(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】たばこシート
(51)【国際特許分類】
A24B 3/14 20060101AFI20250203BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20250203BHJP
【FI】
A24B3/14
A24D1/20
(21)【出願番号】P 2022554133
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2021036389
(87)【国際公開番号】W WO2022071563
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2020168073
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】打井 公隆
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/074535(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/148902(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/089089(WO,A1)
【文献】特開2020-095953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00-15/42
A24C 1/00- 5/60
A24D 1/00- 3/18
A24F 1/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
D90が400μm以上であるたばこ粒子と液体媒体とを含む湿粉であって、湿粉中の水分量が50重量%以上である湿粉から製造される、
密度が1.0g/cm
3以下である、
圧力成形たばこシート。
【請求項2】
D90が500μm以上であるたばこ粒子を含む、請求項
1に記載のシート。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のたばこシートまたはこれに由来する材料を備える、非燃焼加熱型喫煙物品。
【請求項4】
少なくとも、たばこ粒子と、バインダーと、媒体とを混練して混合物を調製する工程1、
前記混合物を圧展またはダイから押出してウェットシートを調製する工程2、ならびに
前記ウェットシートを乾燥する工程3、
を備える、請求項1
または2に記載の
圧力成形たばこシートの製造方法。
【請求項5】
前記媒体が水を含む、請求項
4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記工程2が、2つの基材フィルムの間にウェットシートが存在するラミネートシートを調製することを含む、請求項
4または
5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記工程1が、少なくともたばこ材料、バインダー、および媒体とを、一軸または多軸混練機にて混練することを含む、請求項
4~
6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記混合物が、混合物全量に対して20~80重量%の媒体を含む、請求項
4~
7のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たばこシートに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこシートを加熱して生成させた香味成分を吸引する非燃焼型喫煙物品に関する技術が多々提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、非燃焼型喫煙物品は従来の燃焼型喫煙物品に比べるとデリバリー効率等が十分に高くないので、非燃焼型喫煙物品における使用満足度を向上させることが検討されてきた。使用満足度に関して、発明者らは吸引初期におけるレスポンスが高いこと、すなわち吸引初期における香味成分のデリバリーが十分であると使用満足度が高まることを見出した。かかる事情に鑑み、本発明は、吸引初期において十分な香味成分のデリバリーを達成するたばこシートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、たばこシートの密度を特定の範囲とすることで前記課題を解決できることを見出した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
(1)密度が1.0g/cm3以下である、たばこシート。
(2)圧力成形シートである、(1)に記載のシート。
(3)D90が200μm以上であるたばこ粒子と液体媒体とを含む湿粉であって、湿粉中の水分量が50重量%以上である湿粉から製造される、(1)または(2)に記載のシート。
(4)D90が300μm以上であるたばこ粒子を含む、(1)~(3)のいずれかに記載のシート。
(5)D90が500μm以上であるたばこ粒子を含む、(4)に記載のシート。
(6)前記(1)~(5)のいずれかに記載のたばこシートまたはこれに由来する材料を備える、非燃焼加熱型喫煙物品。
(7)少なくとも、たばこ粒子と、バインダーと、媒体とを混練して混合物を調製する工程1、
前記混合物を圧展またはダイから押出してウェットシートを調製する工程2、ならびに
前記ウェットシートを乾燥する工程3、
を備える、(1)~(5)のいずれかに記載の製造方法。
(8)前記媒体が水を含む、(7)に記載の製造方法。
(9)前記工程2が、2つの基材フィルムの間にウェットシートが存在するラミネートシートを調製することを含む、(7)または(8)に記載の製造方法。
