(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】接着装置及び該接着装置を有する接着設備
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20250204BHJP
【FI】
H01L21/52 G
(21)【出願番号】P 2023001158
(22)【出願日】2023-01-06
【審査請求日】2023-01-06
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514019132
【氏名又は名称】萬潤科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ チュン ホン
(72)【発明者】
【氏名】ワン アン ティェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン コアン リン
(72)【発明者】
【氏名】リー シー ミン
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/105104(WO,A1)
【文献】特開2009-026904(JP,A)
【文献】特開2006-352054(JP,A)
【文献】特開2005-310878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルキャリアテープに剥離可能に接着され、且つ、カバーテープに覆われてテープアセンブリを形成する複数の接着パッドをベース部材に接着する接着装置であって、
搬送手段と、
前記搬送手段に取り付けられて前記接着パッドを前記ベース部材の上表面に接着する接着手段と、を備え、
前記接着手段は、前記テープアセンブリが配置される供給リールと、接着ヘッドとを有するように構成されており、
前記テープアセンブリの前記供給リールから引き出された部分である操作部が供給経路に供給され、
前記接着ヘッドは、前記供給経路に配置されて前記操作部を入力側と出力側に仕切るように構成され、
前記接着ヘッドが作動されて前記テープアセンブリの前記入力側に移動する際、前記接着パッドの1つの表面側が前記キャリアテープから離れると共に、該接着パッドの他の1つの表面側が前記ベース部材の前記上表面に接着され、
前記接着パッドの1つの表面側が前記接着ヘッドに当接することにより、前記キャリアテープと前記接着パッドとを前記ベース部材に押圧する前記接着ヘッドの下向きの移動の結果として、
前記接着ヘッドは
、前記供給リールのリール軸を回転軸として回転し
て作業位置から接着位置
に移動
する、ことを特徴とする接着装置。
【請求項2】
前記接着手段は縦接着台を有し、前記リール軸は前記縦接着台の一側に配置されていると共に、所定のY方向に沿って回転可能に前記縦接着台を通過し、且つ、前記縦接着台の反対側に取り付けられた位置決め台に取り付けられている上、前記位置決め台の一側に取り付けられるドライバーにより断続的に回転駆動されるように構成されており、
前記搬送手段は、縦リール台を有するリールアセンブリを有し、前記位置決め台が前記縦リール台に固定されることにより、前記接着手段は前記縦リール台と共に移動することを特徴とする請求項1に記載の接着装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、縦搬送台と、前記縦搬送台に対して移動可能に前記縦搬送台に取り付けられるリールアセンブリと、を有しており、
前記リールアセンブリは、縦リール台と、回転可能に前記縦リール台に取り付けられて前記カバーテープと前記接着パッドとが引き剥がされたキャリアテープを巻き取る第1のリールと、回転可能に前記縦リール台に取り付けられて前記キャリアテープから引き剥がされた前記カバーテープを巻き取る第2のリールと、を有するように構成されており、
前記接着手段は、前記供給リールが回転可能に取り付けられる縦接着台を有し、前記縦接着台は前記縦リール台に移動可能に構成され、且つ、前記第1のリールと前記第2のリールを前記供給リールに対して移動できないように保持する、ことを特徴とする請求項1に記載の接着装置。
【請求項4】
前記リールアセンブリは、前記接着手段に連結して前記リールアセンブリの所定のZ方向における移動に対応して前記接着手段を移動させるドライバーもしくは弾力部材を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の接着装置。
【請求項5】
前記接着手段は、前記供給リールと前記接着ヘッドとの間に配置されるシフトレバーを有し、前記シフトレバーがドライバーにより作動されると、所定のZ方向に沿って移動して前記テープアセンブリの前記操作部を押圧して前記入力側にある前記操作部を水平状態に移行させる、ことを特徴とする請求項1に記載の接着装置。
【請求項6】
