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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 1/06 20060101AFI20250203BHJP
【FI】
B63B1/06 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022043094
(22)【出願日】2022-03-17
(65)【公開番号】P2023137083
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 明
(72)【発明者】
【氏名】大木 彬寛
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/032969(WO,A1)
【文献】特開2016-159714(JP,A)
【文献】特開2022-021515(JP,A)
【文献】特開2008-049988(JP,A)
【文献】特開2015-003656(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0035509(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船首部分にステムを有する船体本体と、
前記船体本体の前記船首部分の上端部から前方に突出する突出部と、を備え、
前記突出部の外周縁は、平面視において前記ステムから離れる向きに凸となる湾曲形状を有
前記ステムと前記突出部との境界部位には、側面視において湾曲形状となる凹部が形成されている、
船舶。
【請求項2】
船首部分にステムを有する船体本体と、
前記船体本体の前記船首部分の上端部から前方に突出する突出部と、を備え、
前記突出部の外周縁は、平面視において前記ステムから離れる向きに凸となる湾曲形状を有し、
前記突出部の左右方向の寸法は、前記突出部の前記船体本体からの突出量よりも大きい、
船舶。
【請求項3】
前記突出部は、バウスプリットを含む、
請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
前記船体本体は、前記ステムの後端部から後方に延びるフラットキールを更に有し、
前記フラットキールの前端部は、前記船体本体のセクション6.5以上の位置に配置されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項5】
前記船体本体は、船尾部分の船底に配置され、斜め前方に向けて傾斜した傾斜部を更に有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項6】
前記船体本体は、船尾部分の舷側に配置され、前後方向に沿って延びるナックルラインを更に有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項7】
前記船体本体及び前記突出部の上面を構成する甲板を更に備え、
前記甲板は、前記突出部の前記外周縁に沿って立上部を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船首部分にステムを有する船体本体を備える船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、船体、プロペラ、甲板及び操舵室等から構成される船舶(小型船舶)が知られている(例えば、特許文献1参照)。関連技術に係る船舶は、FRPによって形成された船体本体の上部に甲板が設けられた船体を備えている。船体には、船外板(左右の船側外板、後船側外板及び船底外板)と甲板とによって囲まれた水密空間が構成されている。
【0003】
関連技術に係る船舶においては、船首部分に、例えば、アンカーローラ等を取る付けるためのバウスプリットが船体に設けられる。バウスプリットは、甲板における船首部分の左右方向の中央部のみが、前方に向けて突出したような形状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-159714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記関連技術のように、甲板における船首部分の左右方向の中央部のみが前方に向けて突出した形状のバウスプリットが設けられている場合、バウスプリットから見て左右方向の両側方には甲板が存在しないため、船首部分の甲板面積が不十分となることがある。
【0006】