(10)前記工程1が、少なくともたばこ材料、バインダー、および媒体とを、一軸または多軸混練機にて混練することを含む、(7)~(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)前記混合物が、混合物全量に対して20~80重量%の媒体を含む、(7)~(10)のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によって、吸引初期において十分な香味成分のデリバリーを達成するたばこシートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】たばこシートを用いたたばこセグメントの例を示す概要図
【
図2】非燃焼加熱型喫煙システムの一例を示す断面模式図
【
図3】非燃焼加熱型香味吸引物品の一例を示す断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X~Y」はその端値であるXおよびYを含む。
1.たばこシート
たばこシートとは喫煙物品に用いられるシートであり、少なくともたばこ材料と、バインダーとを含む。
【0009】
(1)バインダー
バインダーはたばこ材料同士、またはたばこ材料と他の成分を結合するための接着剤である。本発明においては、公知のバインダーを使用できる。かかるバインダーとしては、例えば、グアーガム、またはキサンタンガム等の多糖類;CMC(カルボキシメチルセルロース)、CMC-Na(カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩)、またはHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)等のセルロース誘導体を挙げることができる。バインダーの含有量の上限は、たばこシートの乾燥重量に対して、乾燥重量(混入している水を除いた重量、以下同様)で、好ましくは6重量%以下、であり、下限は好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上である。バインダーの量が上限値を超えるまたは下限値未満であると、前記効果が十分に奏されない可能性がある。
【0010】
バインダーとしては、多糖類、たんぱく質、および合成ポリマーが挙げられる。以下に、これらの具体例を示す。本発明においては、これらのバインダーを組合せて使用することもできる。
【0011】
1)多糖類
1-1)セルロース誘導体
[セルロースエーテル類]
メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアノエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アミノエチルセルロース
[セルロースエステル類]
有機酸エステル:酢酸セルロース、ギ酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、安息香酸セルロース、フタル酸セルロース、トシルセルロース
無機酸エステル:硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース、セルロースキサントゲン酸塩
【0012】
1-2)天然由来の多糖類
[植物由来]
グアーガム、タラガム、ローストビーンガム、タマリンド種子ガム、ペクチン、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ガッティガム、アラビノガラクタン、アマシードガム、カッシャガム、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム
[藻類由来]
カラギーナン、寒天、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ファーセレラン、フクロノリ抽出物
[微生物由来]
キサンタンガム、ジェランガム、カードラン、プルラン、アグロバクテリウムスクシノグリカン、ウェランガム、マクロホモプシスガム、ラムザンガム
[甲殻類由来]
キチン、キトサン、グルコサミン
[デンプン類]
デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、α化デンプン、デキストリン
【0013】
2)たんぱく質
小麦グルテン、ライ麦グルテン
【0014】
3)合成ポリマー
ポリリン酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン
【0015】
(2)たばこ粒子
本発明のたばこシートは、たばこ材料として、たばこ粒子を含む。たばこ粒子とは粒子状のたばこ由来材料であり、例えば、葉たばこを粉砕することにより得られる粒子(葉たばこ粉砕物)等が挙げられる。特定の粒径のたばこ粒子を用いることで、たばこシートの密度を低下させることができる。粒径D90の上限は限定されないが、取扱い性等の観点から、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは1mm以下である。粒径D90の下限は限定されないが、好ましくは200μm以上、より好ましくは300μm以上、さらに好ましくは400μm以上、特に好ましくは500μm以上である。また平均粒径D50の上限は、好ましくは1500μm以下、1000μm以下、500μm以下であり、その下限は、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは120μm以上である。粉砕は、公知の粉砕機を用いて行うことができ、乾式粉砕、湿式粉砕のいずれであってもよい。したがって、葉たばこ粉砕物は葉たばこ粒子とも称される。本発明において粒径は、レーザ回折・散乱法により求められ、具体的にはレーザ回折式粒子径分布測定装置(例えば、堀場製作所 LA-950)を用いて測定される。また、たばこの種類は限定されず、黄色種、バーレー種、オリエント種、在来種、および、その他のニコチアナ・タバカム系品種やニコチアナ・ルスチカ系品種等を用いることができる。たばこシートにおけるたばこ粒子の量は、特に限定されないが、乾燥重量で、好ましくは50~95重量%、より好ましくは60~90重量%である。
