(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-31
(45)【発行日】2025-02-10
(54)【発明の名称】即席ノンフライ麺及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/113 20160101AFI20250203BHJP
【FI】
A23L7/113
(21)【出願番号】P 2024119224
(22)【出願日】2024-07-25
【審査請求日】2024-08-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593020108
【氏名又は名称】エースコック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183461
【氏名又は名称】福島 芳隆
(74)【代理人】
【識別番号】100121005
【氏名又は名称】幸 芳
(72)【発明者】
【氏名】香山 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】福田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】大谷 直輝
【審査官】伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】特許第4671663(JP,B2)
【文献】特開2004-344081(JP,A)
【文献】特開2016-182059(JP,A)
【文献】特開2016-119864(JP,A)
【文献】特開2008-295427(JP,A)
【文献】特開2006-000065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合工程、製麺工程、α化工程、及び乾燥工程をこの順に行う即席ノンフライ麺の製造方法であって、
前記混合工程は、原料粉を含む原材料を混合する工程であり、
前記原料粉は、小麦粉及びでん粉を含み、かつ、
前記混合工程が、減圧下において行われ、
前記乾燥工程は、
130℃以上
180℃以下の温度で、かつ、風速12m/秒以上
120m/秒以下の熱風を用いて行われ、
前記乾燥工程後に得られたノンフライ麺の水分量が、4~14.5%であり、
前記乾燥工程後に得られたノンフライ麺の復元5分間における麺線の膨潤度は
0.8倍以上1.4倍以下である、即席ノンフライ麺の製造方法。
【請求項2】
前記乾燥工程が、140℃以上180℃以下の温度で行われる、請求項1に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
【請求項3】
前記混合工程において、原料粉に対する加水率が、30~55質量%である、請求項1に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
【請求項4】
前記混合工程において、前記原料粉中のでん粉の配合割合が、0~55質量%である、請求項1に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
【請求項5】
前記混合工程において、原料粉は、小麦粉及びでん粉を含み、かつ、
前記原料粉中の前記でん粉の配合割合が、15~50質量%である、請求項1に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
【請求項6】
前記でん粉は、未加工でん粉及び/又は加工でん粉である、請求項5に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
【請求項7】
混合工程、製麺工程、α化工程、及び乾燥工程をこの順に行う即席ノンフライ麺の製造方法であって、
前記混合工程において、原料粉は、小麦粉及びでん粉を含み、
前記でん粉は、未加工でん粉及び/又は加工でん粉であり、
前記原料粉中の前記でん粉の配合割合が、15~50質量%であり、
原料粉に対する加水率が、40~50質量%であり、かつ、
前記混合工程が、減圧下において行われ、
前記乾燥工程が、
130℃以上
180℃以下の温度で、かつ、風速12m/秒以上
120m/秒以下の熱風を用いて行われ、
前記乾燥工程後に得られたノンフライ麺の水分量が、4~14.5%であり、
前記乾燥工程後に得られたノンフライ麺の復元5分間における麺線の膨潤度は
0.8倍以上1.4倍以下である、請求項1に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の即席ノンフライ麺の製造方法によって得られた即席ノンフライ麺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は即席ノンフライ麺及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
即席ノンフライ麺は、通常、生麺線を蒸煮してα化処理した麺を熱風等により処理して乾燥させた麺である。この即席ノンフライ麺は、これに熱湯を注加して3~5分程度復元させるか、又は、これを煮炊きすることにより喫食することができる。
この即席ノンフライ麺は、製造時に、熱風で乾燥させるため、麺線が緻密な組織となり、生麺に近い食感となる。また、ノンフライ麺には、以下のような光沢に関する先行技術文献が知られている(例えば、特許文献1~3等)。
【0003】
特許文献1には、生麺もしくは乾麺を、α化処理した後、乾燥し、次いで、加湿処理し、再度乾燥することを特徴とするノンオイル乾燥麺類の製造方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法で麺の光沢を得ようとすると、一度乾かした麺に再び水分を与える必要がある。そのため、加湿処理及び再乾燥工程に時間がかかると共に、その作業を行うために広いスペースが必要となるという問題があった。
【0004】
特許文献2には、生麺のラーメンを高温高圧釜であるオートクレーブの内部に入れて、加熱すると同時に圧力をかけた後、オートクレーブの内部圧力を真空状態に減圧する、即席ノンフライラーメンの製造方法が記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載の方法は、麺線をオートクレーブで減圧しながら乾燥するため、即席麺のように大量の麺を連続で生産することは難しいという問題があった。
【0005】
特許文献3には、生麺又は蒸麺に遠赤外線を照射してその表面部を乾燥・硬化させた後、さらに乾燥処理を行うことを特徴とする乾燥麺類の製造法が記載されている。
しかしながら、特許文献3に記載の方法では、乾燥機とは別に、遠赤外線を照射する設備が必要となり、製造工程が煩雑となるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平7-194327号公報
【文献】特開2013-85532号公報
【文献】特開昭61-181349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、大規模装置を用いず、連続生産が可能な方法により、乾燥後の麺の表面に光沢を有する即席ノンフライ麺を製造する方法、及び、その製造方法によって得られた即席ノンフライ麺を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが、大規模装置を用いず、連続生産が可能な方法により、乾燥後の麺の表面に光沢を有する即席ノンフライ麺を製造する方法を誠意検討した結果、混合工程、製麺工程、α化工程、及び乾燥工程をこの順に行う即席ノンフライ麺の製造方法であって、前記乾燥工程が、110℃以上の温度で、かつ、風速12m/秒以上の熱風を用いて行われ、前記乾燥工程後に得られた即席ノンフライ麺の復元5分間における麺線の膨潤度が1.4倍以下であることで、上記目的が達成されることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
項1.
