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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】支持装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 13/04 20060101AFI20250204BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20250204BHJP
【FI】
B60K13/04 C
F01N13/08 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021148774
(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公開番号】P2023041410
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤川 典孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 謙一
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-090224(JP,U)
【文献】特開昭62-113669(JP,A)
【文献】実開昭53-134335(JP,U)
【文献】実開昭54-177460(JP,U)
【文献】実開昭57-070515(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0245148(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 13/04
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の排気が流下する排気部品を支持するよう構成された支持装置であって、
前記車両に設けられた車両側支持部材により支持されるよう構成されたハンガ部材と、
前記排気部品に取り付けられるよう構成されたブラケットと、
長さ方向の両端に位置する第1及び第2端部を有し、前記ハンガ部材を貫通するように設けられる筒状の部材であるカラーと、
前記ハンガ部材に対面するように配置される対面部と、
前記ハンガ部材が前記対面部と前記ブラケットとの間に位置する状態で、前記カラーと前記ブラケットとを貫通し、前記ハンガ部材を前記ブラケットに締結する締結具と、
を備え、
前記カラーの前記第1及び第2端部は、それぞれ、前記対面部と前記ブラケットとに当接し、前記カラーは、弾性力により前記対面部と前記ブラケットとを押圧し、
前記カラーは、初期状態の前記カラーを前記長さ方向に短縮することで、弾性力を有し、
前記初期状態の前記カラーは、前記第1端部から前記第2端部まで延び、且つ、当該カラーの内周面から外周面にわたって広がる面であって、周方向に対面する第1及び第2突合せ面を有し、
前記第1突合せ面は第1側に位置すると共に、前記第2突合せ面は第2側に位置し、
前記第1端部において、前記第1突合せ面の前記第1側に隣接する部分は、前記第2突合せ面の前記第2側に隣接する部分よりも突出し、
前記第2端部において、前記第2突合せ面の前記第2側に隣接する部分は、前記第1突合せ面の前記第1側に隣接する部分よりも突出し、
前記初期状態の前記カラーは、前記第1及び第2端部が、前記ハンガ部材の外面から突出するように設けられ、
前記カラーの両端には、前記カラーを貫通する細長い穴であるスリットが設けられ、
前記ブラケットは、前記カラーの前記第2端部と前記締結具とに当接し、且つ、これらにより挟持される
支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の支持装置であって、
前記ブラケットは、対面して配置された第1及び第2壁部を有し、
前記第1壁部は、前記対面部を構成し、
前記締結具は、前記ハンガ部材が前記第1及び第2壁部の間に位置する状態で、前記カラーと前記第1及び第2壁部とを貫通することで、前記ハンガ部材を前記ブラケットに締結し、
前記カラーの前記第1及び第2端部は、それぞれ、前記第1及び第2壁部に当接し、前記カラーは、弾性力により前記第1及び第2壁部を押圧する
