(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】利用者支援装置、利用者支援方法及び利用者支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20250203BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20250203BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20250203BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20250203BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20250203BHJP
A61B 5/107 20060101ALN20250203BHJP
【FI】
G05D1/43
B25J5/00 E
A61B5/01
A61B5/00 M
A61B5/11 120
A61B5/107 300
(21)【出願番号】P 2020186417
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】下川 美代子
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-246665(JP,A)
【文献】特開2020-021351(JP,A)
【文献】国際公開第2020/129312(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/211932(WO,A1)
【文献】特開2019-087218(JP,A)
【文献】特表2019-525342(JP,A)
【文献】特開2017-207942(JP,A)
【文献】特開2009-001425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/87
B25J 5/00
A61B 5/01
A61B 5/00
A61B 5/11
A61B 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の間取りを示しており、予め生成されている間取り図データを取得するデータ取得部と、
前記間取り図データに基づいて、移動型装置に前記建物の内部を移動させ、前記建物の利用者の活動及び健康状態の少なくとも一方を示す利用者データを前記移動型装置に収集させる移動型装置制御部と、
前記利用者データを使用して前記建物の利用者を支援する利用者支援部と、
カメラが接続されている入出力装置と、を備え、
前記データ取得部は、
前記建物が有する複数の階の間取りを示す前記間取り図データと、
前記移動型装置に組み込まれた前記カメラにより撮影された静止画像又は動画像を構成する静止画像
に物体認識を適用することで前記静止画像と前記静止画像が撮影された階とを対応付けた、前記建物の階を特定する処理に使用される特定用データとを取得し、
前記移動型装置制御部は、
前記特定用データを使用して前記移動型装置が存在している前記建物の階を特定し、前記移動型装置が存在している階の間取り図に基づいて、前記移動型装置に前記建物の内部を移動させる
利用者支援装置。
【請求項2】
前記特定用データは、前記移動型装置が生成するデータであって、前記静止画像に、前記移動型装置が物体認識を適用して前記建物の一つの階に特有の構造と設備を検索することで、前記構造と設備を描出している前記静止画像と前記静止画像が撮影された階とを対応付けたものである
請求項1に記載の利用者支援装置。
【請求項3】
前記間取り図データは、建物が有する複数の階のうち少なくとも一つの間取りを示しており、
前記移動型装置制御部は、前記特定用データを使用して特定した前記移動型装置が存在している前記建物の階に対応する前記間取り図データに基づいて、前記移動型装置に前記建物の内部を移動させる
請求項2に記載の利用者支援装置。
【請求項4】
前記建物が、
戸建て住宅である、請求項1
から請求項3のいずれか一つに記載の利用者支援装置。
【請求項5】
前記データ取得部は、前記建物に含まれている部屋の種類及び前記建物に設置されている設備の種類の少なくとも一方を示す前記間取り図データを取得する、
請求項1
から請求項4のいずれか一つに記載の利用者支援装置。
【請求項6】
前記データ取得部は、前記建物の利用者ごとに割り当てられている区画が複数描出されている間取りを示す前記間取り図データを取得する、
請求項1から請求項
5のいずれか一つに記載の利用者支援装置。
【請求項7】
前記移動型装置制御部は、前記建物の利用者に対して非接触で前記利用者データを前記移動型装置に収集させる、
請求項1から請求項
6のいずれか一つに記載の利用者支援装置。
【請求項8】
前記移動型装置は、カメラ及びセンサの少なくとも一方を備え、
前記移動型装置制御部は、前記カメラ及びセンサの少なくとも一方により、前記利用者データを前記移動型装置に収集させる、
請求項1から請求項
7のいずれか一つに記載の利用者支援装置。
【請求項9】
コンピュータが、