混合工程、製麺工程、α化工程、及び乾燥工程をこの順に行う即席ノンフライ麺の製造方法であって、
前記混合工程は、原料粉を含む原材料を混合する工程であり、
前記乾燥工程は、110℃以上の温度で、かつ、風速12m/秒以上の熱風を用いて行われ、
前記乾燥工程後に得られたノンフライ麺の復元5分間における麺線の膨潤度は1.4倍以下である、即席ノンフライ麺の製造方法。
項2.
前記混合工程が、減圧下において行われる、項1に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
項3.
前記混合工程において、原料粉に対する加水率が、30~55質量%である、項1に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
項4.
前記混合工程において、前記原料粉中のでん粉の配合割合が、0~55質量%である、項1に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
項5.
前記混合工程において、原料粉は、小麦粉及びでん粉を含み、かつ、
前記原料粉中の前記でん粉の配合割合が、15~50質量%である、項1に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
項6.
前記でん粉は、未加工でん粉及び/又は加工でん粉である、項5に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
項7.
混合工程、製麺工程、α化工程、及び乾燥工程をこの順に行う即席ノンフライ麺の製造方法であって、
前記混合工程において、原料粉は、小麦粉及びでん粉を含み、
前記でん粉は、未加工でん粉及び/又は加工でん粉であり、
前記原料粉中の前記でん粉の配合割合が、15~50質量%であり、
原料粉に対する加水率が、40~50質量%であり、かつ、
前記混合工程が、減圧下において行われ、
前記乾燥工程が、110℃以上の温度で、かつ、風速12m/秒以上の熱風を用いて行われ、
前記乾燥工程後に得られたノンフライ麺の復元5分間における麺線の膨潤度は1.4倍以下である、項1に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
項8.
項1~7のいずれか1項に記載の即席ノンフライ麺の製造方法によって得られた即席ノンフライ麺。
項9.
前記乾燥工程後の即席ノンフライ麺の食塩吸着量が、前記即席ノンフライ麺70gに対して、食塩5.0gを含む熱湯450mlで5分間復元させた後、0.85g以上5.0g以下である、項1に記載の即席ノンフライ麺の製造方法。
【0010】
なお、本発明のうち、製造工程で規定された即席ノンフライ麺は、現時点で、どのような成分までが含まれているか、又は、その構造がどのようなものであるか、その全てを特定することが不可能又はおよそ実際的ではない程度に困難であるため、プロダクトバイプロセスクレームによって記載している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、大規模装置を用いず、連続生産が可能な方法により、乾燥後の麺の表面に光沢を有する即席ノンフライ麺を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施例1の光沢のある即席ノンフライ麺(左側)、及び、比較例1の即席ノンフライ麺(右側)を示した写真である。
【
図2】
図2は、
図1で示した実施例1の光沢のある即席ノンフライ麺(右側)の一部分を拡大して示した写真(左側)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の即席ノンフライ麺の製造方法は、混合工程、製麺工程、α化工程、及び乾燥工程を含む。各工程について、以下、詳細に説明する。
【0014】
混合工程
即席麺を製造する常法に従って、前記即席麺の原材料と水とを混合する(混練する)ことによって麺生地を製造する。
【0015】
原材料
即席ノンフライ麺には、従来、即席ノンフライ麺の製造に使用されている原材料を、特に限定なく使用することができる。即席ノンフライ麺の原料粉は、小麦粉を含むことが好ましく、小麦粉及びでん粉を含むことがより好ましい。
【0016】
小麦粉としては、通常、ラーメン、うどん、そば等の各種麺類の原材料として使用される小麦粉を用いることができる。小麦粉の産地、品種等は問わない。小麦を通常の方法により製粉したものを、いずれも好適に使用することができる。例えば、強力粉(タンパク質含量:約11.8~14.5質量%)、準強力粉(タンパク質含量:約11.0~13.5質量%)、中力粉(タンパク質含量:約8.5~11.0質量%)、薄力粉(タンパク質含量:約7.0~10.0質量%)等に分類される小麦粉を、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0017】
前記でん粉は、加工されていない生でん粉(未加工でん粉)と、生でん粉を加工した加工でん粉とを含む。