本開示の目的は、船首部分の甲板面積を十分に確保しやすい船舶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る船舶は、船体本体と、突出部と、を備える。前記船体本体は、船首部分にステムを有する。前記突出部は、前記船体本体の前記船首部分の上端部から前方に突出する。前記突出部の外周縁は、平面視において前記ステムから離れる向きに凸となる湾曲形状を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、船首部分の甲板面積を十分に確保しやすい船舶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る船舶の甲板側からみた概略斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係る船舶の船底側からみた概略斜視図である。
図3図3は、実施形態1に係る船舶の概略右側面図である。
図4図4は、実施形態1に係る船舶の概略平面図である。
図5図5は、実施形態1に係る船舶の概略下面図である。
図6図6は、実施形態1に係る船舶の概略正面図である。
図7図7は、実施形態1に係る船舶の船首部分を示す概略右側面図である。
図8図8は、実施形態1に係る船舶の船首部分を示す概略平面図である。
図9図9は、実施形態1に係る船舶の船首部分を示す概略下面図である。
図10図10は、実施形態1に係る船舶の船首部分を示す概略斜視図である。
図11図11は、実施形態1に係る船舶の船首部分が水面に突き刺さった状態を示す概略右側面図である。
図12図12は、実施形態1に係る船舶の船尾部分を示す概略斜視図である。
図13図13は、実施形態1に係る船舶の船尾部分を示す概略右側面図である。
図14図14は、実施形態1に係る船舶のセクション割を示す概略下面図である。
図15図15は、実施形態1に係る船舶の船首部分を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0011】
(実施形態1)
[1]全体構成
まず、本実施形態に係る船舶10の全体構成について、図1図6を参照して説明する。
【0012】
船舶10は、海、湖又は河川等の水上を航行(航走)する移動体である。本実施形態では一例として、船舶10は、主として海においてスポーツ又はレクリエーション等に用いられる小型船舶である「プレジャーボート」である。また、本実施形態では、船舶10は、人(操縦者)の操作(遠隔操作を含む)に応じて動作する構成であって、特に、操縦者である人が搭乗可能な有人タイプであることとする。
【0013】
船舶10は、船体1と、推進装置2(図3参照)と、舵装置3(図3参照)と、キャビン4と、を備えている。船舶10は、人(操縦者)の操作を受け付ける操作装置、表示装置、各種センサ類(探知機を含む)、各種計器類、通信装置、制御装置、及び照明設備等を含む種々の船内設備等を更に備えている。ここで、図3では、推進装置2及び舵装置3を想像線(二点鎖線)で示しており、図3以外の図面では、推進装置2及び舵装置3の図示を省略している。
【0014】
本実施形態では一例として、船舶10の推進形式は、推進装置2の動力源21(図3参照)が船体1の中央付近に搭載された「船内機」であって、船舶10の船尾方式(船尾形態)は、「ブラケット式」(外ペラ/外舵方式)である。船体1のサイズとしては、一例として全長が5m以上20m以下、かつ定員が10名以上15名以下程度のサイズを想定する。さらに、本実施形態では、速長比が2.0以上5.0以下となる半滑走型の船舶10を想定する。そのため、船舶10は、艇体(船体本体11)が水面を滑走するまでには至らないものの、船体1の船首部分(バウ)側が持ち上がった姿勢で航走する。
【0015】
本実施形態では、説明の便宜上、船舶10が水上に停船している状態での鉛直方向を上下方向D1と定義する。さらに、船舶10の操縦席(キャビン4内)に座っている人(操縦者)から見た方向を基準として、前後方向D2及び左右方向D3を定義する。すなわち、船体1の前進時に船体1が移動する方向、つまり船体1の中心から見て船首側(フォア)が前後方向D2の前方となり、船体1の後進時に船体1が移動する方向、つまり船体1の中心から見て船尾側(アフト)が前後方向D2の後方となる。船体1の中心から見て左舷側が左右方向D3の左方となり、船体1の中心から見て右舷側が左右方向D3の右方となる。ただし、これらの方向は、船舶10の使用方向(使用時の方向)を限定する趣旨ではない。
【0016】
また、本開示でいう「平行」とは、一平面上の二直線であればどこまで延長しても交わらない場合、つまり二者間の角度が厳密に0度(又は180度)である場合に加えて、二者間の角度が0度に対して数度(例えば10度未満)程度の誤差範囲に収まる関係にあることをいう。同様に、本開示でいう「直交」とは、二者間の角度が厳密に90度で交わる場合に加えて、二者間の角度が90度に対して数度(例えば10度未満)程度の誤差範囲に収まる関係にあることをいう。
【0017】
船体1及びキャビン4は、一例としてFRP(Fiber Reinforced Plastics)を主材料として構成されている。そのため、船体1及びキャビン4について、高強度かつ軽量としつつも形状の自由度が高くなり、様々な形状の船体1を実現することが可能である。
【0018】