【0016】
(3)エアロゾル生成基材
たばこシートはエアロゾル生成基材を含んでいてもよい。エアロゾル生成基材とは、加熱により気化し冷却されてエアロゾルを生成するあるいは霧化によってエアロゾルを生成する材料である。エアロゾル生成基材としては公知のものを用いることができるが、その例としてはグリセリン、またはプロピレングリコール(PG)等の多価アルコール;ならびにトリエチルシトレート(TEC)、またはトリアセチン等の沸点が100℃を超えるものが挙げられる。たばこシートにおけるエアロゾル生成基材の量は、乾燥重量(混入している水を除いた重量、以下同様)で、好ましくは1~40重量%、より好ましくは10~20重量%である。エアロゾル生成基材の量が上限値を超えるとたばこシートの製造が困難となるおそれがあり、下限値未満であると煙感量が低下するおそれがある。
【0017】
(4)乳化剤
たばこシートは乳化剤を含んでいてもよい。乳化剤は親油性であるエアロゾル生成基材と親水性であるたばこ材料の親和性を高める。よって、特に親油性のエアロゾル生成基材を用いる場合に乳化剤の添加は効果的である。乳化剤としては公知のものを用いることができるが、その例としては8~18のHLB値を有する乳化剤が挙げられる。乳化剤の量は、特に限定されないがたばこシート100重量部に対して、乾燥重量で、好ましくは0.1~3重量部、より好ましくは1~2重量部である。
【0018】
(5)繊維
本発明のたばこシートは、一態様においてたばこ由来の繊維およびたばこ以外の材料(例えばセルロース)に由来する繊維を含まない。本態様では、これらの繊維によって喫味に雑味等の望ましくない影響が及ぼされることを回避できる。ただし、完全に繊維を排除することは現実的でないので、たばこシートにおける前記繊維の量は、乾燥重量で好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。また、本発明のたばこシートは、別態様においてたばこ由来の繊維またはたばこ以外の材料に由来する繊維を含む。特にたばこ粒子の粒度が高くなるとシートが脆くなる傾向があるので、たばこシートは前記繊維を含むことが好ましい。この場合、前記シートの含有量(合計)は乾燥重量で0.5~2.0重量%である。本態様においては当該繊維によってたばこシートの強度が向上し、喫味と強度のバランスに優れる。本発明においてたばこ由来の繊維とは、たばこ原料を、グラインダー等を用いた叩解によってパルプ化したものをいい、前述のたばこ粒子とは異なる。
【0019】
(6)香料
たばこシートは香料を含んでいてもよい。香料とは、香りや風味を提供する物質である。香料は天然香料であってもよいし合成香料であってもよい。香料として1種類の香料を用いてもよいし複数種類の香料の混合物を用いてもよい。香料として、喫煙物品において一般に使用される任意の香料を使用することができるが、その具体例は後述する。香料は、喫煙物品が好ましい香りや風味を提供することができるような量で、喫煙物品用シートに含むことができ、例えば、その量はたばこシート中、好ましくは1~30重量%、より好ましくは2~20重量%である。
【0020】
当該香料の種類は、特に限定されず、良好な香料感の付与の観点から、アセトアニソール、アセトフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルチアゾール、アルファルファエキストラクト、アミルアルコール、酪酸アミル、トランス-アネトール、スターアニス油、リンゴ果汁、ペルーバルサム油、ミツロウアブソリュート、ベンズアルデヒド、ベンゾインレジノイド、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、2,3-ブタンジオン、2-ブタノール、酪酸ブチル、酪酸、カラメル、カルダモン油、キャロブアブソリュート、β-カロテン、ニンジンジュース、L-カルボン、β-カリオフィレン、カシア樹皮油、シダーウッド油、セロリーシード油、カモミール油、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、シンナミルアルコール、ケイ皮酸シンナミル、シトロネラ油、DL-シトロネロール、クラリセージエキストラクト、ココア、コーヒー、コニャック油、コリアンダー油、クミンアルデヒド、ダバナ油、δ-デカラクトン、γ-デカラクトン、デカン酸、ディルハーブ油、3,4-ジメチル-1,2-シクロペンタンジオン、4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジヒドロフラン-2-オン、3,7-ジメチル-6-オクテン酸、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2-メチル酪酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ラウリン酸エチル、レブリン酸エチル、エチルマルトール、オクタン酸エチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ステアリン酸エチル、吉草酸エチル、エチルバニリン、エチルバニリングルコシド、2-エチル-3,(5または6)-ジメチルピラジン、5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノン、2-エチル-3-メチルピラジン、ユーカリプトール、フェネグリークアブソリュート、ジェネアブソリュート、リンドウ根インフュージョン、