IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産サンキョー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光学ユニット 図1
  • 特許-光学ユニット 図2
  • 特許-光学ユニット 図3
  • 特許-光学ユニット 図4
  • 特許-光学ユニット 図5
  • 特許-光学ユニット 図6
  • 特許-光学ユニット 図7
  • 特許-光学ユニット 図8
  • 特許-光学ユニット 図9
  • 特許-光学ユニット 図10
  • 特許-光学ユニット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20250204BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20250204BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20250204BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20250204BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20250204BHJP
   F16C 19/10 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/04 E
G03B30/00
H04N23/57
H02K5/173 A
F16C19/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020165095
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057038
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-020467(JP,A)
【文献】特開2018-189815(JP,A)
【文献】特開昭61-271677(JP,A)
【文献】特開2019-020464(JP,A)
【文献】特開2019-191350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00- 5/08
G02B 7/02- 7/16
F16C 19/02-19/20
H02K 5/00- 5/26
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを備える可動体と、
固定体と、
光軸方向と交差する1または複数の方向を回転軸の方向として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持するジンバル機構と、
ベアリング機構を有し、光軸方向を回転軸の方向として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持する回転支持機構と、を備え、
前記ベアリング機構は、
光軸方向を回転軸の方向とするとともに、光軸方向において互いの少なくとも一部がオーバーラップする内輪部と外輪部とを有し、
前記外輪部と前記内輪部とを光軸方向を回転軸の方向として回転させることで、前記固定体に対して前記可動体を、光軸方向を回転軸の方向として回転可能であり、
前記内輪部及び前記外輪部の一方に第1磁石を有し、前記内輪部及び前記外輪部の他方に前記第1磁石と対になる第2磁石及び磁性体の少なくともいずれかを有し、
前記第1磁石と前記ベアリング機構の複数の球体と、前記第1磁石と対になる前記第2磁石及び前記磁性体の少なくともいずれかと、光軸方向において前記内輪部と前記外輪部とがオーバーラップする位置であって前記回転支持機構の回転軸を中心とする円弧方向においてオーバーラップする位置に配置されることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記ベアリング機構は、前記対としてN極とS極とが各々対向する位置に配置される前記第1磁石と前記第2磁石とで構成される磁石対を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記ベアリング機構は、前記対における前記内輪部に設けられる前記第1磁石、前記第2磁石または前記磁性体と前記外輪部に設けられる前記第1磁石、前記第2磁石または前記磁性体とが、ラジアル方向においてズレた配置となっていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記ベアリング機構は、前記対を複数有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の光学ユニットにおいて、
前記ベアリング機構は、前記対が光軸方向から見て等間隔に配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項4または5に記載の光学ユニットにおいて、