船体1は、船体本体11と、甲板12と、を有している。船体本体11は、艇体(ハル)を構成する。船体本体11は、左右方向D3の寸法が上下方向D1の寸法(キャビン4を除く)よりも大きく、かつ前後方向D2の寸法が左右方向D3の寸法よりも大きく設定されることで、前後方向D2に長さを有している。船体本体11は、上面が開放された箱状に形成されており、その内部に推進装置2の動力源21等が配置されている。
【0019】
船体本体11は、一対の船側外板111、後船側外板112及び船底外板113を有している。一対の船側外板111は、左右方向D3において互いに対向するように配置され、船体本体11の左右方向D3の両側面(舷側)を構成する。後船側外板112は、船体本体11の後面(トランサム)を構成する。船底外板113は、船体本体11の下面(船底)を構成する。これら一対の船側外板111、後船側外板112及び船底外板113は、一体的(シームレス)に形成されており、船体本体11の外郭を構成する。
【0020】
甲板12は、船体本体11の開口面(上面)を覆うように船体本体11に結合されている。つまり、甲板12は、船体本体11の上面を構成し、その上に人が乗ることを想定したデッキである。ここで、船体本体11を前後方向D2に3分割し、前方(船首)側から順に、バウ、ミッドシップ、スターンと定義した場合に、甲板12のうち、バウ(船首側)に位置する部分が「バウデッキ」、スターン(船尾側)に位置する部分が「スターンデッキ」となる。
【0021】
甲板12における前後方向D2の中央部(ミッドシップ)には、キャビン4が配置されている。甲板12上におけるキャビン4の左右方向D3の両側には、サイド通路が確保されており、人は、サイド通路を通して、バウデッキとスターンデッキとの間を移動可能である。
【0022】
さらに、本実施形態では、甲板12は、その全域が同じ高さにあるのではなく、船尾側から船首側に向けて徐々に高くなっており、サイド通路及びバウデッキに段差(ステップ)を有している。さらに、甲板12のうち、船首部分(バウ)に位置するバウデッキからサイド通路の段差にかけては、外周縁に沿って甲板12を囲むように転落防止柵としてのバウレール121が設けられている。
【0023】
船体1には、船体本体11の外郭を成す一対の船側外板111、後船側外板112及び船底外板113と、甲板12(及びキャビン4)とによって囲まれた水密空間が形成される。水密空間の前後方向D2の中央部には、機関室等が設けられている。さらに、水密空間における機関室の前方側には船室等が設けられている。
【0024】
推進装置2は、図3に示すように、動力源21と、動力伝達部22と、推進力発生部23と、を有している。
【0025】
動力源21は、例えば、燃料の燃焼により動力を発生するエンジン(内燃機関)を含む。エンジンは一例として、軽油を燃料として駆動されるディーゼルエンジン等である。動力伝達部22は、エンジンで発生する動力を推進力発生部23に伝達する。動力伝達部22は、クラッチ、減速装置(マリンギア)及びプロペラシャフト等を含む。動力伝達部22は、動力源21から推進力発生部23に動力を伝達する伝達状態と、動力を伝達しない遮断状態と、を切り替える機能を有している。推進力発生部23は、本実施形態ではプロペラを含み、動力源21で発生する動力を受けて、回転軸(プロペラシャフト)を中心にプロペラを回転させることにより、船体1を前進又は後進させるための推進力を発生する。
【0026】
推進装置2は、操作装置の操作に応じて制御される。例えば、操作装置が、中立位置から、前進位置及び後進位置の各々に回転(移動)可能な操作レバーを含む場合、操作レバーが中立位置にある状態では、推進装置2は推進力を発生せず、船体1の推進力は0(ゼロ)である。この場合において、船体1を前進させるには、操縦者は操作レバーを中立位置から前進位置側に回転(移動)させるように操作し、船体1を後進させるには、操縦者は操作レバーを中立位置から後進位置側に回転(移動)させるように操作する。そして、推進装置2は、中立位置から前進位置側への操作レバーの操作量(回転角度)が大きいほど、船体1を前進させるための推進力(プロペラの回転数)を大きくする。
【0027】
舵装置3は、図3に示すように、船体1の船尾部分に取り付けられ、船体1の進行方向を調節する。本実施形態では、舵装置3は、推進装置2の推進力発生部23の直後に配置されている。舵装置3は、操作装置の操作に応じて制御される。例えば、操作装置が、舵輪を含む場合、操縦者が、舵輪を回転させることにより、舵装置3が面舵又は取舵方向に舵を切る。
【0028】
キャビン4は、操縦席を備えており、操作装置、表示装置、各種計器類及び通信装置等が配置される。キャビン4は、機関室等の上方に配置されている。キャビン4は、甲板12から出入可能に構成されている。キャビン4の内部空間は、甲板12下の空間(バウバース)に連続している。キャビン4には、操縦席等の他、例えば、乗客用のシート、テーブル、シンク、トイレ、シャワールーム、冷蔵庫、ユーティリティボックス及びロッカ等が配置されている。さらに、キャビン4には、機関室にアクセスするためのエンジンルームハッチ等も配置されている。
