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7628770半乾燥葉菜及び半乾燥の山椒の実、並びに半乾燥葉菜の製造方法及び半乾燥の山椒の実の製造方法
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  • -半乾燥葉菜及び半乾燥の山椒の実、並びに半乾燥葉菜の製造方法及び半乾燥の山椒の実の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】半乾燥葉菜及び半乾燥の山椒の実、並びに半乾燥葉菜の製造方法及び半乾燥の山椒の実の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/02 20060101AFI20250204BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20250204BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20250204BHJP
   A23B 7/06 20060101ALI20250204BHJP
   A23B 7/08 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
A23B7/02
A23L27/10 C
A23L19/00 A
A23B7/06
A23B7/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020021666
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021126060
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000116297
【氏名又は名称】ヱスビー食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】神川 美樹
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 司
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-313109(JP,A)
【文献】特開2018-201488(JP,A)
【文献】特開平02-257827(JP,A)
【文献】特表平10-510713(JP,A)
【文献】特開昭62-210946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B
A23L
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水率が20重量%から45重量%、
水分活性が0.85以下、
一般生菌数が10000cfu/g以下、
である加熱処理済の半乾燥葉菜。
【請求項2】
更に、糖質を含む、
請求項1に記載の半乾燥葉菜。
【請求項3】
葉菜がハーブである、
請求項1又は2に記載の半乾燥葉菜。
【請求項4】
含水率が20重量%から5重量%、
水分活性が0.85以下、
一般生菌数が10000cfu/g以下、
である加熱処理済の半乾燥の山椒の実。
【請求項5】
含水率が15重量%以下となるまで、生鮮葉菜を乾燥させた乾燥葉菜を得るステップと、
前記乾燥葉菜を容器に収容し含水率が20重量%から45重量%、および水分活性が0.85以下となるまで、前記乾燥葉菜に水を添加するステップと、
前記乾燥葉菜を収容した容器を加熱するステップと、
を含む一般生菌数が10000cfu/g以下の加熱処理済みの容器入り半乾燥葉菜の製造方法。
【請求項6】
前記乾燥葉菜を得るステップに先立ち、下記(1)及び(2)の少なくとも一方のステップを更に含む請求項に記載の半乾燥葉菜の製造方法。
(1)60℃以上に加熱したブランチング溶液を用いて、前記生鮮葉菜をブランチングするステップ。
(2)前記生鮮葉菜を糖漬するステップ。ただし、前記(1)のステップを行う場合、前記(2)のステップは、前記(1)のステップより後に行われる。
【請求項7】
含水率が15重量%以下となるまで、生鮮の山椒の実を乾燥させて乾燥の山椒の実を得るステップと、
前記乾燥の山椒の実を容器に収容し含水率が20重量%から5重量%、および水分活性が0.85以下となるまで、前記乾燥の山椒の実に水を添加するステップと、
前記乾燥の山椒の実を収容した容器を加熱するステップと、
