(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】端末キーシステム、無線認証装置及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20250204BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20250204BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
E05B49/00 K
B60R25/24
H04M1/00 U
(21)【出願番号】P 2021003682
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 暁
(72)【発明者】
【氏名】山村 春樹
(72)【発明者】
【氏名】望月 信吾
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 洋平
(72)【発明者】
【氏名】安田 悠太郎
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-52407(JP,A)
【文献】特開2015-93556(JP,A)
【文献】特開2016-124477(JP,A)
【文献】特開2007-327292(JP,A)
【文献】特開2010-215001(JP,A)
【文献】特開2014-152450(JP,A)
【文献】特開2012-172492(JP,A)
【文献】特開2012-158948(JP,A)
【文献】特開2020-100994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B60R 25/00-99/00
H04M 1/00
H04M 1/24-1/82
H04M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末の操作対象に設けられた無線認証部と前記端末とを近距離無線通信させて前記端末を認証し、認証結果を基に前記操作対象の機器を作動させる端末キーシステムであって、
前記端末がユーザの使用下にあるか否かを検出可能な検出部の検出信号を基に、前記端末の使用有無を監視する監視部と、
前記端末及び前記無線認証部が通信接続の状態をとっている場合に、前記監視部の監視結果から、前記端末が使用されていない状態にあると判断すると、前記端末及び前記操作対象の少なくとも一方の作動を停止させる停止処理部とを備え、
前記端末は、前記検出部で検出される前記検出信号に応じた検出信号通知を、前記近距離無線通信によって前記無線認証部に送信し、
前記停止処理部は、前記操作対象の作動を停止させる処理を実行し、
前記停止処理部は、前記操作対象において前記機器に作動指令が出力される通信バスを起動させない処理を実行する端末キーシステム。
【請求項2】
前記端末は、主として電話機能を有する多機能端末である
請求項1に記載の端末キーシステム。
【請求項3】
前記検出部は、前記端末に発生する動きを検出する加速度検出部であり、
前記監視部は、前記加速度検出部の前記検出信号を基に、前記端末の動きを監視し、
前記停止処理部は、前記監視部の監視結果を基に、前記端末に動きがないと判断した場合に、前記端末及び前記操作対象の少なくとも一方の作動を停止させる
請求項1又は2に記載の端末キーシステム。
【請求項4】
前記検出部は、前記端末の把持を検出するグリップセンサであり、
前記監視部は、前記グリップセンサの前記検出信号を基に、ユーザによる前記端末の把持を監視し、
前記停止処理部は、前記監視部の監視結果を基に、前記端末が把持されていると判断した場合に、前記端末及び前記操作対象の作動を停止させない
請求項1~3のいずれか一項に記載の端末キーシステム。
【請求項5】
端末の操作対象に設けられた無線認証部と前記端末とを近距離無線通信させて前記端末を認証し、認証結果を基に前記操作対象の機器を作動させる端末キーシステムであって、
前記端末がユーザの使用下にあるか否かを検出可能な検出部の検出信号を基に、前記端末の使用有無を監視する監視部と、
前記端末及び前記無線認証部が通信接続の状態をとっている場合に、前記監視部の監視結果から、前記端末が使用されていない状態にあると判断すると、前記端末及び前記操作対象の少なくとも一方の作動を停止させる停止処理部とを備え、
前記検出部は、無線LANルータの固定IDが登録された前記端末と前記無線LANルータとが無線通信する際の電波の受信信号強度を測定する受信信号強度測定部であり、
前記監視部は、前記受信信号強度測定部の測定結果を基に、前記端末及び前記無線LANルータの位置関係を監視し、
前記停止処理部は、前記監視部の監視結果を基に、前記端末及び前記無線LANルータの位置関係に応じて、前記端末及び前記操作対象の少なくとも一方の作動を停止させる端末キーシステム。
【請求項6】
前記停止処理部は、前記端末及び前記無線認証部の通信モジュールの少なくとも一方の作動を停止とする処理を実行する
請求項5に記載の端末キーシステム。
【請求項7】
前記検出部は、通信衛星から受信する衛星電波によって前記端末の位置を検出する衛星電波検出部であり、
前記監視部は、前記衛星電波検出部の前記検出信号を基に、前記端末の位置を監視し、
前記停止処理部は、前記監視部の監視結果を基に、前記端末の位置又は位置変化に応じて、前記端末及び前記操作対象の少なくとも一方の作動を停止させる
請求項1~6のいずれか一項に記載の端末キーシステム。
【請求項8】
端末と近距離無線通信を実行する通信モジュールと、
前記端末との前記近距離無線通信によって前記端末を認証し、認証結果を基に操作対象の機器を作動させる無線認証部と、
前記端末がユーザの使用下にあるか否かを検出可能な検出部の検出信号を基に、前記端末の使用有無を監視する監視部から監視結果を取得する制限部とを備え、
前記制限部は、前記監視部の監視結果から、前記端末が使用されていない状態にあると判断すると、前記操作対象において前記機器に作動指令が出力される通信バスを起動させない処理を実行して前記操作対象の作動を停止させる無線認証装置。
【請求項9】
端末の操作対象に設けられた無線認証部と前記端末とを近距離無線通信させて前記端末を認証し、認証結果を基に前記操作対象の機器を作動させる端末キーシステムで使用される通信制御方法であって、
前記端末がユーザの使用下にあるか否かを検出可能な検出部の検出信号を基に、前記端末の使用有無を監視することと、
前記端末が前記検出部で検出される前記検出信号に応じた検出信号通知を、前記近距離無線通信によって前記無線認証部に送信することと、
前記端末及び前記無線認証部が通信接続の状態をとっている場合に、前記端末の使用有無の監視結果から、前記端末が使用されていない状態にあると判断すると、前記操作対象において前記機器に作動指令が出力される通信バスを起動させない処理を実行して前記操作対象の作動を停止させることと
を前記端末キーシステムに実行させる通信制御方法。
【請求項10】
端末の操作対象に設けられた無線認証部と前記端末とを近距離無線通信させて前記端末を認証し、認証結果を基に前記操作対象の機器を作動させる端末キーシステムで使用される通信制御方法であって、
前記端末がユーザの使用下にあるか否かを検出可能な検出部の検出信号を基に、前記端末の使用有無を監視することと、
前記検出部が無線LANルータの固定IDが登録された前記端末と前記無線LANルータとが無線通信する際の電波の受信信号強度を測定することと、
前記受信信号強度の測定結果を基に、前記端末及び前記無線LANルータの位置関係を監視することと、
前記端末及び前記無線認証部が通信接続の状態をとっている場合に、前記端末及び前記無線LANルータの位置関係に基づいた前記端末の使用有無の監視結果から、前記端末が使用されていない状態にあると判断すると、前記端末及び前記操作対象の少なくとも一方の作動を停止させることと
