(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】スライド媒体の画像読み取り位置を選択するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20250204BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20250204BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G06T7/70 A
(21)【出願番号】P 2021500096
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 US2019039604
(87)【国際公開番号】W WO2020009908
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-17
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518267573
【氏名又は名称】オルト-クリニカル ダイアグノスティックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ディン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ジョアンナ ジュリア-トレカソ
(72)【発明者】
【氏名】ディマグノ、セオドア ジェイ
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-534226(JP,A)
【文献】国際公開第2017/197217(WO,A1)
【文献】特表2014-532856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0178321(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0245731(US,A1)
【文献】国際公開第2004/053468(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0112525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/74
G01N 33/48 - G01N 33/98
C12M 1/00 - C12M 1/42
C12M 3/00 - C12M 3/10
C12Q 1/00 - C12Q 1/70
C12Q 3/00
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 3/60
G06T 5/00 - G06T 5/50
G06T 7/00 - G06T 7/90
G06T 9/00 - G06T 9/40
G06V 10/00 - G06V 10/98
G06V 20/00 - G06V 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニットにおいて、反応セル上に位置する流体サンプルの画像を得るステップ、
前記制御ユニットを介して、前記反応セルの中心と、前記反応セル上への前記流体サンプルの吐出位置の中心と、のうち少なくとも一方に対応するデフォルト中心を決定するステップ、
前記制御ユニットを介して、前記画像に基づいて複数の微分データ点を含む微分データのセットを生成するステップ、
前記制御ユニットを介して、それぞれの前記複数の微分データ点のための画像勾配データ点を決定し、二値画像を生成するステップであって、
それぞれの前記複数の微分データ点を閾値と比較し、
閾値と比較して大きい値を有する前記微分データ点に対応する前記画像勾配データ点に「0」の値を与えて、不要な画像アーチファクトを除去し、及び
残存させる前記画像勾配データ点に「1」の値を与える、
ことによるステップ、
前記制御ユニットを介して、前記画像勾配データ点を使用して、前記二値画像の重心を決定するステップ、
前記制御ユニットを介して、前記反応セル上の前記流体サンプルの標的位置として、決定された前記重心を指定するステップ、
前記制御ユニットを介して、前記標的位置と、前記デフォルト中心とを比較するステップ、及び、
前記制御ユニット及び関連するアッセイシステムを介して、前記デフォルト中心と前記標的位置との距離が閾値より小さい場合に前記反応セル上の前記流体サンプルの前記標的位置を使用して少なくとも1つのアッセイを実施するステップ、
を含む、少なくとも1つのアッセイを実施する方法。
【請求項2】
前記反応セルは、固体媒体、乾燥スライド、又は反応キュベットを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的位置は、前記反応セル上の前記流体サンプルの均一領域の中心を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の画像からの標的位置を使用して、複数のアッセイを実施するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の微分データ点は、前記画像における色に基づく一次微分である、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記二値画像の重心を決定するステップは、
(i)第2の画像勾配データ点よりも低い画像勾配を有する第1の画像勾配データ点を使用すること、又は、
(ii)第1の画像勾配データ点よりも高い画像勾配を有する第2の画像勾配データ点を除外すること、
の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記制御ユニットを介して、前記画像から画像の欠陥を除去するステップ、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記画像は、2次元画像である、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記制御ユニットを介して、前記標的位置周辺の読み取り領域を形成するステップを含み、前記少なくとも1つのアッセイを実施するステップは、前記読み取り領域を使用することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記流体サンプルの画像を得るステップは、前記流体サンプルと結合する少なくとも1つの試薬から形成された、前記反応セル上の指示薬分子の指示薬反応を検出すること又は測定することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
制御ユニットを介して、反応セル上に位置する流体サンプルの画像を得るステップ、
前記制御ユニットを介して、前記反応セルの中心と、前記反応セル上への前記流体サンプルの吐出位置の中心と、のうち少なくとも一方に対応するデフォルト中心を決定するステップ、
前記制御ユニットを介して、前記画像に基づいて複数の微分データ点を含む微分データのセットを生成するステップ、
