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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】輸送管理装置及び輸送管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20250203BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20250203BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20250203BHJP
【FI】
G06Q10/08
G06Q50/40
B65G61/00 530
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023204181
(22)【出願日】2023-12-01
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】596171878
【氏名又は名称】山田 普
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】山田 普
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-116424(JP,A)
【文献】特開2017-137182(JP,A)
【文献】特開2022-158476(JP,A)
【文献】特開2020-119297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の積替・中継地点を介して第1方向に輸送される第1荷物と、前記複数の積替・中継地点を介して前記第1方向とは逆の第2方向に輸送される第2荷物とを含む複数の荷物を輸送する輸送システムを管理する輸送管理装置であって、
前記複数の荷物は、隣接する地点間を往復する複数の移動体によって前記複数の積替・中継地点で積み替えられながら輸送され、
前記輸送管理装置のプロセッサが、
前記第1荷物の第1納品地点への第1到着希望時刻と、前記第2荷物の第2納品地点への第2到着希望時刻と、隣接する積替・中継地点の地点間の推定移動時間とを取得し、
前記第1到着希望時刻を基準に前記第1方向の下流側から上流側に遡るようにして、前記第1到着希望時刻までに前記第1納品地点に前記第1荷物が到着するように、前記第1荷物における各積替・中継地点の到着予定時刻と出発予定時刻とを算出し、
前記第2到着希望時刻を基準に前記第2方向の下流側から上流側に遡るようにして、前記第2到着希望時刻までに前記第2納品地点に前記第2荷物が到着するように、前記第2荷物における各積替・中継地点の到着予定時刻と出発予定時刻とを算出し、
各積替・中継地点における前記到着予定時刻は、前記出発予定時刻よりも所定の滞在時間前の時刻であり、
前記滞在時間は、移動体の各積替・中継地点における滞在時間であり、
各積替・中継地点間において各荷物を輸送する移動体を割り付けることで割付データを生成し、
前記割付データに基づいて、各積替・中継地点における、前記第1荷物を輸送する第1移動体の第1到着予定時刻と、前記第2荷物を輸送する第2移動体の第2到着予定時刻とを取得し、
各積替・中継地点において、前記第2到着予定時刻が、前記第1到着予定時刻に対して設定時間内にある前記第2移動体の中から、前記第1移動体との間で相互に荷物を積み替える対象移動体を決定する、
輸送管理装置。
【請求項2】
前記対象移動体は、前記第2移動体が注目積替・中継地点に輸送した第2荷物の次の輸送地点が、前記第1移動体が前記注目積替・中継地点の1つ前に通過した地点と一致するという輸送条件を満たす前記第2移動体である、
請求項1記載の輸送管理装置。
【請求項3】
前記複数の移動体は、取り外し可能な荷台を含み、
前記積み替えは、前記第1移動体の荷台を前記対象移動体に取り付け、且つ、前記対象移動体の荷台を前記第1移動体に取り付けることである、
請求項1又は2記載の輸送管理装置。
【請求項4】
前記第1移動体及び前記対象移動体は、荷台種別が同じ移動体である、
請求項3記載の輸送管理装置。
【請求項5】