【0029】
以下、船体本体11の構成について、より詳しく説明する。
【0030】
船体本体のうち、一対の船側外板111の前端(船首側の端部)同士は、互いに結合されて船首を構成する。また、一対の船側外板111の後端(船尾側の端部)同士は、後船側外板112を介して互いに結合されて、後船側外板112と共に船尾を構成する。つまり、後船側外板112の左端には、左舷側の船側外板111の後端が結合され、後船側外板112の右端には、右舷側の船側外板111の後端が結合されている。
【0031】
さらに、一対の船側外板111の下端、及び後船側外板112の下端は、船底外板113に結合されている。言い換えれば、船底外板113の左右方向D3の左端には、左舷側の船側外板111の下端が結合され、船底外板113の右端には、右舷側の船側外板111の下端が結合されている。そして、船底外板113の後端には、後船側外板112の下端が結合されている。
【0032】
一対の船側外板111は、船首から船尾に向かうにつれて左右方向D3に互いに離間する形状を有する。つまり、船体本体11は、船首から船尾に向かうにつれて、左右方向D3の寸法(船幅)が徐々に広がる形状を有している。そして、一対の船側外板111は、船体本体11の前後方向D2の途中部位でその間隔が最大となり、当該部位における船体本体11の左右方向D3の寸法が船幅と一致する。一対の船側外板111は、その間隔が最大となる部位より後方側においては、船尾(後船側外板112)に至るまで互いに平行である。また、船体本体11は、船体本体11の前後方向D2の途中部位から船尾にかけて、船尾に向かうにつれて左右方向D3の寸法(船幅)が徐々に狭まる形状を有していてもよい。
【0033】
さらに、一対の船側外板111は、第1ナックル114及び第2ナックル115を有している。第1ナックル114及び第2ナックル115は、いずれも船首から船尾に向けて延びており、船尾に向かうにつれて下方に位置するように水平面に対して傾斜する。第2ナックル115は、第1ナックル114よりも上方に位置する。
【0034】
第1ナックル114及び第2ナックル115の各々は、前後方向D2に沿って延長された段差であって、いずれも当該段差よりも上方側ほど左右方向D3の外側に突出するように構成されている。そのため、前後方向D2の同一位置で見た場合、左右方向D3における一対の船側外板111の間隔は、第1ナックル114の下側部位を基準にして、第1ナックル114の上側部位で1段階大きくなり、第2ナックル115の上側部位でもう1段階大きくなる。これら第1ナックル114及び第2ナックル115は、それぞれ水(波)しぶきを落とすためのナックルライン(スプレーストリップ)として機能する。
【0035】
一対の船側外板111及び後船側外板112は、いずれも甲板12よりも上方にせり出している。すなわち、一対の船側外板111及び後船側外板112の上端部は、側面視において甲板12から上方に突出しており、甲板12への水(波)の浸入を防止するブルワーク(防波壁)として機能する。甲板12に浸入した水(海水)等は、ブルワークに形成されている放水口から船外に排出される。ブルワークの外周面には、緩衝材としての舷縁材が装着されている。
【0036】
また、船体本体11は、一対の船側外板111の各々と船底外板113との結合部に形成されたチャイン116を有している。チャイン116は、第1ナックル114及び第2ナックル115と同様に、船首から船尾に向けて延びており、船尾に向かうにつれて下方に位置するように水平面に対して傾斜する。そして、チャイン116は、前後方向D2に沿って延長された段差であって、当該段差よりも上方側ほど左右方向D3の外側に突出するように構成されている。そのため、前後方向D2の同一位置で見た場合、左右方向D3における一対の船側外板111の間隔は、船底外板113の上端間の間隔よりも1段階大きくなる。本実施形態では、第1ナックル114の後部(水中に浸かる部分)は、チャイン116に沿って形成されており、チャイン116と共にダブルチャインを構成する(図3参照)。そのため、チャイン116をインナーチャインとすれば、第1ナックル114の後部がアウターチャインとなる。
【0037】
船体本体11は、船底外板113の左右方向D3の中央部から突出し、船首から船尾に向けて延びるフィン状のスケグ117(フィンキール)を有している。スケグ117は、船底外板113の前端(船首側の端部)から前後方向D2の途中部位にかけて設けられている。
【0038】
船体本体11は、船底外板113の左右方向D3の中央部のうち、スケグ117の後方、つまり船尾側に設けられたフラットキール118を有している。フラットキール118は、前後方向D2においてスケグ117と連続するように形成されており、スケグ117の後端部の前後方向D2の位置はフラットキール118の前端部と一致(重複)する。フラットキール118は、下面が水平面に平行な平面状(平坦部)に形成されたリブ状部である。フラットキール118の後端からは、動力伝達部22のプロペラシャフトが後方に向けて突出する。
