(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】高温酸化処理により高濃縮の希土類永久磁石の耐腐食性を増加させる方法
(51)【国際特許分類】
H01F 41/02 20060101AFI20250204BHJP
H01F 1/053 20060101ALI20250204BHJP
H01F 1/057 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
H01F41/02 G
H01F1/053
H01F1/057 150
(21)【出願番号】P 2022062187
(22)【出願日】2022-04-02
【審査請求日】2022-04-02
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】202210199186.2
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】厳 密
(72)【発明者】
【氏名】金 佳瑩
(72)【発明者】
【氏名】陳 望
(72)【発明者】
【氏名】呉 ▲ちん▼
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】須原 宏光
【審判官】山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第99/002337(WO,A1)
【文献】特開昭63-062204(JP,A)
【文献】特開平01-318209(JP,A)
【文献】特開昭61-159708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/02
H01F 1/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度700~1000℃での酸化処理により、酸化時の酸素分圧を10
-2Pa~10Paに設定し、La、Ce、Y元素のうちいずれか一種または多種を含む希土類永久磁石の表面の元の位置に希土類酸化物の薄膜を形成
し、加熱処理炉内において酸化反応をするとき、反応時間を0.2~5hに設定することを特徴とする、酸化処理により希土類永久磁石の耐腐食性を増加させる方法。
【請求項2】
前記希土類酸化物の薄膜の厚さを10nm~100μmの範囲内において自在に変化させることを特徴とする請求項1に記載の酸化処理により希土類永久磁石の耐腐食性を増加させる方法。
【請求項3】
前記希土類永久磁石の成分を原子百分比で計量し、その原子百分比は(REaRE'1-a)x(FebM1-b)100-x-y-zM'yBzであり、その式において、REは、La、Ce、Y元素のうちいずれか一種または多種であり、RE'は、La、Ce、Y以外の他のランタニドのうちいずれか一種または多種であり、Feは鉄元素であり、MはCoとNiのうちいずれか一種または二種であり、M'は、Nb、Zr、Ta、V、Al、Cu、Ga、Ti、Cr、Mo、Mn、Ag、Au、Pb、Si元素のうちいずれか一種または多種であり、Bはボロン元素であり、a、b、x、y、zは下記式、0.25≦a≦1、0.8≦b≦1、12≦x≦18、0≦y≦2、5.5≦z≦6.5を満たすことを特徴とする請求項1に記載の酸化処理により希土類永久磁石の耐腐食性を増加させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腐食防止技術の分野に属し、具体的に、高温酸化処理により高濃縮の希土類永久磁石の耐腐食性を増加させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
20世紀の80年代から今まで、NdFeB永久磁石材料(Neodymium Ferrum Boron permanent magnet material)は総合的磁性性能が良いという利点を有しているので、新エネルギー、情報、交通、医療及び国防等の分野に幅広く用いられ、最も重要な希土類機能材料と国民産業の分野の重要な基礎材料になっている。NdFeB産業は、希土類材料の分野において発展が最も速く、規模が最も大きい産業になっており、希土類材料の総使用量の略半分を使用している。NdFeB材料の需要が迅速に増加することに伴い、物資が欠乏しているNd、Pr、Dy、Tb等の希土類元素の使用量も大幅に増加している。La、Ce、Y等の高濃縮の希土類元素の埋蔵量が豊富であるが、それらを希土類永久磁石の分野に多く使用しない。そのため、高濃縮の希土類永久磁石材料を研究し、La、Ce、Y等の高濃縮の希土類元素を大量に使用することは、近年、希土類永久磁石の分野において注目を集めている。
【0003】
NdFeB永久磁石と比較してみると、高濃縮の希土類永久磁石の主相(Main phase)と粒界相(Grain boundary phase)の成分と構造が異なっている。NdFeB永久磁石と高濃縮の希土類永久磁石の物理化学的特性(Physical and chemical properties)が異なることにより、NdFeB永久磁石と高濃縮の希土類永久磁石は異なる磁性性能と耐腐食性を有している。研究によると、高濃縮の希土類永久磁石は、粒界相の化学成分、構造及び分布がより複雑である局部性特性を有していることにより、新しい腐食特性を有しており、耐腐食性に与える影響が従来のNdFeBより多いことが分かることができる。NdFeB永久磁石の耐腐食性を向上させる常用の方法は下記二種がある。1つ目の方法は、合金化により粒界相の電極の電位を増加させ、粒界相の電極の電位と主相の電極の電位との間の電位差を低減することであるが、その方法による効果が著しくない。2つ目の方法は、磁石の表面に保護層を塗布することにより、磁石を腐食する環境中の水及び他の腐食性の溶液等が磁石の表面に付着することを防止することである。