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特許7628683活性高純度酸化マグネシウム及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】活性高純度酸化マグネシウム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 5/08 20060101AFI20250204BHJP
【FI】
C01F5/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021530773
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 RU2019000558
(87)【国際公開番号】W WO2020032829
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-06-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】2018129348
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】521060903
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー コースティック
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,エレナ ペトロヴナ
(72)【発明者】
【氏名】カラチェンコ,アラ ヴィタリエヴナ
(72)【発明者】
【氏名】レフチェンコ,ナデジダ イラリオノヴナ
(72)【発明者】
【氏名】シジック,イゴール ニコラエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ウグノヴェノク,タチアナ セルギーヴナ
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】佐藤 陽一
【審判官】相澤 啓祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-73951号公報
【文献】特開2016-3174号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
比表面積BET70~200m/g、レーザー回折法によって決定された平均粒子径(d50)10μm以下を有する活性高純度酸化マグネシウムであって、ヨウ素活性70~200mg I/g MgOの範囲、クエン酸活性0秒以内、細孔容積3.2×10-cm/g~10.2×10-2cm/gの範囲;粒子の10%の直径が2μm以下、粒子の90%の直径が30μm以下、150μmふるい上の残留物の質量分率が1%以下、45μmふるい上の残留物の質量分率が2%以下、塩化物の質量分率0.1%以下、カルシウムの質量分率0.1%以下、塩酸に不溶性の物質の質量分率が0.05%以下、鉄の質量分率が0.005%以下、Ti、Co、Mo、V、Sb、Baカチオンのそれぞれの不純物の質量分率が1ppm以下、Pb、Cd、As、Hgは0.1ppm以下を有し、
30cP以下の水懸濁液の動粘度を有することを特徴とする、活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項2】
130~180m/gの範囲内の比表面積BETを有することを特徴とする、請求項1に記載の活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項3】
2ミクロン以下である、レーザー回折法によって決定される平均粒子径(d50)を有することを特徴とする、請求項1に記載の活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項4】
0.02重量%以下である塩化物の質量分率を有することを特徴とする、請求項1に記載の活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項5】
0.05重量%以下であるカルシウムの質量分率を有することを特徴とする、請求項1に記載の活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項6】
1重量%以下である炭酸塩の質量分率を有することを特徴とする、請求項1に記載の活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項7】
0.01重量%以下である硫酸塩の質量分率を有することを特徴とする、請求項1に記載の活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項8】
0.003重量%以下である鉄Feの質量分率を有することを特徴とする、請求項1に記載の活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項9】