生でん粉として、小麦でん粉、じゃがいもでん粉、タピオカでん粉、キャッサバでん粉、コーンスターチ等のでん粉等が挙げられる。
【0018】
加工でん粉は、物理的処理による加工でん粉、酵素的処理による加工でん粉、及び、化学的処理による加工でん粉を含む。
前記物理的処理による加工でん粉として、例えば、α化でん粉、漂白でん粉等が挙げられる。
前記酵素的処理による加工でん粉として、例えば、酵素処理でん粉等が挙げられる。
前記化学的処理による加工でん粉として、例えば、食品添加物として認められ、「加工デンプン」と簡略名で表記することができる12種類のでん粉(アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、及び、デンプングリコール酸ナトリウム)が挙げられる。
【0019】
前記でん粉は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
前記でん粉は、未加工でん粉及び/又は加工でん粉であることが好ましい。すなわち、前記でん粉は、未加工でん粉のみ、加工でん粉のみ、又は、未加工でん粉及び加工でん粉の混合物であり得る。前記でん粉としては、加工でん粉が好ましい。
前記混合工程において、前記原料粉中の前記でん粉の配合割合としては、例えば、0~55質量%(例えば、0~55質量%以下、0.1~55質量%、1~55質量%、5~55質量%、10~55質量%、15~55質量%、20~55質量%、25~55質量%、30~55質量%、35~55質量%、40~55質量%、45~55質量%、50~55質量%;0~50質量%以下、0.1~50質量%、1~50質量%、5~50質量%、10~50質量%、15~50質量%、20~50質量%、25~50質量%、30~50質量%、35~50質量%、40~50質量%、45~50質量%;0~45質量%以下、0.1~45質量%、1~45質量%、5~45質量%、10~45質量%、15~45質量%、20~45質量%、25~45質量%、30~45質量%、35~45質量%、40~45質量%;0~40質量%以下、0.1~40質量%、1~40質量%、5~40質量%、10~40質量%、15~40質量%、20~40質量%、25~40質量%、30~40質量%、35~40質量%;0~35質量%以下、0.1~35質量%、1~35質量%、5~35質量%、10~35質量%、15~35質量%、20~35質量%、25~35質量%、30~35質量%;0~30質量%以下、0.1~30質量%、1~30質量%、5~30質量%、10~30質量%、15~30質量%、20~30質量%、25~30質量%;0~25質量%以下、0.1~25質量%、1~25質量%、5~25質量%、10~25質量%、15~25質量%、20~25質量%;0~20質量%以下、0.1~20質量%、1~20質量%、5~20質量%、10~20質量%;0~15質量%以下、0.1~15質量%、1~15質量%、5~15質量%、10~15質量%;又は;0~10質量%以下、0.1~10質量%、1~10質量%、5~10質量%)である。
また、本発明において、でん粉を配合する場合、前記原料粉中の前記でん粉の配合割合は、例えば、0を超えて55質量%以下(例えば、0超かつ55質量%以下、0.1~55質量%、1~55質量%、5~55質量%、10~55質量%、15~55質量%、20~55質量%、25~55質量%、30~55質量%、35~55質量%、40~55質量%、45~55質量%、50~55質量%;0超かつ50質量%以下、0.1~50質量%、1~50質量%、5~50質量%、10~50質量%、15~50質量%、20~50質量%、25~50質量%、30~50質量%、35~50質量%、40~50質量%、45~50質量%;0超かつ45質量%以下、0.1~45質量%、1~45質量%、5~45質量%、10~45質量%、15~45質量%、20~45質量%、25~45質量%、30~45質量%、35~45質量%、40~45質量%;0超かつ40質量%以下、0.1~40質量%、1~40質量%、5~40質量%、10~40質量%、15~40質量%、20~40質量%、25~40質量%、30~40質量%、35~40質量%;0超かつ35質量%以下、0.1~35質量%、1~35質量%、5~35質量%、10~35質量%、15~35質量%、20~35質量%、25~35質量%、30~35質量%;0超かつ30質量%以下、0.1~30質量%、1~30質量%、5~30質量%、10~30質量%、15~30質量%、20~30質量%、25~30質量%;0超かつ25質量%以下、0.1~25質量%、1~25質量%、5~25質量%、10~25質量%、15~25質量%、20~25質量%;0超かつ20質量%以下、0.1~20質量%、1~20質量%、5~20質量%、10~20質量%;0超かつ15質量%以下;0.1~15質量%、1~15質量%、5~15質量%、10~15質量%;又は;0超かつ10質量%以下、0.1~10質量%、1~10質量%、5~10質量%)である。
