン類、(A)ジカルボン酸以外の有機酸、保湿成分、多価アルコール、乳化剤、スクラブ剤、紫外線吸収成分、紫外線散乱成分、収斂成分、ペプチド又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、洗浄成分、角質柔軟成分、細胞賦活化成分、血行促進作用成分等が挙げられる。なお、本発明の皮膚外用組成物において、これらの各成分は、それぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記美白成分としては、例えば、トコフェロール、ビタミンC及びその誘導体、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、エラグ酸、ニコチン酸アミド、トラネキサム酸及びその誘導体、ハイドロキノン、4-n-ブチルレゾルシノール、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、リノール酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0037】
上記ターンオーバー促進剤としては、例えば、後述するビタミン類、角質柔軟成分、細胞賦活化成分、血行促進成分等が挙げられる。
【0038】
上記抗糖化成分としては、例えば、ブドレジャアキシラリス葉エキス等の植物エキス、月見草油、アムラーの果実、果汁又はそれらの抽出物、L-アルギニン、L-リジン、加水分解カゼイン、加水分解性タンニン、カルノシン等が挙げられる。
【0039】
上記抗酸化成分としては、例えば、植物(例えば、ブドウ、オタネニンジン、及びコンフリー等)に由来する成分;プロアントシアニジン、トコフェロール及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、へスペリジン及びその誘導体、エルゴチオネイン、亜硫酸水素ナトリウム、エリソルビン酸及びその塩、フラボノイド、グルタチオン等が挙げられる。
【0040】
上記老化防止成分としては、例えば、加水分解大豆タンパク、レチノイド(レチノール及びその誘導体、レチノイン酸、及びレチナール等)、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N-メチル-L-セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。
【0041】
上記清涼化剤としては、例えばメントール、カンフル、ゲラニオール、等のテルペン類(これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。);ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油等の精油等が挙げられる。
【0042】
上記ビタミン類としては、水溶性ビタミン及び油溶性ビタミンのいずれであってもよく、例えば、ビタミンB6類、パントテン酸類、ニコチン酸類、ビタミンB1類、ビタミンB2類、ビオチン類葉酸類、ビタミンB12類、水溶性のビタミンC類、油溶性のビタミンC類、ビタミンK類;フェルラ酸等のビタミン様作用因子等が挙げられる。
【0043】
上記(A)ジカルボン酸以外の有機酸としては、例えば、グルコン酸、アスパラギン酸、アミノエチルスルホン酸、クエン酸、グルタミン酸、シュウ酸、フマル酸、プロピオン酸、リンゴ酸、サリチル酸、グリコール酸、フィチン酸、酢酸、乳酸、及びこれらの塩が挙げられる。塩としては、例えば、硫酸、塩酸又はリン酸等の鉱酸の塩、マレイン酸又はメタンスルホン酸等の有機酸の塩、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0044】
上記保湿成分としては、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヘパリン類似物質、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン、プロテオグリカン等の高分子化合物;グリシン、アスパラギン酸、アルギニン等のアミノ酸;乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の天然保湿因子;カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、シソエキス等の植物抽出エキス、グリセリンなどの多価アルコール等が挙げられる。
【0045】
上記多価アルコールとしては、炭素数2~10のものが好ましく、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、1、3-ブチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
【0046】
上記乳化剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン等のポリエーテル系のシリコーン;POE(5)、POE(7.5)、POE(10)硬化ひまし油等のポリオキシエチレン硬化ひまし油;ジポリヒドロキシステアリン酸エステル類:ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、PEG30ジポリヒドロキシステアレート等の高分子量親油性活性剤;セチルジメチコンコポリオール等が挙げられる。
【0047】
上記スクラブ剤としては、例えば、アプリコット核粉末、アーモンド殻粉末、アンズ核粉末、塩化ナトリウム粒、オリーブ核粉末、海水乾燥物粒、キャンデリラワックス、くるみ殻粉末、さくらんぼ核粉末、サンゴ粉末、炭粉末、はしばみ殻粉末、ポリエチレン末、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0048】
上記紫外線吸収成分としては、例えば、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート、ポリシリコーン-15、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸等が挙げられる。
【0049】