さらに、各積替・中継地点における前記第1移動体の滞在時間を取得し、
前記滞在時間は前記第1到着予定時刻から所定時刻までの前半期間と前記所定時刻以降の後半期間とを含み、
前記前半期間は、前記設定時間であり、
前記後半期間は、荷物の積み替えに必要な積替必要時間である、
請求項1又は2記載の輸送管理装置。
【請求項6】
複数の積替・中継地点を介して第1方向に輸送される第1荷物と、前記複数の積替・中継地点を介して前記第1方向とは逆の第2方向に輸送される第2荷物とを含む複数の荷物を輸送する輸送システムを管理する輸送管理方法であって、
前記複数の荷物は、隣接する地点間を往復する複数の移動体によって前記複数の積替・中継地点で積み替えられながら輸送され、
コンピュータが、
前記第1荷物の第1納品地点への第1到着希望時刻と、前記第2荷物の第2納品地点への第2到着希望時刻と、隣接する積替・中継地点の地点間の推定移動時間とを取得し、
前記第1到着希望時刻を基準に前記第1方向の下流側から上流側に遡るようにして、前記第1到着希望時刻までに前記第1納品地点に前記第1荷物が到着するように、前記第1荷物における各積替・中継地点の到着予定時刻と出発予定時刻とを算出し、
前記第2到着希望時刻を基準に前記第2方向の下流側から上流側に遡るようにして、前記第2到着希望時刻までに前記第2納品地点に前記第2荷物が到着するように、前記第2荷物における各積替・中継地点の到着予定時刻と出発予定時刻とを算出し、
各積替・中継地点における前記到着予定時刻は、前記出発予定時刻よりも所定の滞在時間前の時刻であり、
前記滞在時間は、移動体の各積替・中継地点における滞在時間であり、
各積替・中継地点間において各荷物を輸送する移動体を割り付けることで割付データを生成し、
前記割付データに基づいて、各積替・中継地点における、前記第1荷物を輸送する第1移動体の第1到着予定時刻と、前記第2荷物を輸送する第2移動体の第2到着予定時刻とを取得し、
各積替・中継地点において、前記第2到着予定時刻が、前記第1到着予定時刻に対して設定時間内にある前記第2移動体の中から、前記第1移動体との間で相互に荷物を積み替える対象移動体を決定する、
輸送管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体を用いて荷物を輸送する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
厚生労働省労働基準局から出されている自動車運送事業法によると、ドライバーの1日あたりの運転時間は9時間を超えず、且つ、ドライバーの1日当たりの拘束時間は13時間を超えないことが規定されている。
【0003】
また、近年、運送業界では、深刻なドライバー不足に陥っており、これを改善するために、個々のドライバーの走行距離の短縮化を図り、労働環境の改善を図ることも求められている。
【0004】
このような事情を踏まえ、特許文献1には、第1地域及び積替・中継地点間を往復する第1トラック車両と、第2地域及び積替・中継地点間を往復する第2トラック車両とを備え、積替・中継地点において第1トラック車両と第2トラック車両とが相互に輸送物を積み替えた後、第1トラック車両が第1地域に戻り、第2トラック車両が第2地域に戻る輸送システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6279631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記輸送システムは、積替・中継地点が1つであるので、輸送距離が長い荷物に適用された場合、第1トラック車両及び第2トラック車両の双方のドライバーの走行距離が長くなるという課題が生じる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、ドライバー1人あたりの走行距離を増大させずに、輸送距離が長い荷物を効率よく輸送できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様における輸送管理装置は、複数の積替・中継地点を介して第1方向に輸送される第1荷物と、前記複数の積替・中継地点を介して前記第1方向とは逆の第2方向に輸送される