IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社こどもデザイン研究所の特許一覧

<>
  • 特許-緊急避難用の小屋型枠体構造 図1
  • 特許-緊急避難用の小屋型枠体構造 図2
  • 特許-緊急避難用の小屋型枠体構造 図3
  • 特許-緊急避難用の小屋型枠体構造 図4
  • 特許-緊急避難用の小屋型枠体構造 図5
  • 特許-緊急避難用の小屋型枠体構造 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】緊急避難用の小屋型枠体構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20250204BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20250204BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20250204BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
E04H1/12 A
E04B1/26 G
E04B1/58 508L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020175361
(22)【出願日】2020-10-19
(65)【公開番号】P2022066814
(43)【公開日】2022-05-02
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】514056779
【氏名又は名称】株式会社こどもデザイン研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】小野 裕幸
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-156174(JP,A)
【文献】特開平08-232342(JP,A)
【文献】特開2017-206934(JP,A)
【文献】登録実用新案第3132664(JP,U)
【文献】特開2014-068834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/00-9/16
E04H 1/12
E04B 1/26
E04B 1/58
A47B 91/00-97/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形床部の隅部に立設した四本の縦柱と、
四本の縦柱の上端部間に架設した四本の上側梁体と、
四本の縦柱の下端部間に架設した四本の下側梁体と、
上側梁体と下側梁体との中間位置上部において四本の縦柱の間に架設した四本の中間梁体と、
対向する上側梁体間に架設した複数本の架設梁体と、
各縦柱と上下側梁体と中間梁体と架設梁体とを構成する各角材のそれぞれの接合部に介在した接合金具と、よりなり、
接合金具は角材の端面に面接合する面板部と面板部から直角に突設した脚板部とから構成して全体的に略T字又は略コ字に形成し、各角材の接合時には、接合金具を縦柱や上下側梁体や架設梁体の各端面と各側面との面接合部分に介在して各角材の一体接合機能を果たすべく構成し、
面板部は接合する角材の側面に当接固定し、脚板部は接合する角材の端面スリットに埋め込むように構成することにより、脚板部を端面スリット内に固定すべく構成すると共に、
方形床部は、発泡ウレタン等の発泡材よりなる下敷シートと軟質樹脂からなる底部シートと中間に木毛板を介在した上下二層の発泡材よりなる中間シートと最上面の樹脂上面シートとを積層して構成したことを特徴とする緊急避難用の小屋型枠体構造。
【請求項2】
縦柱と上側梁体と下側梁体と架設梁体等の互いの面接合は一方の角材の側面に他方の角材の端面を当接してその間の接合金具を介して一体接合したことを特徴とする請求項1に記載の緊急避難用の小屋型枠体構造。
【請求項3】
各角材により形成した方形箱状骨格の避難用小屋内部に各種の幼児用遊戯道具を配置したことを特徴とする請求項1、2に記載の緊急避難用の小屋型枠体構造。
【請求項4】
方形箱状骨格の避難用小屋は、幼稚園校舎内や学校の校舎内やビルのビジネス室内等のような居住空間の内部に設置することを特徴とする請求項1~に記載の緊急避難用の小