前記接着ヘッドは、前記回転軸を中心として互いに反対する第1のトルク及び第2のトルクを受けて移動し、前記第1のトルクにより動かされる前記接着ヘッドの回転運動は調整可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の接着装置。
【請求項7】
前記接着ヘッドは円柱状に形成されて、前記テープアセンブリの前記操作部を通す下側入力経路と、前記テープアセンブリの前記操作部を通す上側出力経路との交差点に配置されており、前記下側入力経路と前記上側出力経路は90度未満の角度で互いに交差し、前記接着ヘッド及び前記リール軸を通過する線は、前記リール軸を通過し、且つ、所定のZ軸方向に延伸する縦線と45度~90度の範囲内にある角度を成す、ことを特徴とする請求項2に記載の接着装置。
【請求項8】
フレキシブルキャリアテープに剥離可能に接着され、且つ、カバーテープに覆われてテープアセンブリを形成する複数の接着パッドをベース部材に接着する接着設備であって、
前記ベース部材を保持して所定のX方向に沿って延伸する搬送経路を有する供給及び保持枠と、
前記搬送経路に取り付けられ、且つ、所定のY方向に移動可能に構成されたサスペンディングキャリアを有する搬送レール手段と、
前記サスペンディングキャリアと共に移動できるように前記サスペンディングキャリアに配置され、前記サスペンディングキャリアに対して前記X方向に沿って前記接着パッドを前記ベース部材の上表面に接着させる接着装置と、を備えており、
前記接着装置は、前記テープアセンブリが配置される供給リールと、接着ヘッドとを有するように構成されており、
前記テープアセンブリの前記供給リールから引き出された部分である操作部が供給経路に供給され、
前記接着ヘッドは、前記供給経路に配置されて前記操作部を入力側と出力側に仕切るように構成され、
前記接着ヘッドが作動されて前記テープアセンブリの前記入力側に移動する際、前記接着パッドの1つの表面側が前記キャリアテープから離れると共に、該接着パッドの他の1つの表面側が前記ベース部材の前記上表面に接着され、
前記接着パッドの1つの表面側が前記接着ヘッドに当接することにより、前記キャリアテープと前記接着パッドとを前記ベース部材に押圧する前記接着ヘッドの下向きの移動の結果として、
前記接着ヘッドは
、前記供給リールのリール軸を回転軸として回転し
て作業位置から接着位置
に移動
する、ことを特徴とする接着設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着設備に関し、特に、接着パッドをベース部材に接着する接着設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のICパッケージ処理では、基板に接着剤を塗布し、ダイを基板に接着し、サーマルグルーをダイに塗布してから、基板とダイを覆う放熱シンクを装着する工程が行われる。また、サーマルグルーを塗布する代わりに、熱伝導材により作成された熱伝導パッドを用いる方法もある。この場合、熱伝導パッドの下表面側にあるカバーフィルムを引き剥がしてその下表面側をダイの上表面に接着してから、熱伝導パッドの上表面側にあるカバーフィルムを引き剥がして放熱シンクをその上表面に接着する。しかし、このような熱伝導パッドを手動で接着するプロセスは大量生産には不向きであり、また製品の品質が損なわれることにもつながる。
【0003】
一方、例えば特許文献1には、熱伝導パッドを基板にあるダイの上表面に自動接着する接着方法及び接着設備が開示されている。該従来の接着方法及び接着設備は、熱伝導パッドが接着されたキャリアテープに回転する円柱状の接着ヘッドを当てることにより熱伝導パッドをベース部材に接着させてから、接着ヘッドが元の位置に戻ると共に、キャリアテープを熱伝導パッドから引き剥がすという2段階の工法が取られているので、更なる効率向上の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、従来技術の少なくとも1つの欠点を解決する接着装置及び該接着装置を有する接着設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明は、フレキシブルキャリアテープに剥離可能に接着された上、カバーテープに覆われてテープアセンブリを形成する複数の接着パッドをベース部材に接着する接着装置であって、搬送手段と、前記搬送手段に取り付けられて前記接着パッドを前記ベース部材の上表面に接着する接着手段と、を備え、前記接着手段は、前記テープアセンブリが配置される供給リールと、接着ヘッドとを有するように構成されており、前記テープアセンブリの前記供給リールからから引き出された部分である操作部が供給経路に供給され、前記接着ヘッドは、前記供給経路に配置されて前記操作部を入力側と出力側に仕切るように構成され、前記接着ヘッドが作動されて前記テープアセンブリの前記入力側に移動する際、前記接着パッドの1つの表面側が前記キャリアテープから離れると共に、該接着パッドの他の1つの表面