第2荷物とを含む複数の荷物を輸送する輸送システムを管理する輸送管理装置であって、前記複数の荷物は、隣接する地点間を往復する複数の移動体によって前記複数の積替・中継地点で積み替えられながら輸送され、前記輸送管理装置のプロセッサが、各積替・中継地点における、前記第1荷物を輸送する第1移動体の第1到着予定時刻と、前記第2荷物を輸送する第2移動体の第2到着予定時刻とを取得し、各積替・中継地点において、前記第2到着予定時刻が、前記第1到着予定時刻に対して設定時間内にある前記第2移動体の中から、前記第1移動体との間で相互に荷物を積み替える対象移動体を決定する。
【0009】
この構成によれば、隣接する地点間を往復する複数の移動体によって複数の積替・中継地点で積み替えながら第1及び第2荷物を輸送する輸送システムが構築できる。ここで、各積替・中継地点では、第1到着予定時刻に対して設定時間内にある第2移動体の中から第1移動体との間で相互に荷物を積み替える対象移動体が決定されている。したがって、ドライバー1人あたりの走行距離を増大させずに、輸送距離が長い荷物を効率よく輸送する輸送システムが構築される。
【0010】
(2)上記輸送管理装置において、前記対象移動体は、前記第2移動体が注目積替・中継地点に輸送した第2荷物の次の輸送地点が、前記第1移動体が前記注目積替・中継地点の1つ前に通過した地点と一致するという輸送条件を満たす前記第2移動体であってもよい。
【0011】
この構成によれば、第1及び第2荷物を効率よく納品地点に輸送できる。
【0012】
(3)上記輸送管理装置において、前記複数の移動体は、取り外し可能な荷台を含み、前記積み替えは、前記第1移動体の荷台を前記対象移動体に取り付け、且つ、前記対象移動体の荷台を前記第1移動体に取り付けることであってもよい。
【0013】
この構成によれば、荷台から荷物を取り出す作業を行うことなく荷物の積み替えを行うことができる。
【0014】
(4)上記輸送管理装置において、前記第1移動体及び前記対象移動体は、荷台種別が同じ移動体であってもよい。
【0015】
この構成によれば、荷物の積み替え後において、第1及び対象移動体の荷台が別種の荷台になる事態を回避できる。
【0016】
(5)上記輸送管理装置において、さらに、各積替・中継地点における前記第1移動体の滞在時間を取得し、前記滞在時間は前記第1到着予定時刻から所定時刻までの前半期間と前記所定時刻以降の後半期間とを含み、前記前半期間は、前記設定時間であり、前記後半期間は、荷物の積み替えに必要な積替必要時間であってもよい。
【0017】
この構成によれば、第1及び第2移動体は荷物の積み替えに要する時間を確保できる。
【0018】
(6)本開示の別の一態様における輸送管理方法は、複数の積替・中継地点を介して第1方向に輸送される第1荷物と、前記複数の積替・中継地点を介して前記第1方向とは逆の第2方向に輸送される第2荷物とを含む複数の荷物を輸送する輸送システムを管理する輸送管理方法であって、前記複数の荷物は、隣接する地点間を往復する複数の移動体によって前記複数の積替・中継地点で積み替えられながら輸送され、コンピュータが、各積替・中継地点における、前記第1荷物を輸送する第1移動体の第1到着予定時刻と、前記第2荷物を輸送する第2移動体の第2到着予定時刻とを取得し、各積替・中継地点において、前記第2到着予定時刻が、前記第1到着予定時刻に対して設定時間内にある前記第2移動体の中から、前記第1移動体との間で相互に荷物を積み替える対象移動体を決定する。
【0019】
この構成によれば、ドライバー1人あたりの走行距離を増大させずに、輸送距離が長い荷物を効率よく輸送できる輸送管理方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ドライバー1人あたりの走行距離を増大させずに、輸送距離が長い荷物を効率よく輸送できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態における輸送管理システムの全体構成図である。
図2】本実施の形態における輸送システムの一例を示す図である。
図3】車両データ記憶部の構成図である。
図4】荷物データ記憶部の構成図である。
図5】割付データ記憶部の構成図である。