しかしながら、磁石の表面に保護層を塗布するとき使用される液体は汚染問題を招来するおそれがあり、かつ保護層とNdFeB永久磁石との間の接着力がよくないことにより、NdFeB永久磁石を長く保護することができない。高濃縮の希土類永久磁石を研究するとき、研究者たちは、高濃縮の希土類永久磁石の磁性を増加させることに没頭しているが、高濃縮の希土類永久磁石の耐腐食性を増加させることを無視する場合が多い。高濃縮の希土類永久磁石の耐腐食性を増加させると同時に、高濃縮の希土類永久磁石の磁性を増加させることは、解決しにくい新課題になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来の技術の欠点を解決するため、高温酸化処理により高濃縮の希土類永久磁石の耐腐食性を増加させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において、高温酸化処理により高濃縮の希土類永久磁石の表面の元の位置に希土類酸化物の薄膜を形成することにより、高濃縮の希土類永久磁石の耐腐食性を増加させる。加熱処理炉内において高温酸化反応をするとき、温度を700~1000°Cに設定し、反応時間を0.2~5hに設定し、酸化時の酸素分圧を104Pa以下に設定する。
【0006】
前記希土類酸化物の薄膜の厚さを10nm~100μmの範囲内において自在に変化させることができる。
【0007】
前記高濃縮の希土類永久磁石の成分を原子百分比で計量し、その原子百分比は(REaRE’1-a)x(FebM1-b)100-x-y-zM’yBzである。その式において、REは、La、Ce、Y元素のうちいずれか一種または多種であり、RE’は、La、Ce、Y以外の他のランタニド(lanthanide)のうちいずれか一種または多種であり、Feは鉄元素であり、MはCoとNiのうちいずれか一種または二種であり、M’は、Nb、Zr、Ta、V、Al、Cu、Ga、Ti、Cr、Mo、Mn、Ag、Au、Pb、Si元素のうちいずれか一種または多種であり、Bはボロン(boron)元素である。a、b、x、y、zは下記式、0.25≦a≦1、0.8≦b≦1、12≦x≦18、0≦y≦2、5.5≦z≦6.5を満たす。
【発明の効果】
【0008】
従来の技術と比較してみると、本発明の技術的事項により下記発明の効果を獲得することができる。
(1)本発明において、高濃縮の希土類永久磁石の耐腐食性がよくない原因を検出し、高濃縮の希土類元素La/Ce/Yと従来のNd/Pr/Dy/Tb等の他の希土類元素の相形成法則(Law of phase formation)と拡散運動挙動(Diffusion kinetic behavior)が異なる特性を利用し、かつ粒界希土類リッチ相(Grain boundary rare earth rich phase)が容易に酸化する特徴を利用することにより、高温酸化方法で元の位置に化学安定性がよい希土類酸化物薄膜を形成し、耐腐食性がよい高濃縮の希土類永久磁石を製造することができる。また、高温の熱処理により、基体の組織構造を改善し、かつ磁性性能を向上させることができる。酸化物薄膜を元の位置に形成することにより、酸化物薄膜と基体との間の付着力を増加させ、かつ力学性能を向上させることができる。本発明において、高温酸化処理により高濃縮の希土類永久磁石の耐腐食性を増加させる方法を提供することにより、耐腐食性と磁性性能を向上させることができる。本発明の高温酸化処理により高濃縮の希土類永久磁石の耐腐食性を増加させる方法により、従来の技術の欠点(すなわち、従来のNdFeBの耐腐食方法(合金化方法と表面保護方法)を採用することによりNdFeBの耐腐食性を向上させることができるが、NdFeBの耐腐食性と磁性性能が低下するおそれがあるという欠点)を容易に解決することができる。
【0009】
(2)成分が異なっている高濃縮の希土類永久磁石において、合金成分の設計、粒界(Grain boundary)組織構造、分布形態、物理化学的特性、変形挙動(Deformation behavior)及び主相/粒界相のいろいろなインターフェースステーツ(interface states)と、高温酸化を実施するとき組織構造の進化法則(Evolution law)とに基づいて、酸化工程を設計するとともに酸素分圧、酸化温度及び反応時間を調節することにより、希土類酸化物の薄膜の厚さを数十nm~数十μmの範囲内において自在に変化させることができる。それにより、高濃縮の希土類永久磁石の高温酸化技術を獲得し、耐腐食性、磁性性能及び力学性能がよい高濃縮の希土類永久磁石材料を製造することができる。
【0010】
(3)本発明に係る技術は、国内と国外においてまだ公開されていない技術であるため創造性を有しており、耐腐食性がよくないことにより高濃縮の希土類永久磁石の発展と応用に影響を与える問題を解決することができる。また、高温酸化処理(700~1000°C)のみにより耐腐食性がよくない問題を解決することができるので、工程が簡単であり、コストが多くかからず、量産に適用するという利点を有している。
【0011】
(4)高濃縮の希土類永久磁石に対して高温酸化を実施した後、磁石の元の位置に希土類酸化物の薄膜を形成することにより、緊密であり、連続であり、疎水性がよいという磁石を獲得し、かつ酸素分圧、酸化温度及び反応時間を精密に調節することができる。また、本発明の磁石は低温酸化後のNdFeB磁石(Neodymium Ferrum Boron Magnets)のようにFe酸化物等を含まない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例にのみ限定されるものでない。
【0013】
実施例1