建物が有する複数の階の間取りを示しており、予め生成されている間取り図データと、
前記建物の内部を移動する移動型装置に組み込まれたカメラにより撮影された静止画像又は動画像を構成する静止画像
に物体認識を適用することで前記静止画像と
前記静止画像が撮影された階とを対応付けた、前記建物の階を特定する処理に使用される特定用データとを取得する第1ステップと、
前記間取り図データに基づいて、前記特定用データを使用して移動型装置が存在している前記建物の階を特定し、前記移動型装置が存在している階の間取り図に基づいて、前記移動型装置に前記建物の内部を移動させる第2ステップと、
前記建物の利用者の活動及び健康状態の少なくとも一方を示す利用者データを前記移動型装置に収集させる第3ステップと、
前記利用者データを使用して前記建物の利用者を支援する第4ステップと、
を実行する利用者支援方法。
【請求項10】
前記第3ステップでは、前記建物の利用者に対して非接触で前記利用者データを前記移動型装置に収集させる、
請求項
9に記載の利用者支援方法。
【請求項11】
前記移動型装置は、カメラ及びセンサの少なくとも一方を備え、
前記第3ステップでは、前記移動型装置が、前記移動型装置が備えるカメラ及びセンサの少なくとも一方により、前記利用者データを収集する、
請求項
9又は請求項
10に記載の利用者支援方法。
【請求項12】
コンピュータに、
建物が有する複数の階の間取りを示しており、予め生成されている間取り図データと、
前記建物の内部を移動する移動型装置に組み込まれたカメラにより撮影された静止画像又は動画像を構成する静止画像
に物体認識を適用することで前記静止画像と
前記静止画像が撮影された階とを対応付けた、前記建物の階を特定する処理に使用される特定用データとを取得する取得機能と、
前記間取り図データに基づいて、前記特定用データを使用して移動型装置が存在している前記建物の階を特定し、前記移動型装置が存在している階の間取り図に基づいて、前記移動型装置に前記建物の内部を移動させ、前記建物の利用者の活動及び健康状態の少なくとも一方を示す利用者データを前記移動型装置に収集させる移動型装置制御機能と、
前記利用者データを使用して前記建物の利用者を支援する利用者支援機能と、
を実現させる利用者支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者支援装置、利用者支援方法及び利用者支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)が様々な分野で普及しており、住宅、オフィス等で移動型ロボット等の移動型装置が使用されるケースが増えている。例えば、住宅においては、夫婦共働き世帯や高齢者世帯の増加によりロボット掃除機の普及が進んでいる。移動型装置は、建物内で的確に移動して動作する上で、当該建物の間取り図を必要とすることが多い。例えば、建物の間取り図を生成する技術の一例として、特許文献1に開示されている方法が挙げられる。
【0003】
上述した方法は、家を自律的に移動しながらカメラで画像を自律的に撮影して家の空間を識別し、部屋識別情報をそれぞれ有する複数の領域に分割した家のマップを生成する方法である。また、上述した方法は、部屋識別マーカーをユーザに選択させて部屋識別マーカーを部屋識別情報に割り当て、移動ロボットに行先の部屋識別マーカーの指定に対応する位置へ計画された経路を進ませる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
しかし、上述した方法は、マップを生成する処理を実行する必要があるため、当該処理を実行する装置に一定以上の処理負荷を負わせてしまう。また、建物の間取り図を自動的に生成する技術には、未だに克服されていない技術的な課題も残されている。例えば、上述した方法は、家のマップを生成することが可能であるものの、当該マップ上の部屋の種類を自動的に認識することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、建物の間取り図を生成することなく、移動型ロボット等の移動型装置を建物内で的確に動作させ、移動型装置に建物の利用者を支援させることができる利用者支援装置、利用者支援方法及び利用者支援プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、建物の間取りを示しており、予め生成されている間取り図データを取得するデータ取得部と、前記間取り図データに基づいて、移動型装置に前記建物の内部を移動させ、前記建物の利用者の活動及び健康状態の少なくとも一方を示す利用者データを前記移動型装置に収集させる移動型装置制御部と、前記利用者データを使用して前記建物の利用者を支援する利用者支援部と、カメラが接続されている入出力装置と、を備え、前記データ取得部は、前記建物が有する複数の階の間取りを示す前記間取り図データと、前記移動型装置に組み込まれた前記カメラにより撮影された静止画像又は動画像を構成する静止画像に物体認識を適用することで前記静止画像と前記静止画像が撮影された階とを対応付けた、前記建物の階を特定する処理に使用される特定用データとを取得し、前記移動型装置制御部は、前記特定用データを使用して前記移動型装置が存在している前記建物の階を特定し、前記移動型装置が存在している階の間取り図に基づいて、前記移動型装置に前記建物の内部を移動させる利用者支援装置である。
