IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ケーブイケーの特許一覧

特許7628776水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法
<>
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図1
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図2
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図3
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図4
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図5
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図6
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図7
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図8
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図9
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図10
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図11
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図12
  • 特許-水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20250204BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
E03C1/042 E
E03C1/044
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020094133
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021188355
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】国枝 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 喜好
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-172116(JP,A)
【文献】特開2006-328793(JP,A)
【文献】実開平07-010068(JP,U)
【文献】特開2018-105459(JP,A)
【文献】特開2003-013473(JP,A)
【文献】特開平05-079072(JP,A)
【文献】特開平09-013449(JP,A)
【文献】特開2006-207165(JP,A)
【文献】特開2000-008433(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0858846(KR,B1)
【文献】特開2003-166266(JP,A)
【文献】特開2002-173963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓の取付面を構成する壁部に固定された状態で水栓用ソケットが螺着されることにより該水栓用ソケットと前記壁部の裏側に配設された配管との間を接続する筒状の配管取り出し部材を備えた水栓用ソケットの接続装置であって、
雌螺子部を有した前記配管取り出し部材の内周面と前記雌螺子部に螺合する第1の雄螺子部を有して前記水栓用ソケットに設けられた筒状接続部の外周面との間に介在されるシールリングと、
前記筒状接続部の外周面に設けられた第2の雄螺子部に螺合するナット部を有して前記取付面側から前記壁部に対して締め付けられることにより前記配管取り出し部材に対する前記水栓用ソケットの螺着位置を固定する送り座と、を備え
前記配管取り出し部材は、前記取付面側に固定プレートを備えており、
前記送り座は、前記ナット部の軸方向端部が前記固定プレートに当接することによって、前記固定プレートを介して前記壁部に締め付けられている水栓用ソケットの接続装置。
【請求項2】
前記配管取り出し部材の内周面及び前記筒状接続部の外周面の一方側には、前記シールリングの嵌合溝が凹設されるとともに、前記配管取り出し部材の内周面及び前記筒状接続部の外周面の他方側には、前記シールリングが当接する平滑なシール面が設けられるものであって、
前記筒状接続部の軸方向に沿った前記シール面の幅が、前記嵌合溝の幅に前記第1の雄螺子部の1ピッチに相当する前記筒状接続部の軸方向長さを加えた値以上の大きさを有する請求項1に記載の水栓用ソケットの接続装置。
【請求項3】
前記配管取り出し部材の内周面における前記雌螺子部よりも奥側の軸方向位置又は前記筒状接続部の外周面における前記第1の雄螺子部よりも基端側の軸方向位置に凹設された前記シールリングの嵌合溝を備える