複数の前記対のうち1つがN極とS極とが各々対向する位置に配置される前記第1磁石と前記第2磁石とで構成される磁石対であり残りは前記第1磁石と前記磁性体との磁石磁性体対であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記ベアリング機構は、前記内輪部と前記外輪部との間に3つ以上の球体を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の光学ユニットにおいて、
前記球体は、前記内輪部と前記外輪部との両方に接触する直径であることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、可動体を固定体に対して回転可能に支持する機構を備える光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、撮像モジュールを備える可動体と、固定体と、光軸方向を回転軸の方向として可動体を固定体に対して回転可能な機構と、を備える光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-20464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光学ユニットのような光軸方向を回転軸の方向として可動体を固定体に対して回転可能な機構を備える光学ユニットにおいては、ベアリング機構を使用することができる。しかしながら、ベアリング機構を使用する光学ユニットにおいては、ベアリング機構の内輪部と外輪部とを適正に位置決めされていないと、可動体を固定体に対して適正に回転させることができない場合がある。可動体を固定体に対して適正に回転させることができないと、可動体を固定体に対して適正な位置に配置できない。そこで、本発明は、ベアリング機構を有する光学ユニットにおいて、ベアリング機構の内輪部と外輪部とを適正に位置決めすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、光軸方向と交差する1または複数の方向を回転軸の方向として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持するジンバル機構と、ベアリング機構を有し、光軸方向を回転軸の方向として前記可動体を前記固定体に対して回転可能に支持する回転支持機構と、を備え、前記ベアリング機構は、光軸方向を回転軸の方向とする内輪部と外輪部とを有し、前記外輪部と前記内輪部とを光軸方向を回転軸の方向として回転させることで、前記固定体に対して前記可動体を、光軸方向を回転軸の方向として回転可能であり、前記内輪部及び前記外輪部の一方に磁石を有し、前記内輪部及び前記外輪部の他方に前記磁石と対になる磁石及び磁性体の少なくともいずれかを有することを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、内輪部及び外輪部の一方に磁石を有し、内輪部及び外輪部の他方に該磁石と対になる磁石及び磁性体の少なくともいずれかを有する。このため、ベアリング機構の内輪部と外輪部とを、磁石同士の磁石対、及び、磁石と磁性体の対である磁石磁性体対、の少なくとも一方で、適正に位置決めすることができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ベアリング機構は、前記対としてN極とS極とが各々対向する位置に配置される磁石同士で構成される磁石対を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、磁石と磁性体の対である磁石磁性体対のみでベアリング機構の内輪部と外輪部とを位置決めするよりも強い磁力で位置決めでき、特に適正に位置決めすることができる。このため、例えば、ベアリング機構の原点復帰などをさせることができる。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ベアリング機構は、前記対における前記内輪部に設けられる磁石または磁性体と前記外輪部に設けられる磁石または磁性体とが、ラジアル方向においてズレた配置となっている構成とすることができる。このような構成とすることで、ラジアル方向においてベアリング機構の外輪部と内輪部とが引き合う方向に磁力がかかり、ベアリング機構の外輪部と内輪部とがラジアル方向に適正に位置決めされ、外輪部と内輪部とがラジアル方向にガタつくことを抑制できる。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ベアリング機構は、前記対を複数有する構成とすることができる。1つの対でベアリング機構の内輪部と外輪部とを位置決めする場合、磁力が十分でない虞があるが、このような構成とすることで、1つの対でベアリング機構の内輪部と外輪部とを位置決めするよりも適正に位置決めすることができる。