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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】油脂組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/007 20060101AFI20250203BHJP
   A23D 9/00 20060101ALI20250203BHJP
   A23L 29/212 20160101ALI20250203BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20250203BHJP
   A23L 29/30 20160101ALI20250203BHJP
   A23L 23/10 20160101ALN20250203BHJP
【FI】
A23D9/007
A23D9/00 504
A23L29/212
A23L5/00 L
A23L29/30
A23L23/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024066584
(22)【出願日】2024-04-17
【審査請求日】2024-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593020108
【氏名又は名称】エースコック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183461
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 芳隆
(74)【代理人】
【識別番号】100121005
【弁理士】
【氏名又は名称】幸 芳
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 諒介
(72)【発明者】
【氏名】山本 純也
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-218938(JP,A)
【文献】特開2023-056072(JP,A)
【文献】特開2018-033327(JP,A)
【文献】特開2022-171316(JP,A)
【文献】国際公開第2018/042697(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 9/00
A23L 5/00-35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.02g/cm 以上0.30g/cm未満である糖質、
成分(B):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上0.90g/cm 以下である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)、及び、
成分(C):25℃で固体状の油脂類を含む混合物を固化させた油脂組成物であって、
成分(B)の糖質は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、又は、多糖類を含む、油脂組成物
【請求項2】
前記成分(B)の糖質が、デキストリン、加工デンプン、二糖類、及び、単糖類からなる群より選ばれる少なくとも1種の糖質である、請求項1に記載の油脂組成物。
【請求項3】
前記成分(B)の糖質が、デキストリンである、請求項1に記載の油脂組成物。
【請求項4】
前記成分(B)のDE値が、1~50である、請求項3に記載の油脂組成物。
【請求項5】
前記成分(B)の重量平均分子量が、500~200,000である、請求項1に記載の油脂組成物。
【請求項6】
前記成分(A)の糖質が、デキストリン、及び、加工デンプンからなる群より選ばれる少なくとも1種の糖質である、請求項1に記載の油脂組成物。
【請求項7】
前記成分(A)が、多孔質状である、請求項1に記載の油脂組成物。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の油脂組成物を含有する成型調味料。
【請求項9】
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.02g/cm 以上0.30g/cm未満である糖質、及び、
成分(B):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上0.90g/cm 以下である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)を含む糖質混合物とする工程、
前記糖質混合物と、成分(C):25℃で固体状の油脂類を溶融し、液状にした油脂類とを混合し、混合物を得る工程、及び、
前記混合物を固化させて、油脂組成物を得る工程を備える、
油脂組成物の製造方法であって、
前記成分(B)の糖質は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、又は、多糖類を含む、油脂組成物の製造方法
【請求項10】
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.02g/cm 以上0.30g/cm 未満である糖質、及び、
成分(B):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm 以上0.90g/cm 以下である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)を含む糖質混合物とする工程、
前記糖質混合物と、成分(C):25℃で固体状の油脂類を溶融し、液状にした油脂類とを混合し、混合物を得る工程、及び、
前記混合物を固化させて、油脂組成物を得る工程を備える、
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.02g/cm 以上0.30g/cm 未満である糖質の崩壊抑制方法であって、
前記成分(B)の糖質は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、又は、多糖類を含む、
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.02g/cm 以上0.30g/cm 未満である糖質の崩壊抑制方法。
【請求項11】
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.02g/cm 以上0.30g/cm 未満である糖質、及び、
成分(B):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm 以上0.90g/cm 以下である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)を含む糖質混合物とする工程、
前記糖質混合物と、成分(C):25℃で固体状の油脂類を溶融し、液状にした油脂類とを混合し、混合物を得る工程、及び、
前記混合物を固化させて、油脂組成物を得る工程を備える、
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.02g/cm 以上0.30g/cm 未満である糖質の吸油性能低下抑制方法であって、
前記成分(B)の糖質は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、又は、多糖類を含む、
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.02g/cm 以上0.30g/cm 未満である糖質の吸油性能低下抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、即席麺、即席スープ等の加工食品では、スープに本格的な風味又は濃厚感を付与させるため、容器内に調味料が別添付されることが多い。
これまでに、即席麺に別添付される調味料として、油脂を主成分とする成型調味料が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、多孔質化した吸油性のあるデキストリンと、40℃で固体状の油脂類とを、1:3~6の配合割合(重量比)で混合して成型固化してあることを特徴とする油脂を主成分とする成型調味料が記載されている。
この特許文献1の成型調味料を、本発明者らが製造してみたところ、人が原料の撹拌混合を行った場合には問題なく成型調味料を製造でき、得られた成型調味料は耐熱保形性に優れていた。しかしながら、撹拌機等の機械を用いて原料を混合した場合、得られた成型調味料は、耐熱保形性が劣ることがわかった。
【0004】
また、従来から、油脂類等の液状油性物質を吸着し、食品等の分野において利用することができる、液状油性物質の吸着基材が提案されている(例えば、特許文献2)。
特許文献2には、従来から液状油性物質の吸着基材として利用されていた、澱粉分解物の水溶液を乾燥して得られた乾燥物は、物理的な衝撃に対して壊れやすく、油性物質を吸着させる工程において徐々に多孔質又は中空状の構造が壊れることで、本来持っている吸油性能又は吸油保持能(乾燥物の孔中あるいは粒間の空隙に油を吸着し、保持する性能)を十分に発揮できないという課題があったことが記載されている。
上記特許文献2の記載を考慮すれば、機械を用いて製造した特許文献1の成型調味料の耐熱保形性が悪かったのは、多孔質化したデキストリンが物理的な衝撃に対して壊れやすく、油脂類を吸着させる工程において徐々に多孔質構造が壊れることで、本来持っている吸油性能又は吸油保持能を十分に発揮できなかったことが原因と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3586651号公報
【文献】特開2023-56072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、機械で製造することが可能であり、かつ、耐熱保形性に優れた油脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、25℃で固体状の油脂類を、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質、及び、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上の糖質であって、未加工デンプンを除くものと混合して固化させた油脂組成物が、機械で製造することが可能であり、かつ、耐熱保形性に優れることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
項1.