【0039】
さらに、船体本体11は、複数本のスプレーストリップ119を有している。本実施形態では、船底外板113の左舷側及び右舷側の各々に、2本ずつ(計4本)のスプレーストリップ119が設けられている。各スプレーストリップ119は、第1ナックル114及び第2ナックル115と同様に、船首から船尾に向けて延びており、船尾に向かうにつれて下方に位置するように水平面に対して傾斜する。
【0040】
船体本体11は、複数のハル窓120を有している。本実施形態では、一対の船側外板111の各々に、3つずつ(計6つ)のハル窓120が設けられている。3つのハル窓120は、前後方向D2に並べて配置されている。
【0041】
また、船体本体11は、船首部分にステム51を有している。一対の船側外板111は、側面視において、船首部分のステム51の少なくとも一部を構成する。つまり、船首部分で前端同士が結合された一対の船側外板111の境界である稜線が、ステム51の少なくとも一部となる。ステム51は、側面視において、船尾側ほど船底に近づくように、鉛直線に対して傾斜している。言い換えれば、船体本体11の前端となるステム51は、斜め下方に向けて傾斜している。
【0042】
ここで、ステム51は、上側ステム511と、下側ステム512と、を含んでいる。上側ステム511は、ステム51のうちチャイン116よりも甲板12側、つまり上方に位置する部位であって、一対の船側外板111によって構成されている。下側ステム512は、ステム51のうちチャイン116よりも船底側、つまり下方に位置する部位であって、船底外板113に設けられているスケグ117によって構成されている。ステム51は、チャイン116を境に上下方向D1において、上側ステム511と下側ステム512とに分かれている。要するに、スケグ117は、ステム51の少なくとも一部を構成する。
【0043】
以上説明したように構成される船舶10は、航走時に船底を流れる水流の圧力変化によって揚力が生じる。船舶10は、揚力に応じた航走トリム角で船首側が持ち上がる。このとき発生する揚力は、航走速度が所定の値を超えると船体重量と略等しくなる。したがって、船舶10は、所定の航走速度以上になると船首(バウ)側が水上に持ち上がり、船尾(スターン)側の船底(下面)によって水面を滑走するような姿勢で航走する。
【0044】
また、船体1は、上述した構成に加えて様々な構成を採用可能である。例えば、甲板12の船首部分に当たるバウデッキには、アンカーリールを収容するアンカーストア、及びアンカーストアハッチ等が適宜配置される。さらに、甲板12の船尾部分に当たるスターンデッキには、イケス、ロッカ、(舵装置3及びプロペラ等の)点検口等が適宜配置される。
【0045】
[2]船首部分の詳細
次に、本実施形態に係る船舶10の船首部分(バウ)の構成について、図7図11を参照してより詳細に説明する。
【0046】
本実施形態では、図7に示すように、船体本体11の船首部分(前端)に設けられたステム51は、鉛直線(上下方向D1)に対する傾斜角度θ1が45度よりも小さいバーチカルステムである。特に、ステム51のうちのチャイン116よりも甲板12となる上側ステム511においては、鉛直に近い角度で設けられているのであって、鉛直線(上下方向D1)に対する傾斜角度θ1は10度以下に設定されている。このように、本実施形態では、船体本体11の前端(船首部分)におけるステム51が、側面視において、水平面(又は甲板12)に対して垂直に近い姿勢で設けられている。
【0047】
ここで、船舶10は、側面視において、船体本体11のステム51(上側ステム511)の上端から前方に突出する形の突出部6を備えている。つまり、突出部6は、船体本体11の船首部分における一対の船側外板111の上端部から外方に向けて突出する。本実施形態では、突出部6は、一対の船側外板111と一体的(シームレス)に形成されている。このように、一対の船側外板111の上端部から外方に向けて張り出す形で設けられた突出部6により、ブルワークにフレアが形成されることになる。
【0048】
突出部6は、水平面に平行に突出しており、船体本体11の上面を構成する甲板12は、突出部6にまで延長されている。これにより、甲板12は、船体本体11の上面を構成するとともに、突出部6の上面を構成する。突出部6は、その厚み(上下方向D1の寸法)は、例えば数十cm程度であるものの、十分な強度を有しており、突出部6上の甲板12にも人が乗ることができる。突出部6と水面との間には構造物が設けられておらず、突出部6の下面は水面と対向する。
【0049】
言い換えれば、図7に示すように、側面視において、上側ステム511を甲板12側に延長した仮想線L1を想定した場合、当該仮想線L1と甲板12との交点P1よりも、突出部6及び甲板12が前方に突出する。これにより、甲板12のうち船首部分に当たるバウデッキが、突出部6の分だけ拡大されることになる。仮想線L1は、仮想の線であって実体を伴わない。