前記制御ユニットを介して、それぞれの前記複数の微分データ点のための画像勾配データ点を決定し、二値画像を生成するステップであって、
それぞれの前記複数の微分データ点を閾値と比較し、
閾値と比較して大きい値を有する前記微分データ点に対応する前記画像勾配データ点に「0」の値を与えて、不要な画像アーチファクトを除去し、及び
残存させる前記画像勾配データ点に「1」の値を与える、
ことによるステップ、
前記制御ユニットを介して、前記画像勾配データ点を使用して、前記二値画像の重心を決定するステップ、
前記制御ユニットを介して、前記流体サンプルの標的位置として、決定された前記重心を指定するステップ、
前記制御ユニットを介して、前記標的位置の周辺の読み取り領域を形成するステップ、
前記制御ユニットを介して、前記標的位置と、前記デフォルト中心とを比較するステップ、及び、
前記制御ユニット及び関連するアッセイシステムを介して、前記デフォルト中心と前記標的位置との距離が閾値より小さい場合に前記読み取り領域を使用して少なくとも1つのアッセイを実施するステップ、
を含む、
少なくとも1つのアッセイを実施する方法。
【請求項12】
前記反応セルは、固体媒体、乾燥スライド、又は反応キュベットを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記読み取り領域は、前記画像内で、円形を示す、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記読み取り領域は、前記画像内で、楕円形に表示される、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記制御ユニット及び前記関連するアッセイシステムを介して、複数のイメージに由来する標的位置を使用して、複数のアッセイを実施することを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記画像は、2次元画像である、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
流体サンプルが位置された少なくとも1つの反応セルを受容するように構成されたスライド受容位置と、
前記反応セル上に位置する前記流体サンプルの画像を得るために、前記スライド受容位置に対して置かれ及び配置される画像装置と、
前記反応セルの中心と、前記反応セル上への前記流体サンプルの吐出位置の中心と、のうち少なくとも一方に対応するデフォルト中心を決定し、
前記画像に基づいて複数の微分データ点を含む微分データのセットを生成し、
それぞれの前記複数の微分データ点のために画像勾配データ点を決定して、二値画像を生成することであって、
それぞれの前記複数の微分データ点を閾値と比較し、
閾値と比較して大きい値を有する前記微分データ点に対応する前記画像勾配データ点に「0」の値を与えて、不要な画像アーチファクトを除去し、及び
残存させる前記画像勾配データ点に「1」の値を与える、
ことによって該二値画像を生成し、
前記画像勾配データ点を使用して前記二値画像の重心を決定し、
前記反応セル上に位置する前記流体サンプル内の標的位置として、決定された前記重心を指定し、
前記標的位置と前記デフォルト中心とを比較し、及び、
前記デフォルト中心と前記標的位置との距離が閾値より小さい場合に、前記標的位置に基づいて少なくとも1つのアッセイを実施する、
ように構成された制御ユニットと、
を備える、少なくとも1つのアッセイを実施するための装置。
【請求項18】
前記反応セルは、固体媒体、乾燥スライド、又は反応キュベットを含む、
ことを特徴とする請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
前記固体媒体は、第2の反応セルを含む、
ことを特徴とする請求項
18に記載の装置。
【請求項20】
前記標的位置は、前記流体サンプルの均一領域の中心位置を含む、
ことを特徴とする請求項
17に記載の装置。
【請求項21】
(i)第2の画像勾配データ点よりも低い画像勾配を有する第1の画像勾配データ点を使用する、又は、(ii)第1の画像勾配データ点よりも高い画像勾配を有する第2の画像
勾配データ点を除外する、の少なくとも1つによって、前記標的位置を決定するように、前記制御ユニットは構成される、
ことを特徴とする請求項
17に記載の装置。
【請求項22】
前記制御ユニットは、第2の画像勾配データ点よりも低い画像勾配を有する第1の画像勾配データ点の幾何学的中心で前記標的位置を決定するように、構成される、
ことを特徴とする請求項
17に記載の装置。
【請求項23】
前記制御ユニットは、複数の画像からの標的位置を使用して、複数の異なるアッセイを実施するように構成されている、
ことを特徴とする請求項
17に記載の装置。
【請求項24】
前記反応セル上の前記流体サンプルの前記標的位置は、前記反応セル上で前記流体サンプル中の標的分子が試薬と反応するにつれて指示薬が表示のために発現するように指示薬反応が起こる位置に対応する、
ことを特徴とする請求項
17に記載の装置。
【請求項25】
前記制御ユニットを介して、前記デフォルト中心と前記標的位置との距離が閾値以上の場合に、新たな流体サンプルを新たな反応セル上に注ぐべきであることを示すエラーを報告するステップを更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的位置を使用してアッセイを実施可能とするために、乾燥スライド又は他の多孔性/固体媒体のような反応セル上の標的位置の位置決めをする方法および装置に、一般に関連し、より具体的には、固体媒体上における、標的位置として流体サンプルの読み取り中心を位置決めする方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アッセイを実施する1つの方法は、固体又は多孔質媒体上に吐出された流体サンプルの画像を使用することである。しかしながら、この方法の問題は、軸対象の勾配が、流体サンプルが吐出された位置の中心から放射状に広がり、画像プロファイルが平坦とならないことがある点である。この問題は、例えば、計量、媒体の位置又は変化のある媒体における不正確性により、意図しない位置でサンプルを吐出することによって起きる可能性がある。アッセイを実施するための領域が予め定められた位置である場合、実施されるアッセイの正確性を減じる大きな変動がある可能性がある。別の問題は、光学的欠陥(例えば、埃、コーティングの欠陥等)又は、アッセイの信号を劣化させる可能性がある意図しない流れのパターンによる反応画像に欠陥がある可能性があることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、例えば、アッセイ信号の標的位置を中心とした所定の領域における平均光学強度を得ることによって、ドライスライド又は他の固体媒体のような反応セル中の標的位置を決める、及び標的位置を使用してアッセイを実施するための方法及び装置を目的とする。本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる例示的な実施形態において、少なくとも1つのアッセイを実施する方法は、反応セル上に位置する流体サンプルの少なくとも1つの画像を得るステップと、少なくとも1つの画像に基づいて複数微分データ点を含む微分データのセットを生成するステップと、それぞれの複数の微分データ点のための画像勾配データ点を決定するステップと、画像勾配データ点に基づいて反応セル内の流体サンプルの標的位置を決定するステップと、反応セル内の流体サンプルの標的位置を使用して少なくとも1つのアッセイを実施するステップと、を含む。
