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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】室内環境管理システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/52 20180101AFI20250204BHJP
【FI】
F24F11/52
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020164171
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056254
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】能登谷 美和子
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】熊埜御堂 令
(72)【発明者】
【氏名】夜久 幸希
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-124834(JP,A)
【文献】国際公開第2020/013228(WO,A1)
【文献】特開2016-142489(JP,A)
【文献】特開2013-083402(JP,A)
【文献】特開2000-177379(JP,A)
【文献】特開2016-165682(JP,A)
【文献】特開2014-219124(JP,A)
【文献】特開2008-157537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 7/007
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
少なくとも温度及び湿度を含む複数の指標に従って室内の空気の状態を検出することが可能な第一検出部と、
前記複数の指標に従って外気の状態を検出することが可能な第二検出部と、
前記表示部に、前記第一検出部により検出された前記室内の空気の状態、及び、前記第二検出部により検出された外気の状態を表示させる制御部と、
を具備し、
前記制御部は、
前記室内の空気の状態に基づいて、前記表示部に換気に関する警告を表示させることが可能であって、
窓開け換気により前記室内の換気が開始され、前記室内の空気の温度が前記外気の温度より低い場合において、
換気開始時からの前記室内の温度上昇が所定条件を満たした場合に、冷房の使用を促すための第一の警告を表示させ、
前記第一の警告の表示後、前記室内の空気の湿度が前記外気の湿度未満であり、かつ、前記室内の湿度が所定条件を満たした場合に、前記室内の換気の中止を促すための第二の警告を表示させる、
室内環境管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記表示部に、前記室内の空気の状態をグラフ化して表示させることが可能である、
請求項1に記載の室内環境管理システム。
【請求項3】
前記室内の換気が開始されたことを検出する換気開始検出部をさらに具備し、
前記制御部は、
前記表示部に、前記室内の換気が開始された時の前記室内の空気の状態と、現在の前記室内の空気の状態と、を併せて表示させることが可能である、
請求項1又は請求項2に記載の室内環境管理システム。
【請求項4】
前記室内の換気が開始されたことを検出する換気開始検出部と、
前記室内の換気が終了したことを検出する換気終了検出部と、
をさらに具備し、
前記制御部は、
前記表示部に、前記室内の換気が開始された時の前記室内の空気の状態と、前記室内の換気が終了した時の前記室内の空気の状態と、を併せて表示させることが可能である、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の室内環境管理システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記表示部に、前記室内の空気の状態と、前記第二検出部により検出された外気の状態と、の比較結果を表示させることが可能である、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の室内環境管理システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記表示部に、前記室内の空気の状態を把握する目安となる基準値を表示させることが可能である、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の室内環境管理システム。
【請求項7】
前記複数の指標には、
二酸化炭素濃度が含まれる、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の室内環境管理システム。
【請求項8】
前記複数の指標には、