【0050】
ところで、図8及び図9に示すように、突出部6の外周縁61は、平面視において、ステム51から離れる向きに凸となる湾曲形状を有する。図8及び図9においては、突出部6となる部分に網掛けを付している。つまり、平面視において、船体本体11の前端となるステム51(上側ステム511)を基準点とする場合、突出部6の外周縁61は当該基準点とは反対側に凸となる略円弧状に形成されている。
【0051】
言い換えれば、図8及び図9に示すように、平面視において、船体本体11の船首部分の周辺に仮想円弧V1を設定した場合に、突出部6の外周縁61は仮想円弧V1に沿った形状となる。仮想円弧V1は、仮想の円弧であって実体を伴わない。ここで、仮想円弧V1は、真円の円弧に限らず、楕円等の非真円の円弧も含む(図8及び図9の例では楕円の円弧である)。
【0052】
このように、突出部6は、船体本体11の左右方向D3の中央部だけでなく、船体本体11の船首部分の全体を外方(外側)へ引き延ばしたような形状を有している。つまり、突出部6は、船体本体11の前端のみならず、船首部分の左右方向D3の全体にわたって、前方へ突出している。そのため、突出部6が無い場合に比較して、平面視において、船体1の船首部分が一回り大きくなるのであって、甲板12(バウデッキ)を大幅に拡大することができる。
【0053】
要するに、本実施形態に係る船舶10は、船体本体11と、突出部6と、を備える。船体本体11は、船首部分にステム51を有する。突出部6は、船体本体11の船首部分の上端部から前方に突出する。突出部6の外周縁61は、平面視においてステム51から離れる向きに凸となる湾曲形状を有する。
【0054】
これにより、船首部分の甲板12面積を十分に確保しやすい船舶10を提供することが可能である。したがって、例えば、乗客が甲板12の船首部分で釣りをする場合等、より多くの乗客が同時に甲板12に立つことができ、船舶10の利便性が向上する。さらには、船舶10の航走時に、突出部6がフレアとして機能することで、水(波)しぶきが甲板12上に浸入することを抑制可能となる。また、船舶10の航行時に、突出部6が下方からの風圧を受けることで、船体本体11の船首部分の浮力を補助することができ、船舶10の滑走が容易になる。しかも、船体本体11については船首部分の左右方向D3の幅を広げていないので、船舶10の航走時の船体本体11が受ける水の抵抗が増加することも抑制できる。
【0055】
また、図10に示すように、突出部6における左右方向D3の中央部には、バウスプリット62が設けられている。バウスプリット62は、アンカーローラ等を取り付ける(艤装する)ための部位である。バウスプリット62は、前方及び下方に向けて開放された、平面視において矩形状の凹部からなる。そのため、突出部6の厚み(上下方向D1の寸法)は、バウスプリット62において、バウスプリット62以外の部位よりも小さくなる。アンカーローラ等を取り付ける場合には、突出部6が上下方向D1に貫通するように突出部6の一部(バウスプリット62)が切り取られ、これにより生じた切欠部にアンカーローラ等が取り付けられる。
【0056】
このように、本実施形態では、突出部6は、バウスプリット62を含む。そのため、船体本体11にバウスプリットを別途取り付けることなく、アンカーローラ等を船体本体11に取付可能となる。そして、バウスプリット62に対して左右方向D3の両側にも突出部6が存在するため、バウスプリット62の両側にまで甲板12(バウデッキ)を広げることが可能である。バウスプリット62に取り付けられる設備は、アンカーローラに限らない。
【0057】
また、図7及び図10に示すように、ステム51(上側ステム511)の上端は、凹部63を介して突出部6につながっている。凹部63は、側面視において湾曲形状となる曲面状の窪みからなる。要するに、ステム51と突出部6との境界部位には、側面視において湾曲形状となる凹部63が形成されている。
【0058】
このような凹部63が設けられていることで、船舶10の航走時に、突出部6がフレアとして機能しやすくなり水(波)しぶきが甲板12上に浸入することを効率的に抑制可能となる。さらに、湾曲形状の凹部63によって応力集中が生じにくくなり、例えば、船舶10の航行時に、突出部6が下方からの風圧及び/又は水圧を受けても、突出部6の破損が生じにくくなる。
【0059】
また、本実施形態では、図8に示すように、突出部6の左右方向D3の寸法W1は、突出部6の船体本体11からの突出量W2よりも大きい。ここで、突出部6の船体本体11からの突出量W2は、ステム51からの突出部6の前方への突出量、つまりステム51から突出部6の前端までの距離によって表される。つまり、突出部6は、船体本体11の左右方向D3の全幅にわたって設けられているため、突出部6の左右方向D3の寸法W1は、左右方向D3における船体本体11の全幅と略等しい。そのため、突出部6の左右方向D3の寸法W1は、突出部6の船体本体11からの突出量W2に比べて十分に大きい。