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ブドウ果汁、グアヤコール、グァバエキストラクト、γ-ヘプタラクトン、γ-ヘキサラクトン、ヘキサン酸、シス-3-ヘキセン-1-オール、酢酸ヘキシル、ヘキシルアルコール、フェニル酢酸ヘキシル、ハチミツ、4-ヒドロキシ-3-ペンテン酸ラクトン、4-ヒドロキシ-4-(3-ヒドロキシ-1-ブテニル)-3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、4-(パラ-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、4-ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム、インモルテルアブソリュート、β-イオノン、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、フェニル酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソブチル、ジャスミンアブソリュート、コーラナッツティンクチャー、ラブダナム油、レモンテルペンレス油、カンゾウエキストラクト、リナロール、酢酸リナリル、ロベージ根油、マルトール、メープルシロップ、メンソール、メントン、酢酸L-メンチル、パラメトキシベンズアルデヒド、メチル-2-ピロリルケトン、アントラニル酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、4’-メチルアセトフェノン、メチルシクロペンテノロン、3-メチル吉草酸、ミモザアブソリュート、トウミツ、ミリスチン酸、ネロール、ネロリドール、γ-ノナラクトン、ナツメグ油、δ-オクタラクトン、オクタナール、オクタン酸、オレンジフラワー油、オレンジ油、オリス根油、パルミチン酸、ω-ペンタデカラクトン、ペパーミント油、プチグレインパラグアイ油、フェネチルアルコール、フェニル酢酸フェネチル、フェニル酢酸、ピペロナール、プラムエキストラクト、プロペニルグアエトール、酢酸プロピル、3-プロピリデンフタリド、プルーン果汁、ピルビン酸、レーズンエキストラクト、ローズ油、ラム酒、セージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スチラックスアブソリュート、マリーゴールド油、ティーディスティレート、α-テルピネオール、酢酸テルピニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン、1,5,5,9-テトラメチル-13-オキサシクロ(8.3.0.0(4.9))トリデカン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、タイム油、トマトエキストラクト、2-トリデカノン、クエン酸トリエチル、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)2-ブテン-4-オン、2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1,4-ジオン、4-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)2-ブテン-4-オン、2,3,5-トリメチルピラジン、γ-ウンデカラクトン、γ-バレロラクトン、バニラエキストラクト、バニリン、ベラトルアルデヒド、バイオレットリーフアブソリュート、N-エチル-p-メンタン-3-カルボアミド(WS-3)、エチル-2-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート(WS-5)、糖(スクロース、フルクトース等)、ココア粉、キャロブ粉、コリアンダー粉、リコリス粉、オレンジピール粉、ローズピップ粉、カモミールフラワー(flower)粉、レモンバーベナ粉、ペパーミント粉、リーフ粉、スペアミント粉、紅茶粉、天然植物性香料(例えば、ジャスミン油、レモン油、ベチバー油、ロベージ油)、エステル類(例えば、酢酸メンチル、プロピオン酸イソアミル、等)、およびアルコール類(例えば、フェニルエチルアルコール、シス-6-ノネン-1-オール、等)、が挙げられる。これらの香料は1種を単独で、または2種以上を併用してもよい。
【0021】
(7)たばこシートの特性および形態
1)密度
本発明のたばこシートは、1.0g/cm3以下の密度を有する。このような低い密度を有するたばこシートは、吸引初期において十分な香味成分のデリバリーを達成できる。この理由は限定されないが、低密度のたばこシートによって喫煙物品におけるたばこ充填物の充填密度を低減できるので、重量当たりの受熱量を増やすことができるためと推察される。また、充填密度の低減によってコストダウンも達成できる。これらの観点から、前記密度は好ましくは0.95g/cm3以下、より好ましくは0.75g/cm3以下である。密度の下限は限定されないが、強度等の観点から好ましくは0.5g/cm3以上である。本発明において密度は坪量(単位面積当たりの重量)と厚みから算出される。本発明のたばこシートの通気度は、好ましくは0コレスタ単位である。
【0022】
2)厚さ
たばこシートの厚さは限定されないが、上限は、好ましくは1500μm以下、より好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは500μm以下である。また下限は、好ましくは20μm以上、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは150μm以上である。
【0023】
(8)たばこセグメント
たばこシートから、喫煙物品に用いるたばこセグメントを製造できる。たばこセグメントは、一態様において筒状のラッパーを備え、当該ラッパー内に渦巻き状に充填されたたばこシートを備える(