粉塵濃度及び臭いが含まれる、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の室内環境管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の環境を管理することが可能な室内環境管理システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の環境を管理することが可能な室内環境管理システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、室温センサの検知温度に基づいて、部屋に設けられた窓の開閉及び空調装置のオンオフを制御する温度環境制御システムが開示されている。特許文献1に記載の技術では、室温センサの検知温度に基づいて、部屋空間に設けられた窓の開閉及び空調装置のオンオフが制御される。また特許文献1に記載の技術では、操作パネルの表示画面に、各種操作のためのボタン、空調装置による設定温度等が表示される。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、表示画面に表示された設定温度等は確認できるものの、実際の室内の空気の状態を確認することができない。特に近年では、室内の換気に対する関心が高まっており、室内の空気の状態を確認できる技術が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-161446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、室内の空気の状態を確認することが可能な室内環境管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、表示部と、少なくとも温度及び湿度を含む複数の指標に従って室内の空気の状態を検出することが可能な第一検出部と、前記複数の指標に従って外気の状態を検出することが可能な第二検出部と、前記表示部に、前記第一検出部により検出された前記室内の空気の状態、及び、前記第二検出部により検出された外気の状態を表示させる制御部と、を具備し、前記制御部は、前記室内の空気の状態に基づいて、前記表示部に換気に関する警告を表示させることが可能であって、窓開け換気により前記室内の換気が開始され、前記室内の空気の温度が前記外気の温度より低い場合において、換気開始時からの前記室内の温度上昇が所定条件を満たした場合に、冷房の使用を促すための第一の警告を表示させ、前記第一の警告の表示後、前記室内の空気の湿度が前記外気の湿度未満であり、かつ、前記室内の湿度が所定条件を満たした場合に、前記室内の換気の中止を促すための第二の警告を表示させるものである。
【0009】
請求項2においては、前記制御部は、前記表示部に、前記室内の空気の状態をグラフ化して表示させることが可能なものである。
【0010】
請求項3においては、前記室内の換気が開始されたことを検出する換気開始検出部をさらに具備し、前記制御部は、前記表示部に、前記室内の換気が開始された時の前記室内の空気の状態と、現在の前記室内の空気の状態と、を併せて表示させることが可能なものである。
【0011】
請求項4においては、前記室内の換気が開始されたことを検出する換気開始検出部と、前記室内の換気が終了したことを検出する換気終了検出部と、をさらに具備し、前記制御部は、前記表示部に、前記室内の換気が開始された時の前記室内の空気の状態と、前記室内の換気が終了した時の前記室内の空気の状態と、を併せて表示させることが可能なものである。
【0012】
請求項5においては、前記制御部は、前記表示部に、前記室内の空気の状態と、前記第二検出部により検出された外気の状態と、の比較結果を表示させることが可能なものである。
【0013】
請求項6においては、前記制御部は、前記表示部に、前記室内の空気の状態を把握する目安となる基準値を表示させることが可能なものである。
【0015】
請求項においては、前記複数の指標には、二酸化炭素濃度が含まれるものである。
【0016】
請求項においては、前記複数の指標には、粉塵濃度及び臭いが含まれるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、室内の空気の状態を確認することができる。また、利用者に対して換気に関する警告を行うことで、換気の中止等を適宜促すことができる。
【0019】
請求項2においては、室内の空気の状態を確認し易くすることができる。
【0020】
請求項3においては、換気による室内の空気の状態の変化を確認し易くすることができる。
【0021】
請求項4においては、換気による室内の空気の状態の変化を確認し易くすることができる。
【0022】
請求項5においては、外気と比較して室内の空気の状態を把握し易くすることができる。
【0023】
請求項6においては、室内の空気の状態を把握し易くすることができる。
【0025】
請求項においては、一般的に関心の高い指標に基づいて、室内の空気の状態を確認することができる。
【0026】
請求項においては、比較的詳細に室内の空気の状態を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る室内環境管理システム及びそれが適用された部屋を示した模式図。
図2】室内環境管理システムを示したブロック図。
図3】窓開け換気を行う際の制御部による処理を示したフローチャート。
図4図3の続きを示したフローチャート。
図5図4の続きを示したフローチャート。
図6】(a)窓開け換気開始時の表示部の表示の一例を示した図。(b)窓開け換気中の表示部の表示の一例を示した図。
図7】(a)窓開け換気終了時の表示部の表示の一例を示した図。(b)警告が表示された表示部の表示の一例を示した図。
図8】機械換気を行う際の制御部による処理を示したフローチャート。
図9】機械換気終了時の表示部の表示の一例を示した図。
図10】窓開け換気を行う際の制御部による処理の変形例を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず、本発明の一実施形態に係る室内環境管理システム100が適用される部屋1について説明する。
【0029】
図1には、一例として、住宅に設けられた部屋1を示している。部屋1には、窓10、空調装置20及び換気扇30等が設けられている。
【0030】
窓10は、部屋1に2つ設けられている。2つの窓10は、それぞれ部屋1の壁面の適宜の位置に設けられる。窓10を開放することで、部屋1の内部空間(室内)と屋外とを連通し、換気を行うことができる。