【0060】
これにより、船体本体11の船首部分の大部分に突出部6が設けられることになり、船舶10の航走時に、突出部6がフレアとして機能しやすくなり水(波)しぶきが甲板12上に浸入することを効率的に抑制可能となる。また、船舶10の航行時に、船体本体11の左右方向D3の全幅にわたって突出する突出部6が下方からの風圧を効率的に受けることで、船体本体11の船首部分の浮力を効率的に補助することができる。
【0061】
また、上述したような突出部6が設けられていることで、図11に示すように、例えば、荒波の中での航走時に、船首部分が水面Lv1に突き刺さった際の浮力の増加が期待できる。すなわち、突出部6が船体本体11の左右方向D3の広範囲にわたり設けられているので、船首部分に設けられた突出部6が水面Lv1に刺さった場合、左右方向D3の中央部のみに突出部がある場合に比べて、水中に潜る突出部6の体積が大きくなる。したがって、突出部6に作用する浮力は大きくなり、船首部分が浮上しやすくなる。
【0062】
[3]船尾部分の詳細
次に、本実施形態に係る船舶10の船尾部分(スターン)の構成について、図12及び図13を参照してより詳細に説明する。
【0063】
本実施形態では、船底外板113の船尾部分に一対の傾斜部71が形成されている。一対の傾斜部71は、船底外板113の後端部における左右方向D3の両端部に配置されている。一対の傾斜部71の各々は、図13に示すように、後方ほど下方に位置するように、船底の一部を水平面に対して斜め前方に向けて傾斜させた部位である。ここで、一対の傾斜部71は、推進力発生部23(図3参照)のプロペラ及び舵装置3(図3参照)に対して、左右方向D3の両側に位置する。
【0064】
要するに、船体本体11は、船尾部分の船底に配置され、斜め前方に向けて傾斜した傾斜部71を更に有する。これにより、船舶10の航走時の船首部分の浮き上がりを抑制することが可能である。傾斜部71が一対設けられることは必須ではなく、例えば、傾斜部71は1つだけ設けられていてもよいし、傾斜部71は3つ以上設けられていてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、船体本体11の一対の船側外板111の船尾部分には、ナックルライン72が設けられている。ナックルライン72は、船側外板111の前後方向D2の途中部位から船尾に向けて延びており、船尾に向かうにつれて上方に位置するように水平面に対して傾斜する。そして、ナックルライン72は、前後方向D2に沿って延長された段差であって、当該段差よりも上方側ほど左右方向D3の外側に突出するように構成されている。そのため、前後方向D2の同一位置で見た場合、左右方向D3における一対の船側外板111の間隔は、ナックルライン72の下側部位を基準にして、ナックルライン72の上側部位で1段階大きくなる。
【0066】
要するに、船体本体11は、船尾部分の舷側に配置され、前後方向D2に沿って延びるナックルライン72を更に有する。これにより、船体本体11の船尾部分においても、ナックルライン72にて水(波)しぶきを落とすことができ、船舶10の航走時にける水の這い上がりを抑制することが可能である。
【0067】
[4]その他の細部の構成
次に、本実施形態に係る船舶10におけるその他の細部の構成について、図14及び図15を参照して説明する。図14中の吹出内には、船底側からみたフラットキール118の前端部周辺の斜視図を示す。
【0068】
本実施形態では、上述したように、船体本体11は、フラットキール118を有している。フラットキール118は、下側ステム512を構成するスケグ117の後端部から後方に延びている。つまり、船底の左右方向D3の中央部には、フィンキールとしてのスケグ117とフラットキール118とが前後方向D2に並んで配置されている。ここで、フラットキール118の前端部(及びスケグ117の後端部)は、前後方向D2において比較的船首寄りの位置にある。
【0069】
ここでは、図14に示すように、船体本体11のトランサム部から、上側ステム511を甲板12側に延長した仮想線L1と甲板12との交点P1(図7参照)までの前後方向D2(船首尾方向)の距離を10等分し、セクションSS0~SS10を設定する。これらセクションSS0~SS10は、セクションSS0を船尾側の端部(トランサム部)、セクションSS10を船首側の端部(交点P1)として、船尾側から順にSS1,SS2,…とカウントされる。この場合において、フラットキール118の前端部(及びスケグ117の後端部)は、セクションSS6とセクションSS7との中間位置(セクション6.5)又は当該中間位置よりも船首側に位置する。
【0070】