請求項1又は請求項2に記載の水栓用ソケットの接続装置。
【請求項4】
前記送り座の外周に該送り座の締め付けに用いられる工具の嵌合部が設けられている
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の水栓用ソケットの接続装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載の水栓用ソケットの接続装置を備えた水栓。
【請求項6】
水栓の取付面を構成する壁部に固定された状態で水栓用ソケットが螺着されることにより該水栓用ソケットと前記壁部の裏側に配設された配管との間を接続する筒状の配管取り出し部材を用いた水栓の施工方法であって、
前記配管取り出し部材は、前記取付面側に固定プレートを備えており、
雌螺子部を有した前記配管取り出し部材の内周面と前記雌螺子部に螺合する第1の雄螺子部を有して前記水栓用ソケットに設けられた筒状接続部の外周面との間にシールリングを介在させた状態で前記配管取り出し部材に前記水栓用ソケットを螺着する工程と、
前記シールリングが前記筒状接続部の外周面と前記配管取り出し部材の内周面との間を水密に封止する状態で前記水栓用ソケットを螺子回しすることにより該水栓用ソケットに設けられた水栓取付部の配置を調整する工程と、
前記筒状接続部の外周面に設けられた第2の雄螺子部に螺合したナット部を有する送り座を螺子回して、前記ナット部の軸方向端部を前記固定プレートに当接させることによって、前記固定プレートを介して前記送り座を前記取付面側から前記壁部に締め付けることにより、前記配管取り出し部材に対する前記水栓用ソケットの螺着位置を固定する工程と、
を備える水栓の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、管状の水栓用ソケットを用いて、その水栓本体を壁部の裏側に配設された配管に接続する壁付き型の水栓がある。例えば、特許文献1に記載の水栓は、2つの給水口を有した水栓本体を備えている。また、取付面を構成する壁部の裏側には、水用配管及び湯用配管が配設されている。更に、これらの水用配管及び湯用配管は、その2つの給水口に対応する一対の水栓用ソケットを介して水栓本体に接続されている。そして、これにより、湯水混合水栓として機能する構成となっている。
【0003】
また、図13に示すように、このような壁付き型の水栓101には、その取付面Sを構成する壁部102に固定された配管取り出し部材103に対して水栓用ソケット104を螺着することにより、この水栓用ソケット104を壁部102の裏側に配設された配管105に接続する構成を有したものがある。
【0004】
具体的には、この従来例の水栓101において、その壁部102の取付面S側に開口する配管取り出し部材103の内周面106には、雌螺子部107が設けられている。また、クランク状をなす水栓用ソケット104の一端側には、その外周面108に配管取り出し部材103側の雌螺子部107に螺合する雄螺子部109を有した筒状接続部110が設けられている。更に、水栓用ソケット104は、その筒状接続部110の雄螺子部109と配管取り出し部材103側の雌螺子部107との間に、シールテープやシール剤を介在させた状態で、配管取り出し部材103に螺着される。そして、これにより、その互いに螺合する雄螺子部109と雌螺子部107との間の隙間を埋めることで、水栓用ソケット104の筒状接続部110と配管取り出し部材103との間の水密な接続状態を確保するとともに、併せて、その配管取り出し部材103に対する水栓用ソケット104の螺着位置を保持する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-173963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術の施工方法では、その雄螺子部109に対して隙間なくシールテープを巻き付ける作業、或いは、雄螺子部109又は雌螺子部107、若しくは、その両方に対してシール剤を塗布する作業が煩雑である。
【0007】
また、水栓用ソケット104の他端側に設けられた水栓取付部111の配置、例えば、その取付面Sからの離間距離、及び、水栓本体112に設けられた複数の給水口113に接続される各水栓取付部111の間隔は、その配管取り出し部材103に対する水栓用ソケット104の螺着位置、つまりは螺子回し量によって規定される。ところが、配管取り出し部材103に水栓用ソケット104を螺着した後、この水栓用ソケット104を螺子回しすることで、その雄螺子部109と雌螺子部107との間に介在されたシールテープやシール剤に弛みが生ずる可能性がある。このため、上記従来技術の構成では、配管取り出し部材103に水栓用ソケット104を螺着する際、その位置決めの正確さが要求される。そして、これにより、その施工の難易度が高くなっていることから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、施工容易な水栓用ソケットの接続装置、水栓、及び水栓の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する水栓用ソケットの接続装置は、水栓の取付面を構成する壁部に固定された状態で水栓用ソケットが螺着されることにより該水栓用ソケットと前記壁部の裏側に配設された配管との間を接続する筒状の配管取り出し部材を備えた水栓用ソケットの接続装置であって、雌螺子部を有した前記配管取り出し部材の内周面と前記雌螺子部に螺合する第1の雄螺子部を有して前記水栓用ソケットに設けられた筒状接続部の外周面との間に介在されるシールリングと、前記筒状接続部の外周面に設けられた第2の雄螺子部に対する螺合部を有して前記取付面側から前記壁部に対して締め付けられることにより前記配管取り出し部材に対する前記水栓用ソケットの螺着位置を固定する送り座と、を備える。
