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特許7628547心臓アブレーションのためのシステムおよび関連付けられる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】心臓アブレーションのためのシステムおよび関連付けられる方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20250203BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20250203BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20250203BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20250203BHJP
   A61B 5/352 20210101ALI20250203BHJP
   A61B 5/343 20210101ALI20250203BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B5/287
A61B5/33 100
A61B5/367
A61B5/352
A61B5/367 100
A61B5/343
【請求項の数】 42
(21)【出願番号】P 2022544719
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 US2021014216
(87)【国際公開番号】W WO2021150629
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】62/965,747
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518388432
【氏名又は名称】アフェラ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ハーレブ, ドロン
(72)【発明者】
【氏名】ハルツ, ポール ビー.
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1999/060923(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0166310(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0172657(US,A1)
【文献】特表2014-519367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00-18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
解剖学的構造内に位置付けられるように構成されたカテーテルであって、前記解剖学的構造の壁上の位置における組織に照会エネルギーを送達するように構成されたカテーテルと、
前記照会エネルギーの送達に応答して前記解剖学的構造の電気活動の変化を検出するように構成された1つ以上のセンサであって、前記電気活動の変化は、整脈の減速または終結に対応する、1つ以上のセンサと、
前記電気活動の変化を検出することに応答して前記組織に不可逆的療法を印加するための手段と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記組織は、第1の組織であり、前記不整脈は、第1の不整脈であり、前記カテーテルは、
前記解剖学的構造の前記第1の組織または第2の組織を刺激することによって、前記照会エネルギーを送達する前に、前記第1の不整脈を誘発すること、および/または
前記第1の不整脈を終結させた後に前記解剖学的構造の前記第1の組織、前記第2の組織、または第3の組織を刺激することによって、前記第1の不整脈および/または第2の不整脈を再誘発すること
を行うようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記解剖学的構造の前記電気活動を測定するために心電図および/または電気記録図を捕捉するように構成された1つ以上の電極をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記組織に不可逆的療法を印加するための手段は、前記カテーテルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記カテーテルは、第1のカテーテルであり、前記組織に不可逆的療法を印加するための手段は、前記解剖学的構造内に位置付けられるように構成された第2のカテーテルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記不可逆的療法は、パルスアブレーション、高周波アブレーション、凍結アブレーション、超音波アブレーション、レーザバルーンアブレーション、および/またはホットバルーンアブレーションを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記照会エネルギーは、照会電気パルスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記照会電気パルスは、二相性電気信号である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記二相性電気信号の極性は、対称的である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記二相性電気信号の極性は、非対称的である、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記照会電気パルスは、前記照会電気パルスの各極性が、10ms以下の周期にわたって、前記照会電気パルスの反対の極性の送達された電荷の80%以上を含有するような二相性電気信号である、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記照会電気パルスは、矩形波、正弦関数、レイズドルートコサイン、ガウス関数、および/または台形波である、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記照会エネルギーは、前記組織の温度が1℃よりも変化しないような非熱療法を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記カテーテルは、少なくとも一度に少なくとも100ナノ秒にわたって少なくとも1,000ボルトを前記組織に印加することによって前記照会エネルギーを印加するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記カテーテルの先端区分の場所を決定するための磁気位置センサ、インピーダンス測定、超音波ナビゲーション、および/または可視化を促進するための放射線不透過性部分をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上のセンサは、前記解剖学的構造の1つ以上の電気信号を捕捉するように構成され、前記1つ以上のセンサは、(i)前記1つ以上の捕捉された電気信号のタイミング、および/または(ii)前記1つ以上の捕捉された電気信号の形態の変化を検出することによって前記解剖学的構造の前記電気活動の前記変化を検出するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ以上のセンサは、前記解剖学的構造の1つ以上の電気信号を捕捉するように構成され、前記システムは、前記1つ以上の捕捉された電気信号を表示するためのディスプレイをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記解剖学的構造の壁上の着目エリアを識別するために前記解剖学的構造のアクティブ化マッピングおよび/またはエントレインメントマッピングを実施するための手段をさらに備え、前記アクティブ化マッピングは、前記解剖学的構造の種々の部分のための励起タイミングの決定を伴い、前記エントレインメントマッピングは、前記解剖学的構造内の組織ペーシング/刺激を伴い、前記着目エリアは、前記解剖学的構造の不整脈に寄与し得る組織を含むエリアである、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記照会エネルギーが前記組織に送達されるときに前記解剖学的構造内の前記カテーテルの先端区分の場所を決定するための手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記解剖学的構造内の前記カテーテルの前記先端区分の前記決定された場所に対応するモデル内の場所において、前記解剖学的構造の3次元モデル内にタグを表示するためのディスプレイをさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記タグは、1つ以上の視覚性質を含み、前記1つ以上の視覚性質は、色および/またはパターンを含み、前記色および/または前記パターンは、前記組織に送達された前記照会エネルギーが前記整脈を終結させたかどうかのインジケーションを提供する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記表示されたタグの前記1つ以上の視覚性質のうちの少なくとも1つが、時間の関数として変化する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記不可逆的療法が前記組織に送達されるときに前記解剖学的構造内の前記カテーテルの先端区分の場所を決定するための手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記解剖学的構造内の前記カテーテルの前記先端区分の前記決定された場所に対応するモデル内の場所において、前記解剖学的構造の3次元モデル内にタグを表示するためのディスプレイをさらに備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記カテーテルは、照会エネルギーを組織の第1のエリアに送達し、かつ、不可逆的療法を組織の第2のエリアに印加するように構成され、前記組織の第1のエリアは、前記第2のエリアよりも大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
システムであって、
患者の解剖学的構造の心電図(ECG)を捕捉するように構成された1つ以上の電極、および/または前記解剖学的構造内に位置付けられ、前記解剖学的構造の電気記録図を捕捉するように構成された心臓内基準と、
前記解剖学的構造内に挿入されるように構成されたカテーテルであって、前記カテーテルは、照会エネルギーおよび不可逆的療法を前記解剖学的構造の壁上の組織に送達するように構成された少なくとも1つの電極を含む、カテーテルと、
前記少なくとも1つの電極を介して前記照会エネルギーおよび不可逆的療法を前記組織に送達するように構成されたジェネレータと、
プロセッサに動作可能に結合され、命令を記憶しているメモリであって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
前記ECGおよび/または前記電気記録図内の前記解剖学的構造の不整脈を検出することと、
第1の場所における前記組織に照会エネルギーを送達することと、
前記組織への前記照会エネルギーの送達に応答して前記ECGおよび/または前記電気記録図内の変化を検出することであって、前記変化は、前記整脈の減速または終結に対応する、ことと、
前記第1の場所における前記組織に不可逆的療法を送達することと
を含む動作を実施させる、メモリと
を備える、システム。
【請求項27】
前記心臓内基準は、前記カテーテルと異なる第2のカテーテルであり、前記第2のカテーテルは、多極性カテーテルおよび/または管状静脈洞カテーテルである、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記不可逆的療法は、パルスアブレーション、高周波アブレーション、凍結アブレーション、超音波アブレーション、レーザバルーンアブレーション、および/またはホットバルーンアブレーションを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記照会エネルギーは、照会電気パルスを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記照会電気パルスは、二相性電気信号である、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記二相性電気信号の極性は、対称的である、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記二相性電気信号の極性は、非対称的である、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記照会電気パルスは、前記照会電気パルスの各極性が、10ms以下の周期にわたって、前記照会電気パルスの反対の極性の送達された電荷の80%以上を含有するような二相性電気信号である、請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
前記照会電気パルスは、矩形波、正弦関数、レイズドルートコサイン、ガウス関数、および/または台形波である、請求項30に記載のシステム。
【請求項35】
前記動作はさらに、前記解剖学的構造の3次元モデル内にタグを表示することを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項36】
前記タグは、1つ以上の視覚性質を含み、前記1つ以上の視覚性質は、色および/またはパターンを含み、前記色および/または前記パターンは、前記組織に送達された前記照会エネルギーが前記整脈を終結させたかどうかのインジケーションを提供する、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
不整脈を検出することは、サイクル長を測定することを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項38】
非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記非一過性コンピュータ可読媒体は、その上に命令を記憶しており、前記命令は、心臓アブレーションシステムの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記心臓アブレーションシステムに、
解剖学的構造の壁上の位置における組織に、前記解剖学的構造内に位置付けられるカテーテルを使用して照会エネルギーを送達することと、
前記照会エネルギーの送達に応答して前記解剖学的構造の電気活動の変化を検出することであって、前記電気活動の変化は、整脈の減速または終結に対応する、ことと、
前記電気活動の変化を検出することに応答して前記組織に不可逆的療法を印加することと
を含む動作を実施させる、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項39】