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質、
成分(B):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)、及び、
成分(C):25℃で固体状の油脂類
を含む混合物を固化させた油脂組成物。
項2.
前記成分(B)の糖質が、デキストリン、加工デンプン、二糖類、及び、単糖類からなる群より選ばれる少なくとも1種の糖質である、項1に記載の油脂組成物。
項3.
前記成分(B)の糖質が、デキストリンである、項1に記載の油脂組成物。
項4.
前記成分(B)のDE値が、1~50である、項3に記載の油脂組成物。
項5.
前記成分(B)の重量平均分子量が、500~200,000である、項1に記載の油脂組成物。
項6.
前記成分(A)の糖質が、デキストリン、及び、加工デンプンからなる群より選ばれる少なくとも1種の糖質である、項1に記載の油脂組成物。
項7.
前記成分(A)が、多孔質状である、項1に記載の油脂組成物。
項8.
項1~7の何れか一項に記載の油脂組成物を含有する成型調味料。
項9.
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質、及び、
成分(B):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)を含む糖質混合物とする工程、
前記糖質混合物と、成分(C):25℃で固体状の油脂類を溶融し、液状にした油脂類とを混合し、混合物を得る工程、及び、
前記混合物を固化させて、油脂組成物を得る工程を備える、
油脂組成物の製造方法。
項10.
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。)を含有する、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の崩壊抑制剤。
項11.
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。)を含有する、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の吸油性能低下抑制剤。
項12.
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質に対して、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。)を添加することを特徴とする、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の崩壊抑制方法。
項13.
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質に対して、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。)を添加することを特徴とする、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の吸油性能低下抑制方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機械で製造することが可能であり、かつ、耐熱保形性に優れた油脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例1~21及び比較例1~5の油脂組成物の耐熱保形率のグラフである。
図2図2は、実施例1~13及び16~21、並びに、比較例1~5の、成分(C)を固化させる前の混合物の粘度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の油脂組成物、及び、その製造方法について詳細に説明する。
油脂組成物
本発明の油脂組成物は、成分(A):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質、成分(B):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)、及び、成分(C):25℃で固体状の油脂類を含む混合物を固化させたものである。
【0012】
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm 未満である糖質
本発明の油脂組成物には、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満の糖質を成分(A)として使用する。
本明細書において、ゆるみ嵩密度とは、容器中に粉粒体を圧密せずにゆるやかに充てんした時におけるみかけの密度であり、タップしない(ゆるみ)状態での粉粒体試料の質量と粒子間空隙容積の因子を含んだ粉粒体の体積との比である。したがって、ゆるみ嵩密度は粉粒体の粒子密度と粉粒体層内での粒子の空間的配列(例えば形状)に依存する。
上記ゆるみ嵩密度は、当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、パウダテスタ(登録商標。以下、省略。)PT-S(ホソカワミクロン株式会社製)を使用してゆるみ嵩密度を測定することができる。パウダテスタPT-Sでは、振動により、容器へ粉粒体を自由落下させることによりゆるみ嵩密度の測定を行う。
【0013】
具体的には、直径7.5cmの目開き1.7mmの円形の篩に粉粒体サンプルを供し、振動させ、篩から落下させる(振動による自由落下)。27cmの高さから自由落下した粉粒体サンプルは、篩の下に設置してあるステンレス製100cmカップ(内径約5cm×高さ約5cm)に注入され、粉粒体サンプルが当該カップから溢れるまで注入された後、篩の振動を止める。その後、長方形のブレードでカップ上の余分な粉粒体サンプルをカップの上面に沿ってすり切り、カップ中の粉粒体サンプルの質量(A(g))を測定することでゆるみ嵩密度を下記式(V)から算出する。
ゆるみ嵩密度(g/cm)=A(g)/100(cm) (V)
ゆるみ嵩密度の単位は、g/cmだけでなく、g/cc、g/mlと言い換えることができる。
【0014】
成分(A)の糖質のゆるみ嵩密度は、通常0.30g/cm未満であり、0.02~0.28g/cmが好ましく、0.04~0.25g/cmがより好ましく、0.05~0.20g/cmがさらに好ましい。
【0015】
糖質は、人体のエネルギー源となる物質であって、炭水化物の一部を形成しているものである。前記炭水化物は、糖質と食物繊維とに分けることができる。
前記糖質は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類、糖アルコール等に分けることができる。
前記単糖類は、例えば、ぶどう糖、果糖等を含む。
前記二糖類は、例えば、ショ糖、麦芽糖、乳糖等を含む。
前記オリゴ糖は、単糖が2~10個程度結合した糖質をいう。
前記多糖類は、例えば、未加工デンプン、加工デンプン、デキストリン等を含む。
前記糖アルコールは、例えば、ソルビトール等を含む。
前記糖質としては、多糖類が好ましく、未加工デンプン、加工デンプン、及びデキストリンがより好ましく、加工デンプン及びデキストリンがさらに好ましい。
【0016】
本明細書において、「未加工デンプン」とは、加工されていない(物理的、酵素的、又は、化学的処理を行っていない)デンプン(生デンプン)をいう。未加工デンプンは、α-D-グルコースを構成単位とする多糖類である。
【0017】