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ベアリング機構は、前記対が光軸方向から見て等間隔に配置されている構成とすることができる。このような構成とすることで、スラスト方向から見てベアリング機構の内輪部と外輪部とを満遍なく磁力で引き合わせることができ、外輪部と内輪部とがスラスト方向にガタつくことを抑制できる。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、複数の前記対のうち1つがN極とS極とが各々対向する位置に配置される磁石同士で構成される磁石対であり残りは磁石と磁性体との磁石磁性体対である構成とすることができる。このような構成とすることで、磁石対でメインの位置決めを行わせ、磁石磁性体対で位置決めに必要な磁力不足を補わせることができる。
【0012】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ベアリング機構は、前記内輪部と前記外輪部との間に3つ以上の球体を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、効率よく内輪部と外輪部とを相対的に回転させることができる。
【0013】
本発明の光学ユニットにおいては、前記球体は、前記内輪部と前記外輪部との両方に接触する直径である構成とすることができる。このような構成とすることで、球体の直径はベアリング機構内部の成形部品の厚さよりも大きくなり、ベアリング機構内部における成形部品の干渉を抑制でき、特に効率よく内輪部と外輪部とを相対的に回転させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光学ユニットは、ベアリング機構を有する光学ユニットにおいて、ベアリング機構の内輪部と外輪部とを適正に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例に係る光学ユニットの斜視図である。
図2図1とは顔とる方向から見た本発明の一実施例に係る光学ユニットの斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る光学ユニットから固定体を外した状態の斜視図である。
図5】本発明の一実施例に係る光学ユニットから固定体を外した状態の分解斜視図である。
図6】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおけるベアリング機構を表す斜視図である。
図7】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおけるベアリング機構を表す分解斜視図である。
図8】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおけるベアリング機構の内部の平面図である。
図9】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおけるベアリング機構の内部の一部断面図である。
図10】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおけるベアリング機構の内部の断面図である。
図11】本発明の一実施例に係る光学ユニットにおけるベアリング機構の内部の一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。最初に、本発明の一実施例に係る光学ユニットについて説明する。なお、図1及び図2において、符号Lが付された一点鎖線は光軸を示し、符号L1が付された一点鎖線は光軸と交差する第1軸線を示し、符号L2が付された一点鎖線は光軸L及び第1軸線L1と交差する第2軸線L2を示している。そして、R方向は光軸周り方向である。また、各図において、Z軸方向は光軸方向であるとともにローリングの軸方向であり、X軸方向は光軸と交差する方向であるとともにヨーイングの軸方向であり、Y軸方向は光軸と交差する方向であるとともにピッチングの軸方向である。また、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向において、矢印の向く方向を+方向、その反対方向を-方向とする。
【0017】
<光学ユニットの全体構成の概略>
図1から図5を用いて、本実施例に係る光学ユニット10の構成についての概略を説明する。光学ユニット10は、光学モジュール12を備える可動体14と、Y軸方向を回転軸とする方向(ピッチング方向)、X軸方向を回転軸とする方向(ヨーイング方向)及びZ軸方向を回転軸とする方向(ローリング方向)に変位可能な状態で保持する固定体16と、を備えている。
【0018】