【0008】
また、上述した利用者支援装置において、前記特定用データは、前記移動型装置が生成するデータであって、前記静止画像に、前記移動型装置が物体認識を適用して前記建物の一つの階に特有の構造と設備を検索することで、前記構造と設備を描出している前記静止画像と前記静止画像が撮影された階とを対応付けたものであってもよい。
【0009】
また、上述した利用者支援装置において、前記間取り図データは、建物が有する複数の階のうち少なくとも一つの間取りを示しており、前記移動型装置制御部は、前記特定用データを使用して特定した前記移動型装置が存在している前記建物の階に対応する前記間取り図データに基づいて、前記移動型装置に前記建物の内部を移動させてもよい。
【0010】
また、上述した利用者支援装置において、前記建物が、戸建て住宅であってもよい。
【0012】
また、上述した利用者支援装置において、前記移動型装置制御部は、前記建物の利用者に対して非接触で前記利用者データを前記移動型装置に収集させてもよい。
【0013】
また、上述した利用者支援装置において、前記移動型装置は、カメラ及びセンサの少なくとも一方を備え、前記移動型装置制御部は、前記カメラ及びセンサの少なくとも一方により、前記利用者データを前記移動型装置に収集させてもよい。
【0014】
本発明の一態様は、コンピュータが、
建物が有する複数の階の間取りを示しており、予め生成されている間取り図データと、前記建物の内部を移動する移動型装置に組み込まれたカメラにより撮影された静止画像又は動画像を構成する静止画像に物体認識を適用することで前記静止画像と前記静止画像が撮影された階とを対応付けた、前記建物の階を特定する処理に使用される特定用データとを取得する第1ステップと、前記間取り図データに基づいて、前記特定用データを使用して移動型装置が存在している前記建物の階を特定し、前記移動型装置が存在している階の間取り図に基づいて、前記移動型装置に前記建物の内部を移動させる第2ステップと、前記建物の利用者の活動及び健康状態の少なくとも一方を示す利用者データを前記移動型装置に収集させる第3ステップと、前記利用者データを使用して前記建物の利用者を支援する第4ステップと、を実行する利用者支援方法である。
【0015】
また、上述した利用者支援方法において、前記第3ステップでは、前記建物の利用者に対して非接触で前記利用者データを前記移動型装置に収集させてもよい。
【0016】
また、上述した利用者支援方法において、前記移動型装置は、カメラ及びセンサの少なくとも一方を備え、前記第3ステップでは、前記移動型装置が、前記移動型装置が備えるカメラ及びセンサの少なくとも一方により、前記利用者データを収集してもよい。
【0017】
本発明の一態様は、コンピュータに、建物が有する複数の階の間取りを示しており、予め生成されている間取り図データと、前記建物の内部を移動する移動型装置に組み込まれたカメラにより撮影された静止画像又は動画像を構成する静止画像に物体認識を適用することで前記静止画像と前記静止画像が撮影された階とを対応付けた、前記建物の階を特定する処理に使用される特定用データとを取得する取得機能と、前記間取り図データに基づいて、前記特定用データを使用して移動型装置が存在している前記建物の階を特定し、前記移動型装置が存在している階の間取り図に基づいて、前記移動型装置に前記建物の内部を移動させ、前記建物の利用者の活動及び健康状態の少なくとも一方を示す利用者データを前記移動型装置に収集させる移動型装置制御機能と、前記利用者データを使用して前記建物の利用者を支援する利用者支援機能と、を実現させる利用者支援プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、建物の間取り図を生成することなく、移動型装置を建物内で的確に動作させ、移動型装置に建物の利用者を支援させることができる利用者支援装置、利用者支援方法及び利用者支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る利用者支援装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る利用者支援装置の機能的な構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る間取り図データにより示されている間取りの一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る移動体が建物の内部を移動している場面の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る利用者支援装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態]
図1から