屋型枠体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震などの天変地異が発生した場合に幼児や幼稚園児等が箱型小屋内に緊急に避難することができると共に、通常はこの箱型小屋内に遊戯具などを収納して遊戯空間としても利用することができる緊急避難用の小屋型枠体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震などの天変地異が発生した場合の緊急避難手段として特に保育園児や幼稚園児等の幼児に対しては、例えば保育園や幼稚園等の児童施設の敷地内や校舎内に特定の避難場所を設けておき指導者の先生達が避難場所内に幼児を誘導して天変地異から護るという手段が採用されている。
【0003】
そして、これらの通常の避難の場所においては、専ら什器備品の倒壊から身を守るように、例えば突っ張り棒や固定ステーやアンカー材などの種々の家具転倒防止具(例えば、特許文献1~3参照。)によって什器備品を天井や床や壁に固定するという簡素な防御対策で対応しているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-63994号
【文献】特開2019-122716号
【文献】特開2014-68834号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、実際に児童施設内で遭遇する天変地異の災害においては、例えばダクトや固定ボルト、天井板などの頭上からの落下物による被災が多く、特に大人よりも視野の狭い幼児の場合は落下物に気が付かずに頭上からの防御を瞬時に行うことができないことが多々生じていた。
【0006】
しかも、一般的に、児童施設において災害から逃れるための避難施設としては、避難の為の教室をあてがいこの部屋に幼児を集めて災害から児童を守るように構成されたものが多い。しかし、部屋には災害回避に必要十分な耐久性のある特別な建築構造が採用されているものは少なく殆どが避難場所として不適切であった。
【0007】
すなわち、避難場所としての集合部屋で地震などの災害が生起した場合、遊戯活動中の幼児や避難の為に集められた幼児等が落下物や倒壊物から我身を守って緊急に救済されるような手段が全く考慮されておらず、このような災害から幼児を保護することができるような避難場所と避難所の建築構造を早急に対策しなければならない現状があった。
【0008】
本発明では、幼児の遊び集合する一定空間の屋内場所に相当の荷重被災に耐えうるだけの緊急避難用の小屋型枠体を設置しておき、通常はこの小屋型枠体内で幼児が遊戯して遊ぶことができるように構成すると共に、突然の災害によって屋内壊滅が生起した場合でも遊戯中に小屋型枠体内に幼児を緊急避難させて幼児を頭上落下被災物から安全確実に保護することができる緊急避難用の小屋型枠体構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係る緊急避難用の小屋型枠体構造は、方形床部の隅部に立設した四本の縦柱と、四本の縦柱の上端部間に架設した四本の上側梁体と、四本の縦柱の下端部間に架設した四本の下側梁体と、上側梁体と下側梁体との中間位置において四本の縦柱の間に架設した四本の中間梁体と、対向する上側梁体間に架設した複数本の架設梁体と、各縦柱と上下側梁体と中間梁体と架設梁体とを構成する各角材のそれぞれの接合部に介在した接合金具と、よりなり、しかも、接合金具は縦柱や上下側梁体や架設梁体の各端面と各側面との面接合部分に介在して各角材の一体接合機能を果たすように構成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る緊急避難用の小屋型枠体構造では、以下の点にも特徴を有する。
すなわち、縦柱と上側梁体と下側梁体と架設梁体等の互いの面接合は一方の角材の側面に他方の角材の端面を当接してその間の接合金具を介して一体接合したこと。
また、接合金具は角材の端面に面接合する面板部と面板部から直角に突設した脚板部とから構成して全体的に略T字又は略コ字に形成し、面板部は接合する角材の側面に当接固定し、脚板部は接合する角材の端面スリットに埋め込むと共に、脚板部を埋め込んだ接合する角材の側面から挿入した固定ボルトによって脚板部を端面スリット内に固定したこと。
また、方形床部は発泡ウレタン等の発泡材よりなる下敷シートと軟質樹脂からなる底部シートと中間に木毛板を介在した上下二層の発泡材よりなる中間シートと最上面の樹脂上面シートとを積層して構成したこと。
また、各角材により形成した方形箱状骨格の避難用小屋内部に各種の幼児用遊戯道具を配置したこと。