高濃縮(highly enriched)の希土類永久磁石(Rare Earth Permanent Magnet)の成分を原子百分比(atomic percentage)で計量し、その原子百分比は[(Pr0.2Nd0.8)0.5Ce0.5]13.9(Fe0.98Co0.02)78.6(Cu0.2Co0.2Al0.3Ga0.1Zr0.2)1.5B6である。加熱処理炉内において高温酸化反応をするとき、温度を900℃に設定し、反応時間を4hに設定し、酸素分圧(Partial Pressure of Oxygen)を10Paに設定する。磁石表面の元の位置に形成されている希土類酸化物(rare earth oxides)の薄膜の厚さは~7μmである。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、表面酸化処理が実施される磁石の残留磁気(residual magnetism)は12.4kGであり、抗磁力(coercive force)は9.0kOeであることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーション(Electrochemical workstation)の測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において表面酸化処理が実施される磁石の腐食電流(corrosion current)は7μA/cm2であることが分かることができる。
【0014】
対比例1
対比例1と実施例1の相違点は、対比例1の高濃縮の希土類永久磁石に対して高温酸化を実施するときの酸素分圧が105Paであることにある。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、対比例1の磁石の残留磁気は12.3kGであり、抗磁力は8.5kOeであり、その数値は実施例1の数値より低下していることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーションの測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において対比例1の磁石の腐食電流は50μA/cm2であり、その数値は実施例1の数値より大きいことが分かることができる。
【0015】
対比例2
対比例2と実施例1の相違点は、対比例2の高濃縮の希土類永久磁石に対して高温酸化を実施する時間が10hであることにある。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、対比例2の磁石の残留磁気は12.2kGであり、抗磁力は7.9kOeであり、その数値は実施例1の数値より低下していることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーションの測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において対比例2の磁石の腐食電流は41μA/cm2であり、その数値は実施例1の数値より大きいことが分かることができる。
【0016】
対比例3
対比例3と実施例1の相違点は、対比例3の高濃縮の希土類永久磁石に対して高温酸化を実施しないことにある。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、対比例3の磁石の残留磁気は12.3kGであり、抗磁力は8.6kOeであり、その数値は実施例1の数値より低下していることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーションの測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において対比例3の磁石の腐食電流は82μA/cm2であり、その数値は実施例1の数値より十倍以上増加することが分かることができる。
【0017】
対比例4
対比例4と実施例1の相違点は、対比例4において、CuとCo元素の含量及び高濃縮の希土類永久磁石の成分が増加し、希土類永久磁石の原子百分比が[(Pr0.2Nd0.8)0.5Ce0.5]13.9 (Fe0.98Co0.02)77.1(Cu0.4Co0.3Al0.15Ga0.05Zr0.1)3B6であり、かつ対比例4の高濃縮の希土類永久磁石に対して高温酸化を実施しないことにある。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、対比例4の磁石の残留磁気は11.8kGであり、抗磁力は5.7kOeであり、その数値は実施例1の数値より大幅に低下していることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーションの測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において対比例4の磁石の腐食電流は73μA/cm2であり、その数値は実施例1の数値より十倍以上増加することが分かることができる。
【0018】
対比例5
対比例5と実施例1の相違点は、対比例5の高濃縮の希土類永久磁石に対して高温酸化を実施しないが、メッキ工程により希土類永久磁石の表面に銀色のニッケルメッキ層を形成し、そのニッケルメッキ層の厚さが~7μmであることにある。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、対比例5の磁石の残留磁気は12.1kGであり、抗磁力は8.1kOeであり、その数値は実施例1の数値より低下していることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーションの測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において対比例5の磁石の腐食電流は18μA/cm2であり、その数値は実施例1の数値より大きいことが分かることができる。