支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、ゴム等により構成されるマウントラバーとブラケットとにより車両の排気部品を支持する支持装置が知られている。特許文献1の支持装置では、マウントラバーを貫通する筒状の部材であるカラーが設けられており、カラーに挿入されたボルトを締めることで、マウントラバーとブラケットとが締結される。そして、該締結時には、カラーの両端は、それぞれ、ブラケットとボルトの座金とに当接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭57-090224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば寸法の誤差等により、カラーの端部とブラケット又は座金との間に、隙間が生じる恐れがある。そして、このような隙間が生じると、車両の走行時に、振動によりカラーの両端がブラケット又は座金と衝突し、異音が生じる恐れがある。
【0005】
本開示の一態様では、異音の発生を抑制することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両の排気が流下する排気部品を支持するよう構成された支持装置であって、ハンガ部材と、ブラケットと、カラーと、対面部と、締結具と、を備える。ハンガ部材は、車両に設けられた車両側支持部材により支持されるよう構成される。ブラケットは、排気部品に取り付けられるよう構成される。カラーは、長さ方向の両端に位置する第1及び第2端部を有し、ハンガ部材を貫通するように設けられる筒状の部材である。対面部は、ハンガ部材に対面するように配置される。締結具は、ハンガ部材が対面部とブラケットとの間に位置する状態で、カラーとブラケットとを貫通し、ハンガ部材をブラケットに締結する。カラーの第1及び第2端部は、それぞれ、対面部とブラケットとに当接し、カラーは、弾性力により対面部とブラケットとを押圧する。
【0007】
上記構成によれば、カラーの両端と、対面部及びブラケットとの間の当接が維持されるよう促すことができる。このため、カラーの両端と対面部又はブラケットとの間に隙間が生じるのを抑制でき、カラーと対面部又はブラケットとの衝突による異音の発生を抑制できる。
【0008】
本開示の一態様では、ブラケットは、対面して配置された第1及び第2壁部を有してもよい。第1壁部は、対面部を構成してもよい。締結具は、ハンガ部材が第1及び第2壁部の間に位置する状態で、カラーと第1及び第2壁部とを貫通することで、ハンガ部材をブラケットに締結してもよい。カラーの第1及び第2端部は、それぞれ、第1及び第2壁部に当接し、カラーは、弾性力により第1及び第2壁部を押圧してもよい。
【0009】
上記構成によれば、カラーの両端と、ブラケットの第1及び第2壁部との間の当接が維持されるよう促すことができる。このため、カラーの両端と第1又は第2壁部との間に隙間が生じるのを抑制でき、カラーとブラケットとの衝突による異音の発生を抑制できる。
【0010】
本開示の一態様では、カラーは、初期状態のカラーを長さ方向に短縮することで、弾性力を有するよう構成されていてもよい。初期状態のカラーは、第1及び第2端部が、ハンガ部材の外面から突出するように設けられてもよい。
【0011】
上記構成によれば、カラーの両端と対面部及びブラケットとが当接するよう促すことができる。このため、より良好に、カラーとブラケットとの衝突による異音の発生を抑制できる。
【0012】
本開示の一態様では、カラーは、初期状態のカラーを長さ方向に短縮することで、弾性力を有してもよい。初期状態のカラーは、第1端部から第2端部まで延び、且つ、当該カラーの内周面から外周面にわたって広がる面であって、周方向に対面する第1及び第2突合せ面を有してもよい。第1突合せ面は第1側に位置すると共に、第2突合せ面は第2側に位置してもよい。第1端部において、第1突合せ面の第1側に隣接する部分は、第2突合せ面の第2側に隣接する部分よりも突出してもよい。第2端部において、第2突合せ面の第2側に隣接する部分は、第1突合せ面の第1側に隣接する部分よりも突出してもよい。
【0013】
上記構成によれば、簡易的な構成によりカラーに弾力性を持たせることができる。
本開示の一態様では、カラーは、車両の排気が流下する排気部品を支持するよう構成された支持装置に用いられる筒状の部材である。支持装置は、ハンガ部材と、ブラケットと、対面部と、締結具とを備える。ハンガ部材は、車両に設けられた車両側支持部材により支持されるよう構成される。ブラケットは、排気部品に取り付けられるよう構成される。対面部は、ハンガ部材に対面するように配置される。締結具は、ハンガ部材が対面部とブラケットとの間に位置する状態で、カラーとブラケットとを貫通し、ハンガ部材をブラケットに締結する。カラーは、長さ方向の両端に位置する第1及び第2端部を備え、ハンガ部材を貫通するように設けられる。カラーの第1及び第2端部は、それぞれ、対面部とブラケットとに当接し、カラーは、弾性力により対面部と前記ブラケットとを押圧するよう構成される。
【0014】