を前記端末キーシステムに実行させる通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末をキーとして用いる端末キーシステム、無線認証装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば高機能携帯電話等の端末をキーとして用いて車両を操作する端末キーシステムが周知である(特許文献1等参照)。この種の端末キーシステムでは、例えば車両の通信モジュールと端末との通信にブルートゥース(Bluetooth:登録商標)等の近距離無線通信が使用される。端末が車両の通信モジュールに近づくと、車両の通信モジュールと端末との近距離無線通信が開始される。そして、この近距離無線通信によって端末が認証され、端末が正規である場合に車両ドアやエンジン始動が許可又は実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、車両の近くに端末を置いたままにしておくと、車両を操作する意思がないにも関わらず、自動的に近距離無線通信が開始されたり、継続されたりしてしまうことがある。よって、車両や端末で暗電流が多く消費されてしまう可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決する端末キーシステムは、端末の操作対象に設けられた無線認証部と前記端末とを近距離無線通信させて前記端末を認証し、認証結果を基に前記操作対象の機器を作動させる構成であって、前記端末がユーザの使用下にあるか否かを検出可能な検出部の検出信号を基に、前記端末の使用有無を監視する監視部と、前記端末及び前記無線認証部が通信接続の状態をとっている場合に、前記監視部の監視結果から、前記端末が使用されていない状態にあると判断すると、前記端末及び前記操作対象の少なくとも一方の作動を停止させる停止処理部とを備えた。
【0006】
前記問題点を解決する無線認証装置は、端末と近距離無線通信を実行する通信モジュールと、前記端末との前記近距離無線通信によって前記端末を認証し、認証結果を基に操作対象の機器を作動させる無線認証部と、前記端末がユーザの使用下にあるか否かを検出可能な検出部の検出信号を基に、前記端末の使用有無を監視する監視部から監視結果を取得する制限部とを備え、前記制限部は、前記監視部の監視結果から、前記端末が使用されていない状態にあると判断すると、前記端末及び前記操作対象の少なくとも一方の作動を停止させる。
【0007】
前記問題点を解決する通信制御方法は、端末の操作対象に設けられた無線認証部と前記端末とを近距離無線通信させて前記端末を認証し、認証結果を基に前記操作対象の機器を作動させる端末キーシステムで使用される方法であって、前記端末がユーザの使用下にあるか否かを検出可能な検出部の検出信号を基に、前記端末の使用有無を監視することと、前記端末及び前記無線認証部が通信接続の状態をとっている場合に、前記端末の使用有無の監視結果から、前記端末が使用されていない状態にあると判断すると、前記端末及び前記操作対象の少なくとも一方の作動を停止させることとを前記端末キーシステムに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、システムで消費される暗電流を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】端末における近距離無線通信の状態の切り換わりを示す説明図。
【
図3】(a)は端末に動きがあるときの作動の概要図、(b)は端末に動きがないときの作動の概要図。
【
図7】第1実施形態の変形例1における端末の構成図。
【
図8】端末における近距離無線通信の状態の切り換わりを示す説明図。
【
図9】第1実施形態の変形例2における端末の構成図。
【
図10】端末における近距離無線通信の状態の切り換わりを示す説明図。
【
図11】第2実施形態の端末キーシステムの構成図。
【
図14】第2実施形態の変形例1における端末の構成図。
【
図16】第2実施形態の変形例2において端末が握られたときの作動の概要図。
【
図17】端末が握られていないときの作動の概要図。
【
図18】第2実施形態の変形例3における端末の概要図。
【
図19】端末が充電されていないときの作動の概要図。
【
図20】端末が充電されているときの作動の概要図。
【
図21】第2実施形態の変形例4において端末がルータから離れているときの作動の概要図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、端末キーシステム、無線認証装置、及び通信制御方法の第1実施形態を説明する。
【0011】
図1に示すように、端末1の操作対象2としての車両3は、近距離無線通信によって端末1を認証して車両3の機器4を作動させる端末キーシステム5を備えている。端末キーシステム5は、車両3の専用キーである電子キーではなく、端末1でも車両3を操作できるようにするためのものである。車両3は、ユーザが所有する個人車両でもよいし、或いは1台を複数人で共用するシェアリングカーのいずれでもよい。
【0012】
端末1は、例えば、主として電話機能を有する多機能端末であって、高機能携帯電話などがある。端末キーシステム5は、認証に必要な鍵情報Dkを外部から端末1にダウンロードして、端末1で車両3を操作可能にする。鍵情報Dkは、例えば、使用が1度又は一定期間のみ許可されたワンタイムキー(ワンタイムパスワード)である。
【0013】
近距離無線通信は、PAN(Per sonal Area Network:パーソナルエリアネットワーク)通信又は短距離無線通信のいずれでもよい。パーソナルエリアネットワーク通信には、例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)通信、UWB(Ultra Wide Band)通信、Wi-Fi(登録商標)通信などがある。また、ブルートゥース通信は、BLE(Bluetooth Low Energy)であるとよい。短距離無線通信は、RFIDの一種として、例えばNFC(Near Field Communication)などがある。
【0014】
端末1は、端末1の作動を制御する端末制御部8と、端末1で入力操作を行う際に使用する入力部9と、ディスプレイ等からなる表示部10と、データ記憶可能なメモリ11と、ネットワーク通信を通じて外部と通信するネットワーク通信部12と、近距離無線通信を行う通信モジュール13とを備えている。端末1は、ネットワーク通信部12を介して、例えばサーバ(図示略)とネットワーク通信して、メモリ11に鍵情報Dkをダウンロードする。端末1は、通信モジュール13を介して、車両3と近距離無線通信を実行する。表示部10は、例えば、タッチパネルである。なお、端末1への鍵情報Dkの登録は、サーバから登録される形式に限らず、例えばコード情報の画像読み取りにより登録する方式、メインキーとの通信を介して取得する方式などでもよい。
【0015】
また、端末1は、鍵情報Dkが登録されることで車両3のキーとして使用可能となるものに限定されない。例えば、端末1は、予め所定のセッション鍵が登録されていることにより、車両3のキーとして使用可能となっているものでもよい。セッション鍵は、例えば、チャレンジレスポンス認証などのワンタイム認証を行うための鍵である。セッション鍵は、外部から登録されてもよいし、予め端末1に登録されていてもよい。
【0016】
端末1は、端末1を車両3のキーとして作動させる際に必要なアプリケーション14がメモリ11に登録されている。アプリケーション14は、例えば、端末1を車両3のキーとして使用可能にするソフトウェアである。アプリケーション14は、例えば、サーバ等からネットワーク通信を通じて取得されて、メモリ11に書き込み保存される。端末1にアプリケーション14を登録することにより、端末1への鍵情報Dkのダウンロードや、端末1での車両3の操作が可能となる。
【0017】
端末キーシステム5は、近距離無線通信による端末1の認証を実行する無線認証装置17を備えている。無線認証装置17は、認証処理を実行する無線認証部18と、近距離無線通信を実行する通信モジュール19とを備えている。無線認証部18は、車両3に設けられた通信モジュール19を介して、端末1と近距離無線通信を実行し、端末1に登録された鍵情報Dkを認証する。
【0018】
車両3は、無線認証部18の認証結果を基に機器4を制御する制御装置21を備えている。制御装置21は、車両3に設けられた通信バス22を介して機器4と接続されている。通信バス22は、例えば、CAN(Controller Area Network)、又はLIN(Local Interconnect Network)であることが好ましい。機器4は、例えば、車両ドアの施解錠を切り換えるドアロック装置や、エンジンを制御するエンジン制御装置などがある。制御装置21は、無線認証部18の認証結果を基に、これら機器4を作動させる。制御装置21は、例えば、車両電源を遷移する際に操作するエンジンスイッチ23のスイッチ信号が入力される。
【0019】