【0010】
上記構成によれば、水栓用ソケットの筒状接続部と配管取り出し部材との間に介在されたシールリングによって、安定したシール性を確保することができる。このため、配管取り出し部材に対して水栓用ソケットを螺着した後、シール性の低下を招くことなく、その水栓用ソケットの螺子回しによって、容易に、この水栓用ソケットの螺着位置を調整することができる。更に、壁部に対する送り座の締め付けによって、容易に、その位置合わせが行われた状態で水栓用ソケットの螺着位置を固定することができる。そして、これにより、水栓の施工を容易に行うことができる。加えて、その送り座の締め付けにより互いに螺合する雌螺子部と第1の雄螺子部との間の隙間が詰まることで、水栓用ソケットのガタを抑えることができる。
【0011】
上記課題を解決する水栓用ソケットの接続装置において、前記配管取り出し部材の内周面及び前記筒状接続部の外周面の一方側には、前記シールリングの嵌合溝が凹設されるとともに、前記配管取り出し部材の内周面及び前記筒状接続部の外周面の他方側には、前記シールリングが当接する平滑なシール面が設けられるものであって、前記筒状接続部の軸方向に沿った前記シール面の幅が、前記嵌合溝の幅に前記第1の雄螺子部の1ピッチに相当する前記筒状接続部の軸方向長さを加えた値以上の大きさを有することが好ましい。
【0012】
即ち、シールリングを嵌合溝内に配置することで、そのシールリングの配置を安定的に保持することができる。また、このシールリングが、平滑なシール面に当接して押し潰されることにより、安定的なシール性を確保することができる。そして、このシール面に設定された幅広さに基づいて、安定したシール性を確保した状態で、容易に、その水栓用ソケットの螺子回しによる螺着位置の調整を行うことができる。
【0013】
上記課題を解決する水栓用ソケットの接続装置は、前記配管取り出し部材の内周面における前記雌螺子部よりも奥側の軸方向位置又は前記筒状接続部の外周面における前記第1の雄螺子部よりも基端側の軸方向位置に凹設された前記シールリングの嵌合溝を備えることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、配管取り出し部材に水栓用ソケットを螺着する際、そのシールリングが螺子山に引っ掛かり難い。そして、これにより、シールリングに傷が付き難くなることで、そのシール性能を担保して、高い信頼性を確保することができる。
【0015】
上記課題を解決する水栓用ソケットの接続装置は、前記送り座の外周に該送り座の締め付けに用いられる工具の嵌合部が設けられていることが好ましい。
上記構成によれば、より容易に施工することができるとともに、送り座の締め付け力を強化して、より確実に、その配管取り出し部材に対する水栓用ソケットを螺着位置を固定することができる。
【0016】
上記課題を解決する水栓は、上記何れかの水栓用ソケットの接続装置を備える。
上記課題を解決する水栓の施工方法は、水栓の取付面を構成する壁部に固定された状態で水栓用ソケットが螺着されることにより該水栓用ソケットと前記壁部の裏側に配設された配管との間を接続する筒状の配管取り出し部材を用いた水栓の施工方法であって、雌螺子部を有した前記配管取り出し部材の内周面と前記雌螺子部に螺合する第1の雄螺子部を有して前記水栓用ソケットに設けられた筒状接続部の外周面との間にシールリングを介在させた状態で前記配管取り出し部材に前記水栓用ソケットを螺着する工程と、前記シールリングが前記筒状接続部の外周面と前記配管取り出し部材の内周面との間を水密に封止する状態で前記水栓用ソケットを螺子回しすることにより該水栓用ソケットに設けられた水栓取付部の配置を調整する工程と、前記筒状接続部の外周面に設けられた第2の雄螺子部に螺着された送り座を螺子回して該送り座を前記取付面側から前記壁部に締め付けることにより、前記配管取り出し部材に対する前記水栓用ソケットの螺着位置を固定する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、容易に水栓の施工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】水栓の平面図。
図2】水栓の斜視図。
図3】水栓を構成する水栓用ソケット及び配管取り出し部材の斜視図。
図4】水栓を構成する水栓用ソケット及び配管取り出し部材の分解斜視図。
図5】水栓を構成する水栓用ソケット及び配管取り出し部材の断面図。
図6】水栓を構成する水栓用ソケット及び配管取り出し部材の部分断面図。
図7】水栓を構成する水栓用ソケット及び配管取り出し部材の拡大断面図。
図8】水栓の施工方法を示すフローチャート。
図9】別例のシールリングの配置を示す断面図。
図10】別例のシールリングの配置を示す断面図。