【0031】
空調装置20(エア・コンディショナー)は、室内の温度や湿度等を調整するものである。空調装置20は、部屋1の適宜の位置に設けられる。
【0032】
換気扇30は、強制的に室内の換気を行うものである。換気扇30は、空気の流れを発生させるファン、空気が流通するダクト、ファンを駆動させるモータ等の駆動源(不図示)により構成される。換気扇30には、作動と非作動(停止)を切り換える操作具(スイッチ)が設けられ、利用者(住人等)が任意に作動させることができる。換気扇30は、部屋1の適宜の位置に設けられる。
【0033】
次に、図1及び図2を用いて、室内環境管理システム100の構成について説明する。
【0034】
室内環境管理システム100は、部屋1の内部空間(室内)の環境(特に、空気の状態)を把握するためのものである。室内環境管理システム100は、主として室内センサ110、屋外センサ120、窓開閉センサ130、表示部140及び制御部150を具備する。
【0035】
室内センサ110は、室内の空気の状態を検出するためのものである。室内センサ110は、部屋1の適宜の位置に設けられる。室内センサ110は、複数の指標に従って空気の状態を検出することができる。具体的には、室内センサ110は、室内の二酸化炭素濃度、温度、湿度、粉塵濃度及び臭いを検出することができる。室内センサ110は、上述の複数の指標に従って空気の状態を検出することができるように、複数種類のセンサを組み合わせて構成される。具体的には、室内センサ110は、図2に示すように、二酸化炭素濃度センサ111、温度センサ112、湿度センサ113、粉塵濃度センサ114及び臭いセンサ115により構成される。
【0036】
二酸化炭素濃度センサ111は、空気中の二酸化炭素濃度を検出するものである。二酸化炭素濃度センサ111の方式としては、光学式、電気化学式等、各種の方式を採用することができる。
【0037】
温度センサ112は、空気の温度を検出するものである。
【0038】
湿度センサ113は、空気の湿度(相対湿度)を検出するものである。
【0039】
粉塵濃度センサ114は、空気中の粉塵(粒子状物質)の濃度を検出するものである。粉塵濃度センサ114の方式としては、光学式、重量方式等、各種の方式を採用することができる。
【0040】
臭いセンサ115は、空気中の臭い(より具体的には、数値化された臭いの程度)を検出するものである。臭いセンサ115の方式としては、半導体式、水晶振動子式等、各種の方式を採用することができる。
【0041】
図1及び図2に示す屋外センサ120は、屋外の空気(外気)の状態を検出するためのものである。屋外センサ120は、屋外の適宜の位置に設けられる。屋外センサ120は、室内センサ110と同様に、複数の指標に従って空気の状態を検出することができる。具体的には、屋外センサ120は、屋外の二酸化炭素濃度、温度、湿度、粉塵濃度及び臭いを検出することができる。屋外センサ120は、上述の複数の指標に従って空気の状態を検出することができるように、複数種類のセンサを組み合わせて構成される。具体的には、屋外センサ120は、図2に示すように、二酸化炭素濃度センサ121、温度センサ122、湿度センサ123、粉塵濃度センサ124及び臭いセンサ125により構成される。なお、屋外センサ120の構成は、室内センサ110と概ね同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0042】
窓開閉センサ130は、窓10の開閉状態を検出するためのものである。窓開閉センサ130は、各窓10に設けられる。窓開閉センサ130は、光学式、接触式等、各種の方式を採用することができる。窓開閉センサ130は、例えば窓10の窓枠の位置を検出することで、窓10が開放又は閉塞された状態であることを検出することができる。窓10が開放されることで室内の空気と外気との換気が可能になるため、窓開閉センサ130で窓10が開放されたことを検出したタイミングが、換気が開始されたタイミングであるものと推認できる。
【0043】
表示部140は、各種の情報を表示するためのものである。表示部140は、例えば液晶パネル、タッチパネル等により構成することができる。表示部140は、部屋1の適宜の位置に設けられる。
【0044】
図2に示す制御部150は、表示部140の動作を制御して、当該表示部140に各種の情報を表示させるものである。制御部150は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部等を具備する。制御部150の記憶部には、室内環境管理システム100(特に、表示部140)の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。制御部150の演算処理部は、前記プログラムを実行して前記種々の情報を用いた所定の演算処理等を行うことで、表示部140に各種の情報を表示させることができる。制御部150は、住宅内の適宜の場所に設けられる。また制御部150は、表示部140と一体的に形成(表示部140の筐体に内蔵)することも可能である。
【0045】
制御部150は室内センサ110に接続され、室内センサ110による検出結果を取得することができる。すなわち制御部150は、室内の空気の状態(二酸化炭素濃度、温度、湿度、粉塵濃度及び臭い)を検出することができる。
【0046】
また制御部150は屋外センサ120に接続され、屋外センサ120による検出結果を取得することができる。すなわち制御部150は、屋外の空気の状態(二酸化炭素濃度、温度、湿度、粉塵濃度及び臭い)を検出することができる。
【0047】
また制御部150は窓開閉センサ130に接続され、窓開閉センサ130による窓10の開閉状態の検出結果を取得することができる。