上記紫外線散乱成分としては、例えば、含水ケイ酸、ケイ酸亜鉛、ケイ酸セリウム、ケイ酸チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、無水ケイ酸等の無機化合物、これらの無機化合物を含水ケイ酸、水酸化アルミニウム、マイカやタルク等の無機粉体で被覆したり、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ナイロン等の樹脂粉体に複合化したもの、さらにシリコーン油や脂肪酸アルミニウム塩等で処理したもの等が挙げられる。
【0050】
上記収斂成分としては、例えば、ミョウバン、硫酸亜鉛、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛、タンニン酸等が挙げられる。
【0051】
上記ペプチド又はその誘導体としては、例えば、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)等が挙げられる。
【0052】
上記アミノ酸又はその誘導体としては、例えば、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β-アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、タウリン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン等が挙げられる。
【0053】
上記洗浄成分としては、例えば、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム又はステアリン酸カリウム等のアルカリ金属塩、アルカノールアミド塩又はアミノ酸塩等から選ばれる石けん類;ココイルグルタミン酸Na、ココイルメチルタウリンNa等のアミノ酸系界面活性剤;ラウレス硫酸Na等のエーテル硫酸エステル塩;ラウリルエーテル酢酸Na等のエーテルカルボン酸塩;アルキルスルホコハク酸エステルNa等のスルホコハク酸エステル塩;ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド;ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム等のモノアルキルリン酸エステル塩;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等のベタイン型両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等のアミノ酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0054】
上記角質柔軟成分としては、例えば、乳酸、サリチル酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、フルーツ酸、フィチン酸、尿素、イオウ等が挙げられる。
【0055】
上記細胞賦活化成分としては、例えば、γ-アミノ酪酸等のアミノ酸類;レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類等のビタミン類;グリコール酸、乳酸等のα-ヒドロキシ酸類;タンニン、フラボノイド、サポニン、感光素301号等が挙げられる。
【0056】
上記血行促進作用成分としては、植物(例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、ショウガ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウガラシ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、リョクチャ、ローズマリー、ローズヒップ、チンピ、トウキ、トウヒ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ等)に由来する成分;アセチルコリン、イクタモール、カンタリスチンキ、ガンマーオリザノール、セファランチン、トラゾリン、ニコチン酸トコフェロール、グルコシルヘスペリジン等が挙げられる。
【0057】
[基材又は担体]
上記基剤又は担体としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン等の炭化水素;メチルポリシロキサン、環状シリコーン、変性シリコーン、シリコーンレジン等のシリコーン油;ヤシ油、オリーブ油、コメヌカ油、シアバター等の油脂;ホホバ油、ミウロウ、キャンデリラロウ、ラノリン等のロウ類;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、フィトステロール等の高級アルコール;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、ポリエチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット等のエステル類;デキストリン、マルトデキストリン等の多糖類;エタノール等の低級アルコール;ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル;水等が挙げられる。
【0058】
以上説明した基剤又は担体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。またそれらの使用量は当業者に公知の範囲から適宜選択される。
【0059】
[添加剤]
本発明の皮膚外用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、医薬品、医薬部外品に添加される公知の添加剤、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、着色剤、パール光沢付与剤、pH調整剤、保存剤、増粘剤等を添加することができる。これらの添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0060】