【0019】
実施例2
高濃縮の希土類永久磁石の成分を原子百分比で計量し、その原子百分比は[(Pr0.2Nd0.8)0.55 (La0.15Ce0.85)0.45]15Fe77.8(Ga0.6Cu0.2Al0.25Nb0.32)1B5.83である。加熱処理炉内において高温酸化反応をするとき、温度を850℃に設定し、反応時間を5hに設定し、酸素分圧を0.5Paに設定する。磁石表面の元の位置に形成されている希土類酸化物の薄膜の厚さは~3μmである。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、表面酸化処理が実施される磁石の残留磁気は12.4kGであり、抗磁力は7.2kOeであることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーションの測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において表面酸化処理が実施される磁石の腐食電流は12μA/cm2であることが分かることができる。
【0020】
対比例6
対比例6と実施例2の相違点は、対比例6の高濃縮の希土類永久磁石に対して高温酸化を実施しないことにある。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、対比例6の磁石の残留磁気は12.4kGであり、抗磁力は5.6kOeであり、その数値は実施例2の数値より低下していることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーションの測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において対比例6の磁石の腐食電流は135μA/cm2であり、その数値は実施例2の数値より十倍以上増加することが分かることができる。
【0021】
実施例3
高濃縮の希土類永久磁石の成分を原子百分比で計量し、その原子百分比は[Nd0.75(Y0.1Ce0.9)0.25]15.5(Fe0.92Co0.08)76.9(Cu0.2Ga0.1Al0.35Si0.2Nb0.15)1.5B6.1である。加熱処理炉内において高温酸化反応をするとき、温度を700℃に設定し、反応時間を5hに設定し、酸素分圧を0.5Paに設定する。磁石表面の元の位置に形成されている希土類酸化物の薄膜の厚さは~800nmである。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、表面酸化処理が実施される磁石の残留磁気は12.6kGであり、抗磁力は12.2kOeであることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーションの測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において表面酸化処理が実施される磁石の腐食電流は20μA/cm2であることが分かることができる。
【0022】
対比例7
対比例7と実施例3の相違点は、対比例7の高濃縮の希土類永久磁石に対して高温酸化を実施しないことにある。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、対比例7の磁石の残留磁気は12.3kGであり、抗磁力は10.1kOeであり、その数値は実施例3の数値より低下していることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーションの測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において対比例7の磁石の腐食電流は250μA/cm2であり、その数値は実施例3の数値より十倍以上増加することが分かることができる。
【0023】
実施例4
高濃縮の希土類永久磁石の成分を原子百分比で計量し、その原子百分比は[Nd0.35(Y0.3Ce0.7)0.65]16.0(Fe0.87Co0.13)75.9(Cu0.3Ga0.1Al0.35Si0.35Zr0.05Nb0.15)1.5B6.15である。加熱処理炉内において高温酸化反応をするとき、温度を900℃に設定し、反応時間を3hに設定し、酸素分圧を0.01Paに設定する。磁石表面の元の位置に形成されている希土類酸化物の薄膜の厚さは~1μmである。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、表面酸化処理が実施される磁石の残留磁気は11.5kGであり、抗磁力は7.1kOeであることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーションの測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において表面酸化処理が実施される磁石の腐食電流は35μA/cm2であることが分かることができる。
【0024】
対比例8
対比例8と実施例4の相違点は、対比例8の高濃縮の希土類永久磁石に対して高温酸化を実施しないことにある。AMT-4永久磁石特性測定装置の測定結果によると、対比例8の磁石の残留磁気は11.2kGであり、抗磁力は6.1kOeであり、その数値は実施例4の数値より低下していることが分かることができる。AMETEK電気化学ワークステーションの測定結果によると、3.5%のNaCl溶液において対比例8の磁石の腐食電流は580μA/cm2であり、その数値は実施例4の数値より十倍以上増加することが分かることができる。