図6】輸送管理装置の処理を示すフローチャートである。
図7】決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の実施の形態における輸送管理システム1の全体構成図である。輸送管理システム1は、輸送管理装置10及び複数の端末20を含む。輸送管理装置10は、輸送システムによる移動体の運行を管理する装置である。輸送システムは、隣接する積替・中継地点間を往復する複数の移動体によって複数の積替・中継地点で複数の荷物を積み替えながら輸送する輸送システムである。
【0023】
図2は、本実施の形態における輸送システムの一例を示す図である。この輸送システムは、2つの出荷地点N1、N6、3つの積替・中継地点N2~N4、及び2つの納品地点N5、N7を含む。出荷地点N1は、荷物R1の出荷地点であり、納品地点N5は、荷物R1の納品地点である。出荷地点N6は、荷物R2の出荷地点であり、納品地点N7は荷物R2の納品地点である。すなわち、荷物R1は出荷地点N1から積替・中継地点N2~N4をこの順に通って納品地点N5に向かう第1方向D1に輸送される荷物である。荷物R2は出荷地点N6から積替・中継地点N4~N2をこの順に通って納品地点N7に向かう第2方向D2に輸送される荷物である。
【0024】
移動体M1は、出荷地点N1を出発し、積替・中継地点N2を介して納品地点N7に向かう移動体である。移動体M2は、積替・中継地点N2と積替・中継地点N3との間を往復する移動体である。移動体M3は、積替・中継地点N3と積替・中継地点N4との間を往復する移動体である。移動体M4は積替・中継地点N4を出発し、納品地点N5に向かう移動体である。移動体M5は出荷地点N6を出発し、積替・中継地点N4に向かう移動体である。
【0025】
積替・中継地点N2~N4のそれぞれは、荷物R1を輸送する移動体と、荷物R2を輸送する移動体との間で相互に荷物が積み替えられる場所である。積替・中継地点N2~N4は、輸送システムを運用する輸送業者によって予め設けられた場所である。積替・中継地点N2~N4は、車庫を有する積替・中継地点と車庫を有さない積替・中継地点とを含む。この例では、積替・中継地点N2、N4が車庫を含む積替・中継地点であり、積替・中継地点N3は車庫を含まない積替・中継地点である。したがって、積替・中継地点N2は、移動体M1、M2の車庫となり、積替・中継地点N4は移動体M3、M4の車庫となっている。
【0026】
移動体M1~M4は、それぞれ、荷台が取り外し可能な輸送トラックで構成されている。荷物が出荷地点から納品地点まで輸送される間、荷台は荷物と一体となって輸送される。そのため、積替・中継地点N2~N4のそれぞれにおいて、荷物は、荷台から取り出されることなく、荷台を交換することにより積み替えられる。例えば、積替・中継地点N2では、移動体M1の荷台を移動体M1から取り外し、取り外した荷台を移動体M2に取り付けるとともに、移動体M2の荷台を移動体M2から取り外し、取り外した荷台を移動体M1に取り付けることで、荷物R1と荷物R2との積み替えが行われる。
【0027】
図1に参照を戻す。輸送管理装置10は、例えばクラウドサーバで構成されている。端末20は、複数の移動体のそれぞれに対応するコンピュータで構成されている。端末20は、車載端末で構成されてもよいし、スマートフォン又はタブレット型コンピュータなどの携帯可能なコンピュータで構成されてもよい。輸送管理装置10と複数の端末20とはネットワークNTを介して相互に通信可能に接続されている。ネットワークNTはインターネット通信網及び携帯電話通信網を含む広域通信網で構成されている。
【0028】
輸送管理装置10は、プロセッサ11、メモリ12、通信装置13、及び入力装置14を含む。プロセッサ11は、中央演算処理装置(CPU)で構成される。メモリ12は、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの不揮発性の書き換え可能な記憶装置で構成されている。メモリ12は、車両データ記憶部121、荷物データ記憶部122、及び割付データ記憶部123を含む。
【0029】