図11】別例のシールリングの配置を示す断面図。
図12】配管取り出し部材の別例を示す断面図。
図13】従来技術の水栓の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、水栓用ソケットの接続装置を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の水栓1は、取付面Sを構成する壁部2の裏側に配設された配管3に対し、管状をなすクランク型の水栓用ソケット10を介して水栓本体11が接続された壁付き水栓としての構成を有している。
【0020】
詳述すると、本実施形態の水栓本体11は、取付面Sに沿って水平方向に延在する長尺略箱状の外形を有している。また、水栓本体11は、取付面Sに対向する位置において、その長手方向に離間して設けられた第1給水口13a及び第2給水口13bを備えている。更に、壁部2の裏側には、水用配管3a及び湯用配管3bが配設されている。そして、本実施形態の水栓1は、その水栓本体11の第1給水口13aと水用配管3aとの間に介在される第1の水栓用ソケット10a、及び第2給水口13bと湯用配管3bとの間に介在される第2の水栓用ソケット10bを備えている。
【0021】
また、水栓本体11は、その第1給水口13aと第2給水口13bとの間の長手方向位置に設けられたシャワー吐出口14及びカラン吐出口15を備えている。更に、水栓本体11は、その長手方向一端側に設けられた切り替えハンドル16と、長手方向他端側に設けられた温調ハンドル17と、を備えている。そして、本実施形態の水栓1は、その切り替えハンドル16を操作することによりシャワー吐出口14及びカラン吐出口15に対する通水状態を切り替えるとともに、温調ハンドル17を操作することにより、その吐出する湯水の温度を調整することのできる湯水混合水栓としての構成を有している。
【0022】
また、図1図3に示すように、本実施形態の水栓1は、壁部2に固定される筒状の配管取り出し部材20を備えている。具体的には、この配管取り出し部材20は、その第1端部21が取付面S側に開口する状態で壁部2に固定される。更に、水栓用ソケット10は、その配管取り出し部材20の第1端部21に対して螺着される。そして、本実施形態の水栓1は、これにより、その配管取り出し部材20を介して、壁部2の裏側に配設された配管3と水栓用ソケット10とが、通水可能に接続される構成となっている。
【0023】
即ち、本実施形態の水栓1は、壁部2に固定された状態で、その第1の水栓用ソケット10aが螺着される第1の配管取り出し部材20a、及び第2の水栓用ソケット10bが螺着される第2の配管取り出し部材20bを備えている。更に、第1の配管取り出し部材20aの第2端部22には、水用配管3aが連結され、第2の配管取り出し部材20bの第2端部22には、湯用配管3bが連結されている。そして、本実施形態の水栓1は、これにより、第1及び第2の水栓用ソケット10a,10b、並びに第1及び第2の配管取り出し部材20a,20bを介して、その水用配管3a及び湯用配管3bを流れる湯水が、水栓本体11に供給される構成となっている。
【0024】
さらに詳述すると、図3図5に示すように、本実施形態の配管取り出し部材20は、略L字状の折曲管形状をなしている。更に、この配管取り出し部材20は、その外周面23から径方向外側に突出する状態で第1端部21の近傍に設けられた平板状の取付フランジ24を備えている。そして、本実施形態の配管取り出し部材20は、この取付フランジ24を用いて壁部2に固定される構成となっている。
【0025】
具体的には、本実施形態の配管取り出し部材20は、壁部2に設けられた取付孔25に対して壁部2の裏側から第1端部21が挿入されることにより、この第1端部21の先端部分が取付面S側に突出する状態で壁部2に組み付けられる。また、配管取り出し部材20は、この取付面S側に突出する第1端部21の外周面23に設けられた雄螺子部26を有している。更に、配管取り出し部材20は、この雄螺子部26に螺合する雌螺子部27を有して取付面S側から第1端部21に取着される円環状の固定プレート28を備えている。そして、本実施形態の配管取り出し部材20は、この固定プレート28と取付フランジ24との間に壁部2を挟み込む態様で、その取付孔25に固定される構成となっている。
【0026】
本実施形態の水栓1において、配管取り出し部材20は、その第2端部22が、鉛直方向下側を向いた状態で、壁部2に固定される。また、取付フランジ24と壁部2との間には、円環状の挟み込みプレート31が介在されるとともに、固定プレート28と壁部2との間にはワッシャー32a,32bが介在される。更に、取付フランジ24には、複数の螺子孔34が設けられるとともに、固定プレート28及び挟み込みプレート31には、複数の貫通孔35が設けられている。そして、本実施形態の配管取り出し部材20は、これらの貫通孔35を介して取付フランジ24に螺子付けられた螺子36の締結力に基づいて、その取付孔25に挿入された第1端部21周りの回転が規制された状態で、壁部2に固定される構成となっている。
【0027】