【0048】
また制御部150は換気扇30に接続され、換気扇30の作動状態(作動しているか否か)を把握することができる。
【0049】
また制御部150は表示部140に接続され、表示部140に任意の情報を表示させることができる。
【0050】
上述の如く構成された室内環境管理システム100を用いることで、部屋1の換気に伴って、室内の空気の状態を把握することができる。本実施形態では、換気の方法として、窓10を開けて部屋1の換気を行う方法(窓開け換気)と、換気扇30を作動させて部屋1の換気を行う方法(機械換気)を想定している。以下では、それぞれの方法で換気を行う場合に、室内の空気の状態を把握するための処理について順に説明する。
【0051】
まず、窓開け換気を行う場合に、室内の空気の状態を把握するための処理について説明する。
【0052】
図3に示すステップS101において、制御部150は、窓開閉センサ130による検出結果に基づいて、窓10が開いたか否かを判定する。より具体的には、制御部150は、部屋1に設けられた複数の窓10のうち、少なくとも1つが開いたか否かを判定する。窓10が開いた場合、住人が部屋1の換気を開始したことが推認される。制御部150は、窓10が開いたと判定した場合(ステップS101でYES)、ステップS102に移行する。一方、制御部150は、窓10が開いていないと判定した場合(ステップS101でNO)、ステップS101の処理を再度行う。
【0053】
ステップS102において、制御部150は、換気開始時(窓10が開いた時点、すなわち、ステップS101でYESの判定をした時点)の室内センサ110による検出結果の数値をグラフ化して、表示部140に表示させる。図6(a)には、ステップS102の処理による表示部140への表示の一例を示している。
【0054】
図6(a)に示すように、制御部150は、換気開始時に室内センサ110により検出された二酸化炭素濃度等を、グラフ(レーダーチャート)で表示部140に表示させる。室内センサ110は5つの指標に基づいて空気の状態を検出するため、レーダーチャートは五角形状に描画される。レーダーチャートの各頂点付近には、対応する指標の名称がそれぞれ表示される。なお、図例では各指標の具体的な数値や目盛を描画していないが、当該数値等を描画することも可能である。
【0055】
また制御部150は、レーダーチャートに、各指標の基準値を破線で描画している。この基準値は、住人等が表示部140のレーダーチャートを見て室内の空気の状態を把握する際の目安となるように、適宜の値に定められる。
【0056】
例えば、二酸化炭素濃度の基準値としては、一般的に適切であると言われている濃度(例えば、1000ppm)を設定することができる。このように基準値を設定することで、住人は、表示部140に表示された二酸化炭素濃度と基準値を比較することで、室内の二酸化炭素濃度が適切であるか否かを容易に判断することができる。
【0057】
また、湿度の基準値としては、一般的にカビが生え易いと言われている湿度(例えば、70%)を設定することができる。このように基準値を設定することで、住人は、表示部140に表示された湿度と基準値を比較することで、室内がカビが生え易い状態であるか否かを容易に判断することができる。
【0058】
なお、表示部140に表示される基準値は、予め定められたものでもよく、また、住人等が任意に設定することができるものでもよい。
【0059】
制御部150は、ステップS102の処理を行った後、ステップS103に移行する。
【0060】
ステップS103において、制御部150は、現時点(現在)の室内センサ110による検出結果の数値をグラフ化して、表示部140に表示させる処理を開始する。制御部150は、ステップS103の処理以降(後述するステップ108、ステップS115又はステップS125の処理を行うまで)、表示部140に、現在の室内の状態をグラフ化して表示させ続ける。すなわち、表示部140には、最新の室内の状態が常時表示されることになる。図6(b)には、ステップS103の処理による表示部140への表示の一例を示している。
【0061】
図6(b)に示すように、制御部150は、現時点で室内センサ110により検出された二酸化炭素濃度等を、グラフ(レーダーチャート)で表示部140に表示させる。この際、換気開始時のグラフと区別できるように、換気開始時のグラフとは異なる態様(例えば、異なる色や線種等で描画する、グラフの内側を適宜の色で塗りつぶして表示するなど)でグラフが描画される。図6(b)では、換気開始時のグラフを実線で、現在のグラフを一点鎖線でそれぞれ示している。なお、図6に示すように、それぞれのグラフがどの時点での空気の状態を示しているのかを、「換気開始時」、「現在」等の文字で示すことも可能である。
【0062】
このように、現在の室内の空気の状態を表示部140にグラフで表示させることで、住人は室内の状態を容易に把握することができる。また、換気開始時のグラフと現在のグラフを併せて表示部140に表示させることで、換気による室内の空気の状態の変化を容易に把握することができる。例えば図6(b)に示した例では、換気によって二酸化炭素濃度、粉塵濃度及び臭いが減少し、温度及び湿度が増加していることを容易に把握することができる。
【0063】
制御部150は、ステップS103の処理を行った後、ステップS104に移行する。
【0064】
ステップS104において、制御部150は、室内センサ110により検出された室内の温度が、屋外センサ120により検出された外気の温度未満であるか否かを判定する。制御部150は、室内の温度が、外気の温度未満ではないと判定した場合(ステップS104でNO)、ステップS105に移行する。一方、制御部150は、室内の温度が、外気の温度未満であると判定した場合(ステップS104でYES)、ステップS111(図4参照)に移行する。