側が前記ベース部材の前記上表面に接着される、ことを特徴とする接着装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、フレキシブルキャリアテープに剥離可能に接着され、且つ、カバーテープに覆われてテープアセンブリを形成する複数の接着パッドをベース部材に接着する接着設備であって、前記ベース部材を保持して所定のX方向に沿って延伸する搬送経路を有する供給及び保持枠と、前記搬送経路に取り付けられ、且つ、所定のY方向に移動可能に構成されたサスペンディングキャリアを有する搬送レール手段と、前記サスペンディングキャリアと共に移動できるように前記サスペンディングキャリアに配置され、前記サスペンディングキャリアに対して前記X方向に沿って前記接着パッドを前記ベース部材の前記上表面に接着させる接着装置と、を備えており、前記接着装置は、前記テープアセンブリが配置される供給リールと、接着ヘッドとを有するように構成されており、前記テープアセンブリの前記供給リールから引き出された部分である操作部が供給経路に供給され、前記接着ヘッドは、前記供給経路に配置されて前記操作部を入力側と出力側に仕切るように構成され、前記接着ヘッドが作動されて前記テープアセンブリの前記入力側に移動する際、前記接着パッドの1つの表面側が前記キャリアテープから離れると共に、該接着パッドの他の1つの表面側が前記ベース部材の前記上表面に接着される、ことを特徴とする接着設備をも提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の接着設備は、X方向に延伸する搬送経路を有し、且つベース部材を供給/保持する供給及び保持枠と、前記搬送経路の上方に配置されてY方向に移動できるサスペンディングキャリアを有する搬送レール手段と、を備え、前記接着装置は、前記サスペンディングキャリアと共に移動するように該サスペンディングキャリアに配置され、且つ、前記サスペンディングキャリアに対してX方向に移動して接着パッドをベース部材の上表面に接着するので、従来の接着方法及び接着設備より高い効率を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】チップパッケージ構造が示される模式図である。
【
図2】ベース部材及び熱伝導パッドが示される模式図である。
【
図4】本発明の実施形態の接着設備が示される斜視図である。
【
図5】同実施形態における固定具及び該固定具の操作手段が示される模式図である。
【
図6】同実施形態における接着装置が示される分解斜視図である。
【
図7】同接着装置における搬送手段が示される分解斜視図である。
【
図8】同接着装置における接着手段が示される斜視図である。
【
図9】同接着装置における接着手段の他の角度の斜視図である。
【
図11】テープアセンブリが取り付けられた同接着装置の斜視図である。
【
図12】テープアセンブリが取り付けられた同接着装置の前面模式図である。
【
図13】テープアセンブリの入力経路と出力経路が示される模式図である。
【
図14】シフトレバーがテープアセンブリを押圧する様子が示される模式図である。
【
図15】他の実施形態の接着装置におけるガイドホイールが示される一部拡大斜視図である。
【
図16】同実施形態における接着手段が示される一部拡大斜視図である。
【
図17】更に他の実施形態の接着設備が示される斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
具体的説明に入る前に、本発明において同じ役割を担う構成要素に関しては、全く同じものでなくても、同じ符号が振り分けられている。また、以下の説明における「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」、「X方向」、「Y方向」、「Z方向」などの用語は、各部材の間の相対的位置関係をわかりやすく説明するために用いられるものであり、本発明の構成を限定するものではない。
【0011】
図1に示されるように、本発明の接着設備は、ベース部材Aにパッドを接着するものであり、ベース部材Aとしては、例えばウェハA1に配置されるダイである。ウェハA1は、ウェハA1を囲む包囲枠A3を有するフィルムA2に配置される。ウェハA1は、行列に配置される複数のベース部材Aに分割される。複数のベース部材Aは、互いに離れるように水平面に配置される。パッド接着処理においては
図2に示されるように、例えば熱伝導パッドとしての接着パッドA4が、各ベース部材Aの上表面に接着される。
【0012】
