(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】誘導機の回転子、及び回転子のケージ巻線の組立方法
(51)【国際特許分類】
H02K 17/16 20060101AFI20250204BHJP
H02K 15/02 20250101ALI20250204BHJP
【FI】
H02K17/16 Z
H02K15/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020073368
(22)【出願日】2020-04-16
【審査請求日】2023-02-10
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514298519
【氏名又は名称】ザ スイッチ ドライブ システムズ オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】パヌ ハバ
(72)【発明者】
【氏名】パヌ クロネン
(72)【発明者】
【氏名】キンモ ヘイノネン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキ サッリネン
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106026582(CN,A)
【文献】特開平04-351451(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10014643(DE,A1)
【文献】国際公開第2018/055701(WO,A1)
【文献】特開平07-015927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K15/00-15/02
15/04-15/16
17/00-17/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導機の回転子(101、201)であって、
- 回転子コア構造(102)と、
- 前記回転子コア構造のスロット内の複数の回転子バー(103、104)と、
- ケージ巻線の両端部において前記回転子バーの端部を相互に電気的に接続するエンドリング(105、106)であって、前記ケージ巻線は、前記回転子バー及び前記エンドリングによって構成されている、エンドリングと、
を有し、
前記回転子バーの端部は、前記回転子バーの断面方向における前記回転子バーの端部の膨張により、前記エンドリングの開口部に取り付けられ、前記膨張は、前記回転子バーの端部に向けられた軸方向の押圧によってもたらされ、且つ、前記回転子バーの材料は、前記エンドリングの材料よりも柔らかい、回転子において、
前記回転子は、前記回転子の幾何学的な回転軸を取り囲む1以上のリング形状の皿ばね(107、108)を更に有し、前記1以上のリング形状の皿ばねは、軸方向において前記エンドリングの間に位置し、且つ、径方向において前記回転子バーと前記回転子の回転の前記幾何学的な回転軸の間に位置し、且つ、前記1以上のリング形状の皿ばねは、軸方向において圧縮され、且つ、軸方向の圧縮の結果として、前記1以上のリング形状の皿ばねが前記回転子バーに直接接触して、前記回転子の回転の前記幾何学的な回転軸から離れるように径方向において前記回転子バーを押圧するべく構成されるように、前記回転子バーに圧接した状態で径方向に広がっており、
前記回転子バーは、前記回転子コア構造のそれぞれの端部において、前記回転子バーの端部が、前記回転子コア構造から軸方向において外部に突出し、且つ、軸方向において前記エンドリングの開口部を貫通するように、前記回転子コア構造のスロット内において配置されていることを特徴とする回転子。
【請求項2】
前記エンドリングの材料は、クロム及びジルコニウムの添加を伴う銅合金であり、且つ、前記回転子バーの材料は、銅である、
請求項1に記載の回転子。
【請求項3】
前記リング形状の皿ばねのうちの第1の皿ばね(107)は、軸方向において前記回転子コア構造と前記エンドリングのうちの第1のエンドリング(105)の間に位置し、且つ、前記リング形状の皿ばねのうちの前記第1の皿ばねは、軸方向において前記回転子コア構造と前記エンドリングのうちの前記第1のエンドリングの間において圧縮され、前記リング形状の皿ばねのうちの第2の皿ばね(108)は、軸方向において前記回転子コア構造と前記エンドリングのうちの第2のエンドリング(106)の間に位置し、且つ、前記リング形状の皿ばねのうちの前記第2の皿ばねは、軸方向において前記回転子コア構造と前記エンドリングのうちの前記第2のエンドリングの間において圧縮されている、
請求項1に記載の回転子。
【請求項4】
前記リング形状の皿ばねの外周は、前記リング形状の皿ばねの前記外周が、前記リング形状の皿ばねが前記回転子コア構造との関係において回転することを防止するべく、前記回転子バーの底部とフィットした径方向に延在するロッキングスロット(110)を有するように、スロットが付けられている、
請求項1に記載の回転子。
【請求項5】
前記リング形状の皿ばねの外周は、前記リング形状の皿ばねの前記外周が、前記リング形状の皿ばねが前記回転子コア構造との関係において回転することを防止するべく、前記回転子バーの底部とフィットした径方向に延在するロッキングスロット(110)を有するように、スロットが付けられている、