上記構成によれば、カラーの両端と、対面部及びブラケットとの間の当接が維持されるよう促すことができる。このため、カラーの両端と対面部又はブラケットとの間に隙間が生じるのを抑制でき、カラーと対面部又はブラケットとの衝突による異音の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】支持装置が設けられたマフラの上面図である。
図2】支持装置の斜視図である。
図3】ハンガ部材の短径の中央を通過し、且つ、ハンガ部材の長径の方向に広がる支持装置の断面図である。
図4】締結具による締結がなされる前のブラケット、ハンガ部材、及びカラーの上面図である。
図5】初期状態のカラーの斜視図である。
図6】変形例である初期状態のカラーの斜視図である。
図7】変形例である初期状態のカラーの側面図である。
図8】変形例である初期状態のカラーの斜視図である。
図9】変形例である初期状態のカラーの側面図である。
図10】変形例の支持装置における、ハンガ部材の短径の中央を通過し、且つ、ハンガ部材の長径の方向に広がる断面図である。
図11】変形例の支持装置における、ハンガ部材の短径の中央を通過し、且つ、ハンガ部材の長径の方向に広がる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0017】
[1.支持装置の構成]
本実施形態の支持装置1は、車両の排気部品を支持するよう構成されている(図1参照)。排気部品とは、車両のエンジンからの排気を流下させる部品である。本実施形態では、支持装置1は、一例として、マフラ6を支持する。しかし、支持装置1は、例えば、排気管を支持するよう構成されていても良い。
【0018】
マフラ6は、断面が略楕円形である筒状のマフラシェル60と、マフラシェル60の両端を覆う第1、第2エンドプレート61、62とを備える。支持装置1は、第1、第2エンドプレート61、62の各々に取り付けられている。また、これらの支持装置1は、車両のボディに設けられたロッド状の車両側支持部材7に取り付けられており、マフラ6を支持する。なお、支持装置1は、例えば、マフラシェル60に取り付けられていても良い。
【0019】
支持装置1は、ハンガ部材2と、ブラケット3と、カラー4と、締結具5とを備える。以下では、支持装置1のこれらの構成要素について説明する。
[2.ハンガ部材]
ハンガ部材2は、弾力性を有する部材であり、一例としてゴムにより構成される。また、ハンガ部材2は、略楕円形の部材であり、例えば、車両搭載時に長径が上下方向に延びた状態で配置される。ハンガ部材2は、上側穴部20と、下側穴部21と、中央穴部22と、第1面23と、第2面24と、側面25を備える(図2、3参照)。
【0020】
第1、第2面23、24、及び、側面25は、ハンガ部材2の外面を形成する。第1、第2面23、24は、略楕円形の外縁を有し、ハンガ部材2の厚さ方向に対面する。また、側面25は、第1面23の外縁から第2面24の外縁にかけて厚さ方向に広がる。
【0021】
中央穴部22は、第1及び第2面23、24の中央に位置し、第1面23から第2面24にかけて厚さ方向にハンガ部材2を貫通する。
上側穴部20は、中央穴部22の上側に位置し、第1面23から第2面24にかけて厚さ方向にハンガ部材2を貫通する。上側穴部20には、ロッド状の車両側支持部材7が挿入され、ハンガ部材2は、該車両側支持部材7により支持される。
【0022】
下側穴部21は、中央穴部22の下側に位置し、第1面23から第2面24にかけて厚さ方向にハンガ部材2を貫通する。下側穴部21には、ハンガ部材2を貫通するように上述したカラー4(詳細は後述する)が挿入されている。
【0023】
[3.ブラケット]
ブラケット3は、排気部品であるマフラ6の第1又は第2エンドプレート61、62に取り付けられると共に、ハンガ部材2に締結される(図2~4参照)。ブラケット3は、ハンガ部材2の下部を収容するよう構成された板状の部位である第1~第4壁部30~33、及び、底部34を備えると共に、第1、第2取付部35、36とを備える。
【0024】
第1~第4壁部30~33は、収容されたハンガ部材2の側方に位置する。第1、第2壁部30、31は、それぞれ、該ハンガ部材2の第1、第2面23、24に対面する。なお、第1、第2壁部30、31は、それぞれ、第1、第2面23、24に当接していても良いし、第1壁部30と第1面23との間と、第2壁部31と第2面24との間とに、それぞれ、隙間が形成されていても良い。また、第1、第2壁部30、31は、それぞれ、該ハンガ部材2の下側穴部21を覆うように配置され、当該部位を貫通する穴部30A、31Aを有する。穴部30A、31Aは、上述した締結具5により貫通される。
【0025】
一方、第3、第4壁部32、33は、第2壁部31の横方向(換言すれば、車両搭載時における水平方向)に並ぶ各縁部から第1壁部30に向かって延出しており、ハンガ部材2の側面25に対面する。