心電図および/または電気記録図を使用して前記解剖学的構造の前記電気活動を測定することをさらに含む、請求項38に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項40】
前記組織に不可逆的療法を印加することは、前記カテーテルを介して前記組織に不可逆的療法を印加することを含む、請求項38に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項41】
前記カテーテルは、第1のカテーテルであり、前記組織に不可逆的療法を印加することは、前記解剖学的構造内に位置付けられる第2のカテーテルを使用して前記組織に不可逆的療法を印加することを含む、請求項38に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項42】
前記解剖学的構造の電気活動の変化を検出することは、サイクル長を測定することを含む、請求項38に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2020年1月24日に出願された、米国仮特許出願第62/965,747号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
心不整脈は、通常、心臓組織の具体的な領域によって開始および/または維持される。例えば、線維性組織または瘢痕化組織が、時として、伝導遅延を引き起こし、自動能を呈し、不整脈に関わり得る。低侵襲性カテーテルが、ある不整脈を治療するために患者の心臓内で使用されることができる。例えば、低侵襲性カテーテルが、患者の心臓の壁に点毎の療法を送達するために使用されることができる。本シナリオでは、カテーテルは、患者の心臓の壁上に、壁にエネルギー(例えば、電気エネルギー)を印加することによって1つまたはそれを上回る離散点(例えば、離散病変)を形成するために使用されることができる。印加されたエネルギーは、治療部位における組織を損傷させ、組織の電気活動を終結させる。ひいては、異常な電気信号が、治療された組織を通して伝搬しないように防止され、それによって、不整脈を防止することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
A.概観
上記に議論されるように、低侵襲性カテーテルが、組織を損傷させ、組織の電気活動を終結させるために組織にエネルギーを印加するために使用されることができる。ひいては、異常な電気信号が、治療された組織を通して伝搬しないように防止され、それによって、不整脈を防止することができる。しかしながら、不整脈を治療するために、多くの場合、問題となる組織のみを治療することが、望ましい。すなわち、多くの場合、不整脈に寄与していない心臓組織を治療することは、望ましくない。患者が、不整脈を呈すると、2つの主要な方法、すなわち、(a)アクティブ化マッピングおよび(b)エントレインメントマッピングが、問題となる組織の場所を決定するために採用される。
【0004】
アクティブ化マッピングは、生体構造の種々の部分のための励起タイミングの決定を伴う。生体構造の複数の部分を横断して励起シーケンス(またはパターン)を決定することによって、医師は、不整脈を開始している、もしくはそれを維持することに役立っている生体構造の部分を識別することができる。ひいては、医師は、識別された部分の組織に療法を送達し、その導電を遮断し、それによって、不整脈を終結させることができる。多くの場合、効果的であるが、アクティブ化マッピングは、時間がかかり、特殊な医療用機器を要求し、高レベルのオペレータ/医師技能を要求する。また、いくつかの状況では、アクティブ化マッピングは、不整脈を開始している、またはそれを維持することに役立っている部分の具体的な組織の明確なインジケーションを提供しない。さらに、いくつかの不整脈(例えば、心房性頻脈または心房細動)は、不安定であり得る、もしくは早期に終結し得、したがって、マッピング不可能であり得る。すなわち、非周期的な信号を呈するアクティブ化マッピングは、マッピング可能ではない。
【0005】
エントレインメントマッピングは、解剖学的構造内の種々の部位における組織ペーシング/刺激を伴う。エントレインメントマッピングは、不整脈を維持するために重要となる組織の経路内の組織が、不整脈のサイクル長と同じ、またはそれに近接するペーシング後間隔を有するであろうと仮定する。しかしながら、エントレインメントマッピングは、組織の重要となる経路上に存在する組織のみを識別することが可能であり、これは、適切な治療部位を正確に示すものではない。加えて、エントレインメントマッピングは、不整脈が、焦点源またはミクロリエントリではなく、マクロリエントリ回路であると仮定し、したがって、不整脈の亜集合のみをマッピングするために有用である。また、エントレインメントマッピングの間のペーシングは、不整脈を終結させ、不整脈を再誘発し、検査を継続することを困難にし得る。さらに、アクティブ化マッピングと同様に、エントレインメントマッピングは、安定した不整脈のみをマップするために使用されることができる。
【0006】
これらの従来の技法とは対照的に、本開示は、不可逆的療法を潜在的治療部位における組織に送達することが、不整脈を効果的に治療するであろうかどうかを決定するために、照会エネルギー(例えば、可逆パルス磁場エネルギー、可逆電気穿孔法等)を潜在的治療部位における組織に送達する、デバイス、システム、および方法を対象とする。より具体的には、本技術のデバイス、システム、および方法は、解剖学的構造内の潜在的治療部位に照会エネルギーを送達し、対応する電気応答を測定する。照会エネルギーは、潜在的治療部位における組織を一時的に気絶させるため、対応する電気応答は、不可逆的療法が、潜在的治療部位に送達された場合に結果として生じるであろう、電気応答の一時的なインジケーションを提供する。解剖学的構造の不整脈/励起パターンが、照会エネルギーの送達の後、不変のままである場合、本技術のデバイス、システム、および方法は、潜在的治療部位における組織が、測定された不整脈に寄与しないことを決定することができる。いくつかの実施形態では、本技術のデバイス、システム、および方法は、上記に説明される様式において別の潜在的治療部位を検査するように進行することができる。他方では、解剖学的構造の不整脈/励起パターンが、潜在的治療部位における組織への照会エネルギーの送達の後、変化する場合、本技術のデバイス、システム、および方法は、潜在的治療部位における組織に不可逆的療法を送達し、測定された不整脈を治療するように進行することができる。
【0007】
本技術のいくつかの実施形態の具体的詳細が、本明細書では、図1-11を参照して説明される。実施形態の多くのものが、患者の心臓内の組織に照会エネルギーを印加し、不可逆的療法を用いて不整脈を治療するための適切な治療部位を決定するデバイス、システム、および方法に関して説明されるが、本明細書に説明されるものに加えて、他の用途ならびに他の実施形態も、本技術の範囲内である。例えば、別様に規定される、または文脈から明白にされない限り、本技術のデバイス、システム、および方法は、患者の中空解剖学的構造に対して、より具体的には、医療手技への直接的な視覚アクセスが、非現実的である、ならびに/もしくは解剖学的構造のモデルの使用によって改良される、中空解剖学的構造の中で実施される手技等、種々の医療手技のうちのいずれかのために使用されることができる。したがって、例えば、本技術のシステム、デバイス、および方法は、心臓病状の診断、治療、または両方と関連付けられる医療的治療の一部として心臓の中に挿入される医療デバイスの可視化を促進するために使用されることができる。加えて、または代替として、本技術のデバイス、システム、および方法は、介入肺学、脳外科手術、もしくは洞外科手術(例えば、洞形成術)と関連付けられる、1つまたはそれを上回る医療手技において使用されることができる。
【0008】
本明細書に開示されるものに加えて、他の実施形態も、本技術の範囲内であることに留意されたい。さらに、本技術の実施形態は、本明細書に示される、または説明されるものと異なる構成、構成要素、ならびに/もしくは手技を有することができる。また、当業者は、本技術の実施形態が、本明細書に示される、または説明されるものに加えた、構成、構成要素、ならびに/もしくは手技を有し得ること、およびこれらならびに他の実施形態が、本技術から逸脱することなく、本明細書に示される、または説明される構成、構成要素、ならびに/もしくは手技のうちのいくつかを用いずにあり得ることを理解するであろう。
【0009】
本明細書で使用されるように、用語「医師」は、医療手技を実施または補助し得る、任意のタイプの医療関係者を含み、したがって、医師、看護師、医療技師、他の類似要員、およびそれらの任意の組み合わせを含むと理解されることとする。加えて、または代替として、本明細書で使用されるように、用語「医療手技」は、診断、治療、もしくは両方と関連付けられる任意の調製活動を含む、そのような診断、治療、または両方の任意の様式および形態を含むと理解されることとする。したがって、例えば、用語「医療手技」は、解剖学的腔内の医療デバイスの移動または位置付けの任意の様式および形態を含むものと理解されることとする。本明細書で使用されるように、用語「患者」は、医療手技が実施されているヒト患者および/または非ヒト(例えば、動物)患者を含むものと見なされるべきである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
方法であって、
解剖学的構造の壁上の位置における組織に、前記解剖学的構造内に位置付けられるカテーテルを使用して照会エネルギーを送達することと、
前記照会エネルギーの送達に応答して前記解剖学的構造の電気活動の変化を検出することであって、前記電気活動の変化は、検出される不整脈の減速または終結に対応する、ことと、
前記電気活動の変化を検出することに応答して前記組織に不可逆的療法を印加することと
を含む、方法。
(項目2)
前記組織は、第1の組織であり、前記不整脈は、第1の不整脈であり、前記方法は、
前記解剖学的構造の第1の組織または第2の組織を刺激することによって、前記照会エネルギーを送達する前に、前記第1の不整脈を誘発すること、および/または
前記第1の不整脈を終結させた後に前記解剖学的構造の第1の組織、前記第2の組織、または第3の組織を刺激することによって、前記第1の不整脈および/または第2の不整脈を再誘発すること
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
心電図および/または電気記録図を使用して前記解剖学的構造の電気活動を測定することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記組織に不可逆的療法を印加することが、前記カテーテルを介して前記組織に不可逆的療法を印加することを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記カテーテルは、第1のカテーテルであり、前記組織に不可逆的療法を印加することは、前記解剖学的構造内に位置付けられる第2のカテーテルを使用して前記組織に不可逆的療法を印加することを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記不可逆的療法は、パルス磁場アブレーション、高周波アブレーション、凍結アブレーション、超音波アブレーション、レーザバルーンアブレーション、および/またはホットバルーンアブレーションを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記照会エネルギーを印加することは、照会電気パルスを印加することを含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記照会電気パルスは、二相性電気信号である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記二相性電気信号の極性は、対称的である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記二相性電気信号の極性は、非対称的である、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記照会電気パルスは、各極性が、10msまたはそれ未満の周期にわたって、全体として、他の極性の送達された電荷の80%以上を含有するような二相性電気信号である、項目8に記載の方法。
(項目12)
前記照会電気パルスは、矩形波、正弦関数、レイズドルートコサイン、ガウス関数、および/または台形波である、項目7に記載の方法。
(項目13)
照会エネルギーを印加することは、前記組織の温度が1℃よりも変化しないように非熱療法を印加することを含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記照会エネルギーを印加することは、少なくとも一度に少なくとも100ナノ秒にわたって少なくとも1,000ボルトを前記組織に印加することを含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
磁気位置センサ、インピーダンス測定、超音波ナビゲーション、および/または蛍光透視法を使用して前記カテーテルの先端区分の場所を決定することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記解剖学的構造の1つまたはそれを上回る電気信号を捕捉することをさらに含み、前記解剖学的構造の電気活動の前記変化を検出することは、(i)前記1つまたはそれを上回る捕捉された電気信号のタイミング、および/または(ii)前記1つまたはそれを上回る捕捉された電気信号の形態の変化を検出することを含む、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記解剖学的構造の1つまたはそれを上回る電気信号を捕捉することをさらに含み、前記方法はさらに、前記1つまたはそれを上回る捕捉された電気信号を表示することを含む、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記解剖学的構造のアクティブ化マッピングおよび/またはエントレインメントマッピングを実施し、前記解剖学的構造の壁上の着目面積を識別することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記照会エネルギーが前記組織に送達されるとき、前記解剖学的構造内の前記カテーテルの先端区分の場所を決定することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記解剖学的構造内の前記カテーテルの先端区分の決定された場所に対応する前記モデル内の場所において、前記解剖学的構造の3次元モデル内に療法注釈を表示することをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記療法注釈は、1つまたはそれを上回る視覚性質を含み、前記1つまたはそれを上回る視覚性質は、色および/またはパターンを含み、前記色および/または前記パターンは、前記組織に送達された前記照会エネルギーが前記検出された不整脈を終結させたかどうかのインジケーションを提供する、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記表示された療法注釈の1つまたはそれを上回る視覚性質のうちの少なくとも1つが、時間の関数として変化する、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記不可逆的療法が前記組織に送達されるとき、前記解剖学的構造内の前記カテーテルの先端区分の場所を決定することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目24)