請求項3に記載の回転子。
【請求項6】
前記リング形状の皿ばねの前記外周は、周方向において前記回転子バーの間に位置し、且つ、径方向に延在するロッキングスロットよりも径方向において深い、径方向に延在するデカップリングスロット(111)を有し、径方向に延在するデカップリングスロットのうちの隣接するものの間の前記リング形状の皿ばねの各部分は、それぞれが前記回転子の前記幾何学的な回転軸から離れるように径方向において前記回転子バーのうちの1つを押圧するように構成されたスプリングアーム(112)を構成している、
請求項4に記載の回転子。
【請求項7】
前記リング形状の皿ばねの前記外周は、周方向において前記回転子バーの間に位置し、且つ、径方向に延在するロッキングスロットよりも径方向において深い、径方向に延在するデカップリングスロット(111)を有し、径方向に延在するデカップリングスロットのうちの隣接するものの間の前記リング形状の皿ばねの各部分は、それぞれが前記回転子の前記幾何学的な回転軸から離れるように径方向において前記回転子バーのうちの1つを押圧するように構成されたスプリングアーム(112)を構成している、
請求項5に記載の回転子。
【請求項8】
前記回転子は、前記回転子の、ネジが切られた部分上において設置された、且つ、前記回転子コア構造に向かって軸方向において前記エンドリングを押圧するように構成された、前記回転子の前記幾何学的な回転軸を取り囲むロックナット(113、114)を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の回転子。
【請求項9】
前記回転子コア構造(102)は、中実の鋼で作られている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の回転子。
【請求項10】
- 固定子巻線(216)を有する固定子(215)と、
- 前記固定子との関係において回転自在に支持された、請求項1から7のいずれか一項に記載の回転子(201)と、
を有する誘導機。
【請求項11】
誘導機の回転子のケージ巻線の組立方法であって、
- 回転子コア構造のスロット内に回転子バーを配置するステップ(301)であって、前記回転子バーは、前記回転子コア構造の端部において、前記回転子バーの端部が軸方向において前記回転子コア構造から外部に突出するように、配置される、ステップと、
- 前記回転子バーの端部がエンドリングの開口部を軸方向に貫通するように、前記エンドリングを配置する、ステップ(302)と、
- 前記回転子バーの断面方向における前記回転子バーの端部の膨張により、前記回転子バーの端部を前記エンドリングの前記開口部に対して取り付けるために軸方向の押圧を前記回転子バーの端部に向けるステップ(303)であって、前記膨張は、軸方向の押圧によってもたらされる、ステップと、
を有し、
前記回転子バーの材料は、前記エンドリングの材料よりも柔らかく、
1以上のリング形状の皿ばねが、軸方向において前記エンドリングの間に位置し、且つ、径方向において前記回転子バーと前記回転子の幾何学的な回転軸の間に位置し、且つ、前記1以上のリング形状の皿ばねが、軸方向において圧縮され、且つ、軸方向の圧縮の結果、前記1以上のリング形状の皿ばねが前記回転子の前記幾何学的な回転軸から離れるように径方向において前記回転子バーを押圧するべく、前記回転子バーに圧接した状態で径方向に広がるように、前記1以上のリング形状の皿ばねが、前記回転子の前記幾何学的な回転軸を取り囲むように配置され、且つ、その後に、前記エンドリングが配置されることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記回転子バーを前記回転子コア構造の前記スロット内に配置する前に、アニーリングにより、前記回転子バーの材料を軟化させるステップを有する、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エンドリングの材料は、クロム及びジルコニウムの添加を伴う銅合金であり、前記回転子バーの材料は、銅である、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記リング形状の皿ばねの外周は、前記リング形状の皿ばねの前記外周が、前記リング形状の皿ばねが前記回転子コア構造との関係において回転することを防止するべく、前記回転子バーの底部とフィットした径方向に延在するロッキングスロットを有するように、スロットが付けられている、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記リング形状の皿ばねの前記外周は、周方向において径方向に延在するロッキングスロットの間に位置し、且つ、径方向に延在するロッキングスロットよりも径方向において深い、径方向に延在するデカップリングスロットを有し、径方向に延在するデカップリングスロットのうちの隣接するものの間の前記リング形状の皿ばねの各部分は、それぞれが前記回転子の前記幾何学的な回転軸から離れるように径方向において前記回転子バーのうちの1つを押圧するための、スプリングアームを構成している、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ロックナットが、前記回転子の前記幾何学的な回転軸を取り囲み、且つ、前記回転子コア構造に向かって前記エンドリングを軸方向において押圧するように、前記回転子の、ネジが切られた部分上においてロックナットを設置するステップを有する、