また、方形箱状骨格の避難用小屋は、幼稚園校舎内や学校の校舎内やビルのビジネス室内等のような居住空間の内部に設置すること。
【発明の効果】
【0011】
この本発明に係る緊急避難用の小屋型枠体構造は、
(a)四本の縦柱と、縦柱の上端部間に架設した四本の上側梁体と、縦柱の下端部間に架設した四本の下側梁体と、各上下側梁体の中間位置架設した四本の中間梁体と、上側梁体間に架設した複数本の架設梁体と、各縦柱と各梁体を構成する各角材の接合部に介在した接合金具とより構成し、接合金具は梁体などの角材の各端面と各側面との当接間に介在して各角材の一体接合機能を果たすように構成したことにより、
(b)また、接合金具は面板部と面板部から直角に突設した脚板部とから構成して略T字又は略コ字に形成し、脚板部は接合する角材の端面スリットに埋め込むと共に、角材の側面から挿入した固定ボルトによって固定したことにより、
(c)また、方形床部は発泡材よりなる下敷シートと軟質樹脂からなる底部シートと中間に木毛板を介在した上下二層の発泡材よりなる中間シートと最上面の樹脂上面シートとを積層して構成したことにより、
(d)また、避難用小屋内部に各種の幼児用遊戯道具を配置したことにより、
(e)また、方形箱状骨格の避難用小屋は、幼稚園校舎内や学校の校舎内やビルのビジネス室内等のような居住空間の内部に設置することにより、
次のような(1)~(11)に記載の作用効果を発揮する。
【0012】
(1)幼児の遊び集合する一定空間の屋内場所に設置することができ、平常時には幼児が安全に遊ぶことができ、緊急災害時には屋内壊滅が生起した場合に幼児を緊急避難させて幼児を頭上被災等から安全確実に保護することができ、遊戯場と緊急用シェルターとを兼用可能にして幼児の健全なる保育と堅実な防災を行うことができる効果がある。更には、緊急避難用の小屋型枠体内で幼児の遊戯道具を設置することにより環境事情によって室外での遊戯生活ができないときにも十分な遊戯生活を送ることができる効果があり、更には防災用具などの災害対応器具を設置しておけば災害の緊急事態に即座に対応しいかなる災害事態の発生に対しても幼児の安全を確実に守ることができる効果がある。
【0013】
(2)また、縦柱と上側梁体と下側梁体と架設梁体等の骨格を形成する部材は面接合部分において接合の一方の角材側面に他方の角材端面を当接しており、しかも、その接合部分において接合金具を介して一体接合したことにより、各梁体や縦柱との接合が強固に行われる。特に各梁体同士の接合部分並びに縦柱と梁体との接合部分が接合金具で一体接合されているので通常四点支持だけで構成されるプレカット工法の構造に比して頑丈な建築構造を提供することができ、上方からの荷重応力が特定の接合部分だけに偏る偏奇荷重現象を解消し構造体全般への荷重分散が行われより強固な構造体することができる効果がある。
具体的には、上方からの重量負荷に対しては、当然に縦柱は立設状態で強固に受止めるこができ、また、上方の各梁体(方形状に構成した四辺の上側梁体)による上部の方形枠構造は架設梁体と共に確実に枠構造体としての強度を有し、特に各梁体の接合部が梁体端面の端面スリットと梁体側面とにより一体接合した略T字又は略コ字の接合金具を用いて接合されので上方からの落下物による負荷重量に耐えうる強度を保持することができる。
【0014】
(3)更には、本発明の小屋型枠体構造では骨組に鴨居等の部材を使用することなく梁体の組み合わせで構造体を作るため接合金具が有効に機能して構造体の強度を向上することができる効果がある。
【0015】
(4)また、天井部分の架設梁体の梁方向と直角の方向に天井板を張設することにより架設梁体にかかる荷重撓みを可及的に軽減して天井部分での強度の向上に貢献することができると共に、天井板と架設梁体は重量の小さい落下物を受け止め、上側梁体は重量の大きな落下物から枠体内部の空間を保護することができる効果がある。また、縦柱と上側梁体、中間梁体、下側梁体との間にわたって側壁面としての壁プレートが張設されるので壁プレートが梁体の補強機能を果たし小屋型枠体構造の歪みや変形に対しての耐強度を向上することができる効果がある。
更には、天井板を天井部分の架設梁体に張設するに際して、20~30mmの厚みの天井板にビスをねじ込んで梁体と一体に固設することにより、木材の特性としてビスのねじ込み、喰い込みの螺旋応力を周辺木材組成に分散することができ、接合相手の梁体との接合強度を高めることができ、強固な連設状態をつくり出すことができる。天井板は20mmの合板とすることも可能であるが、いづれにしても天井板木材の材質はむく板として強度を増強する。