前記解剖学的構造内の前記カテーテルの先端区分の決定された場所に対応する前記モデル内の場所において、前記解剖学的構造の3次元モデル内に療法注釈を表示することをさらに含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記組織に照会エネルギーを送達することは、照会エネルギーを組織の第1の面積に送達することを含み、前記組織に不可逆的療法を印加することは、不可逆的療法を組織の第2の面積に印加することを含み、前記組織の第1の面積は、前記第2の面積を上回る、項目1に記載の方法。
(項目26)
システムであって、
患者の解剖学的構造の心電図(ECG)を捕捉するように構成される1つまたはそれを上回る電極、および/または前記解剖学的構造内に位置付けられ、前記解剖学的構造の電気記録図を捕捉するように構成される心臓内基準と、
前記解剖学的構造内に挿入されるように構成されるカテーテルであって、前記カテーテルは、照会エネルギーおよび不可逆的療法を前記解剖学的構造の壁上の組織に送達するように構成される少なくとも1つの電極を含む、カテーテルと、
前記少なくとも1つの電極を介して前記照会エネルギーおよび不可逆的療法を前記組織に送達するように構成されるジェネレータと、
プロセッサに動作可能に結合され、命令を記憶しているメモリであって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
前記ECGおよび/または前記電気記録図内の前記解剖学的構造の不整脈を検出することと、
第1の場所における前記組織に照会エネルギーを送達することと、
前記組織への前記照会エネルギーの送達に応答して前記ECGおよび/または前記電気記録図内の変化を検出することであって、前記変化は、前記検出された不整脈の減速または終結に対応する、ことと、
前記第1の場所における前記組織に不可逆的療法を送達することと
を含む動作を実施させる、メモリと
を備える、システム。
(項目27)
前記心臓内基準は、前記カテーテルと異なる第2のカテーテルであり、前記第2のカテーテルは、多極性カテーテルおよび/または管状静脈洞カテーテルである、項目26に記載のシステム。
(項目28)
前記不可逆的療法は、パルス磁場アブレーション、高周波アブレーション、凍結アブレーション、超音波アブレーション、レーザバルーンアブレーション、および/またはホットバルーンアブレーションを含む、項目26に記載のシステム。
(項目29)
前記照会エネルギーは、照会電気パルスを含む、項目26に記載のシステム。
(項目30)
前記照会電気パルスは、二相性電気信号である、項目29に記載のシステム。
(項目31)
前記二相性電気信号の極性は、対称的である、項目30に記載のシステム。
(項目32)
前記二相性電気信号の極性は、非対称的である、項目31に記載のシステム。
(項目33)
前記照会電気パルスは、各極性が、10msまたはそれ未満の周期にわたって、全体として、前記他の極性の送達された電荷の80%以上を含有するような二相性電気信号である、項目30に記載のシステム。
(項目34)
前記照会電気パルスは、矩形波、正弦関数、レイズドルートコサイン、ガウス関数、および/または台形波である、項目30に記載のシステム。
(項目35)
前記動作はさらに、前記解剖学的構造の3次元モデル内に療法注釈を表示することを含む、項目26に記載のシステム。
(項目36)
前記療法注釈は、1つまたはそれを上回る視覚性質を含み、前記1つまたはそれを上回る視覚性質は、色および/またはパターンを含み、前記色および/または前記パターンは、前記組織に送達された前記照会エネルギーが前記検出された不整脈を終結させたかどうかのインジケーションを提供する、項目35に記載のシステム。
(項目37)
不整脈を検出することは、サイクル長を測定することを含む、項目26に記載のシステム。
(項目38)
患者を治療する方法であって、前記方法は、
カテーテルによって運ばれる電極を介して第1のエネルギーを前記患者の解剖学的構造の第1の標的組織に送達することと、
前記解剖学的構造内の前記カテーテルの先端区分の場所に対応する前記モデル内の場所における前記解剖学的構造の3次元モデル内に第1の療法注釈を表示することであって、前記第1の療法注釈は、色および/またはパターンを含む1つまたはそれを上回る視覚性質を含み、前記色および/または前記パターンは、前記組織に送達された前記第1のエネルギーが不整脈を減速または終結させたかどうかのインジケーションを提供し、さらに、前記表示された療法注釈の1つまたはそれを上回る視覚性質のうちの少なくとも1つは、時間の関数として変化する、ことと、
前記電極を介して第2のエネルギーを前記解剖学的構造の第2の標的組織に送達することであって、前記第2の標的組織は、少なくとも部分的に、前記第1の標的組織と重複する、ことと、
前記第2のエネルギーを送達した後、前記解剖学的構造の3次元モデル内に第2の療法注釈を表示することと
を含む、方法。
(項目39)
第1のエネルギーを送達することは、気絶エネルギーを前記第1の標的組織に送達することを含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
第2のエネルギーを送達することは、少なくとも部分的に、アブレーションエネルギーを前記第2の標的組織に送達することを含む、項目38に記載の方法。
(項目41)
第2のエネルギーを送達することは、気絶エネルギーを前記第2の標的組織に送達することを含む、項目38に記載の方法。
(項目42)
非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記非一過性コンピュータ可読媒体は、その上に命令を記憶しており、前記命令は、心臓アブレーションシステムの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記心臓アブレーションシステムに、
解剖学的構造の壁上の位置における組織に、前記解剖学的構造内に位置付けられるカテーテルを使用して照会エネルギーを送達することと、
前記照会エネルギーの送達に応答して前記解剖学的構造の電気活動の変化を検出することであって、前記電気活動の変化は、検出される不整脈の減速または終結に対応する、ことと、
前記電気活動の変化を検出することに応答して前記組織に不可逆的療法を印加することと
を含む動作を実施させる、非一過性コンピュータ可読媒体。
(項目43)
心電図および/または電気記録図を使用して前記解剖学的構造の電気活動を測定することをさらに含む、項目42に記載のコンピュータ可読媒体。
(項目44)
前記組織に不可逆的療法を印加することは、前記カテーテルを介して前記組織に不可逆的療法を印加することを含む、項目42に記載のコンピュータ可読媒体。
(項目45)
前記カテーテルは、第1のカテーテルであり、前記組織に不可逆的療法を印加することは、前記解剖学的構造内に位置付けられる第2のカテーテルを使用して前記組織に不可逆的療法を印加することを含む、項目42に記載のコンピュータ可読媒体。
(項目46)
前記解剖学的構造の電気活動の変化を検出することは、サイクル長を測定することを含む、項目42に記載のコンピュータ可読媒体。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の多くの側面が、以下の図面を参照してより深く理解されることができる。図面内の構成要素は、必ずしも縮尺通りではない。代わりに、本開示の原理を明確に図示することに重点が置かれている。図面は、本開示を描写される具体的な実施形態に限定するものと捉えられるべきではなく、解説および理解のためのものにすぎない。
【0011】
図1図1は、ヒト患者を治療するための、本技術の種々の実施形態に従って構成された、システムの略図である。
【0012】
図2図2は、本技術の種々の実施形態に従って構成された、図1のシステムの例示的医療デバイスの斜視図である。
【0013】
図3図3は、本技術の種々の実施形態に従って構成された、図2のシステムの医療デバイスの先端区分の略図である。
【0014】
図4図4は、本技術の種々の実施形態による、患者の解剖学的構造内の医療デバイスの略図である。
【0015】
図5図5は、医療手技の間に3次元モデルの投影を表示し、本技術の種々の実施形態に従って構成された、図1のシステムのグラフィカルユーザインターフェースである。
【0016】
図6図6は、本技術の種々の実施形態による、治療部位を決定する、および/または患者の解剖学的構造内の心不整脈を治療するための方法を図示する、フロー図である。
【0017】
図7図7および8は、本技術の種々の実施形態による、患者の解剖学的構造の測定された電気信号の折れ線グラフである。
図8図7および8は、本技術の種々の実施形態による、患者の解剖学的構造の測定された電気信号の折れ線グラフである。
【0018】
図9図9は、本技術の種々の実施形態に従って発生および/または表示され得る種々の視覚印を図示する、3次元モデルの画像である。
【0019】
図10図10は、本技術の種々の実施形態による、グラフィカルユーザインターフェース上に表示され得る3次元モデルの画像である。
【0020】
図11図11は、本技術の種々の実施形態による、患者の解剖学的構造の電気活動を測定する複数の電気記録図の折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
B.心不整脈治療デバイス、システム、および方法の選択された実施形態
1.心不整脈治療デバイスおよびシステム
図1は、ヒト患者102を治療するための、本技術の実施形態に従って構成される、システム100の略図である。図1に示される配列では、システム100が、患者102に対して医療手技(例えば、診断手技、アブレーション治療、または両方)を実施するために使用されている。システム100は、延長ケーブル106を介してインターフェースユニット108に接続される、医療デバイス104を含むことができる。インターフェースユニット108(例えば、カテーテルインターフェースユニット)は、処理ユニット109(例えば、1つまたはそれを上回るプロセッサ)と、グラフィカルユーザインターフェース110と、記憶媒体111とを含むことができる。グラフィカルユーザインターフェース110および記憶媒体111は、処理ユニット109と電気通信(例えば、有線通信、無線通信、または両方)することができる。記憶媒体111は、別様に示される、または文脈から明白にされない限り、その上に、処理ユニット109の1つまたはそれを上回るプロセッサに、本明細書に説明される種々の方法のうちの1つまたはそれを上回る部分を行わせるための、コンピュータ実行可能命令を記憶することができる。医療デバイス104はさらに、延長ケーブル113を介してエネルギージェネレータ112に接続されることができる。ジェネレータ112は、医療デバイス104の先端区分124に電気エネルギー(例えば、無線周波数エネルギー、パルス磁場エネルギー、電気穿孔エネルギー等)を送達するように構成されることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、システム100は、マッピングシステム、記録システム、潅注ポンプ、および/または患者102の皮膚に取り付けられる、1つまたはそれを上回る電極118(例えば、1つまたはそれを上回る帰還電極、患者102の心電図を捕捉するように構成される、1つまたはそれを上回る電極等)等の1つまたはそれを上回る他の構成要素を含むことができる。別の実施例として、システム100は、多極性カテーテル107(例えば、管状静脈洞カテーテル)を含むことができる。多極性カテーテル107は、延長ケーブル103を介してインターフェースユニット108に接続されることができ、患者102の解剖学的構造(例えば、心臓)の中に挿入されるように構成される、先端部分125を含むことができる。下記により詳細に議論されるように、多極性カテーテル107は、先端部分125が解剖学的構造内にある間、1つまたはそれを上回る双極電気記録図を捕捉するように構成されることができる。
【0023】
グラフィカルユーザインターフェース110が、例えば、医療デバイス104の先端区分124の場所に対して3次元注釈および/または他の情報を発生させる、ならびに/もしくは表示することによって、患者102の解剖学的構造(例えば、心臓)の組織の診断および/または治療の一部として使用されることができる。本技術の種々の実施形態に従って発生および/または表示される3次元注釈は、単独で、もしくは解剖学的構造の3次元の表面表現等、他の3次元の情報との組み合わせにおいて使用されることができる。いくつかの実施形態では、例えば、3次元注釈は、解剖学的構造内の医療デバイス104の先端区分124の現在の場所、および/または療法が送達された解剖学的構造内の先端区分124の場所を表すことができる。これらおよび他の実施形態では、3次元注釈は、少なくとも部分的に、医療デバイス104の先端区分124を中心として分散されたセンサ126から受信される信号に基づいて、種々の情報を表示することができる。このように、本技術は、医師に、解剖学的構造の1つまたはそれを上回る表面に対する医療デバイス104の3次元移動ならびに/もしくは近接度に関する改良された空間的文脈を提供することが予期される。具体的実施例として、3次元注釈および/または他の情報を、本明細書に説明される方法のうちのいずれか1つまたはそれを上回るものに従って、療法の間にグラフィカルユーザインターフェース110上に単独で、もしくは3次元モデルとの組み合わせにおいて発生させる、および/または表示するステップは、解剖学的構造内の医療デバイス104の3次元移動を促進し、不可逆的療法送達のための潜在的治療部位を検査する、ならびに/もしくは3次元モデルによって表される解剖学的構造の1つまたはそれを上回る表面上に所望のパターンにおける1つまたはそれを上回る病変を生成することができる。
【0024】
図2は、図1のシステム100の医療デバイス104の斜視図であり、図3は、医療デバイス104の先端区分150の略図である。図1-3をともに参照すると、医療デバイス104は、(例えば、診断、治療、または両方に関して)当技術分野において公知である種々の異なる医療デバイスのうちのいずれかであることができる。図示される実施形態では、例えば、医療デバイス104は、カテーテルである。医療デバイス104は、取っ手120、シャフト122、先端区分124、および/または潅注要素128を含むことができる。取っ手120は、シャフト122の近位端部分130に結合されることができる。先端区分124および/または潅注要素128は、近位端部分130の反対のシャフト122の遠位端部分132に結合されることができる。いくつかの実施形態では、シャフト122は、潅注ポンプ(図示せず)等の流体送達デバイスと流体連通し得る、管腔を画定することができる。加えて、または代替として、シャフト122は、シャフト122に沿って延在し、先端区分124と取っ手120との間で信号を搬送する、電気ワイヤを含むことができる。
【0025】