端末キーシステム5は、端末1がユーザの使用下にない場合に端末キーシステム5の作動を停止に移行させて端末キーシステム5で消費される暗電流を低減する機能(暗電流低減機能)を備えている。本例の暗電流低減機能は、正規ユーザによる端末1の使用であることを検出可能な検出部24を用いて、端末キーシステム5で消費される暗電流を低減させる。本例の場合、検出部24は、端末1に設けられている。暗電流低減機能は、例えば、正規ユーザによる端末1の使用がない場合、或いは、使用ではない場合に、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させることにより、近距離無線通信を通信接続に移行させないようにする機能である。本例の場合、作動停止される要素25は、端末1で近距離無線通信を実行する通信モジュール13である。また、停止とは、例えば、非起動(待機を含む)の状態である。
【0020】
端末キーシステム5は、端末1が正規ユーザによる使用状況下か否かを監視する監視部26を備えている。監視部26は、検出部24の検出信号Stを基に、端末1に生じる動きを監視する。監視部26は、検出部24の検出信号Stを基に、例えば、端末1の使用有無を監視する。
【0021】
本例の検出部24は、端末1に発生する動きを検出する加速度検出部27である。加速度検出部27は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、モーションセンサ等であることが好ましい。加速度検出部27は、端末1に電源が投入されている間、動きに応じた検出信号St1を端末制御部8に常時出力することが好ましい。監視部26は、加速度検出部27の検出信号St1を基に、例えば端末1の動きの有無、又は動きの種類を監視することが好ましい。監視対象とする端末1の動きは、例えば、振動、振り回す動き、揺れる動きなどを含む。
【0022】
端末キーシステム5は、監視部26の監視結果を基に、端末1で操作対象2を作動させる際に端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させることが可能に構成された停止処理部28を備えている。本例の停止処理部28は、端末1の端末制御部8に設けられている。停止処理部28は、無線認証部18との近距離無線通信を通信接続に移行可能な位置に端末1が存在していたとしても、端末1に動きがない場合、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動(本例は、通信モジュール13の作動)を停止させることにより、端末1による操作対象2の操作を不可とする。
【0023】
図2に示すように、端末1が起動状態にあるとき、停止処理部28は、加速度検出部27で動きの変化を検出していれば、端末1の近距離無線通信に対し、作動を停止させない。このため、端末1が車両3の通信モジュール19に近づくと、これらが近距離無線通信を開始し、近距離無線通信中の状態に入る。このとき、端末1は、無線認証部18と近距離無線通信を実行するため、通常の電流が消費される。
【0024】
一方、端末1が起動状態にあるとき、停止処理部28は、例えば加速度検出部27の出力に一定時間変化がないことを検出すると、端末1の近距離無線通信を停止の状態に設定する。近距離無線通信が停止の状態は、例えば通信モジュール13の動作を停止させることによって実現することが好ましい。このとき、端末1は、近距離無線通信を実行しないので、電流消費が低減された状態となる。
【0025】
次に、本実施形態の端末キーシステム5の作用について説明する。
[端末1に動きがある場合]
図3(a)に、ユーザが端末1を所持しながら車両3に近づくなどして、端末1に動きが発生している例を挙げる。このとき、端末1を所持してユーザが歩くので、加速度検出部27は振動等の動きを検出する。この場合、停止処理部28は、監視部26の監視を通じて、端末1に動きが発生していることを認識するので、端末1の近距離無線通信の作動を停止させない。これにより、端末1は、無線認証部18との近距離無線通信を実行することが可能となる。
【0026】
図4に、端末1が近距離無線通信によって無線認証部18と鍵情報Dkを認証する際の手順例を図示する。同図のステップ101において、無線認証部18は、自機の通信に係る情報を知らせるアドバタイズを、周期的に繰り返し送信する。なお、アドバタイズは、例えば、無線認証部18(無線認証装置17)の情報に係るデータの一種であって、車両3の通信モジュール19から定期的に送信される。
【0027】
ステップ102において、端末1は、無線認証装置17から送信されるアドバタイズを受信すると、アドバタイズを受信した際の受信信号強度が接続閾値以上であれば、スキャン処理を実行する。スキャン処理は、端末1が無線認証装置17に対し、近距離無線通信の詳細に係る詳細の提供を要求して取得する処理である。
【0028】
ステップ103において、端末1は、スキャン処理後、無線認証部18とのペアリングを行うべく、近距離無線通信を繋げる接続要求を、近距離無線通信を通じて無線認証部18に送信する。
【0029】
ステップ104において、無線認証部18は、端末1から接続要求を受信すると、この接続要求に対する応答通知を、近距離無線通信を通じて端末1に送信する。
ステップ105において、端末1と無線認証部18とは、以上のペアリングが正しく実行されると、ブルートゥース通信が接続された通信接続の状態となる。
【0030】
ステップ106において、端末1は、ブルートゥースが通信接続の状態になると、メモリ11に登録されている鍵情報Dkを、近距離無線通信を通じて無線認証部18に送信する。
【0031】
ステップ107において、無線認証部18は、端末1から受信した鍵情報Dkの認証を実行する。本例の場合、無線認証部18は、鍵情報Dkを正しく復号できるなどして、鍵情報Dkの認証が成立に移行した場合、例えば車両3の利用時間(利用開始時間/利用終了時間)や、以降の近距離無線通信で使用するセッション鍵や、端末1の固有のIDである端末IDを取得することができる。一方、無線認証部18は、鍵情報Dkが正しくなければ、そのまま待機して、端末1による車両操作を許可しない。
【0032】
ステップ108において、無線認証部18は、鍵情報Dkが認証されると、その旨を通知する鍵情報認証成立通知を、近距離無線通信を通じて端末1に送信する。
ステップ109において、無線認証部18から送信された鍵情報認証成立通知を端末1が受信すると、端末1及び無線認証部18の双方は、認証成立を認識した認証完了状態となる。認証完了状態とは、端末1及び無線認証部18の双方が互いに共通のセッション鍵や端末IDを知る状態をいう。これにより、端末1を用いた車両操作(ドアロック施解錠操作やエンジン始動操作)が可能となる。
【0033】
ステップ110において、端末1及び無線認証装置17は、認証完了状態に移行後、近距離無線通信の確立が維持されているか否かの確認の通信を実行する。本例の場合、端末1及び無線認証装置17の各々は、所定の周期の間隔(コネクションインターバル)で周期電波を送信し、この周期電波に対する応答を受信できるか否かを確認することにより、通信確立が維持されているか否かを監視する。すなわち、端末1が所定の周期間隔で周期電波を送信し、この周期電波に対する応答を受信できれば、通信確立が維持されていると判断され、同様の処理が無線認証装置17でも実行される。
【0034】
端末1は、自身が送信する周期電波に対する応答を無線認証装置17から受信できなくなると、通信を切断する。また、無線認証装置17は、自身が送信する周期電波に対する応答を端末1から受信できなくなると、通信を切断する。
【0035】
図5に、端末1で車両ドアを施解錠する際の手順例を図示する。なお、例えば鍵情報Dkの認証が既に済んだ後で近距離無線通信が再接続された場合には、鍵情報Dkの復号時に取得したセッション鍵で端末1及び無線認証部18が認証されることが好ましい。そして、セッション鍵による認証が成立すれば、端末1及び無線認証部18が認証完了状態に移行する。また、セッション鍵は、通信が再接続される度に新たな鍵に更新されてもよい。
【0036】
ステップ201において、端末1及び無線認証部18は、近距離無線通信を通じて認証完了状態に移行される。
ステップ202において、端末1は、端末1で車両ドアの施解錠操作が行われると、その操作に応じた操作信号S1を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。操作信号S1は、車両ドアの解錠操作の場合、解錠要求信号である。操作信号S1は、車両ドアの施錠操作の場合、施錠要求信号である。
【0037】
端末1からの操作信号S1を無線認証部18が受信すると、無線認証部18は、この操作信号S1を制御装置21に出力する。すなわち、無線認証部18は、自身及び端末1がともに認証完了状態であれば、受信した操作信号S1を、通信バス22を介して制御装置21に送信する。操作信号S1は、例えば、施解錠の動作開始を要求するコマンド等を含む。
【0038】