2ppm以下であるマンガンMnの質量分率を有することを特徴とする、請求項1に記載の活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項10】
150ミクロンのふるい上に0.05%以下の残留物の質量分率を有することを特徴とする、請求項1に記載の活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項11】
45ミクロンのふるい上に0.1%以下の残留物の質量分率を有することを特徴とする、請求項1に記載の活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項12】
1つまたは複数のシランカップリング剤または1つまたは複数の表面処理剤による表面処理を特徴とする、請求項1に記載の活性高純度酸化マグネシウムであって、前記1つまたは複数のシランカップリング剤は、有機官能性トリアルコキシシラン基から選択され、前記有機官能性トリアルコキシシラン基としては、アルキルトリエトキシシラン、アルキルトリメトキシシラン、アルケニルトリエトキシシラン、アルケニルトリメトキシシランなど有機官能性トリアルコキシシラン基が挙げられ、前記1つまたは複数の表面処理剤は、飽和及び不飽和脂肪酸基から選択され、8~20個炭素原子を含み、酸化マグネシウムの塊の0.1~5.0%の量でステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸、トール油の脂肪酸、及び/またはそれらのアルカリ金属の塩及び/またはアルカリ土類金属の塩、及び/またはそれらの混合物を含む、活性高純度酸化マグネシウム。
【請求項13】
マグネシウム塩水溶液とアルカリ剤との相互作用によって生成された水酸化マグネシウムをか焼することにより、活性高純度酸化マグネシウムを生成するための方法であって、水酸化マグネシウムの結晶が、互いのゾーン:シード結晶処理ゾーン、水酸化マグネシウム結晶の形成及び成長ゾーン、ならびに結晶の蓄積及び凝集ゾーンから分離され単離された連続法によって生成され、さらに、事前に精製される塩化マグネシウム水溶液及び供給された初期試薬の総質量の1~80%の量の水酸化マグネシウムシード結晶懸濁液が、初期沸点が150℃以上、最終沸点が400℃以下、塩化マグネシウム溶液の00001~001重量%の量で、750~880kg/mの範囲の密度を有する、直接及び/または真空石油精製の生成物である液体石油製品の存在下で前記シード結晶処理ゾーンに供給され、前のゾーンからの前記処理された水酸化マグネシウム結晶懸濁液及び水酸化ナトリウムと塩化マグネシウムのイオンのモル比OH-:Mg++が(1.9~2.1):1の範囲にある水酸化ナトリウム水溶液が、前記結晶形成及び成長ゾーンに供給され、前のゾーンの前記懸濁液が、前記結晶の蓄積及び凝集ゾーンに供給され、すべてのゾーンで温度が40℃以上で維持され、各単離ゾーンでの水酸化マグネシウム結晶懸濁液の滞在期間が20分以上であり、前記結晶の蓄積及び凝集ゾーンの後、水酸化マグネシウム懸濁液を、温度範囲120~220℃、圧力範囲0.1~2.3MPa、及び1~24時間の持続時間範囲内で水酸化マグネシウム粒子の水熱反復結晶化に向け、得られた水酸化マグネシウム懸濁液をろ過し、水酸化マグネシウム結晶を洗浄し、湿式洗浄された水酸化マグネシウム結晶をか焼炉内で300~700℃の温度範囲でか焼する、方法。
【請求項14】
重金属及び/または鉄、及び/または硫酸塩、及び/またはホウ素、及び/または臭素、及び/または塩化マグネシウム水溶液としての他の意図しない不純物から事前に洗浄された、合成または天然由来の塩化マグネシウム水溶液を使用することを特徴とする、請求項13に記載の活性高純度酸化マグネシウムの製造方法。
【請求項15】
水酸化マグネシウム結晶の洗浄のために、脱塩水及び/または質量分率が0.01~0.50%の範囲内の水酸化ナトリウム水溶液であるアルカリ水を使用することを特徴とする、請求項13に記載の活性高純度酸化マグネシウムの製造方法。
【請求項16】
1つまたは2つの段階において水酸化マグネシウム結晶の洗浄を実施することを特徴とする、請求項13に記載の活性高純度酸化マグネシウムの製造方法であって、第1の段階では、水酸化マグネシウム結晶を、フィルターを使用して、脱塩水及び/または質量分率0.01~0.50%の範囲の水酸化ナトリウム水溶液であるアルカリ水で洗浄し、第2段階では、水酸化マグネシウム結晶を、脱塩水及び/または質量分率0.01~0.50%の範囲の水酸化ナトリウム水溶液であるアルカリ水を含む水性媒体に、水媒体水酸化マグネシウムの質量比が、(530):1の範囲で分散させ、これにより水酸化マグネシウムの懸濁液を形成し、次にろ過する、方法。
【請求項17】