取っ手120は、筐体145と、作動部分146とを含むことができる。使用時、作動部分146は、シャフトの遠位端部分132を偏向させ、治療部位における組織と接触するように先端区分124を位置付けることを促進するように動作されることができる。取っ手120はさらに、それぞれ、先端区分124への/それからの(例えば、電極150への/それからの、および/または先端区分124の1つまたはそれを上回るセンサ126への/それからの)、シャフト122に沿った潅注流体、電気信号、ならびに/もしくはエネルギー(例えば、電気エネルギー)の送達のために、流体ラインコネクタ149および/または電気コネクタ148に結合されることができる。
【0026】
先端区分124は、概して、治療、診断、または両方の目的のために組織に直接もしくは間接的に係合する、カテーテル104の任意の部分を含み、したがって、当技術分野において公知である、組織との全ての様式およびタイプの接触相互作用ならびに/もしくは非接触相互作用を含むことができる。例えば、先端区分124は、エネルギー相互作用(例えば、電気エネルギー、超音波エネルギー、光エネルギー、およびそれらの任意の組み合わせ)の形態にある、組織との接触相互作用ならびに/もしくは非接触相互作用を含むことができ、さらに、または代わりに、組織から発出する電気信号の測定を含むことができる。したがって、例えば、先端区分124は、治療(例えば、アブレーション、電気穿孔法等)、診断(例えば、マッピング)、または両方を含む、任意の数の手技の一部として、解剖学的構造内の組織にエネルギー(例えば、電気エネルギー)を送達することができる。
【0027】
図示される実施形態では、先端区分124は、結合部分140と、変形可能部分142とを含む。本明細書において使用されるように、用語「拡張可能」および「変形可能」は、別様に規定される、または文脈から明白にされない限り、同義的に使用される。したがって、例えば、変形可能部分142が、別様に規定されない限り、拡張可能であることを理解されたい。結合部分140は、シャフト122の遠位端部分132に固着され、変形可能部分142は、結合部分140から遠位に延在することができる。
【0028】
先端区分124の変形可能部分142は、送達のために変形され、シャフト122の断面寸法より大きい断面寸法を有するように、治療部位において拡張されることができる。さらに、拡張状態では、先端区分124の変形可能部分142は、組織との十分な接触力に応じて変形可能である。下記により詳細に説明されるように、変形可能部分の形状および変形の程度は、少なくとも部分的に、先端区分124のセンサ126から受信される信号に基づいて検出されることができる。いくつかの実施形態では、変形可能部分142は、組織との接触の結果としての変形可能部分142の変形が、例えば、X線または類似の可視化技法を通して観察可能であるように、放射線不透過性であることができる。先端区分124の変形可能部分142の変形の検出および/または観察は、例えば、意図される治療が、事実上、組織に提供されていることの改良された確実性を提供することができる。組織に対する電極150の位置付けの改良された確実性が、病変パターン内の間隙の尤度を低減させ得る、また、または代わりに、そうでなければ病変パターン内の間隙を回避するために要求される病変の時間および数を低減させ得ることを理解されたい。
【0029】
先端区分124の変形可能部分142は、電極150(例えば、アブレーション電極、電気穿孔電極等)を含むことができる。いくつかの実施形態では、変形可能部分142は、電極150を形成するようにともに継合される、支柱144を含むことができる。図示される実施形態では、支柱144は、集合的に、複数のセル147を画定するように継合される。しかしながら、他の実施形態では、支柱144は、当技術分野において公知である方法に従って継合されることができる。加えて、または代替として、支柱144のうちの少なくともいくつかが、先端区分124の結合部分140に結合され、変形可能部分142をシャフト122の遠位端部分132に固着させることができる。支柱144は、相互に対して移動可能であることができる。より具体的には、支柱144は、(例えば、変形可能部分142が自己拡張可能である実施形態では)変形可能部分142が、外力が存在する圧縮状態と外力がない非圧縮状態との間を移行し得るように、相互に可撓性であることができる。
【0030】
一般に、電極150の支柱144は、先端区分124の変形可能部分142を通した実質的に均一である電流密度の送達のために、相互に対して定寸および配列されることができる。支柱144は、(例えば、シャフト122に沿って延在する1つまたはそれを上回るワイヤ(図示せず)を介して)電気コネクタ148に電気的に結合されることができる。
【0031】
電極150は、単極電極構成内で1つの電極として作用する、変形可能部分142を中心とした連続的構造である。しかしながら、電極150が、電極150が双極電極構成の2つの電極を含むように、変形可能部分142を中心として電気的に絶縁される部分を含み得ることを理解されたい。使用時、エネルギー(例えば、電気エネルギー、高周波(RF)エネルギー等)が、電極150に送達され、(例えば、電極150と接触する)組織を(例えば、不可逆電気穿孔法を介して)アブレートまたは別様に治療することができる。より小さい電極と比較して、電極150は、より広い病変を提供し、重複する病変のパターンの生成を促進する(例えば、催不整脈性間隙の尤度を低減させる、重複するパターンに関して要求される病変の時間および数を低減させる、または両方を行う)ことができる。加えて、または代替として、より大きい電極150は、より広い、かつより深度の病変を提供するために、より多くの電力の送達を促進することができる。
【0032】
これらおよび他の実施形態では、電極150は、1つまたはそれを上回る電気パルスを組織のセルに印加するように構成される、電気穿孔電極であることができる。例えば、カテーテル104は、パルス磁場エネルギー(例えば、可逆電気穿孔法、不可逆電気穿孔法、パルス電場等)および/または別の形態のエネルギーを、先端区分124の電極150を介して治療部位における組織に印加するように構成されることができる。より具体的な実施例として、カテーテル104は、高電圧(例えば、約500ボルト~4,000ボルト)および短い持続時間(例えば、100ナノ秒~200マイクロ秒)で単相性パルスまたは二相性パルスを電極150に送達するように構成されることができる。
【0033】
加えて、または代替として、カテーテル104は、種々の形態のパルス列のエネルギーを、先端区分124の電極150を介して治療部位における組織に送達するように構成されることができる。例えば、カテーテル104は、エネルギーを、連続的に、または厳密に(例えば、時間的に)離間されたパルスの列としてのいずれかで組織に送達し、その間にエネルギーが組織に送達されない保留周期が続くことができる。保留周期の終了時に、カテーテル104は、再び、エネルギーを、連続的に、または厳密に離間されたパルスの列としてのいずれかで組織に送達し、別の保留周期が続くことができる。カテーテル104は、本サイクルを必要に応じて繰り返すことができる。さらに他の実施形態では、カテーテル104は、連続的なエネルギー送達の間または異なるパルス(例えば、パルス列のパルス)の送達の間のいずれかに送達される電流の量を変動させることができる。
【0034】
図3に最も詳細に示されるように、先端区分124および/または変形可能部分142は、1つまたはそれを上回るセンサ126を含むことができる。例えば、先端区分124は、電極、熱電対、サーミスタ、超音波トランスデューサ、光ファイバ、画像センサ、および/または他のタイプのセンサのうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。使用時、センサ126は、パラメータ測定の1つまたはそれを上回るモードにおいて使用されることができる。例えば、センサ126は、温度、電気記録図特性(例えば、振幅)、力、音響性質、インピーダンス、場所(例えば、療法の間の運動)、変形可能部分142の形状(例えば、展開または変形の間の)、解剖学的構造の形状、エネルギー(例えば、電力、電圧、電流、インピーダンス)、ならびに/もしくは他のパラメータ測定値を測定することができる。これらのパラメータは、時間とともに変動し、インターフェースユニット108によって測定され得る時変信号を生産する。
【0035】
センサ126は、先端区分124の変形可能部分142を中心として(例えば、それに沿って)搭載される(例えば、変形可能部分142の支柱144のうちの1つの上に搭載される)ことができ、電極150から電気的に絶縁されることができる。一般に、センサ126は、変形可能部分142の内側部分および外側部分の一方または両方に沿って位置付けられることができる。例えば、センサ126は、変形可能部分142の一部を通して延在することができる。変形可能部分142の一部を通したセンサ126のそのような位置付けは、電極150の、および/または変形可能部分142の外側部分ならびに内側部分に沿った測定条件を促進することができる。具体的実施例として、センサ126のうちの1つまたはそれを上回るものは、フレキシブルプリント回路と、フレキシブルプリント回路の部分の間に固着される、サーミスタと、サーミスタの反対の終端パッドとを含むことができる。センサ126が、変形可能部分142の外側部分に沿って配置されるサーミスタと、変形可能部分142の内側部分に沿って配列される、終端パッドとともに、先端区分124の変形可能部分142上に搭載されることができる。ある事例では、サーミスタは、外側部分に沿って配置され、組織温度の正確なインジケーションを提供することができる。
【0036】
センサ126は、変形可能部分142が非圧縮状態にあるとき、変形可能部分142を中心として(例えば、円周方向および/または軸方向において)相互から実質的に均一に離間されることができる。センサ126のそのような実質的に均一である分布は、例えば、そのような実質的に均一である分布の変形可能部分142の正確な変形および/または温度プロファイルを決定することを促進することができる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るセンサ126は、使用の間の(例えば、蛍光透視法を使用した)センサ126の可視化を促進するための、放射線不透過性部分ならびに/もしくは放射線不透過性マーカを含むことができる。
【0037】
これらおよび他の実施形態では、医療デバイス104の(例えば、先端区分124の)1つまたはそれを上回るセンサ126はさらに、磁気位置センサであることができる。磁気位置センサは、当技術分野において周知である種々の磁気位置センサのうちのいずれかであることができ、シャフト122の遠位端部分132に沿った任意の点および/または先端区分124に沿った任意の点に位置付けられることができる。磁気位置センサは、例えば、磁場ジェネレータから発出する信号を検出する、1つまたはそれを上回るコイルを含むことができる。5または6自由度を伴う位置を決定するための1つまたはそれを上回るコイルが、使用されることができる。磁気位置センサによって検出される磁場は、例えば、磁場を感知するための磁気センサを使用し、磁気位置センサの場所を決定するためのルックアップテーブルを使用するステップに基づく方法等、当技術分野において一般的に公知である1つまたはそれを上回る方法に従ってシャフト122の先端区分124ならびに/もしくは遠位端部分132の位置および/または配向を決定するために使用されることができる。故に、先端区分124は、磁気位置センサに対して公知の固定された関係にあるシャフト122の遠位端部分132に結合されるため、磁気位置センサはまた、先端区分124の場所を提供することができる。先端区分124の場所が、磁気位置感知に基づいて決定されるものとして説明されているが、他の位置感知方法も、加えて、または代替として、使用されることができる。例えば、先端区分124の場所は、加えて、または代替として、インピーダンス、超音波、ならびに/もしくは撮像(例えば、リアルタイムMRIまたは蛍光透視法)に基づくことができる。さらに、先端区分124の場所は、例えば、平滑化および/またはフィルタリングされた位置ならびに/もしくは配向を含むと理解されたい。
【0038】
いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るワイヤ(図示せず)は、各センサ126から、変形可能部分142の内側部分内で、もしくはそれに沿ってシャフト122の中に延在する。1つまたはそれを上回るワイヤは、各センサ126が使用の間にインターフェースユニット108に電気信号を送信し、それから電気信号を受信し得るように、インターフェースユニット108(図1)と電気連通することができる。本点について、1つまたはそれを上回るセンサ126は、センサ126に局所的な面積内の解剖学的構造の電気活動を検出するための電極(例えば、表面電極)として作用することができる。例えば、各センサ126は、各センサ126と組織との間の接触を検出するために有用である電極対の一部を形成することができる。例えば、電気エネルギー(例えば、電流)が、各センサ126および別の電極(例えば、本明細書に説明される種々の異なる電極のうちのいずれか1つまたはそれを上回るもの)を通して駆動されることができ、測定される信号(例えば、電圧もしくはインピーダンス)の変化が、組織の存在を示すことができる。先端区分124の位置は、既知であるため、センサ126における個別の測定された信号を通した接触の検出が、組織に近接する変形可能部分142の一部を決定するために、および/または医療手技の過程の間に先端区分124が配置される解剖学的構造の形状を決定するために有用であり得る。
【0039】
使用時、各センサ126は、さらに、または代わりに、個別のセンサ126を用いて電気記録図のための基礎を形成する、検出された電気活動を用いて、個別のセンサ126に局所的な解剖学的構造の電気活動を検出するための電極として作用することができ、さらに、または代わりに、病変フィードバックを提供することができる。センサは、各センサ126によって検出される電気活動が、単極電気記録図および/または双極電気記録図の基礎を形成し得るように配列されることができる。加えて、または代替として、センサ126は、中心電極と協働し、例えば、近単極電気記録図を提供することができる。例えば、センサ126が、潅注要素128に沿って配置されることができ、中心電極として作用することができる。加えて、または代替として、潅注要素128は、中心電極自体として作用することができる。これらおよびなおも他の実施形態では、1つまたはそれを上回る他のセンサが、1つまたはそれを上回る画像センサ等の潅注要素128に沿って配置されることができる。
【0040】
上記に議論されるように、医療デバイス104は、潅注要素128を含むことができる。図3に最も詳細に示されるように、例えば、図示される実施形態では、潅注要素128は、シャフト122の遠位端部分132に結合されることができ、シャフト122および取っ手120の管腔を介して流体ラインコネクタ149(図2)と流体連通する、1つまたはそれを上回る潅注孔を画定することができる。故に、潅注流体は、シャフト122によって画定される管腔を通して通過することができ、潅注孔を通して潅注要素128から退出することができる。
【0041】