未加工デンプン(生デンプン)の種類としては、特に限定はなく、例えば、タピオカデンプン由来、モチゴメデンプン由来、コメデンプン由来、馬鈴薯デンプン由来、小麦デンプン由来、コーンデンプン由来、ワキシーコーンデンプン由来、サトイモデンプン由来、サゴデンプン由来等のものが挙げられる。中でも、デンプンの種類としてはコーンデンプン由来、馬鈴薯デンプン由来、及びタピオカデンプン由来が好ましい。つまり、デンプン(未加工デンプン)としては、特に限定はなく、例えば、タピオカデンプン、モチゴメデンプン、コメデンプン、馬鈴薯デンプン、小麦デンプン、コーンデンプン、ワキシーコーンデンプン、サトイモデンプン、サゴデンプン等の可食性のデンプンが挙げられ、コーンデンプン、馬鈴薯デンプン、及びタピオカデンプンが好ましい。
【0018】
本明細書において、「加工デンプン」は、生デンプン本来の物理的性状(高粘性、冷却時のゲル化性等)を改良するために、物理的、酵素的、又は、化学的処理を行ったものをいう。なお、「加工デンプン」は、化工デンプン又はデンプン誘導体と言い換えることができる。
【0019】
物理的処理による加工デンプンとしては、例えば、α化デンプン、漂白デンプン等が挙げられる。
前記α化デンプンとは、未加工デンプンを、水の存在下、ドラムドライヤー、エクストルーダー、スプレードライヤー等を用いて加熱し、デンプンをα化し、乾燥した後、必要に応じて粉砕した、粉末状のデンプンのことをいう。
前記漂白デンプンとは、次亜塩素酸塩類を、アルカリ性に調整したデンプン懸濁液に添加して処理したデンプンのことをいう。
【0020】
酵素的処理による加工デンプンとしては、例えば、酵素処理デンプン等が挙げられる。
【0021】
化学的処理による加工デンプンとしては、例えば、食品添加物として指定されている、12種類の化学的処理による加工デンプン、前記化学的処理による加工デンプンをα化したデンプン等が挙げられる。
前記化学的処理による加工デンプンとは、食品安全委員会添加物専門調査会(2007年11月発行)に定義されているとおり、(未加工)デンプンを原料に化学的な加工を施すことで、様々な機能を高めたものである。食品の原材料表示では、これらの化学的処理による加工デンプンは、物質名で表示することが原則であるが、消費者にとって分かりにくい等の理由から、簡略名である加工デンプン(又は加工でん粉、加工澱粉)と表記されることが多い。
【0022】
上記12種類の化学的処理による加工デンプンとしては、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、及びデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。
【0023】
アセチル化アジピン酸架橋デンプンとは、未加工デンプンを無水酢酸と無水アジピン酸でエステル化したものであり、一般式(1):(C10(C(CO)で表される化合物である。
【0024】
アセチル化リン酸架橋デンプンとは、未加工デンプンをオキシ塩化リン又は三メタリン酸及び無水酢酸又は酢酸ビニルでエステル化したものであり、一般式(2):(C10(PHO(CO)で表される化合物である。
【0025】
アセチル化酸化デンプンとは、未加工デンプンを次亜塩素酸ナトリウムで処理(酸化)後、無水酢酸でエステル化したものであり、一般式(3):(C10(CHO(CO)で表される化合物である。
【0026】
オクテニルコハク酸デンプンナトリウムとは、未加工デンプンを無水オクテニルコハク酸でエステル化したものであり、一般式(4):(C10[C(O)CH(CHCOONa)CHCH=CH(CHCHで表される化合物である。
【0027】
酢酸デンプンとは、未加工デンプンを無水酢酸又は酢酸ビニルでエステル化したものであり、一般式(5):(C10(CO)で表される化合物である。酢酸デンプンとは、アセチル化デンプンということもある。
【0028】
酸化デンプンとは、未加工デンプンを次亜塩素酸ナトリウムで処理(酸化)したものであり、一般式(6):(C10(CHO)で表される化合物である。
【0029】
ヒドロキシプロピルデンプンとは、未加工デンプンをプロピレンオキシドでエーテル化したものであり、一般式(7):(C10[CHCH(OH)CHで表される化合物である。
【0030】
ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンとは、未加工デンプンを無水オクテニルコハク酸でエステル化したものであり、一般式(8):(C10(CHO(CO)で表される化合物である。
【0031】
リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプンとは、リン酸化デンプンとリン酸架橋デンプンの製造法を組み合わせて製造したものであり、一般式(9):(C10(PHO(PHで表される化合物である。
【0032】
リン酸化デンプンとは、未加工デンプンをオルトリン酸、又はオルトリン酸カリウム、又はオルトリン酸ナトリウム、又はトリポリリン酸ナトリウムでエステル化したものであり、一般式(10):(C10(PHで表される化合物である。
【0033】
リン酸架橋デンプンとは、未加工デンプンをトリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンでエステル化したものであり、一般式(11):(C10(PHOで表される化合物である。
【0034】
デンプングリコール酸ナトリウムとは、未加工デンプンをアルカリ性に変えて作られたものであり、一般式(12):(CNaで表される化合物である。
【0035】
前記化学的処理による加工デンプンをα化したデンプンとしては、上述した12種類の化学的処理による加工デンプンをα化したもの等が挙げられる。これらの中でも、α化リン酸架橋デンプン、α化ヒドロキシプロピルデンプン、α化ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、及び、α化酢酸デンプンが好ましい。
【0036】
本明細書において、デキストリンとは、デンプン(未加工デンプン)を酵素、酸等で分解して作られる低分子の炭水化物のことをいう。なお、デキストリンは、例えば、シクロデキストリン、高度分岐環状デキストリン等であってもよい。デキストリンは、1種類のものを単独で用いてもよいし、複数種のものを混合して用いてもよい。
【0037】
前記加工デンプン及びデキストリンの原料となる未加工デンプンの種類としては、特に限定はなく、例えば、タピオカデンプン由来、モチゴメデンプン由来、コメデンプン由来、馬鈴薯デンプン由来、小麦デンプン由来、コーンデンプン由来、ワキシーコーンデンプン由来、サトイモデンプン由来、サゴデンプン由来等のものが挙げられる。中でも、未加工デンプンの種類としてはコーンデンプン由来、馬鈴薯デンプン由来、及びタピオカデンプン由来が好ましい。つまり、未加工デンプンとしては、特に限定はなく、例えば、タピオカデンプン、モチゴメデンプン、コメデンプン、馬鈴薯デンプン、小麦デンプン、コーンデンプン、ワキシーコーンデンプン、サトイモデンプン、サゴデンプン等の可食性の未加工デンプンが挙げられ、コーンデンプン、馬鈴薯デンプン、及びタピオカデンプンが好ましい。
【0038】
これらの糖質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0039】