図3に示されるように、1つの実施形態では、複数の接着パッドA4が所定の長さ方向に沿って配列するように剥離可能にフレキシブルキャリアテープA41(以下単に「キャリアテープ」とも)に接着され、且つ、カバーテープA42により覆われている。すなわち、キャリアテープA41とカバーテープA42との間に各接着パッドA4が挟まれ、且つ、前記長さ方向において隣接する接着パッドA4同士は間を開けて配列されている。各接着パッドA4の2つの表面側はそれぞれ剥離可能にキャリアテープA41とカバーテープA42とに接着されている。キャリアテープA41の両側周縁の近くに、それぞれ1列のピンホールA411が形成され、且つ、該2列のピンホールA411の間の距離は、接着パッドA4の幅より広くなっており、各接着パッドA4は、該2列のピンホールA411の間に対応する箇所で、キャリアテープA41に接着されている。このキャリアテープA41は軸孔A431を有するスリーブA43に巻き付けられてテープアセンブリA44を構成する。
【0013】
図4に示されるように、接着設備の1つの実施形態としては、マシンベース100と、X方向に沿って延伸してベース部材Aの供給及び保持を行う搬送経路10を有する供給及び保持枠1と、搬送経路10の上方に配置されていると共に、Y方向に沿って移動できるサスペンディングキャリア22を有する搬送レール手段2と、接着装置3と、下検知ユニット4と、を備えている。
【0014】
供給及び保持枠1は固定具11を有する。固定具11が有する複数の吸引部111は、同一の円心を共有する複数の環状溝であり、且つ、負圧を提供することで吸引効果を発揮する。供給及び保持枠1は、Y方向において互いに離間する2つの側面フレーム12と、各側面フレーム12にそれぞれ配置されて対応する側面フレーム12と共に合計2つのレール14を構成する2つのベルト13と、を有する。搬送経路10はこの2つのレール14の間に構成され、
図1に示される包囲枠A3及びウェハA1を有するフィルムA2をX方向に沿って搬送して固定具11に供給する。フィルムA2は固定具11の吸引部111により保持されて固定具11と共にZ方向に沿って移動する。
【0015】
搬送レール手段2はX方向において互いに離間して搬送経路10と交差する2つのガントリークレーン21を有する。
【0016】
各ガントリークレーン21はZ方向に沿って延伸し、且つ搬送経路10の両側に配置される2つの支持脚211と、Y方向に沿って延伸するように2つの支持脚211に支持されるサスペンディングビーム212と、を有する。サスペンディングビーム212には、例えばリニアモーターにより構成されるY軸ドライバー213が配置される。サスペンディングキャリア22はX方向に沿って延伸するようにサスペンディングビーム212に配置される。サスペンディングキャリア22は、両端がそれぞれY軸ドライバー213による駆動されることにより、サスペンディングビーム212に対してY方向に沿って移動する。サスペンディングキャリア22には、例えばリニアモーターにより構成されるX軸ドライバー221が配置される。
【0017】
接着装置3は供給及び保持枠1の上方において、移動可能にサスペンディングキャリア22に配置される。接着装置3はX軸ドライバー221の駆動により、X方向に沿ってサスペンディングキャリア22に対して移動し、接着パッドA4の接着を実行する。
【0018】
下検知ユニット4は上方に向かって撮影するレンズとイメージセンサー(例えばCCD)を有する画像取り込み部41と、画像取り込み部41に隣接するように配置された光源42と、を有する。
【0019】
図4と
図5に示されるように、固定具11は吸引部111により保持されるベース部材A(
図1参照)を間接的に加熱する加熱部材112を有する。台座113は複数の垂直スペーサー1131を有する。これら複数の垂直スペーサー1131は固定具11が支持されるように配置されると共に、マシンベース100の下方に配置される移動部材114が有する複数の回転シャフト1141と共に移動するように構成されている。マシンベース100に配置される位置決め部材115が有する複数の回転スリーブ1151には、各回転シャフト1141が移動可能に挿通されている。
【0020】
位置決め部材115は複数のサポート部材1161により位置決め台116に固定されている。例えばモータにより構成されるドライバー117は位置決め台116の下側に配置され、且つ、スクリューシャフト1171を回転駆動することにより、移動部材114をZ方向に沿って移動させて台座113及び固定具11の移動を駆動する。
【0021】
図6に示されるように、接着装置3は搬送手段31と搬送手段31に配置されて搬送手段31と共に移動して接着パッドA4の接着処理を実行する接着手段32とを有する。
【0022】
図6と
図7に示されるように、搬送手段31は板状の縦搬送台311と、縦搬送台311がZ方向に沿って可動的に取り付けられている縦レール台312と、縦搬送台311に対してX方向に沿って移動可能に縦搬送台311に取り付けられるリールアセンブリ313と、縦搬送台311に配置されていると共に、該縦搬送台311の縦レール台312に対する偏位を駆動する偏位校正アセンブリ314と、を有する。
【0023】