潅注要素128は、変形可能部分142の実質的に全体的な内側部分に向かって潅注流体を指向することを促進するために、略半球状の遠位部分を含むことができる。しかしながら、潅注要素128が、変形可能部分142の内側部分に向かう潅注流体の多方向分散を促進する、種々の異なる形状のうちのいずれかであり得ることを理解されたい。また、潅注要素128は、潅注孔が、潅注流体を拡張状態にある変形可能部分142の内側部分に向かって指向するように、変形可能部分142の内側部分に対して離間されることができる。特に、先端区分124の変形可能部分142が、いくつかの実施形態では、アブレーションの間に組織に接触することを意図していることを前提として、潅注孔は、組織と接触する変形可能部分142の内側部分に向かって配向されることができる。ある実装では、潅注孔は、潅注要素128を中心として円周方向に、かつそれに沿って軸方向に離間されることができる。例えば、潅注孔は、潅注孔の少なくとも一部が先端区分124に対して遠位方向において潅注流体を指向するように配列され、潅注孔の少なくとも一部が先端区分124に対して近位方向において潅注流体を指向するように配列された状態で、潅注要素128に沿って空間的に分散されることができる。より一般的には、潅注孔は、潅注要素128を封入する変形可能部分142の内側部分に沿った、潅注流体の比較的に均一な分散を生産するように分散されることができる。潅注流体をこのように先端区分124の変形可能部分142に向かって指向することは、例えば、アブレーション治療から結果として生じる意図的ではない組織損傷の尤度を低減させることができる。
2.解剖学的構造の3次元モデル
【0042】
ある実装では、先端区分124から組織へのエネルギーの送達は、先端区分124と組織との間の近接度に依拠し得る。そのような実装では、グラフィカルユーザインターフェース110が、医療デバイス104の(例えば、先端区分124の)3次元モデルおよび/または解剖学的構造を表示し、医師に解剖学的構造の1つまたはそれを上回る表面に対する先端区分124の位置の知識を提供することが、特に、望ましくあり得る。さらに、本開示のデバイス、システム、および方法が、解剖学的構造の1つまたはそれを上回る表面に対する先端区分124の場所の知識に依拠する、もしくは少なくともそれからある恩恵を導出する、医療デバイス104の任意の数ならびに様式の設計を使用して実装され得ることを理解されたい。
【0043】
図1-5をともに参照すると、患者102の解剖学的構造432(例えば、心臓腔等の解剖学的空洞)の3次元表現532(図5)が、(例えば、解剖学的構造432の組織へのエネルギーの印加に先立って、その間に、および/またはその後に)解剖学的構造432内の医療デバイス104の先端区分124の既知の位置に基づいて、加えて、または代替として、手技に先立って、もしくはその間に入手された解剖学的構造432(図4)の画像(例えば、セグメント化されたCTまたはMR画像)に基づいて、構築されることができる。例えば、医療デバイス104の先端区分124が、解剖学的構造432内の血液中で移動可能であり、解剖学的構造432の表面433のみによって妨害されている場合(図4)、医療デバイス104の先端区分124の既知の位置が、ともに得られ、解剖学的構造432の血液組織境界のインジケーションを提供することができ、本血液組織境界は、解剖学的構造432の3次元表現532のための基礎を形成することができる。いくつかの実施形態では、3次元表現532は、三角形メッシュまたは非一様有理基底スプライン曲面であることができる。
【0044】
一般に、3次元モデル544(図5)が、グラフィカルユーザインターフェース110上に投影されることができる。3次元モデル544は、解剖学的構造432の3次元表現532および/または医療デバイス104の表現504(図5)を含むことができる。医療デバイス104の表現504は、例えば、先端区分124を中心として分散されるセンサ126から(例えば、磁気位置センサおよび/または他のセンサから)受信された信号に基づいて決定される場所ならびに配向における先端区分124の描写を含むことができる。実施例として、限定ではなく、表現504は、以下、すなわち、アイコン、輪郭、円等の2次元の幾何学的形状、および球等の3次元の幾何学的形状のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。加えて、または代替として、医療デバイス104の表現504は、先端区分124の3次元描写を含むことができる。本実施例に続いて、先端区分124の3次元表現504は、少なくとも部分的に、先端区分124のサイズおよび形状の知識に戻づくことができる。したがって、例えば、先端区分124の変形可能部分142が解剖学的構造の表面との接触を通して変形される実装では、変形可能部分142の変形は、先端区分124の3次元表現504に示されることができる。
【0045】
3次元モデル544が、とりわけ、解剖学的構造432内の医療デバイス104の先端区分124の位置に関する類似物としての有用性を有することを理解されたい。すなわち、解剖学的構造432の表面433に対する医療デバイス104の先端区分124の位置および配向は、(例えば、磁気位置センサから等、センサ126からインターフェースユニット108によって受信された信号に基づいて)既知であり、解剖学的構造432の3次元表現532内の対応する位置ならびに配向においてグラフィカルユーザインターフェース110上に表されることができる。したがって、例えば、先端区分124が、医療手技の間に解剖学的構造432内で移動するにつれて、医療デバイス104の表現504が、3次元モデル544内の解剖学的構造432の3次元表現532に対して相似する、または少なくとも類似する移動を受けるように、グラフィカルユーザインターフェース110上に描写されることができる。3次元モデル544と医療手技の物理的側面との本対応をを前提として、3次元モデル544の画像をグラフィカルユーザインターフェース110上に表示することが、医師が医療デバイス104の先端区分124を解剖学的構造432内で移動させる際に、医師にとって有用な可視化ツールとなり得ることを理解されたい。
【0046】
図4および5に最も詳細に示されるように、1つの具体的な治療実施例では、先端区分124が、解剖学的構造432の表面433に隣接して設置されることができ、エネルギー(例えば、RFエネルギー、電気エネルギー等)が、先端区分124の電極150から解剖学的構造432の表面433に指向され、治療部位における組織をアブレートまたは別様に治療する(例えば、それに可逆電気穿孔療法を送達する)ことができる。解剖学的構造432が心臓構造である実装では、解剖学的構造432の表面433に沿ったそのような治療は、例えば、本病状を患う患者における心不整脈を治療することができる。しかしながら、解剖学的構造432の表面433に沿って先端区分124を使用して生成された病変の有効性は、病変の場所に依存し得る。故に、(本明細書に説明される方法のうちのいずれか1つまたはそれを上回るものに従って3次元モデル544の画像を表示することによって促進される)医療デバイス104の位置の多次元の可視化は、心臓の効率的かつ効果的なマッピングならびに/もしくは心不整脈を治療するためのアブレーション治療の効率的かつ効果的な送達のために有用であり得る。
3.関連付けられる方法
【0047】
図6は、本技術の種々の実施形態に従って治療部位を決定する、および/または患者の解剖学的構造内の心不整脈を治療するための方法640を図示する。方法640のステップの全てまたはサブセットが、図1-3に図示されるシステム100もしくは他の好適なシステム等、医療システムの種々の構成要素またはデバイスによって実行されることができる。例えば、方法640のステップの全てまたはサブセットは、(i)インターフェースユニット(例えば、インターフェースユニット108)の構成要素もしくはデバイスおよび/または(ii)医療デバイス(例えば、医療デバイス104)の構成要素もしくはデバイスによって実行されることができる。さらに、方法640のステップのうちのいずれか1つまたはそれを上回るものは、上記の議論に従って実行されることができる。また、明確性および解説のために、図6は、図7-9と併せて下記に議論される。
【0048】
方法640は、ブロック641において、患者の解剖学的構造の電気活動を測定することによって開始する。いくつかの実施形態では、方法640は、(例えば、患者の皮膚に外部的に取り付けられる電極を使用して)解剖学的構造のECGを捕捉することによって解剖学的構造の電気活動を測定するステップを含む。加えて、または代替として、方法640は、心臓内基準(例えば、解剖学的構造内に挿入される、カテーテル、多極性カテーテル、管状静脈洞カテーテル等)を使用して1つまたはそれを上回る単極電気記録図もしくは双極電気記録図を捕捉することによって解剖学的構造の電気活動を測定するステップを含む。例えば、図7および8は、それぞれ、本技術の種々の実施形態に従って捕捉された、患者の解剖学的構造の測定された電気信号の折れ線グラフ750ならびに860である。図7を参照すると、折れ線グラフ750は、患者の皮膚に外部的に取り付けられる電極を使用して捕捉される、3つのECG信号aVF、V1、およびV6を含む。折れ線グラフ750はさらに、解剖学的構造内に位置付けられる多極性カテーテルの5つの電極対を使用して捕捉された、5つの双極電気記録図CS1-2、CS3-4、CS5-6、CS7-8、およびCS9-10を含む。いくつかの実施形態では、方法640は、グラフィカルユーザインターフェース上に測定された電気信号の全てまたはサブセットを表示することができる。
【0049】
測定された電気信号は、解剖学的構造の電気活動のインジケーションを提供し、方法640によって、患者の解剖学的構造が不整脈を呈しているときを検出および/または表示するために使用されることができる。例えば、図7の折れ線グラフ750は、およそ360msのサイクル長を有する区分754および755内の心不整脈を図示する。同様に、図8の折れ線グラフ860は、およそ350msのサイクル長を有する区分864および865内の心不整脈を図示する。いくつかの実施形態では、方法640は、ECG電極および/または心臓内基準によって捕捉された心臓信号内の隣接する電圧ピークが、典型的時間周期と異なる(例えば、所定の量だけそれを下回る、または上回る)時間周期(例えば、図7に図示されるサイクル長t1ならびに/もしくは図8に図示されるサイクル長t3)だけ分離され、患者または患者の別の群のための正常な洞律動の間に隣接する電圧ピークを分離するとき、不整脈を検出ならびに/もしくは呈することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、方法640は、解剖学的構造が自然発生的に不整脈を呈する際に電気信号を測定するステップを含む。これらおよび他の実施形態では、方法640は、解剖学的構造内で不整脈を誘発し、結果として生じる電気信号を測定することができる。例えば、方法640は、ペーシングカテーテルまたは他のデバイスを使用して解剖学的構造内の組織を刺激することができる。これらおよびなおも他の実施形態では、方法640は、持続的または周期的に(例えば、方法640の持続時間にわたって、方法640の具体的なステップの間のみ等)解剖学的構造から発出する電気信号を測定することができる。
【0051】
ブロック642において、方法640は、次に、潜在的治療部位にカテーテルを位置付けるステップを含む。いくつかの実施形態では、カテーテルは、可逆的療法および/または不可逆的療法を解剖学的構造の壁上の組織に送達するように構成される。例えば、カテーテルは、図1-3のカテーテル104であることができる。これらおよび他の実施形態では、方法640は、1つまたはそれを上回る磁気位置センサ、カテーテルの先端区分を中心として分散されたセンサによって測定された電気信号(例えば、インピーダンス)、超音波ナビゲーション、ならびに/もしくは他の撮像手段(例えば、蛍光透視法)を使用して、解剖学的構造内のカテーテルの先端区分の場所を決定する、および/または標的組織への先端区分の接触/近接度を検証することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、潜在的治療部位は、解剖学的構造の壁に沿った任意の部位である。例えば、潜在的治療部位は、可動カテーテルがさらに進行および/または検査する必要がある解剖学的構造内の任意の部位であることができる。これらおよび他の実施形態では、潜在的治療部位は、解剖学的構造の識別された着目面積内のある部位である。例えば、着目面積は、方法640を実施することに先立ってアクティブ化マッピングまたはエントレインメントマッピングを実施することによって識別されることができる。これらの実施形態では、方法640は、解剖学的構造全体の全体を通して潜在的治療部位を検査するのではなく、識別された着目面積内の潜在的治療部位のみを検査することができる。
【0053】
ブロック643において、方法640は、照会エネルギーを潜在的治療部位における組織に送達することによる、潜在的治療部位の検査を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、潜在的治療部位に位置付けられたカテーテルを使用して照会エネルギーを組織に送達する。例えば、カテーテルは、潜在的治療部位の単一の場所における組織に対して位置付けられ、それに照会エネルギーを送達することができる。別の実施例として、カテーテルは、(例えば、照会エネルギーを用いて組織のより大きい面積を気絶させるために)潜在的治療部位の複数の場所における組織に対して位置付けられ、それに照会エネルギーを送達することができる。本実施例に続いて、方法640は、規定される時間周期内(例えば、複数の場所のうちのいずれか1つにおける組織が完全に回復する、または規定される程度まで回復する前の数秒内等)に複数の場所のそれぞれにおける組織にカテーテルを再度位置付け、それに照会エネルギーを送達することができる。カテーテルが図1-3のカテーテル104である実施形態では、方法640は、電極150および/またはカテーテル104の先端区分124を中心として分散される1つまたはそれを上回るセンサ126を介して、照会エネルギーを組織に送達することができる。これらおよび他の実施形態では、組織に送達される照会エネルギーは、単極である(例えば、解剖学的構造内の電極と患者の皮膚に外部的に取り付けられる1つまたはそれを上回る電極パッチとの間に送達される)ことができる、ならびに/もしくは双極である(例えば、同一のカテーテル上の2つの電極間、または2つの別個のカテーテル上の電極間等、解剖学的構造内に位置付けられる2つの電極間に送達される)ことができる。
【0054】
組織に送達される照会エネルギーは、組織を一時的に気絶させる(組織の導電性を一時的に妨害または遮断する)が、組織が短時間周期内(例えば、数秒、数分、ならびに/もしくは数時間以内)で(例えば、最小限の恒久的傷害を伴うことなく、またはそれを伴って)回復することを可能にする、任意の療法であることができる。例えば、照会エネルギーは、電気エネルギーの照会パルスまたは電気エネルギーの照会パルスの集合であることができる。照会パルスは、高電圧および短い持続時間を伴う単相性電気信号または二相性電気信号であることができる。(単相性電気信号とは対照的に)二相性照会パルスが、照会エネルギーが組織に送達されるときに誘発される、解剖学的構造、側副構造、および/または骨格筋の筋肉捕捉を回避し得ることが予期される。
【0055】