上記界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれでもよく、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80等の硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、オレイルアミン等のアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0061】
上記酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩等が挙げられる。
【0062】
上記着色剤としては、例えば、無機顔料、天然色素等が挙げられる。
【0063】
上記pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸等)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム等)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)等が挙げられる。
【0064】
上記保存剤としては、例えば、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール、カプリルヒドロキサム酸、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等のアルカンジオール類等が挙げられる。
【0065】
上記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系増粘剤、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤、グアーガム、ペクチン、プルラン、ゼラチン、ローカストビーンガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコール、マクロゴール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー等が挙げられる。
【0066】
[皮膚外用組成物の製造方法]
本発明の皮膚外用組成物の製造方法は特に制限されず、必須成分である(A)ジカルボン酸、(B)成分及び必要に応じて配合されるその他の成分(任意成分、基剤又は担体、添加剤等)を適宜選択、配合して、常法により製造することができる。
【0067】
[皮膚外用組成物の用途]
本発明の皮膚外用組成物は、抗炎症、抗菌等の治療効果を少なくとも目的のひとつとした医薬品、医薬部外品として用いられてもよい。
【0068】
[製剤形態]
本発明の皮膚外用組成物の製剤形態は特に限定されず、例えば、液剤、クリーム製剤、ジェル製剤、ゼリー製剤、シャーベット製剤、エアゾール剤、フォーム製剤、スプレー製剤、貼付剤、スティック製剤、その他軟膏剤、固形剤等が挙げられる。これらの製剤は、常法、例えば第17改正日本薬局方製剤総則に記載の方法等に従い製造することができる。また目的とする安定性、使用感等を考慮し、適宜、W/O、O/W、W/O/W、O/W/O型エマルション等の剤型が選択できる。なお、貼付剤は、例えば、不織布シート、ゲルシート等に、美容液組成物、化粧水組成物、乳液組成物等を含浸させたものであってもよい。
【0069】
[pH]
本発明の皮膚外用組成物のpHは、通常pH3.0~8.0であり、pH3.5~7.5であることが好ましく、pH4.0~6.8であることがさらに好ましく、pH4.5~6.5であることがさらにより好ましく、pH5.0~6.0であることが特に好ましい。なお、このpHは、例えば、pH調整剤の使用により調整することができる。ただし、pH測定が不能又は困難な製剤形態については、この限りではない。
【0070】
本発明の皮膚外用組成物の、投与方法或いは適用方法としては、経皮投与等が挙げられるが、疾患の種類、使用目的に応じて好適な方法を適宜選択すればよい。
【0071】
本発明の皮膚外用組成物は、皮膚への浸透性をコントロールすることにより、皮膚刺激性を低減する効果があるため、敏感肌用、肌荒れした皮膚用に供することもできる。敏感肌とは、皮膚に明らかな炎症又は損傷がない状態であるにも係らず、角質のバリア機能が低下しているために、外環境からの刺激(化学物質、髪、衣類などの線維等)によって、チクチクとした痛みや、灼熱感を感じやすい状態の肌質のことを示す。敏感肌では、角質間の細胞間脂質の量が健常肌よりも少なくなっている等の原因で、肌のキメが乱れて、バリア機能が低下し、刺激の閾値が下がり刺激を感じやすい肌になっている。従って、本発明の外用組成物は、敏感肌の肌質改善に好適に使用できる。また、肌荒れした皮膚には、肌のキメが乱れ、即ちバリア機能が破綻した皮膚や、バリア機能が破綻し易い敏感肌などが含まれる。
【0072】
<(B)成分の皮膚浸透性をコントロールする方法>
本発明は、(A)炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有するジカルボン酸を使用することを特徴とする、製剤中の(B)抗炎症成分(b1)及び抗菌成分(b2)からなる群より選択される少なくとも1種の成分の皮膚浸透性をコントロールする方法も含む。上記(b1)成分及び/又は(b2)成分を有効成分として含む皮膚外用組成物において、(A)ジカルボン酸を一緒に配合することにより、上記(b1)成分及び/又は(b2)成分が皮膚層のより深部へと浸透するのを効果的にコントロールすることができることを、本発明者らが初めて見出した。この新しい技術により、上記(B)成分のような有効成分が皮膚層のより深部まで浸透してしまうことにより引き起こされる可能性のある皮膚炎や皮膚刺激を低減・抑制することが可能となった。上述の皮膚外用組成物は、この技術を実現した製剤である。なお、本発明の方法における(A)ジカルボン酸、(B)成分等の具体的な説明としては、皮膚外用組成物の項における説明をそのまま適用できる。
【0073】
<(B)成分による皮膚刺激を低減する方法>