【0065】
ステップS105において、制御部150は、窓開閉センサ130による検出結果に基づいて、窓10が閉じたか否かを判定する。より具体的には、制御部150は、部屋1に設けられた複数の窓10の全てが閉じたか否かを判定する。窓10が全て閉じた場合、住人が部屋1の換気を終了したことが推認される。制御部150は、窓10が閉じたと判定した場合(ステップS105でYES)、ステップS106に移行する。一方、制御部150は、窓10が閉じていないと判定した場合(ステップS105でNO)、ステップS104の処理を再度行う。
【0066】
ステップS106において、制御部150は、換気終了時(窓10が閉じた時点、すなわち、ステップS105でYESの判定をした時点)の室内センサ110による検出結果の数値をグラフ化して、換気開始時のグラフと共に表示部140に表示させる。図7(a)には、ステップS106の処理による表示部140への表示の一例を示している。
【0067】
図7(a)に示すように、制御部150は、換気終了時に室内センサ110により検出された二酸化炭素濃度等を、グラフ(レーダーチャート)で表示部140に表示させる。この際、換気開始時のグラフと区別できるように、換気開始時のグラフとは異なる態様でグラフが描画される。図7(a)では、換気開始時のグラフを実線で、換気終了時のグラフを一点鎖線でそれぞれ示している。
【0068】
またステップS106において、制御部150は、換気終了時の室内の空気の状態と、外気の状態との比較結果を表示部140に表示させる。例えば、制御部150は、屋外センサ120による検出結果をグラフ(レーダーチャート)化したものの面積(レーダーチャートに描画される五角形の面積)に対して、換気前後で室内センサ110による検出結果をグラフ化したものの面積が何%程度近づいたかを算出し、表示部140に表示させる(図7(a)参照)。このように、室内の空気の状態と、外気の状態との比較結果を表示させることで、住人は換気の効果を容易に把握することができる。なお、本実施形態では、外気の状態は、表示部140にグラフ化して表示させていない。
【0069】
制御部150は、ステップS106の処理を行った後、ステップS101の処理に戻る。
【0070】
ステップS104から移行したステップS111(図4参照)において、制御部150は、換気開始時からの室内の温度変化が2℃を超えたか否かを判定する。具体的には、ステップS111の処理を行う場合は、外気の温度が室内の温度よりも高いため(ステップS104でYES)、制御部150は、室内の温度が換気開始時に比べて2℃を超えて高くなったか否かを判定する。制御部150は、換気開始時からの室内の温度変化が2℃を超えたと判定した場合(ステップS111でYES)、ステップS112に移行する。一方、制御部150は、換気開始時からの室内の温度変化が2℃を超えていないと判定した場合(ステップS111でNO)、ステップS121(図5参照)に移行する。
【0071】
ステップS112において、制御部150は、表示部140に所定の警告を表示させる(図7(b)参照)。ここで、ステップS111の処理によって室内の温度が比較的大きく上昇していることが分かっているため、制御部150は、空調装置20による冷房を行う(若しくは、冷房を強める)ように促す内容の警告を行う。例えば制御部150は、表示部140に、「室温が上昇しているので、冷房を推奨します」などのメッセージを表示させる。制御部150は、ステップS112の処理を行った後、ステップS113に移行する。
【0072】
ステップS113において、制御部150は、室内センサ110により検出された室内の空気の湿度が、屋外センサ120により検出された外気の湿度未満であり、かつ、室内の湿度が70%を超えているか否かを判定する。制御部150は、室内の空気の湿度が外気の湿度未満、かつ室内の湿度が70%を超えていると判定した場合(ステップS113でYES)、ステップS114に移行する。一方、制御部150は、室内の空気の湿度が外気の湿度以上である、又は、室内の湿度が70%以下であると判定した場合(ステップS113でNO)、ステップS115に移行する。
【0073】
ステップS114において、制御部150は、表示部140に所定の警告を表示させる(図7(b)参照)。ここで、ステップS113の処理によって現在の室内の湿度が比較的高く、また換気によって今後も湿度が上昇することが想定されるため、制御部150は、窓10を開けることによる換気を中止するように促す内容の警告を行う。例えば制御部150は、表示部140に、「湿度が上昇しているので、窓を閉めて換気を終了することを推奨します」などのメッセージを表示させる。制御部150は、ステップS114の処理を行った後、ステップS115に移行する。
【0074】
ステップS115及びステップS116の処理は、ステップS105及びステップS106(図3参照)の処理と同様である。すなわち制御部150は、窓10が閉じられた場合、換気前後の室内の空気の状態をグラフ化すると共に、室内の空気の状態と外気の状態との比較結果を表示させる(図7(a)参照)。
【0075】
ステップS111から移行したステップS121(図5参照)において、制御部150は、室内センサ110により検出された室内の空気の湿度が、屋外センサ120により検出された外気の湿度未満であり、かつ、室内の湿度が70%を超えているか否かを判定する。なお、ステップS121の処理は、ステップS113(図4参照)の処理と同様である。制御部150は、室内の空気の湿度が外気の湿度未満、かつ室内の湿度が70%を超えていると判定した場合、ステップS115(図4参照)に移行する。一方、制御部150は、室内の空気の湿度が外気の湿度以上である、又は、室内の湿度が70%以下であると判定した場合、ステップS122に移行する。