請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、回転電機に関する。更に詳しくは、本開示は、誘導機の回転子に関する。更には、本開示は、誘導機と、誘導機の回転子のケージ巻線の組立方法と、にも関する。
【背景技術】
【0002】
電動機及び発電機などの回転電機は、一般に、固定子と回転子を有し、これらは、これら2つの間において磁束が生じるように構成されている。誘導機の回転子は、通常、回転子コア構造と、シャフトと、ケージ巻線と、を有する。ケージ巻線は、回転子バー(rotor bar)と、エンドリング(end-ring)と、を有する。回転子バーは、回転子コア構造のスロット内において配置されている。エンドリングは、回転子コア構造の端部領域において、回転子バーの端部に接続されている。回転子コア構造は、通常、相互に電気的に絶縁された、且つ、回転子の軸方向において積層された、強磁性の鋼シートから構成されたラミネート型の構造である。但し、特に、多くの高速誘導機においては、回転子コア構造は、中実の鋼で作られている。中実の鋼で作られた回転子コア構造は、回転子のシャフトと共に、中実鋼の単一片を構成しうる。
【0003】
多くの誘導機においては、回転子バー及びエンドリングは、導電性材料の別個の断片として製造されており、且つ、エンドリングは、導電性の結合部により、回転子バーの端部に取り付けられている。回転子バー及びエンドリングの材料は、例えば、銅又はアルミニウムであってよい。回転子バーは、例えば、回転子バーが貫通しているエンドリングの開口部の壁との間に緊密なフィット状態を形成するべく、断面方向において回転子バーの端部を膨張させるように、軸方向において回転子バーの端部をはんだ付け、溶接、蝋付け、又は押圧することにより、エンドリングに取り付けることができる。上述の取り付け方法は、例えば、温度の変動及び機械的な振動によってもたらされる問題点を免れてはいない。更には、回転子バーと回転子コア構造のスロットの間におけるフィット状態は、組立を許容するべく、クリアランスを有する必要がある。動作の際に、回転子バーは、回転速度に応じて、回転子上において外向きに移動しうる。回転子バーの移動は、回転子のバランスに影響を及ぼすことになり、且つ、恐らくは、機械的な振動の増大と、機械に対する損傷と、をもたらすことになる。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本発明のいくつかの実施形態に関する基本的な理解を提供するべく、簡略化された概要を提示している。この概要は、本発明の広範な要約ではない。これは、本発明の主要な又は重要な要素を識別することを意図したものではなく、且つ、本発明の範囲を線引きすることを意図したものでもない。以下の概要は、本発明の例示用の実施形態に関する更に詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化された形態において提示するものに過ぎない。
【0005】
本明細書においては、「幾何学的(geometric)」という用語は、接頭語として使用された際には、必ずしもなんらかの物理的物体の一部分ではない幾何学的な概念を意味している。この幾何学的な概念は、例えば、幾何学的な地点、まっすぐな又は湾曲した幾何学的な線、幾何学的な面、平坦ではない幾何学的な表面、幾何学的な空間、或いは、0、1、2、又は3次元である任意のその他の幾何学的なエンティティであってよい。本明細書においては、「~の間(between)」という用語は、2つのその他のエンティティの間に位置しているエンティティが、これらのその他のエンティティとの間において接触状態にあるケースに限定されるものではなく、最初に言及されているエンティティは、その他のエンティティのうちの1つ又は両方から、所定の距離だけ離隔しうる。
【0006】
本発明によれば、誘導機の新しい回転子が提供される。本発明による回転子は、
- 回転子コア構造と、
- 回転子コア構造のスロット内の複数の回転子バーと、
- 回転子バー及びエンドリングによって構成されたケージ巻線の両端部において回転子バーの端部を相互に電気的に接続するエンドリングと、
を有する。
【0007】
回転子バーの端部は、回転子バーの断面方向における回転子バーの端部の膨張により、エンドリングの開口部に取り付けられており、膨張は、回転子の製造の際に回転子バーの端部に向けられた軸方向の押圧によりもたらされている。回転子バーの材料は、エンドリングの材料よりも柔らかい。従って、回転子バーの端部が、軸方向において押圧され、且つ、断面方向において膨張した際に、エンドリングの望ましくない形状変形を回避することができる。相対的に硬いエンドリング及び相対的に柔らかい回転子バーによって提供される利点は、回転子バーの端部を軸方向において押圧することによって回転子バーをエンドリングに取り付けることが依然として可能でありつつ、ケージ巻線の機械的な強度が改善される、という点にある。エンドリングの材料は、例えば、クロム及びジルコニウムの添加を伴う銅合金、即ち、CuCrZrであってもよく、且つ、回転子バーの材料は、例えば、銅であってよい。