また、本実施形態の水栓用ソケット10は、長尺扁平略角筒状の外形を有したソケット本体40と、このソケット本体40の長手方向一端側に設けられた筒状接続部41と、そのソケット本体40の長手方向一端側に設けられた水栓取付部42と、を備えている。具体的には、筒状接続部41及び水栓取付部42は、ソケット本体40の厚み方向において、互いに異なる方向に突出する態様で設けられている。そして、本実施形態の水栓用ソケット10は、これにより、そのクランク型の外形を有するものとなっている。
【0028】
更に、筒状接続部41の外周面43には、壁部2に固定された状態で、その取付面S側に開口する配管取り出し部材20の内周面44に設けられた雌螺子部46に螺合する雄螺子部47が設けられている。即ち、本実施形態の水栓用ソケット10は、この雄螺子部47を有した筒状接続部41周りに、そのソケット本体40及び水栓取付部42を一体に螺子回しするかたちで、取付面S側から配管取り出し部材20の第1端部21に螺着される。そして、本実施形態の水栓用ソケット10は、これにより、その配管取り出し部材20に対する螺着位置、つまりは螺子回し量に基づいて、その水栓取付部42の配置が規定される構成になっている。
【0029】
また、本実施形態の水栓用ソケット10は、長手方向両端部において、それぞれ、その筒状接続部41が突設された方向とは逆向きの方向に開口する短筒状の外形を有した開口部51,52を備えている。また、これらの開口部51,52の筒内には、それぞれ、雌螺子部53,54が設けられている。更に、これらの各開口部51,52のうち、筒状接続部41とは反対側の長手方向端部に設けられた開口部52には、管状螺子部材56が螺着されるとともに、この管状螺子部材56の外周に対して袋ナット55が螺着されている。そして、本実施形態の水栓用ソケット10は、これらの袋ナット55及び管状螺子部材56が水栓取付部42を形成することで、その回転自在に設けられた袋ナット55を用いて接続を行うことのできる構成となっている。
【0030】
更に、筒状接続部41と同じ側において、その水栓用ソケット10の長手方向端部に設けられた開口部51には、軸状の外形を有した止水弁57が螺着されている。そして、本実施形態の水栓用ソケット10は、これにより、水栓取付部42が設けられた方向と同じ方向、つまりは取付面S側から、その筒状接続部41と同軸位置に内蔵された止水弁57を操作することのできる構成となっている。
【0031】
さらに詳述すると、図6及び図7に示すように、本実施形態の水栓用ソケット10は、その筒状接続部41の外周面43と配管取り出し部材20の内周面44との間にシールリング60を介在させた状態で、配管取り出し部材20に螺着される。
【0032】
具体的には、本実施形態のシールリング60は、断面略円形状をなすOリングとしての構成を有している。また、配管取り出し部材20の内周面44には、雌螺子部46よりも奥側の軸方向位置において、その周方向に延びる円環状の嵌合溝61が設けられている。即ち、本実施形態の水栓用ソケット10は、この嵌合溝61にシールリング60を嵌着した状態で、その筒状接続部41が配管取り出し部材20に螺着される。更に、筒状接続部41の外周面43には、その雄螺子部47よりも先端側の軸方向位置、詳しくは筒状接続部41の先端部分に、平滑なシール面62が設けられている。そして、本実施形態のシールリング60は、このシール面62に当接して径方向に押し潰されることにより、その筒状接続部41の外周面43と配管取り出し部材20の内周面44との間を水密に封止する構成となっている。
【0033】
尚、本実施形態の水栓1において、配管取り出し部材20側の雌螺子部46及び水栓用ソケット10側の雄螺子部47は、ともに平行螺子としての構成を有している。また、水栓用ソケット10は、その筒状接続部41の軸方向に沿ったシール面62の幅W1が、配管取り出し部材20の内周面44に設けられた嵌合溝61の幅W0に、雄螺子部47の1ピッチに相当する筒状接続部41の軸方向長さL1を加えた値以上の大きさを有するものとなっている(W1≧W0+L1)。そして、本実施形態の水栓1は、これにより、安定したシール性を確保した状態で、容易に、その水栓用ソケット10の螺子回しによる水栓取付部42の配置調整を行うことのできる構成となっている。
【0034】
また、本実施形態の水栓1は、筒状接続部41の外周面43に設けられた雄螺子部47に螺着されることにより、そのソケット本体40と壁部2との間に配置される状態で水栓用ソケット10に取着される送り座70を備えている。
【0035】
即ち、本実施形態の水栓用ソケット10においては、その雄螺子部47における筒状接続部41の軸方向先端側が、配管取り出し部材20の内周面44に設けられた雌螺子部46に螺合する第1の雄螺子部47aを構成する。そして、この雄螺子部47の基端部側が、その送り座70が螺着される第2の雄螺子部47bを構成する。
【0036】
具体的には、この送り座70は、内周に雌螺子部71を有して雄螺子部47に螺合するナット部72と、このナット部72よりも大径の扁平円筒形状を有したカバー部73と、を備えている。即ち、この送り座70は、その螺合部としてのナット部72と雄螺子部47との螺合関係に基づき螺子回しされることにより、筒状接続部41の軸方向に移動する。そして、本実施形態の送り座70は、筒状接続部41の先端側、つまりは壁部2に近接する方向に移動することにより、そのカバー部73が、上記のように配管取り出し部材20を壁部2に固定するための固定プレート28の外側を覆うように構成されている。
【0037】