また、でん粉を配合する場合、でん粉の含有量は、小麦粉100質量部に対して、10~200質量部が好ましく、15~150質量部がより好ましく、18~120質量部(例えば、18~50質量部、18~40質量部、18~30質量部、80~120質量部、80~110質量部、90~120質量部、90~110質量部等)がさらに好ましい。
原料粉がでん粉を前記の配合割合で含む場合には、麺生地の加水量が増え、α化の割合が高まることで生地の伸展性が増し、乾燥後の麺の表面に光沢が出やすくなる。
【0020】
即席ノンフライ麺の原料粉は、さらに植物性タンパクを含んでもよい。植物性タンパクとは、穀物、野菜等から得られるタンパク質である。具体的には、大豆、小麦、とうもろこし、米等を加工した各種植物由来タンパク質を使用することができる。小麦から採れる、グルテン、グリアジン、グルテニン、アルブミン、グロブリン等の小麦タンパク質が好ましく、グルテンがより好ましい。グルテンとしては、市販の粉末グルテン、粉末活性グルテン、又は粉末分解グルテンのいずれも用いることができる。
原料粉が前記植物性タンパクを含む場合、前記植物性タンパクの配合量は、特に限定はないが、小麦粉100質量部に対して1~40質量部の割合で使用することが好ましく、2~30質量部がより好ましい。
【0021】
さらに、前記原材料に、必要に応じて、即席麺の製造において一般に使用されている添加剤、例えば、アルカリ剤(かんすい)、食塩、アミノ酸(例えば、グルタミン酸、イノシン酸等)、醤油(例えば、薄口、濃口等)、チキンエキス、増粘剤、麺質改良剤、液体状の油脂、乳化油脂、カロチノイド色素等の色素、保存料等を添加することができる。
前記添加剤の添加量に関しては、特に制限はないが、例えば、添加剤の添加量は、原料粉100質量部に対して、通常0.01~10質量部の割合である。
また、添加剤が食塩である場合、添加量としては、原料粉100質量部に対して、通常0.5~10質量部の割合であり、0.7~6質量部の割合で使用することが好ましく、1~4質量部がより好ましい。
添加剤がアルカリ剤(かんすい)である場合、添加量としては、原料粉100質量部に対して、通常0.01~1質量部の割合であり、0.05~0.7質量部の割合で使用することが好ましく、0.1~0.4質量部がより好ましい。
【0022】
これらの添加剤は、水と混合して使用するが、添加方法としては、原料粉等と一緒に固体の状態で添加してもよく、練り水に溶解又は懸濁させて水溶液又は懸濁液として添加してもよい。
【0023】
前記混合工程において、前記原材料に水(練り水)を加え、次いで、例えば、製麺ミキサー等の混合装置を用いて、各種原材料が均一に混ざるように混練して麺生地を製造する。
前記混合工程は、常圧下又は減圧下のいずれで行ってもよいが、減圧下において行うことが好ましい。
減圧下の場合、その真空度(ゲージ圧)としては、特に限定なく、例えば、大気圧(0MPa)未満であればよい。中でも、好ましい真空度としては、-0.101MPa~-0.040MPaであり、より好ましくは、-0.098MPa~-0.080MPaである。混合工程の温度は、特に限定はなく、通常15~30℃であり、20~25℃が好ましい。混合工程の時間は、特に限定はなく、通常5~30分間であり、10~15分間が好ましい。
【0024】
ここで、混合工程において使用される水(練り水)の量は、麺生地の形成に必要な水分量であればよい。加水量は、原料粉100質量部に対して、通常30~60質量部であり、35~55質量部が好ましく、38~53質量部がより好ましく、39~51が特に好ましい。これを加水率(原料粉の総質量に対する水の比率)に言い換えると、加水率は、30~60%であり、35~55%が好ましく、38~53%がより好ましく、39~51%が特に好ましい。加水率を前記範囲にすることで、より光沢の優れた即席ノンフライ麺を得ることができる。
【0025】
製麺工程
得られた麺生地を、常法に従って麺線化する。具体的には、麺生地を複合して麺帯を調製し、この麺帯を複数の圧延ロールを用いて圧延し、切刃を用いて切り出すことによって麺線を製造する。
【0026】
α化工程
α化工程において、麺線に含まれるでん粉がα化(糊化)する。麺線をα化させる方法として、蒸気を使った蒸し処理を行う。蒸し処理は、蒸気を使用した蒸機を使用して行うことが好ましい。蒸し処理で使用する蒸気の質として、乾いた蒸気、湿り気のある蒸気等を使用することができ、得られる麺線の食感をよりよくするためには、湿り気のある蒸気を使用することが好ましい。あるいは、ボイラーで発生させた蒸気を減圧して蒸機内に噴射し、その蒸機の中を、麺線を通過させることによってα化させてもよい。
α化工程の蒸気の温度は、特に限定はなく、例えば、通常、96~110℃であり、好ましくは98~108℃であり、より好ましくは100~105℃である。
α化工程の時間は、特に限定はなく、例えば、通常、20秒間~3分間であり、好ましくは30秒間~2分間であり、より好ましくは40秒間~1分間である。
【0027】
α化工程の後に水分を付与する工程を行ってもよい。