また、固定体16に対して可動体14をピッチング方向、ヨーイング方向及びローリング方向に駆動する(回転させる)駆動機構18を備えている。また、固定体16に対して可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に回転可能に支持する支持機構20を備えている。また、光学ユニット10は、第1軸線L1周りに回動可能に可動体14を支持する第1支持部用延設部27aと、第2軸線L2周りに固定体16側の部材に回動可能に支持する第2支持部用延設部27bと、を備える、ジンバル機構21を備えている。本実施例においては、第1支持部用延設部27aを補強する補強部材29を備えているが、補強部材29を備えていない構成としてもよい。なお、支持機構20もジンバル機構21の一部を構成すると見なすことができる。また、光学ユニット10は、固定体16に対して可動体14をローリング方向に回転可能に支持する回転支持機構41を備えている。
【0019】
<光学モジュールについて>
本実施例において、光学モジュール12は略矩形筐体状の撮像ユニット14Aに形成されており、例えばカメラ付携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等として用いられる。光学モジュール12は、被写体側(+Z方向側)にレンズ12aを備え、矩形筐体状のハウジング12bの内部に撮像を行うための光学機器等が内蔵されている。本実施例における光学モジュール12は、一例として、光学モジュール12に生じたピッチングの振れ(Y軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)、ヨーイングの振れ(X軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)及びローリングの振れ(Z軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)の補正を行うアクチュエーターを内蔵し、ピッチングの振れの補正、ヨーイングの振れの補正及びローリングの振れの補正が可能な構成となっている。
【0020】
<可動体について>
可動体14は、光学モジュール12や不図示の撮像素子などを有する撮像ユニット14Aと、磁石24A、24B及び24Cとを有するホルダ枠14Bと、を備えている。ホルダ枠14Bは、光学モジュール12のレンズ12aが設けられる前面(被写体側の面)と、反対側の後面を除く、残りの4面を取り囲むように設けられる矩形枠状の部材として構成されている。本実施例のホルダ枠14Bは、一例として光学モジュール12を着脱可能に構成されている。ホルダ枠14Bにおいて固定体16と対向する3面を利用して、ピッチング、ヨーイング及びローリングの補正用の磁石24A、24B及び24Cがこれらの外面に取り付けられている。
【0021】
磁石24Aは平板状の鉄板であるヨーク26Aに接着されており、磁石24Bは平板状の鉄板であるヨーク26Bに接着されており、磁石24Cは平板状の鉄板であるヨーク26Cに接着されている。磁石24Aはヨーク26Aがホルダ枠14Bに固定されることでホルダ枠14Bに固定されており、磁石24Bはヨーク26Bがホルダ枠14Bに固定されることでホルダ枠14Bに固定されており、磁石24Cはヨーク26Cがホルダ枠14Bに固定されることでホルダ枠14Bに固定されている。
【0022】
<固定体について>
固定体16は、コイル32Aがコイル取付け部61Aに固定され、コイル32Bがコイル取付け部61Bに固定され、コイル32Cがコイル取付け部61Cに固定される固定枠16Aと、レンズ12aを+Z方向に通す上面部16Bと、を備えている(図3参照)。固定枠16Aは、光軸周り方向(R方向)において可動体14のホルダ枠14Bの4面を取り囲むように設けられている。本実施例において、コイル32A、コイル32B及びコイル32Cは、一例として巻線コイルとして構成されているが、コイルをパターンとして基板配線内に取り込んだパターン基板(コイル基板)としてもよい。なお、図1及び図3では、コイル32Aの外側にカバーCが形成された状態が表されているが、図2ではカバーCが省略して表されている。
【0023】
本実施例において可動体14が固定体16内に配置された状態において、磁石24Aとコイル32A、磁石24Bとコイル32B、磁石24Cとコイル32C、は対向状態となる。また、本実施例において、磁石24Aとコイル32Aとの対、磁石24Bとコイル32Bとの対、磁石24Cとコイル32Cとの対は、駆動機構18を構成している。駆動機構18により、可動体14のピッチング、ヨーイング及びローリングの補正が行われる。なお、本実施例の駆動機構18は、磁石24A、24B及び24Cが可動体14に形成され、コイル32A、32B及び32Cが固定体16に形成されるが、磁石24A、24B及び24Cが固定体16に形成され、コイル32A、32B及び32Cが可動体14に形成される構成としてもよい。
【0024】