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質としては、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満であるデキストリン、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である加工デンプン、及び、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である未加工デンプンが好ましく、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満であるデキストリン、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である加工デンプンがより好ましい。
ここでいう、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質は、多孔質である。
【0040】
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の平均粒子径は、通常10~500μmであり、好ましくは25~350μmであり、より好ましく50~200μmである。
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の粒度分布D50は、通常、10~500μmであり、好ましくは25~350μmであり、より好ましくは50~200μmである。
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の粒度分布D10は、通常、1~150μmであり、好ましくは10~100μmであり、より好ましくは15~80μmである。
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の粒度分布D90は、通常、100~500μmであり、好ましくは125~450μmであり、より好ましくは150~400μmである。
【0041】
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満であるデキストリンとしては、例えば、オイルQ(登録商標。以下、省略。) No.50(日澱化学株式会社製)、パインフロー(登録商標。以下、省略。)(松谷化学工業株式会社製)等が挙げられる。
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である加工デンプンとしては、例えば、オイルQ-E2(日澱化学株式会社製)等が挙げられる。
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質は、1種単独で、又は、2種以上を混合してもよい。
【0042】
成分(B):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm 以上の糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)
成分(B)は、未加工デンプンを除く糖質の中の、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上のものである。ここで、ただし書で除いた「未加工デンプン」とは、加工されていない(物理的、酵素的、又は、化学的処理を行っていない)デンプン(生デンプン)のことである。
ここで、成分(B)の糖質は、上記未加工デンプンが含まれない以外は、前記成分(A)と同じである。よって、成分(B)の糖質は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、未加工デンプンを除く多糖類、糖アルコール等を含む。
【0043】
前記単糖類は、例えば、ぶどう糖、果糖等を含む。
前記二糖類は、例えば、ショ糖、麦芽糖、乳糖等を含む。
前記オリゴ糖は、単糖が2~10個程度結合した糖質をいう。
前記未加工デンプンを除く多糖類は、例えば、加工デンプン、デキストリン等を含む。前記加工デンプンは、物理的処理による加工デンプン、酵素的処理による加工デンプン、化学的処理による加工デンプン等を含む。
前記物理的処理による加工デンプンとしては、例えば、α化デンプン等が好ましい。
前記化学的処理による加工デンプンとしては、例えば、食品添加物として指定されている、12種類の化学的処理による加工デンプン、前記化学的処理による加工デンプンをα化したデンプン等が好ましい。
前記糖アルコールは、例えば、ソルビトール等を含む。
前記成分(B)の糖質としては、加工デンプン、デキストリン、二糖類、及び、単糖類が好ましく、デキストリンがより好ましい。
【0044】
成分(B)の糖質(未加工デンプンを除く)のゆるみ嵩密度は、通常0.30g/cm以上であり、0.33~1.00g/cmが好ましく、0.34~0.90g/cmがより好ましく、0.35~0.70g/cmがさらに好ましい。
なお、成分(B)の糖質(未加工デンプンを除く)のゆるみ嵩密度は、上記成分(A)の糖質のゆるみ嵩密度と同じ方法により測定することができる。
【0045】
成分(B)である、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)としては、特に限定はなく、例えば、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上であるデキストリン、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である加工デンプン、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である単糖類、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である二糖類等が挙げられる。
【0046】
成分(B)の糖質がデキストリンである場合、デキストリンのDE値は、1~50であることが好ましく、2~40がより好ましく、20~30がさらに好ましい。
ここで、DE(dextrose equivalent:デキストロース当量)値とは、デンプンの加水分解の程度を表す指標である。DEは、グルコースがアルデヒド基を持つ還元糖であることを利用した数値で、固形分に対する還元糖の百分率として示される。DEが100に近いほど単糖のグルコースの状態に近くなるため、グルコース重合度が小さく、デキストリンの平均分子量が小さいことを示す。逆にDEが0に近づくほど加水分解が進んでいないデンプンの状態に近いため、分子量が大きいことを示す。
【0047】
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上であるデキストリンは、例えば、シクロデキストリン、高度分岐環状デキストリン等であってもよい。前記シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン等を含む。
【0048】
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上であるデキストリンの市販品として、例えば、
サンデック(登録商標。以下、省略。)♯30(三和澱粉工業株式会社、DE値2~5)、
サンデック♯70FN(三和澱粉工業株式会社、DE値6~8)、
サンデック♯100(三和澱粉工業株式会社、DE値10~13)、
サンデック♯150(三和澱粉工業株式会社、DE値15~18)、
サンデック♯180(三和澱粉工業株式会社、DE値18~21)、
サンデック♯185N(三和澱粉工業株式会社、DE値16~21)、
サンデック♯250(三和澱粉工業株式会社、DE値22~26)、
サンデック♯300(三和澱粉工業株式会社、DE値26~30)等が挙げられる。
【0049】