更に、本実施形態の送り座70は、この状態から、更に螺子回しされることにより壁部2に対して締め付けられる。具体的には、この送り座70は、カバー部73の筒内に突出するナット部72の軸方向端部が固定プレート28に当接することにより、この固定プレート28を介して壁部2に締め付けられる。更に、ナット部72の外周には、工具を用いて締め付けを行うための嵌合部74が設けられている。尚、本実施形態の送り座70においては、この嵌合部74は、六角の嵌合形状を有している。そして、本実施形態の水栓用ソケット10は、この壁部2に対する送り座70の締め付け力に基づいて、その配管取り出し部材20に対する螺着位置が固定される構成となっている。
【0038】
即ち、壁部2に対して送り座70を締め付けることにより、この送り座70と雄螺子部47との螺合関係に基づいて、その雄螺子部47が設けられた水栓用ソケット10の筒状接続部41を、壁部2の取付面S側に引き出す方向の軸力が発生する。更に、この軸力に基づき雄螺子部47と雌螺子部46との間の隙間が詰まることで、その互いに螺合する螺子山同士が押し当てられる。そして、本実施形態においては、これにより、安定的なシール性を確保しつつ、水栓取付部42の配置が調整された状態で、容易に、その配管取り出し部材20に対する螺着位置を固定することができるとともに、併せて、そのガタ抑えを行うことのできる水栓用ソケット10の接続装置80が形成されている。
【0039】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図8のフローチャートに示すように、水栓1を施工する際には、先ず、配管取り出し部材20の筒内、その第1端部21側の内周面44に設けられた嵌合溝61に対してシールリング60を嵌着する(ステップS101)。そして、水栓1の取付面Sを構成する壁部2に対して、その配管取り出し部材20を固定する(ステップS102)。
【0040】
また、水栓用ソケット10に対し、その筒状接続部41の外周面43に設けられた雄螺子部47に送り座70を螺着する(ステップS103)。そして、この水栓用ソケット10の筒状接続部41を、その壁部2に固定された配管取り出し部材20に対して螺着する(ステップS104)。
【0041】
次に、その配管取り出し部材20に螺着された筒状接続部41周りに水栓用ソケット10を螺子回しすることにより、この水栓用ソケット10に設けられた水栓取付部42の配置を調整する(ステップS105)。
【0042】
図1に示すように、この水栓取付部42の配置調整には、その水栓用ソケット10の螺子回しによる筒状接続部41の軸方向移動に基づいた取付面Sからの離間距離D1の調整が含まれる。更に、湯水混合水栓としての構成を有する水栓1においては、第1の配管取り出し部材20aに螺着された第1の水栓用ソケット10a側の水栓取付部42と、第2の配管取り出し部材20bに螺着された第2の水栓用ソケット10b側の水栓取付部42との位置合わせが含まれる。つまりは、これら第1及び第2の水栓取付部42a,42bの間隔D2を、その水栓本体11に設けられた第1給水口13a及び第2給水口13bの間隔D0に一致させる作業が行われる。そして、この水栓取付部42の配置調整に要する水栓用ソケット10の螺子回し量は、その筒状接続部41の外周面43と水栓取付部42の内周面44との間に介在されたシールリング60によって安定的なシール性が確保される範囲内、概ね、その雄螺子部47の1ピッチ以内に設定されている。
【0043】
図8に示すように、更に、このような第1及び第2の水栓取付部42a,42bの位置合わせが行われた状態で、その第1及び第2の水栓用ソケット10a,10bの各筒状接続部41,41に螺着された送り座70,70を螺子回しすることにより、これらの送り座70,70を、それぞれ壁部2に締め付ける。そして、これにより、その第1の配管取り出し部材20aに対する第1の水栓用ソケット10aの螺着位置、及び第2の配管取り出し部材20bに対する第2の水栓用ソケット10bの螺着位置を固定する(ステップS106)。
【0044】
次に、この状態で、第1及び第2の水栓取付部42a,42bに対して、水栓本体11の第1給水口13a及び第2給水口13bを接続する(ステップS107)。そして、これにより、第1及び第2の水栓用ソケット10a,10b及び第1及び第2の水栓取付部42a,42bを介して、その水栓本体11と壁部2の裏側に配設された水用配管3a及び湯用配管3bとが接続される。
【0045】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)水栓用ソケット10の接続装置80は、水栓1の取付面Sを構成する壁部2に固定された状態で、その水栓用ソケット10が螺着されることにより、この水栓用ソケット10と壁部2の裏側に配設された配管3との間を接続する筒状の配管取り出し部材20を備える。また、接続装置80は、雌螺子部46を有した配管取り出し部材20の内周面44と、この雌螺子部46に螺合する雄螺子部47を有して水栓用ソケット10に設けられた筒状接続部41の外周面43との間に介在されるシールリング60を備える。更に、接続装置80は、その雄螺子部47に対する螺合部を構成するナット部72を有した送り座70を備える。そして、この送り座70を取付面S側から壁部2に締め付けることにより、その配管取り出し部材20に対する水栓用ソケット10の螺着位置が固定される。