また、ピッチング、ヨーイング及びローリングの補正は以下のように行われる。光学ユニット10にピッチング方向、ヨーイング方向及びローリング方向の少なくともいずれか一方向の振れが発生すると、不図示の磁気センサー(ホール素子)によって振れを検出し、その結果に基づいて駆動機構18を駆動させる。或いは、振れ検出センサ(ジャイロスコープ)などを用いて、光学ユニット10の振れを検出してもよい。振れの検出結果に基づいて、駆動機構18がその振れを補正するように作用する。即ち、光学ユニット10の振れを打ち消す方向に可動体14を動かすように各コイル32A、32B及び32Cに電流が流され、これにより振れが補正される。
【0025】
<支持機構について>
図4で表されるように、支持機構20は、光学ユニット10の内側に向けて半球状の凸曲面19を形成する板金20bを有している。また、板金20bと同様に光学ユニット10の内側に向けて半球状の凸曲面19を形成する、板金20aを有している。そして、板金20aは矩形枠状のホルダ枠14Bの4隅のうちの対向する2か所に配置され、板金20bは固定枠16Aの矩形枠状の部分の4隅のうちの対向する2か所に配置される。なお、固定枠16Aとホルダ枠14Bとは4隅の位置が揃うように配置され、板金20a及び板金20bは該4隅に1つずつ配置される。図3で表されるように、固定枠16Aの内部における板金20aの配置は隅部60のうちの隅部60aとなり、固定枠16Aの内部における板金20bの配置は隅部60のうちの隅部60bとなる。
【0026】
本実施例の支持機構20は、内側を向いた板金20aの半球状の凸曲面19の内側に、ジンバル機構21の第1支持部用延設部27aに設けられた凹曲面17が配置される。支持機構20は、凸曲面19を凹曲面17内に配置させ、このような構成で可動体14に対してジンバル機構21を支持している。また、内側を向いた板金20bの半球状の凸曲面の内側に、ジンバル機構21の第2支持部用延設部27bに設けられた凹曲面17が配置される。支持機構20は、凸曲面19を凹曲面17内に配置させ、このような構成で固定体16に対してジンバル機構21を支持している。すなわち、本実施例の支持機構20は、光軸方向(Z軸方向)と交差する1または複数の方向(X軸方向及びY軸方向の少なくとも1方向)を回転軸方向として可動体14を固定体16に対して回転可能に支持可能な構成となっている。
【0027】
<ジンバル機構>
ジンバル機構21は、金属製平板材料を折り曲げることによって形成されるバネ性を兼ね備えた機構である。具体的には、ジンバル機構21は、一例として被写体側に設けられるジンバルフレーム部25と、ジンバルフレーム部25の四方のコーナー部から光軸方向に90°折り曲げられて形成される第1支持部用延設部27aと、第2支持部用延設部27bと、を備えることによって構成されている。なお、第1支持部用延設部27aと第2支持部用延設部27bについては、必ずしもその全部が板状でなくてもよく、その一部のみを板状に形成してバネ性を発揮させるようにしてもよい。また、第1支持部用延設部27aと第2支持部用延設部27bの一方を板状以外の他の形状(例えばロッド形状等)にすることも可能である。なお、本実施例のジンバル機構21は、ピッチング方向及びヨーイング方向の2方向を回転軸の方向として可動体14を固定体16に対して回転可能に支持する構成であるが、ピッチング方向またはヨーイング方向のいずれか1方向のみを回転軸の方向として可動体14を固定体16に対して回転可能に支持する構成としてもよい。
【0028】
<回転支持機構について>
回転支持機構41は、図5で表されるように、レンズ12aを通す円形の孔が形成された略円盤状の平面部45と、平面部45に対応して円形に連続する溝状の溝部46と、を備えている。平面部45には、光軸方向に90°折り曲げられて形成される第1支持部用延設部47aと、第2支持部用延設部47bと、が等間隔に2つずつ設けられている。また、溝状の溝部46には、第1支持部用延設部47a及び第2支持部用延設部47bと対向する位置に光軸周り方向に隙間Gを設けて凹部48が設けられている。
【0029】
平面部45と溝部46との間には、後述するベアリング機構100が設けられており、平面部45はベアリング機構100の外輪部110に固定され、溝部46はベアリング機構100の内輪部120に固定されている。このような構成であるため、平面部45は、溝部46に対して、光軸周り方向に隙間Gの分だけ移動可能になっている。
【0030】
第1支持部用延設部47aは、ジンバル機構21の第1支持部用延設部27aに固定される。そして、第2支持部用延設部47bは、挿入部71を有し、挿入部71が可動体14におけるホルダ枠14Bに設けられた挿入穴72に挿入されて、ホルダ枠14Bに固定される。したがって、回転支持機構41に支持された可動体14は、ジンバル機構21に対して光軸周り方向に回転可能に支持されていることとなる。ジンバル機構21は、可動体14と共に固定体16に対しても支持されているので、回転支持機構41に支持された可動体14は、固定体16に対して光軸周り方向に回転可能に支持されていることとなる。
【0031】