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である二糖類としては、例えば、ショ糖(グラニュー糖、粉砕グラニュー糖(粉糖)、上白糖)、乳糖、麦芽糖、ラクツロース、トレハロース、セロビオース等が挙げられる。
【0050】
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である単糖類としては、例えば、無水結晶ぶどう糖、含水結晶ぶどう糖、全糖ぶどう糖、ガラクトース、フルクトース、マンノース、リボース、デオキシリボース等が挙げられる。
【0051】
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である加工デンプンとしては、例えば、化学的処理による加工デンプン(例えば、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム等)、これらの化学的処理による加工デンプンをα化したデンプン、物理的処理による加工デンプン(例えば、α化デンプン)、酵素的処理による加工デンプン等が挙げられる。
【0052】
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である、化学的処理による加工デンプンの市販品としては、例えば、松谷さくら(松谷化学工業株式会社)、松谷ほうせんか(松谷化学工業株式会社)等が挙げられる。
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である、化学的処理による加工デンプンをα化したデンプンの市販品としては、例えば、アミコール(登録商標。以下、省略。)HD(日澱化学株式会社)等が挙げられる。
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である、物理的処理による加工デンプン(α化デンプン)の市販品としては、例えば、アミコールHF(日澱化学株式会社)等が挙げられる。
【0053】
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)は、1種単独で、又は、2種以上を混合してもよい。
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)の含有量としては、特に限定はなく、例えば、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質100質量部に対して、通常5~100質量部、好ましくは10~60質量部、より好ましくは20~55質量部である。
【0054】
成分(C):25℃で固体状の油脂類
25℃で固体状の油脂類としては、特に限定はない。ここで、25℃で固体状の油脂類の「油脂類」とは、本発明の油脂組成物に含まれる油脂すべてを指し、それら油脂の混合物が25℃において固体状であることを意味している。前記油脂は、植物性の油脂、又は、動物性の油脂のいずれでもよい。25℃で固体状の油脂を1種のみで構成されていてもよいし、又は、25℃で固体状の油脂を2種以上混合したものであってもよい。また、25℃で固体状の油脂と25℃で液状の油脂との混合物であっても、前記混合物が25℃で固体状であれば、25℃で固体状の油脂類といえる。
【0055】
前記植物性の油脂には、例えば、天然に存在する25℃で固体状の植物性油脂、25℃で液体の植物性油脂、前記植物性油脂の硬化油等が含まれる。
前記天然に存在する25℃で固体状の植物性油脂としては、例えば、パーム油、ヤシ油、カカオ脂等が挙げられる。
前記25℃で液体の植物性油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、米油、ひまわり油、サフラワー油、綿実油、オリーブ油、ごま油等が挙げられる。
前記植物性油脂の硬化油としては、例えば、常法による極度硬化油(例えば、パーム核極度硬化油、ヤシ油極度硬化油、パーム極度硬化油、菜種極度硬化油、ハイエルシン酸菜種極度硬化油、大豆極度硬化油等)等が挙げられる。
前記動物性の油脂としては、例えば、豚脂(ラード)、牛脂、バター脂(バターオイルともいう)魚油等;これらの動物性の油脂の硬化油(例えば、豚脂極度硬化油等)等が挙げられる。
なお、前記極度硬化油は、前記天然に存在する25℃で固体状の油脂又は前記25℃で液体の油脂から、当業界で通常使用される方法によって製造することができる。
【0056】
成分(C)は、上記のような油脂だけでなく、油脂と油脂以外の成分(例えば、タンパク質、ビタミン、賦形剤等)とを含む製品を含むことができる。このような製品として、例えば、バター、粉末油脂、シーズニングオイル(香味油)、油溶性の香料等が挙げられる。
なお、成分(C)が前記油脂以外の成分を含む製品を含む場合には、前記製品に含まれる油脂だけの量を成分(C)として計算する。
【0057】
25℃で固体状の油脂類としては、2~10種の油脂を混合したものが好ましく、2~6種の油脂を混合したものがより好ましい。
例えば、2種の25℃で固体状の油脂を混合したものとして、例えば、パーム油とパーム極度硬化油とを混合したもの、パーム油と豚脂極度硬化油とを混合したもの等が挙げられる。
3種以上の油脂を混合したものとして、例えば、パーム油、豚脂、及び、豚脂極度硬化油を混合したもの、パーム油、豚脂、豚脂極度硬化油、及び、バターオイルを混合したもの等が挙げられる。
前記25℃で固体状の油脂類のうち、2種以上の油脂を用いる場合は、混合後の油脂混合物(混合油)の融点が30℃~80℃であることが好ましく、40℃~70℃であることがより好ましい。
【0058】
25℃で固体状の油脂類の含有量としては、特に限定はなく、例えば、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質100質量部に対して、通常200~800質量部、好ましくは300~600質量部、好ましくは380~420質量部である。
【0059】
前記油脂組成物中の成分(C)の含有量は、通常50~90%であり、好ましくは55~88%であり、より好ましくは60~85%である。
【0060】
任意成分
本発明の油脂組成物は、上記(A)~(C)成分に加えて、さらに、下記のような添加剤を含むことができる。
前記添加剤として、脱脂粉乳、全粉乳、ホエーパウダー、チーズ等の乳製品;乳等を主要原料とする食品;カレー粉、コショウ、唐辛子等のスパイス類;ハーブ類;グルタミン酸ナトリウム等の化学調味料;精製塩;粉末味噌;粉末醤油;畜肉、野菜、魚介、卵由来の粉末素材;シーズニングパウダー;発酵調味料;粉末酢;タンパク加水分解物;酵母エキス;ごま;小麦粉;粉末豆乳;きなこ;おから;粉末色素;粉末乳化油脂;甘味料;増粘剤;粉末香料;クエン酸等の酸味料;ビタミンC、ビタミンE等の酸化防止剤;乳化剤;β-カロテン等の着色料;炭酸カルシウム等の栄養強化剤;植物性タンパク質;動物性タンパク質等が挙げられる。
任意成分は、1種単独で、又は、2種以上を混合してもよい。
【0061】
なお、上記任意成分の中には油脂を含むものが存在するが、その場合には、任意成分に含まれる油脂量を、前記成分(C):25℃で固体状の油脂類の油脂に含めて計算する。
また、上記任意成分の中には糖質を含むものが存在するが、その場合には、任意成分に含まれる糖質量を、ゆるみ嵩密度に応じて前記成分(A)又は(B)に含めて計算する。
【0062】
任意成分を含有する場合、その任意成分の合計含有量としては、特に限定はなく、例えば、(A)ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質100質量部に対して、通常0.00001~100質量部である。また、任意成分それぞれの含有量は、油脂組成物全体に対して0.00001~5質量%が好ましく、0.0001~3質量%がさらに好ましい。