水分の付与(補給)方法は、特に限定はなく、例えば、水又は着味液(食塩、調味料等を含む水溶液)を、前記α化工程で得られた麺線に、雨だれ式又はスプレー式に噴霧する方法、前記α化工程で得られた麺線を水又は着味液中に浸漬する方法等が挙げられ、浸漬する方法が好ましい。
なお、着味液を使用する場合には、前記着味液には、一般的な即席ノンフライ麺に用いられる、ほぐし剤となる原材料(具体的には、乳化剤、大豆食物繊維等)が含まれないことが好ましい。これらの原材料を含まない着味液を使用する場合には、光沢を有する即席ノンフライ麺が得られやすくなる。
【0028】
乾燥工程
次に、麺線を一食分ずつの重量になるように切断し、乾燥用型枠に一食分ずつ成形充填され、次の乾燥工程に付される。
乾燥方法は、フライ(油揚げ)乾燥でない乾燥方法であれば特に限定はなく、熱風乾燥が好ましい。
乾燥温度は、通常110℃以上(例えば、110~180℃、110~170℃、110~160℃、110~150℃、110~140℃、110~130℃、110~120℃;120~180℃、120~170℃、120~160℃、120~150℃、120~140℃、120~130℃;130~180℃、130~170℃、130~160℃、130~150℃、130~140℃;140~180℃、140~170℃、140~160℃、140~150℃;150~180℃、150~170℃、150~160℃;160~180℃、160~170℃;170~180℃等)であり、好ましくは120~180℃であり、より好ましくは130~160℃である。
風は、上下、または左右の方向に空気が流動した状態であることが好ましい。風速としては、12m/秒であれば特に限定されない(例えば、12~120m/秒、12~100m/秒、12~80m/秒、12~60m/秒、12~40m/秒、12~30m/秒、12~25m/秒、12~22m/秒等)。中でも、風速は、12~30m/秒が好ましく、15~25m/秒がより好ましく、18~22m/秒がさらに好ましい。
このような温度が110℃以上、風速が12m/秒以上の熱風によって乾燥させる方法を用いることにより、大規模装置を用いず、連続生産が可能な方法により、乾燥後の麺の表面に光沢を有する即席ノンフライ麺を製造することが可能となる。
温度が110℃以上で、かつ、風速が12m/秒以上の熱風を用いて乾燥させることで、麺線を急速に脱水乾燥することができる。これにより、得られた麺線は発泡して膨化することから、麺線を復元した際の膨潤度が1.4倍以下と低くなり、麺線の表面の光沢が向上した即席ノンフライ麺を得ることができる。
膨潤度としては、1.4倍以下(例えば、0.8倍以上1.4倍以下、0.9倍以上1.4倍以下、1.0倍以上1.4倍以下、1.1倍以上1.4倍以下、1.2倍以上1.4倍以下、1.3倍以上1.4倍以下;0.8倍以上1.3倍以下、0.9倍以上1.3倍以下、1.0倍以上1.3倍以下、1.1倍以上1.3倍以下、1.2倍以上1.3倍以下;0.8倍以上1.2倍以下、0.9倍以上1.2倍以下、1.0倍以上1.2倍以下、1.1倍以上1.2倍以下;0.8倍以上1.1倍以下、0.9倍以上1.1倍以下、1.0倍以上1.1倍以下等)である。
乾燥時間は、通常1分間以上であり、好ましくは1分間以上60分間以下であり、より好ましくは1分15秒間以上30分間以下であり、さらに好ましくは1分30秒間以上20分間以下である。
乾燥後の即席ノンフライ麺の水分は、14.5%以下であればよく、中でも、水分として好ましくは4~14%であり、より好ましくは6~13%であり、さらに好ましくは8~12%である。
【0029】
乾燥の後、蓋を外し、容器から麺塊を取り出す。取り出した麺塊は、所定時間冷却することで、即席ノンフライ麺が得られる。
【0030】
即席ノンフライ麺
乾燥後の即席ノンフライ麺の復元5分間における膨潤度は、通常1.4倍以下であり、好ましくは1.3倍以下であり、より好ましくは1.2倍以下である。本発明は、この膨潤度が1倍に近いほうがよい。ここで、上記復元5分間とは、即席ノンフライ麺を専用のカップに入れ、98℃~100℃の熱湯を注入し、素早く蓋をしてからの5分間を意味している。
【0031】
膨潤度
ここで、膨潤度は、乾燥後の麺70gを専用の容器に入れ、熱湯を450ml注いだ後、5分間復元させた際に、麺線において長辺となる軸に対し、それに直交する方向で切断したときの断面積の増減率のことである。膨潤度は、以下の式1により表すことができる。
【0032】
【0033】
以下、膨潤度の測定方法について詳細に説明する。
まず、復元5分後の麺線サンプルを、以下の手順で作製する。
即席ノンフライ麺を専用のカップに入れ、98℃~100℃の熱湯を注入し、素早く蓋をして5分間静置(復元)する。その後、素早く蓋を取り、それと同時に復元後の時間の計測を開始する。復元後0秒から15秒まで箸を用いて麺をほぐし、復元後15秒でザルを用いて麺を素早く湯から取り出し、取り出した麺から長さ5~10mm程度の麺線を1本切り取る。
作製した麺線サンプルについて、デジタルマイクロスコープを用いて観察を行い、断面積の測定を行う。デジタルマイクロスコープは、例えば、株式会社キーエンス製 VHX-7000を使用することができる。