照会パルスが二相性である実施形態では、照会パルスの各極性は、対称的であることができる。例えば、二相性照会信号は、第1の極性のエネルギー(例えば、1μsにわたる1,000ボルト)の送達と、続いて、第2の極性のエネルギー(例えば、1μsにわたる-1,000ボルト)の送達とを含むことができる。いくつかの実施形態では、照会パルスは、二相性照会パルスの各極性が10msまたはそれ未満の周期全体にわたって他の極性の(全体として)送達される電荷の80パーセント以上を含有するような、二相性信号である。より具体的な実施例として、二相性照会信号は、第1の極性のエネルギー(例えば、1μsにわたる-500ボルト)の送達と、続いて、第2の極性のエネルギー(例えば、1μsにわたる1,000V)の送達と、続いて、第1の極性のエネルギー(例えば、1μsにわたる-500ボルト)の送達とを含むことができる。別の類似の実施例として、二相性照会信号は、第1の極性のエネルギー(例えば、0.5μsにわたる-1,000ボルト)の送達と、続いて、第2の極性のエネルギー(例えば、1μsにわたる1,000ボルト)の送達と、続いて、第1の極性のエネルギー(例えば、0.5μsにわたる1,000ボルト)の送達とを含むことができる。いくつかの実施形態では、照会パルスは、少なくとも100nsにわたって少なくとも1回少なくとも1,000ボルトを交差させる、任意の電気信号であることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、照会信号は、矩形波であることができる。他の実施形態では、照会信号は、他の形状を有することができる。例えば、照会信号は、正弦関数信号、ルートレイズドコサイン信号、ガウス関数信号、台形信号、および/または別の形状の信号であることができる。これらおよび他の実施形態では、照会信号は、非熱的である。例えば、潜在的治療部位における組織への照会信号の送達は、潜在的治療部位における組織の温度を1℃未満上昇(または降下)させることが予期される。
【0057】
ブロック644において、方法640は、ブロック643において組織に送達された照会エネルギーが患者の解剖学的構造の測定された電気活動の変化を誘発したかどうかを決定する。潜在的治療部位における組織に送達される照会エネルギーが、組織を一時的に気絶させるため、潜在的治療部位における組織への照会エネルギーの送達の後の解剖学的構造の測定された電気活動は、不可逆的療法が潜在的治療部位における組織に送達された場合に恒久的に結果として生じるであろう、電気応答の一時的なインジケーションを提供する。したがって、方法640が、照会エネルギーが潜在的治療部位における組織に送達された後に解剖学的構造の電気活動の変化を検出しない場合、方法640は、治療部位における組織が、ブロック641において測定された電気信号内で識別および/または表示される不整脈に寄与していないことを決定することができる。他方では、方法640が、照会エネルギーが潜在的治療部位における組織に送達された後に解剖学的構造の電気活動の変化(例えば、不整脈サイクル長の延長/減速または不整脈の終結)を検出した場合、方法640は、(i)治療部位における組織が、ブロック641において測定された電気信号内で識別ならびに/もしくは表示される不整脈に寄与していることを決定し、(ii)潜在的治療部位が、不可逆的療法の送達のために適切な治療部位であることを決定することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、ブロック641において測定された電気信号内で識別および/または表示される不整脈の減速もしくは終結を示す、解剖学的構造の電気活動の変化は、1つまたはそれを上回る測定要素もしくは電極の信号のタイミングおよび/または形態の変化を含むことができる。本明細書で使用されるように、「形態」は、電気記録図内のアクティブ化信号の形状であり、ECGおよび心臓内EGMの両方に適用され得る。心臓内EGMと関連付けられると、形態は、振幅と、(アクティブ化の)持続時間と、複数の(例えば、二重)電位と、分画とを含むことができる。図7に図示される折れ線グラフ750を参照すると、例えば、潜在的治療部位における組織に照会エネルギーを送達するステップ(折れ線グラフ750の区分756において示される)が、折れ線グラフ750の区分754および755において検出され、表示される不整脈の終結をもたらした。特に、ECG電極によって捕捉される信号心臓内および/または心臓内基準によって捕捉される双極電気記録図内の隣接する電圧ピーク間の時間周期間が、サイクル長t1からサイクル長t2に有意に延長し、照会エネルギーの送達の後、解剖学的構造の律動が減速し、洞律動が復元されたことを示す。管状静脈洞電極をペーシングすることによる不整脈の再誘発に続いて、図8に図示される折れ線グラフ860を参照すると、(折れ線グラフ860の区分866に示される)再び同一の潜在的治療部位における組織に照会エネルギーを送達するステップは、折れ線グラフ860の区分864および865内で検出ならびに表示される不整脈の終結をもたらした。特に、ECG電極によって捕捉される信号心臓内および/または心臓内基準によって捕捉される双極電気記録図内の隣接する電圧ピーク間の時間周期間が、サイクル長t3からサイクル長t4に有意に延長し、照会エネルギーの送達の後、解剖学的構造の律動が減速し、洞律動が復元されたことを示す。一般に、方法640は、律動および/またはサイクル長の決定に関して当技術分野において公知であるいくつかの方法のうちのいずれかを使用して検出される、不整脈の減速もしくは終結に基づいて、潜在的治療部位における組織が、不整脈に寄与していることを決定することができる。加えて、または代替として、方法640は、不整脈の減速もしくは終結が、潜在的治療部位における組織の気絶以外の影響によって(例えば、照会エネルギーの送達に起因する組織刺激によって)引き起こされていると決定された場合、潜在的治療部位における組織が不整脈に寄与していると決定することを回避することができる。方法640が、潜在的治療部位における組織が測定された心臓信号内で検出される不整脈に寄与していると決定した場合、本方法は、ブロック647に進行し、不可逆的療法を対応する治療部位における組織に送達することができる。図9に関して下記により詳細に議論されるように、方法640は、解剖学的構造内の潜在的治療部位の場所を記録することができる、および/または潜在的治療部位における組織が検出された不整脈に寄与している可能性が高いというインジケーションを記録することができる。
【0059】
対照的に、方法640が、解剖学的構造の測定された電気活動内の隣接する電圧ピーク間の時間周期が、照会エネルギーが潜在的治療部位における組織に送達された前および後で同一(または実質的に同一)であることを決定した場合、方法640は、組織に送達された照会エネルギーが検出された不整脈を減速もしくは終結させなかったと決定することができる。本シナリオでは、方法640は、潜在的治療部位における組織が、測定された心臓信号内で検出された不整脈に寄与していないことを決定することができ、ブロック645に進行し、検査するべき他の潜在的治療部位が存在するかどうかを決定することができる。図9に関して下記により詳細に議論されるように、方法640は、解剖学的構造内の潜在的治療部位の場所を記録することができる、および/または潜在的治療部位における組織が検出された不整脈に寄与していないというインジケーションを記録することができる。
【0060】
ブロック645において、方法640は、検査するべき別の潜在的治療部位が存在するかどうかを決定する。例えば、方法640は、解剖学的構造および/または識別された着目面積内で進行ならびに/もしくは検査されていない、別の潜在的治療部位が存在するかどうかを決定することができる。方法640が、検査するべき他の潜在的治療部位が存在すると決定した場合、方法640は、ブロック642に戻り、カテーテルを隣の潜在的治療部位に位置付けることができる。そうでなければ、方法640は、ブロック646において終結することができる。
【0061】
ブロック644において、方法640が、ブロック643において潜在的治療部位における組織に送達された照会エネルギーが、患者の解剖学的構造の測定された電気活動の変化を誘発した(例えば、組織に送達された照会エネルギーが検出された不整脈を減速または終結させた)ことを決定した場合には、方法640は、ブロック647に進行し、治療部位における潜在的治療部位を識別し、治療部位における組織に不可逆的療法を印加する。
【0062】
ブロック647において、方法640は、不可逆的療法のための適切な治療部位として潜在的治療部位を識別する、および/または適切な治療部位における組織に不可逆的療法を送達する。不可逆的療法は、治療部位における組織を恒久的に損傷させ、異常な電気信号が損傷された組織を通して伝搬しないように防止されるように、組織の電気活動を減少させる、任意の療法を含む。不可逆的療法の実施例は、パルス磁場アブレーション、高周波(RF)アブレーション、凍結アブレーション、超音波アブレーション、レーザバルーンアブレーション、および/またはホットバルーンアブレーションを含む。いくつかの実施形態では、方法640は、高電圧(例えば、約500ボルト~4,000ボルト)および短い持続時間(例えば、100ナノ秒~100マイクロ秒)で単相性パルスまたは二相性パルスのエネルギーを含む、不可逆的療法を送達することができる。加えて、または代替として、方法640は、種々の形態のパルス列のエネルギーを不可逆的療法として治療部位における組織に送達することができる。例えば、方法640は、エネルギーを、連続的に、または厳密に(例えば、時間的に)離間されたパルスの列としてのいずれかで組織に送達し、その間にエネルギーが組織に送達されない保留周期が続くことができる。保留周期の終了時に、方法640は、再び、エネルギーを、連続的に、または厳密に離間されたパルスの列としてのいずれかで組織に送達し、別の保留周期が続くことができる。方法640は、本サイクルを必要に応じて繰り返すことができる。さらに他の実施形態では、方法640は、連続的なエネルギー送達の間または異なるパルス(例えば、パルス列のパルス)の送達の間のいずれかに送達される電流の量を変動させることができる。これらおよびなおも他の実施形態では、方法640は、不可逆的療法を、(i)治療部位における組織のみ、ならびに/もしくは(ii)治療部位における組織ならびに治療部位に近接した(例えば、それを囲繞する、それに隣接する等の)組織に送達することができる。いくつかの実施形態では、方法640は、可動カテーテルおよび/またはブロック643において組織に照会エネルギーを送達するために使用される同一のカテーテルを使用して、不可逆的療法を治療部位における組織に送達する。他の実施形態では、方法640は、ブロック643において組織に照会エネルギーを送達するために使用されたカテーテルと別個のカテーテルを使用して、不可逆的療法を治療部位における組織に送達する。いくつかの実施形態では、方法640は、ブロック643において、方法640がブロック647において不可逆的療法を送達する組織の第2の面積より大きい(例えば、それを上回る、少なくとも1.5倍より大きい、少なくとも2倍より大きい等)、解剖学的構造の壁上の組織の第1の面積に照会エネルギーを送達する。
【0063】
これらおよび他の実施形態では、方法640は、複数の潜在的治療部位における組織に照会し、照会エネルギーが検出された不整脈を正常に減速または終結させたそれらの潜在的治療部位を識別し、対応する組織に不可逆的療法を送達するべき識別された潜在的治療部位の全てもしくはサブセットを選定することができる。例えば、2つの潜在的治療部位における組織に照会エネルギーを印加するステップは、検出された不整脈を減速または終結させるが、2つの潜在的治療部位のうちの一方における組織に照会エネルギーを印加するステップは、2つの潜在的治療部位の他方における組織に照会エネルギーを印加するステップよりも検出された不整脈をさらに減速させる、もしくは即座に終結させることができる。本実施例に続いて、方法640は、2つの潜在的治療部位のうちの一方における組織に不可逆的療法を送達し、2つの潜在的治療部位のうちの他方における組織に不可逆的療法を送達することを避けることができる(または逆もまた同様)。いくつかの実施形態では、方法640は、2つの潜在的治療部位の両方おける組織に不可逆的療法を送達することができる。
【0064】
ブロック648において、方法640はさらに、不整脈を再誘発するように試みるステップを含む。例えば、方法640は、管状静脈洞から心房を刺激することによって、心房性不整脈を再誘発するように試みることができる。これらおよび他の実施形態では、方法640は、ブロック647において不可逆的療法を用いて治療された組織またはそれに近接した(例えば、それを囲繞する、それに隣接する等の)組織を刺激することによって、不整脈を再誘発するように試みることができる。これらおよびなおも他の実施形態では、方法640は、解剖学的構造の識別された着目面積内の任意の他の組織等の、解剖学的構造内の任意の他の組織を刺激することによって、不整脈を再誘発するように試みることができる。いくつかの実施形態では、方法640は、ブロック643、644、および647において終結された同一の不整脈を再誘発するように試みる。他の実施形態では、方法640は、ブロック643、644、および647において終結された不整脈と異なる不整脈を再誘発するように試みる。いくつかの実施形態では、解剖学的構造内の管状静脈洞および/または他の組織に送達される刺激は、患者の正常な洞調律より短い(例えば、より急速である)サイクル長(例えば、およそ200ms)を有する、電気信号であることができる。
【0065】
ブロック649において、方法640は、方法640がブロック648において不整脈を正常に再誘発したかどうかを決定する。方法640が、方法640が解剖学的構造内に不整脈を正常に再誘発したことを決定した場合、方法640は、ブロック642に戻り、可動カテーテルを潜在的治療部位に位置付ける。他方では、方法640が、方法640がブロック648において不整脈を正常に再誘発しなかったことを決定した場合、ルーチン640は、ブロック646において終結する。
【0066】
方法640のステップが、特定の順序において議論および図示されているが、図6に図示される方法640は、そのように限定されない。他の実施形態では、方法640は、異なる順序において実施されることができる。これらおよび他の実施形態では、方法640のステップのうちのいずれも、方法640の他のステップのうちのいずれかの前、間、ならびに/または後に実施されることができる。また、当業者は、図示される方法が、改変され、依然として、本技術のこれらおよび他の実施形態内に留まり得ることを認識するであろう。例えば、図6に図示される方法640の1つまたはそれを上回るステップ(例えば、ブロック648および649)は、いくつかの実施形態では、省略ならびに/もしくは繰り返されることができる。
【0067】
これらおよびなおも他の実施形態では、方法640は、図6に図示されるものより1つまたはそれを上回る付加的なステップを含むことができる。例えば、方法640は、グラフィカルユーザインターフェース上に療法送達および/または解剖学的構造の電気活動の1つまたはそれを上回る視覚印を表示することができる。すなわち、方法640が、1つまたはそれを上回る療法注釈もしくは標識を単独で、または解剖学的構造の3次元表現ならびに/もしくは1つまたはそれを上回る医療デバイス(例えば、可動カテーテルならびに/もしくは心臓内基準)の表現との組み合わせにおいて表示し、医師に療法送達のこれまでの領域および/または現在の領域に関連する種々の情報を提供することが、特に望ましくあり得る。
【0068】