【0016】
(5)更には、縦柱と梁体と接合金具の三種類の部材により構成されているので簡素な構成で頑丈な構造にもかかわらず現場での組み立て、分解が簡便に行える効果があり特に幼児の集まる場所においての築造分解作業を容易に行うことができる効果がある。
【0017】
(6)また、上側梁体間に架設した二本の架設梁体によって全体の枠構成に上方からかかる重量負荷が生じても、たわみが生じ座屈に耐え得ると共に、梁の木材組成により木材繊維は座屈負荷による完全な分離現象を生じることがなく、木材の全体破断を防止する。
【0018】
(7)更には、木材の特性として、梁体の一部分に負荷破断が生じても完全に木材の組成が分離することはなく、木材全体は一体として負荷強度に耐えることができる。
特に、梁体を接合金具で方形枠型に組んでおり、角木材の側面と端面とを接合して枠型に組んでいるため、曲げに対する対応力もあり、強度向上に貢献する。
【0019】
(8)梁体について杉材を使用する場合は、中央部程木材組成密度が高いので使用する梁体の材質としても材質の疎密の特性を利用して選択する。
一般に木材の外周側が引張り力やしなりの点で有利でありヤング率も低いが、梁体同士の接合強度を考えると木材の中心部程、木材繊維の組成密度が高いので、特に杉材を使用する場合は梁体は中央部分を用いる。
このように木材の強度を最大級に発揮することができるように縦方向、すなわち繊維方向の強度の大きい向きで縦柱を使用して引張り、圧縮強度を利用する。また、木材に働く外力としての曲げ、すなわちせん断に対する強度は弱いため各梁体にかかるせん断を可及的に少くしてせん断強度を一定に維持するような梁体組立構造としており、上下側梁体の間の中間梁体により、かかる強度向上の機能を果たしている。
【0020】
(9)本発明の小屋型枠体構造で構成した小屋は既存の建造物の部屋空間内に構築するものであり、いわゆる「ハウス・イン・ハウス」の構造とするものであり、しかも、現場で材料を持ち込み構築するものであるため、分解も容易であり、取扱いに便利である。
【0021】
(10)梁体の材質を桧材とすれば、香りも強度も他材料に比し有利であり、建築物としての強度も高くなる。
【0022】
(11)縦型の梁体としての縦柱と上側梁体と下側梁体と中間梁体とにより形成された方型空間部分には、縦柱や各梁体の各側面間にはめ込み式で一定肉厚の木材座体を嵌着させている。
すなわち、方形座体を嵌め込む際に壁体の各端面が縦柱や各梁体の側面に当接するように嵌着することにより、縦柱と各梁体との方形枠組みのゆがみやねじれの強度を向上することができる。
【0023】
(12)なお、必要に応じて梁体の本数を増やすことも可能であり、図5に示すように中間梁体を四側面においてさらにもう一本増加することも可能であり、更なる強度、特にねじれやゆがみに対する強度を高めることができる。
【0024】
(13)梁体間に嵌着する壁体は、いづれも垂直形態のみならず、やや傾斜状に嵌着することも可能であり、幼児等が傾斜壁面をよじ登る遊戯座体とすることも可能であり、この場合は傾斜壁体の内表面に手掛りや足掛りの突起物を突設する。
【0025】
(14)なお、かかる本発明の構造における下向き加力の試験成績書を添付して本発明構造が下向き加力に対して強大な耐久性を有している効果を示す。
【0026】
(15)また、方形床部は発泡ウレタン等の発泡材よりなる下敷シートと軟質樹脂からなる底部シートと中間に木毛板を介在した上下二層の発泡材よりなる中間シートと最上面の樹脂上面シートとを積層して構成したことにより幼児の繰り返しの摩擦によっても強度を維持することができる効果があり、更には床部は下側梁体からなる床枠の内部に敷設された状態となり床基礎体に固定していないので地震などの揺れに対してスライド自在となり地震による揺れを逃がして直接的に床部を介して幼児の動きに影響を与える危険を軽減することができる効果がある。
【0027】
(16)また、避難用小屋内部に各柱の幼児用遊戯道具を配置したことにより災害発生等以外では幼児は通常の遊戯を楽しむことができる効果がある。
【0028】
(17)また、避難用小屋は、居住空間内部のいたるところに放置することができるので幼児等のみならず、一般の大人でも災害時の落下物から身を護ることができる効果がある。
【0029】