ここで、ジンバル機構21の第2支持部用延設部27bに固定される板金20bは、固定体16の固定枠16Aの隅部60bに固定される。また、ジンバル機構21の第1支持部用延設部27aに固定される板金20aは、回転支持機構41の第1支持部用延設部47aに固定される。そして、回転支持機構41の第2支持部用延設部47bは、可動体14のホルダ枠14Bに固定される。このような構成となっていることで、可動体14は、固定体16に対して、ピッチング方向、ヨーイング方向及びローリング方向に回転可能に保持される。
【0032】
<ベアリング機構について>
次に、図6から図11を参照して、ベアリング機構100の詳細について説明する。図6から図11で表されるように、ベアリング機構100は、外輪部110と、内輪部120と、外輪部110及び内輪部120との間に配置される3つの球体130と、を備えている。そして、外輪部110には、内輪部120と対向する位置に、1つの磁石112と、鉄製の磁性体である2つのヨーク111とが、略等間隔で設けられている。
【0033】
また、内輪部120には、成形部品121が形成されている。そして、成形部品121に形成された空間部分121aに対応して、外輪部110と対向する位置に、3つの磁石122が、略等間隔で設けられている。また、3つの球体130は、成形部品121に形成された空間部分121bに対応して、略等間隔で配置されている。このような構成であるため、図8で表されるように、光軸方向において、磁石112と磁石122のうちの1つとが対向し、ヨーク111のうちの1つと磁石122のうちの別の1つとが対向し、ヨーク111のうちの別の1つと磁石122のうちのさらに別の1つとが対向する。ただし、図8から図10で表されるように、外輪部110に配置される磁石112及びヨーク111は、内輪部120に配置される磁石122に対して、回転軸方向から見て若干外側に配置される。なお、磁石112と磁石122とは、図8から図11で表されるように、対向する磁極が逆となっている。
【0034】
ここで、外輪部110は、回転支持機構41に対して、平面部45に接着されている。また、内輪部120は、回転支持機構41に対して、溝部46に接着されている。ただし、外輪部110が溝部46に接着され、内輪部120が平面部45に接着されている構成としてもよい。外輪部110に対して内輪部120が相対的に光軸周り方向に回転可能に構成されていることで、回転支持機構41は平面部45に対して溝部46が相対的に光軸周り方向に回転可能となり、回転支持機構41に固定されたジンバル機構21を介して、固定体16に対して可動体14は光軸周り方向に回転可能となっている。
【0035】
本実施例の光学ユニット10は、光学モジュール12を備える可動体14と、固定体16と、光軸方向(Z軸方向)と交差する1または複数の方向(X軸方向及びY軸方向)を回転軸の方向として可動体14を固定体16に対して回転可能に支持するジンバル機構と、を有するが、さらに、回転支持機構41を有している。ここで、回転支持機構41は、光軸方向を回転軸の方向として可動体14を固定体16に対して回転可能に支持するベアリング機構100を備えている。そして、上記のように、ベアリング機構100は、光軸方向を回転軸の方向とする内輪部120と外輪部110とを有する。また、ベアリング機構100は、外輪部110と内輪部120とを光軸方向を回転軸の方向として回転させることで、固定体16に対して可動体14を、光軸方向を回転軸の方向として回転可能である。また、ベアリング機構100は、内輪部120に磁石122を有し、外輪部110に磁石122と対になる磁石112及び磁性体であるヨーク111を有している。
【0036】
本実施例の光学ユニット10のように、内輪部120及び外輪部110の一方に磁石を有し、内輪部120及び外輪部110の他方に該磁石と対になる磁石及び磁性体の少なくともいずれかを有することで、ベアリング機構100の内輪部120と外輪部110とを、磁石同士の磁石対、及び、磁石と磁性体の対である磁石磁性体対、の少なくとも一方で、適正に位置決めすることができる。なお、本実施例においては、内輪部120に磁石122を有し、外輪部110に磁石112及びヨーク111を有していたが、このような構成に限定されない。外輪部110に磁石のみを有し、内輪部120に磁石及び磁性体を有する構成としてもよいし、外輪部110及び内輪部120の両方に磁石のみを設ける構成としてもよいし、外輪部110及び内輪部120の一方に磁石のみ他方に磁性体のみを設ける構成としてもよい。また、磁石及び磁性体の数にも特に限定はない。
【0037】
ベアリング機構100においては、本実施例の磁石112と磁石122との対のように、磁石と磁石または磁性体との対として、N極(112N及び122N)とS極(112S及び122S)とが各々対向する位置に配置される磁石同士で構成される磁石対を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、磁石と磁性体の対である磁石磁性体対のみでベアリング機構100の内輪部120と外輪部110とを位置決めするよりも強い磁力で位置決めでき、特に適正に位置決めすることができる。このため、このような構成とすることで、例えば、ベアリング機構100の原点復帰などをさせることができる。具体的には、図11(a)では磁石112と磁石122とのN極とS極との配置が光軸周り方向にずれているが、このような状態から外輪部110に矢印F3で表される方向に力がかかり自動的に、図11(b)で表されるように磁石112と磁石122とのN極とS極との配置が光軸周り方向にずれていない状態にさせることができる。