また、「復元前の麺」については、乾燥後の麺から長さ5~10mm程度の麺線を1本切り取り、同様に電子顕微鏡により観察を行い、断面積の測定を行う。
【0034】
光沢
本発明の即席ノンフライ麺は、光沢が優れている。一般的なノンフライ麺の表面には光沢が無いが、本発明の即席ノンフライ麺は、光沢のある麺である。
本発明では、温度が110℃以上で、かつ、風速が12m/秒以上の熱風を用いて麺線を急速に脱水乾燥させることで、麺線の表面が引き延ばされながらα化されるとともに、急激に膨化した結果、光沢のある麺が得られる。
上記のような高温熱風乾燥を行うことで、光沢のある麺が得られるが、高温熱風乾燥に加えて、上述した一連の工程及び実施条件が加わることでより強い光沢が得られると推察される。詳細なメカニズムについては明らかではないが、現時点では以下のように考えている。まず小麦粉を主原料とし、でん粉を含む生地を減圧下において多加水で混合することで、生地が強く結合した状態となる。その後麺線にしたのち、生地内のでん粉をα化することで生地に伸展性が生まれる。そこで高温熱風乾燥により急激に脱水することで、麺線の表面が引き延ばされながらα化されるとともに、急激に膨化する。その結果、光沢のある麺となる。
【0035】
本発明の即席ノンフライ麺は、光沢が優れていることに加え、スープの吸いが良好である。
なお、本発明書において「スープの吸い」とは、熱湯を用いてノンフライ麺を復元する際、又は、復元後の喫食時において、麺が、スープ中に含まれる、塩、アミノ酸、糖等の呈味成分を、湯と同時に、麺線内部へと吸っていくことをいう。
本発明の即席ノンフライ麺は、復元時に、湯だけでなく、塩、糖等の呈味成分も麺内部に入っていきやすくなるため、スープの吸いが良くなる。
スープの吸いは、食塩吸着量によって評価することができる。
【0036】
食塩吸着量
ここで、食塩吸着量とは、乾燥した麺線に熱湯を注いで5分間静置し、麺を復元している間に麺線内部及び麺線表面に吸着した食塩の量をいう。
具体的には、乾燥後の麺70gを専用の容器に入れ、食塩5.0gを溶解させた熱湯を450ml注いで5分間麺を復元させる。その時、麺線内部及び表面に吸着するナトリウム(Na)量を、分析器(株式会社島津製作所製 原子吸光分光光度計AA-7000)を用いて測定し、測定したNa吸着量より食塩に相当する吸着量を算出した値である。ここでいう試験を、以下、食塩吸着試験という。
【0037】
復元5分間における食塩吸着量は、以下の式により表すことができる。
式2:食塩吸着量(g) = X(g)-Y(g)
(式中:
Xは、食塩5gを溶解させた熱湯450mlを用いて、5分間復元させた即席ノンフライ麺に含まれる食塩相当量を示す。
Yは、熱湯450mlを用いて、5分間復元させた即席ノンフライ麺に含まれる食塩相当量を示す。)
ここで、Yは、食塩を含まない熱湯で5分間復元させた即席ノンフライ麺そのものに含まれる食塩量を意味している。
【0038】
食塩吸着量は、食塩5.0gを含む熱湯450mlを用いて5分間復元させた麺に含まれる食塩相当量から、食塩を含まない熱湯450mlを用いて5分間復元させた麺に含まれる食塩相当量(もともと麺に含まれている食塩量)を差し引くことにより求めることができる。これにより、復元時にスープに含まれる食塩量から麺に吸着する量のみを算出することができる。
【0039】
上記食塩吸着試験において、食塩吸着量の下限は、通常0.01g以上であり、0.85g以上が好ましく、2.0g以上がより好ましい。食塩吸着量の上限は、多い方が好ましく、5.0gに近い方が好ましい。このように、本発明の即席ノンフライ麺は、復元時により多くの食塩を吸着させることができることから、塩、アミノ酸、糖等の成分がより麺に吸着されるため、麺へのスープの吸いが良いといえる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【0041】
<原材料>
使用する原材料は、以下のとおりである。
小麦粉
小麦粉A(タンパク質含量:10.9質量%)
でん粉
タピオカ加工でん粉(酢酸デンプン) 松谷化学工業株式会社製、(商品名)「松谷さくら」
馬鈴薯でん粉 斜里町農業協同組合中斜里澱粉工場製、(商品名)「なかしゃり」
植物性タンパク
グルテン グリコ栄養食品株式会社製、(商品名)「A-グル(登録商標)CC」
食塩
ダイヤソルト株式会社製、(商品名)「並塩」
かんすい
オリエンタル酵母工業株式会社製、(商品名)「粉末かんすい 赤」
【0042】
実施例1
小麦粉1000g及びでん粉(タピオカ加工デンプン 松谷化学工業株式会社製、「松谷さくら」(商品名))200gに、食塩24g及びかんすい3.6gを水480gに溶解した練り水を加え、横型のニーダーミキサーで10分間混合又は混練した。このとき、混合(混練)は3分間常圧下にて行った後、減圧下(真空圧(ゲージ圧)-0.084MPa~-0.094MPa)において7分間実施した。ここで、小麦粉100質量部に対するでん粉の添加量は20質量部であり、小麦粉の質量に対するでん粉の添加割合は、20質量%であった。また、原料粉(小麦粉及び加工デンプンの合計量)100質量部に対する水の添加量(加水量)は40質量部であり、原料粉の質量に対する水の添加割合(加水率)は、40質量%であった。