を含む一般生菌数が10000cfu/g以下の加熱処理済みの容器入り半乾燥の山椒の実の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半乾燥葉菜及び半乾燥の山椒の実、並びに半乾燥葉菜の製造方法及び半乾燥の山椒の実の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮野菜や生鮮果実(以下、「生鮮野菜等」)は、新鮮且つ栄養素を豊富に含むため、単品又は各種料理の具材として従来から提供されている。これに対して、生鮮野菜等に欠ける保存性・安定供給性を補うため、あるいは即席食品等の加工食品に含まれる具材としての利用を図るため、生鮮野菜等を乾燥させた乾燥野菜・乾燥果実(以下、「乾燥野菜等」)や生鮮野菜等を凍結させた冷凍野菜・冷凍果実(以下、「冷凍野菜等」)が提供されている。
【0003】
ところで、乾燥野菜等は、乾燥処理に伴う含有水分の蒸散によって、生鮮野菜等に比べて脆く硬化した状態に変質している。そのため、水戻し処理を経なければ、所望の食味・食感は呈されない。また、保存環境の影響による品質変化に伴い、水戻しされても、生鮮野菜等に近い味や香りの風味や歯ごたえなどの食感は復元されない。
【0004】
このような状況下、生鮮野菜等と乾燥野菜等の双方の利点を有する商品が望まれるところ、長期保存性を有し、加工処理中に機能性成分とうまみ成分とが濃縮されて生鮮野菜等と同様の形で喫食可能な半乾燥野菜の製造方法が、下記特許文献1に開示されている。
【0005】
それとは異なり、生鮮のハーブを真空包装し且つ冷凍保存することで、鮮やかな見た目と長期保存性を有する生ハーブの保存方法及び真空冷凍生ハーブが、下記特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-151939号公報
【文献】特開2010-88326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される半乾燥野菜等の製造方法は、成型して塩素剤などの除菌剤で洗浄・除菌した野菜類を30から50℃で、5から10分加熱して、硬度と機能性並びにうまみ成分を付与する第1の蒸気加熱工程、55から80℃で、3から30分加熱して除菌する第2の蒸気加熱工程、次いで0から30℃に冷却した後、20から100℃の温風を通風して野菜類の水分を15から70%除去する乾燥工程、乾燥させた野菜類を0から15℃に冷却工程を含む。
【0008】
しかしながら、特許文献1によれば、この製造方法により得られる半乾燥野菜等は、従来の乾燥野菜等と同様、最終的に水戻し処理を行わなければ生鮮野菜等に近い状態まで復元することができない。すなわち、特許文献1に開示の製造方法に関し、水戻し処理を経ない状態の半乾燥野菜等を喫食することは想定されていない。
【0009】
また、特許文献1によれば、生鮮野菜等の水分の除去率が70%を超えた場合、最終的に得られる半乾燥野菜等に水戻し処理を施しても生鮮野菜等と同様の状態まで復元できない。すなわち、生鮮野菜等を一度完全乾燥させてしまうと、最終的に得られる半乾燥野菜等は、生鮮野菜等と同様の風味や食感を呈さない。
【0010】
更に、生鮮野菜等に近い風味や食感を呈するための半乾燥野菜等の含水率は、特許文献1に開示も示唆もされていない。すなわち、生鮮野菜等に近い風味や食感を呈するために適する半乾燥野菜等の具体的な組成態様は、特許文献1に示されていない。
【0011】
また、特許文献2に開示されるハーブの保存方法を実施する場合、生鮮のハーブを真空環境に置かなければならない。そのため、大気圧下とは異なる特殊な圧力環境を準備する必要がある。更に、特許文献2によれば、生鮮のハーブを真空包装することに加え、これを急速冷凍することが好ましいとされている。従って、特許文献2に開示される発明を実施するにあたり、真空且つ急速冷凍という共に特殊な環境を準備しなければならず、多くのコストが掛かる。
【0012】
前述の課題に鑑み、本発明は、冷蔵環境であっても長期保存が可能であると共に水戻し処理を行わなくても生鮮に近い風味や食感を呈する半乾燥野菜等(葉菜及び山椒の実)及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの課題を解決するため、本発明に係る半乾燥葉菜は、
含水率が20重量%から45重量%、
水分活性が0.85以下、
一般生菌数が10000cfu/g以下、
加熱処理済の半乾燥葉菜であることを特徴とする。
本発明のこの態様によれば、水分活性が0.85以下且つ一般生菌数が10000cfu/g以下に低減されているため、例えば冷蔵環境であっても長期保存が可能である。また、含水率が20重量%から45重量%の半乾燥状態であるため、水戻し処理を行わなくても生鮮に近い風味や食感を保つことができる。