【0063】
前記任意成分を含む油脂組成物は、成型調味料として使用することができる。
【0064】
油脂組成物の製造方法
本発明の油脂組成物の製造方法は、成分(A)、(B)及び(C)を混合し、固化できれば、特に限定はない。成分(A)、(B)及び(C)を混合する際、各成分はどの順序で混合してもよい。混合方法は、例えば、成分(A)、(B)及び(C)を混合する方法;成分(A)及び成分(B)を混合したものを成分(C)に加えて混合する方法;成分(A)及び(C)を混合したものを成分(B)に加えて混合する方法;成分(B)及び(C)を混合したものを成分(A)に加えて混合する方法等のいずれであってもよい。また、前記方法を適宜組み合わせて行うことも可能である。上記油脂組成物が前記添加剤を含む場合には、前記添加剤は、成分(A)、(B)及び(C)のいずれに添加されてもよい。各成分は、一気に加えてもよく、又は、徐々に加えてもよい。
【0065】
成分(A)、(B)及び(C)を混合して得られた混合物は、溶融状態であることが好ましい。よって、溶融状態の混合物を得るために、例えば、成分(C)を加熱して溶融させ、そこに成分(A)及び(B)を添加して混合し、溶融状態の混合物とすることができる。混合直後の混合物の温度は、通常30~80℃程度であり、好ましくは、35~75℃程度であり、より好ましくは40~70℃程度である。
【0066】
その後、溶融状態の混合物を固化させることにより、油脂組成物を得ることができる。固化させる手段は、特に限定されず、例えば、放冷してもよいし、冷蔵庫に入れて冷却してもよい。その際、溶融状態の混合物を任意の形状の成型器に流し込んで固化させることにより、任意の形状の油脂組成物が得られる。
【0067】
成型調味料
本発明の成型調味料は、前記油脂組成物を含有する。本発明の成型調味料は、前記油脂組成物とともに前記添加剤を含むことが好ましい。
本発明の成型調味料は、その形状は限定されず、直方体状、立方体状、球状、円柱状、又はその他の任意の形状であることができる。これにより、形状を工夫することで商品としての嗜好性を高めることができる。
本発明の成型調味料の体積は、特に限定されないが、例えば、1~50cmであり、好ましくは2~30cmであり、より好ましくは3~15cmである。
【0068】
成型調味料の製造方法
本発明の成型調味料の製造方法としては、特に限定はなく、例えば、溶融状態の油脂類と、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質と、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。)との混合物を、溶融状態で成型器に流し込んで冷却し、固化させ、油脂類の温度変化による体積の収縮を利用して型抜きすることにより、所要形状に簡単に成型することができる。
【0069】
本発明の油脂組成物又は成型調味料は、機械で製造することが可能であり、かつ、耐熱保形性に優れている。
本発明の油脂組成物又は成型調味料の耐熱保形率は、下記に示す方法で測定できる。耐熱保形率の下限としては65%である。好ましい耐熱保形率の範囲としては65~100%であり、より好ましくは70~100%である。
以下の実施例において説明するように、各原料を混合し、固化させる前の原料混合物の粘度は、成分(B)(ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。))を含まない比較例の原料混合物の粘度よりも高かった。この結果から、成分(B)が含まれない原料混合物を、撹拌機を用いて前記試料を攪拌すると、成分(A)の多孔質構造が崩壊して成分(C)(25℃で固体状の油脂類)が染み出し(分離し)、その染み出した油によって粘度測定時における摩擦が小さくなることで粘度が低下したことが推測される。
【0070】
糖質の崩壊抑制剤
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。)は、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の崩壊抑制剤として用いることができる。
よって、本発明は、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。)を含有する、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の崩壊抑制剤を包含する。
また、本発明は、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質に対して、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。)を添加することを特徴とする、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の崩壊抑制方法を包含する。
【0071】
糖質の吸油性能低下抑制剤
ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。)は、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の吸油性能低下抑制剤として用いることができる。
よって、本発明は、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。)を含有する、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の吸油性能低下抑制剤を包含する。
また、本発明は、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質に対して、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、糖質は、未加工デンプンを除く。)を添加することを特徴とする、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質の吸油性能低下抑制方法を包含する。
【0072】
用途
本発明の油脂組成物及び成型調味料は、例えば、即席麺を含む麺類(例えば、ラーメン、ちゃんぽん、パスタ、焼きそば、うどん、そば、そうめん等)のスープ、つゆ、又はソース;麺類以外のスープ類(例えば、カップスープ等)、カレーのルー、シチューのルー等に使用することができる。
【実施例
【0073】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「約」とは、温度の場合には、±3℃を意味している。
【0074】
実施例1
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質として、オイルQ No.50(デキストリン、日澱化学株式会社製)120g、成分(B):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)として、サンデック♯250(デキストリン、三和澱粉工業株式会社製、DE値22~26)36gを予め混合し、糖質混合物を得た。ここで、成分(A)と成分(B)との配合比は、100:30であった。
別途、成分(C):25℃で固体状の油脂類として、パーム油(植田製油株式会社製、融点:約36℃)384gと、パーム極度硬化油(植田製油株式会社製、融点:56~60℃)96gとを1リットルのビーカーに加えて、よく混合し、混合油480gを得た。ここで、パーム油とパーム極度硬化油との配合比は4:1であるため、得られた混合油の融点は、47~51℃程度であると推測される。