【0008】
本発明による回転子は、回転子の幾何学的な回転軸を取り囲む1以上のリング形状の皿ばねを更に有する。1以上のリング形状の皿ばねは、軸方向においてエンドリングの間に位置し、且つ、径方向において回転子バーと回転子の幾何学的な回転軸の間に位置する。1以上のリング形状の皿ばねは、軸方向において圧縮され、且つ、軸方向の圧縮の結果として、1以上のリング形状の皿ばねは、1以上のリング形状の皿ばねが、回転子の幾何学的な回転軸から離れるように径方向において回転子バーを押圧するべく構成されるように、回転子バーに圧接した状態で径方向に広がっている。従って、回転子バーが常に外向きに押圧されており、且つ、従って、遠心力によって回転子バーが移動することがない。従って、回転子の回転の際に、回転子のバランスを維持することができる。
【0009】
また、本発明によれば、新しい誘導機が提供される。本発明による誘導機は、
- 固定子巻線を有する固定子と、
- 本発明による回転子であって、固定子との関係において回転自在に支持された回転子と、
を有する。
【0010】
また、本発明によれば、誘導機の回転子のケージ巻線を組み立てる新しい方法が提供される。本発明による方法は、
- 回転子コア構造の端部において、回転子バーの端部が回転子コア構造から外部に軸方向に突出するように、回転子バーを回転子コア構造のスロット内に配置するステップと、
- 回転子バーの端部がエンドリングの開口部を軸方向に貫通するように、エンドリングを配置するステップと、
- 回転子バーの断面方向における回転子バーの端部の膨張により、回転子バーの端部をエンドリングの開口部に取り付けるために軸方向の押圧を回転子バーの端部に向けるするステップであって、膨張は、軸方向の押圧によってもたらされ、且つ、回転子バーの材料は、エンドリングの材料よりも柔らかい、ステップと、
を有する。
【0011】
本発明による方法においては、1以上のリング形状の皿ばねが、軸方向においてエンドリングの間に位置し、且つ、径方向において回転子バーと回転子の幾何学的な回転軸の間に位置し、且つ、1以上のリング形状の皿ばねが軸方向において圧縮されるように、1以上のリング形状の皿ばねが回転子の幾何学的な回転軸を取り囲むように配置され、且つ、その後に、エンドリングが配置されている。軸方向の圧縮の結果として、1以上のリング形状の皿ばねは、1以上のリング形状の皿ばねが回転子の幾何学的な回転軸から離れるように回転子バーを径方向において押圧するように、回転子バーに圧接した状態で径方向に広がっている。
【0012】
例示用の且つ非限定的な実施形態は、添付の従属請求項において記述されている。
【0013】
構造及び動作の方法の両方に関する様々な例示用の且つ非限定的な実施形態については、その更なる目的及び利点と共に、添付図面との関連において参照された際に、特定の例示用の実施形態に関する以下の説明から、十分に理解することができよう。
【0014】
「有する(to comprise)」及び「含む(to include)」という動詞は、本明細書においては、記述されてはいない特徴の存在を排除することがなく、且つ、必要とすることもない、開かれた限定(open limitation)として使用されている。従属請求項において記述されている特徴は、そうではない旨が明示的に記述されていない限り、相互に自由に組み合わせることができる。更には、「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用、即ち、単数形、は、本明細書の全体を通じて、複数形を排除するものではないことを理解されたい。
【0015】
例示用の且つ非限定的な実施形態及びその利点については、例の意味において、且つ、添付図面を参照し、以下において更に詳しく説明されている。添付図面は、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1a】例示用の且つ非限定的な一実施形態による回転子を示す。
【
図1b】例示用の且つ非限定的な一実施形態による回転子を示す。
【
図1c】例示用の且つ非限定的な一実施形態による回転子を示す。
【
図2】例示用の且つ非限定的な一実施形態による電気機械を示す。
【
図3】誘導機の回転子のケージ巻線を組み立てるための、例示用の且つ非限定的な実施形態による方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において付与された説明において提供される特定の例は、添付の請求項の範囲及び/又は適用可能性を限定するものとして解釈してはならない。更には、以下において付与された説明において提供される例のリスト及びグループは、そうではない旨が明示的に記述されていない限り、すべてを網羅したものではないことを理解されたい。
【0018】
図1a及び
図1bは、例示用の且つ非限定的な一実施形態による回転子101の断面図を示している。
図1aに示されている断面は、幾何学的な断面プレーンが座標系199のyzプレーンと平行になるように、
図1bに示されている幾何学的なラインA-Aに沿って取得されたものである。