縦搬送台311はいずれもX方向に沿って延伸し、且つ、Z方向において互いに離間する2つのスライドレール3111と、該2つのスライドレール3111の間に配置され、且つ、ドライバー3112により駆動されるスクリューボルト3113と、を有する。縦搬送台311は通過作業空間3114と、通過作業空間3114の一側に配置されるサポートブラケット3115と、を有する。サポートブラケット3115は縦搬送台311から突起し、且つ、通過作業空間3114の上側及び下側にそれぞれ位置する2つの回転突起31151と、Z方向に沿って延伸して該2つの回転突起31151に接続される回転シャフト31152と、を有する。縦搬送台311は更に上検知ユニット3116を有する。上検知ユニット3116は下方に向かって撮影するレンズとイメージセンサーを有する画像取り込み部31161と、画像取り込み部31161の下方に配置される光源31162と、を有する。
【0024】
縦レール台312は搬送レール手段2のサスペンディングキャリア22に配置されると共に、Z方向に沿って延伸する2つのスライドレール3121と、駆動モーター3122により駆動されてスライドレール3121に沿って移動するスライドシート3123と、を有する。スライドシート3123はY方向に沿って縦搬送台31の通過作業空間3114を貫通し、且つ、回転シャフト31152が回転可能に取り付けられることにより、縦搬送台311を保持しながらZ方向に移動することができる突起シート3124を有する。
【0025】
リールアセンブリ313は、縦搬送台311のスライドレール3111に沿って移動可能にスライドレール3111に取り付けられてスクリューボルト3113と共にX方向に沿って移動する板状の縦リール台3131と、回転可能に縦リール台3131に取り付けられてカバーテープA42と接着パッドA4とが引き剥がされるキャリアテープA41(
図3参照)を巻き取る第1のリール3132と、回転可能に縦リール台3131に取り付けられてキャリアテープA41から引き剥がされたカバーテープA42を巻き取る第2のリール3133と、を有する。更に、リールアセンブリ313は、Z方向に沿って作動する例えば空気シリンダーであるドライバー3134と、例えば圧縮ばねである弾力部材3135と、を有する。
【0026】
偏位校正アセンブリ314は、駆動モーター3141と、駆動モーター3141により駆動される四節リンク機構により構成されるリンケージ手段3142と、を有する。駆動モーター3141の出力端に固定バー31421が取り付けられ、固定バー31421に平行する可動バー31422に形成される軸孔31423に取り付けられる回転シャフト31152はZ方向に沿って延伸する。駆動モーター3141のX方向の両側にそれぞれ配置される2つの保持具3143が、縦レール台312が有する突起シート3124の両側にそれぞれ固定されることにより、偏位校正アセンブリ314は突起シート3124と共に移動する。
【0027】
図8と
図9に示されるように、接着手段32は板状の縦接着台321と、回転可能に縦接着台321の一側に取り付けられる供給リール322と、縦接着台321の前記一側の反対側に取り付けられる位置決め台323と、を有する。テープアセンブリA44は供給リール322(
図11参照)に配置され、テープアセンブリA44の供給リール322から引き出された部分である操作部が操作されて供給経路に供給される。供給リール322はY方向に沿って回転可能に縦接着台321を通過し、且つ、位置決め台323に取り付けられているリール軸3221を有する。リール軸3221は位置決め台323に配置される例えばモータであるドライバー3231により断続的に回転駆動される。また、位置決め台323はリールアセンブリ313(
図7参照)が有する縦リール台3131の下部に固定装着されており、これにより、接着手段32はX方向に沿ってリールアセンブリ313と共に移動することができる。また、縦接着台321は、第1のリール3132及び第2のリール3133が供給リール322に対して移動不能に保持されている際において、リール軸3221の回転軸を中心として位置決め台323及び縦リール台3131(
図7参照)に対して揺動することができる。更に、接着手段32は縦接着台321(
図9参照)の下部にシフトレバー324を有する。シフトレバー324は縦接着台321からY方向に沿って供給リール322から離れるように延伸する。シフトレバー324は縦接着台321に配置される例えば空気シリンダにより構成されたドライバー3241により駆動され、Z方向に沿って縦接着台321に対して移動して供給リール322から離れる。更に、縦接着台321の一側に配置される調整部材3211は供給リール322に隣接し、且つ、縦雄ねじ部を有する。接着手段32は更に縦接着台321の供給リール322と同じ側に配置されるキャリアブラケット325を有する。
【0028】