(18)架設梁体の所定の位置にランプを設備することにより空間内の照明に使用することができると共に、災害時の警報替わりになり照明の色彩を災害時に代えることにより警報効果を向上し特に幼児に対する警報注目度を上げる効果がある。
【0030】
(19)緊急避難用の小屋型枠体を既設の木造や鉄骨の居住建造物の部屋空間の屋内に設置する際には屋内の窓ガラスに対面する位置に小屋型枠体の入退空間部分を位置させにないようにして地震災害時のガラス破片が小屋型枠体内に飛散することを防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る緊急避難用の小屋型枠体構造を示す外観斜視図
図2】本発明に係る緊急避難用の小屋型枠体構造を示す側面図
図3】本発明に係る緊急避難用の小屋型枠体構造を示す模式的平面図
図4】本発明に係る緊急避難用の小屋型枠体構造の接合金具を中心とした要部の分解説明図
図5】本発明に係る緊急避難用の小屋型枠体構造の天井板及び壁面体を梁体間から取り外した状態を示す分解斜視図
図6】本発明に係る緊急避難用の小屋型枠体構造の敷設プレートの構成を示す模式的斜視図及び断面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明の要旨は、方形床部の隅部に立設した四本の縦柱と、四本の縦柱の上端部間に架設した四本の上側梁体と、四本の縦柱の下端部間に架設した四本の下側梁体と、上側梁体と下側梁体との中間位置において四本の縦柱の間に架設した四本の中間梁体と、対向する上側梁体間に架設した複数本の架設梁体と、各縦柱と上下側梁体と中間梁体と架設梁体とを構成する各角材のそれぞれの接合部に介在した接合金具と、よりなり、しかも、接合金具は縦柱や上下側梁体や架設梁体の各端面と各側面との面接合部分に介在して各角材の一体接合機能を果たすように構成し、互いの面接合は一方の角材の側面に他方の角材の端面を当接してその間の接合金具を介して一体接合するようにすると共に、接合金具は角材の端面に面接合する面板部と面板部から直角に突設した脚板部とから構成し、面板部は接合する角材の側面に当接固定し、脚板部は接合する角材の端面スリットに埋め込んで使用したことを特徴とし、また、方形床部は上下二層の発泡材よりなる中間シートと最上面の樹脂上面シートとを積層して構成したことを特徴とし、また、避難用小屋内部に各種の幼児用遊戯道具を配置したことを特徴とし、また、方形箱状骨格の避難用小屋は、幼稚園校舎内や学校の校舎内やビルのビジネス室内等のような居住空間の内部に設置することを特徴とする。
【0033】
以下、この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1は緊急避難用の小屋型枠体構造を示す斜視図、図2は緊急避難用の小屋型枠体構造を示す側面図、図3は緊急避難用の小屋型枠体構造を示す模式的平面図、図4は接合金具を中心とした要部の分解説明図、図5は緊急避難用の小屋型枠体構造の天井板及び壁面体を梁体間から取り外した状態を示す分解斜視図、図6は緊急避難用の小屋型枠体構造の敷設プレートの構成を示す模式的斜視図及び断面図である。
【0034】
本発明の小屋型枠体構造Aは、図1図3に示すように、方形床部10の隅部に立設した四本の縦柱20と、四本の縦柱20の上端部間に架設した四本の上側梁体30と、四本の縦柱20の下端部間に架設した四本の下側梁体40と、上側梁体30と下側梁体40との中間位置において四本の縦柱20の間に架設した四本の中間梁体50と、対向する上側梁体30間に架設した複数本の架設梁体60とより構成されている。
【0035】
また、図1図3に示すように、架設梁体60の上側面には、梁体60の架設方向に直角に交差する方向で天井板61が張設されている。天井板61は、図2に示すように四本の縦柱20の上端部を隅部とすると共にこれら隅部の間にそれぞれ架設した四本の上側梁体30を辺縁部とする平面視方形状の上側枠体の面一状の上面に張設して内側の枠窓を完全閉塞している。
【0036】
具体的には、天井板61は、図2及び図3に示すように、架設梁体60に交差する方向に並列して張設した複数の細幅長尺板体62よりなり、各細幅長尺板体62は必要に応じて架設梁体60に接着剤やボルトや金具などによって固定したり、或いは単に架設梁体60上に載置するように構成している。天井板61の厚みは30mmとし、方形状の上側梁体30と中間梁体50との組合せにより縦柱20のぶれが少く、たゆみやねじれに耐え得る構造としている。
【0037】
これらの縦柱20や各種梁体30、40、50、60の材料は杉材やヒノキ材を使用する。