得られた小片の生地を、ロールに通して麺帯にし、それを2枚合わせた状態で再度ロールを通して一体化させ、さらに4対のロールに通して圧延した後、#16番丸の切刃を通して、厚み1.42mmの麺線を得た。
得られた麺線を、ボイラーで発生させた蒸気を減圧させた後に噴射している蒸機の中を40秒間通過させてα化させた。
その後、得られたα化工程後の麺線を、水に40秒間浸漬させた。
その後、麺線を20cm程度の長さにカットし、さらに1食当たり約105gになるように、1食ずつ円錐台形状の乾燥枠(天面内径130mm×底面内径110mm×高さ45mm、底面に直径1.5mmの丸孔を複数形成)に充填した。直径1.5mmの丸孔が複数形成された上蓋で蓋をし、その後庫内温度が160℃、かつ、風速が18~22m/秒に設定された乾燥機にて麺塊を乾燥させた。熱風は、乾燥機内で流動した状態であり、麺塊に対して下から吹上方向と、上からの吹き降ろし方向の交互に風向きを変えて、麺塊に対して上下方向に熱風を通過させて乾燥させた。乾燥の後、上蓋を外し、乾燥枠から麺塊を取り出し、冷却することにより、即席ノンフライ麺(1食分は約70g)が得られた。なお、約70gは、70±4g(66~74g)である(以下、同様)。
【0043】
実施例2
でん粉として、「松谷さくら」の代わりに馬鈴薯でん粉を使用した以外は、実施例1と同じ条件にて実施した。
【0044】
実施例3
乾燥温度を120℃に変更した以外は、実施例1と同じ条件にて実施した。
【0045】
実施例4
混合(混練)工程を10分間常圧下で行った(減圧をしなかった)以外は、実施例1と同じ条件にて実施した。
【0046】
実施例5
混合(混練)工程にて、水の量を396gに変更し(加水率33質量%)、さらに混合工程の減圧を実施しなかった以外は、実施例1と同じ条件にて実施した。
【0047】
実施例6
混合(混練)工程にて、でん粉を添加せず(でん粉の配合割合0%)、加水量を480gから380gに変更した(加水率38質量%)以外は、実施例1と同じ条件にて実施した。
【0048】
実施例7
混合(混練)工程にて、でん粉の添加量を1000gにし(でん粉の配合割合50質量%)、植物性タンパク(小麦タンパク)を80g添加し、さらに水の量を1040gに変更した(加水率50質量%)以外は、実施例1と同じ条件にて実施した。
【0049】
実施例8
混合(混練)工程にて、水の量を396gに変更した(加水率33質量%)以外は、実施例1と同じ条件にて実施した。
【0050】
比較例1
乾燥温度を90℃に変更した以外は実施例1と同じ条件にて実施した。
【0051】
比較例2
風速を10.7~11.2m/秒に変更した以外は実施例1と同じ条件にて実施した。
【0052】
比較例3
風速を9.0~9.6m/秒に変更した以外は実施例1と同じ条件にて実施した。
【0053】
<試験例>
試験例1(膨潤度)
実施例1~8及び比較例1~3で得られた即席ノンフライ麺の膨潤度を、下記の方法に基づいて計算した。
膨潤度は、乾燥後の麺70gを専用の容器に入れ、熱湯を450ml注いで、5分復元させた際に、麺線において長辺となる軸に対し、それに直交する方向で切断したときの断面積の増減率のことである。膨潤度は、以下の式1により表すことができる。
【0054】
【0055】
以下、膨潤度の測定方法について詳細に説明する。
まず、復元5分後の麺線サンプルを、以下の手順で作製する。
即席ノンフライ麺を専用のカップに入れ、98℃~100℃の熱湯を注入し、素早く蓋をして5分間静置(復元)する。その後、素早く蓋を取り、それと同時に復元後の時間の計測を開始する。復元後0秒から15秒まで箸を用いて麺をほぐし、復元後15秒でザルを用いて麺を素早く湯から取り出し、取り出した麺から長さ5~10mm程度の麺線を1本切り取る。
作製した麺線サンプルについて、デジタルマイクロスコープを用いて観察を行い、断面積の測定を行った。使用したデジタルマイクロスコープは(株)キーエンス製 VHX-7000である。
また「復元前の麺」については乾燥後の麺から長さ5~10mm程度の麺線を1本切り取り、同様に電子顕微鏡により観察を行い、断面積の測定を行った。
【0056】
<膨潤度の評価>
得られた「復元前の麺」の断面積の値と、「復元5分後の麺」の断面積の値とから、上記式より膨潤度を求めた。値が1.4以下を「〇」、1.4を超える場合は「×」とした。
【0057】
試験例2(光沢度)
得られた即席ノンフライ麺について、光沢度の評価を行った。ここで、光沢とは、即席ノンフライ麺の麺表面に艶やかな光沢があることを意味する。光沢度は目視による官能評価により行い、評価者5人による点数を平均した値とした。光沢度の評価は以下のように行った。