【0014】
また、本発明に係る半乾燥葉菜は、更に糖質を含むことが好ましい。
本発明のこの態様によれば、水分活性を低減できると共に、生鮮に近い色調を保つことができる。
ここで、「糖質を含む」状態とは、糖質が葉菜内部に浸透する状態だけでなく、葉菜表面に糖質が付着する状態なども含み、半乾燥葉菜と区別なく喫食できる状態を指す。
【0015】
更に、本発明に係る半乾燥葉菜は、ハーブであることが好ましい。
前述のように、本発明によれば、生鮮に近い風味や食感を保つことができる。そのため、本発明は、少量でも香りを強く感じることができる香味葉菜であるハーブへの利用に特に適する。
【0016】
また、本発明に係る半乾燥の山椒の実は、
含水率が20重量%から5重量%、
水分活性が0.85以下、
一般生菌数が10000cfu/g以下、
加熱処理済の半乾燥の山椒の実であることを特徴とする。
本発明のこの態様によれば、水分活性が0.85以下で、一般生菌数が10000cfu/g以下に低減されているため、例えば冷蔵環境であっても長期保存が可能である。また、含水率が20重量%から5重量%の半乾燥状態であるため、水戻し処理を行わなくても生鮮に近い風味や食感を保つことができる。
【0017】
また、本発明に係る一般生菌数が10000cfu/g以下の加熱処理済みの容器入り半乾燥葉菜の製造方法は、
含水率が15重量%以下となるまで、生鮮葉菜を乾燥させた乾燥葉菜を得るステップと、
前記乾燥葉菜を容器に収容し含水率が20重量%から45重量%、および水分活性が0.85以下となるまで、前記乾燥葉菜に水を添加するステップと、
前記乾燥葉菜を収容した容器を加熱するステップと、
を含むことを特徴とする。
本発明のこの態様によれば、半乾燥葉菜の含水率を20重量%から45重量%に均一に調整でき、その水分活性を適宜の値に調整しやすくすることができる。そのため、得られる半乾燥葉菜の長期保存が可能であると共に、生鮮葉菜を乾燥させた後、乾燥葉菜に水を添加するため、生鮮に近い風味や食感を均一に呈する半乾燥葉菜が得られる。
【0019】
更に、本発明に係る一般生菌数が10000cfu/g以下の加熱処理済みの容器入り半乾燥葉菜の製造方法は、
前記乾燥葉菜を得るステップに先立ち、下記(1)及び(2)の少なくとも一方のステップを含むことが好ましい。
(1)60℃以上に加熱したブランチング溶液を用いて、前記生鮮葉菜をブランチングするステップ。
(2)前記生鮮葉菜を糖漬するステップ。
ただし、前記(1)のステップを行う場合、前記(2)のステップは、前記(1)のステップより後に行われる。
本発明のこの態様によれば、前記(1)及び(2)の少なくとも一方のステップを生鮮葉菜に施すことで、これらのステップを経ない生鮮葉菜に比べて、含水率を低くすることができる。その結果、乾燥葉菜を得るステップにおいて、乾燥時の熱ダメージを抑制することができる。また、前記(1)のステップにより、生鮮葉菜の一般生菌数を減少させることができる。更に、前記(2)のステップにより、生鮮葉菜の水分活性を低減できる。更に、前記(1)のステップと前記(2)のステップを併用することで、(1)のステップ(ブランチング)によって保たれた葉菜の色調を安定的に維持できると共に、ブランチング後の生鮮葉菜からの香りの消散を抑制できる。
【0020】
また、本発明に係る一般生菌数が10000cfu/g以下の加熱処理済みの容器入り半乾燥の山椒の実の製造方法は、
含水率が15重量%以下となるまで、生鮮の山椒の実を乾燥させて乾燥の山椒の実を得るステップと、
前記乾燥の山椒の実を容器に収容し含水率が20重量%から5重量%、および水分活性が0.85以下となるまで、前記乾燥の山椒の実に水を添加するステップと、
前記乾燥の山椒の実を収容した容器を加熱するステップと、
を含むことを特徴とする。
本発明のこの態様によれば、半乾燥の山椒の実の含水率を20重量%から5重量%に均一に調整でき、その水分活性を適宜の値に調整しやすくすることができる。そのため、得られる半乾燥の山椒の実の長期保存が可能である。また、生鮮の山椒の実を乾燥させた後、乾燥させた山椒の実に水を添加するため、生鮮に近い風味や食感を均一に呈する半乾燥の山椒の実が得られる。
【0021】
更に、前記乾燥の山椒の実を得るステップに先立ち、ブランチングあるいは糖漬、又はそれらの両方を行えば、更に生鮮に近い風味や食感を均一に呈し、山椒本来の色調を維持した半乾燥の山椒の実が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、冷蔵環境であっても長期保存が可能であると共に水戻し処理を行わなくても生鮮に近い風味や食感を呈する半乾燥野菜等(葉菜及び山椒の実)及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例3の外観を示す写真代用図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[半乾燥葉菜及び半乾燥の山椒の実]