一般に、図1-5に関して上記で議論されるように、本技術の医療デバイス104の先端区分124は、先端区分124を中心として分散されるセンサ126(例えば、電気記録図センサ、温度センサ等)を含むことができる。センサ126はそれぞれ、個別のセンサ126に局所的な面積のみに関する情報を提供することができる。したがって、少なくとも部分的に、先端区分124を中心として分散されたセンサ126のうちの1つまたはそれを上回るものから受信された信号に基づいて、本技術のデバイス、システム、および方法は、(i)先端区分124の(例えば、現在もしくはこれまでの)場所および/または配向に関する情報、(ii)医療デバイス104と解剖学的構造432との間の近接度に関する情報(例えば、接触ならびに/もしくは近接近している/していた医療デバイス104の先端区分124の部分および/または解剖学的構造の表面)、(ii)解剖学的構造上のある場所における組織特性(例えば、インピーダンス、温度等)に関連する情報、(iii)解剖学的構造上のある場所に形成される病変に関連する情報(例えば、場所、サイズ、形状、配向等)、(iv)解剖学的構造上のある場所に送達されるエネルギーに関する情報(例えば、電力、電圧、電流等)、ならびに/もしくは(v)最近傍の療法部位からの距離、離散療法領域が重複している、および/または接続されているかどうか、ならびに/もしくは療法送達の時間(例えば、開始時間、停止時間、療法が部位に適用された最近の時間等)等の他の情報等、医師に関連する情報を表す療法注釈または標識のマップを発生させる、ならびに/もしくは表示することができる。
【0069】
図9は、方法640が本技術の種々の実施形態に従ってグラフィカルユーザインターフェース上に表示し得る、図5のモデル544の例示的画像980である。効率的かつ明確な説明のために、図9の議論における医療デバイス104および解剖学的構造432の言及は、図1-5を参照して最初に説明される、ならびに/もしくは上記に議論される特徴を指す。図9に示されるように、方法640は、解剖学的構造432の表現532および/または医療デバイス104の表現504とともにモデル544を表示することができる。いくつかの実施形態では、医療デバイス104の表現504は、上記の議論に従って解剖学的構造432内の医療デバイス104の現在の場所および配向を描写することができる。したがって、例えば、先端区分124が医療手技の間に解剖学的構造432内を移動するにつれて、医療デバイス104の表現504が、3次元モデル544内の解剖学的構造432の3次元表現532に対して相似する、または少なくとも類似する移動を受けるように、グラフィカルユーザインターフェース110上に描写されることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、解剖学的構造432の表現532は、ディスプレイ上でパターン分けおよび/または色分けされることができる。例えば、図9に示されるように、表現532は、各パターンおよび/または色が組織のアクティブ化のタイミングのインジケーションを提供する、アクティブ化マップとして表示される。アクティブ化マップは、方法640を実施することに先立ってアクティブ化マッピング技法を使用して発生されることができる。上記により詳細に議論されるように、アクティブ化マッピングは、いくつかの欠点を被る。図示される実施形態では、例えば、アクティブ化マップは、解剖学的構造432の不整脈に寄与し得る組織を含む着目面積を識別するために有用である。但し、アクティブ化マップは、寄与する、または問題となる組織の具体的場所(例えば、減速された伝導の狭小なチャネル)を識別するために十分に詳細ではない。さらに、アクティブ化マップは、決定的ではない(すなわち、図示されるアクティブ化マップ内に捕捉および描写される解剖学的構造432の左心房の電気活動は、左心房内のマクロリエントリ不整脈としてではなく、解剖学的構造432の右心房から発出する受動的アクティブ化として見えるにすぎない)。
【0071】
これらの懸念に対処するために、図6の方法640は、解剖学的構造432内の組織に送達される療法に関連する1つまたはそれを上回る印を表示し、医師により多くの量の情報および問題となる組織のより精密なインジケーションを提供することができる。1つまたはそれを上回る印は、(i)解剖学的構造432の3次元表現532に関する医療デバイス104の表現504の相対位置ならびに/もしくは配向、(ii)送達される療法のタイプ、および/または(iii)療法が送達された後の電気活動の検出された変化に応じて変動する、性質(例えば、サイズ、位置、色、パターン、連続性、透明度等)を含むことができる。例えば、方法640が、ブロック643において潜在的治療部位における組織に照会エネルギーを送達するにつれて、方法640は、照会エネルギーが組織に印加されたときの解剖学的構造432内の可動カテーテルの位置および/または配向に対応する、解剖学的構造432の表現532上の位置ならびに/もしくは配向において療法注釈または標識(例えば、療法注釈981)を設置することができる。療法注釈981は、潜在的治療部位に送達される療法に対応する性質の第1のセットを含むことができる。例えば、療法注釈のサイズは、可動カテーテルの先端区分と解剖学的構造432の壁との間の接触の程度に対応することができる。別の実施例として、療法注釈981の形状は、送達される療法のタイプに対応することができる。本実施例に続いて、方法640が、ブロック643において表現532内の療法注釈981の場所に対応する、解剖学的構造432内の場所における組織に照会エネルギーを送達するにつれて、方法640は、療法注釈981を球状物として表示し、照会エネルギーが本場所における組織に送達されたことを示すことができる。対照的に、方法640は、療法注釈985を平坦なディスクまたは他の形状として表示し、方法640が、ブロック647において、解剖学的構造432内の対応する場所における組織に不可逆的療法を送達したことを示すことができる。
【0072】
さらに別の実施例として、療法注釈981を表示するために使用される色またはパターンは、解剖学的構造432内の対応する場所に照会エネルギーを印加するステップが、不整脈の減速もしくは終結をもたらしたかどうかのインジケーションを提供することができる。本実施例に続いて、方法640は、第1のパターンおよび/または色(例えば、青色)を使用して療法注釈981を表示し、解剖学的構造432内の対応する場所における組織に送達された照会エネルギーが、検出された不整脈を終結させなかったことを示すことができる。対照的に、方法640は、第2のパターン化および/または着色された(例えば、黄色に着色された)球体を使用して療法注釈982を表示し、解剖学的構造432内の対応する場所における組織に送達された照会エネルギーが、検出された不整脈を減速もしくは終結させたことを示すことができる。さらに、そのようなパターン分けまたは色分けは、減速もしくは終結のタイプに応じて変動することができる。例えば、(i)組織に送達された照会エネルギーが、減速を殆どまたは全くもたらさなかった(例えば、サイクル長の10ms未満の変化)場合、第1のパターンならびに/もしくは色(例えば、青色)が、療法注釈981に適用されることができ、(ii)組織に送達された照会エネルギーが、有意な減速をもたらした(例えば、サイクル長の10ms超またはそれに等しい変化)場合、第2のパターンならびに/もしくは色(例えば、緑色)が、療法注釈981に適用されることができ、(iii)組織に送達された照会エネルギーが、不整脈の終結をもたらした場合、第3のパターンおよび/または色(例えば、黄色)が、療法注釈981に適用されることができる。いくつかの実施形態では、療法注釈のうちの1つまたはそれを上回るものを表示するために使用されるパターンならびに/もしくは色は、時間の関数に基づくことができる。例えば、組織が、照会エネルギーの印加の後に回復することが予期されるため、照会エネルギーの送達を示す療法注釈を表示するために使用されるパターン、色、および/または他の性質は、時間とともに変化し得る。本実施例に続いて、(i)療法注釈を表示するために使用されるパターンおよび/または色、ならびに/もしくは(ii)療法注釈を表示するために使用されるパターンおよび/または色の密度、強度、陰影、ならびに/もしくは不透明度は、時間とともに変化(例えば、低減)し、照会エネルギーの印加の後の解剖学的構造432内の対応する場所における組織回復の予測される程度を示すことができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、療法注釈は、実質的にリアルタイムで発生および/または表示されることができる。例えば、療法注釈は、療法が解剖学的構造432の領域に送達されるとすぐに(または処理時間を考慮してそのすぐ後に)表示されることができる。これらおよび他の実施形態では、療法注釈は、療法が解剖学的構造の領域に送達される時間周期の間または後に発生ならびに/もしくは表示されることができる。療法注釈、療法輪郭、および療法マップ、表面、ならびに体積に関するさらなる情報が、国際特許出願第PCT/US2020/014850号(その開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に提供される。
【0074】
このように、医師は、療法が解剖学的構造432に送達されている場所を視認することが可能である。言い換えると、解剖学的構造432の表現532との組み合わせにおける療法注釈は、医師に、可逆的療法および/または不可逆的療法を用いて治療されている解剖学的構造432の領域に関する空間情報を提供することができ、医師を検出された不整脈に寄与している問題となる組織を具体的に特異的に識別することにおいて援助することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、方法640の1つまたはそれを上回るステップが、自動化されることができる。例えば、ブロック641において測定される電気信号内の不整脈の検出、ブロック643における可逆的療法の送達、ブロック644における、送達された照会エネルギーが検出された不整脈を減速または終結させたかどうかの決定、ブロック647における不可逆的療法の送達、ブロック648における不整脈の再誘発、ブロック649における、不整脈が正常に再誘発されているかどうかの決定、ならびに/もしくは療法注釈の発生および/または表示が、コンピュータ(例えば、図1のカテーテルインターフェースユニット108の構成要素)によって自動的に実施されることができる。より具体的な実施例として、コンピュータは、可動カテーテルが解剖学的構造432を中心として移動されるにつれて、自動的に1秒毎に不可逆的療法を送達することができる。これらおよび他の実施形態では、コンピュータは、照会エネルギーの送達の事例が、検出された不整脈を終結させたかどうかを自動的に決定することができる、ならびに/もしくはコンピュータは、表現532内の対応する場所において、(i)解剖学的構造432の3次元表現532に対する医療デバイス104の表現504の相対位置および/または配向、(ii)送達される療法のタイプ、ならびに/もしくは(iii)照会エネルギーが送達された後の電気活動の検出される変化に依存する性質を有する療法注釈を自動的に発生させる、および/または表示することができる。
【0076】
図10は、本技術の種々の実施形態による、方法640がグラフィカルユーザインターフェース上に表示し得る、図5のモデル544の画像1000である。効率的かつ明確な説明のために、図10の議論における医療デバイス104および解剖学的構造432の全ての言及は、図1-5を参照して最初に説明される、ならびに/もしくは上記に議論される特徴を指す。図10に示されるように、方法640は、解剖学的構造432の表現532および/または医療デバイス104の表現504とともにモデル544を表示することができる。いくつかの実施形態では、医療デバイス104の表現504は、上記の議論に従って解剖学的構造432内の医療デバイス104の現在の場所および配向を描写することができる。図示される実施形態では、モデル544は、解剖学的構造432の表現532内の潜在的治療部位における組織1001に対して位置付けられ、それに照会エネルギーを送達する、医療デバイス104の表現504を描写する。
【0077】
図11は、本技術の種々の実施形態による、患者の解剖学的構造の電気活動を測定する複数の電気記録図の折れ線グラフ1070である。示されるように、折れ線グラフは、図10の治療部位1001における組織の電気活動を測定する、電気記録図d2を含む。電気記録図d2は、照会エネルギーが時間t=0において組織に送達された後、10秒毎の組織の回復を表示する。特に、電気記録図d2の区分1171は、広い振幅(近単極電圧)を伴う組織の電気活動のベースライン測定値を示す。組織は、照会エネルギーを用いて時間t=0において気絶され、したがって、電気活動は、電気記録図d2の区分1172に示されるように減退される(振幅が、低減される)。電気記録図d2の区分1173-1175は、組織が、(電気記録図d2の区分1175に示される)時間t=30における組織の電気活動が、照会エネルギーがt=0において組織に送達された30秒後の電気活動のベースライン測定値とほぼ同じになるまで、時間とともに緩やかに回復する(例えば、電気活動が、徐々に戻る、振幅が、増加する等)ことを示す。大部分の組織が、照会エネルギーの送達の後2分以内に回復することが、予期される。
C.付加的な実施例
【0078】
本技術のいくつかの側面が、以下の実施例に記載されている。
1.方法であって、
解剖学的構造の壁上のある位置における組織に、解剖学的構造内に位置付けられるカテーテルを使用して照会エネルギーを送達するステップと、
照会エネルギーの送達に応答して解剖学的構造の電気活動の変化を検出するステップであって、電気活動の変化は、検出される不整脈の減速または終結に対応する、ステップと、
電気活動の変化を検出するステップに応答して組織に不可逆的療法を印加するステップと、
を含む、方法。
2.組織は、第1の組織であり、不整脈は、第1の不整脈であり、
解剖学的構造の第1の組織または第2の組織を刺激することによって、照会エネルギーを送達する前に、第1の不整脈を誘発するステップ、ならびに/もしくは
第1の不整脈を終結させた後に解剖学的構造の第1の組織、第2の組織、または第3の組織を刺激することによって第1の不整脈ならびに/もしくは第2の不整脈を再誘発するステップ、
をさらに含む、実施例1に記載の方法。
3.心電図および/または電気記録図を使用して解剖学的構造の電気活動を測定するステップをさらに含む、実施例1もしくは実施例2に記載の方法。
4.組織に不可逆的療法を印加するステップが、カテーテルを介して組織に不可逆的療法を印加するステップを含む、実施例1-3のいずれか1項に記載の方法。
5.カテーテルは、第1のカテーテルであり、組織に不可逆的療法を印加するステップは、解剖学的構造内に位置付けられる第2のカテーテルを使用して組織に不可逆的療法を印加するステップを含む、実施例1-4のいずれか1項に記載の方法。
6.不可逆的療法は、パルス磁場アブレーション、高周波アブレーション、凍結アブレーション、超音波アブレーション、レーザバルーンアブレーション、および/またはホットバルーンアブレーションを含む、実施例1-5のいずれか1項に記載の方法。
7.照会エネルギーを印加するステップは、照会電気パルスを印加するステップを含む、実施例1-6のいずれか1項に記載の方法。