【0004】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、反応セルは、固体媒体、乾燥スライド、又は反応キュベットを含む。
【0005】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、標的位置は、前記反応セル内の前記流体サンプルの均一領域のほぼ中心である。
【0006】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、本方法は、複数の画像からの標的位置を使用して、複数のアッセイを実施することを含む。
【0007】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、微分データ点は、少なくとも1つの画像における色に基づく一次微分である。実施形態において、少なくとも1つの画像における色は、光強度を表す。
【0008】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、流体サンプルの前記標的位置を決定するステップは、(i)第2の画像勾配点よりも低い画像勾配を有する第1の画像勾配データ点を使用すること、又は、(ii)第1の画像勾配データ点よりも高い画像勾配を有する第2の画像勾配データ点を除外すること、の少なくとも1つを含む。実施形態において、これは、一次微分値が画像全体にわたって取られ、次に、閾値よりも高い一次微分値を有する全ての画素が除去され、その結果、残りの画素の中心が標的位置を見つけるために使用することができることを意味する。
【0009】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、本方法は、少なくとも1つの画像から画像の欠陥を除去するステップを含む。
【0010】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、少なくとも1つの画像は2次元画像である。
【0011】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、流体サンプルの標的位置を決定するステップは、流体サンプルと結合する少なくとも1つの試薬から形成された、反応セル内の指示薬分子の指示薬反応を検出すること又は測定することを含む。
【0012】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、本方法は、標的位置周辺の読み取り領域を形成するステップを含み、少なくとも1つのアッセイを実施するステップは、読み取り領域を使用することを含む。
【0013】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる一般的な実施形態において、少なくとも1つのアッセイを実施する方法は、反応セル上に位置する流体サンプルの少なくとも1つの画像を得るステップと、少なくとも1つの画像に基づいて複数の微分データ点を含む微分データセットを作成するステップと、複数の微分データ点に基づいて流体サンプルの標的位置を決定するステップと、標的位置の周囲に読み取り領域を形成するステップと、読み取り領域を用いて少なくとも1つのアッセイを実施するステップとを含む。
【0014】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、反応セルは、固体媒体、乾燥スライド、又は反応キュベットを含む。
【0015】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、読み取り領域は、少なくとも1つの画像で、ほぼ円形を示す。
【0016】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、読み取り領域は、少なくとも1つの画像で、ほぼ楕円形を示す。
【0017】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、本方法は、それぞれの複数の微分データ点のための画像勾配データ点を決定するステップ、及び、画像勾配データ点に基づいて流体サンプルの標的位置を決定するステップ、を含む。
【0018】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、本方法は、複数のイメージに由来する標的位置を使用して、複数のアッセイを実施することを含む。
【0019】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、少なくとも1つの画像は、2次元画像である。
【0020】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる一般的な実施形態において、少なくとも1つのアッセイを実施するための装置は、流体サンプルが位置された少なくとも1つの反応セルを受容するように構成されたスライド受容位置と、反応セル内に位置する流体サンプルの少なくとも1つの画像を得るために、スライド受容位置に対して位置され及び配置される画像装置と、(i)前記少なくとも1つの画像からの微分データ点を分析することで、前記反応セル内に位置する前記流体サンプル内の標的位置を決定する、及び(ii)標的位置に基づいて少なくとも1つのアッセイを実施するように構成された制御ユニットと備える。
【0021】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、反応セルは、固体媒体、乾燥スライド、又は反応キュベットを含む。
【0022】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、固体媒体は、第2の反応セルを含む。
【0023】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、標的位置は、反応セル内の前記流体サンプルの均一領域のほぼ中心位置である。
【0024】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、制御ユニットは、それぞれの複数の微分データ点のための画像勾配データ点を分析することで、標的位置を決定するように構成される。
【0025】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、制御ユニットは、(i)第2の画像勾配データ点よりも低い画像勾配を有する第1の画像勾配データ点を使用する、又は、(ii)第1の画像勾配データ点よりも高い画像勾配を有する第2の画像勾配データ点を除外する、の少なくとも1つによって、前記標的位置を決定するように、構成されている。実施形態において、これは、1次微分値が画像全体にわたって取られ、次に、閾値よりも高い1次微分値を有する全ての画素が除去され、その結果、残りの画素の中心が標的位置を見つけるために使用されてもよいことを意味する。