本発明の一実施形態に係る半乾燥葉菜及び半乾燥の山椒の実(以下、「半乾燥葉菜等」)を詳細に説明する。ここで、半乾燥化される葉菜等の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、キャベツ、ホウレン草、葱、青紫蘇、野沢菜、春菊、ヨモギ、大麦若葉、モロヘイヤ、小松菜、チンゲン菜、みつば、カイワレ大根、クレソン、チコリ等の緑色の葉菜;スイスチャード、紫キャベツ、金時草、赤チコリ、ハーブ等の緑色以外の色調を呈する葉菜;山椒の実等が挙げられる。
【0025】
前記ハーブの種類は、特に限定されるものではないが、例えば、香菜(パクチー、コリアンダーリーフ)、バジル、オレガノ、セージ、パセリ、イタリアンパセリ、ミント、タイム、マージョラム、ルッコラ、フェンネル、チャイブ、タラゴン、ローズマリー、ディル、レモンバーム等の主な色合いが緑色のハーブ等が挙げられる。
【0026】
ここで、以下に記載される「生鮮葉菜等」とは、収穫直後のものの他、収穫後一定期間、そのままの状態のもの又は所定の処理(例えば、適切な大きさへの調整、出荷規格に適合するものの選別、水洗い、ブランチング、糖質への漬け込み(糖漬)等)が適宜施されたものを含む。これらは、容器等に収容された状態で保管されたものであってもよい。更に、含水率が80%以上の葉菜や山椒の実等であり、特に山椒の実においては、室温や冷蔵環境で保管されたものであることが好ましいが、冷凍環境で保管されたものであってもよい。
【0027】
また、前記「半乾燥」の状態とは、例えば、生鮮同様、水戻し処理などを行うことなく喫食が可能でありながら、生鮮に比べて水分活性が抑えられて(例えば水分活性が0.85以下に抑えられ)長期保存可能に処理された状態を示す。
【0028】
本実施形態に係る半乾燥葉菜等の含水率は、20重量%から45重量%であることが好ましく、21重量%から40重量%であることがより好ましく、22重量%から35重量%であることが更に好ましい。半乾燥葉菜等の含水率が、20重量%を下回る場合、乾燥状態に近いことから、水戻し処理等何らかの処理を加えなければ生鮮葉菜等と同様の食感・風味が得られない。これに対して、半乾燥葉菜等の含水率が、45重量%を上回る場合、例えば、1℃から20℃の温度帯の冷蔵環境においても長期保存可能な程度まで保存性が向上されない可能性がある。
【0029】
本実施形態に係る半乾燥葉菜等は、水分活性を低減させるため又は色調を生鮮に近い状態に保つために、糖質を含むことが好ましい。ただし、それ以外の目的で糖質を含んでもよい。糖質の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、ショ糖(砂糖)、グルコース、マルトース、トレハロース、水飴、果糖、乳糖、異性化糖、及びオリゴ糖、並びにソルビトール、マルチトールなどの糖アルコール等が挙げられる。これらのうちの一種を用いてもよいし、二種以上を組み合わせてもよい。
【0030】
前記糖質の含有量は、例えば水分活性を下記の範囲まで低減する、又は半乾燥葉菜等の色調を生鮮に近い状態に保てる範囲で適宜調整可能である。特に限定されるものではないが、前記糖質の含有量は、半乾燥状態において、0.5重量%から20重量%であることが好ましく、1重量%から18.5重量%であることがより好ましく、1.5重量%から17重量%であることが更に好ましい。
【0031】
本実施形態に係る半乾燥葉菜等は、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム)、等のような、水分活性低減作用又は色調保持作用の発現に有効な他の成分を含んでもよい。
【0032】
前記含有成分の作用により、本実施形態に係る半乾燥葉菜等の水分活性は、生鮮に比べて低減される。半乾燥葉菜等の水分活性の範囲は、特に限定されるものではないが、0.85以下であることが好ましく、0.84以下であることがより好ましく、0.83以下であることが更に好ましい。水分活性が0.85を上回る場合、長期保存性、特に冷蔵環境下における長期保存性が損なわれる可能性がある。
【0033】