1つまたは複数のシランカップリング剤または1つまたは複数の表面処理剤による酸化マグネシウム表面処理を特徴とする、請求項13に記載の活性高純度酸化マグネシウムを製造するための方法であって、前記1つまたは複数のシランカップリング剤は、有機官能性トリアルコキシシラン基から選択され、前記有機官能性トリアルコキシシラン基としては、アルキルトリエトキシシラン、アルキルトリメトキシシラン、アルケニルトリエトキシシラン、アルケニルトリメトキシシランなど有機官能性トリアルコキシシラン基が挙げられ、前記1つまたは複数の表面処理剤は、飽和及び不飽和脂肪酸基から選択され、8~20個の炭素原子を含み、前記酸化マグネシウムの塊の0.1~5.0%の量でステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸、トール油の脂肪酸、及び/またはそれらのアルカリ金属の塩及び/またはアルカリ土類金属の塩、及び/またはそれらの混合物を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学技術、すなわち、活性高純度酸化マグネシウム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化マグネシウムは、耐火材料の製造、電気工学、紙パルプ産業、建設、ゴム、ペリクレースなどの製造に使用される。
【0003】
活性酸化マグネシウムの製造は、天然及び合成由来のマグネシウム化合物:炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウムの熱分解に基づく[M.E.Pozin Technology of mineral salts(fertilizers,pesticides,industrial salts,oxides and acids),p.I,L.:Khimiya,1974,792p.;Mark A.Shand.The Chemistry and technology of magnesia.Wiley-Interscience,2006]。
【0004】
天然原料の熱破壊によって生成される酸化マグネシウムには、天然原料内に存在するかなりの量の不純物が含まれている。精製された試薬から生成される合成酸化マグネシウムは、化学的純度が高いことを特徴とする。
【0005】
酸化マグネシウムは、原料のか焼温度によっては、わずかにか焼、固焼、死焼、及び溶融することが公知である。したがって、活性に関して、酸化マグネシウムは、活性(軽い)及び不活性(重い)であり得る[M.E.Pozin Technology of mineral salts(fertilizers,pesticides,industrial salts,oxides and acids),p.I,L.:Khimiya,1974,792 p.;Mark A.Shand.The Chemistry and technology of magnesia.Wiley-Interscience,2006]。
【0006】
活性酸化マグネシウムは、ゴム、接着剤、プラスチック材料、ポリマーの充填剤として、クロロプレンゴムの製造における安定剤として、触媒、高度なセラミック、特殊ガラス(写真用、映画、天文学的目的のレンズ)の製造において、製薬、薬物類、食品業界において、マグネシアセメント及び他のマグネシウム含有材料の製造において、有機溶媒の硬化剤として使用される。
【0007】
活性酸化マグネシウムの最も重要な指標のうちの1つは、その高い反応性である。酸化マグネシウムの活性は、比表面積、ヨウ素吸収値、クエン酸反応性、酢酸反応性、典型的な反応性などの特性を使用して記載され得る。
【0008】
薬剤学、薬局方、食品産業、高度なセラミック、特殊ガラス、触媒などの製造など、いくつかの活性酸化マグネシウム用途では、化学的純度が非常に重要であることに留意すべきである。
【0009】
鉛の質量分率最大10ppm、最大直径8μmを超える粒子の含有量(レーザー回折法)5体積%、BET法により測定された比表面積1~50m/gの範囲、クエン酸反応性80~450秒を有する食品添加物用の酸化マグネシウム[特開2003-33159号公報、2003年公開]であるとの記載がある。例では、誘導結合プラズマ分光法(ICP)によって決定された生成酸化マグネシウムの化学的純度が示されている。不純物の質量分率は、鉛Pb0.3~1.4ppm、クロムCr2ppm最大、カドミウムCd0.2~2.4ppm、銅Сu0.1~0.2ppmであった。しかし、比表面積及びクエン酸反応性の値は、酸化マグネシウムが活性ではないことを示している。
【0010】
比表面積が10~200m/g、二次粒子の直径d50が0.1~1.5μmの範囲及びd90が最大3.0μmを有する活性酸化マグネシウムの方法が公知であり[欧州特許第0370728号明細書、1989年に公開]、ここでは、塩化マグネシウムまたは硝酸マグネシウムを使用して、式Mg(OH)2-xmHOのオキシ塩化マグネシウムを生成する。式中、Аは、ClまたはNOを表し、хは0~0.2の数値、mは0~6の整数であり、得られた生成物を含む得られた生成物の母液を正圧または大気圧、温度50~200℃でさらに加熱する。この方法の欠点は、第1の段階で酸化マグネシウムの疑似アモルファス堆積物を生成することであり、その懸濁液は粘稠なゼリー状の撹拌が困難な物質である。このような反応質量の均一性を達成するには、特別な撹拌装置及び高い撹拌速度が必要であり、この方法を工業規模で使用する場合には、技術の複雑さ及びコストが増大する。