【0026】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、制御ユニットは、第2の画像勾配データ点よりも低い画像勾配を有する第1の画像勾配データ点のほぼ幾何学的中心で標的位置を決定するように、構成される。
【0027】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、制御ユニットは、複数の画像からの標的位置を使用して、複数の異なるアッセイを実施するように構成されている。
【0028】
本明細書に開示の任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、反応セル内の流体サンプルの標的位置は、反応セル内で流体サンプル中の標的分子が試薬と反応するにつれて指示薬が表示のため発現するように指示薬反応が起こる位置に対応する。
【0029】
本明細書に開示される任意の他の実施形態と共に使用することができる別の実施形態において、
図1~37と関連して開示される任意の構造及び機能と、
図1~37と関連して開示される任意の他の構造及び機能と組み合わせることができる。
【0030】
従って、本開示及び上記の態様に照らし、乾燥スライド、反応キュベット又は他の固体媒体の反応セルにおける標的位置を決めるための改善された方法および装置を提供することは、本開示の利点である。
【0031】
本明細書で議論される利点は、1つ又はいくつか、及びおそらく全てではない本明細書で開示されている実施形態で見出すことができる。付加的な特徴及び利点は、本明細書で説明されており、以下の詳細な説明と図面とから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
ここで、本開示の実施形態は、添付の図面を参照するだけで、例として更に詳細に説明される。
【0033】
【
図1】本開示に係る固体媒体の例示的な実施形態の断面図を示す。
【
図3】本開示に係る
図1の固体媒体を保持するアッセイ装置の例示的な実施形態の図を示す。
【
図4】本開示に係る固体媒体上に流体サンプルを吐出するサンプル吐出機構の例示的な実施形態の図を示す。
【
図5】
図4に示す吐出による固体媒体上の流体サンプルによって形成される液体レンズの例示的な実施形態の図を示す。
【
図6】
図5に説明する分配の例示的な実施形態を示す上面斜視図及び底面図の例示的な実施形態の図を示す。
【
図7A】固体媒体上に流体サンプルによって形成され得る例示的パターンの図を示す。
【
図7B】固体媒体上に流体サンプルによって形成され得る例示的パターンの図を示す。
【
図7C】固体媒体上に流体サンプルによって形成され得る例示的パターンの図を示す。
【
図8】本開示に係る少なくとも1つのアッセイを実施する方法の例示的な実施形態図を示す。
【
図9A】本開示に係る固体媒体上の流体サンプルの画像における標的位置を決定する方法の例示的な実施形態の図を示す。
【
図9B-1】本開示に係る固体媒体上の流体サンプルの画像における標的位置を決定する方法の例示的な実施形態の図を示す。
【
図9B-2】本開示に係る固体媒体上の流体サンプルの画像における標的位置を決定する方法の例示的な実施形態の図を示す。
【
図10】固定媒体上の流体サンプルによって形成され得る異なる例示的なパターンの図を示す。
【
図11】固体媒体上の流体サンプルによって形成され得る元の画像及び一次空間微分を示す。
【
図12】固体媒体上の流体サンプルの画像内に形成され得る異なる不完全性の図を示す。
【
図13】固体媒体上の埃の斑点が、対応する画像でどのようにスパイクを引き起こし得るかを説明する図を示す。
【
図14】本開示に係る方法がアッセイの精度を改善する方法を示す図である。
【
図15】本開示に係る方法がアッセイの精度を改善する方法を示す図である。
【
図16】本開示の例示的な実施形態に係る
図1~5の固体媒体の実施形態の図を示す。
【
図17】本開示の例示的な実施形態に係るそれぞれのスライドの滞留領域サンプルを含む
図3のアッセイシステムによって記録される画像の図を示す。
【
図18】本開示の例示的な実施形態に係る、埃又は別の汚染がサンプル中に含まれる、アッセイシステムによって記録される画像を説明する。
【
図19】
図18の画像に基づくアッセイシステムによって実施されるサンプルの分析を示す図である。
【
図20】本開示の例示的な実施形態に係る、埃又は別の汚染がサンプル中に含まれる、アッセイシステムによって記録される画像を説明する。
【
図21】
図20の画像に基づくアッセイシステムによって実施されるサンプルの分析を示す図である。
【
図22】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図23】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図24】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図25】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図26】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図27】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図28】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図29】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図30】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図31】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図32】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図33】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図34】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図35】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図36】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【
図37】本開示の例示的な実施形態に係る、