車両データ記憶部121は、輸送システムに使用される車両に関するデータである車両データを記憶する。図3は、車両データ記憶部121の構成図である。車両データ記憶部121は、1つのレコードに1つの車両データが割り付けられた表形式のデータ構成を有する。車両データは、車両ID、地点間ID、端末ID、及び荷台種別IDを含む。車両IDは移動体の識別子である。地点間IDは、移動体が輸送を担当する隣接する地点間の識別子である。例えば、車両ID「M11」の移動体は、積替・中継地点N2と出荷地点N1との間の地点間を担当するので、地点間IDとして「N2⇔N1」が設定されている。地点間IDにおいて矢印の左側の記号は車庫となる積替・中継地点を示している。例えば、車両ID「M21」の移動体は、積替・中継地点N2と積替・中継地点N3との間の地点間を担当しており、車庫が積替・中継地点N2なので、地点間IDとして「N2⇔N3」が設定されている。
【0030】
端末IDは移動体に対応する端末20の識別子である。例えば、車両ID「M11」の移動体は、端末ID「T011」の端末20が対応するので、端末IDとして「T011」が設定されている。
【0031】
荷台種別IDは、移動体に取り付けられる荷台の種類を示す識別子である。例えば、車両ID「M11」の移動体は、取り付けられる荷台の種別がAなので、荷台種別IDとして「A」が設定されている。荷台の種別としては、天井及び側面が開くタイプの荷台や、後端面のみが開くタイプの荷台がある。
【0032】
荷物データ記憶部122は、輸送システムにおいて輸送対象となる荷物に関する荷物データを記憶する。図4は、荷物データ記憶部122の構成図である。荷物データ記憶部122は、1つのレコードに1つの荷物データが割り付けられた表形式のデータ構成を有する。荷物データは、荷物ID、荷主ID、出荷地点、納品地点、到着希望時刻、及び受注時刻を含む。荷物IDは、荷物を一意的に識別する識別子である。荷主IDは荷物の輸送を依頼した人物の識別子である。出荷地点は荷物の出荷地点である。納品地点は荷物の納品地点である。到着希望時刻は荷物の到着希望時刻である。到着希望時刻は、日にちと時刻とを含む。受注時刻は荷物の輸送依頼を受注した時刻である。受注時刻は日にちと時刻とを含む。荷物ID「R11」の荷物は、荷主IDが「BB1」、出荷地点がN1、納品地点がN5、到着希望時刻がX1年Y1月Z1日のP1:00、受注時刻がX2年Y2月Z2日のP2:00なので、この荷物に対応する荷物データにはこれらのデータが設定されている。
【0033】
割付データ記憶部123は、各移動体について輸送する荷物が割り付けられた割付データを記憶する。図5は、割付データ記憶部123のデータ構成図である。割付データ記憶部123は1つのレコードに1つの割付データが割り付けられた表形式のデータ構成を有する。割付データは、車両ID、荷物ID、走行ルート、及び到着予定時刻を含む。車両ID、荷物IDは上述したものと同じである。走行ルートは、荷物をどの地点からどの地点まで運ぶかを示す。到着予定時刻は、走行ルートが示す輸送先の輸送地点における到着予定時刻である。例えば、車両ID「M1」の移動体は、荷物ID「R1」の荷物を出荷地点N1から積替・中継地点N2に輸送し、積替・中継地点N2の到着予定時刻が「2023年11月1日の19時30分」なので、これらの情報が割付データ記憶部123に設定されている。
【0034】
図1に参照を戻す。通信装置13は、ネットワークNTを介して端末20と通信する。例えば、通信装置13は、各端末20に荷物の積み替え対象となる対象移動体を通知するための通知情報を送信する。
【0035】
入力装置14は、キーボード、マウス、などで構成され、オペレータからの入力指示を受け付ける。入力指示としては、荷物データの入力指示がある。オペレータは、荷物の輸送依頼を受注すると、その荷物に関する荷物データを入力装置14を用いて入力する。入力された荷物データは、荷物データ記憶部122に記憶される。このようにして荷物データ記憶部122に荷物データが蓄積されていく。
【0036】
図6は、輸送管理装置10の処理を示すフローチャートである。ステップS1において、プロセッサ11は、荷物データ記憶部122から処理対象となる荷物データを取得する。例えば、プロセッサ11は、1日単位で図6に示す処理を実行する。したがって、プロセッサ11は、所定の処理時刻になると、作成時刻から24時間前までの期間内に受注された荷物の荷物データを処理対象の荷物データとして荷物データ記憶部122から取得すればよい。