また、前記含有成分の作用により、本実施形態に係る半乾燥葉菜等に含まれる一般生菌の増殖を抑制することができる。半乾燥葉菜等に含まれる一般生菌数の範囲を10000cfu/g以下にすることで半乾燥葉菜等を長期保存することができる。例えば、半乾燥葉菜等を冷蔵環境下で10日前後保管した後に含まれる一般生菌数が、10000cfu/g以下であることが好ましく、5000cfu/g以下であることがより好ましい。また、容器開封後の保存性の観点から、1000cfu/g以下であることが更に好ましい。
【0034】
なお、半乾燥葉菜等に含まれる一般生菌数が10000cfu/g以下であれば十分衛生であるが、それより菌数を低減させる場合、例えば、殺菌水による生鮮葉菜等の洗浄、生鮮葉菜等の含水率を下げるための乾燥前の処理(ブランチング、糖漬等)、各種乾燥工程での加熱殺菌、その他の殺菌処理等を適宜行ってもよい。また、これらの殺菌処理を単独で行ってもよいし、複数を併用してもよい。
【0035】
[半乾燥葉菜等の製造方法]
次に、本実施形態に係る半乾燥葉菜等の製造方法を説明する。本実施形態は、生鮮葉菜等を乾燥させた後、これに水を添加して半乾燥化させるものである。ここで、乾燥以後の葉菜等の色調を生鮮に近づけるため、生鮮葉菜等の乾燥に先立ち以下の前処理を行ってもよい。
【0036】
まず、前処理として、生鮮葉菜等にブランチングを行ってもよい。ブランチングを行うことにより、生鮮葉菜等を殺菌できることに加え、その色調や食感の変化を抑制することができる。また、ブランチングを行わない場合に比べて、生鮮葉菜等の含水率を低減できる。ブランチングの態様は、特に限定されるものではないが、例えば、生鮮葉菜等を60℃から110℃の温度範囲で10秒から600秒間、加熱する態様が挙げられる。生鮮葉菜等を80℃から100℃の温度範囲で10秒から300秒間、熱水または温水に浸漬させるなどの態様が好ましい。
【0037】
また、ブランチングに用いるブランチング溶液は、水に加えて、例えば所定量の糖質、塩を含んでもよく、重曹、pH調整剤等の他の成分を更に含んでもよい。糖質や塩の種類は、前記されたものが例示される。ブランチング溶液の一例として、1重量%から10重量%の糖質と、5重量%から30重量%の塩を含むものが挙げられる。
【0038】
更に、ブランチング後の生鮮葉菜等に冷水を掛け流した後、これを振動させブランチング溶液を振るい落とす方法や、遠心脱水機、水切り板の上での載置により脱水する方法等を用いて、生鮮葉菜等に含まれる水分を脱水することが好ましい。脱水後の生鮮葉菜等における含水率は、特に限定されるものではないが、一例として60重量%から95重量%とすることが例示される。
【0039】
次に、脱水された生鮮葉菜等に糖質を添加し、所定時間、これを糖質に漬け込む(糖漬)。糖漬に用いる糖質の種類は、前記されたものが例示される。糖質に加えて、各種調味料、香料、塩等を添加してもよい。また、糖漬の態様は、特に限定されるものではないが、冷蔵環境下において、2時間から48時間漬け込むなどの態様が例示される。
【0040】
更に、糖漬は、脱水された生鮮葉菜等に糖質を塗す態様であってもよいし、糖質含有溶液を作製し、これに生鮮葉菜等を浸漬させてもよい。なお、生鮮葉菜等に糖質を塗す態様においては、粉末の糖質、ペースト状の糖質により生鮮葉菜等を完全に覆ってもよいし、粉末の糖質を均一に振りかけてもよい。糖漬を経ることで、ブランチングによって保たれた生鮮葉菜等の色調を以後安定して保持できるほか、糖漬により生鮮葉菜等の含水率を下げることができ、乾燥時の香りの飛散などを抑えることができる。
【0041】
また、糖漬後、生鮮葉菜等を更に脱水してもよい。糖漬後の生鮮葉菜等は、これらの処理前のものに比べ含水率が低くなる。その結果、生鮮葉菜等の含水率は、60重量%から90重量%に低減され、その後の乾燥による熱のダメージを減らすことができる。
【0042】
なお、本実施形態は、ブランチングと糖漬の双方を行うものであるが、これに限られない。例えば、ブランチングのみを行ってもよいし、糖漬のみを行ってもよい。ただし、ブランチングと糖漬の双方を行うときは、ブランチングの後に糖漬を行う。
【0043】
糖漬の時間は特に限定されないが、生鮮葉菜等に糖質を塗す場合、例えば、2時間から48時間であることが好ましい。漬け込む時間が2時間を下回る場合、葉菜等の水分活性を更に低減できない可能性がある。これに対して、漬け込む時間が48時間を上回ると、葉菜等の食味・風味・食感が損なわれる可能性がある。また、糖質含有溶液に生鮮葉菜等を浸漬させる場合、例えば、3時間から48時間であることが好ましい。そして、糖漬後の生鮮葉菜等に対し、必要に応じて、各種方法で糖質を落とす処理を加えてもよい。特にペースト状の糖質を用いて糖漬したときは、流水などで糖質を除去し、更に脱水することが好ましい。
【0044】