【0038】
各縦柱20と上下側梁体30、40と中間梁体50と架設梁体60との各角部材の接合部分には、図4に示すように接合金具70が介設されている。このような基本的な箱型フレーム構造とした木造住宅とし、かつ、本発明の小屋型枠体構造Aでは、すでに存在する木造或いは鉄骨の建造物の部屋空間内に設置するものであることから横側方や斜め方向からの押圧負荷は少く、上方からの垂下荷重のみであるため、かかる垂下荷重に耐久しうる構造としている。
【0039】
接合金具70は、縦柱20や上下側梁体30、40、中間梁体50、架設梁体60の各端面と各側面との面接合部分に介在して各角材の一体接合機能を果たすように構成している。
【0040】
すなわち、接合金具70は、図4に示すように全体的に略T字又は略コ字に形成した金属体であって、角材の端面に面接合する面板部71と、面板部71から直角に突設した脚板部72と、で構成している。
【0041】
面板部71は接合する一方の角材の側面に当接固定可能に構成し、脚板部72は接合対応する他方の角材の端面に形成した端面スリット73に埋め込むと共に、脚板部72を埋め込んだ接合する他方の角材の側面から挿入した固定ボルト74によって脚板部72を端面スリット73内に固定可能に構成している。
【0042】
面板部71は、板面の略中央部にボルト挿通用の孔71aを貫通形成している。また、面板部71を固定する一方の角材(縦柱20)は、一側面部を面板部71の外側面が面当接する当接面部とし、当接面部に直交して面板部71のボルト挿通用の孔71aに連通対応するボルト挿通孔71bを貫通形成している。
【0043】
脚板部72は、板面の所定位置(突出先端の近傍位置)にボルト挿通用の孔71aを上下2つ貫通形成している。
【0044】
また、脚板部72に挿入対応する端面スリット73は、角材である各種梁体30、40、50、60の端面に鉛直方向に沿うと共に各種梁体30、40、50、60の伸延方向に沿って縦直線状の切り込みを入れることにより形成している。
【0045】
また、端面スリット73が形成される他方の角材(上側梁体30)は、端面スリット73に接合金具70の脚板部72が嵌入した状態で脚板部72の孔72aに連通対応するボルト挿通孔73aを一側方から貫通形成している。
【0046】
かかる接合金具70は、縦柱20の一側面に面板部71の外側面を面当接して縦柱20のボルト挿通孔71bと面板部71の孔71aとを連通した状態で、他側面側から固定ボルト71cを挿入することにより縦柱20に固定している。
【0047】
また、接合金具70は、脚板部72の板面を左右側方に向けると共に縦柱20の伸延方向に直交して脚板部72を水平方向に外方突出した状態で縦柱20に固定している。
【0048】
このように縦柱20に固定した接合金具70は、各種梁体の端面スリット73に挿入された脚板部72の孔72aに各種梁体の左右側方から固定ボルト73を貫通することにより、縦柱20の側面と各種梁体の端面とを面当接させた状態で縦柱と各種梁体とを一体接合する。
【0049】
すなわち、最終的な各種梁体30、40、50、60の組付け形態は、縦柱20と上側梁体30と下側梁体40と架設梁体60等の互いの面接合部分において、一方の角材の「側面」に他方の角材の「端面」を当接して各面を接合金具70で一体に接合するものである。
【0050】
具体的な各梁体30、40、50、60の組付け形態は、以下(1)~(3)の通りである。
【0051】
(1)縦柱20の下端部間に4本の下側梁体40をそれぞれ介設するための接合金具70の使い方形態、及び下側梁体40を平面視方形状に並べた床枠体80の四隅に縦柱20の下端を立設する際の接合金具70の使い方形態について
縦柱20の下端一側にコ字状の接合金具70の面板部71をボルトなどの固定具71cで固定すると共に、縦柱20の下端一側から突出した脚板部72を下側梁体40の端面に設けた2本の縦方向の端面スリット73内に嵌入して下側梁体40の側面から固定ボルト74を挿入して脚板部72の孔72aを貫通して縦柱20と下側梁体40との連設固定を行う。
【0052】
(2)縦柱20の上端部間に4本の上側梁体30及び中間梁体50をそれぞれ介設するための接合金具70の使い方形態について
縦柱20における側面にコの字状の接合金具70の面板部71をボルトなどの固定具71cで固定すると共に、横方向の梁体の端部に形成した2本の横方向の端面スリット73内に脚板部72を嵌入して梁体側面から固定ボルト73を挿入して脚板部72の孔72aを貫通して縦柱20と梁体30、50との連設固定を行う。