ステップ203において、制御装置21は、無線認証部18から操作信号S1を受信すると、操作信号S1に基づいて作動することにより、車両ドアの施解錠を実行する。例えば、制御装置21は、無線認証部18から操作信号S1として解錠要求信号を受信すると、その旨を通知する作動指令Srを、通信バス22を介してドアロック装置に出力して、車両ドアを解錠する。また、制御装置21は、無線認証部18から操作信号S1として施錠要求信号を受信すると、その旨を通知する作動指令Srを、通信バス22を介してドアロック装置に出力して、車両ドアを施錠する。
【0039】
図6に、車両3のエンジンをかける際に端末1の操作を必要としないスマートエンジンスタートでエンジンを始動する際の手順例を図示する。同図のステップ301において、エンジンを始動する場合も、車両ドアを施解錠する場合と同様に、まず端末1及び無線認証部18を認証完了状態に移行させる。
【0040】
ステップ302において、端末1は、端末1でエンジン始動許可操作が行われると、その操作に応じた許可要求信号S2を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。許可要求信号S2は、無線認証部18に対してエンジン始動の許可を要求する信号である。
【0041】
ステップ303において、制御装置21は、例えば、エンジンスイッチ23が操作されたことを検出すると、無線認証部18に対し、認証完了状態か否かを確認する。制御装置21は、無線認証部18が端末1から許可要求信号S2を受け付けており、かつ端末1及び無線認証部18がともに認証完了状態であることを認識すると、エンジンスイッチ23による電源遷移操作(エンジン始動操作)を許可する。
【0042】
ステップ304において、制御装置21は、エンジンスイッチ23が操作されたとき、無線認証部18が端末1から許可要求信号S2を受け付けており、かつ端末1及び無線認証部18がともに認証完了状態であれば、エンジン始動を許可する作動指令Srを、通信バス22を介してエンジン制御装置に出力する。これにより、車両3を運転することが可能となる。
【0043】
[端末1に動きがない場合]
図3(b)に示すように、車両3の使用後にエンジンを停止するとともに車両ドアを施錠して、端末1を自宅玄関の所定位置に置いた状態をとったとする。この場合、端末1が持ち運びされていないので、加速度検出部27は振動等の動きを検出しない。従って、停止処理部28は、端末1に動きが発生していないことを認識するので、端末キーシステム5の作動を停止させる。本例の場合、停止処理部28は、端末1の通信モジュール13を非起動の状態に移行させ、端末1が近距離無線通信を実行できないようにする。よって、システムで消費される暗電流を低減することが可能となる。
【0044】
なお、作動停止は、例えば端末1が近距離無線通信を実行中の場合、この通信が終了してから実施されてもよい。また、作動停止は、端末1に動きがないことを検出してから一定時間後に実施されてもよい。さらに、停止処理部28は、端末1に動きがなくなった場合に直ちに端末1が停止していると判断することに限らず、例えば、端末1の動きを一定時間検出しない場合に端末1に動きがないと判断するようにしてもよい。
【0045】
ところで、無線認証部18の通信モジュール19は、通信相手となる端末1を探索するためにアドバタイズを定期的に送信する状態をとっている。しかし、通信モジュール13が停止となった端末1は、通信モジュール19の通信エリア内に位置していても、通信モジュール19から定期送信されるアドバタイズに対して応答しない。これにより、所定位置に載置されたままの端末1で車両3が操作されずに済む。よって、車両3の不正使用に対するセキュリティ性も向上できる。
【0046】
上記実施形態の端末キーシステム5によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)端末キーシステム5は、端末1の操作対象2に設けられた無線認証部18と端末1とを近距離無線通信させて端末1を認証し、認証結果を基に操作対象2の機器4を作動させる。端末キーシステム5の監視部26は、端末1がユーザの使用下にあるか否かを検出可能な検出部24の検出信号Stを基に、端末1の使用有無を監視する。端末キーシステム5の停止処理部28は、端末1及び無線認証部18が通信接続の状態をとっている場合に、監視部26の監視結果から、端末1が使用されていない状態にあると判断すると、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させる。
【0047】
本例の構成によれば、端末1がユーザの使用下にあるか否かを検出部24の検出信号を基に監視し、端末1がユーザの使用下にないと判断された場合には、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止して、端末1による操作対象2の操作を不可とする。一方、端末1がユーザの使用下にあると判断された場合には、端末1を所持した正規ユーザによる操作意思があるとして、端末1及び操作対象2の作動を停止させない。このように、端末1がユーザの使用下にないと判断された場合は、端末キーシステム5による操作対象2の作動を停止に移行させて、端末キーシステム5を作動させないようにする。よって、システムで消費される暗電流を低減することができる。
【0048】
(2)端末1は、主として電話機能を有する多機能端末である。この構成によれば、多機能端末を操作対象2のキー(車両3の電子キー)として用いることが可能となるので、ユーザの利便性をよくすることができる。
【0049】
(3)停止処理部28は、端末1及び無線認証部18の通信モジュール13、19の少なくとも一方(本例は、端末1の通信モジュール13)において作動を停止とする処理を実行する。この構成によれば、端末1がユーザの使用下にないと判断された場合には、端末キーシステム5の近距離無線通信を停止する。よって、近距離無線通信を停止するという簡易な方式で、システムで消費される暗電流を低減することができる。また、端末1及び無線認証装置17の双方の暗電流も低く抑えることができる。
【0050】
(4)検出部24は、端末1に発生する動きを検出する加速度検出部27である。監視部26は、加速度検出部27の検出信号St1を基に、端末1の動きを監視する。停止処理部28は、監視部26の監視結果を基に、端末1に動きがないと判断した場合に、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させる。この構成によれば、例えば、ユーザが端末1を所定の場所に置くなどして操作対象2に対する操作意思がない状態のとき、端末1及び操作対象2の作動を停止の状態に移行することが可能となる。よって、ユーザに操作対象2の操作意思がない場合に、端末キーシステム5を作動させないようにして、システムで消費される暗電流を低減することができる。
【0051】
(第1実施形態の変形例1)
次に、第1実施形態の変形例1を説明する。なお、第1実施形態の変形例1では、前述の実施形態と同一部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0052】
図7に示すように、本例の検出部24は、端末1の把持を検出するグリップセンサ30である。グリップセンサ30は、例えば、端末1の側部に配置されている。グリップセンサ30は、端末1が把持された状態に応じた検出信号St2を監視部26に出力する。監視部26は、グリップセンサ30の検出信号St2を基に、ユーザによる端末1の把持を監視する。停止処理部28は、監視部26の監視結果を基に、端末1が把持されていると判断した場合に、端末1及び操作対象2の作動を停止させない。
【0053】
図8に示すように、端末1が起動状態にあるとき、停止処理部28は、グリップセンサ30の出力を監視する監視部26の監視結果を基に、端末1が握られていると判断すれば、端末1の近距離無線通信に対し、作動を停止させない。このため、端末1が車両3の通信モジュール19に近づくと、これらが近距離無線通信を開始し、近距離無線通信中の状態に入る。このとき、端末1は、無線認証部18と近距離無線通信を実行するため、通常の電流が消費される。
【0054】
一方、端末1が起動状態にあるとき、停止処理部28は、一定期間、システムが使用されていないことを認識すると、端末1の近距離無線通信を停止の状態に設定する。一定期間、システムが使用されていないとは、例えば、端末キーシステム5によるドア施解錠の作動や、エンジン始動の作動が実行されていないことなどが挙げられる。近距離無線通信が停止の状態は、例えば通信モジュール13の動作を停止させることによって実現する。よって、端末1は、近距離無線通信を実行しないので、電流消費が低減された状態となる。