【0011】
また、熱分割によって生成された酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムのいずれかを水で洗浄し、さらに乾燥及びか焼温度を300~500℃にすることによる活性酸化マグネシウム生成の方法[米国特許第3800032号明細書、1974年に公開]も公知である。洗浄は以下の段階で構成されている:水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムを80~100℃の温度で水に分散させ、濁度密度5~20%の濁った液体を形成する;b)濁った液体に蒸気を導入することにより、温度80~110℃で5~60分間、濁った液体を激しく撹拌する、及びc)濁った液体から水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムを分離させる。実施例で言及されている酸化マグネシウムは、高い活性を有し-ヨウ素吸収数は、136~192mgI当量/100gMgOである。しかし、発明者らは、生成された酸化マグネシウムの化学的純度、その粒子径分布、及び他のパラメーターは示していない。
【0012】
発明者ら[特許第5037066号公報、2012年公開]は、比表面積BETが10~200m/gの範囲である水酸化マグネシウム粉末を加熱及びか焼し、最大圧力300Pa下、温度250~550℃で、1~10時間0.25mmのふるいを80重量%以上通過させることにより、比表面積BETが230~500m/gの範囲であり、80%以上が0.25mmのふるいを通過する活性酸化マグネシウムを生成する。この方法の欠点は、真空下で水酸化マグネシウムをか焼するために使用される複雑な機器である。生成された酸化マグネシウムは、かなり大きい粒子径を有し、生成物の化学的純度は示されていない。
【0013】
この発明では[2004年公開、特許第3563269号公報;2007年公開、特許第3980569号公報;2007年公開、特許第3939102号公報]、酸化マグネシウムをか焼することによる低鉛含有量の酸化マグネシウムの生成物は、700~1300℃の温度で、ハロゲン化物またはハロゲンガスであるハロゲン源の存在下で、海水及び水酸化カルシウム含有鉛または鉛化合物との相互作用によって生成される。酸化マグネシウムの鉛含有量が2×10-7mol/lである生成された酸化マグネシウムは、肥料、食品、医薬品の原材料、化粧品などの添加剤として使用することを目的としている。残念なことに、この発明者らは、比表面積またはヨウ素吸収数などの生成された酸化マグネシウムの活性特性またはその粒子径分布をいずれも示していない。
【0014】
最も近いものは、プロトタイプとして採用された発明[国際公開第2014/155764号、2014年に公開]であり、この発明では、酸化マグネシウム粒子は、比表面積BET143~200m/gの範囲、レーザー回折法による平均粒子径最大5μm、45μmのふるいでふるい後の5μmのふるい残留物最大0.1重量%である。酸化マグネシウム粒子を製造する方法は、以下の段階:アルカリ金属水酸化物の水溶液、アルカリ土類金属水酸化物の水溶液またはアンモニアの水溶液を含む水溶性マグネシウム塩、海水または塩水を液体中の分散液の生成物と相互作用させること;分散液を含む液体をシード結晶の反応物を1~100℃の範囲の温度で1回または複数回導入するか、または温度100~200℃で水熱処理し、か焼用の初期材料を生成して、350~900℃の範囲の温度で初期材料をか焼することを含む。示された実施例では、水酸化マグネシウムの合成時に、非常に過剰である塩化マグネシウム(モル比Mg+2/OH、1/1.8)が示され、その結果、MgClが高含有量であるケーキが生成され、このため、塩化物を含まない水酸化マグネシウムを洗浄するための水量が増加し、かつ塩化物の含有量が増加した酸化マグネシウムが生成される。発明者らは、得られた生成物の化学的純度を示していないため、主な活性酸化マグネシウム用途での有用性を評価することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2003-33159号公報
【文献】欧州特許第0370728号明細書
【文献】米国特許第3800032号明細書
【文献】特許第5037066号公報
【文献】特許第3563269号公報
【文献】特許第3980569号公報
【文献】特許第3939102号公報
【文献】国際公開第2014/155764号
【非特許文献】
【0016】
【文献】M.E.Pozin Technology of mineral salts(fertilizers,pesticides,industrial salts,oxides and acids),p.I,L.:Khimiya,1974,792p.;Mark A.Shand.The Chemistry and technology of magnesia.Wiley-Interscience,2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