図4を参照しながら実施形態に係る利用者支援装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る利用者支援装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図1に示すように、利用者支援装置10は、プロセッサ11と、主記憶装置12と、通信インターフェース13と、補助記憶装置14と、入出力装置15と、バス16とを備える。
【0021】
以下の説明では、利用者支援装置10が建物内で使用される移動型装置に搭載されている場合を例に挙げて説明する。ここで言う建物は、例えば、戸建て住宅、集合住宅、オフィスビルである。また、移動型装置は、例えば、ロボット掃除機、愛玩用ロボット、ドローンであり、建物内で使用され得るロボット全般を含んでいる。
【0022】
また、利用者支援装置10は、移動型装置に搭載されている場合、プロセッサ11、主記憶装置12、通信インターフェース13、補助記憶装置14、入出力装置15及びバス16の少なくとも一つを当該移動型装置と共有していてもよい。
【0023】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、利用者支援プログラムを読み出して実行し、利用者支援装置10が有する各機能を実現させる。また、プロセッサ11は、利用者支援装置10以外のプログラムを読み出して実行し、利用者支援装置10が有する各機能を実現させる上で必要な機能を実現させてもよい。さらに、プロセッサ11は、通信インターフェース13を介して受信されたデータをこれらの機能を実行する際に使用してもよい。
【0024】
主記憶装置12は、例えば、RAM(Random Access Memory)であり、プロセッサ11により読み出されて実行される利用者支援プログラムその他プログラムを予め記憶している。
【0025】
通信インターフェース13は、
図1に示したネットワークNWを介して他の機器と通信を実行するためのインターフェース回路である。また、ネットワークNWは、例えば、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、インターネット、イントラネットである。
【0026】
補助記憶装置14は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ROM(Read Only Memory)である。補助記憶装置14は、例えば、プログラム、後述する利用者用データ、特定用データ等のデータが格納される。
【0027】
入出力装置15は、例えば、入出力ポート(Input/Output Port)である。入出力装置15は、例えば、入力装置151、出力装置152、カメラ153、センサ154が接続されている。また、入力装置151、出力装置152、カメラ153及びセンサ154は、例えば、移動型装置に組み込まれている。
【0028】
入力装置151は、例えば、タッチパネルディスプレイ、マウス、キーボードであり、利用者支援装置10の操作、利用者支援装置10へのデータの入力に使用される。出力装置152は、例えば、タッチパネルディスプレイ、スピーカであり、利用者支援装置10がユーザに情報を提示するために使用される。
【0029】
カメラ153は、利用者支援装置10が建物の利用者を支援する上で必要な利用者データ及び建物の階を特定する処理に使用される特定用データの少なくとも一方を生成するために使用される。
【0030】
例えば、カメラ153は、移動型装置が建物の利用者の動作及び当該動作の特徴を認識するために使用する動画像を撮影する。ここで言う建物の利用者の動作は、例えば、歩行、椅子又は床から立ち上がる動作である。また、ここで言う建物の利用者の動作の特徴は、例えば、歩行速度、立ち上がる際の体幹の変化量である。移動型装置は、カメラ153により撮影された動画像を構成する静止画像各々に利用者を対象とする物体認識を適用し、利用者の動作及び当該動作の特徴を示す利用者データを生成する。
【0031】
或いは、カメラ153は、移動型装置が建物の階を特定するために使用する静止画像又は動画像を撮影する。移動型装置は、カメラ153により撮影された静止画像又は動画像を構成する静止画像に物体認識を適用し、建物の一つの階に特有の構造や設備を検索する。そして、移動型装置は、このような構造や設備を描出している静止画像と、当該静止画像が撮影された階とを対応付けた特定用データを生成する。また、このような構造や設備としては、例えば、二つ以上の階を有する戸建て住宅のテラスが挙げられる。特定用データは、建物が戸建て住宅であり、テラスを描出している画像がカメラ153により撮影されている場合、当該画像が撮影された階が一階であることを示すデータとなる。
【0032】
センサ154は、移動型装置が建物の利用者を支援する上で必要な利用者データ及び建物の階を特定する処理に使用される特定用データの少なくとも一方を生成するために使用される。利用者データ及び特定用データは、いずれもセンサ154により計測された物理量を示すデータである。
【0033】