【0046】
上記構成によれば、水栓用ソケット10の筒状接続部41と配管取り出し部材20との間に介在されたシールリング60によって、安定したシール性を確保することができる。このため、配管取り出し部材20に対して水栓用ソケット10を螺着した後、シール性の低下を招くことなく、その水栓用ソケット10の螺子回しによって、容易に、この水栓用ソケット10の螺着位置を調整することができる。更に、壁部2に対する送り座70の締め付けによって、容易に、その位置合わせが行われた状態で水栓用ソケット10の螺着位置を固定することができる。そして、これにより、水栓1の施工を容易に行うことができる。加えて、その送り座70の締め付けにより、互いに螺合する雌螺子部46と雄螺子部47との間の隙間が詰まることで、水栓用ソケット10のガタを抑えることができる。更に、シールテープやシール剤を併用することもできる。そして、これにより、より高いシール性を確保することができる。
【0047】
(2)配管取り出し部材20の内周面44には、シールリング60の嵌合溝61が凹設される。また、筒状接続部41の外周面43には、そのシールリング60が当接する平滑なシール面62が設けられる。そして、このシール面62は、その筒状接続部41の軸方向に沿った幅W1が、上記嵌合溝61の幅W0に、雄螺子部47の1ピッチに相当する筒状接続部41の軸方向長さL1を加えた値以上の大きさに設定される。
【0048】
即ち、シールリング60を嵌合溝61内に配置することで、そのシールリング60の配置を安定的に保持することができる。また、このシールリング60が、平滑なシール面62に当接して押し潰されることにより、安定的なシール性を確保することができる。そして、このシール面62に設定された幅広さに基づいて、安定したシール性を確保した状態で、容易に、その水栓用ソケット10の螺子回しによる螺着位置の調整を行うことができる。
【0049】
(3)嵌合溝61は、雌螺子部46よりも奥側の軸方向位置に設けられる。
上記構成によれば、配管取り出し部材20に対して水栓用ソケット10を螺着する際、その筒状接続部41の雄螺子部47がシールリング60に引っ掛かり難い。そして、これにより、シールリング60に傷が付き難くなることで、そのシール性能を担保して、高い信頼性を確保することができる。
【0050】
(4)送り座70は、その外周に、この送り座70の締め付けに用いられる工具の嵌合部74を有する。これにより、より容易に、水栓1を施工することができるとともに、その送り座70の締め付け力を強化して、より確実に、その配管取り出し部材20に対する水栓用ソケット10を螺着位置を固定することができる。
【0051】
(5)水栓1は、第1給水口13a及び第2給水口13bを有した水栓本体11と、その第1給水口13aに接続される第1の水栓取付部42aを有した第1の水栓用ソケット10aと、第2給水口13bに接続される第2の水栓取付部42bを有した第2の水栓用ソケット10bと、を備える。更に、水栓1の施工する際には、その配管取り出し部材20に対する水栓用ソケット10を螺着位置に基づいて、この水栓用ソケット10に設けられた水栓取付部42の配置が調整される。そして、この水栓取付部42の配置を調整する工程には、第1及び第2の水栓取付部42a,42bの間隔D2を、その水栓本体11に設けられた第1給水口13a及び第2給水口13bの間隔D0に一致させる工程が含まれる。
【0052】
上記構成によれば、湯水混合水栓としての構成を有した水栓1について、より容易に、その施工を行うことができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0053】
・上記実施形態では、水栓用ソケット10は、クランク型の外形を有することとしたが、例えば、ストレート型、或いは、その他の折曲又は湾曲形状を有した水栓用ソケットに適用してもよい。更に、水栓本体11の構成についても、任意に変更してもよい。そして、これにより、湯水混合水栓以外の構成を有する壁付き型の水栓に適用してもよい。
【0054】
・上記実施形態では、シールリング60は、断面略円形状をなすOリングとしての構成を有することとしたが、その他の異型断面を有するもの、例えば、V字断面やX断面等を有するシールリングを用いてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、配管取り出し部材20の内周面44における雌螺子部46よりも奥側の軸方向位置にシールリング60の嵌合溝61が設けられ、筒状接続部41の外周面43における雄螺子部47よりも先端側の軸方向位置にシール面62が設けられることとした。
【0056】
しかし、これに限らず、図9に示すように、筒状接続部41Bの外周面43Bにおける雄螺子部47よりも先端側の軸方向位置にシールリング60の嵌合溝61Bが設けられ、配管取り出し部材20Bの内周面44Bにおける雌螺子部46よりも奥側の軸方向位置にシール面62Bが設けられた構成としてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、筒状接続部41の外周面43に設けられた雄螺子部47における筒状接続部41の軸方向先端側が、配管取り出し部材20の内周面44に設けられた雌螺子部46に螺合する第1の雄螺子部47aを構成する。そして、雄螺子部47の基端部側が、送り座70が螺着される第2の雄螺子部47bを構成することとした。しかし、これに限らず、これら第1及び第2の雄螺子部47a,47bが、それぞれ、独立に設けられた構成であってもよい。そして、その螺子山の形状についてもまた、それぞれ、任意に設定してもよい。