図1~21の固体媒体の分析性能を、既知の固体媒体と比較するテスト結果データの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示は、反応セル上の標的位置を決め、標的位置を使用してアッセイを実施するための方法及び装置に関する。以下の詳細に説明するように、例えば、計算時間を改善する点と、中心外での計測の感度を低減する点と、エッジ/フレームを回避し、非アッセイ信号の影響を最小化する点と、画像の欠陥(例えば、埃、コーティング欠陥、ウィッキング等)を検出する及び取り除き、バイアスや外れ値を減少させる点とで、本開示の方法及び装置は有利である。画像の欠陥は、異物粒子、気泡、ひっかき傷等も含みうる。本開示は、反応セルを乾燥スライド、反応キュベット又は固体媒体として説明するが、当業者は、例えば、ニトロセルロースのような多孔質媒体、オクタロニープレートのような半多孔質及び固体媒体、キュベット、フローセル又は反応管のような液体試薬装置、及び/又は光学測定ゾーンを備えるラテラルフローアレイが埋め込まれた固体媒体チップのような、他の種類の反応セルで本開示を使用可能であることを理解するだろう。
【0035】
図1及び2は、本開示に従って使用可能な反応セルの例示的な実施形態を説明する。
図1及び2において、反応セルは、本開示に係るアッセイシステム20で使用可能な固体媒体10である。固体媒体10は、例えば、単層又は複層薄膜素子であることができ、流体サンプルがその上に吐出される。図示の実施形態では、固体媒体10は、第1の層12を含む複数の層を含み、第1の層は、開口を備え、該開口を通って液体サンプルを受容する上部ベース層を提供するように構成された上側スライド載置層であることができる。第1の層は、流体サンプルをその上に広げるように構成されてもよい。固体媒体10は、特定のアッセイのために流体サンプルと反応するように構成された試薬を含む試薬層であり得る第2の層14も含む。第2の層14は、試薬層への支持又は剛性を提供する支持層も含むことができる。固体媒体は、光学分析に使用される低波長カットオフフィルタを提供するフィルタ層であり得る第3の層16も、更に含む。第3の層16は、光学分析のために、それを通る開口を備える、下部ベース層を提供するように構成される下部スライド載置層を含むことができる。
【0036】
図3は、固体媒体10上の流体サンプルの画像内の標的位置を決め、標的位置を使用して1つ以上のアッセイを実施するために構成されたアッセイシステム20の例示的な実施形態を示す。図示のように、アッセイシステム20は、少なくとも1つの固体媒体10を受容するように構成されたスライド受容位置22と、固体媒体10上にサンプル流体を吐出するように構成されたサンプル吐出機構32と、固体媒体10上に位置する流体サンプルの少なくとも1つの画像を得るために固体媒体受容位置22に対応して位置決め及び配置された画像化装置24と、光を固体媒体10上に投射することで、光が固体媒体10上に吐出された液体サンプルによって変調され得るように構成された光源26(例えば、1つ以上の発光ダイオードライト)と、任意に、光源26からの光を、実施されているアッセイに固有の特定の波長に変調するように構成された光学フィルタ28と、を含むことができる。
【0037】
図示の実施形態において、スライド受容位置22は、流体サンプルが固体媒体10に加えられている間及び/又は固体媒体10は光源26によって照射され、画像化装置24によって画像化される間、固体媒体10を受容及び保持するように構成されている。図示の実施形態において、スライド受容位置22は、第1の開口22aと第2の開口22bとを作成する少なくとも1つのブラケットを含む。流体サンプルは、スライド受容位置22の第1の開口22aで(例えば、第1の層12の開口を通って)、固体媒体10に加えられることができ、一方、流体サンプルが試薬と反応した後、スライド受容位置22の第2の開口22bにより、固体媒体10が(例えば、第3の層16の開口を通じて)照射され画像化されることができる。スライド受容位置22によって固体異媒体10が受け取られる前に、流体サンプルの追加が起きることもあり、スライド受容位置22の下部にある第2の開口22bと対向するように、スライド受容位置22の上部にある第1の開口22aでは、固体媒体10の照射及び画像化が起きうることが更に理解されるべきである。
【0038】
図2のアッセイシステム20は、制御ユニット30を更に含んでもよく、制御ユニットは、1つ以上のアッセイシステム20の構成要素を制御する、固体媒体10上の流体サンプルの標的位置を決定する、及び本明細書に記載の方法に従って、固体媒体10上の流体サンプルを分析するように構成されている。制御ユニット30は、プロセッサと、本明細書に記載の方法を実施するための命令を記憶する非一時的メモリとを含んでもよく、プロセッサは、1つ以上のアッセイを実施するため、アッセイシステム20の1つ以上の構成要素の制御するための命令を実行する。
【0039】
図4は、本開示の例示的な実施形態に係るサンプル吐出機構32によって固体媒体10上に吐出されている流体サンプルを示す。実施形態において、固体媒体10が、アッセイシステム20のスライド受容位置22に挿入される前に、流体サンプルは、ユーザによって手動で制御されたサンプル吐出機構32を介して固体媒体10上に吐出されうる。サンプル吐出機構32は、例えば、ピペット又は当技術分野で既知の他の流体吐出機構であることができる。代わりに、アッセイシステム20が、
図3に示すように、サンプル吐出機構32を含むこともできる。ここで、サンプル吐出機構32は、ユーザによって又は制御ユニット30によって制御され、固体媒体10がアッセイシステム20のスライド受容位置22に挿入される前又は後に、流体サンプルを固体媒体10上に(又は中に)吐出してもよい。
【0040】
図4は、時間t
1からt
5にわたって、固体媒体10上に流体サンプルを吐出するサンプル吐出機構32を示す。この時間の間に、滞留及び横方向の流れは、固体媒体10中のコーティングされた材料の濃度のために空間的な勾配を作り出す。図示されているように、時間t
1で、流体サンプルは、サンプル吐出機構32から固体媒体10上に排出され、固体媒体10と最初に接触する。時間t
2で、流体サンプルは、サンプル吐出機構32から固体媒体10上に排出され続け、滞留領域44の形成が始まる。時間t
3で、流体サンプルは、サンプル吐出機構32から固体媒体10上に排出され続け、固体媒体10全体に広がり、滞留領域44のサイズが増加する。時間t
4で、サンプル吐出機構32は、流体サンプルの排出を停止し始め、サンプル吐出機構32と固体媒体10との間に流体ネッキングを生じさせ、それにより、サンプル吐出機構32のすぐ下の滞留領域44に集中させる。時間t
5で、サンプル吐出機構32は、もはや流体サンプルを排出しておらず、滞留領域44を残している。図示の実施形態では、滞留領域44は、変動が最も少ない領域に対応する。いくつかの実施形態では、滞留領域44は、比較的低い光学密度変動性を有する及び/又は指示薬(例えば、サンプル色素)が比較的多く存在する。
【0041】
図5は、
図4の吐出プロセスにより生成された滞留領域44による、流体サンプルによって固体媒体10上に形成された液体レンズ46を示す。図示するように、流体サンプルは、固体媒体10上に円形の液体レンズ46を形成する。