前記混合油を、湯浴中にて60℃で溶融させ、得られた溶融油に、上記糖質混合物を加えた。混合物を、60℃の湯浴中で、撹拌機(アズワン株式会社製)に錨形攪拌羽根を装着し、300rpmで1分間攪拌し、成分(C)を固化させる前の混合物(試料1)を得た。この段階で、下記方法により粘度を測定した。
次に、成分(C)を固化させる前の混合物を型(縦45mm×横40mm×高さ20mm)に流し入れ、冷蔵庫(約5℃)にて40分間放置し、成分(C)を固化させることにより、油脂組成物1を得た。
【0075】
実施例2
成分(B)を、サンデック♯250から、サンデック♯30(デキストリン、三和澱粉工業株式会社製、DE値2~5)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料2及び油脂組成物2を製造した。
【0076】
実施例3
成分(B)を、サンデック♯250から、サンデック♯300(デキストリン、三和澱粉工業株式会社製、DE値26~30)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料3及び油脂組成物3を製造した。
【0077】
実施例4
成分(B)を、サンデック♯250(デキストリン)から、松谷さくら(加工デンプン、松谷化学工業株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料4及び油脂組成物4を製造した。
【0078】
実施例5
成分(B)を、サンデック♯250(デキストリン)から、松谷ほうせんか(加工デンプン、松谷化学工業株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料5及び油脂組成物5を製造した。
【0079】
実施例6
成分(B)を、サンデック♯250(デキストリン)から、アミコールHD(加工デンプン、日澱化学株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料6及び油脂組成物6を製造した。
【0080】
実施例7
成分(B)を、サンデック♯250(デキストリン)から、アミコールHF(加工デンプン、日澱化学株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料7及び油脂組成物7を製造した。
【0081】
実施例8
成分(B)を、サンデック♯250から、無水結晶ぶどう糖(単糖類、昭和産業株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料8及び油脂組成物8を製造した。
【0082】
実施例9
成分(B)を、サンデック♯250から、グラニュー糖(二糖類、DM三井製糖株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料9及び油脂組成物9を製造した。
【0083】
実施例10
成分(B)を、サンデック♯250から、粉砕グラニュー糖(粉糖)(二糖類、販売者:株式会社cotta)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料10及び油脂組成物10を製造した。
【0084】
実施例11
各成分の配合量を、成分(A):116.7g、成分(B):35g、成分(C):466.8g(パーム油が373.4g、及び、パーム極度硬化油が93.4g)に変更し、さらに任意成分である特級塩R(日本海水株式会社製)を17.5g添加した以外は、実施例1と同様の方法で、試料11及び油脂組成物11を製造した。
【0085】
実施例12
成分(B)の配合量を24gに代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料12及び油脂組成物12を製造した。成分(A)と成分(B)との配合比は、100:20であった。
【0086】
実施例13
成分(B)の配合量を48gに代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料13及び油脂組成物13を製造した。成分(A)と成分(B)との配合比は、100:40であった。
【0087】
実施例14
成分(A)を、オイルQ No.50から、パインフロー(デキストリン、松谷化学工業株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料14及び油脂組成物14を製造した。
【0088】
実施例15
成分(A)を、オイルQ No.50から、オイルQ-E2(加工デンプン、日澱化学株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料15及び油脂組成物15を製造した。
【0089】
実施例16
成分(A)を、オイルQ No.50から、オイルQ-E2(加工デンプン、日澱化学株式会社製)に代え、さらに成分(C)の配合量を720g(パーム油(植田製油株式会社製)576g及びパーム極度硬化油(植田製油株式会社製)144g)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料16及び油脂組成物16を製造した。
【0090】
実施例17
成分(C)として、パーム極度硬化油(植田製油株式会社製)を豚脂極度硬化油(植田製油株式会社製)に代えて、実施例1と同様に製造した混合油(パーム油と豚脂極度硬化油との配合比が4:1)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、試料17及び油脂組成物17を製造した。
【0091】
実施例18
成分(C)の配合量を456g(パーム油(植田製油株式会社製)364.8g及びパーム極度硬化油(植田製油株式会社製)91.2g)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料18及び油脂組成物18を製造した。成分(A)と成分(C)との配合比は、100:380であった。
【0092】
実施例19
成分(C)の配合量を504g(パーム油(植田製油株式会社製)403.2g及びパーム極度硬化油(植田製油株式会社製)100.8g)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料19及び油脂組成物19を製造した。成分(A)と成分(C)との配合比は、100:420であった。
【0093】
実施例20
成分(C)におけるパーム油(植田製油株式会社製)とパーム極度硬化油(植田製油株式会社製)との配合比を3:1(前記パーム油を360g及び前記パーム極度硬化油120g)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料20及び油脂組成物20を製造した。
【0094】
実施例21
成分(C)におけるパーム油(植田製油株式会社製)とパーム極度硬化油(植田製油株式会社製)との配合比を7:1(前記パーム油を420g及び前記パーム極度硬化油60g)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、試料21及び油脂組成物21を製造した。
【0095】
比較例1
成分(B)を、サンデック♯250から、松谷乾燥ばれいしょでん粉(未加工デンプン、松谷化学工業株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、比較試料1及び比較油脂組成物1を製造した。
【0096】
比較例2