【0055】
上記実施形態の端末キーシステム5によれば、前述に記載の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(5)検出部24は、端末1の把持を検出するグリップセンサ30である。監視部26は、グリップセンサ30の検出信号St2を基に、ユーザによる端末1の把持を監視する。停止処理部28は、監視部26の監視結果を基に、端末1が把持されていると判断した場合に、端末1及び操作対象2の作動を停止させない。この構成によれば、操作対象2の近くに端末1が存在するのみでは通信が確立されず、端末1の把持をグリップセンサ30で検出したときのみ、通信が確立に移行する。よって、通信を常時確立されてしまう場合に比べ、システムで消費される暗電流を低く抑えることができる。
【0056】
(第1実施形態の変形例2)
次に、第1実施形態の変形例2を説明する。なお、第1実施形態の変形例2も、各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
図9に示すように、端末1は、ネットワーク通信部12を介して無線LANルータ32と無線通信が可能である。この通信は、例えば、パーソナルエリアネットワーク通信であることが好ましい。パーソナルエリアネットワーク通信は、例えば、Wi-Fi(登録商標)通信が好ましく、これ以外には、例えば、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)通信、UWB(Ultra Wide Band)通信などがある。
【0058】
端末1は、無線LANルータ32の固定IDを端末1に登録するID登録部33を備えている。ID登録部33は、例えば、端末制御部8に設けられている。端末1は、ID登録部33によって無線LANルータ32の固定IDを端末1に登録することにより、無線LANルータ32との通信が可能となる。固定IDは、例えば、数字や英文字などから構築された固有のIDである。
【0059】
検出部24は、無線LANルータ32の固定IDが登録された端末1と無線LANルータ32とが無線通信する際の電波の受信信号強度を測定する受信信号強度測定部34である。受信信号強度測定部34は、測定結果である検出信号St3を端末制御部8に出力する。監視部26は、受信信号強度測定部34の測定結果を基に、端末1及び無線LANルータ32の位置関係を監視する。本例の監視部26は、受信信号強度測定部34から入力する検出信号St3を基に、端末1及び無線LANルータ32の位置関係を監視する。停止処理部28は、監視部26の監視結果を基に、端末1及び前記無線LANルータ32の位置関係に応じて、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させる。
【0060】
さて、本例の場合、端末1は、無線LANルータ32の通信エリアに進入した場合、固定IDが登録された無線LANルータ32であれば、この無線LANルータ32との間で通信が確立する。このとき、端末1の受信信号強度測定部34は、無線LANルータ32との通信でやりとりされる電波の受信信号強度を測定する。なお、受信信号強度は、端末1で受信された電波で測定されてもよいし、或いは、無線LANルータ32で受信された電波で測定されてもよい。また、受信信号強度の測定は、1度のみ行われてもよいし、複数回実施されてもよい。複数回測定の場合、受信信号強度の平均値や加重平均などを求め、この値を測定値として使用してもよい。
【0061】
図10に示すように、端末1が起動状態にあるとき、停止処理部28は、端末1及び無線LANルータ32で通信される電波の受信信号強度を監視する監視部26の監視結果を基に、固定IDの無線LANルータ32の電波の受信信号強度が強い場合、端末1の近距離無線通信を停止の状態に設定する。このように、受信信号強度が強い場合、例えば、端末1が屋内に存在し、ユーザに操作対象2を操作する意思がない可能性が高いので、近距離無線通信を不可とする。近距離無線通信が停止の状態は、例えば通信モジュール13の動作を停止させることによって実現する。よって、端末1は、近距離無線通信を実行しないので、電流消費が低減された状態となる。
【0062】
一方、端末1が起動状態にあるとき、停止処理部28は、端末1及び無線LANルータ32で通信される電波の受信信号強度を監視する監視部26の監視結果を基に、固定IDの無線LANルータ32の電波の受信信号強度が弱い場合、端末1の近距離無線通信に対し、作動を停止させない。このように、受信信号強度が弱い場合、例えば、端末1が屋外に存在し、ユーザに操作対象2を操作する意思がある可能性が高いので、近距離無線通信を許可する。このため、端末1が車両3の通信モジュール19に近づくと、これらが近距離無線通信を開始し、近距離無線通信中の状態に入る。このとき、端末1は、無線認証部18と近距離無線通信を実行するため、通常の電流が消費される。
【0063】
上記実施形態の端末キーシステム5によれば、前述に記載の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(6)検出部24は、無線LANルータ32の固定IDが登録された端末1と無線LANルータ32とが無線通信する際の電波の受信信号強度を測定する受信信号強度測定部34である。監視部26は、受信信号強度測定部34の測定結果を基に、端末1及び無線LANルータ32の位置関係を監視する。停止処理部28は、監視部26の監視結果を基に、端末1及び無線LANルータ32の位置関係に応じて、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させる。この構成によれば、操作対象2の近くに端末1が存在するのみでは通信が確立されず、端末1及び無線LANルータ32の間で通信される電波の受信信号強度が弱いときのみ、通信が確立に移行する。よって、通信を常時確立されてしまう場合に比べ、システムで消費される暗電流を低く抑えることができる。
【0064】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態の端末キーシステム5の制限の付与の仕方を変更した実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0065】
図11に示すように、本例の場合、端末キーシステム5の制限は、端末1ではなく車両3において実行される。以下、具体的に述べると、端末1は、加速度検出部27で検出される検出信号St1に係る通知(以降、検出信号通知Skと記す)を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。検出信号通知Skの送信は、例えば、監視部26によって実行される。検出信号通知Skは、近距離無線通信が可能な状態であれば、どのタイミングで送信されてもよい。また、検出信号通知Skは、所定の周期で定期的に繰り返し送信されることが好ましい。
【0066】
本例の場合、停止処理部28は、車両3(具体的には、無線認証部18)に設けられている。このように、本例の作動停止は、車両3の作動が停止に移行される処理である。本例の場合、作動停止される要素25は、車両3において機器4に作動指令Srが出力される通信バス22である。このように、端末1の動きが検出されない場合に実行される作動停止は、通信バス22を起動させない処理である。
【0067】
次に、本実施形態の端末キーシステム5の作用について説明する。
[端末1に動きがある場合]
図12に、ユーザが端末1を所持しながら車両3に近づくなどして、端末1に動きが発生している例を挙げる。このとき、端末1を所持してユーザが歩くので、加速度検出部27は振動等の動きを検出する。この場合、監視部26は、端末1に動きが生じている旨のデータを含む検出信号通知Sk1を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。本例の場合、監視部26は、例えば、コネクションインターバルTsの周期で送信される電波に検出信号通知Sk1を乗せて定期的に送信する。なお、検出信号通知Sk1は、例えば、端末1の振動を検出する度に送信されてもよい。
【0068】
なお、検出信号通知Sk(Sk1)は、振動の有無を通知する情報を含む通知でもよい。また、検出信号通知Sk(Sk1)は、振動の値を示すデータを含む通知でもよい。