図1(A)参照)。図中、20Aはたばこセグメント、1はたばこシート、22はラッパーであり、通常は紙である。当該たばこセグメントは好ましくはロッド状であり、その長さは15~80mm、直径は5~10mm程度とすることができる。さらに
図1(A)に記載のたばこセグメント20Aを切断して、アスペクト比(長さ/直径)が0.5~1.2程度とすることもできる(
図1(B)参照)。
【0024】
たばこセグメント20Aは、別態様において筒状のラッパー22を備え、当該ラッパー内に折畳んで充填されたたばこシート1を備える。折り畳みによって生じた稜線はセグメントの長手方向に略平行である(
図1(C)参照)。当該たばこセグメント20Aは好ましくはロッド状であり、その長さは15~80mm、直径は5~10mm程度とすることができる。この態様においては、たばこシート1に予めプリーツ加工またはクリンプ加工等の表面しわ加工が施されていることが好ましい。
【0025】
たばこセグメント20Aは、別態様において筒状のラッパー22を備え、当該ラッパー内に充填されたたばこシートの裁断片1cを備える(
図1(D)参照)。当該たばこセグメント20Aは好ましくはロッド状であり、その長さは15~80mm、直径は5~10mm程度とすることができる。裁断片のサイズは限定されないが、例えば最長辺の長さを2~20mm程度、幅を0.5~1.5mm程度とすることができる。
【0026】
たばこセグメント20Aは、別態様において筒状のラッパー22を備え、当該ラッパー内に充填されたストランドタイプ刻を備える(
図1(E)参照)。ストランドタイプ刻は、その長手方向がラッパー22の長手方向と略平行となるように充填される。ストランドタイプ刻の幅は0.5~1.5mm程度とすることができる。
【0027】
たばこセグメント20Aは、別態様において筒状のラッパー22を備え、当該ラッパー内にランダムに充填された、たばこ刻充填物を備える。たばこ刻は裁刻物でありストランドタイプ刻とは異なる。
【0028】
2.製造方法
たばこシートは任意の方法で製造されうるが、好ましくは以下の工程を備える方法で製造される。
少なくとも、たばこ粒子と、バインダーと、媒体とを混練して混合物を調製する工程1。
前記混合物を圧展またはダイから押出してウェットシートを調製する工程2。
前記ウェットシートを乾燥する工程3。
このように圧力をかけて成形されたシートを「圧力成形シート」といい、後述するとおり「圧力成形シート」は「ラミネートシート」と「押出シート」を含む。ラミネートシートとは、混合物を1回以上ローラで目標厚さまで圧展した後に、目標水分量まで乾燥して得たシートである。押出シートとは、混合物をTダイ等から目標厚さで押出した後に、目標水分量まで乾燥して得たシートである。圧力成形シートにおいて圧展と押出は組み合わせてもよい。例えば、混合物を押出した後にさらに圧展してシートとしてもよい。
【0029】
(1)工程1
本工程は、たばこ粒子と、バインダーと、媒体とを混練する。必要に応じて、エアロゾル生成基材、乳化剤、または香料を添加することもできる。各成分の配合量は、前述の量を達成できるように調整される。媒体は、好ましくは例えば水や、エタノール等の沸点が100℃未満である水溶性有機溶媒を主成分とし、より好ましくは水またはエタノールである。
【0030】
本工程は、各成分を混練することで実施できるが、好ましくは、1)原料(例えば、単葉)の粉砕、2)湿粉の調製、3)混練を経て実施される。
1)粉砕
本工程では、前述のとおりの粒径を有する予め粉砕されたたばこ粒子を用いてもよいが、一態様において原料を粗砕し、次いで粉砕機(例えばホソカワミクロン製、ACM-5)を用いて微粉砕して、先述の粒径を有するたばこ粒子を調製する。粒径は、マスターサイザー(malvern社製)等のレーザ回折型粒度計を用いて測定される。
【0031】
2)湿粉の調製
粉砕されたたばこ原料(例えば、たばこ粒子)に、バインダー、必要に応じて香料や脂質等の添加剤を加えて混合する。この混合はドライブレンドであることが好ましいので、混合機としてミキサーを用いることが好ましい。次いで、ドライブレンド物に、水等の媒体、必要に応じてグリセリン等のエアロゾル生成基材を添加し、ミキサーで混合し、湿粉(湿潤状態の粉)を調製する。当該湿粉中の媒体の量は、好ましくは20~80重量%、さらに好ましくは20~40重量%とすることができるが、工程2によって適宜調製される。例えば、工程2で圧展を行う場合、前記媒体の量は20~60重量%または20~50重量%とすることができ、押出しを行う場合は、20~80重量%とすることができる。湿粉の固形分濃度は50~90重量%であることが好ましい。特に好ましい態様においては、D90が200μm以上のたばこ粒子と、水を含む液体媒体(より好ましくは水からなる液体媒体)とを含有し、水分量が50重量%以上である湿粉を用いる。
【0032】
3)混練
前記湿粉を、ニーダー(例えば、ダルトン社製DG-1)を用いて混練する。混練は、全体に媒体がいきわたるまで実施することが好ましい、例えば、目視にて混合物の色が均一になるまで混練りすることが好ましい。
【0033】
(2)工程2
本工程では、前記混合物(湿粉)を圧展またはダイから押出してウェットシートを調製する。例えば、混合物を、2枚の基材フィルムに挟み込みながら、カレンダー装置(例えば、由利ロール機械社製)を用いて、所定の厚さ(100μm超)になるまで1対のローラ間に通し、圧展して2枚の基材フィルム間にウェットシートが存在するラミネートを得ることができる。基材フィルムとしてはフッ素系ポリマーフィルム等の非粘着性フィルムが好ましい。ローラによる圧展は複数回実施することができる。また、前記混合物(湿粉)を所定のギャップを設けたダイ(好ましくはTダイ)から押出して、基材上にウェットシート形成することもできる。基材としては、ガラス板、金属板、プラスチック板などの公知のものを使用できる。押出しには公知の押出機を使用できる。