【0038】
また、図8及び図9で表されるように、本実施例のベアリング機構100においては、磁石と磁石または磁性体との対における内輪部120に設けられる磁石122と外輪部110に設けられる磁石112及びヨーク111とが、ラジアル方向(光軸中心に向かう方向)においてズレた配置となっている。このような構成とすることで、図9の矢印F1で表されるように、ラジアル方向においてベアリング機構100の外輪部110に内輪部120に対して引き合う方向に磁力がかかり、図8から図10の矢印F2で表されるように、ベアリング機構100の外輪部110と内輪部120とがラジアル方向に引き合って適正に位置決めされ、外輪部110と内輪部120とがラジアル方向にガタつくことを抑制できる。
【0039】
また、本実施例のベアリング機構100は、磁石と磁石または磁性体との対を3つ、すなわち、複数有する構成である。1つの対でベアリング機構100の内輪部120と外輪部110とを位置決めする場合、磁力が十分でない虞があるが、このような構成とすることで、1つの対でベアリング機構100の内輪部120と外輪部110とを位置決めするよりも適正に位置決めすることができる。
【0040】
本実施例のベアリング機構100は、上記のように、磁石と磁石または磁性体との対が光軸方向から見て等間隔に配置されている(図8参照)。このような構成とすることで、スラスト方向(光軸周り方向)から見てベアリング機構100の内輪部120と外輪部110とを満遍なく磁力で引き合わせることができ、外輪部110と内輪部120とがスラスト方向にガタつくことを抑制できる。なお、「等間隔」とは厳密な意味での等間隔だけに限定されず、おおよそ間隔が揃っていれば良い意味である。
【0041】
また、本実施例のベアリング機構100は、複数の磁石と磁石または磁性体との対のうち1つが磁石同士で構成される磁石対(磁石122と磁石112との対)であり残り2つは磁石と磁性体との磁石磁性体対(磁石122とヨーク111との対)である。このような構成とすることで、磁石対でメインの位置決めを行わせ、磁石磁性体対で位置決めに必要な磁力不足を補わせることができる。1つの磁石対でメインの位置決めを行わせることで位置決め精度が高くなる。
【0042】
本実施例のベアリング機構100は、内輪部120と外輪部110との間に3つの球体を有する。このように、3つ以上の球体130を有する構成とすることが好ましい。このような構成とすることで、効率よく内輪部120と外輪部110とを相対的に回転させることができるためである。
【0043】
ここで、球体130は、内輪部120と外輪部110との両方に接触する直径である構成とすることが好ましい。本実施例のベアリング機構100は、内輪部120の-Z方向における底面部の内側と、外輪部110の+Z方向に置ける上面部の内側とに、球体130が接触する構成となっている。このような構成とすることで、球体130の直径はベアリング機構内部の成形部品121の厚さよりも大きくなり、ベアリング機構100の内部における成形部品121の干渉を抑制でき、特に効率よく内輪部120と外輪部110とを相対的に回転させることができるためである。
【0044】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
10…光学ユニット、12…光学モジュール、12a…レンズ、12b…ハウジング、14…可動体、14A…撮像ユニット、14B…ホルダ枠、16…固定体、16A…固定枠、16B…上面部、17…凹曲面、18…駆動機構、19…凸曲面、20…支持機構、20a…板金、20b…板金、21…ジンバル機構、24…磁石、24A…磁石、24B…磁石、24C…磁石、25…ジンバルフレーム部、26…ヨーク、26A…ヨーク、26B…ヨーク、27a…第1支持部用延設部、27b…第2支持部用延設部、28A…コイル取付け部、28B…コイル取付け部、29…補強部材、32A…コイル、32B…コイル、32C…コイル、41…回転支持機構、45…平面部、46…溝部、47a…第1支持部用延設部、47b…第2支持部用延設部、48…凹部、60…隅部、60a…隅部、60b…隅部、61A…コイル取付け部、61B…コイル取付け部、61C…コイル取付け部、71…挿入部、72…挿入穴、100…ベアリング機構、110…外輪部、111…ヨーク(磁性体)、112…磁石、120…内輪部、121…成形部品、121a…空間部分、121b…空間部分、122…磁石、130…球体、C…カバー、G…隙間、L…光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11