停止処理部28は、端末1に動きが生じている旨のデータを含む検出信号通知Sk1を端末1から受信すると、端末キーシステム5の作動を停止させない。具体的には、停止処理部28は、通信バス22を起動する処理を実行する。例えば、停止処理部28は、通信バス22の作動を制御する通信機器に起動要求を出力するなどして、通信バス22を起動状態にする。これにより、無線認証装置17、制御装置21、及び機器4の間で、通信バス22を介した信号のやり取りが可能となるので、端末1による車両3の操作が実行可能となる。
【0069】
[端末1に動きがない場合]
図13に、端末1を自宅玄関の所定位置に置くなどして、端末1に動きが発生していない例を挙げる。この場合、端末1が持ち運びされないので、加速度検出部27は振動等の動きを検出しない。この場合、監視部26は、端末1に動きが生じていない旨のデータを含む検出信号通知Sk2を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。監視部26は、予め決められた周期(コネクションインターバルTs)で検出信号通知Sk2を定期的に送信してもよいし、或いは端末1の振動を検出する度に送信されてもよい。
【0070】
停止処理部28は、端末1に動きが生じていない旨のデータを含む検出信号通知Sk2を端末1から受信すると、端末キーシステム5の作動を停止させる。具体的には、停止処理部28は、通信バス22を起動させない処理を実行する。例えば、停止処理部28は、通信バス22の作動を制御する通信機器に、通信バス22の停止要求を出力するなどして、通信バス22を停止状態にする。これにより、無線認証装置17、制御装置21、及び機器4の間で、通信バス22を介した信号のやり取りができなくなるので、端末1による車両3の操作が不可となる。よって、システムで消費される暗電流を低減することが可能となる。また、通信バス22を起動し続けることで生じる暗電流の増加を少なく抑えることが可能となる。
【0071】
ところで、無線認証部18の通信モジュール19は、通信相手となる端末1を探索するためにアドバタイズを定期的に送信する状態をとっている。このため、端末1は、通信モジュール19の通信エリアに進入すると、アドバタイズに応答して、近距離無線通信が通信接続の状態に移行する。しかし、本例の場合、通信バス22が起動していないので、仮に端末1及び無線認証部18の間の近距離無線通信が通信接続の状態に移行しても、通信バス22には作動指令Srが出力されず、機器4は作動しない。これにより、所定位置に載置されたままの端末1で車両3が操作されずに済む。よって、車両3の不正使用に対するセキュリティ性も向上できる。
【0072】
上記実施形態の端末キーシステム5によれば、第1実施形態に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(7)端末1は、加速度検出部27で検出される検出信号St1に応じた検出信号通知Skを、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。停止処理部28は、操作対象2の作動を停止させる処理を実行する。この構成によれば、端末1の動きが検出されない場合には、端末1から検出信号通知Skを操作対象2に送信して、操作対象2の作動を停止させる。よって、操作対象2の作動を最初或いは途中で停止させることが可能となるので、操作対象2の作動に消費される電力を抑制するのに寄与する。
【0073】
(8)停止処理部28は、操作対象2において機器4に作動指令Srが出力される通信バス22を起動させない処理を実行する。この構成によれば、端末1の動きが検出されない場合には、操作対象2の通信バス22が起動されないため、通信バス22から作動指令Srが機器に出力されることがない。よって、通信バス22に無駄な通信を実施させずに済むので、この点で省電力化に寄与する。
【0074】
(第2実施形態の変形例1)
次に、第2実施形態の変形例1を説明する。なお、第2実施形態の変形例1も、各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0075】
図14に示すように、検出部24は、通信衛星37から受信する衛星電波Xsによって端末1の位置を検出する衛星電波検出部38である。このように、検出部24は、全地球測位システムを用いたものである。全地球測位システムは、例えば、GPS(Global Positioning System)であることが好ましい。この場合、衛星電波検出部38は、GPS端末である。衛星電波検出部38は、受信した衛星電波Xsの位置に応じた検出信号St4を端末制御部8に出力する。
【0076】
端末1の監視部26は、衛星電波検出部38の検出信号St4を基に、端末1の位置を監視する。監視部26は、例えば、衛星電波検出部38の検出信号St4を常時監視することが好ましい。監視部26は、衛星電波検出部38で検出される検出信号St4に係る通知(以降、検出信号通知Sk3と記す)を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。
【0077】
停止処理部28は、受信した検出信号通知Sk3を基に、端末1の位置又は位置変化に応じて、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させる。停止処理部28は、例えば、衛星電波検出部38の検出信号St4の監視結果から、ユーザが操作対象2の遠くに位置すると判断された場合に、作動を停止する。或いは、停止処理部28は、例えば、衛星電波検出部38の検出信号St4の監視結果から、検出信号St4に変化がない場合に、作動を停止する。
【0078】
図15に示すように、監視部26は、衛星電波検出部38の検出信号St4を含む検出信号通知Sk3を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。監視部26は、例えば、コネクションインターバルTsの周期で送信される電波に検出信号通知Sk3を乗せて定期的に送信することが好ましい。
【0079】
ユーザに操作対象2を操作する意思がある場合、ユーザの動きに伴って端末1の位置も変化する。停止処理部28は、端末1から受信する検出信号通知Sk3を基に、衛星電波検出部38の検出信号St4に変化が生じていることを確認した場合、端末キーシステム5の作動を停止させない。具体的には、停止処理部28は、通信バス22を起動する処理を実行する。これにより、無線認証装置17、制御装置21、及び機器4の間で、通信バス22を介した信号のやり取りを可能とする。よって、端末1による操作対象2の操作が実行可能となる。
【0080】
また、停止処理部28は、端末1から受信する検出信号通知Sk3(衛星電波検出部38の検出信号St4)を基に、端末1が操作対象2(車両3)の近くに位置することを確認した場合に、端末キーシステム5の作動を停止させないようにしてもよい。この確認は、例えば、端末1及び操作対象2の両方に衛星電波検出部38を設けておき、これら衛星電波検出部38の検出信号St4を比較することで実現できる。このように、端末1を所持したユーザが操作対象2(車両3)の近くに存在していれば、端末キーシステム5の使用を許可してもよい。
【0081】
一方、ユーザに操作対象2を操作する意思がない場合、端末1の位置に変化は生じない。停止処理部28は、端末1から受信する検出信号通知Sk3を基に、衛星電波検出部38の検出信号St4に変化が生じていないことを確認すると、端末キーシステム5の作動を停止させる。例えば、衛星電波検出部38の検出信号St4に、一定時間、変化が生じていないとき、端末キーシステム5の作動を停止させる。このとき、停止処理部28は、通信バス22を起動させない処理を実行する。これにより、無線認証装置17、制御装置21、及び機器4の間で、通信バス22を介した信号のやり取りが不可となる。よって、端末1による操作対象2の操作が不可となるので、システムで消費される暗電流を低減することが可能となる。
【0082】
また、停止処理部28は、端末1から受信する検出信号通知Sk3(衛星電波検出部38の検出信号St4)を基に、端末1が操作対象2(車両3)の遠くに位置することを確認した場合に、端末キーシステム5の作動を停止させるようにしてもよい。この確認は、例えば、端末1及び操作対象2の両方に衛星電波検出部38を設けておき、これら衛星電波検出部38の検出信号St4を比較することで実現できる。このように、端末1を所持したユーザが操作対象2(車両3)の遠くに存在していれば、端末キーシステム5の使用を不可としてもよい。
【0083】
本例の場合、端末キーシステム5の作動を停止させるか否かの判定は、例えば、加速度検出部27及び衛星電波検出部38の両方を用いた方式としてもよい。一例としては、衛星電波検出部38の検出信号St4から、端末1の位置変化を確認しつつ、加速度検出部27の検出信号St1から端末1の動きを検出できた場合に、端末キーシステム5の使用を許可してもよい。この場合、ユーザに操作対象2を操作する意思があるか否かを精度よく判定することが可能となる。