【0034】
(3)工程3
本工程ではウェットシートを乾燥する。例えば、ラミネートにおいては以下の手順で本工程を実施できる。1)一方の基材フィルムを剥離する。2)当該ラミネートを、通風乾燥機を用いて乾燥する。乾燥温度は室温でもよいが、好ましくは50~100℃であり、乾燥時間は1~2分とすることができる。3)次いで、残りの基材フィルムを剥離し、さらに前記条件で乾燥してたばこシートを得る。このように乾燥を行うことで、たばこシートが他の基材に接着することを回避できる。このようにして得たたばこシートを「ラミネートシート」ともいう。ラミネートシートは表面が滑らかであり、他の部材と接触した場合に刻こぼれの発生を抑制できるので好ましい。また、本方法は300μm以下のシートの製造に適している。
【0035】
また、押出成形の場合は、基材上のウェットシートを、風乾または加熱して乾燥する。乾燥条件は前述のとおりである。このようにして得たたばこシートを「押出シート」ともいう。押出シートは表面が滑らかであり、他の部材と接触した場合に刻こぼれの発生を抑制できるので好ましい。本方法は200μm以上のシートの製造に適している。
【0036】
3.喫煙物品
喫煙物品としては、ユーザが吸引により香味を味わう香味吸引物品や、ユーザが鼻腔や口腔に直接製品を含んで香味を味わう無煙たばこ(無煙喫煙物品)が挙げられる。香味吸引物品は、従来のシガレットを代表とする燃焼型喫煙物品と非燃焼型喫煙物品とに大別できる。本発明のたばこシートは、香味吸引物品に好適である。
【0037】
燃焼型香味吸引物品としては、例えば、シガレット、パイプ、キセル、葉巻、またはシガリロなどが挙げられる。
【0038】
非燃焼加熱型香味吸引物品は、当該物品と別体型の加熱装置により加熱されてもよいし、当該物品と一体型の加熱装置により加熱されてもよい。前者の香味吸引物品(別体型)において、非燃焼加熱型香味吸引物品と加熱装置とをまとめて、「非燃焼加熱型喫煙システム」とも称する。以下に非燃焼加熱型喫煙システムの一例を、
図2および
図3を参照して説明する。
【0039】
図2は、非燃焼加熱型喫煙システムの一例を示す断面模式図であり、非燃焼加熱型香味吸引物品20のたばこセグメント20A内に、ヒータ12を挿入する前の状態を示す。使用時には、たばこセグメント20A内に、ヒータ12が挿入される。
図3は、非燃焼加熱型香味吸引物品20の断面図である。
【0040】
図2に示すとおり、非燃焼加熱型喫煙システムは、非燃焼加熱型香味吸引物品20と、たばこセグメント20Aを内側から加熱する加熱装置10とを備える。ただし非燃焼加熱型喫煙システムは、
図2の構成に限定されない。
【0041】
図2に示される加熱装置10は、ボディ11と、ヒータ12とを備える。図示していないが、ボディ11は電池ユニットと制御ユニットを備えていてもよい。ヒータ12は電気抵抗によるヒータであることができ、たばこセグメント20A内に挿入されて、たばこセグメント20Aを加熱する。
【0042】
本発明のたばこシートは、
図2に示すようにたばこセグメント20Aが内側から加熱される場合に高い効果を奏する。このような加熱方式では、たばこシートとヒータが直接接触するので、シート重量当たりの受熱量をより増やすことができ、吸引初期において十分な香味成分のデリバリーを達成しやすい。しかしながら、非燃焼加熱型香味吸引物品20の態様はこれに限定されず、別態様においてたばこセグメント20Aは外側から加熱される。
【0043】
加熱装置10による加熱温度は特に限定されないが、400℃以下であることが好ましく、50~400℃であることがより好ましく、150~350℃であることがさらに好ましい。加熱温度とは加熱装置10のヒータ12の温度を指す。
【0044】
図3に示すとおり、非燃焼加熱型香味吸引物品20(以下、単に「香味吸引物品20」と称する)は、円柱形状を有する。香味吸引物品20の円周の長さは、16~27mmであることが好ましく、20~26mmであることがより好ましく、21~25mmであることがさらに好ましい。香味吸引物品20の全長(水平方向の長さ)は特に限定されないが、40~90mmであることが好ましく、50~75mmであることがより好ましく、50~60mmであることがさらに好ましい。
【0045】
香味吸引物品20は、たばこセグメント20Aと、吸口を構成するフィルター部20Cと、これらを連結する連結部20Bとから構成される。
【0046】
たばこセグメント20Aは、円柱状であり、その全長(軸方向の長さ)は、例えば、5~100mmであることが好ましく、10~50mmであることがより好ましく、10~25mmであることがさらに好ましい。たばこセグメント20Aの断面の形状は特に限定されないが、例えば円形、楕円形、多角形等とすることができる。
【0047】
たばこセグメント20Aは、たばこシートまたはこれに由来する材料21と、その周囲に巻かれたラッパー22とを有する。また、ラッパー22は、本発明のたばこシート1であってもよい。
【0048】
フィルター部20Cは、円柱形をなしている。フィルター部20Cは、酢酸セルロースアセテート繊維が充填されて構成されたロッド状の第1セグメント25と、同じく酢酸セルロースアセテート繊維が充填されて構成されたロッド状の第2セグメント26とを有する。第1セグメント25は、たばこセグメント20A側に位置している。第1セグメント25は、中空部を有していてもよい。第2セグメント26は、吸口側に位置している。第2セグメント26は、中実である。第1セグメント25は、第1充填層(酢酸セルロースアセテート繊維)25aと、第1充填層25aの周囲に巻かれたインナープラグラッパー25bとにより構成される。第2セグメント26は、第2充填層(酢酸セルロースアセテート繊維)26aと、第2充填層26aの周囲に巻かれたインナープラグラッパー26bとにより構成される。第1セグメント25および第2セグメント26は、アウタープラグラッパー27によって連結されている。アウタープラグラッパー27は、酢酸ビニルエマルジョン系接着剤等によって第1セグメント25および第2セグメント26に接着されている。