本発明は、(A)炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有するジカルボン酸を使用することを特徴とする、製剤中の(B)抗炎症成分(b1)及び抗菌成分(b2)からなる群より選択される少なくとも1種の成分による皮膚刺激を低減する方法も含む。上記(b1)成分及び/又は(b2)成分を有効成分として含む皮膚外用組成物において、(A)ジカルボン酸を一緒に配合することにより、上述のとおり、上記(b1)成分及び/又は(b2)成分が皮膚層のより深部へと浸透するのを効果的にコントロールすることができる。本発明のこの技術により、上記(B)成分のような有効成分が皮膚層のより深部まで浸透してしまうことで引き起こされる可能性のある皮膚炎や皮膚刺激を低減・抑制することが可能となった。したがって、本発明は、(A)炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有するジカルボン酸を使用することを特徴とする、(B)成分による皮膚刺激を低減する方法ということもできる。なお、本発明の方法における(A)ジカルボン酸、(B)成分等の具体的な説明としては、皮膚外用組成物の項における説明をそのまま適用できる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されない。
【0075】
<皮膚浸透性試験>
本試験において、有効成分の浸透性は、経済協力開発機構(OECD)の化学物質の試験に関するガイドラインに従い、In vitro皮膚吸収試験法であるOECD TG428(Skin Absorption:In vitro Method、2004年4月13日採択)に沿って試験を行い、算出した。
【0076】
より詳細には、表1の組成に従って、常法により各組成物を調製し、組成物中の各成分の浸透性を、無限閉鎖系において、フランツセル(PermeGear社、ジャケット付静置型-平面ジャケット-クリア-9mm,5mL,透過面積0.64平方センチ)を用いて測定することで確認した。すなわち、リザーバー溶液(PBS中0.1%(w /v )ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル(20E.O.)を調製し、レセプター室にリザーバー溶液5mLを充填し、30分撹拌した。フランツセルとすり付きガラスドナーの間に皮膚片(豚皮(Yucatan Micro Pig)、約700μm)を挟み、固定した。恒温槽を32℃に設定し、恒温槽とフランツセルを繋ぎ、リザーバー溶液が一定温度に保たれるようにした。攪拌開始時から24時間後、フランツセルを分解し、皮膚片を取り除き、リザーバー溶液を採取して、リザーバー溶液中の各成分の含有量を、HPLCにて測定した。各成分の検出は紫外吸光光度計を用い、波長280nmにて行い、各成分の検量線から含有量(率)を算出した。各組成物についての浸透性抑制率は、下記式(1)に従って算出した。なお、下記式中の「対応する比較例」とは、実施例と同じ番号の比較例をさし、例えば実施例1に対応する比較例は比較例1である。試験の結果を表1に併せて示す。
【0077】
浸透抑制率(%)=(1-実施例の浸透量/対応する比較例の浸透量)×100
・・・(1)
【0078】
【0079】
上記の表1に示すとおり、有効成分であるイソプロピルメチルフェノール及び/又はイブプロフェンピコノールを含有する皮膚外用組成物においては、アジピン酸を配合している実施例では、配合していない比較例に比べ、イソプロピルメチルフェノール、イブプロフェンピコノールのいずれの成分についても、真皮よりさらに深部までの浸透が抑制されることが確認された。つまり、アジピン酸を配合していない比較例1及び2の皮膚外用組成物では、皮膚に塗布された場合に、それぞれが含む有効成分が表皮及び真皮を透過して、より深部まで浸透するのに対して、アジピン酸を配合している実施例1及び2の皮膚外用組成物では、上記のような深部までの有効成分の浸透が有意に抑制されることがわかった。興味深いことに、上記有効成分を2種類含む実施例2においては、イブプロフェンピコノールのみを含む実施例1に比べて有効成分の浸透抑制率が顕著に高いことがわかった。さらに、キレート剤であるEDTAや脂質であるレシチンを含有させると(実施例3、実施例4)、有効成分の浸透抑制率が顕著に高まることが確認された。
【0080】
また、イブプロフェンピコノール3%とアジピン酸0.1%、1、3-ブチレングリコール、パルミチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、エタノール、グリセリン、ステアリン酸ソルビタン、スクワラン、カルボキシビニルポリマー、大豆レシチン、コレステロール、エデト酸Na、pH調整剤、防腐剤を含有するクリーム製剤(実施例5、pH5.6)、及びアジピン酸0.1%を含まない以外は実施例5と同じ処方のクリーム製剤(比較例5、pH5.6)を調製し、最内層がポリエチレン製のチューブ容器に充填し、遮光下、40℃で2か月保管した。実施例5のクリーム製剤においては、比較例5と比較してイブプロフェンピコノールの安定性が向上する傾向が見られた。アジピン酸を含有させることにより、イブプロフェンピコノールの皮膚層のより深部への浸透性を効果的にコントロールすることができるだけでなく、イブプロフェンピコノールの安定性を向上させるという予想もできない効果が得られることがわかった。
【0081】
本発明の皮膚外用組成物の処方例(製剤実施例)を以下に示す。以下は全て常法により調製することができる。なお、本発明はこれらの製剤処方例に限定されるものではない。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の皮膚外用組成物によると、(A)炭素数が3~10であり、かつ両末端にカルボキシル基を有するジカルボン酸を含有していることにより、(B)抗炎症成分及び抗菌成分からなる群より選択される少なくとも1種の成分の皮膚層のより深部への浸透性を効果的にコントロールすることができる。そのため、本発明によると、上記(B)成分のような有効成分が皮膚層のより深部まで浸透してしまうことにより引き起こされる皮膚炎や皮膚刺激を低減することが可能な皮膚外用組成物を設計することができる。また、(B)成分を皮膚層のより上部で貯留させることにより、有効性をより向上させた皮膚外用組成物を設計することができる。