【0037】
ステップS2において、プロセッサ11は、処理対象となる各荷物の納品地点への到着希望時刻を取得する。ここで、プロセッサ11は、ステップS1で取得した荷物データから到着希望を取得すればよい。
【0038】
ステップS3において、プロセッサ11は、ステップS1で取得した荷物データが示す各荷物について、隣接する地点間の推定移動時間を取得する。ここでは、各荷物は、図2で示す第1方向D1のルート及び第2方向D2のルートのいずれかで輸送されるものとする。したがって、隣接する地点は、出荷地点N1及び積替・中継地点N2間と、積替・中継地点N2及び積替・中継地点N3間と、積替・中継地点N3及び積替・中継地点N4間と、積替・中継地点N4及び納品地点N5間と、出荷地点N6及び積替・中継地点N4間と、積替・中継地点N2及び納品地点N7間となる。
【0039】
メモリ12は、予めこれらの隣接する地点間の推定移動時間を予め記憶している。したがって、プロセッサ11は、メモリ12から隣接する地点間の推定移動時間を取得すればよい。或いは、プロセッサ11は、出荷地点N1、N6、納品地点N5、N7、及び積替・中継地点N2~N4のそれぞれの位置情報を経路探索システムに入力することで、隣接する地点間の推定移動時間を取得してもよい。経路探索システムはネットワークNTに接続された外部コンピュータが有していてもよいし、輸送管理装置10が有していてもよい。
【0040】
ステップS4において、プロセッサ11は、処理対象となる各荷物について、到着希望時刻と、推定移動時間とに基づいて、到着希望時刻までに納品地点に荷物が到着するように、出荷地点及び積替・中継地点のそれぞれの出発予定時刻と各積替・中継地点の到着予定時刻とを算出する。到着予定時刻は、出発予定時刻から所定の滞在時間前の時刻である。
【0041】
図2を参照する。荷物R1は、納品地点N5の到着希望事項が8時である。図2の例では、隣接する地点間の推定移動時間は全て4時間である。図2の例では、各地点の滞在時間は30分である。プロセッサ11、これらの情報を用いて第1方向D1の下流側から上流側に遡るようにして、荷物R1についての出荷地点N1及び積替・中継地点N2~N4のそれぞれの出発予定時刻と、積替・中継地点N2~N4のそれぞれの到着予定時刻とを算出する。
【0042】
詳細には、到着予定時刻である8時から4時間前の4時が積替・中継地点N4における荷物R1の出発予定時刻として算出される。また、4時から30分前の30時30分が積替・中継地点N4における荷物R1の到着予定時刻として算出される。また、3時30分から4時間前の23時30分が積替・中継地点N3における荷物R1の出発予定時刻として算出される。また、23時30分から30分前の23時が積替・中継地点N3における荷物R1の到着予定時刻として算出される。同様にして、積替・中継地点N2及び出荷地点N1のそれぞれにおける荷物R1の出発予定時刻と、積替・中継地点N2における荷物R1の到着予定時刻とが算出される。荷物R2についても荷物R1と同様にして、出荷地点N6及び積替・中継地点N2~N4のそれぞれの出発予定時刻と、積替・中継地点N2~N4の到着予定時刻とが算出される。説明の便宜上、図2では、2つの荷物R1、R2しか示されていないが、処理対象となる荷物のうち他の荷物についても、荷物R1、R2と同様にして、出荷地点及び積替・中継地点N2~N4のそれぞれの出発予定時刻と、積替・中継地点N2~N4のそれぞれの到着予定時刻とが算出される。
【0043】
ステップS5において、プロセッサ11は、各地点間において各荷物を輸送する移動体を割り付けることで割付データを生成し、割付データ記憶部123に記憶する。例えば、プロセッサ11は、各地点間において輸送を担当する移動体の中から処理対象の各荷物を輸送する移動体を順番に割り付ける。この場合、割付データには、ステップS4で各荷物に対して算出された出発予定時刻と各積替・中継地点における到着予定時刻とが含まれる。
【0044】