【0076】
ステップS122及びステップS123の処理は、ステップS105及びステップS106(図3参照)の処理と同様である。すなわち制御部150は、窓10が閉じられた場合、換気前後の室内の空気の状態をグラフ化すると共に、室内の空気の状態と外気の状態との比較結果を表示させる(図7(a)参照)。
【0077】
以上のように、住人が窓開け換気を行う場合、制御部150は窓10が開いたことを検出して(ステップS101)、自動的に室内の空気の状態の表示を開始する(ステップS102、ステップS103)。住人は表示部140を確認することで、換気による室内の空気の状態の変化を把握することができる。例えば、換気によって空気の状態が改善された(二酸化炭素濃度が低下したこと等)や、換気によって空気の状態が悪化した(温度や湿度が上昇したこと等)を把握することができる。
【0078】
また、表示部140には各指標の基準値が描画されているため、住人はこの基準値を換気を終了するタイミングを決める目安にすることができる。また、換気が終了した場合、制御部150は換気前後の空気の状態を表示するため(ステップS106)、住人は換気の効果を容易に確認することができる。
【0079】
次に、機械換気を行う場合に、室内の空気の状態を把握するための処理について説明する。
【0080】
図8に示すステップS201において、制御部150は、換気扇30が作動したか否かを判定する。換気扇30が作動した場合、住人が部屋1の換気を開始したことが推認される。制御部150は、換気扇30が作動したと判定した場合(ステップS201でYES)、ステップS202に移行する。一方、制御部150は、換気扇30が作動していないと判定した場合(ステップS201でNO)、ステップS201の処理を再度行う。
【0081】
ステップS202及びステップS203の処理は、ステップS102及びステップS103(図3参照)の処理と同様である。すなわち制御部150は、換気開始時(換気扇30が作動した時点、すなわち、ステップS201でYESの判定をした時点)の室内の空気の状態を表示部140に表示させると共に、現在の室内の空気の状態を表示部140に表示させる処理を開始する(図6(b)参照)。制御部150はステップS203の処理を行った後、ステップS205に移行する。
【0082】
ステップS205において、制御部150は、換気扇30が停止したか否かを判定する。換気扇30が停止した場合、住人が部屋1の換気を終了したことが推認される。制御部150は、換気扇30が停止したと判定した場合(ステップS205でYES)、ステップS206に移行する。一方、制御部150は、換気扇30が停止していないと判定した場合(ステップS205でNO)、ステップS205の処理を再度行う。
【0083】
ステップS206において、制御部150は、ステップS106(図3参照)と同様の処理を行う。すなわち制御部150は、換気前後の室内の空気の状態をグラフ化すると共に、室内の空気の状態と外気の状態との比較結果を表示させる(図9参照)。
【0084】
さらに制御部150は、室内の空気のうち、何%の空気を外気と入れ替えることができたか(入れ替え率)を、表示部140に表示させる。入れ替え率は、換気扇30の性能(風量)、作動時間、部屋1の体積から算出することができる。制御部150は、これらの情報から部屋1の空気のうち、何%の空気を外気と入れ替えることができたかを算出し、表示部140に表示させる。住人はこの表示を確認することで、換気の状態を把握することができる。
【0085】
以上のように、住人が機械換気を行う場合も、窓開け換気を行う場合と同様に、制御部150は換気扇30が作動したことを検出して(ステップS201)、自動的に室内の空気の状態の表示を開始する(ステップS202、ステップS203)。住人は表示部140を確認することで、換気による室内の空気の状態の変化を把握することができる。
【0086】
なお、上述のような室内の空気の状態を把握するための処理(図3から図9参照)は、適宜のタイミングで実行することが可能であるが、住人が任意のタイミングで空気の状態を確認できるように、少なくとも住宅の住人の在宅中には常時実行されることが望ましい。
【0087】
また、窓開け換気を行う場合の処理(図3から図5参照)と機械換気を行う場合の処理(図8参照)をそれぞれ個別に説明したが、両者の処理を共通化することも可能である。例えば、図3のステップS101において、窓10が開いたか否かだけでなく、換気扇30が作動したか否かを判定して、換気が開始されたことを検出してもよい。
【0088】
以上の如く、本実施形態に係る室内環境管理システム100は、
表示部140と、
複数の指標に従って室内の空気の状態を検出することが可能な室内センサ110(第一検出部)と、
前記表示部140に、前記室内センサ110により検出された前記室内の空気の状態を表示させる制御部150と、
を具備するものである。
このように構成することにより、室内の空気の状態を確認することができる。すなわち、表示部140の表示を確認することで、室内の空気の状態を確認することができるため、例えば換気を行う際の換気時間等の目安にすることができる。特に本実施形態においては複数の指標に従って空気の状態を表示することができるため、比較的詳細な空気の状態を把握することができる。
【0089】
また、前記制御部150は、
前記表示部140に、前記室内の空気の状態をグラフ化して表示させることが可能なものである。
このように構成することにより、室内の空気の状態を確認し易くすることができる。
【0090】