【0049】
フィルター部20Cの長さを例えば10~30mm、連結部20Bの長さを例えば10~30mm、第1セグメント25の長さを例えば5~15mm、第2セグメント26の長さを例えば5~15mmとすることができる。これら個々のセグメントの長さは、一例であり、製造適性、要求品質、たばこセグメント20Aの長さ等に応じて、適宜変更できる。
【0050】
例えば、第1セグメント25(センターホールセグメント)は、1つまたは複数の中空部を有する第1充填層25aと、第1充填層25aを覆うインナープラグラッパー25bとで構成される。第1セグメント25は、第2セグメント26の強度を高める機能を有する。第1セグメント25の第1充填層25aは、例えば酢酸セルロース繊維が高密度で充填されている。この酢酸セルロース繊維には、トリアセチンを含む可塑剤が酢酸セルロースの質量に対して、例えば6~20質量%添加されて硬化されている。第1セグメント25の中空部は、例えば内径φ1.0~φ5.0mmである。
【0051】
第1セグメント25の第1充填層25aは、例えば、比較的に高い繊維充填密度で構成されてもよく、あるいは後述する第2セグメント26の第2充填層26aの繊維充填密度と同等であってもよい。このため、吸引時には、空気やエアロゾルが中空部のみを流れることになり、第1充填層25aには空気やエアロゾルがほとんど流れない。例えば、第2セグメント26において、エアロゾル成分の濾過による減少を少なくしたい場合には、例えば第2セグメント26の長さを短くして、その分だけ第1セグメント25を長くすることもできる。
【0052】
短縮した第2セグメント26を第1セグメント25で置き換えることは、エアロゾル成分のデリバリー量を増大させるために有効である。第1セグメント25の第1充填層25aが繊維充填層であることから、使用時の外側からの触り心地は、使用者に違和感を生じさせることがない。
【0053】
第2セグメント26は、第2充填層26aと、第2充填層26aを覆うインナープラグラッパー26bとで構成される。第2セグメント26(フィルターセグメント)は、酢酸セルロース繊維が一般的な密度で充填されており、一般的なエアロゾル成分の濾過性能を有する。
【0054】
第1セグメント25と第2セグメント26との間で、たばこセグメント20Aから放出されるエアロゾル(主流煙)をろ過するろ過性能を異ならせてもよい。第1セグメント25および第2セグメント26の少なくとも一方に、香料を含ませてもよい。フィルター部20Cの構造は任意であり、上記のような複数のセグメントを有する構造であってもよいし、単一のセグメントによって構成されていてもよい。またフィルター部20Cは、1つのセグメントで構成されてもよい。この場合、フィルター部20Cは、第1セグメントまたは第2セグメントのいずれで構成されていてもよい。
【0055】
連結部20Bは、円筒形をなしている。連結部20Bは、例えば厚紙等によって円筒形に形成された紙管23を有する。連結部20Bには、エアロゾルを冷却するための冷却部材が充填されていてもよい。冷却部材としては、ポリ乳酸等のポリマーのシートが挙げられ、当該シートを折り畳んで充填することができる。さらに、たばこセグメント20Aと連結部20Bの間には、たばこセグメント20Aの位置が変動することを抑制する支持部が設けられていてもよい。支持部は、第1セグメント25のようなセンタホールフィルター等の公知の材料で構成できる。
【0056】
ラッパー28は、たばこセグメント20A、連結部20B、およびフィルター部20Cの外側に円筒形に巻かれて、これらを一体的に連結している。ラッパー28の一方の面(内面)には、通気孔部24の付近を除く全面または略全面に酢酸ビニルエマルジョン系接着剤が塗布されている。複数の通気孔部24は、ラッパー28によって、たばこセグメント20A、連結部20B、およびフィルター部20Cが一体にされた後に、外側からレーザ加工を施して形成される。
【0057】
通気孔部24は、連結部20Bを厚み方向に貫通するように2以上の貫通孔を有する。2以上の貫通孔は、香味吸引物品20の中心軸の延長線上から見て、放射状に配置するように形成される。本実施形態では、通気孔部24は、連結部20Bに設けられているが、フィルター部20Cに設けられていてもよい。また、本実施形態では、通気孔部24の2以上の貫通孔は、1つの円環上に一定間隔を空けて1列に並んで設けられるが、2つの円環上に一定の間隔を空けて2列に並んで設けられていてもよいし、1列または2列の通気孔部24が不連続または不規則に並んで設けられていてもよい。ユーザが吸口を咥えて吸引する際に、通気孔部24を介して主流煙中に外気が取り込まれる。ただし、通気孔部24は設けられていなくてもよい。
【実施例】
【0058】
[実施例1]
たばこ葉を、粉砕機(ホソカワミクロン製ACM-5)を用いてD90が400μmとなるように粉砕して葉たばこ粒子を得た。D90はマスターサイザー(malvern社製)にて測定した。葉たばこ粒子とバインダーとしてサンローズF20HC(日本製紙株式会社製セルロースエーテル)とをミキサーを用いてドライブレンドした。次いで、当該ドライブレンド物に、エアロゾル生成基材としてグリセリンと、媒体として水を添加し、ミキサーで混合して湿粉を調製した。各成分の配合は表1に示すとおりである。
【0059】
混練機(ダルトン社製、DG-1)を用いて、室温にて湿粉を6回混練して混合物を得た。ダイ形状は円方形であり、スクリュー回転数は60rpmとした。
【0060】