ステップS6において、プロセッサ11は、割付データ記憶部123から、各積替・中継地点における、第1荷物を輸送する第1移動体の第1到着予定時刻と、第2荷物を輸送する第2移動体の第2到着予定時刻とを取得する。図5の例では、車両ID「M1」の移動体が、出荷地点N1から積替・中継地点N2まで第1荷物(荷物R1)を移動する第1移動体に該当し、到着予定時刻「2023/11/1/19:30」が第1到着予定時刻に該当する。また、図5の例では、車両ID「M2」の移動体が、積替・中継地点N3から積替・中継地点N2まで第2荷物(荷物R2)を移動する第2移動体に該当し、到着予定時刻「2023/11/1/19:45」が第2到着予定時刻に該当する。
【0045】
また、図5の例では、車両ID「M3」の移動体が、積替・中継地点N3から積替・中継地点N4まで第1荷物(荷物R1)を移動する第1移動体に該当し、到着予定時刻「2023/11/2/3:30」が第1到着予定時刻に該当する。
【0046】
ステップS7において、プロセッサ11は、各積替・中継地点において、第2到着予定時刻が、第1到着予定時刻に対して設定時間内にある前記第2移動体の中から、第1移動体との間で相互に荷物を積み替える対象移動体を決定する決定処理を実行する。
【0047】
図7は、決定処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS11において、プロセッサ11は、複数の積替・中継地点のうち注目する1つの積替・中継地点を決定する。図2の例では、積替・中継地点N2~N4が順番に注目積替・中継地点として決定される。
【0048】
ステップS12において、プロセッサ11は、注目積替・中継地点にN番目に到着する第1移動体に対して設定時間内に到着する第2移動体があるか否かを判定する。ここでは、注目積替・中継地点における到着予定時刻が早い順に第1移動体が特定される。
【0049】
設定時間内に到着する第2移動体がある場合(ステップS12でYES)、プロセッサ11は、当該第2移動体が輸送条件を満たすか否かを判定する(ステップS13)。輸送条件とは、第2移動体が注目積替・中継地点に輸送した第2荷物の次の輸送地点が、第1移動体が注目積替・中継地点の1つ前に通過した地点と一致するという条件である。
【0050】
当該第2移動体が輸送条件を満たす場合(ステップS13でYES)、プロセッサ11は、当該第2移動体を積み替え対象の対象移動体として決定する(ステップS14)。
【0051】
以下、図2を参照して、ステップS12、S13の処理を説明する。この例では、積替・中継地点N3を注目積替・中継地点、移動体M2を第1移動体、移動体M3を第2移動体、滞在時間T0を30分、設定時間T1を15分とする。設定時間T1は、滞在時間T0の前半期間である。滞在時間T0の後半期間は積替時間T2である。荷物R2を輸送する移動体M3の積替・中継地点N3における到着予定時刻は23時15分である。一方、移動体M2の積替・中継地点N3における到着予定時刻は23時00分である。移動体M3の到着予定時刻である23時15分は、移動体M2の到着予定時刻の23時00から設定時間T1(=15分)内にある。そのため、移動体M3はステップS12の条件を満たす。
【0052】
また、移動体M3が輸送した荷物R2は、次の輸送地点が積替・中継地点N2であり、移動体M2の1つ前の輸送地点は積替・中継地点N2である。したがって、移動体M3は輸送条件も満たす。以上より、移動体M3は移動体M2に対する対象移動体として決定される。
【0053】
N番目に到着する第1移動体に対して抽出条件を満たす第2移動体が存在しない場合(ステップS12でNO)、又は、ステップS12でYESと判定された第2移動体が輸送条件を満たさない場合(ステップS13でNO)、処理はステップS15に進む。この場合、第1荷物は注目積替・中継地点において待機状態にある移動体によって輸送されてもよい。
【0054】
ステップS15において、プロセッサ11は、注目積替・中継地点において全ての第1移動体に対する処理が終了したか否かを判定する。注目積替・中継地点において全ての第1移動体に対する処理が終了した場合(ステップS15でYES)、処理はステップS16に進む。一方、注目積替・中継地点において全ての第1移動体に対する処理が終了していない場合(ステップS15でNO)、処理はステップS12に戻る。この場合、注目積替・中継地点において到着予定時刻が次に早い第1移動体が特定され、その第1移動体がN番目の第1移動体として、ステップS12~S15の処理が行われる。