【0084】
上記実施形態の端末キーシステム5によれば、前述に記載の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(9)検出部24は、通信衛星37から受信する衛星電波Xsによって端末1の位置を検出する衛星電波検出部38である。監視部26は、衛星電波検出部38の検出信号St4を基に、端末1の位置を監視する。停止処理部28は、監視部26の監視結果を基に、端末1の位置又は位置変化に応じて、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させる。この構成によれば、端末1を所持したユーザに操作対象2を操作する意思がある場合にのみ、通信バス22が起動される。よって、操作対象2に対する操作意思がない間は、通信バス22を非起動の状態にしておけるので、その分、暗電流を削減することができる。また、端末1に動きがなくユーザに操作対象2の操作意思がない場合には、通信バス22の非起動によってシステムが作動しないので、不正使用に対するセキュリティ性も向上することができる。
【0085】
(第2実施形態の変形例2)
次に、第2実施形態の変形例2を説明する。なお、第2実施形態の変形例2も、各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0086】
本例の場合、検出部24は、端末1の把持を検出するグリップセンサ30である。グリップセンサ30は、例えば、端末1の側部に配置されている。グリップセンサ30は、端末1が把持された状態に応じた検出信号St3を監視部26に出力する。端末1の監視部26は、グリップセンサ30の検出信号St3を基に、ユーザによる端末1の把持を監視する。本例の場合、監視部26は、グリップセンサ30で検出される検出信号St3に係る通知(検出信号通知Sk)を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。停止処理部28は、受信した検出信号通知Skを基に、端末1が把持されていないと判断した場合に、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させる。
【0087】
図16に示すように、端末1が握られた場合、グリップセンサ30は、その旨を検出する。この場合、監視部26は、端末1が握られた旨のデータを含む検出信号通知Sk4を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。本例の場合、監視部26は、端末1及び無線認証装置17が接続状態となった後のコネクションインターバルTsの周期で送信される電波に検出信号通知Sk4を乗せて送信することが好ましい。
【0088】
停止処理部28は、端末1が握られた旨のデータを含む検出信号通知Sk4を端末1から受信すると、端末キーシステム5の作動を停止させず、例えば、通信バス22を起動状態にする。これにより、無線認証装置17、制御装置21、及び機器4の間で、通信バス22を介した信号のやり取りが可能となるので、端末1による車両3の操作が実行可能となる。
【0089】
図17に示すように、端末1が握られていない場合、グリップセンサ30は、その旨を検出する。この場合、監視部26は、端末1が握られていない旨のデータを含む検出信号通知Sk5を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。本例場合、監視部26は、端末1及び無線認証装置17が接続状態となった後のコネクションインターバルTsの周期で送信される電波に検出信号通知Sk5を乗せて送信することが好ましい。
【0090】
停止処理部28は、端末1が握られてない旨のデータを含む検出信号通知Sk5を端末1から受信すると、端末キーシステム5の作動を停止させる。具体的には、停止処理部28は、通信バス22を起動させない処理を実行する。これにより、無線認証装置17、制御装置21、及び機器4の間で、通信バス22を介した信号のやり取りができなくなるので、端末1による車両3の操作が不可となる。よって、システムで消費される暗電流を低減することが可能となる。
【0091】
上記実施形態の端末キーシステム5によれば、前述に記載の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(10)操作対象2の近くに端末1が存在するのみでは操作対象2の通信バス22が起動されず、端末1の把持をグリップセンサ30で検出したときのみ、通信バス22が起動状態に移行する。よって、通信バス22を常時起動される場合に比べ、システムで消費される暗電流を低く抑えることができる。
【0092】
(第2実施形態の変形例3)
次に、第2実施形態の変形例3を説明する。なお、第2実施形態の変形例3も、各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0093】
図18に示すように、本例の検出部24は、端末1のバッテリ40の充電量(残量)を検出するバッテリ充電量検出部41である。本例のバッテリ充電量検出部41は、端末制御部8に設けられている。バッテリ充電量検出部41は、例えば、バッテリ40の電圧を監視することにより、バッテリ40の充電量を検出し、充電量に応じた検出信号St5を端末制御部8に出力する。端末1の監視部26は、バッテリ充電量検出部41の検出信号St5を基に、バッテリ40の充電量を監視する。本例の場合、監視部26は、バッテリ充電量検出部41の検出信号St5に係る通知(検出信号通知Sk)を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。停止処理部28は、受信した検出信号通知Skを基に、端末1が充電中であると判断した場合に、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させる。
【0094】
図19に示すように、端末1が充電されていない場合、バッテリ充電量検出部41は、その旨を検出する。この場合、監視部26は、端末1が充電されていない旨のデータを含む検出信号通知Sk6を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。本例の場合、監視部26は、端末1及び無線認証装置17が接続状態となった後のコネクションインターバルTsの周期で送信される電波に検出信号通知Sk6を乗せて送信することが好ましい。
【0095】
停止処理部28は、端末1が充電されていない旨のデータを含む検出信号通知Sk6を端末1から受信すると、端末キーシステム5の作動を停止させず、例えば、通信バス22を起動状態にする。すなわち、端末1が充電されていないときはユーザが使用している可能性が高いので、端末キーシステム5を起動しておくようにする。これにより、無線認証装置17、制御装置21、及び機器4の間で、通信バス22を介した信号のやり取りが可能となるので、端末1による車両3の操作が実行可能となる。
【0096】
図20に示すように、端末1が充電されている場合、バッテリ充電量検出部41は、その旨を検出する。この場合、監視部26は、端末1が充電されている旨のデータを含む検出信号通知Sk7を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。本例の場合、監視部26は、端末1及び無線認証装置17が接続状態となった後のコネクションインターバルTsの周期で送信される電波に検出信号通知Sk7を乗せて送信することが好ましい。
【0097】
停止処理部28は、端末1が充電されている旨のデータを含む検出信号通知Sk7を端末1から受信すると、端末キーシステム5の作動を停止させる。すなわち、端末1が充電中のときはユーザが端末1を使用している可能性が低いので、端末キーシステム5を停止させても何ら支障はない。本例の場合、停止処理部28は、通信バス22を起動させない処理を実行する。これにより、無線認証装置17、制御装置21、及び機器4の間で、通信バス22を介した信号のやり取りができなくなるので、端末1による車両3の操作が不可となる。よって、システムで消費される暗電流を低減することが可能となる。
【0098】