湿粉を2枚のテフロン(登録商標)フィルム(日東電工株式会社製NITOFLON(R)No.900UL)に挟み、カレンダー装置(由利ロール機械社製)を用いて、所定の厚さ(100μm超)になるまで4段階で圧延して、フィルム/ウェットシート/フィルムの層構造を有する厚さ250μmのラミネートを調製した。1~4段目のロールギャップは、それぞれ1100μm、500μm、300μm、200μmとした。4段目のロールギャップは最終的に得られたシートの厚さよりも厚いが、これはローラ間の圧力から解放されたシートが最終厚さ付近まで膨張したためである。
【0061】
ラミネートから1枚のテフロン(登録商標)フィルムを剥離し、通風乾燥機を用いて80℃で1~2分乾燥した。次いで、もう1枚のフィルムを剥離し、同条件でウェットシートを乾燥し、本発明のたばこシートを製造し、評価した。
【0062】
【0063】
表1の湿粉中重量において、たばこ葉粉砕物、グリセリン、バインダーは乾物重量を示し、水は仕込み重量とたばこ葉粉砕物、グリセリン、およびバインダーに含まれていた水分重量の合計量を示す。
【0064】
[実施例2、3]
D90が600μmおよび800μmである葉たばこ粒子をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同じ方法でたばこシートを製造し、評価した。
【0065】
[比較例1、2]
D90が80μmおよび200μmである葉たばこ粒子をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同じ方法でたばこシートを製造し、評価した。
【0066】
[実施例4]
D90が200μmである葉たばこ粒子を用い、かつ湿粉中の水の重量割合を50WB重量%とした以外は、実施例1と同じ方法でたばこシートを製造し、評価した。
【0067】
[比較例3、4]
D90が200μmである葉たばこ粒子を用い、かつ湿粉中の水の重量割合をそれぞれ30、40WB重量%とした以外は、実施例1と同じ方法でたばこシートを製造し、評価した。これらの結果を表3に示す。表3における「湿粉における水の量」は、表1の湿粉中重量割合における水の量に相当する。
【0068】
[実施例5および比較例5]
定法に従いキャスト法によって、シート密度が0.75g/cm3および0.96g/cm3であるたばこシート(実施例5)と、シート密度が1.19g/cm3であるたばこシート(比較例5)をそれぞれ製造した。得られたたばこシートを用いて喫煙試験を実施した結果、実施例5のシートを用いた喫煙物品は、比較例5のシートを用いた喫煙物品に比べて、吸引初期における香味成分のデリバリーが良好であることが確認された。このことから、実施例1~3で得たたばこシートを用いた喫煙物品も、吸引初期における香味成分のデリバリーが良好であると推察された。
【0069】
以下に、評価方法を説明する。
[喫煙試験]
図2に示す非燃焼内部加熱型喫煙システムを準備した。次いで吸口端にケンブリッジフィルターを接続した。各例で調製したたばこシートを裁断して刻を調製した。当該刻を長さ12mm、直径7mmのラッパー22内に70体積%で充填し、たばこセグメント20Aを調製した。当該システムを喫煙機による喫煙試験に供した。具体的には、自動喫煙器(Borgwaldt KC Inc.製R-26)を用いて、サンプルを吸煙容量27.5ml/秒、吸煙時間2秒/パフ、吸煙頻度2パフ/分、14パフの条件で自動喫煙し、1パフごとのたばこ煙中粒状物質をケンブリッジフィルター(Borgwaldt KC Inc.製、CM-133)で捕集した。喫煙試験後のケンブリッジフィルターを、メタノール(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)10mL中で振盪して分析試料を得た。得られた分析試料1μLをマイクロシリンジに採取し、ガスクロマトグラフ質量分析(Agilent製GC-MSD、GC:7890A、MS:5975C)にて分析した。
【0070】
[密度]
たばこシートを55mm四方に切り出し、重量(乾物重量)を測定し、単位面積当たりの重量(坪量)を算出した。また、厚み計(ミツトヨ製)により厚みを計測し、坪量と厚みから密度を算出した。
【0071】
[実施例5A]
前記実施例5を再現した。すなわち以下のようにしてたばこシートを製造した。
1)たばこラミナをラボミルで粉砕し、原料粒径D90=300μmのたばこ粒子を得た。
2)針葉樹パルプをラボミルで解砕した。
3)これらの粉末状の材料をKenミキサーに入れ、撹拌混合した。
4)水、グリセリン、およびバインダーとしてサンローズF30MC(日本製紙株式会社製セルロースエーテル)をディスパーサー(Primix社製)に入れて、30分間混合した。
5)この混合物に、前記パルプを加え、ディスパーサー(Primix社製)で30分間分散させた。
6)前記5)で得た混合物を鉄板にキャストした。
7)前記キャスト膜が形成された鉄板を80℃設定の通風乾燥機に入れ、30分乾燥した後、鉄板から剥離してたばこシートを得た。
【0072】
【0073】
表2の湿粉中重量において、たばこ葉粉砕物、グリセリン、バインダーは乾物重量を示し、水は仕込み重量とたばこ葉粉砕物、グリセリン、およびバインダーに含まれていた水分重量の合計量を示す。
【0074】
[実施例6]
D90が80μmである葉たばこ粒子を用いた以外は、実施例5Aと同じ方法でたばこシートを製造し、評価した。これらの結果を表3に示す。
【0075】
【符号の説明】
【0076】
1 たばこシート
1c たばこシートの裁断片
10 加熱装置
11 ボディ
12 ヒータ
20 非燃焼加熱型香味吸引物品
20A たばこセグメント
20B 連結部
20C フィルター部
21 たばこシートまたはこれに由来する材料
22 ラッパー
23 紙管
24 通気孔部
25 第1セグメント
25a 第1充填層
25b インナープラグラッパー
26 第2セグメント
26a 第2充填層
26b インナープラグラッパー
27 アウタープラグラッパー
28 ラッパー