図5に示すように、サンプル吐出機構32からの軸対象の流体の流れにより円形の液体レンズ46は形成され、該流れは、固体媒体10のコーティングされた材料上で軸対象な分布をもたらす。
【0042】
図6は、滞留領域44にわたる液体レンズ46の分布の例示的な実施形態を示す上面斜視図及び底面図を示す。
図6の下側のプロットは、画像内の全てのピクセルにわたる2次元空間(つまり、x及びy空間)における光強度を示す。液体レンズ46の中心はより低い光強度を有し、一方、液体レンズ46の縁はより高い光強度を有する。
図6のグラフ70は、グラフ72と同じ情報を有するが、光強度を表すためにz軸を備える3次元形式で表示されており、x軸及びy軸は、ピクセル位置を表す。ピクセル(x座標及びy座標)の光強度が高い場合、グラフ70と72のz値は大きくなる。光強度は「ADカウント」(「ADC」)と呼ばれる値で測定される。明るいピクセルは、暗いピクセルよりも大きなADカウント値を有する。
【0043】
アッセイの動力学と、固体媒体10のコーティングされた材料の均一性と、の違いにより、固体媒体10上の流体サンプルから撮られた画像に形成され得る異なるパターンがある。
図7A~7Cは、形成され得る3つの例示的なパターンを示す。
図7Aは凹状パターンを示す。
図7Bは凸状パターンを示し、
図7Cは、複雑なパターンを示す。
図7A~7Cの全ての3つのパターンは、中心の滞留領域44の共通の特徴と、局所的な非均一性によって乱されたZ軸対称放射と、を共有する。本開示は、この共通の特徴を使用して、1つ以上のアッセイを実施する際に使用するための標的位置として、固体媒体上の流体サンプルの均一領域(例えば、比較的均一な光強度)の中心を位置決めする。
【0044】
図8は、画像を取得し、本明細書に開示されるように画像を処理することによって、少なくとも1つのアッセイを実施するための方法100を示す。実施形態において、制御ユニット30は、プロセッサ及び方法100のステップを実行するための命令を記憶する非一時的メモリを含み得る。プロセッサは、命令を実行して、アッセイシステム20の構成要素に
図8のステップを実行させる。
図8に示すステップのうちの1つ以上は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、省略することができ、及び/又は追加のステップを加えることができ、及び/又は特定のステップの順序を再配置することができることが、当業者によって理解されるべきである。
【0045】
ステップ102で、画像化装置24は、固体媒体10上に吐出された流体サンプルの少なくとも1つの画像を記録する。例えば、光源26が固体媒体10に光を投射している間に、画像を記録することができる。光源26からの光は、固体媒体10上の1つ以上の試薬と反応したサンプル中の標的分子によって発光光を透過させて、反応の視覚的表示(例えば、指示薬反応)を提供するように構成される。いくつかの例では、光学フィルタ28及び/又は固体媒体10によって提供されるフィルタは、光源28からの光を変調するように構成される。画像化装置24は、例えば、電荷結合デバイス(「CCD」)カメラであることができ、これは、例えば、固体媒体10上にほぼ楕円形又は円形の流体サンプルを示す2次元画像を記録することができる。実施形態において、特定のアッセイに必要な波長は、制御ユニット30にプログラムされる又は提供されることができ、制御ユニット30は、光源26及び光学フィルタ28を制御して、画像が画像化装置24によって記録されている間に、実施されているアッセイのための正しい波長の光が、固体媒体10に投射されるようにすることができる。
【0046】
ステップ104で、制御ユニット30は、画像を正規化し、アッセイの標的位置を決定する。ステップ104は、
図9に示され、より詳細に説明されており、対応する説明は以下である。以下でより詳細に説明するように、ステップ104は、画像に基づいて複数の微分データ点を含む微分データのセットを1回以上作成し、複数の微分データ点のそれぞれのための画像勾配データ点を決定し、画像勾配データ点に基づいて固体媒体上の流体サンプルの標的位置を決定し、画像から画像の欠陥を除去する。
【0047】
ステップ106では、制御ユニット30は、例えば、標的位置及び/又は標的位置の周囲の指定された領域における、光強度又は他の値を検出することによって、ステップ104で決定された標的位置を使用する。実施形態において、標的位置を中心点として使用して、標的位置の周りの指定された領域を形成することができる。例えば、標的位置を使用して、固体媒体10上に投射された光からの信号を検出するために使用される読み取り領域を作成することができる。2018年7月2日に出願された「縮小された読み取りウィンドウを使用するドライスライドアッセイ」と題する米国仮出願第62/693,120号は、標的位置の周囲に読み取り領域を作成するための方法を更に説明しており、この文献を参照により本明細書に組み込み、依拠する。他の実施形態では、標的位置を使用して、例えば、機器計測システム及び/又は光学系を位置合わせし、維持間隔を予測し、及び/又は反応セル干渉によるスペクトル誤差を最小化することができる。
【0048】
ステップ108で、制御ユニット30は、例えば、標的位置で、及び/又は標的位置から作成された読み取り領域内で、固体媒体10に投射された光からの画像信号の平均光強度を算出する。実施形態において、平均光強度は、読み取り領域内のADカウント値の合計を読み取り領域の総面積(総ピクセル数)の合計で割ったものである。
【0049】
ステップ110で、制御ユニット30は、標的位置を使用して応答を算出する。エンドポイントアッセイ(例えば、UREA)について、応答を、同じスライド又は固体媒体10の異なる2つの読み取り間の信号差によって計算することができる。レートアッセイ(例えば、AST)について、応答を、同じ単一のスライド又は固体媒体10の複数の読み取りからの信号の経時変化の比率から算出することができる。スライド又は固体媒体10の位置は、インキュベーターの回転により時間とともにわずかに変化する可能性があるため、時間の経過とともに同じスライド媒体10上の各画像の標的位置を見つけることが望ましい。
【0050】
ステップ112で、制御ユニット30は、例えば、応答を濃度に関連付ける較正曲線を使用して、流体サンプルの濃度を計算することによって、アッセイの実施を終了する。検量線は、既知の濃度の流体とその濃度に対応して得られる応答とを使用する較正プロセスで得ることができる。検量線では、濃度は応答の既知の関数である。実施形態において、制御ユニット30は、複数の画像からの標的位置を使用して、複数の異なるアッセイを実施することができる。
【0051】
図9A及び9Bは、方法100のステップ104をより詳細に示す方法200を示す。
具体的に、
図9A及び9Bは、標的位置を検出するため(
図9A)、及び画像の欠陥(例えば、画像欠陥を修正する、又はエラーを報告する)を処理するため(
図9B)に特別に設計されたアルゴリズムを示し、アッセイの正確性を改善する、及びアッセイのバイアス及び外れ値を減少させる。以下でより詳細に説明するように、標的位置を検出する際に(