図10に示されるように、キャリアブラケット325は、テープアセンブリA44の操作部を通す下側入力経路3251と、テープアセンブリA44の操作部を通す上側出力経路3252とを画成するように構成されている。具体的には、下側入力経路3251には複数の変換ローラー3253が取り付けられ、上側出力経路3252には1つの変換ローラー3254が取り付けられている。縦接着台321には、Y方向に延伸するガイドホイール326が上側出力経路3252に位置するように配置されている。ガイドホイール326は2つの端面に2つの包囲ピン部3261を有し、そして該2つの包囲ピン部3261の間に回転部3262が配置されている。ガイドホイール326は駆動モーター3263により回転駆動される。テープ押さえブラケット327がガイドホイール326に隣接するように配置される。テープ押さえブラケット327は矩形状であり、Y方向に沿って延伸する中央シャフト3272と、中央シャフト3272の両端部にそれぞれ取り付けられると共に、2つの包囲ピン部3261に対応する2つのホイールスリーブ3271と、中央シャフト3272の両側にそれぞれ配置されてY方向に延伸する2つの押圧シャフト3273と、を有する。中央シャフト3272の両端部には2つの連結具3274が配置されている。縦接着台321の隣にある1つの連結具3274が縦接着台321にある2つのスライドレール3275に沿ってスライド可能なスライダー3276に固定されることにより、テープ押さえブラケット327はガイドホイール326から放射状に離れ/接近することができる。また、この連結具3274の内側に配置される係合ピン3277は、縦接着台321にある2つのスライドレール3275の間に形成されたロック孔3278内に弾性的に挿入することによって、テープ押さえブラケット327をガイドホイール326の近くに維持することができる。
【0029】
キャリアブラケット325は、供給スペース3255を挟んで縦接着台321から離れている側面装着部3256と、側面装着部3256と縦接着台321との間に配置される複数の交差部材3257と、を有する。変換ローラー3253も側面装着部3256と縦接着台321との間に配置されている。複数の交差部材3257のうち、最も上方に位置する1つは、第1の接続部材32571及び第2の接続部材32572を有し、ドライバー3134が有するシリンダピストン31341の下端と、弾力部材3135(
図7参照)の下端とが、それぞれ第1の接続部材32571と第2の接続部材32572とに接続することで、接着手段32をリールアセンブリ313に接続し、リールアセンブリ313の移動に対応して接着手段32をZ方向に移動させる。更に、接着手段32はキャリアブラケット325の供給リール322(
図8参照)から離れた端部に配置される装着ブラケット328を有する。装着ブラケット328には、円棒状に形成されてY方向に延伸する接着ヘッド3281が取り付けられている。接着ヘッド3281は供給経路内にあると共に供給スペース3255内に配置され、且つ、下側入力経路3251と上側出力経路3252との交差点に位置する。下側入力経路3251と上側入力経路3252は90度未満の角度で互いに交差している。
【0030】
図11~
図13に示されるように、接着手段32が有する縦接着台321はリール軸3221の回転軸を中心として揺動可能である。
【0031】
図12に示されるように、通常状態では、接着ヘッド3281はZ方向に沿ってリール軸3221を通過する縦線Zの、時計方向の左側に配置されている。接着ヘッド3281及びリール軸3221を通過する線Lは、縦線Zと45度~90度の範囲内にある角度θを成すように交差する。ドライバー3134が有するシリンダピストン31341は、リール軸3221と間を開けて、接着手段32をリール軸3221から見る反時計方向の下方への第1のトルクを接着ヘッド3281に与えるように押して作動することにより、調整部材3211を縦リール台3131の下端縁に当接させる。この段階では、接着ヘッド3281はリール軸3221から見る時計方向の作業位置3282の下方に位置する。この際、圧縮ばねである弾力部材3135は接着手段32の一部の重量をサポートする。従って、弾力部材3135はリール軸3221から見る時計方向の第2のトルクを接着ヘッド3281に与える。第1のトルクは第2のトルクに反対する。第1のトルクによる接着ヘッド3281の変位は作業位置の高さを決定し、そしてこの作業位置は調整部材3211により調整可能である。
【0032】
テープアセンブリA44が供給リール322に巻き付けられる際、カバーテープA42はキャリアテープA41から引き剥がされて第2のリール3133に巻き付けられる。キャリアテープA41は、接着パッドA4が下方に面しながら、下側入力経路3251に沿って各変換ローラー3253及び接着ヘッド3281を通過してから上側出力経路3252に沿ってガイドホイール326の包囲ピン部3261を通過するように供給され、第1のリール3132に巻き付けられる。
図11に示されるように、押圧シャフト3273はガイドホイール326を通過するキャリアテープA41を押さえつけるように作動する。
【0033】
図4、