【0053】
(3)上側梁体30の間に架設する架設梁体60を介設するための接合金具70の使い方形態について
上側梁体30の側面にコの字状の接合金具70の面板部71をボルトなどの固定具71cで固定すると共に、横方向の架設梁体60の端部に形成した2本の横方向の端面スリット73内に脚板部72を嵌入して側面から固定ボルト73を挿入して脚板部72の孔を貫通して上側梁体30と架設梁体60との連設固定を行う。
【0054】
上記のようにして構成された方形箱状骨格の避難用小屋A1の骨格には、図1及び図5に示すように、各縦柱20間に壁面体90を張設する。
【0055】
すなわち、角部の骨格間一面の半分となる幅員で形成した壁面体90を張設するが、かかる壁面体90は避難用小屋A1の骨格隅部に角2面体に張設することにより他の対面角2面体は幼児の出入りが可能なように空間としておりこの空間から幼児は出入り遊戯することができる。
【0056】
しかも、壁面体90は一定の厚みのある板材で構成しておくことにより中間梁体50と下側梁体40との間にはめ込むように構成して壁面体90の上下端面を各梁体の上下面に当接する。
【0057】
かかる構成の各種梁体30、40、50、60と壁面体90との組合せにより縦柱20と各種梁体30、40、50、60との枠組みを壁面体90で支持しながら枠組みの保持力を向上し、しかも、かかる壁面体90は梁体骨組の四面に張設するのではなくコーナー部の角面に直角に張ることによる。
【0058】
従って、図1に示すように対向する二面は解放して幼児が自由に出入りができると共に、方形箱状骨格の避難用小屋を大部屋に収納した際に大部屋の窓際に対面する避難用小屋側面は災害時のガラスの破片が飛散して避難用小屋内に侵入することがないように構成している。
【0059】
かかる観点から壁面体90の張設場所を考えると避難用小屋A1の少なくとも二面か三面であることが必要であるが幼児の遊戯の出入りの利便性を考えると少なくとも二面側を壁面体90を張設するようにして幼児の遊戯生活の活性化と災害時の避難と安全性の確保のバランスを計っている。
【0060】
下側梁体40を方形状に組み付けて構成した床枠体80には、図1図5、及び図6に示すように方形タイル状の小形の敷設プレート81を複数敷設している。すなわち、方形床部10は、床枠体80と、床枠体80の内側の複数の敷設プレート81とより構成している。
【0061】
敷設プレート81は、図6(b)に示すように、発泡ウレタン等の発泡材よりなる下敷シート82と、軟質樹脂からなる底部シート83と、中間に木毛板84bを介在した上下二層の発泡材84a、84cよりなる中間シート84と、最上面の樹脂上面シート85と、の積層よりなる。
【0062】
かかる構成としたことにより幼児の遊戯における摩擦負荷や飛び跳ねに対応するクッション性を提供することができる。しかも、損傷した単体の敷設プレート81はその都度取換えすることができるし修理も行うことができる。
【0063】
また、方形箱状骨格の避難用小屋内部に各種の幼児用遊戯道具を配置して幼児の生遊戯生活が送れると共に、災害時には遊戯生活のままで頭上からの落下物から身を守れるように構成している。
【0064】
幼児用遊戯道具としては、図1及び図5に示すように、ボルダリング用具や滑り台や組立玩具やぶら下り台やロープ等やネットやハンモックや本棚やトランポリンや積み木やブランコやバスケット具やテーブルやチェアや花壇や子供用の小型プールなどのように幼児の発育と教育に不可欠の各種道具を配設している。
【0065】
また、方形箱状骨格の避難用小屋は、幼稚園校舎内や学校の校舎内やビルのビジネス室内等のような居住空間の内部に設置することができるものであり、必ずしも幼児の避難用に使用するだけではなくビルの区画室内部に設置することもできる。
【0066】
すなわち、ビジネスマンの勤務中における震災の場合にはビル部屋の一角に設置した方形箱状骨格の避難用小屋中に避難することができるので天井からの落下物に対しての避難をすることできると共に、重要な通信機器を設置しておき災害時の外部との通信連絡を可能とすることができる。
【符号の説明】
【0067】
A 小屋型枠体構造
10 方形床部
20 縦柱
30 上側梁体
40 下側梁体
50 中間梁体
60 架設梁体
70 接合金具
80 床枠体
81 敷設プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6