【0026】
また、底部34は、第2壁部31の下側の縁部から第1壁部30の下側の縁部まで広がる。底部34は、ハンガ部材2の下側に位置し、ハンガ部材2の側面25に対面する。
第1、第2取付部35、36は、それぞれ、第1、第2壁部30、31の上側の縁部から延出する板状の部位であり、横方向に広がる。第1、第2取付部35、36は、それぞれ、マフラ6の第1又は第2エンドプレート61、62に接合される。なお、ブラケット3は、第1、第2取付部35、36のうちの一方のみが設けられていても良い。
【0027】
[4.カラー]
カラー4は、ハンガ部材2を貫通するように設けられる金属性の筒状の部材である(図3~5参照)。カラー4は、下側穴部21に挿入されており、ハンガ部材2に固着されている。本実施形態では、カラー4は、一例として、円筒状に形成されている。以後、カラー4における長さ方向の両端を、それぞれ、第1、第2端部40、41とする。
【0028】
カラー4の第1、第2端部40、41は、それぞれ、ハンガ部材2の第1面23側、第2面24側に位置し、第1、第2壁部30、31に当接する。また、詳細は後述するが、カラー4は、長さ方向に短縮された状態で配置されており、これにより、カラー4は、当該カラー4を伸長させる弾性力を有している。このため、第1、第2端部40、41は、それぞれ、第1、第2壁部30、31を押圧する。
【0029】
ここで、短縮される前のカラー4の状態を、初期状態と記載する。初期状態のカラー4は、四角形の板状の部材を湾曲させ、該板状の部材における対面する2辺を形成する2つの端面を突き合わせることで形成される。以後、カラー4における突き合わされた2つの端面を、第1、第2突合せ面42、43と記載する。初期状態のカラー4では、第1、第2突合せ面42、43は、第1端部40から第2端部41まで長さ方向に直線状に延び、カラー4の内周面から外周面にわたって広がると共に、周方向に対面する。以後、第1突合せ面42が位置する側を第1側、第2突合せ面43が位置する側を第2側とする(図5参照)。
【0030】
なお、第1、第2突合せ面42、43は当接していても良いし、第1、第2突合せ面42、43の間に若干の隙間が形成されていても良い。また、第1、第2突合せ面42、43は、例えば、長さ方向に対し傾斜していても良いし、湾曲又は屈曲した形状を有していても良い。
【0031】
また、初期状態のカラー4の第1端部40では、第1突合せ面42により段差が形成されている。具体的には、第1端部40において、第1突合せ面42の第1側に隣接する部分(以後、第1段差部40A)は、第2突合せ面42の第2側に隣接する部分よりも第1端部40側に突出する。つまり、第1端部40は、第2突合せ面42の第2側に隣接する部分から第1段差部40Aにかけて、らせん状に延びている。
【0032】
また、初期状態のカラー4の第2端部41においても、第2突合せ面43により段差が形成されている。具体的には、第2端部41において、第2突合せ面43の第2側に隣接する部分(以後、第2段差部41A)は、第1突合せ面42の第1側に隣接する部分よりも第2端部41側に突出する。つまり、第2端部41は、第1突合せ面42の第1側に隣接する部分から第2段差部41Aにかけて、らせん状に延びている。
【0033】
上記構成によれば、初期状態のカラー4は、第1及び第2端部40、41における上記段差が存在しないカラーに比べ、長さ方向の寸法が長く、且つ、弾性変形しやすくなる。
[5.カラーの変形例]
カラー4は、上述した構成に限らず、当該カラー4を伸長させる弾性力を生じ得る様々な構成とすることができる。例えば、カラー4は、長さ方向に直交する断面が多角形状であっても良いし、カラー4にスリットが形成されていても良い。
【0034】
具体的には、例えば、カラー4の第1、第2端部40、41の付近に、それぞれ、第1、第2スリット44、45が設けられていても良い(図6、7)。第1、第2スリット44、45は、カラー4の内周面から外周面にわたってカラー4を貫通する細長い穴である。第1スリット44は、第1突合せ面42から第1側に周方向に伸び、第2スリット45は、第2突合せ面43から第2側に周方向に延びる。
【0035】
この他にも、例えば、カラー4の第1、第2端部40、41に、それぞれ、第3、第4スリット46、47が設けられていても良い(図8、9)。第3、第4スリット46、47もまた、第1、第2スリット44、45と同様、カラー4を貫通する細長い穴である。第3スリット46は、カラー4の中心を挟んで第1、第2突合せ面42、43に対面する位置に設けられ、第1端部40から長さ方向に延びる。第4スリット47は、カラー4の中心を挟んで第1、第2突合せ面42、43に対面する位置に設けられ、第2端部41から長さ方向に延びる。
【0036】