上記実施形態の端末キーシステム5によれば、前述に記載の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(11)検出部24は、端末1のバッテリ40の充電量を検出するバッテリ充電量検出部41である。監視部26は、バッテリ充電量検出部41の検出信号St5を基に、バッテリ40の充電量を監視する。停止処理部28は、監視部26の監視結果を基に、バッテリ40が充電中であると判断した場合に、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させる。この構成によれば、操作対象2の近くに端末1が存在していても、端末1のバッテリ40が充電中のときには、操作対象2の通信バス22が起動されず、端末1のバッテリ40が充電されていないときのみ、通信バス22が起動状態に移行する。よって、通信バス22を常時起動される場合に比べ、システムで消費される暗電流を低く抑えることができる。
【0099】
(第2実施形態の変形例4)
次に、第2実施形態の変形例4を説明する。なお、第2実施形態の変形例4も、各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0100】
図21に示すように、無線LANルータ32は、家43に設置され、家43の屋内や周囲の端末1と無線通信される。端末1は、無線LANルータ32の固定IDが登録されることにより、無線LANルータとの通信が可能となる。端末1の監視部26は、受信信号強度測定部34の検出信号St3を基に、端末1及び無線LANルータ32の位置関係を監視する。本例の場合、監視部26は、受信信号強度測定部34の検出信号St3に係る通知(検出信号通知Sk)を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。停止処理部28は、受信した検出信号通知Skを基に、端末1及び前記無線LANルータ32の位置関係に応じて、端末1及び操作対象2の少なくとも一方の作動を停止させる。
【0101】
端末1が家43の外に位置して無線LANルータ32から遠い位置に存在する場合、端末1及び無線LANルータ32の間で通信される電波の受信信号強度は弱い。このため、受信信号強度測定部34は、弱い受信信号強度を測定する。この場合、監視部26は、弱い受信信号強度のデータを含む検出信号通知Sk8を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。本例の場合、監視部26は、端末1及び無線認証装置17が接続状態となった後のコネクションインターバルTsの周期で送信される電波に検出信号通知Sk8を乗せて送信することが好ましい。
【0102】
停止処理部28は、検出信号通知Sk8を端末1から受信したとき、通知に含まれる受信信号強度のデータが閾値未満であれば、端末キーシステム5の作動を停止させず、例えば、通信バス22を起動状態にする。閾値は、端末1が室内外のどちらに位置するのかを判定できる値に設定されていることが好ましい。これにより、無線認証装置17、制御装置21、及び機器4の間で、通信バス22を介した信号のやり取りが可能となるので、端末1による車両3の操作が実行可能となる。
【0103】
図22に示すように、端末1が家43の中に位置して無線LANルータ32と近い位置に存在する場合、端末1及び無線LANルータ32の間で通信される電波の受信信号強度は強い。このため、受信信号強度測定部34は、強い受信信号強度を測定する。この場合、監視部26は、強い受信信号強度のデータを含む検出信号通知Sk9を、近距離無線通信によって無線認証部18に送信する。本例の場合、監視部26は、端末1及び無線認証装置17が接続状態となった後のコネクションインターバルTsの周期で送信される電波に検出信号通知Sk9を乗せて送信することが好ましい。
【0104】
停止処理部28は、検出信号通知Sk9を端末1から受信したとき、通知に含まれる受信信号強度のデータが閾値以上であれば、端末キーシステム5の作動を停止させる。具体的には、停止処理部28は、通信バス22を起動させない処理を実行する。これにより、無線認証装置17、制御装置21、及び機器4の間で、通信バス22を介した信号のやり取りができなくなるので、端末1による車両3の操作が不可となる。よって、システムで消費される暗電流を低減することが可能となる。
【0105】
上記実施形態の端末キーシステム5によれば、前述に記載の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(12)操作対象2の近くに端末1が存在するのみでは操作対象2の通信バス22が起動されず、端末1及び無線LANルータ32の間の通信の受信信号強度から端末1が室外に存在すると判定されたときのみ、通信バス22が起動状態に移行する。よって、通信バス22を常時起動される場合に比べ、システムで消費される暗電流を低く抑えることができる。
【0106】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・各実施形態において、制限が付与される要素25は、通信モジュール13、19、或いは通信バス22に限定されない。例えば、機器4、端末制御部8、無線認証装置17、無線認証部18、又は制御装置21など、端末1によって操作対象2が操作される場合に、この操作を完遂に移行できないようにする部材であればよい。
【0107】
・第1実施形態において、近距離無線通信を停止する場合、端末1の通信モジュール13ではなく、無線認証装置17の通信モジュール19の作動を停止してもよい。また、通信モジュール13、19の両方の作動を停止してもよい。
【0108】
・第1実施形態において、近距離無線通信の制限として、近距離無線通信を停止するのではなく、例えば、アドバタイズ(ステップ101)を出力する間隔を広げるようにしてもよい。
【0109】
・各実施形態において、監視部26は、端末1に設けられることに限らず、操作対象2(車両3、無線認証装置17)に設けられてもよい。
・各実施形態において、無線認証部18は、制御装置21と別体であることに限らず、制御装置21に一体化されてもよい。
【0110】
・各実施形態において、無線認証部18は、制御装置21と無線によって通信するものでもよい。
・各実施形態において、無線認証装置17は、電子キーのような作動を実行する部材でもよい。すなわち、無線認証装置17は、電子キー位置付けの部材でもよい。
【0111】
・各実施形態において、車両3は、電子キーとの無線通信によって機器4が作動される電子キーシステムを備えてもよい。電子キーシステムには、例えばスマートシステムやワイヤレスキーシステムなどがある。この場合、制御装置21は、電子キーを認証する照合ECUでもよい。
【0112】
・各実施形態において、ユーザの使用下にないことが検出されても、一定時間の間は、端末キーシステム5の作動を許可してもよい。
・各実施形態において、操作対象2は、車両3に限定されず、近距離無線認証が可能な通信機器又は通信装置を有する部材であればよい。
【0113】
・各実施形態において、端末1は、高機能携帯電話に限定されず、ユーザが所持し得る通信機であればよい。
・各実施形態において、端末1の認証は、鍵情報Dkの認証ではなく、例えば、セッション鍵を用いた認証としてもよい。すなわち、端末1に鍵情報Dkは登録されずセッション鍵を有した構造とし、このセッション鍵により端末1の認証を行う方式としてもよい。
【0114】
・各実施形態において、監視部26及び停止処理部28の各々は、[1]コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサによって構成されてもよいし、[2]そのようなプロセッサと、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。或いは、上記プロセッサを含むコンピュータに代えて、各種処理の全てを実行する1つ以上の専用のハードウェア回路によって構成された処理回路が用いられてもよい。
【0115】
・各実施形態において、監視部26及び停止処理部28の各々は、独立したプロセッサから構成されてもよいし、機能の一部分が共用のプロセッサから構築されてもよい。このように、監視部26及び停止処理部28は、独立した機能ブロックに限らず、1つの機能ブロックから構成されてもよいし、一部分が共用された機能ブロックから構成されてもよい。
【0116】
・各実施形態において、本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0117】
1…端末、2…操作対象、3…車両、4…機器、5…端末キーシステム、13…通信モジュール、17…無線認証装置、18…無線認証部、19…通信モジュール、22…通信バス、26…監視部、27…加速度検出部、28…停止処理部、30…グリップセンサ、32…無線LANルータ、34…受信信号強度測定部、38…衛星電波検出部、41…バッテリ充電量検出部、St…検出信号、Sk…検出信号通知、Sr…作動指令。