いくつかの用途、例えば製薬業界で活性酸化マグネシウムを使用するために、マグネシウム含有化合物を生成するための前駆体として活性酸化マグネシウムを使用する場合、活性酸化マグネシウム水懸濁液の調製が必要である。しかし、活性酸化マグネシウム水懸濁液は、多くの場合、ゲルまたはクリーム状の粘稠度を有し、これにより、撹拌、揚水及び投入が複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目標は、以下を有する高純度活性酸化マグネシウムを製造することである:比表面積(BET)70~200m/g、好ましくは130~180m/g、レーザー回折法による平均粒子径(d50)が、最大10μm、好ましくは、最大8μm、ヨウ素吸収値70~200mgI/g MgOの範囲、多孔度3.2×10-2cm/g~10.2×10-2cm/g、クエン酸反応性最大40秒、粒子径の10%最大2μm、粒子径の90%最大30μm、150μmふるい上の残留物の質量分率最大1%、45μmふるい上の残留物の質量分率2%以下、塩化物の質量分率最大0.1%、カルシウムの質量分率最大0.1%、塩酸に不溶性である物質の質量分率最大0.05%、鉄の質量分率最大0.005%、カチオンTi、Co、Mo、V、Sb、Baの各々の不純物の質量分率が1ppm以下、Pb、Cd、As、Hgが最大0.1ppm、好ましくは、炭酸塩の質量分率最大1重量%、水懸濁液の動粘度最大30cP。
【0019】
目標セットは、マグネシウム塩溶液及びアルカリ剤の反応によって生成された水酸化マグネシウムをか焼することによって、おそらく表面処理された、活性高純度酸化マグネシウムを生成することによって達成される。水酸化マグネシウム結晶は、シード結晶処理ゾーン、水酸化マグネシウム結晶の形成及び成長ゾーン、結晶の蓄積及び凝集ゾーンなど、互いのゾーンから分離され、単離された連続法によって製造される一方で、液体石油製品の存在下での塩化マグネシウムの水溶液及び供給された初期試薬の総重量の1~80%である量の水酸化マグネシウムシード結晶懸濁液がシード結晶処理ゾーンに供給され、前のゾーンからの処理された水酸化物シード結晶懸濁液及びアルカリ剤((1.9/2.1):1の範囲内のモル比OH:Mg++)は、一次結晶形成及び成長ゾーンに向けられ、前のゾーンからの懸濁液は、結晶の蓄積及び凝集ゾーンに向けられる。すべてのゾーンにおいて40℃以上の温度が維持され、各単離ゾーンでの水酸化マグネシウム結晶懸濁液の滞在期間は、20分以上である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
沈殿物のろ過及び沈殿特性は、温度、曝露時間、媒体のpH、反応物のモル比、反応物質の濃度、沈殿物の接種などに依存することが公知である[Wasserman,I.M.Chemical sedimentation from solutions]。最も研究された希釈溶液に有効な原理は、濃縮溶液には適用できないことが判明したことに留意した。同時に、事前に希釈することなく技術プロセスにおいて200g/lを超える塩化マグネシウムを含む高度に鉱化されたブラインを使用することにより、反応器及びタンク装置の容量を減少させ、これによりプロセスの技術的及び経済的パラメーターの改善が可能になる。したがって、沈殿特性及びろ過特性が改善された懸濁液を得るには、プロセスの技術的パラメーターを選択し、厳密に観察する必要がある。
【0021】
水酸化マグネシウム沈殿物を結晶形態で得るためには、初期試薬の投入ゾーン及び沈殿物保持ゾーンでの温度を40℃以上に維持する必要がある。これにより、混合が困難なゲル状の粘性物質である疑似アモルファス形態の沈殿物形成の局所的な中心さえも回避することが可能になる。次に、沈殿特性及びろ過特性が改善された懸濁液を得るために、一次水酸化マグネシウム粒子の結晶成長及び凝集を確実にする必要がある。これは、十分な滞留時間によって促進され、その間、粒子がブロックに付着して凝集するために粒子の二次拡大が発生し、必要な特性を有するシード含有結晶が利用可能になり、特定の種類及び複数の蓄積に従って結晶の形成が誘導され、これにより、沈殿物の構造が改善される。初期試薬であるマグネシウム塩溶液でシード結晶を処理すると、初期試薬でもあるアルカリ剤のその後の投入、それらの表面での一次結晶の核形成、所与の種類による形成、及びその後の結晶の拡大が促進される。これらのプロセスの重要な要素は、緩徐に撹拌して、結果として生じる粒子のブロック及び凝集体を破壊しないことである。
【0022】
上記のプロセスの技術的実施形態は、反応器のカスケードにおける水酸化マグネシウムの連続形成であり、それらの機能的目的に従って反応ゾーンが分離されている。液体石油製品の存在下でシード結晶の懸濁液及びマグネシウム塩溶液が同時に分配される第1の反応器では、シード結晶の処理が行われる;塩化ナトリウム溶液中の水酸化マグネシウム結晶の懸濁液を表す、処理されたシード結晶及びアルカリ剤を含むマグネシウム塩溶液が同時に反応塊に投入される第2の反応器では、結晶形態の一次水酸化マグネシウム粒子の形成が起こる;その後の反応器では、すでに形成された水酸化マグネシウム結晶上に二次粒子の成熟、蓄積、及び凝集が生じる。必要なろ過及び沈殿特性を有する水酸化マグネシウム結晶を含む最後の反応器からの反応塊は、播種剤として作用する。