【0055】
ステップS16において、プロセッサ11は、全ての積替・中継地点に対する処理が終了したか否かを判定する。全ての積替・中継地点に対する処理が終了した場合(ステップS16でYES)、処理は終了する。一方、全ての積替・中継地点に対する処理が終了していない場合(ステップS16でNO)、処理はステップS11に戻る。この場合、プロセッサ11は、次の積替・中継地点を注目積替・中継地点として決定し、決定した積替・中継地点に対してステップS12~S15の処理を実行する。
【0056】
このように、本実施の形態によれば、隣接する地点間を往復する複数の移動体によって複数の積替・中継地点で積み替えながら複数の荷物を輸送する輸送システムを構築できる。ここで、各積替・中継地点では、第1到着予定時刻に対して設定時間内にある第2移動体の中から第1移動体との間で相互に荷物を積み替える対象移動体が決定されている。したがって、ドライバー1人あたりの走行距離を増大させずに、輸送距離が長い荷物を効率よく輸送できる。
【0057】
本発明は以下の変形例が採用できる。
【0058】
(1)図2の例において、荷物R1の納品地点N5は荷物R2の出荷地点N6と同じ地点であってもよい。
【0059】
(2)図2の例において、荷物R2の納品地点N7は荷物R1の出荷地点N1と同じ地点であってもよい。
【0060】
(3)図2の例では、積替・中継地点の数は3つであるが、これは一例であり、少なくとも2つあればよい。
【0061】
(4)図2の例では、積替・中継地点N3は車庫を有していなかったが車庫を有していてもよい。
【0062】
(5)図2の例では、説明の便宜上、各地点間の推定移動時間は、一律に4時間であったが、これは一例であり、地点間ごとに異なっていてもよい。
【0063】
(6)図7のフローチャートのステップS13に示す輸送条件は、さらに、荷台種別の条件を含んでいてもよい。荷台種別の条件とは第1移動体に取り付けられた荷台種別と第2移動体に取り付けられた荷台種別とが一致するという条件である。
【0064】
(7)図2の例では、各積替・中継地点における滞在時間は一律に30分としたが、これは一例であり、この滞在時間は各積替・中継地点及び各荷物に応じて異なっていてもよい。例えば、到着希望時刻内に納品地点までに荷物が到着するという制約の下、各積替・中継地点における各荷物の滞在時間が最短となるように各積替・中継地点における各荷物の滞在時間は決定されてもよい。プロセッサ11は、このようにして決定された各荷物に対して各荷物を輸送する移動体を割り付ける。プロセッサ11は、このようにして作成された移動体の輸送スケジュールから到着予定時刻を取得すればよい。
【0065】
(8)プロセッサ11は、各荷物について到着予定時刻に間に合うように各積替・中継地点及び出荷地点で算出された到着予定時刻及び出発予定時刻と、各荷物の輸送が割り当てられた移動体とを示す輸送計画を生成してもよい。この場合、プロセッサ11は、各移動体に各移動体の出発予定時刻、到着予定時刻、及び輸送先の積替・中継地点又は納品地点を通知すればよい。
【符号の説明】
【0066】
1 :輸送管理システム
10 :輸送管理装置
11 :プロセッサ
12 :メモリ
13 :通信装置
14 :入力装置
20 :端末
121 :車両データ記憶部
122 :荷物データ記憶部
123 :割付データ記憶部
【要約】
【課題】ドライバー1人あたりの走行距離を増大させずに、輸送距離が長い荷物を効率よく輸送する。
【解決手段】輸送管理装置は、各積替・中継地点における、第1荷物を輸送する第1移動体の第1到着予定時刻と、第2荷物を輸送する第2移動体の第2到着予定時刻とを取得し、各積替・中継地点において、第2到着予定時刻が、第1到着予定時刻に対して設定時間内にある第2移動体の中から、第1移動体との間で相互に荷物を積み替える対象移動体を決定する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7