また、室内環境管理システム100は、
前記室内の換気が開始されたことを検出する窓開閉センサ130や換気扇30(換気開始検出部)をさらに具備し、
前記制御部150は、
前記表示部140に、前記室内の換気が開始された時の前記室内の空気の状態と、現在の前記室内の空気の状態と、を併せて表示させることが可能なものである。
このように構成することにより、換気による室内の空気の状態の変化を確認し易くすることができる。すなわち、換気開始時の空気の状態と現在の空気の状態を比較して、現在の空気の状態を把握することができる。
【0091】
また、室内環境管理システム100は、
前記室内の換気が開始されたことを検出する窓開閉センサ130や換気扇30(換気開始検出部)と、
前記室内の換気が終了したことを検出する窓開閉センサ130や換気扇30(換気終了検出部)と、
をさらに具備し、
前記制御部150は、
前記表示部140に、前記室内の換気が開始された時の前記室内の空気の状態と、前記室内の換気が終了した時の前記室内の空気の状態と、を併せて表示させることが可能なものである。
このように構成することにより、換気による室内の空気の状態の変化を確認し易くすることができる。すなわち、換気開始時の空気の状態と換気終了時の空気の状態を比較して、換気後の空気の状態を把握することができる。
【0092】
また、室内環境管理システム100は、
前記複数の指標に従って外気の状態を検出することが可能な屋外センサ120(第二検出部)をさらに具備し、
前記制御部150は、
前記表示部140に、前記室内の空気の状態と、前記屋外センサ120により検出された外気の状態と、の比較結果を表示させることが可能なものである。
このように構成することにより、外気と比較して室内の空気の状態を把握し易くすることができる。例えば、換気によって室内の空気の状態が外気にどの程度近づいたかを把握することができ、換気の効果を確認することができる。
【0093】
また、前記制御部150は、
前記表示部140に、前記室内の空気の状態を把握する目安となる基準値を表示させることが可能なものである。
このように構成することにより、室内の空気の状態を把握し易くすることができる。
【0094】
また、前記制御部150は、
前記室内の空気の状態に基づいて、前記表示部140に換気に関する警告を表示させることが可能なものである。
このように構成することにより、利用者に対して換気に関する警告を行うことで、換気の中止等を適宜促すことができる。
【0095】
また、前記複数の指標には、
二酸化炭素濃度、温度及び湿度が含まれるものである。
このように構成することにより、一般的に関心の高い指標(二酸化炭素濃度、温度及び湿度)に基づいて、室内の空気の状態を確認することができる。
【0096】
また、前記複数の指標には、
粉塵濃度及び臭いが含まれるものである。
このように構成することにより、比較的詳細に室内の空気の状態を確認することができる。
【0097】
なお、本実施形態に係る室内センサ110は、本発明に係る第一検出部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る窓開閉センサ130や換気扇30は、本発明に係る換気開始検出部及び換気終了検出部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る屋外センサ120は、本発明に係る第二検出部の実施の一形態である。
【0098】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0099】
例えば、本実施形態では、空気の状態を示す指標として、二酸化炭素濃度、温度、湿度、粉塵濃度及び臭いの5つの指標を例示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、これら5つの指標のうちの一部(例えば、二酸化炭素濃度、温度及び湿度のみ)を指標として用いることや、さらに他の指標(例えば、オゾン濃度、一酸化炭素濃度、二酸化硫黄濃度等)を併せて用いることも可能である。
【0100】
また、本実施形態では、空気の状態をグラフ化して表示部140に表示させる例(例えば、図6等参照)を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えばグラフ化することなく、各指標に基づく検出値(数値)を表示部140に表示させることも可能である。
【0101】
また、本実施形態では、空気の状態をレーダーチャートで表示部140に表示させる例(例えば、図6等参照)を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、その他のグラフ(例えば、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、帯グラフ等)を用いて表示することや、複数のグラフを組み合わせて表示することも可能である。
【0102】
また、本実施形態では、換気の開始や終了を検出する方法として、窓開閉センサ130で検出する例や、換気扇30の作動の有無で検出する例(例えば、図1参照)を示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の方法で換気の開始や終了を検出することが可能である。例えば、風速センサで換気による空気の流れの有無を検出することや、住人が手動による操作(例えば、タッチパネルによる操作等)で換気の開始や終了のタイミングを制御部150に入力することも可能である。
【0103】