【0058】
尚、上記実施形態のように、一つの雄螺子部47を第1及び第2の雄螺子部47a,47bに用いる構成を採用することで、構成の簡素化を図ることができる。
・また、図10に示すように、配管取り出し部材20Cの内周面44Cにおける雌螺子部46よりも手前側の軸方向位置にシールリング60の嵌合溝61Cが設けられ、筒状接続部41Cの外周面43Cにおける第1の雄螺子部47Caよりも基端側の軸方向位置にシール面62Cが設けられる構成としてもよい。そして、この場合、シール面62Cは、筒状接続部41Cの軸方向に離間して独立に設けられた第1及び第2の雄螺子部47Ca,47Cbの間の軸方向位置に配置するとよい。
【0059】
・更に、図11に示すように、筒状接続部41Dの外周面43Dにおける第1の雄螺子部47Daよりも基端側の軸方向位置にシールリング60の嵌合溝61Dが設けられ、配管取り出し部材20Dの内周面44Dにおける雌螺子部46よりも手前側の軸方向位置にシール面62Dが設けられる構成としてもよい。この場合もまた、嵌合溝61Dは、独立に設けられた第1及び第2の雄螺子部47Da,47Dbの間の軸方向位置に配置するとよい。更に、このような構成を採用することで、配管取り出し部材20Dに対して水栓用ソケット10を螺着する際、その配管取り出し部材20Dの雌螺子部46に対してシールリング60に引っ掛かり難い。そして、これにより、シールリング60に傷が付き難くなることで、そのシール性能を担保して、高い信頼性を確保することができる。
【0060】
・上記実施形態では、配管取り出し部材20は、略L字状の折曲管形状をなし、壁部2の裏側から取付孔25に挿入される態様で壁部2に固定されることとした。しかし、これに限らず、配管取り出し部材20の管形状、及び壁部2に対する固定構造については、任意に変更してもよい。
【0061】
例えば、図12に示す別例の配管取り出し部材20Eは、直管状の外形を有している。また、この配管取り出し部材20Eは、壁部2の取付孔25に対し、その第2端部22が取付面S側から挿入される。そして、この配管取り出し部材20Eは、その外周面23から径方向外側に突出する取付フランジ24Eを用いて取付面S側から壁部2に固定される構成となっている。このような構成を採用しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
・上記実施形態では、送り座70は、その雄螺子部47に対する螺合部を構成するナット部72の軸方向端部が固定プレート28に当接するかたちで、この固定プレート28を介して壁部2に締め付けられることとした。しかし、これに限らず、直接的に送り座70が壁部2に当接して、この壁部2に締め付けられる構成であってもよい。そして、その壁部2に対する当接部位についてもまた、任意に変更してもよい。
【0063】
・送り座70は、その螺合部を構成するナット部72の外周に設けられた六角の嵌合部74を有する。そして、これにより、この嵌合部74に嵌合する工具を用いて、その締め付け作業を行うことのできる構成とした。しかし、これに限らず、嵌合部74の形成位置は、任意に変更してもよい。そして、その嵌合部74についてもまた、例えば、二面幅形状等、その締め付けに用いる工具に合わせて任意に変更してもよい。
【0064】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)第1給水口及び第2給水口を有した水栓本体と、前記第1給水口に接続される第1の前記水栓取付部を有した第1の前記水栓用ソケットと、前記第2給水口に接続される第2の前記水栓取付部を有した第2の前記水栓用ソケットと、第1の前記水栓用ソケットが螺着される第1の前記配管取り出し部材及び第2の前記水栓用ソケットが螺着される第2の前記配管取り出し部材を有した前記水栓用ソケットの接続装置と、を備えた水栓。
【0065】
(ロ)前記水栓は、第1給水口及び第2給水口を有した水栓本体と、前記第1給水口に接続される第1の前記水栓取付部を有した第1の前記水栓用ソケットと、前記第2給水口に接続される第2の前記水栓取付部を有した第2の前記水栓用ソケットと、を備えるものであって、前記水栓取付部の配置を調整する工程は、第1及び第2の前記水栓取付部の間隔を、前記第1給水口及び第2給水口の間隔に一致させる工程を含む水栓の施工方法。
【0066】
上記構成によれば、湯水混合水栓としての構成を有した水栓について、より容易に、その施工を行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1…水栓、2…壁部、S…取付面、3…配管、10…水栓用ソケット、20…配管取り出し部材、41…筒状接続部、43…外周面、44…内周面、46…雌螺子部、47…雄螺子部、47a…第1の雄螺子部、47b…第2の雄螺子部、60…シールリング、70…送り座、72…ナット部(螺合部)、80…接続装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13