図1bに示されている断面は、幾何学的な断面プレーンが座標系199のxyプレーンと平行になるように、
図1aに示されている幾何学的なラインB-Bに沿って取得されたものである。
図1cは、
図1aの部分120の拡大図を示している。回転子101は、回転子コア構造102を有する。この例示用のケースにおいて、回転子コア構造102は、中実の強磁性鋼で作られており、且つ、回転子コア構造と回転子のシャフトは、中実鋼の単一片を構成している。但し、強磁性鋼シートが、相互に電気的に絶縁され、且つ、回転子の軸方向において相互に上下に積層されるように、例示用の且つ非限定的な一実施形態による回転子が、強磁性鋼シートの積層体を有する回転子コア構造を有することも可能である。
【0019】
回転子101は、強磁性コア構造102のスロット内において配置された複数の回転子バーを有するケージ巻線を有する。
図1a及び
図1bにおいては、回転子バーのうちの2つが、参照符号103及び104によって表記されている。この例示用のケースにおいては、回転子コア構造102のスロットは、回転子コア構造102の空隙表面上のスロット開口部を有する開放スロットである。但し、例示用の且つ非限定的な一実施形態による回転子は、閉鎖スロットを有する回転子コア構造を有することも可能である。ケージ巻線は、2つのエンドリング105及び106を有する。エンドリング105は、回転子コア構造102の第1端部において、回転子バーの端部を相互に電気的に接続している。対応する方式により、エンドリング106は、回転子コア構造102の第2端部において、回転子バーの端部を相互に電気的に接続している。回転子バーは、回転子コア構造のそれぞれの端部において、回転子バーの端部が、回転子コア構造102から軸方向において外部に突出し、且つ、軸方向においてエンドリング105及び106の開口部を貫通するように、回転子コア構造102のスロット内において配置されている。回転子バーの端部は、回転子バーの断面方向における回転子バーの端部の膨張により、エンドリングの開口部に取り付けられており、この場合に、膨張は、回転子の製造の際に回転子バーの端部に向けられた軸方向の押圧によってもたらされている。
図1cにおいては、軸方向の押圧及び断面方向の膨張が、実線矢印によって描かれている。回転子バーを軸方向において押圧するためのツールは、例えば、軸方向において押圧されている回転子バーの端部表面に圧接する、点形態の先端部又は線形態の隆起部を有することができる。回転子バーの材料は、エンドリングの材料よりも柔らかい。従って、回転子バーの端部が、軸方向において押圧され、且つ、断面方向において膨張した際に、エンドリングの望ましくない形状変形を回避することができる。エンドリングの材料は、例えば、クロム及びジルコニウムの添加を伴う銅合金、即ち、CuCrZr、であってもよく、且つ、回転子バーの材料は、例えば、銅Cuであってよい。
【0020】
図1a~
図1cにおいて示されている例示用の回転子101は、幾何学的な回転軸121を取り囲むリング形状の皿ばね107及び108を有する。リング形状の皿ばね107及び108は、軸方向において回転子コア構造102とエンドリングの間に位置し、且つ、径方向において回転子バーと幾何学的な回転軸121の間に位置している。リング形状の皿ばねは、エンドリングと回転子コア構造の間において軸方向において圧縮され、且つ、軸方向の圧縮の結果、リング形状の皿ばねは、リング形状の皿ばねが、幾何学的な回転軸121から離れるように径方向において回転子バーを押圧するべく構成されるように、回転子バーに圧接した状態で径方向に広がっている。
図1cにおいては、リング形状の皿ばね107に向けられた軸方向の圧縮は、破線矢印によって描かれており、且つ、回転子バー103の底部に向けられた径方向の押圧は、一点鎖線矢印によって描かれている。
【0021】
図1a~
図1cにおいて示されている例示用の回転子101においては、リング形状の皿ばね107及び108の外周は、リング形状の皿ばねの外周が回転子バーの底部とフィットした径方向に延在するロッキングスロットを有し、リング形状のスプリングが回転子コア構造102との関係において回転することを防止するように、スロットが付けられている。
図1bにおいては、ロッキングスロットのうちの1つが参照符号110によって描かれている。更に、例示用のケースにおいては、リング形状の皿ばね107及び108の外周は、周方向において回転子バーの間に位置し、且つ、径方向に延在するロッキングスロットよりも径方向において深い、径方向に延在するデカップリングスロットを有する。
図1bにおいては、径方向に延在するデカップリングスロットのうちの2つが参照符号111によって描かれている。径方向に延在するデカップリングスロットの、隣接するデカップリングスロット間のリング形状の皿ばねの各部分は、それぞれが回転子バーのうちの1つを幾何学的な回転軸121から離れるように径方向において押圧するスプリングアームを構成している。
図1bにおいては、スプリングアームのうちの1つが参照符号112によって描かれている。径方向の押圧する力は、リング形状の皿ばね107及び108のスプリングアームのデカップリングに起因して、個々に、それぞれの回転子バーにおいて維持されており、即ち、リング形状の皿ばねのそれぞれは、それぞれの回転子バーごとに回転子バーに固有のスプリングアームを有する。