【0023】
連続反応器の指定されたカスケード内に3~5つの反応器が必要であり、分離された機能ゾーンを提供するのに十分である。
【0024】
各分離ゾーンでの滞留時間は、反応物の濃度及び選択された温度に応じて(40℃を下回ってはならない)、少なくとも20分、好ましくは20分~2時間である。分離ゾーンにおいて滞留時間が20分未満の場合には、得られる懸濁液に必要とされるろ過特性及び沈殿特性が確実に得られず、滞留時間が2時間を超える場合には経済的に非効率的である。
【0025】
水溶性マグネシウム塩としては、合成または天然由来の塩化マグネシウム溶液が使用されている。例えば、ビショフ石溶液であり、これは、重金属及び/または鉄、及び/または硫酸塩、及び/またはホウ素、及び/または臭素、及び/または他の望ましくない不純物から既知の方法によって事前に精製される可能性がある。
【0026】
提唱された方法によって得られた水酸化マグネシウム結晶の凝集体は、効率的なろ過及び沈殿特性を提供するが、粒子径分布が増大した酸化マグネシウムを得ることに寄与する。凝集体をさらに破壊するために、初期沸点が150℃以上、最終沸点が400℃以下、密度が750~880kg/m3の範囲内であり、0.0001~0.01重量%の量である、直接及び/または真空石油精製の生成物である液体石油製品を塩化マグネシウム溶液に添加する。液体石油製品の例は、ディーゼル燃料、低粘度海洋燃料、灯油及び同様の石油製品である。
【0027】
液体石油製品は水酸化マグネシウムシード結晶に吸収され、シード結晶処理のゾーンで薄膜が形成される。続いて、か焼炉内では水酸化マグネシウム結晶の凝集体のか焼中に、150~400℃の範囲の温度で液体石油製品の沸騰及び蒸発が生じ、これは、二次粒子凝集物の破裂及び破壊をもたらし、これにより粉砕が容易になり、得られた活性高純度酸化マグネシウムの二次粒子のサイズを縮小させる。気化した液体石油製品は、か焼炉においてCO及びНОに分解される。
【0028】
塩化マグネシウム溶液への液体石油製品の添加、及び提唱された方法による製造は、活性高純度酸化マグネシウム粒子の形成に寄与し、ゲル状及びクリーム状の粘稠度を形成することならびに撹拌、揚水及び投入を複雑にすることなく、粘度が低下した水性懸濁液を得ることができる。
【0029】
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ金属水酸化物の溶液を使用している。
【0030】
アルカリ剤イオン対塩化マグネシウムOH:Mg++のモル比が(11):1以内であることが好ましい。過剰な塩化物が増加することにより、得られた水酸化マグネシウムの塩化マグネシウムによる汚染、その洗浄のための水の容量を増加させる必要性、ならびに得られた酸化マグネシウム中の塩化物の質量分率が上昇することとなる。アルカリ剤の過剰量が増加することにより、ろ過が困難な水酸化マグネシウムの細かく分散した沈殿物が形成されることになり、プロセス効率の低下となる。
【0031】
相の十分な接触面積を提供するが、形成された粒子の凝集体を破壊することのない、実験により決定された有効混合速度は、20~300rpmの範囲内である。
【0032】
母液中に調製された水酸化マグネシウム結晶の懸濁液がシードとして使用される。シードは、供給された最初の試薬の総質量の1~80%の量で、第1の機能ゾーンに供給される。
【0033】
結晶の蓄積及び凝集ゾーンの後、水酸化マグネシウム結晶は、120~220℃の範囲の温度、0.1~2.3MPaの範囲の圧力、及び1~24時間の持続時間で熱水再結晶に向けることができる。水酸化マグネシウム結晶の熱水再結晶により、塩化物からの水酸化マグネシウム結晶のより効果的な洗浄、ならびに二次水酸化マグネシウム粒子のサイズの縮小が促進される。
【0034】
反応母液中では、幅広い試薬濃度での熱水再結晶を実施でき、水酸化マグネシウムの好ましい含有量は、2~10重量%の範囲内である。
【0035】
母液からの水酸化マグネシウム結晶の分離は、得られた懸濁液または沈殿物をろ過し、その後、増粘部分をろ過するなどの任意の既知の方法によって実施される。
【0036】
塩化物からの水酸化マグネシウム結晶の洗浄は、フィルター残留物の洗浄及び/または残留物の反発及びその後のろ過などの任意の既知の方法によって実施される。洗浄効率を上昇させるために、質量分率0.01~0.50%の水酸化ナトリウム水溶液を洗浄液として使用する。
【0037】
水酸化マグネシウム結晶の洗浄は、1つまたは2つの段階で実施される:第1の段階では、水酸化マグネシウム結晶を、フィルターを使用して、脱塩水及び/または質量分率0.01~0.50%の水酸化ナトリウムの水溶液であるアルカリ水で洗浄する。第2段階では、水酸化マグネシウム結晶を、脱塩水及び/または質量分率0.01~0.50%の範囲の水酸化ナトリウム水溶液であるアルカリ水を含む水性媒体に、水媒体水酸化マグネシウムの質量比が、(530):1の範囲で分散させ、これにより水酸化マグネシウムの懸濁液を形成し、次にろ過する。