図9A)、アッセイ固有のステップサイズでの画像の一次微分を使用して、画像勾配を取得する。次に、閾値を適用して、高勾配領域を削除する。最後に、画像の残りのピクセルの中心が標的位置として使用される。
【0052】
標的位置(例えば、最小の変動及び最大の信号を有する均一な領域の中心)を見つけた後、標的位置と同期位置との間の距離をチェックする、標的位置と関連するスパイクの数を検出する、及び標的位置の軸対称性とノイズレベルとを分析することによって、画質を調べることができる(
図9B)。チェックされた量の1つ以上でアッセイ固有の閾値を超える場合、画像に対してエラーコードが発行され、該エラーコードは、分析された流体サンプルは信頼できないと判断される可能性があるため、方法100を新しい流体サンプルで再開する必要があることを示す。エラーが見つからない場合、標的位置での画像の平均光学強度を上記のように算出することができる。いくつかの実施形態において、スパイクの数が閾値を下回る場合、方法200は、画像からスパイクを除去するように構成され、それによりアッセイシステムの再現性を改善する。しかし、スパイクの数が閾値を超える場合、画像は破棄される又は、エラーコート及び/又はアラートに関連付けられる。
【0053】
本開示の精神および範囲から逸脱することなく、
図9A及び9Bに示す1つ以上のステップを省略する、及び/又は追加のステップを追加することができる、及び/又は特定のステップの順序を再配置することができることが当業者によって理解されるべきである。方法100と同様に、制御ユニット30は、プロセッサと、
図9A及び9Bの方法のステップを実行するための命令を格納する非一時的なメモリと、を含み得ることが理解されるべきである。プロセッサは、命令を実行して、アッセイシステム20の構成要素に開示されたステップを実行させる。
【0054】
ステップ200は、
図8のステップ102で画像化デバイス22によって記録された画像から始まる。ステップ200で、制御ユニット30は、例えば、アッセイタイプ、流体サンプルのデフォルトの中心40、流体サンプルについて検出されたパターンのタイプ(例えば、凹状、凸状、複雑)等に関連するメタデータに画像を関連付けることによって画像を分析する。メタデータに格納されたパラメータは、事前にプログラムされ、制御ユニット30のメモリ内に格納されることができ、又は特定のアッセイのためにユーザによって入力されることができる。流体サンプルのデフォルト中心40は、例えば、固体媒体10の中心、又は流体サンプルの中心があると予想される吐出位置の中心であり得る。
【0055】
流体サンプルについて検出されたパターンのタイプは、例えば、固体媒体10中の可溶性材料の再分布に対する感度、分析物/試薬濃度、及び/又は化学の動力学に応じて、平坦又は非平坦(例えば、凹状、凸状、又はより複雑な形状)であり得る。
図10は、固体媒体10上に吐出された流体によって形成された異なる例示的なパターンを示し、一方、
図11は、異なるアッセイのための元の画像及び一次空間微分を示す図を示す。
図10及び11は、滞留領域44により小さな値があることを示す。図示のように、流体サンプルは、例えば、非常に小さな勾配を有する滞留領域44(例えば、ピーク又は谷強度)、より大きな勾配を有する洗い流し領域、及び/又は大きな勾配のあるエッジ(乾湿界面又はスライドフレームから)を有し得る。2018年7月2日に出願された「縮小された読み取りウィンドウを使用したドライスライドアッセイ」と題された米国仮出願第62/693,120号は、洗い流し領域がどのように画像に影響を及ぼし、大きな勾配を引き起こし得るかを更に説明し、その説明は引用によって本明細書に組み込まれ、依拠される。本方法によれば、適切な閾値が適用されると、すべての大きな勾配領域を除去することができ、滞留領域44を識別することができる。
【0056】
ステップ202で、制御ユニット30は、画像がまだこの形状になっていない場合、画像をフラットフィールド画像に変換することによって画像を正規化する。実施形態において、画像を正規化することは、エラーを低減するために、読み取り領域全体に適用される光エネルギーを正規化することを含む。実施形態において、正規化は2つのステップを有する。最初のステップは、生の信号からダークリード信号を差し引くことを含む。ダークリード信号は、光源がオフになっているCCDセンサからのデジタル信号である。この計算により、バックグラウンドのデジタルノイズが最小化される。第2のステップは、信号にフラットフィールド関数を乗算することにより、フラットフィールド信号を使用して暗補正信号を正規化することである。フラットフィールド関数は、均一で平らな白色及び/又は反射面である標準面を読み取ることによって取得される。フラットフィールド関数は、標準面の面全体で「1」の値を生成する関数である場合がある。測定された光強度分布がf=f(x,y)であると仮定すると、フラットフィールドはF=1/fである。
【0057】
ステップ204で、制御ユニット30は、例えば、画像トリミングサイズ、ステップサイズ、閾値パラメータ等のアッセイ固有のパラメータを決定または受け入れる。アッセイ固有のパラメータは、事前にプログラムされ、制御ユニット30のメモリ内に格納されることができ、又は特定のアッセイのためにユーザが入力することができる。画像トリミングサイズは、例えば、ステップ206でトリミングされる画像に意図されるサイズであることができ、入力される、又は制御ユニット30によって自動生成されることができる。例示的な実施形態では、画像トリミングサイズは、中心点周りの直径(たとえば、デフォルトの中心40)が約4.5mmであることができる。ステップサイズと閾値パラメータも同様に入力される、又はプロセスの後のステップで使用される所定の値である。各アッセイは、独自のトリミングサイズ、ステップサイズ、及び閾値を有する(例えば、URICトリミングサイズ=3.64mm、ステップサイズ0.28mm、及び閾値=10)。
【0058】
ステップ206で、制御ユニット30は、画像の領域46を切り出す。例では、制御ユニット30は、固体媒体10上の流体サンプルのデフォルト中心40の予想される位置に基づいて領域46をトリミングする。実施形態において、デフォルト中心40は、例えば、固体媒体10の中心として、又は流体サンプルの中心が予想される吐出位置の中心としてステップ200から知られている。したがって、画像は、例えば、ステップ204で決定された画像トリミングサイズに基づくデフォルトの中心40を囲む円(例えば、直径4.5ミリメートル(「mm」)を有する円)としてトリミングすることができる。別の実施形態において、画像は、特定のサイズに制限されることなく、検出された光強度に基づいてトリミングすることができる。2018年7月2日に出願された、「縮小読み取りウィンドウを使用したドライスライドアッセイ」と題された米国仮出願第62/693,120号は、画像の領域を切り取って読み取り領域を作成する方法を更に説明しており、その説明は、引用により本明細書に取り込まれ、依拠される。
【0059】