【0022】
図1a~
図1cにおいて示されている例示用の回転子101は、回転子の幾何学的な回転軸121を取り囲むロックナット113及び114を有する。
図1aに示されているように、ロックナット113及び114は、回転子の、ネジが切られた部分上に設置されており、且つ、ロックナット113及び114は、回転子コア構造102に向かって軸方向においてエンドリング105及び106を押圧するように構成されている。但し、エンドリングを固定するべく、異なる機械的構成を使用することも可能である。例えば、例示用の且つ非限定的な一実施形態による回転子は、エンドリングを貫通して軸方向において回転子コア構造まで延在するボルトを有することができる。例えば、回転子コア構造とエンドリングの間に皿ばねが存在していないケースなどの、いくつかのケースにおいては、その場所においてエンドリングを維持するべく、回転子バーとエンドリングの間の結合部で十分でありうる。
【0023】
図1a~
図1cに示されている例示用の回転子101においては、リング形状の皿ばねのうちの第1の皿ばね107は、軸方向において回転子コア構造102とエンドリングのうちの第1のエンドリング105の間に位置し、且つ、リング形状の皿ばねのうちの第1の皿ばねは、回転子コア構造とエンドリングのうちの第1のエンドリングの間において軸方向において圧縮され、リング形状の皿ばねのうちの第2の皿ばね108は、軸方向において回転子コア構造とエンドリングのうちの第2のエンドリング106の間に位置し、且つ、リング形状の皿ばねのうちの第2の皿ばねは、回転子コア構造とエンドリングのうちの第2のエンドリングの間において軸方向において圧縮されている。
【0024】
また、回転子コア構造が、例えば、軸方向に積層されたシート又はプレートなどの、軸方向に連続した強磁性要素を有する例示用の且つ非限定的な一実施形態による回転子においては、1以上のリング形状の皿ばねが、軸方向に連続した強磁性要素の間に位置し、且つ、エンドリングとの接触状態にはない、ことも可能である。この例示用のケースにおいては、1以上のリング形状の皿ばねは、回転子バーとエンドリングの間の結合部の近傍に位置する必要がなく、且つ、従って、回転子の幾何学的な回転軸から離れるように径方向において回転子バーを押圧するべく、1以上のリング形状の皿ばねによってもたらされる相対的に小さな径方向の力で十分である。例示用の且つ非限定的な一実施形態による回転子においては、回転子コア構造の中間において、1つのリング形状の皿ばねのみが存在している。別の例示用の且つ非限定的な実施形態による回転子においては、エンドリングの間において軸方向において連続的に3つ以上のリング形状の皿ばねが存在している。
【0025】
図2は、例示用の且つ非限定的な一実施形態による誘導機を示している。誘導機は、本発明の例示用の且つ非限定的な一実施形態に従って、固定子215と、回転子201と、を有する。回転子201は、固定子215との関係において回転自在に支持されている。
図2においては、固定子215との関係において回転子201を回転自在に支持する構成は示されていない。固定子215は、交流が供給されるのに応答して回転磁界を生成する固定子巻線216を有する。固定子巻線216は、例えば、三相巻線であってよい。回転子201は、例えば、
図1a~
図1cに示されているようなものであってよい。
【0026】
図3は、誘導機の回転子のケージ巻線を組み立てるための、例示用の且つ非限定的な実施形態による方法のフローチャートを示している。方法は、
- 動作301:回転子コア構造の端部において、回転子バーの端部が回転子コア構造から外部に軸方向に突出するように、回転子バーを回転子コア構造のスロット内に配置する動作と、
- 動作302:回転子バーの端部がエンドリングの開口部を軸方向に貫通するように、エンドリングを配置する動作と、
- 動作303:回転子バーの断面方向における回転子バーの端部の膨張により、回転子バーの端部をエンドリングの開口部に取り付けるために、軸方向の押圧を回転子バーの端部に向ける動作であって、膨張は、軸方向の押圧によってもたらされ、且つ、回転子バーの材料は、エンドリングの材料よりも柔らかい、動作と、
を有する。
【0027】
例示用の且つ非限定的な一実施形態による方法においては、エンドリングの材料は、クロム及びジルコニウムの添加を伴う銅合金であり、回転子バーの材料は、銅である。
【0028】
例示用の且つ非限定的な一実施形態による方法は、回転子バーを回転子コア構造のスロット内に配置する前に、アニーリングにより、回転子バーの材料を軟化させるステップを有する。この例示用のケースにおいては、例えば、銅などの、回転子バーの材料に応じて、軸方向の押圧及び軸方向の押圧によってもたらされる変形により、回転子バーの材料を再硬化させることができる。
【0029】
例示用の且つ非限定的な一実施形態による方法は、
- 1以上のリング形状の皿ばねが、軸方向においてエンドリングの間に位置し、
- 1以上のリング形状の皿ばねが、径方向において回転子バーと回転子の幾何学的な回転軸の間に位置し、且つ、
- 1以上のリング形状の皿ばねが、軸方向において圧縮され、且つ、軸方向の圧縮の結果として、1以上のリング形状の皿ばねが、回転子の幾何学的な回転軸から離れるように径方向において回転子バーを押圧するように、回転子バーに圧接した状態において広がる、