【0038】
酸化マグネシウムを得るために、洗浄された水酸化マグネシウム結晶は、300~700℃の範囲の温度で炉内でか焼され、次に粉砕される。水酸化マグネシウム結晶のか焼は、定期的または継続的に実施される。
【0039】
得られた活性高純度酸化マグネシウムは、比表面積BET70~200m/g、レーザー回折によって決定された平均粒子径(d50)10μm以下、ヨウ素活性70~200mg I/g MgOの範囲、クエン酸活性40秒以内、細孔容積3.2×10-3cm/g~10.2×10-2cm/gの範囲;粒子の10%の直径が2μm以下、粒子の90%の直径が30μm以下、150μmふるい上の残留物の質量分率が1%以下、45μmふるい上の残留物の質量分率が2%以下、塩化物の質量分率0.1%以下、カルシウムの質量分率0.1%以下、塩酸に不溶性の物質の質量分率が0.05%以下、鉄の質量分率が0.005%以下、Ti、Co、Mo、V、Sb、Baカチオンのそれぞれの不純物の質量分率が1ppm以下、Pb、Cd、As、Hgは0.1ppm以下を有する。
【0040】
指定された酸化マグネシウムは、質量分率が1%以下の炭酸塩、及び2ppm以下のマンガンMnの質量分率を有する。
【0041】
指定された酸化マグネシウムは、水性懸濁液の動粘度が30cP以下であるため、粘度が低下した水性懸濁液を得ることができ、混合、揚水、及び投入において技術的に簡便になり得る。
【0042】
上記の方法で得られた活性高純度酸化マグネシウムは、1つ以上の表面処理剤及び/または結合シラン剤で修飾できる。8~20の炭素原子を含む飽和及び不飽和脂肪酸の群から選択される化合物またはそれらのアルカリ金属塩及び/またはそれらの混合物が、表面処理剤として使用される。そのような化合物の例は、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸、トール油脂肪酸などである。
【0043】
アルキルトリエトキシシラン、アルキルトリメトキシシラン、アルケニルトリエトキシシラン、アルケニルトリメトキシシラン、アミノシランなどの有機官能性トリアルコキシシランの群から選択される化合物及び/またはそれらの混合物が、シラン結合剤として使用される。そのような化合物の例としては、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0044】
酸化マグネシウムで計算して0.1%~5.0重量%の範囲の量の表面処理剤を使用することが好ましい。
【0045】
表面処理は、懸濁法または乾式法などの任意の既知の方法で行われる。
【0046】
提唱された方法によって得られた活性高純度酸化マグネシウムは、調整可能な活性及び粒子径分布及び高い化学的純度を有し、これにより、製薬、薬物類及び食品産業のほか、触媒、特殊セラミック、特殊ガラスの製造、ゴム、接着剤、プラスチック塊、ポリマーの充填剤、クロロプレンゴムの製造における安定剤、マグネシアセメント及び他のマグネシウム含有材料の製造における有機溶媒の精製添加剤としての使用が可能になる。
【0047】
酸化マグネシウムの分析には、次の分析方法を使用した。
-比表面積BET及び細孔容積は、高速表面積及び細孔径アナライザー「Nova2200e」(Quantachrome Instruments,USA)を使用して決定した;
-粒度分布は、Scirocco 2000モジュールを備えた「Malvern MasterSizer-2000E」デバイス(Malvern Limited,UK)を使用したレーザー回折によって決定した。
-ヨウ素活性(単位mg I/g MgO)は、四塩化炭素媒体中でのヨウ素滴定によって決定した。
-クエン酸活性(単位秒)は、フェノールフタレイン指示薬を含む0.4Nクエン酸溶液を29±2℃の酸化マグネシウム懸濁液を含む水に添加した後、深紅色の出現時間として判定した。
-Cl塩化物及びSO42-硫酸塩の質量分率は、光比濁法によって判定した。
-塩酸に不溶性の物質の質量分率は、GOST4526「試薬。酸化マグネシウム」に準拠した重量分析法によって判定した。
-150μmのふるい上の残留物の質量分率は、ブラシを使用した乾式ふるい分けによって判定した。
-45μmのふるい上の残留物の質量分率は、水流下での湿式ふるい分けによって判定した;
-Fe、Ca、Pb、Cd、As、Hg、Ti、Co、Mo、V、Sb、Ba、Mn不純物の質量分率は、「Optima8000」デバイス(PerkinElmer,USA)を使用した誘導結合プラズマによる原子発光分析によって判定した。
-CO -炭酸塩の質量分率は、中和法によって判定した。
-動粘度はブルックフィールド粘度計で測定した。酸化マグネシウム(50g)を水(400ml)に室温で1時間懸濁し、得られた懸濁液の動粘度を測定した。
活性高純度酸化マグネシウム製造の提唱された方法は、以下の実施例によって説明される。
【実施例1】
【0048】