センサ154は、建物内の環境に関する物理量を計測するセンサ及び建物の利用者に関する物理量を計測するセンサの少なくとも一方を含んでいる。建物内の環境に関する物理量を計測するセンサは、例えば、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、電力センサ、人感センサ、ドアセンサ、窓センサである。また、建物の利用者に関する物理量を計測するセンサは、例えば、非接触式体温計、脈波センサ、肌年齢測定器である。
【0034】
センサ154を使用して生成された利用者データは、例えば、利用者の体温、利用者の脈波又は利用者の肌年齢を示すデータである。また、センサ154を使用して生成された特定用データは、例えば、センサ154に含まれている湿度センサが浴室、キッチン等の存在により特定の階で所定の閾値を超えている湿度を検出したことを示すデータである。
【0035】
図2は、本発明の実施形態に係る利用者支援装置の機能的な構成の一例を示す図である。
図2に示すように、利用者支援装置10は、データ取得部111と、移動型装置制御部112と、利用者支援部113とを備える。
【0036】
データ取得部111は、建物の間取りを示しており、予め生成されている間取り図データを取得する。
図3は、本発明の実施形態に係る間取り図データにより示されている間取りの一例を示す図である。間取り図データは、例えば、
図3に示した間取りを示すデータである。間取り図データは、例えば、コンピュータ支援設計(CAD:Computer-Aided Design)を使用して作成された間取りを示すベクター形式のデータである。ただし、間取り図データは、ラスター形式等、ベクター形式以外のデータ形式のデータであってもよい。
【0037】
間取り図データは、建物に含まれている部屋の種類及び建物に設置されている設備の種類の少なくとも一方を更に示していることが好ましい。ここで言う部屋の種類は、例えば、リビング、キッチン、バスルーム、玄関、寝室、廊下、ベランダである。また、ここで言う設備の種類は、例えば、流し台、洗面所、浴槽、パントリーである。さらに、ここで言う設備の種類は、テレビ、ソファ、冷蔵庫、食器棚、シャワー、靴箱、ベッド、手擦り、物干し台等、各部屋に特有の家電製品、家具等を含んでいてもよい。これらの情報は、例えば、コンピュータ支援設計を使用して間取り図を作成する際にメタデータとして書き込まれてもよいし、間取り図が作成された後、入出力装置15に接続されている入力装置を使用して別途入力されてもよい。
【0038】
また、間取り図データは、建物の利用者ごとに割り当てられている区画が複数描出されている間取りを示していてもよい。このような間取り図データは、建物が集合住宅、オフィスビル等であり、移動型装置が複数の世帯、事業所等で共用される場合、特に有用である。また、ここで言う区画は、例えば、建物が集合住宅である場合、各住戸であり、建物がオフィスビルである場合、各事業者が入居しているオフィスである。
【0039】
また、間取り図データは、建物が有する複数の階のうち少なくとも一つの間取りを示していてもよい。例えば、間取り図データは、建物が三階建てである場合、一階の間取り図、二階の間取り図及び、三階の間取り図の少なくとも一つを示していてもよい。このような間取り図データは、例えば、建物が複数の階を有する戸建て住宅である場合、建物が集合住宅、オフィスビル等であり、同一の賃借人が複数の階に亘って住戸、オフィス等を賃借している場合、特に有用である。
【0040】
また、データ取得部111は、建物の階を特定する処理に使用される特定用データを更に取得してもよい。
【0041】
移動型装置制御部112は、間取り図データにより示される建物の間取り図に基づいて、移動型装置に建物の内部を移動させる。例えば、移動型装置制御部112は、間取り図データにより示される建物の間取り図に基づいて移動型装置が移動可能な領域を特定し、当該領域内のみを移動するよう移動型装置を制御する。また、例えば、移動型装置制御部112は、間取り図データにより示される建物の間取り図に基づいて移動型装置が移動する場合に障害となる可能性がある物体を特定し、当該物体の周辺を避けて移動するよう移動型装置を制御する。
【0042】
図4は、本発明の実施形態に係る移動体が建物の内部を移動している場面の一例を示す図である。例えば、
図4に示すように、移動型装置制御部112は、移動型装置Rに建物Bの内部を移動させる。また、移動型装置制御部112は、
図4に示すように、移動型装置Rに利用者Hの周辺を中心に移動させてもよい。
【0043】
また、移動型装置制御部112は、データ取得部111により特定用データが収集された場合、特定用データを使用して移動型装置が存在している建物の階を特定する。そして、移動型装置制御部112は、移動型装置が存在している階の間取り図に基づいて、移動型装置に建物の内部を移動させる。
【0044】
そして、移動型装置制御部112は、建物の利用者の活動及び健康状態の少なくとも一方を示す利用者データを移動型装置に収集させる。
【0045】
また、移動型装置制御部112は、建物の利用者に対して非接触で利用者データを移動型装置に収集させてもよい。例えば、移動型装置制御部112は、カメラ153により建物の利用者を撮影し、利用者データを移動型装置に収集させてもよい。このような方法で収集される利用者データは、例えば、利用者の姿勢及び動作の少なくとも一方を示している。また、移動型装置制御部112は、センサ154のうち非接触型のセンサを使用して利用者データを移動型装置に収集させてもよい。このような方法で収集される利用者データは、利用者の体温、脈拍、肌年齢等の少なくとも一つを示している。