前記前処理を行った後、生鮮葉菜等を乾燥させる。乾燥手段は、特に限定されるものではない。乾燥手段の一例として、送風乾燥、温風乾燥、熱風乾燥、恒温乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、真空凍結乾燥が例示される。好ましくは、均一に熱によるダメージを抑制しやすい送風乾燥、温風乾燥が好ましい。
【0045】
乾燥態様も特に限定されるものではないが、30℃から100℃の温度下で生鮮葉菜等を乾燥させる態様が例示される。特に、送風乾燥、温風乾燥において、35℃から80℃の風を吹き付ける態様が好ましい。また、乾燥時間は目標とする含水率になるまでの適宜時間とする。
【0046】
乾燥処理によって、含水率が15重量%以下となるまで、生鮮葉菜等を乾燥させる。より好ましくは、含水率が10重量%以下となるまで、生鮮葉菜等を乾燥させる(乾燥させた葉菜等を以下、「乾燥葉菜等」と言う。)。
【0047】
特に、含水率が15重量%以下となるまで乾燥葉菜等を乾燥させれば、後述の乾燥葉菜等を適切な大きさに粗砕することができると共に、異なる時期に収穫された生鮮葉菜等をその都度すぐ乾燥させて冷蔵保存し、所定期間後これらをまとめても、一定品質に保たれた乾燥葉菜等を得ることができる。そのため、収穫時期の異なる生鮮葉菜等を用いた乾燥葉菜等をまとめた後に装置の大きさに合わせて半乾燥化させても、一定品質の半乾燥葉菜等を得ることができる。また、乾燥葉菜等の含水率が10重量%以下となるまで乾燥させることで、半乾燥化させる前に乾燥葉菜等を室温環境で長期間保存することができる。
【0048】
次に、必要に応じてフードプロセッサー、ミル等の切断手段を用いて、乾燥葉菜等を粗砕する。粗砕する葉菜等の大きさは適宜設定することができる。粗砕された複数の乾燥葉菜等を適量配合することによって、複数種の葉菜等を混合した乾燥葉菜等の集合物を容易に保管でき、そして、その集合物を容易に半乾燥化させることができる。
【0049】
その後、乾燥葉菜等を所定量の水と共に容器に収容する。乾燥葉菜等に対する所定量の水の添加タイミングは特に限定されない。例えば、容器収容前の乾燥葉菜等に水を添加(例えば、噴霧)する態様、容器収容後の乾燥葉菜等に水を添加(例えば、噴霧)する態様、予め容器に水を含ませた後、その容器に乾燥葉菜等を収容し、容器に含まれた水を何らかの方法で乾燥葉菜等に添加する態様などが例示される。添加する水の量は、特に限定されるものではなく、最終的な半乾燥葉菜等に含まれる含水率に応じて適宜調整できる。
【0050】
なお、半乾燥化前の乾燥葉菜等の含水率によって、添加する水の量が変わることから、乾燥葉菜等の水分含量を確認した上で添加する水の量を決めることが好ましい。また、最終的な半乾燥葉菜等における目標含水率及び適切な乾燥方法等を予めテストしてから添加する水の量を決めてもよい。例えば、半乾燥葉菜等の目標含水率を20重量%から45重量%にする場合、乾燥葉菜等の含水率が8.0%であれば、乾燥葉菜等の重量に対して、水を15重量%から68重量%添加することとなる。そして、乾燥葉菜等の含水率が10%であれば、乾燥葉菜等の重量に対して水を12.5重量%~65重量%添加することとなる。
【0051】
また、乾燥葉菜等へ添加する水は、加熱殺菌した水を用いることもできる。乾燥葉菜等に添加される水の温度は、1℃以上40℃以下である必要があり、好ましくは3℃以上30℃以下である。更に、乾燥葉菜等へ添加する水は、半乾燥葉菜等に影響がない範囲で糖質を含有させることができる。
【0052】
容器は、密閉可能なものであることが好ましい。また、水蒸気および酸素を透過させにくい素材で構成されることが好ましい。ガラス製の瓶、金属製の缶、水蒸気を通さないバリア素材を用いた樹脂製ボトル、袋状物などが例示される。更に、容器は、例えば120℃までの耐熱性を有することが好ましい。
【0053】
次に、添加した水が均等に乾燥葉菜等に分散し、含水され、目標の含水率の半乾燥葉菜等になるようにする。目標の含水率にする方法として、定期的に撹拌したり、容器を反転させたりするなど制限はないが、密封された容器の底部に添加した水の10重量%以下、好ましくは7重量%以下、5重量%以下の水が存在する状態になれば良い。さらに、均一な含水率の半乾燥葉菜等を作製するためには、乾燥葉菜等と水を含んだ容器を加熱することが好ましい。
【0054】
ここで、容器に含まれる水は、容器収容前に乾燥葉菜等に添加され、乾燥葉菜等と共に容器に収容される水であってもよい。容器の密閉は、加熱の前後又は途中に行われてもよいが、容器を密閉した後、加熱することが好ましい。更に、収容された水の蒸発を促すため、容器の密閉の際、容器内部を減圧することが好ましい。加熱により、容器内の水が蒸発し、蒸気で容器が満たされる。これにより乾燥葉菜等に水を万遍なく添加することができる。この処理によって、葉菜等の含水率を高め、半乾燥葉菜等を得る。