成分(B)を、サンデック♯250から、松谷乾燥コーンスターチ(未加工デンプン、松谷化学工業株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、比較試料2及び比較油脂組成物2を製造した。
【0097】
比較例3
成分(B)を、サンデック♯250から、特級塩R(日本海水株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、比較試料3及び比較油脂組成物3を製造した。
【0098】
比較例4
成分(B)を、サンデック♯250から、フジプロ(登録商標。以下、省略。)E(脱脂大豆、不二製油株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、比較試料4及び比較油脂組成物4を製造した。
【0099】
比較例5
成分(B)を添加せず、成分(A)を127.2g、成分(C)を508.8g(パーム油(植田製油株式会社製)407.04g及びパーム極度硬化油(植田製油株式会社製)101.76g)使用した以外は、実施例1と同様の方法で、比較試料5及び比較油脂組成物5を製造した。
【0100】
<ゆるみ嵩密度>
実施例及び比較例で使用する成分(A)及び成分(B)について、パウダテスタPT-S(ホソカワミクロン株式会社製)を用い、以下の方法にしたがってゆるみ嵩密度を測定した。
直径7.5cmの目開き1.7mmの円形の篩に粉粒体サンプルを供し、振動させ、篩から落下させた(振動による自由落下)。27cmの高さから自由落下した粉粒体サンプルは、篩の下に設置してあるステンレス製100cmカップ(内径約5cm×高さ約5cm)に注入され、粉粒体サンプルが当該カップから溢れるまで注入された後、篩の振動を止めた。その後、長方形のブレードでカップ上の余分な粉粒体サンプルをカップの上面に沿ってすり切り、カップ中の粉粒体サンプルの質量(A(g))を測定することでゆるみ嵩密度を下記式(V)から算出した。
ゆるみ嵩密度(g/cm)=A(g)/100(cm) (V)
結果を下記表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
表1より、成分(A)であるオイルQ No.50、パインフロー、及び、オイルQ-E2は、いずれもゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満であることが確認された。
【0103】
成分(B)について、サンデック♯250、サンデック♯30、及びサンデック♯300は、いずれもデキストリンであり、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上であることが確認された。
松谷さくら、松谷ほうせんか、アミコールHD、及び、アミコールHFは、いずれも加工デンプンであり、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上であることが確認された。ここで、松谷さくら、及び、松谷ほうせんかは、化学的処理による加工デンプンである。アミコールHDは、前記化学的処理による加工デンプンをα化したデンプンである。また、アミコールHFは、物理的処理による加工デンプン(α化デンプン)である。
【0104】
無水結晶ぶどう糖は単糖類であり、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上であることが確認された。グラニュー糖、及び、粉砕グラニュー糖(粉糖)は、いずれも主成分が二糖類であり、ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上であることが確認された。
【0105】
よって、サンデック♯250、サンデック♯30、サンデック♯300、松谷さくら、松谷ほうせんか、アミコールHD、アミコールHF、無水結晶ぶどう糖、グラニュー糖、及び、粉砕グラニュー糖(粉糖)は、いずれも成分(B)に該当する。
【0106】
一方、松谷乾燥ばれいしょでん粉、松谷乾燥コーンスターチ、特級塩R、及び、フジプロEは、いずれもゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上であったが、松谷乾燥ばれいしょでん粉、及び、松谷乾燥コーンスターチは、いずれも未加工デンプンであり、特級塩Rは糖質ではない。よって、これらはいずれも成分(B)に該当しない。また、フジプロEは脱脂大豆であり、タンパク質原料の代表(比較原料)として用いた。
【0107】
実施例1~21で得られた油脂組成物1~21、並びに、比較例1~5で得られた比較油脂組成物1~5について、以下に記載の方法に従って、耐熱保形性を評価した。また、成分(C)を固化させる前の混合物である試料1~21及び比較試料1~5について、以下の方法に従って、粘度を評価した。
【0108】
<耐熱保形性>
得られた各油脂組成物について、一辺1.5cmのダイス(サイコロ)状に切り出した。その後、ダイス状の各試料を、60℃の恒温機(ヤマト科学株式会社製)に入れ、10分後に各試料を取り出して、各試料の高さを測定した。具体的には、各試料の鉛直方向の4辺の長さを測定し、その平均値を求めた。耐熱保形率は、以下の式より算出した。なお、各実施例又は比較例について、3個の試料を用いて測定を行い、小数点以下を四捨五入した。
式:耐熱保形率(%)=高さの平均値(cm)/1.5(cm) ×100
その結果を表2及び図1に示す。
【0109】
<粘度>
成分(C)を固化させる前の混合物である試料1~21及び比較試料1~5を、それぞれ300mLビーカーに移し、単一円筒形回転粘度計(リオン株式会社製、ビスコテスタVT-06)を用い、ロータとして付属の1号ロータを使用し、約54℃にて粘度を測定した(n=2)。その平均値を表2及び図2に示す。
なお、実施例14及び実施例15は、前記粘度計で1号ロータを用いると粘度が高すぎて粘度を測定できなかったので(150dPa・s以上)、図2には実施例14及び実施例15の結果を記載しなかった。
【0110】
【表2】
【0111】
<耐熱保形性の結果>
表2及び図1より、実施例1~21の油脂組成物は、比較例1~5の比較油脂組成物に比べて耐熱保形率が高く、耐熱保形性に優れていることがわかった。
【0112】
<粘度の結果>
表2及び図2より、比較例1~5の試料の粘度は、実施例1~21の試料の粘度よりも低かった。
比較例1~5の試料の粘度が、実施例1~21の試料の粘度よりも低くなったのは、比較例1~5の試料に、成分(B)が含まれないため、撹拌機を用いて前記試料を攪拌すると、成分(A)の多孔質構造が崩壊して成分(C)(25℃で固体状の油脂類)が染み出し(分離し)、その染み出した油によって粘度測定時における摩擦が小さくなることで粘度が低下したと推測される。
【0113】
よって、成分(A)、成分(B)、及び、成分(C)を含む実施例1~21の油脂組成物は、撹拌機等の機械で製造することが可能であり、かつ、耐熱保形性に優れていた。

【要約】
【課題】本発明は、機械で製造することが可能であり、かつ、耐熱保形性に優れた油脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、
成分(A):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm未満である糖質、
成分(B):ゆるみ嵩密度が0.30g/cm以上である糖質(ただし、成分(B)は、未加工デンプンを除く。)、及び、
成分(C):25℃で固体状の油脂類
を含む混合物を固化させた油脂組成物に関する。
【選択図】なし


図1
図2