【0046】
利用者支援部113は、利用者データを使用して建物の利用者を支援する。例えば、利用者支援部113は、建物の利用者の動作及び当該動作の特徴を示す利用者データに基づき、出力装置152を使用して体力の増進に効果的なエクササイズをユーザに通知する。或いは、利用者支援部113は、建物の利用者の体温を示す利用者データに基づき、出力装置152を使用してインフルエンザ等に感染している疑いがある旨をユーザに通知する。
【0047】
次に、
図5を参照しながら利用者支援装置10が実行する処理の一例を説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る利用者支援装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0048】
ステップS1において、データ取得部111は、建物の間取りを示しており、予め生成されている間取り図データを取得する。
【0049】
ステップS2において、移動型装置制御部112は、間取り図データにより示される建物の間取り図に基づいて、移動型装置に建物の内部を移動させ、建物の利用者の活動及び健康状態の少なくとも一方を示す利用者データを移動型装置に収集させる。
【0050】
ステップS3において、利用者支援部113は、利用者データを使用して建物の利用者を支援する。
【0051】
以上、実施形態に係る利用者支援装置10について説明した。利用者支援装置10は、データ取得部111と、移動型装置制御部112と、利用者支援部113とを備える。データ取得部111は、建物の間取りを示しており、予め生成されている間取り図データを取得する。移動型装置制御部112は、間取り図データにより示される建物の間取り図に基づいて、移動型装置に建物の内部を移動させ、建物の利用者の活動及び健康状態の少なくとも一方を示す利用者データを移動型装置に収集させる。利用者支援部113は、利用者データを使用して建物の利用者を支援する。
【0052】
したがって、利用者支援装置10は、建物の間取り図を取得するため、建物の間取り図を生成することなく、移動型装置を建物内で的確に動作させ、移動型装置に建物の利用者を支援させることができる。
【0053】
また、利用者支援装置10は、建物に含まれている部屋の種類及び建物に設置されている設備の種類の少なくとも一方を示す間取り図データを取得する。これにより、利用者支援装置10は、建物に含まれている部屋の種類や設備の種類を踏まえた上で、利用者に提供する支援の具体的な方針に沿って移動型装置を効果的に動作させることができる。
【0054】
また、利用者支援装置10は、建物の利用者ごとに割り当てられている区画が複数描出されている間取りを示す間取り図データを取得する。これにより、利用者支援装置10は、複数の区画において移動型装置を移動させ、より多くの建物の利用者に支援を提供することができる。
【0055】
また、利用者支援装置10は、建物が有する複数の階のうち少なくとも一つの間取りを示す間取り図データを取得する。これにより、利用者支援装置10は、建物が有する複数の階を跨いで移動型装置を移動させ、更に多くの建物の利用者に更に広い範囲において支援を提供することができる。
【0056】
また、利用者支援装置10は、建物の階を特定する処理に使用される特定用データを取得し、特定用データを使用して移動型装置が存在している建物の階を特定する。そして、利用者支援装置10は、移動型装置が存在している階の間取り図に基づいて、移動型装置に建物の内部を移動させる。これにより、利用者支援装置10は、移動型装置が存在している階の特徴を踏まえて、移動型装置を的確に移動させることができる。
【0057】
上述した実施形態では、利用者支援装置10が建物内で使用される移動型装置に搭載されている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、利用者支援装置10は、利用者支援装置10は、建物内で使用される移動型装置から独立した装置であってもよい。例えば、利用者支援装置10は、
図1に示したネットワークNWを介して移動型装置と通信可能なサーバ、据置型の機器又は携帯型の機器であってもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明した。ただし、利用者支援装置10は、上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換、組み合わせ及び設計変更の少なくとも一つを加えることができる。
【符号の説明】
【0059】
10…利用者支援装置、11…プロセッサ、12…主記憶装置、13…通信インターフェース、14…補助記憶装置、15…入出力装置、111…データ取得部、112…移動型装置制御部、113…利用者支援部、151…入力装置、152…出力装置、153…カメラ、154…センサ、NW…ネットワーク