8.照会電気パルスは、二相性電気信号である、実施例7に記載の方法。
9.二相性電気信号の極性は、対称的である、実施例8に記載の方法。
10.二相性電気信号の極性は、非対称的である、実施例8に記載の方法。
11.照会電気パルスは、各極性が、10msまたはそれ未満の周期にわたって、全体として、他の極性の送達された電荷の80%以上を含有するような、二相性電気信号である、実施例8に記載の方法。
12.照会電気パルスは、矩形波、正弦関数、レイズドルートコサイン、ガウス関数、および/または台形波である、実施例7に記載の方法。
13.照会エネルギーを印加するステップは、組織の温度が1℃よりも変化しないように非熱療法を印加するステップを含む、実施例1-12のいずれか1項に記載の方法。
14.照会エネルギーを印加するステップは、少なくとも一度に少なくとも100ナノ秒にわたって少なくとも1,000ボルトを組織に印加するステップを含む、実施例1-13のいずれか1項に記載の方法。
15.磁気位置センサ、インピーダンス測定、超音波ナビゲーション、および/または蛍光透視法を使用してカテーテルの先端区分の場所を決定するステップをさらに含む、実施例1-14のいずれか1項に記載の方法。
16.解剖学的構造の1つまたはそれを上回る電気信号を捕捉するステップをさらに含み、解剖学的構造の電気活動の変化を検出するステップは、(i)1つまたはそれを上回る捕捉された電気信号のタイミング、ならびに/もしくは(ii)1つまたはそれを上回る捕捉された電気信号の形態の変化を検出するステップを含む、実施例1-15のいずれか1項に記載の方法。
17.解剖学的構造の1つまたはそれを上回る電気信号を捕捉するステップをさらに含み、方法はさらに、1つまたはそれを上回る捕捉された電気信号を表示するステップを含む、実施例1-15のいずれか1項に記載の方法。
18.解剖学的構造のアクティブ化マッピングおよび/またはエントレインメントマッピングを実施し、解剖学的構造の壁上の着目面積を識別するステップをさらに含む、実施例1-17のいずれか1項に記載の方法。
19.照会エネルギーが組織に送達されるとき、解剖学的構造内のカテーテルの先端区分の場所を決定するステップをさらに含む、実施例1-18のいずれか1項に記載の方法。
20.解剖学的構造内のカテーテルの先端区分の決定された場所に対応するモデル内の場所において、解剖学的構造の3次元モデル内に療法注釈を表示するステップをさらに含む、実施例19に記載の方法。
21.療法注釈は、1つまたはそれを上回る視覚性質を含み、1つまたはそれを上回る視覚性質は、色ならびに/もしくはパターンを含み、色および/またはパターンは、組織に送達された照会エネルギーが検出された不整脈を終結させたかどうかのインジケーションを提供する、実施例20に記載の方法。
22.表示された療法注釈の1つまたはそれを上回る視覚性質のうちの少なくとも1つが、時間の関数として変化する、実施例21に記載の方法。
23.不可逆的療法が組織に送達されるとき、解剖学的構造内のカテーテルの先端区分の場所を決定するステップをさらに含む、実施例1-18のいずれか1項に記載の方法。
24.解剖学的構造内のカテーテルの先端区分の決定された場所に対応するモデル内の場所において、解剖学的構造の3次元モデル内に療法注釈を表示するステップをさらに含む、実施例23に記載の方法。
25.組織に照会エネルギーを送達するステップは、照会エネルギーを組織の第1の面積に送達するステップを含み、組織に不可逆的療法を印加するステップは、不可逆的療法を組織の第2の面積に印加するステップを含み、組織の第1の面積は、第2の面積を上回る、実施例1-24のいずれか1項に記載の方法。
26.システムであって、
患者の解剖学的構造の心電図(ECG)を捕捉するように構成される、1つまたはそれを上回る電極、ならびに/もしくは解剖学的構造内に位置付けられ、解剖学的構造の電気記録図を捕捉するように構成される、心臓内基準と、
解剖学的構造内に挿入されるように構成される、カテーテルであって、照会エネルギーおよび不可逆的療法を解剖学的構造の壁上の組織に送達するように構成される、少なくとも1つの電極を含む、カテーテルと、
少なくとも1つの電極を介して照会エネルギーおよび不可逆的療法を組織にを送達するように構成される、ジェネレータと、
プロセッサに動作可能に結合され、プロセッサによって実行されると、システムに、
ECGおよび/または電気記録図内の解剖学的構造の不整脈を検出するステップと、
第1の場所における組織に照会エネルギーを送達するステップと、
組織への照会エネルギーの送達に応答してECGおよび/または電気記録図内の変化を検出させるステップであって、変化は、検出された不整脈の減速もしくは終結に対応する、ステップと、
第1の場所における組織に不可逆的療法を送達するステップと、
を含む、動作を実施させる、命令を記憶する、メモリと、
を備える、システム。
27.心臓内基準は、カテーテルと異なる第2のカテーテルであり、第2のカテーテルは、多極性カテーテルおよび/または管状静脈洞カテーテルである、実施例26に記載のシステム。
28.不可逆的療法は、パルス磁場アブレーション、高周波アブレーション、凍結アブレーション、超音波アブレーション、レーザバルーンアブレーション、および/またはホットバルーンアブレーションを含む、実施例26もしくは実施例27に記載のシステム。
29.照会エネルギーは、照会電気パルスを含む、実施例26-28のいずれか1項に記載のシステム。
30.照会電気パルスは、二相性電気信号である、実施例29に記載のシステム。
31.二相性電気信号の極性は、対称的である、実施例30に記載のシステム。
32.二相性電気信号の極性は、非対称的である、実施例31に記載のシステム。
33.照会電気パルスは、各極性が、10msまたはそれ未満の周期にわたって、全体として、他の極性の送達された電荷の80%以上を含有するような、二相性電気信号である、実施例30に記載のシステム。
34.照会電気パルスは、矩形波、正弦関数、レイズドルートコサイン、ガウス関数、および/または台形波である、実施例30に記載のシステム。
35.動作はさらに、解剖学的構造の3次元モデル内に療法注釈を表示するステップを含む、実施例26-34のいずれか1項に記載のシステム。
36.療法注釈は、1つまたはそれを上回る視覚性質を含み、1つまたはそれを上回る視覚性質は、色ならびに/もしくはパターンを含み、色および/またはパターンは、組織に送達された照会エネルギーが検出された不整脈を終結させたかどうかのインジケーションを提供する、実施例35に記載のシステム。
37.不整脈を検出するステップは、サイクル長を測定するステップを含む、実施例26-36のいずれか1項に記載のシステム。
38.患者を治療する方法であって、
カテーテルによって運ばれる電極を介して第1のエネルギーを患者の解剖学的構造の第1の標的組織に送達するステップと、
解剖学的構造内のカテーテルの先端区分の場所に対応するモデル内の場所における解剖学的構造の3次元モデル内に第1の療法注釈を表示するステップであって、第1の療法注釈は、色および/またはパターンを含む、1つまたはそれを上回る視覚性質を含み、色および/またはパターンは、組織に送達された第1のエネルギーが不整脈を減速もしくは終結させたかどうかのインジケーションを提供し、さらに、表示された療法注釈の1つまたはそれを上回る視覚性質のうちの少なくとも1つは、時間の関数として変化する、ステップと、
電極を介して第2のエネルギーを解剖学的構造の第2の標的組織に送達するステップであって、第2の標的組織は、少なくとも部分的に、第1の標的組織と重複する、ステップと、
第2のエネルギーを送達した後、解剖学的構造の3次元モデル内に第2の療法注釈を表示するステップと、
を含む、方法。
39.第1のエネルギーを送達するステップは、気絶エネルギーを第1の標的組織に送達するステップを含む、実施例38に記載の方法。
40.第2のエネルギーを送達するステップは、少なくとも部分的に、アブレーションエネルギーを第2の標的組織に送達するステップを含む、実施例38または実施例39に記載の方法。
41.第2のエネルギーを送達するステップは、気絶エネルギーを第2の標的組織に送達するステップを含む、実施例38に記載の方法。
42.非一過性コンピュータ可読媒体であって、心臓アブレーションシステムの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、心臓アブレーションシステムに、
解剖学的構造の壁上のある位置における組織に、解剖学的構造内に位置付けられるカテーテルを使用して照会エネルギーを送達するステップと、
照会エネルギーの送達に応答して解剖学的構造の電気活動の変化を検出するステップであって、電気活動の変化は、検出される不整脈の減速または終結に対応する、ステップと、
電気活動の変化を検出するステップに応答して組織に不可逆的療法を印加するステップと、
を含む、動作を実施させる、命令をその上に記憶する、非一過性コンピュータ可読媒体。
43.心電図および/または電気記録図を使用して解剖学的構造の電気活動を測定するステップをさらに含む、実施例42に記載のコンピュータ可読媒体。
44.組織に不可逆的療法を印加するステップが、カテーテルを介して組織に不可逆的療法を印加するステップを含む、実施例42または実施例43に記載のコンピュータ可読媒体。
45.カテーテルは、第1のカテーテルであり、組織に不可逆的療法を印加するステップは、解剖学的構造内に位置付けられる第2のカテーテルを使用して組織に不可逆的療法を印加するステップを含む、実施例42-44のいずれか1項に記載のコンピュータ可読媒体。
46.解剖学的構造の電気活動の変化を検出するステップは、サイクル長を測定するステップを含む、実施例42-45のいずれか1項に記載のコンピュータ可読媒体。
D.結論
【0079】
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、包括的である、または本技術を上記に開示される精密な形態に限定するようには意図していない。本技術の具体的実施形態、およびそれに関する実施例が、例証的目的のために上記に説明されているが、種々の同等な修正もまた、当業者が認識するであろうように、本技術の範囲内で可能性として考えられる。例えば、ステップは、所与の順序で提示されているが、代替実施形態は、異なる順序でステップを実施することができる。さらに、本明細書に説明される種々の実施形態はまた、さらなる実施形態を提供するために組み合わせられることもできる。
【0080】
本明細書に説明されるシステムおよび方法は、プロセッサまたはコンピュータによる実行のためにその上に記録される命令を有する、(ハードディスクドライブ、ハードウェアメモリ等の)有形かつ非一過性の機械可読媒体もしくは複数の媒体の形態において提供されることができる。命令のセットは、コンピュータまたはプロセッサに、ここに説明される種々の実施形態の方法およびプロセス等の具体的な動作を実施するように命令する、種々のコマンドを含むことができる。命令のセットは、ソフトウェアプログラムまたはアプリケーションの形態にあることができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータ等の情報の記憶のために、揮発性媒体および不揮発性媒体、ならびにリムーマブル媒体および非リムーマブル媒体を含むことができる。コンピュータ記憶媒体は、限定ではないが、所望の情報を記憶するために使用され得、本システムの構成要素によってアクセスされ得る、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のソリッドステートメモリ技術、CD-ROM、DVD、もしくは他の光学記憶装置、磁気ディスク記憶装置、または任意の他のハードウェア媒体を含むことができる。本システムの構成要素は、有線通信または無線通信を介して相互と通信することができる。構成要素は、相互と別個であることができる、または構成要素の種々の組み合わせが、モニタもしくはプロセッサにともに統合される、または標準的なコンピュータハードウェア(例えば、プロセッサ、回路網、論理回路、メモリ、および同等物)を伴うワークステーション内に含有されることができる。本システムは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、集積回路、制御ユニット、記憶媒体、および他のハードウェア等の処理デバイスを含むことができる。
【0081】
前述から、本技術の具体的な実施形態が、例証の目的のために本明細書に説明されているが、周知の構造および機能が、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを回避するために、詳細には示されていない、または説明されていないことを理解されたい。文脈が許容する場合、単数形または複数形の用語はまた、それぞれ、複数形もしくは単数形の用語を含むことができる。また、単語「または」が、2つまたはそれを上回る物品のリストを参照して、他の物品から排他的な単一の物品のみを意味するように明示的に限定されていない限り、そのようなリストにおける「または」の使用は、(a)リスト内の任意の単一の物品、(b)リスト内の物品の全て、もしくは(c)リスト内の物品の任意の組み合わせを含むものと解釈されるものとする。本明細書で使用されるように、「Aおよび/またはB」におけるような、語句「および/または」は、「Aを単独で」、「Bを単独で」、ならびに「AおよびBの両方」を指す。文脈が許容する場合、単数形または複数形の用語はまた、それぞれ、複数形もしくは単数形の用語を含むことができる。加えて用語「~を備える(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」、および「~を伴う(with)」は、全体を通して、いかなるより多い数の同一の特徴ならびに/もしくは付加的なタイプの他の特徴も除外されないように、少なくとも列挙される特徴を含むことを意味するために使用される。さらに、本明細書で使用されるように、用語「実質的に(substantially)」は、作用、特性、性質、状態、構造、物品、または結果の完全もしくはほぼ完全な程度または度合いを指す。例えば、「実質的に」封入される物体は、物体が完全に封入されているか、またはほぼ完全に封入されているかのいずれかを意味するであろう。絶対的完全性からの逸脱の厳密な許容可能な度合いは、ある場合には、具体的な文脈に依存し得る。しかしながら、一般的に言えば、完全性の接近性は、絶対的かつ完全な完了が取得される場合と同様に、同一の全体的結果を有するようなものとなるであろう。「実質的に」の使用は、作用、特性、性質、状態、構造、物品、または結果の完全もしくはほぼ完全な欠如を指すような否定的意味合いにおいて使用されるときにも等しく適用可能である。
【0082】
前述から、種々の修正が、本技術から逸脱することなく成され得ることも理解されたい。例えば、本技術の種々の構成要素はさらに、サブコンポーネントに分割されることができる、または本技術の種々の構成要素および機能が、組み合わせられる、ならびに/もしくは統合されることができる。さらに、本技術のある実施形態と関連付けられる利点が、それらの実施形態の文脈において説明されているが、他の実施形態もまた、そのような利点を呈し得、全ての実施形態が、必ずしも本技術の範囲内にあるようにそのような利点を呈する必要はない。故に、本開示および関連付けられる技術は、本明細書に明示的に示され、説明されていない他の実施形態も包含し得る。
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