[6.締結具]
締結具5は、ボルト50とナット53とを備え、ハンガ部材2とブラケット3とを締結する(図2、3参照)。
【0037】
具体的には、ボルト50は、頭部51と、頭部51から突出する円柱状のねじ部52とを有する。一方、ハンガ部材2は、ブラケット3の第1及び第2壁部30、31の間に位置する。また、ハンガ部材2は、第1及び第2壁部30、31に当接していても良いし、ハンガ部材2と第1及び第2壁部30、31の各々との間には、隙間が形成されていても良い。
【0038】
そして、ねじ部52は、ブラケット3の第1壁部30の穴部30A及び第2壁部31の穴部31Aと、ハンガ部材2の下側穴部21に設けられたカラー4を貫通する。このとき、頭部51は第1壁部30に当接し、第1壁部30は、頭部51とカラー4の第1端部40とにより挟持される。また、ナット53は、ねじ部52に螺合すると共に、第2壁部31に当接し、第2壁部31は、ナット53とカラー4の第2端部41とにより挟持される。
【0039】
[7.支持装置の製造方法]
支持装置1は、以下の手順で製造される。
まず、ハンガ部材2の下側穴部21に、初期状態のカラー4が圧入される。これにより、カラー4は、ハンガ部材2を貫通し、且つ、ハンガ部材2に固着された状態で、下側穴部21に設けられる。なお、カラー4はハンガ部材2の厚さよりも長くなっており、カラー4が下側穴部21に設けられた際には、ハンガ部材2の第1、第2面23、24から、それぞれ、カラー4の第1、第2端部40、41が突出する(図4参照)。無論、これに限らず、第1、第2端部40、41は、第1、第2面23、24から突出しなくても良い。
【0040】
次に、カラー4が設けられたハンガ部材2が、ブラケット3の第1、第2壁部30、31の間に配置される(図4参照)。具体的には、ハンガ部材2の下側の部分が、ブラケット3の第1~第4壁部30~33と、底部34との内側に配置される。このとき、ハンガ部材2の上側の部分は、第1、第2取付部35、36の上方に位置し、上側穴部20が露出した状態となる。また、ハンガ部材2の第1面23は第1壁部30に対面し、第2面24は第2壁部31に対面する。また、ブラケット3の第3、第4壁部32、33及び底部34は、ハンガ部材2の側面25に対面する。
【0041】
次に、ボルト50が、第1、第2壁部30、31とカラー4とを貫通するように配置される(図2、3参照)。具体的には、ボルト50のねじ部52が、ブラケット3の第1壁部30の穴部30Aと、ハンガ部材2に設けられたカラー4と、第2壁部31の穴部31Aとに挿入される。このとき、ボルト50の頭部51は第1壁部30に対面する。
【0042】
次に、ブラケット3の第1、第2壁部30、31と、第1、第2壁部30、31の間に配置されたハンガ部材2とが、締結具5により締結される(図2、3参照)。具体的には、ボルト50のねじ部52とナット53とが螺合される。このとき、ナット53は第2壁部31に対面する。
【0043】
そして、ボルト50を締めることで、頭部51とナット53とを接近させ、頭部51により第1壁部30を押圧すると共に、ナット53により第2壁部31を押圧する。これにより、ブラケット3が変形し、第1、第2壁部30、31が接近する。その結果、第1、第2壁部30、31は、それぞれ、カラー4の第1、第2端部40、41に当接し、第1、第2端部40、41を押圧する。
【0044】
これにより、カラー4が長さ方向に短縮され、カラー4は、当該カラー4を伸長させる弾性力を有した状態となる。そして、カラー4の第1、第2端部40、41は、それぞれ、第1、第2壁部30、31に当接し、弾性力により第1、第2壁部30、31を押圧するようになる。
【0045】
また、上述したように、初期状態のカラー4の第1、第2端部40、41は、それぞれ、第1、第2段差部40A、40Bにより段差が形成されている。そして、ボルト50を締めることにより、カラー4の第1、第2段差部40A、40Bが押圧され、第1、第2端部40、41の段差が低減する。カラー4は、第1、第2端部40、41の段差が無くなるまで短縮されても良いし、第1、第2端部40、41に若干の段差が残った状態まで短縮されても良い。
【0046】
[8.効果]
(1)上記実施形態によれば、カラー4の第1、第2端部40、41は、それぞれ、弾性力によりブラケット3の第1、第2壁部30、31を押圧する。これにより、第1、第2端部40、41と第1、第2壁部30、31との間の当接が維持されるよう促すことができる。このため、第1、第2端部40、41と第1、第2壁部30、31との間に隙間が生じるのを抑制でき、カラー4とブラケット3との衝突による異音の発生を抑制できる。
【0047】