ように、回転子の幾何学的な回転軸を取り囲むように1以上のリング形状の皿ばねを配置し、且つ、その後に、エンドリングを配置するステップを有する。
【0030】
例示用の且つ非限定的な一実施形態による方法においては、リング形状の皿ばねのうちの第1の皿ばねは、軸方向において回転子コア構造とエンドリングのうちの第1のエンドリングの間に配置され、リング形状の皿ばねのうちの第1の皿ばねは、軸方向において回転子コア構造とエンドリングのうちの第1のエンドリングの間において圧縮され、リング形状の皿ばねのうちの第2の皿ばねは、軸方向において回転子コア構造とエンドリングのうちの第2のエンドリングの間に配置され、且つ、リング形状の皿ばねのうちの第2の皿ばねは、軸方向において回転子コア構造とエンドリングのうちの第2のエンドリングの間において圧縮されている。
【0031】
例示用の且つ非限定的な一実施形態による方法においては、リング形状の皿ばねの外周は、リング形状の皿ばねの外周が、リング形状の皿ばねが回転子コア構造との関係において回転することを防止するべく、回転子バーの底部とフィットした径方向に延在するロッキングスロットを有するように、スロットが付けられている。
【0032】
例示用の且つ非限定的な実施形態による方法においては、リング形状の皿ばねの外周は、周方向において径方向に延在するロッキングスロットの間に位置し、且つ、径方向に延在するロッキングスロットよりも径方向において深い、径方向に延在するデカップリングスロットを有する。径方向に延在するデカップリングスロットのうちの隣接するものの間の、リング形状の皿ばねの各部分は、それぞれが回転子の幾何学的な回転軸から離れるように径方向において回転子バーのうちの1つを押圧するスプリングアームを構成している。
【0033】
例示用の且つ非限定的な実施形態による方法は、ロックナットが回転子の幾何学的な回転軸を取り囲み、且つ、回転子コア構造に向かってエンドリングを軸方向において押圧するように、回転子の、ネジが切られた部分上においてロックナットを設置するステップを有する。
【0034】
以上において付与された説明において提供される特定の例は、添付の請求項の範囲及び/又は適用可能性を限定するものとして解釈してはならない。以上において付与された説明において提供される例のリスト及びグループは、そうではない旨が明示的に記述されていない限り、すべてを網羅したものではない。
上述の実施形態は下記のようにも記載され得るが下記には限定されない。
[構成1]
誘導機の回転子(101、201)であって、
- 回転子コア構造(102)と、
- 前記回転子コア構造のスロット内の複数の回転子バー(103、104)と、
- ケージ巻線の両端部において前記回転子バーの端部を相互に電気的に接続するエンドリング(105、106)であって、前記ケージ巻線は、前記回転子バー及び前記エンドリングによって構成されている、エンドリングと、
を有し、
前記回転子バーの端部は、前記回転子バーの断面方向における前記回転子バーの端部の膨張により、前記エンドリングの開口部に取り付けられ、前記膨張は、前記回転子バーの端部に向けられた軸方向の押圧によってもたらされ、且つ、前記回転子バーの材料は、前記エンドリングの材料よりも柔らかい、回転子において、
前記回転子は、前記回転子の幾何学的な回転軸を取り囲む1以上のリング形状の皿ばね(107、108)を更に有し、前記1以上のリング形状の皿ばねは、軸方向において前記エンドリングの間に位置し、且つ、径方向において前記回転子バーと前記回転子の回転の前記幾何学的な回転軸の間に位置し、且つ、前記1以上のリング形状の皿ばねは、軸方向において圧縮され、且つ、軸方向の圧縮の結果として、前記1以上のリング形状の皿ばねが、前記回転子の回転の前記幾何学的な回転軸から離れるように径方向において前記回転子バーを押圧するべく構成されるように、前記回転子バーに圧接した状態で径方向に広がっていることを特徴とする回転子。
[構成2]
前記エンドリングの材料は、クロム及びジルコニウムの添加を伴う銅合金であり、且つ、前記回転子バーの材料は、銅である、
構成1に記載の回転子。
[構成3]
前記リング形状の皿ばねのうちの第1の皿ばね(107)は、軸方向において前記回転子コア構造と前記エンドリングのうちの第1のエンドリング(105)の間に位置し、且つ、前記リング形状の皿ばねのうちの前記第1の皿ばねは、軸方向において前記回転子コア構造と前記エンドリングのうちの前記第1のエンドリングの間において圧縮され、前記リング形状の皿ばねのうちの第2の皿ばね(108)は、軸方向において前記回転子コア構造と前記エンドリングのうちの第2のエンドリング(106)の間に位置し、且つ、前記リング形状の皿ばねのうちの前記第2の皿ばねは、軸方向において前記回転子コア構造と前記エンドリングのうちの前記第2のエンドリングの間において圧縮されている、
構成1に記載の回転子。
[構成4]
前記リング形状の皿ばねの外周は、前記リング形状の皿ばねの前記外周が、前記リング形状の皿ばねが前記回転子コア構造との関係において回転することを防止するべく、前記回転子バーの底部とフィットした径方向に延在するロッキングスロット(110)を有するように、スロットが付けられている、
構成1に記載の回転子。
[構成5]