図12、
図13に示されるように、接着処理において上検知ユニット3116が下方に向かってベース部材Aの画像を撮影してから、接着装置3が下検知ユニット4に接近することで、下検知ユニット4は上方に向かってキャリアテープA41の下側にある接着パッドA4を検知する。接着パッドA4の画像を撮影する処理においては、
図14に示されるように、供給リール322と接着ヘッド3281との間に配置されるシフトレバー324は、キャリアテープA41の操作部を下側入力経路3251に沿って下方へ押圧することでキャリアテープA41の操作部を入力側において斜め状態から水平状態(点線参照)に移行させる。従って、下検知ユニット4は接着パッドA4の姿勢を精確に検知することができる。続いて、シフトレバー324は上方に移動して元の位置に戻り、キャリアテープA41は斜め状態(場合により、キャリアテープA41を水平状態に維持することも可能である)に戻る。ベース部材Aの姿勢と接着パッドA4との間に偏位が存在することを上検知ユニット3116と下検知ユニット4とにより検知された場合、偏位校正アセンブリ314は縦搬送台311を縦レール台312に対して斜め且つ水平に移動することで接着ヘッド3281を偏位させて接着パッドA4の姿勢をベース部材Aに対応するように校正する。
【0034】
次いで、
図12と
図13に示されるように、縦レール台312は縦搬送台311を下方に駆動してリールアセンブリ313と接着手段32とをベース部材Aの上方にある所定の位置に移動する。この段階では、接着パッドA4の1つの表面側は作業位置にある接着ヘッド3281と位置が揃って且つ接着ヘッド3281に当接している。キャリアテープA41と接着パッドA4とをベース部材Aに押圧する接着ヘッド3281のZ方向に沿う下向きの移動の結果として発生する上方に向かう反力により、ドライバー3134のシリンダピストン31341を少し上昇させて下方への押圧力を緩和し、接着ヘッド3281を時計方向で上方に向けさせて接着位置3283に移動させることができる。この段階では、調整部材3211は縦リール台3131から離れている。従って、キャリアテープA41の操作部は接着ヘッド3281を通過し、接着ヘッド3281により下側入力経路3251にある入力側と、上側出力経路3252側にある出力側とに仕切られる。
【0035】
キャリアテープA41の供給移動が下側入力経路3251で止まり、そしてリールアセンブリ313の縦リール台3131は、X方向においてスライドレール3111(
図7参照)に沿って移動して第1のリール3132と第2のリール3133と接着手段32とをX方向に沿って移動させる。接着ヘッド3281は転がりながらX方向に移動してキャリアテープA41を通過し、キャリアテープA41の下方にある接着パッドA4を間接的に押圧し、上側出力経路3252に隣接する側から下側入力経路3251の反対側に転がる。この段階では、ガイドホイール326及び第1のリール3132はキャリアテープA41を巻き取り、そして接着パッドA4はキャリアテープA41により接着ヘッド3281の下側に搬送される。従って、キャリアテープA41が下側入力経路3251から上側出力経路3252へ移動される際、接着パッドA4の1つの表面側がキャリアテープA41から離れる一方、該接着パッドA4の他の1つの表面側はベース部材Aの上表面に接着される。
【0036】
図15と
図16に示されるように、本発明の変化例において、接着設備はキャリアテープG及び接着パッドを有するテープアセンブリを備える。例えば、キャリアテープはピンホールが形成されておらず、そして比較的に幅狭く形成されている。空気シリンダにより構成されたドライバー51は、ガイドホイール326に隣接するように縦接着台321に配置されている。テープ押圧部材52は、ドライバー51により駆動されて回転部3262を通過するキャリアテープGに当接して押圧することで押圧ローラー521を有する。上側出力経路3252に位置するように装着ブラケット328に配置される安定部材53は、下側入力経路3251から供給されるキャリアテープGが通過できる通路531を有する。キャリアテープGは接着ヘッド3281の下方及び通路531を通過して上側出力経路3252に供給される。
【0037】
図17に示されるように、他の実施形態では接着設備は接着パッドを基板H1のダイH2に接着させるものである。