また、本実施形態では、室内の空気の状態と外気の状態との比較結果として、レーダーチャートの面積を比較した結果を表示する例(例えば、図7(a)参照)を示したが、本発明はこれに限るものではなく、比較の基準は任意に設定することが可能である。例えば、レーダーチャートの面積を比較するのではなく、各指標の値(数値)を個別に比較して、その大小関係や差分を具体的に示すことも可能である。また、室内の空気の状態と同様に、外気の状態をレーダーチャートで表示し、両グラフを視覚的に比較できるように表示することも可能である。
【0104】
また、本実施形態では、換気終了時の室内の空気の状態と、外気の状態との比較結果を表示する例(例えば、図7(a)参照)を示したが、本発明はこれに限るものではなく、任意のタイミングにおける比較結果を表示することが可能である。例えば、換気を行っている最中の室内の空気の状態と、外気の状態との比較結果を表示することも可能である。
【0105】
また、本実施形態では、表示部140に空気の状態を把握する目安となる基準値を表示させる例(例えば、図6等参照)を示したが、基準値の値は特に限定するものではなく、任意に設定することが可能である。また、基準値は必ずしも表示する必要はない。
【0106】
また、本実施形態では、警告の一例として、温度が2℃を超えて高くなった場合に冷房を行うように警告する例(図4のステップS111、ステップS112参照)を示したが、温度に基づく警告としては、冷房を行うように促す警告に限らず、その他種々の警告を行うことが可能である。例えば、温度が一定値以上低下した場合に暖房を行うように警告することも可能である。湿度に関する警告についても同様に、湿度が高くなった場合に警告を行うだけでなく(図4のステップS113、ステップS114参照)、湿度が低くなった場合に警告を行うことも可能である。
【0107】
また、本実施形態では、温度や湿度に基づいて換気を中止するように促す警告を表示させる例(図4図7(b)参照)を示したが、本発明はこれに限るものではなく、種々の基準に基づいて警告を表示させることが可能である。例えば、粉塵濃度が所定の閾値を超えた場合(外気の粉塵濃度が高い状況で換気を行っている場合)に、換気を中止するように促すことも可能である。
【0108】
また、本実施形態では、換気を中止するように促す警告を表示させる例(図4図7(b)参照)を示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他、換気に関する種々の警告を表示させることが可能である。例えば、換気を開始するように促す警告を表示部140に表示させることも可能である。具体的には、部屋1の換気が行われていない状態(例えば、図3に示すステップS101でYESと判定されるよりも前)において、室内センサ110によって室内の状態を検出し、換気が望ましいと判定された場合(例えば、二酸化炭素濃度等が所定の閾値以上である場合等)に表示部140に換気を行うように警告を表示させることも可能である。
【0109】
また、本実施形態で例示した警告(図4のステップS112、ステップS114参照)に限らず、適宜のタイミングで換気を中止するように促す報知(警告)を行うことが可能である。
【0110】
例えば、図10には、本実施形態の変形例を示している。図10に示す例では、上述の実施形態の処理(図3参照)に加えて、ステップS107及びステップS108の処理を行っている。具体的には、ステップS104の後で、制御部150は換気を中止することが望ましいか否かを判定し(ステップS107)、換気を中止することが望ましい場合(ステップS107でYES)には、表示部140に窓10を閉めるように促すメッセージ等を表示する(ステップS108)。このような表示によって、住人に換気を中止するよう促すことができる。換気を中止することが望ましいか否かは、例えば、室内の状態を示す各指標の値に基づいて適宜判断することができる。具体的に例を挙げると、温度や湿度等と基準値を比較して、換気を中止すべきか否かを判定することができる。また各指標の値に基づいて判断するだけでなく、その他の要因(例えば、外部の天気や時間帯等)に応じて換気を中止すべきか否かを判定してもよい。
【0111】
なお、一例として図10のようにステップS104の後で換気の中止を促す処理(ステップS107、ステップS108)を行う例を示したが、当該処理はその他任意のタイミングでも行うことが可能である。例えば、当該処理を、図5に示すステップS121の処理の後(ステップS121でNOの場合)、かつステップS122の前で行うことも可能である。
【0112】
また、窓開け換気を行う場合に例示した各処理(図3から図5参照)は、機械換気を行う場合(図8参照)にも適用することが可能である。例えば、温度や湿度に基づいて警告を行う処理(図4のステップS111からステップS114等)を、機械換気を行う場合に実行することも可能である。
【0113】
また、本実施形態では、室内環境管理システム100を用いて、部屋1の換気に伴って、室内の空気の状態を把握する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、部屋1の換気を行っているか否かに関わらず、任意のタイミングで室内の空気の状態を表示部140に表示させることも可能である。
【0114】
また、本実施形態では、住宅に設けられた部屋1に室内環境管理システム100が適用された例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、種々の建物(商業施設、医療施設、オフィス等)に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 部屋
10 窓
30 換気扇
100 室内環境管理システム
110 室内センサ
120 屋外センサ
130 窓開閉センサ
140 表示部
150 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10