評価する部屋について、蛍光灯により照度1600から1660ルクスとなるように調節した個室にて評価を行った。照度の測定には株式会社カスタム製 デジタル照度計 LX-105を使用した。
天板の色がホワイトのテーブルを用意し、そこにノンフライ麺サンプルをテーブル上に直接置き、その状態にてサンプルを任意の角度より目視した。そのときの光沢度について評価を行った。評価は、パネリスト5人で行った。光沢の程度を、以下の評価基準にしたがって、各パネリストがそれぞれ、0、1、2、3、4の点数で採点した。
【0058】
<光沢度の評価>
4:全体的に強めの光沢があり、麺表面がなめらかで艶やかである。
3:全体的に光沢があるが、その程度は、上記4に比べると弱い。
2:全体的に弱めの光沢である。
1:弱い光沢はあるが、局所的であり均一ではない。
0:光沢無し。
各パネリストの点数から5人の平均点を算出し、そのサンプルの光沢の評点とした。平均点が3.0以上を「◎」、2を超えて3未満の場合を「〇」、2以下を「×」とした。
さらに、実施例1の即席ノンフライ麺の写真を
図1左側に示し、その拡大写真を
図2に示した。また、比較例1の即席ノンフライ麺の写真を
図1右側に示した。
【0059】
試験例3(食塩吸着量)
得られた即席ノンフライ麺について、復元時における麺線への食塩の吸着量の測定を行った。ここでいう食塩吸着量とは、乾燥後の麺70gを専用の容器に入れ、食塩5.0gを溶解させた熱湯を450ml注いで5分間麺を復元させる。その時、麺線内部及び表面に吸着するナトリウム(Na)量を、分析器を用いて測定し、測定したNa吸着量より食塩に相当する吸着量を算出した値のことである。このときの食塩吸着量により、麺のスープ吸いを評価した。
復元5分間における食塩吸着量は、以下の式2により表すことができる。本発明では食塩5.0gを含む熱湯450mlを用いて5分間復元させた麺に含まれる食塩相当量を算出した後、その値から食塩を含まない熱湯450mlを用いて5分間復元させた麺に含まれる食塩相当量を差し引いた値を、その値とした。これにより、復元時にスープに含まれる分の食塩量からの吸着量のみを算出した。
【0060】
式2:食塩吸着量(g) = X(g)-Y(g)
(式中:
Xは、食塩5.0gを溶解させた熱湯450mlを用いて、5分間復元させたノンフライ麺に含まれる食塩相当量を示す。
Yは、熱湯450mlを用いて、5分間復元させたノンフライ麺に含まれる食塩相当量を示す。)
ここで、Yは、ただのお湯で5分間復元させたノンフライ麺そのものに含まれる食塩量を意味している。
【0061】
(食塩吸着量の測定方法)
食塩吸着量は、Na(ナトリウム)分析機器(SHIMADZU製 原子吸光分光光度計 AA-7000)を用いて測定した。
測定方法は、以下のとおりである。
復元5分後の麺サンプル(試料)を、以下の手順で作製した。
即席ノンフライ麺を専用のカップに入れ、食塩5.0gを含む98℃~100℃の熱湯を450ml注入し、素早く蓋をして5分間静置(復元)した。その後、素早く蓋を取り、ザルを用いて麺を素早く湯から取り出し、取り出した麺の全量についてNa分析機器を用いてNa含有量を測定した。得られたNa値より食塩相当量を算出した。
食塩を含まない熱湯を用いた場合についても同様に行い、得られた麺についてNa含有量を測定し、その値より食塩吸着量を算出した。
<食塩吸着量の評価>
食塩吸着量が2.0g以上を「◎」、0.85g以上2.0未満を「〇」、0.5g以上0.85g未満を「△」とし、0.5g未満を「×」とした。
【0062】
【0063】
<結果>
実施例1~8の即席ノンフライ麺は、全て膨潤度が1.4倍以下となり、得られた麺は、
図1左側及び
図2に示すように強い光沢を有していた。
さらに、実施例1~7の即席ノンフライ麺は、復元時に、より多くの食塩を吸着させることができた。このことから、塩、アミノ酸、糖等の成分がより麺に吸着されるため、麺へのスープの吸いが良いといえる。その結果として、麺とスープの一体感が増すことで、より美味しく食べることができる。
これに対して、比較例1~3の即席ノンフライ麺は、いずれも膨潤度が1.4倍を超えており、得られた麺は、
図1右側に示すように光沢が弱く、食塩吸着量も少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の製造方法によれば、大規模装置を用いず、連続生産が可能な方法により、乾燥後の麺の表面に光沢を有する即席ノンフライ麺を製造することができる。
【要約】
【課題】大規模装置を用いず、連続生産が可能な方法により、乾燥後の麺の表面に光沢を有する即席ノンフライ麺を製造する方法、及び、その製造方法によって得られた即席ノンフライ麺を提供することを目的とする。
【解決手段】混合工程、製麺工程、α化工程、及び乾燥工程をこの順に行う即席ノンフライ麺の製造方法であって、
前記混合工程は、原料粉を含む原材料を混合する工程であり、
前記乾燥工程は、110℃以上の温度で、かつ、風速12m/秒以上の熱風を用いて行われ、
前記乾燥工程後に得られたノンフライ麺の復元5分間における麺線の膨潤度は1.4倍以下である、即席ノンフライ麺の製造方法。
【選択図】なし