図4に示されるように、接着設備は搬送レール手段2と上記の実施例に類似する接着装置3とを備える。接着設備が有する2つの供給及び保持枠6は、X方向において互いに離間するようにマシンベース100に配置されている。各供給及び保持枠6は、固定具61を有する。固定具61は複数の矩形の吸引部611を有し、いずれも負圧を提供できるように構成されている。各供給及び保持枠6は、いずれもX方向において互いに離間する2つの側面フレーム62と、2つの側面フレーム62にそれぞれ配置された2つのベルト63と、を有する。各側面フレーム62及び該側面フレーム62に配置されるベルト63は、共に2つのレール64を画成する。この2つのレール64の間にY方向に延伸する搬送経路60が形成される。搬送経路60によりダイH2を有するベース部材Hを搬送して固定具61において基板H1に接着することができる。ベース部材Hは固定具61の吸引部611に保持され、固定具61と共にZ方向に移動できる。2つの供給及び保持枠6の先端に配置される可動レールブラケット7は、X方向に沿ってX方向レール台8を移動可能である。可動レールブラケット7は、X方向において互いに離間する2つの側面フレーム71と、2つの側面フレーム71にそれぞれ配置されている2つのベルト72と、を有する。2つのベルト72は、それぞれ対応の側面フレーム71と共に合計2つのレール73を画成する。2つのレール73の間に形成される搬送経路70はY方向に延伸する。可動レールブラケット7は搬送経路70に沿って、いずれか1つの供給及び保持枠6が有する搬送経路60と共に移動する。下検知ユニット4は、供給及び保持枠6が有する搬送経路60の間に配置され、且つ光源42の上方に選択的に移動して上検知ユニット3116を下検知ユニット4に配列させる可動配列台43を有する。
【0038】
図示されるように、接着ヘッド3281は供給経路に配置されてキャリアテープA41の操作部を入力側と出力側とに仕切る。接着ヘッド3281は供給リール322が有するリール軸3221の回転軸に対して斜めに移動して作業位置3282に到達する。接着パッドA4はキャリアテープA41から離れてベース部材Aに接着される。従って、キャリアテープA41が供給される際、接着ヘッド3281により、接着パッドA4はキャリアテープA41から離れると共にベース部材Aに接着されるので、接着効率のために接着ヘッド3281を往復回転させる必要はない。
【0039】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 供給及び保持枠
10 搬送経路
100 マシンベース
11 固定具
111 吸引部
112 加熱部材
113 台座
1131 垂直スペーサー
114 移動部材
1141 回転シャフト
115 位置決め部材
1151 回転スリーブ
116 位置決め台
1161 サポート部材
117 ドライバー
12 側面フレーム
13 ベルト
14 レール
2 搬送レール手段
21 ガントリークレーン
211 支持脚
212 サスペンディングビーム
213 Y軸ドライバー
22 サスペンディングキャリア
221 X軸ドライバー
3 接着装置
31 搬送手段
311 縦搬送台
3111 スライドレール
3112 ドライバー
3113 スクリューボルト
3114 通過作業空間
3115 サポートブラケット
31151 回転突起
31152 回転シャフト
3116 上検知ユニット
31161 画像取り込み部
31162 光源
312 縦レール台
3121 スライドレール
3122 駆動モーター
3123 スライドシート
3124 突起シート
313 リールアセンブリ
3131 縦リール台
3132 第1のリール
3133 第2のリール
3134 ドライバー
31341 シリンダピストン
3135 弾力部材
314 偏位校正アセンブリ
3141 駆動モーター
3142 リンケージ手段
31421 固定バー
31423 軸孔
3143 保持具
32 接着手段
321 縦接着台
3211 調整部材
322 供給リール
3221 リール軸
323 位置決め台
3231 ドライバー
324 シフトレバー
3241 ドライバー
325 キャリアブラケット
3251 下側入力経路
3252 上側出力経路
3253 変換ローラー
3254 変換ローラー
3255 供給スペース
3256 側面装着部
3257 交差部材
32571 第1の接続部材
32572 第2の接続部材
326 ガイドホイール
3261 包囲ピン部
3262 回転部
3263 駆動モーター
327 テープ押さえブラケット
3271 ホイールスリーブ
3272 中央シャフト
3273 押圧シャフト
3274 連結具
3275 スライドレール
3276 スライダー
3277 係合ピン
3278 ロック孔
328 装着ブラケット
3281 接着ヘッド
3282 作業位置
4 下検知ユニット
41 画像取り込み部
42 光源
43 可動配列台
51 ドライバー
52 テープ押圧部材
521 押圧ローラー
53 安定部材
531 通路
6 供給及び保持枠
60 搬送経路
61 固定具
611 吸引部
62 側面フレーム
63 ベルト
64 レール
7 可動レールブラケット
71 側面フレーム
72 ベルト
73 レール
8 X方向レール台
A ベース部材
A1 ウェハ
A2 フィルム
A3 包囲枠
A4 接着パッド
A41 フレキシブルキャリアテープ
A411 ピンホール
A42 カバーテープ
A43 スリーブ
A431 軸孔
A44 テープアセンブリ
G キャリアテープ
H1 基板
H2 ダイ