水酸化マグネシウム結晶の製造プロセスは、設置時に連続モードで実施され、これは、回転数37のアンカー型撹拌機を備えた3つの反応器のカスケードである。反応器の運転容量は120dmである。カスケードのすべての反応器において、50~60℃の温度が維持される。
【0049】
塩化マグネシウムの質量分率が31.6%であり、ディーゼル燃料の質量分率が0.001%であり、流量が24.8kg/hであり、シードの流量が38.5kg/hである重金属及び鉄から事前洗浄されたビショフ石溶液がカスケードの第1の反応器に継続的に供給される。シードは、カスケードの最後の反応器からの完成結晶の懸濁液である。
【0050】
ビショフ石溶液で処理された水酸化マグネシウムシード結晶の懸濁液は、カスケードの第1の反応器から第2の反応器に入る。同時に、質量分率9.3%、流量70.7kg/hを有する水酸化ナトリウム溶液がカスケードの第2の反応器に供給される。得られた水酸化マグネシウム結晶の懸濁液は、形成された水酸化マグネシウム結晶の懸濁液を含むカスケードの第2の反応器から第3の反応器に送られる。反応器カスケードでの滞留時間は1時間である。
【0051】
水酸化マグネシウム結晶をろ過し、質量分率0.05%の水酸化ナトリウム水溶液であるアルカリ水で洗浄し、フィルターを使用してアルカリ水/水酸化マグネシウムの質量比を10/1にした後、アルカリ水に分散させる。これは、質量分率が0.01%、アルカリ水/水酸化マグネシウムの質量比が20/1に等しい水酸化ナトリウムの水溶液であり、水酸化マグネシウムの懸濁液を形成し、次にろ過する。
【0052】
最終洗浄後、水酸化マグネシウム結晶を炉内で10℃/分の速度で加熱し、温度600℃で2時間か焼し、ハンマーミルで粉砕し、活性高純度酸化マグネシウムが得られる。
【0053】
得られた酸化マグネシウムの特性を表1~2に示す。
【実施例2】
【0054】
酸化マグネシウムの生成は、質量分率が0.0002%である低粘度の海用燃料のビショフ石溶液が供給されることを除いて、実施例1と同様であり、質量分率9.3%、流量71.1kg/hの水酸化ナトリウム溶液をカスケードの第2の反応器に供給し、フィルターを使用して、6/1に等しい脱塩水/水酸化マグネシウムの質量比で脱塩水で洗浄し、フィルター洗浄後、水酸化マグネシウム結晶を脱塩水に分散させてろ過する。
【0055】
水酸化マグネシウムケーキは450℃でか焼させる。
【0056】
得られた酸化マグネシウムの特性を表1~2に示す。
【実施例3】
【0057】
酸化マグネシウムの生成は、海洋燃料の低粘度質量分率0.0002%を有する重金属、鉄及び硫酸塩から精製されたビショフ石溶液が供給されることを除いて、実施例1と同様に実施される。カスケードの第3の反応器からの水酸化マグネシウム懸濁液は、温度170℃及び圧力0.6MPaで2時間の熱水再結晶に向けられており、水酸化マグネシウム結晶の洗浄は、フィルターで行い、アルカリ水/水酸化マグネシウムの質量比は、6/1であり、結晶の分散は行われない。
【0058】
水酸化マグネシウムケーキは450℃でか焼させる。
【0059】
得られた酸化マグネシウムの特性を表1~2に示す。
【実施例4】
【0060】
酸化マグネシウムは、洗浄後、水酸化マグネシウム結晶を、アルカリ水に分散させることを除いて、実施例3と同様に得る。これは、質量分率が0.05%で、アルカリ水/水酸化マグネシウムの質量比が20/1に等しい水酸化ナトリウム水溶液であり、水酸化マグネシウム懸濁液を形成し、次にろ過する。
【0061】
水酸化マグネシウムケーキは450℃でか焼させる。
【0062】
得られた酸化マグネシウムの特性を表1~2に示す。
【0063】
比較実施例
質量分率9.2%の水酸化ナトリウム溶液361.5kgを作業容量500dmの反応器に添加し、塩化マグネシウムの質量分率33.46%を含むビショフ石溶液118.5kgを投入する。反応混合物は、20~30℃で2時間撹拌し続けるものとする。次に、フィルターを使用して、水酸化マグネシウム結晶をろ過し、アルカリ水/水酸化マグネシウムの質量比が10/1に等しい脱塩水により洗浄する。水酸化マグネシウム結晶を10℃/分の速度で炉内で加熱し、600℃の温度で2時間か焼し、ハンマーミルで粉砕し、酸化マグネシウムを得る。
【0064】
得られた酸化マグネシウムの特性を表1に示す。
【0065】
表面処理の実施例
実施例3に記載のとおりに得た200gの酸化マグネシウムをヘンシェルミキサーに添加し、ステアリン酸7gをその中に供給し、混合物を80℃で10~20分間撹拌する。ステアリン酸の質量分率が3.5%に等しい、表面処理された酸化マグネシウムが得られる。
【0066】
上記の実施例は、本発明の本質を説明するものであり、例示であり、特許請求される発明の分野を限定するものではない。
【0067】
示した実施例は、提唱された製造方法により、調整可能な活性、化学的純度及び粒子径分布を有する活性高純度酸化マグネシウムを得ることができることを実証している。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】