【0055】
なお、加熱中の容器内の温度や加熱時間は、特に限定されるものではないが、葉菜等を痛めることなく、蒸発した水分で容器が満たされるような条件が好ましい。一例として、容器内部の温度を60℃から110℃とすることが挙げられ、好ましくは70℃から90℃である。また、この温度帯において、加熱時間を5分から60分とすることが挙げられる。また、加熱装置の種類も特に限定されないが、例えば、蒸気型、沸騰水型、温風型のものなどが挙げられる。なお、加熱後、容器は密閉され、その内部で半乾燥葉菜等は保存される。
【0056】
本実施形態によれば、生鮮に近い状態が均一に保たれた半乾燥葉菜等を得ることができる。なお、得られた半乾燥葉菜等を冷蔵環境下で24時間程度静置することが好ましい。
【実施例
【0057】
以上説明した半乾燥葉菜等において、具体的な実施の例を以下に示す。ただし、本発明は、下記の実施例により限定及び制限されるものではない。
【0058】
[スイートバジル]
<実施例1>
生鮮のスイートバジルを50℃の温風で5時間乾燥させ、含水率を7.5重量%まで低減した乾燥スイートバジルとなるよう調整した。その後、乾燥スイートバジルをフードプロセッサーで粗砕した。続いて、乾燥スイートバジルの粗砕物を容器に収容し、乾燥スイートバジルの重量に対して30重量%の水を加え、容器を密閉した。この状態の容器を80℃で5分間加熱して半乾燥スイートバジルを作製した。
【0059】
<実施例2>
生鮮のスイートバジルに対し、95℃から100℃に加温されたブランチング溶液(水、グルコース、塩化ナトリウム、重曹を含む。各成分の重量比は、水:グルコース:塩化ナトリウム:重曹=100:7:35:0.3)を用いて1分間ブランチングし、速やかに脱水・冷却した。その後、4時間乾燥させ、含水率を7.8重量%まで低減した以外は、実施例1と同様の方法により、乾燥スイートバジルに水を添加し、半乾燥スイートバジルを作製した。
【0060】
<実施例3>
生鮮のスイートバジルに対し、実施例2と同じ条件でブランチングし、速やかに脱水・冷却した。その後、脱水されたスイートバジルに上白糖及び重曹を含む漬込剤(上白糖の重量:重曹の重量=5:0.1)を塗して5時間12℃で糖漬した。続いて、実施例2と同様の方法によりスイートバジルを乾燥させ、含水率7.6重量%の乾燥スイートバジルを得た後、容器内の乾燥スイートバジルの重量に対して25重量%の水を加え、容器を密閉し加熱して半乾燥スイートバジルを作製した。
【0061】
<実施例4>
生鮮のスイートバジルに対し、実施例2と同じ条件でブランチングし、速やかに脱水・冷却した。その後、脱水されたスイートバジルを上白糖及び重曹を含む糖質含有溶液(上白糖の重量:重曹の重量=5:0.08)に6時間12℃で浸して糖漬した。続いて、実施例2と同様の方法によりスイートバジルを乾燥させ、含水率7.7重量%の乾燥スイートバジルを得た後、容器内の乾燥スイートバジルの重量に対して25重量%の水を加え、容器を密閉し加熱して半乾燥スイートバジルを作製した。
【0062】
<実施例5>
乾燥スイートバジルの重量に対して40重量%の水を加える以外は実施例3と同じ条件で、半乾燥スイートバジルを作製した。
【0063】
<比較例1>
生鮮のスイートバジルを50℃の温風で3.5時間乾燥させた。乾燥後のスイートバジルの一部を抜き取り測定した乾燥スイートバジルの含水率は29.2重量%であった。その後、乾燥スイートバジルを容器に収容し、水を加えず容器を密封して保管し半乾燥スイートバジルを作製した。すなわち、比較例1は、水を添加せず、生鮮状態のスイートバジルから半乾燥スイートバジルを得た例である。
<比較例2>
生鮮のスイートバジルを50℃の温風で4時間乾燥させた。乾燥後のスイートバジルの一部を抜き取り測定した乾燥スイートバジルの含水率は19.1重量%であった。その後、乾燥スイートバジルの重量に対して5重量%の水を噴霧し撹拌し均一に混合させた。更にそれを容器に収容して密封し半乾燥スイートバジルを作製した。
【0064】
<比較例3>
乾燥スイートバジルの重量に対して60重量%の水を加える以外は実施例3と同じ条件で、半乾燥スイートバジルを作製した。
【0065】
<比較例4>
乾燥スイートバジルの重量に対して15重量%の水を加える以外は実施例3と同じ条件で、半乾燥スイートバジルを作製した。
【0066】
<評価>
実施例1から実施例5及び比較例1から比較例4において、香り、色のばらつき、食感、一般生菌等に関する評価を行った。結果を下記表1に示す。なお、前記実施例及び比較例の全ては、半乾燥スイートバジルの作製後、16時間冷蔵保管したものである。また、喫食に際し、水戻し処理はされていない。