要するに、船体本体11は、ステム51の後端部から後方に延びるフラットキール118を有する。フラットキール118の前端部は、船体本体11のセクション6.5以上(セクション6.5かそれよりも船首側)の位置に配置されている。このように、フラットキール118の前端部の位置を、一般的なセクション6(SS6)付近から船首側にシフトさせたことで、フラットキール118を大きく確保することが可能となる。フラットキール118の前後方向D2の寸法だけでなく、フラットキール118の左右方向D3の寸法についても比較的大きく確保できる。その結果、フラットキール118に設置されるソナーセンサの振動子のための設置空間を確保しやすくなる。より好ましくは、フラットキール118の前端部は、セクション6.5以上、セクション7(SS7)以下の範囲に設定される。
【0071】
また、フラットキール118は、前後方向D2に十分な長さを有するように、その後端部が船尾側に延設された形状を有している。特に、セクション2(SS2)とセクション3(SS3)との間の位置から船尾側にかけては、フラットキール118は、船尾側に向けて徐々に船底外板113からの突出量を小さくしながら船尾側に延設されている。言い換えれば、フラットキール118の後端部は、斜め下方に向けて傾斜するテーパ面を有している(図3参照)。フラットキール118の後端部が船尾側に延設されていることで、船体本体11の航走時の横滑りが抑制されやすくなり、直進安定性の向上に寄与する。加えて、船体本体11において、推進装置2の動力源21及び動力伝達部22等を収容する空間を、フラットキール118の分だけ稼ぐことができる、といった利点もある。
【0072】
また、本実施形態では、船体1の左右方向D3の寸法(全幅)と前後方向D2の寸法(全長)との関係について、全長に対する全幅の比率を大きめに設定する。これにより、船体1の航走時の安定性が期待できる。
【0073】
さらに、本実施形態では、図15に示すように、甲板12は、船首部分の外周部に立上部122を有している。立上部122は、船首部分の甲板12、つまり突出部6の上面を構成する甲板12に設けられており、立上部122以外の部位に比べて上方に突出する形に構成されている。ここでは、立上部122は、甲板12の外周縁(突出部6の外周縁61)に近づくほどに上方に位置するように水平面に対して傾斜している。
【0074】
要するに、本実施形態に係る船舶10は、船体本体11及び突出部6の上面を構成する甲板12を備える。甲板12は、突出部6の外周縁61に沿って立上部122を有する。この構成によれば、例えば、突出部6上の甲板12に立つ人がキャスティング時等に立上部122に足をかけることにより、足元に力が入れやすくなる。立上部122は、船首部分に限らず、例えば船尾部分にも設けられてもよい。
【0075】
[5]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0076】
船舶10は、プレジャーボートに限らず、貨物船及び貨客船等を含む商船、タグボート及びサルベージ船等を含む作業船、気象観測船及び練習船等を含む特殊船、漁船、並びに艦艇等であってもよい。さらに、船舶10は、操縦者が搭乗する有人タイプに限らず、人(操縦者)が遠隔操作可能であるか、又は自律運航可能な無人タイプの船舶であってもよい。
【0077】
また、動力源21は、ディーゼルエンジンに限らず、例えば、ガソリンエンジン又はモータ(電動機)等を含んでいてもよい。さらに、船舶10は、例えば、エンジン及びモータ等のように複数種類の動力源21を有するハイブリッド式の推進装置2を備えていてもよい。この場合、動力伝達部22は、複数種類の動力源21で発生する動力を合成し、推進力発生部23に伝達する。
【0078】
また、突出部6が、バウスプリット62を含むことは必須の構成ではなく、バウスプリット62は省略されてもよい。ステム51と突出部6との境界部位に、側面視において湾曲形状となる凹部63が形成されていることも必須の構成ではない。さらに、突出部6の左右方向D3の寸法が、突出部6の船体本体11からの突出量よりも大きいことも、船舶10において必須の構成ではない。
【0079】
また、フラットキール118の前端部が、船体本体11のセクション6.5以上の位置に配置されていることは必須ではなく、フラットキール118の前端部が、船体本体11のセクション6.5未満の位置(船尾側)に配置されてもよい。さらに、船体本体11が、船尾部分の船底に傾斜部71を有することは必須ではなく、傾斜部71は適宜省略可能である。また、船体本体11が、船尾部分の舷側にナックルライン72を有することは必須ではなく、ナックルライン72は適宜省略可能である。甲板12の立上部122についても必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0080】
6 突出部
10 船舶
11 船体本体
12 甲板
51 ステム
61 (突出部の)外周縁
62 バウスプリット
63 凹部
71 傾斜部
72 ナックルライン
118 フラットキール
122 立上部
D3 左右方向
W1 突出部の左右方向の寸法
W2 突出部の船体本体からの突出量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15