前記リング形状の皿ばねの外周は、前記リング形状の皿ばねの前記外周が、前記リング形状の皿ばねが前記回転子コア構造との関係において回転することを防止するべく、前記回転子バーの底部とフィットした径方向に延在するロッキングスロット(110)を有するように、スロットが付けられている、
構成3に記載の回転子。
[構成6]
前記リング形状の皿ばねの前記外周は、周方向において前記回転子バーの間に位置し、且つ、径方向に延在するロッキングスロットよりも径方向において深い、径方向に延在するデカップリングスロット(111)を有し、径方向に延在するデカップリングスロットのうちの隣接するものの間の前記リング形状の皿ばねの各部分は、それぞれが前記回転子の前記幾何学的な回転軸から離れるように径方向において前記回転子バーのうちの1つを押圧するように構成されたスプリングアーム(112)を構成している、
構成4に記載の回転子。
[構成7]
前記リング形状の皿ばねの前記外周は、周方向において前記回転子バーの間に位置し、且つ、径方向に延在するロッキングスロットよりも径方向において深い、径方向に延在するデカップリングスロット(111)を有し、径方向に延在するデカップリングスロットのうちの隣接するものの間の前記リング形状の皿ばねの各部分は、それぞれが前記回転子の前記幾何学的な回転軸から離れるように径方向において前記回転子バーのうちの1つを押圧するように構成されたスプリングアーム(112)を構成している、
構成5に記載の回転子。
[構成8]
前記回転子は、前記回転子の、ネジが切られた部分上において設置された、且つ、前記回転子コア構造に向かって軸方向において前記エンドリングを押圧するように構成された、前記回転子の前記幾何学的な回転軸を取り囲むロックナット(113、114)を有する、
構成1から7のいずれか一項に記載の回転子。
[構成9]
前記回転子コア構造(102)は、中実の鋼で作られている、
構成1から7のいずれか一項に記載の回転子。
[構成10]
- 固定子巻線(216)を有する固定子(215)と、
- 前記固定子との関係において回転自在に支持された、構成1から7のいずれか一項に記載の回転子(201)と、
を有する誘導機。
[構成11]
誘導機の回転子のケージ巻線の組立方法であって、
- 回転子コア構造のスロット内に回転子バーを配置するステップ(301)であって、前記回転子バーは、前記回転子コア構造の端部において、前記回転子バーの端部が軸方向において前記回転子コア構造から外部に突出するように、配置される、ステップと、
- 前記回転子バーの端部がエンドリングの開口部を軸方向に貫通するように、前記エンドリングを配置する、ステップ(302)と、
- 前記回転子バーの断面方向における前記回転子バーの端部の膨張により、前記回転子バーの端部を前記エンドリングの前記開口部に対して取り付けるために軸方向の押圧を前記回転子バーの端部に向けるステップ(303)であって、前記膨張は、軸方向の押圧によってもたらされる、ステップと、
を有し、
前記回転子バーの材料は、前記エンドリングの材料よりも柔らかく、
1以上のリング形状の皿ばねが、軸方向において前記エンドリングの間に位置し、且つ、径方向において前記回転子バーと前記回転子の幾何学的な回転軸の間に位置し、且つ、前記1以上のリング形状の皿ばねが、軸方向において圧縮され、且つ、軸方向の圧縮の結果、前記1以上のリング形状の皿ばねが前記回転子の前記幾何学的な回転軸から離れるように径方向において前記回転子バーを押圧するべく、前記回転子バーに圧接した状態で径方向に広がるように、前記1以上のリング形状の皿ばねが、前記回転子の前記幾何学的な回転軸を取り囲むように配置され、且つ、その後に、前記エンドリングが配置されることを特徴とする方法。
[構成12]
前記回転子バーを前記回転子コア構造の前記スロット内に配置する前に、アニーリングにより、前記回転子バーの材料を軟化させるステップを有する、
構成11に記載の方法。
[構成13]
前記エンドリングの材料は、クロム及びジルコニウムの添加を伴う銅合金であり、前記回転子バーの材料は、銅である、
構成11に記載の方法。
[構成14]
前記リング形状の皿ばねの外周は、前記リング形状の皿ばねの前記外周が、前記リング形状の皿ばねが前記回転子コア構造との関係において回転することを防止するべく、前記回転子バーの底部とフィットした径方向に延在するロッキングスロットを有するように、スロットが付けられている、
構成11に記載の方法。
[構成15]
前記リング形状の皿ばねの前記外周は、周方向において径方向に延在するロッキングスロットの間に位置し、且つ、径方向に延在するロッキングスロットよりも径方向において深い、径方向に延在するデカップリングスロットを有し、径方向に延在するデカップリングスロットのうちの隣接するものの間の前記リング形状の皿ばねの各部分は、それぞれが前記回転子の前記幾何学的な回転軸から離れるように径方向において前記回転子バーのうちの1つを押圧するための、スプリングアームを構成している、
構成14に記載の方法。
[構成16]
ロックナットが、前記回転子の前記幾何学的な回転軸を取り囲み、且つ、前記回転子コア構造に向かって前記エンドリングを軸方向において押圧するように、前記回転子の、ネジが切られた部分上においてロックナットを設置するステップを有する、
構成11から15のいずれか一項に記載の方法。