【0067】
【表1】
【0068】
表1に記載の香りの評価を示す各指標は、下記の通りである。
◎:スイートバジルの爽やかな香りが強く呈される。
○:スイートバジルの爽やかな香りが相応にする。
△:スイートバジルの爽やかな香りが弱い。
×:スイートバジルの爽やかな香り以外の香りが多い。
【0069】
また、表1に記載の食感の評価を示す各指標は、下記の通りである。
「均一で良い」:生鮮の様な柔らかさ、もしくは、生鮮より劣るが喫食時に問題ない柔らかさであり、全体的に同じ程度の歯ごたえで、美味しく喫食できる。
「ややばらつく」:まれに固く感じる部分が含まれるが、全体的に柔らかな部分であり、喫食には問題ない。
「バラつきが多い」:柔らかな部分と喫食時に固く感じる部分とが混ざって、喫食時に違和感がある。
「硬くて食感が悪い」:柔らかではなく固くて水戻しの必要性を感じる。
【0070】
更に、表1に記載の一般生菌の評価を示す各指標は、下記の通りである。
◎:1000cfu/g未満
○:1000cfu/g以上10000cfu/g未満
×:10000cfu/g以上
ここで、各試料の一般生菌数は、公知の標準寒天培地法によって測定した。
【0071】
実施例1から実施例5に示されるように、生鮮のスイートバジルを乾燥させた後、これに水を添加(ただし、乾燥させたスイートバジルの重量に対する容器への加水量が、15重量%を上回り且つ45重量%以下の場合)して作製された含水率が20以上45重量%以下の半乾燥スイートバジルは、長期保存性を有し、生鮮に近い食感、香り、色調を均一に有することが確認された。
また、表には記載されていないが、実施例1から実施例4において、容器の底の水滴は目視で確認されなかった。一方、実施例5においてもうっすら容器に水が付着していたが、キムワイプでふき取った水分量を測定した結果、添加した水の重量に対して2.3重量%であった。これに対し、比較例1の半乾燥スイートバジルの含水率は、場所により違いがあった。
【0072】
なお、実施例3における各段階(生鮮、糖漬後、乾燥後、半乾燥後)での外観が示された写真を図1に示す(別途提出の物件提出書に、カラー版を添付した。)。図1に示されるように、各段階において、鮮やかな緑色がスイートバジル全体に保たされていることが確認できる。
【0073】
[スイートバジル以外の例]
<実施例6>
乾燥時間を3.5時間に変えた以外は実施例3と同様の方法により、生鮮のイタリアンパセリから半乾燥イタリアンパセリを作製した。なお、乾燥後の乾燥イタリアンパセリの含水率は8.8重量%であった。
【0074】
<実施例7>
乾燥後、乾燥イタリアンパセリの重量に対して40重量%の水を容器に加えた以外、実施例6と同様の方法で半乾燥イタリアンパセリを作製した。
【0075】
<実施例8>
実施例6と同様の方法により、生鮮の香菜から半乾燥香菜を作製した。なお、乾燥後の乾燥香菜の含水率は10.2重量%であった。
【0076】
<実施例9>
実施例6と同様の方法により、生鮮のホウレン草から半乾燥ホウレン草を作製した。なお、乾燥後の乾燥ホウレン草の含水率は9.5重量%であった。
【0077】
<実施例10>
実施例3と同様の方法により、生鮮の山椒の実(緑色)から半乾燥の山椒の実(緑色)を作製した。
【0078】
<実施例11>
実施例3と同様の方法により、熱水でブランチングした後、冷凍保存していた山椒の実(緑色)から半乾燥の山椒の実(緑色)を作製した。
【0079】
<比較例5>
乾燥後、山椒の実(緑色)の乾燥質量に対して60重量%の水を容器に加えた以外、実施例10と同様の方法で半乾燥の山椒の実(緑色)を作製した。
【0080】
<評価>
実施例6から実施例11及び比較例5において、香り、色のばらつき、食感、一般生菌等に関する評価を行った。結果を下記表2に示す。なお、前記実施例及び比較例の全ては、半乾燥品の作製後、8時間冷蔵保管したものである。
【0081】
【表2】
【0082】
香り及び一般生菌の評価を示す各指標は、表1に記載のものと同様である。
【0083】
実施例6から実施例11に示されるように、イタリアンパセリ、香菜、ホウレン草、山椒の実に関しても、長期保存性を有し、生鮮に近い食感、香り、色調を均一に有することが確認された。これに対して、容器に加える水の量を乾燥品の重量に対して50%以上とする場合(比較例5)、色調や食感にばらつきが生じる傾向が示唆された。
【0084】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
図1