(2)また、初期状態のカラー4の第1及び第2端部40、41は、それぞれ、ハンガ部材2の第1、第2面23、24から突出するように設けられる。このため、第1、第2端部40、41が、それぞれ、第1、第2壁部30、31に当接するように促すことができ、これにより、より良好に、カラー4のブラケット3との衝突による異音の発生を抑制できる。
【0048】
(3)また、初期状態のカラー4の第1、第2端部40、41には段差が形成されており、第1端部40の第1段差部40Aは、第1端部40側に突出すると共に、第2端部41の第2段差部41Aは、第2端部41側に突出する。このため、簡易的な構成により、ハンガ部材2とブラケット3との締結時に、カラー4に弾力性を持たせることができる。
【0049】
[9.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、ハンガ部材2は、ブラケット3の第1、第2壁部30、31の間に配置される。しかし、これに限らず、例えば、ブラケット3を、第1壁部30を有さない構成としても良い。そして、例えば、ボルト50の頭部51とハンガ部材2の第1面23との間に、リング状の座金54を配置しても良い(図10参照)。つまり、ボルト50は、座金54と、第2壁部31と、座金54と第2壁部31との間に位置するハンガ部材2とを貫通し、ハンガ部材2は第2壁部31に締結されても良い。そして、カラー4の第1、第2端部40、41が、それぞれ、座金54と第2壁部31とに当接し、弾性力により座金54と第2壁部31とを押圧するようにしても良い。
【0050】
なお、この場合、支持装置1は次の手順で製造される。まず、上記実施形態と同様にして、ハンガ部材2にカラー4が設けられる。次に、ボルト50のねじ部52が、座金54と、第2壁部31と、座金54と第2壁部31との間に位置する初期状態のカラー4とを貫通するように配置される。このとき、ボルト50の頭部51は座金54に対面する。
【0051】
次に、第2壁部31とハンガ部材2とが、締結具5により締結される。具体的には、ボルト50のねじ部52とナット53とが螺合される。このとき、ナット53は第2壁部31に対面する。そして、ボルト50を締めることで、頭部51とナット53とを接近させ、頭部51により座金54を押圧すると共に、ナット53により第2壁部31を押圧する。これにより、座金54と第2壁部31とは、それぞれ、カラー4の第1、第2端部40、41を押圧し、これにより、カラー4が長さ方向に短縮され、カラー4は、当該カラー4を伸長させる弾性力を有した状態となる。
【0052】
このような構成を有する場合においても、同様の効果が得られる。
(2)この他にも、上記(1)の構成において、座金54を用いることなくハンガ部材2をブラケット3に締結しても良い(図11参照)。つまり、ボルト50は、頭部51がハンガ部材2の第1面23に隣接した状態で第2壁部31とハンガ部材2とを貫通し、ハンガ部材2を第2壁部31に締結しても良い。そして、カラー4の第1、第2端部40、41が、それぞれ、頭部51と第2壁部31とに当接し、弾性力により頭部51と第2壁部31とを押圧するようにしても良い。
【0053】
なお、この場合、支持装置1は次の手順で製造される。まず、上記実施形態と同様にして、ハンガ部材2にカラー4が設けられる。次に、ボルト50のねじ部52が、初期状態のカラー4と第2壁部31とを貫通するように配置される。このとき、ボルト50の頭部51はハンガ部材2の第1面23に対面する。
【0054】
次に、第2壁部31とハンガ部材2とが、締結具5により締結される。具体的には、ボルト50のねじ部52ナット53が螺合される。このとき、ナット53は第2壁部31に対面する。そして、ボルト50を締めることで、頭部51とナット53とを接近させ、ナット53により第2壁部31を押圧する。これにより、頭部51と第2壁部31とは、それぞれ、カラー4の第1、第2端部40、41を押圧し、これにより、カラー4が長さ方向に短縮され、カラー4は、当該カラー4を伸長させる弾性力を有した状態となる。
【0055】
このような構成を有する場合においても、同様の効果が得られる。
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0056】
[10.文言の対応関係]
上記実施形態のブラケット3の第1壁部30、座金54、又はボルト50の頭部51が、対面部の一例に相当する。
【符号の説明】
【0057】
1…支持装置、2…ハンガ部材、21…下側穴部、23…第1面、24…第2面、3…ブラケット、30…第1壁部、31…第2壁部、4…カラー、40…第1端部、40A…第1段差部、41…第2端部、41A…第2段差部、42…第1突合せ面、43…第2突合せ面、5…締結具、50…ボルト、53…ナット、54…座金。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11