ステップ208において、制御ユニット30は、トリミングされた画像のデフォルトの中心40を記録する。実施形態において、デフォルトの中心40は、ステップ102から既知であり、画像は、デフォルトの中心40に基づいてトリミングされる。別の実施形態では、デフォルトの中心40は、トリミングされた画像の中心に対応せず、新しくトリミングされた画像に基づいて決定され得る。例えば、画像は、ステップ206で光強度に基づいてトリミングされることができ、次いで、デフォルトの中心40は、トリミングされた画像の幾何学的中心として記録されることができる。
【0060】
ステップ210~214で、制御ユニット30は、トリミングされた画像に基づいて、複数の微分データ点を含む微分データのセットを作成する。実施形態において、微分データ点は、画像内の色に基づく一次微分であることができ、それぞれが、二値画像を定義する画像勾配データ点を含み得る。実施形態において、少なくとも1つの画像の色は、光強度を表す。実施形態において、一次微分は、空間における画像光強度を示すものである。例えば、画像内の各ピクセルには、ADカウント(つまり、ADC)で測定された固有の光強度を有する。一次微分は、事前に定義された距離でのピクセル間の光強度の差を、ピクセル間の距離で割ったものであり得る。
【0061】
ステップ210で、制御ユニット30は、ステップ204で決定されたアッセイ固有のステップサイズで、トリミングされた画像の一次微分(例えば、傾き)の絶対値を取得することによって、微分データのセットを作成する。一次微分は、トリミングされた画像内のアッセイ固有のステップサイズを使用して、中心差分法を使用して計算できる。例えば、微分データのセットは、以下の式:
Slope1=max(|du/dx|,|du/dy|)
を使用して決定できる。ここで、uは画像内のピクセルでの光強度(ADカウント値)である。x及びyは、そのピクセルの座標位置である。傾きはx方向とy方向との両方に沿って計算でき、最大絶対値は傾きとして定義できる。微分を計算するためのステップサイズは、アッセイ固有である。以下でより詳細に説明するように、スロープ1(Slope1)が閾値よりも小さい場合、その質量の値は「1」であり、それ以外の場合、その質量の値は「0」である。
【0062】
ステップ212及び214で、制御ユニット30は、微分データのセットの複数の微分データ点のそれぞれについて画像勾配データ点を決定し、それにより二値画像を生成する。実施形態において、ステップ212で、ステップ210で決定されたスロープ1がアッセイ固有の閾値よりも大きい場合、制御ユニット30は、画像勾配データ点をゼロ(0)に設定する。つまり、より勾配の高いピクセルはゼロ(0)に設定され、二値画像からスパイク、エッジ等を削除する。次に、ステップ214で、制御ユニット30は、画像勾配データ点がゼロ(0)の値より大きい場合、画像勾配データ点を1の値に等しく設定する。つまり、スロープ1が閾値を超える場合、各ピクセル位置での画像勾配データ点(例えば、二値画像内の位置での質量)は、ゼロ(0)であり、スロープ1が閾値を下回る場合は1である。実施形態において、第2の画像勾配データ点よりも低い画像勾配を有する第1の画像勾配データ点が含まれるか、1に設定され、及び/又は(ii)第1の画像勾配データ点より高い画像勾配を有する第2の画像勾配データ点は除外される、又はゼロ(0)に設定される。
【0063】
ステップ216で、制御ユニット30は、画像勾配データ点に基づいて(例えば、楕円形または円形の)流体サンプルの標的位置を決定する。例えば、標的位置は、二値画像(例えば、
図9Aに示される二値画像)の重心として計算され得る。実施形態において、中心位置は、以下の式:
【数1】
を使用して取得することができる。式において、質量mijは、その位置インデックスiとjとの関数である。座標値xijとyijとも、位置インデックスiとjとの関数である。質量は、全てのインデックスにわたって閾値内にあるかどうかに応じて、「1」又は「0」の値と等しい。中心Xc座標は、すべてのインデックスにわたる質量と対応するx座標との積を合計し、その積の合計を総質量で除算して算出される。同様に、中心Yc座標は、すべてのインデックスにわたる質量と対応するy座標との積を合計し、その積の合計を総質量で除算することにより算出される。
【0064】
次に、二値画像の重心は、固体媒体10上の流体サンプルの均質領域のほぼ幾何学的中心である、固体媒体10上の流体サンプルの標的位置として指定され得る。
【0065】
図9Bのステップ218~252において、制御ユニット30は、画像からの欠陥(例えば、画像の不完全性、塵、コーティング欠陥、ウィッキング、異物粒子、気泡、傷などに起因する)を検出する及び/又は除去するように構成され、及び/又は標的位置(例えば、ステップ216から決定された流体サンプルの中心)に基づいてエラー状態を決定するように構成される。また、エラーは、汚れたプロジェクタ光学系のようなアッセイシステム20の反射計照明システムの問題を示すものであってもよい。例えば、
図12によって示されるように、画像には多くの異なる不完全性(例えば、埃、中心外への吐出、ウィッキング、異物粒子、気泡、傷等)があり、これはアッセイに悪影響を与える可能性がある。
【0066】
ステップ218において、制御ユニット30は、ステップ216で決定された標的位置を、以前に決定されたデフォルト中心40と比較する。実施形態において、デフォルト中心と標的位置との間の距離が閾値よりも大きい場合、制御ユニット30は、ステップ220でエラーを報告し、ステップ222で分析を終了してもよい。これは、分析された流体サンプルは信頼性がないと考えられるため、その後、新しい流体サンプルを用いて、方法100を再開すべきであることを意味してもよい。
【0067】
ステップ224で、制御ユニット30は、画像の平坦度が閾値未満であるかどうかを判別する。実施形態において、画像の平坦度は、トリミングされた画像の中央の垂直方向の長さ及び水平方向の長さを横切る2つの直線的な傾き(絶対値およびADC平均によって正規化された値)の最大値である。ADカウント値(ADC)は、サンプル中の分析物濃度に応じて大きな範囲(例えば、10000~50,0000)で変化するので、ADカウント値は、ADカウント値をその平均値で除算することによって正規化される。このようにして、傾きの変化は、分析物濃度よりもむしろ平坦度に関係している。そして、ADカウント値の平均値を求め、その平均値でADカウント値を除算する。傾きの絶対値を使用して画像が平坦かどうかを判断するため、傾きは正でも負でもよい。画像は光強度分布では凹状であっても凸状であってもよいが、中心(吐出位置)で軸対称とする。
【0068】
画像の平坦度がステップ226で閾値未満である場合、制御ユニット30は、ステップ228でエラーを報告し、ステップ122で分析を終了することができる。これは、分析された流体サンプルは信頼できないと考えられ、新しい流体サンプルを用いて方法100が次に再開されるべきであることを示すことができる。
【0069】
ステップ230で、制御ユニット30は、決定されたステップサイズ(例えば、1のステップサイズ)で、トリミングされた画像の一次微分を作成する。例えば、一次微分データは、次の式:
Slope2=|du/dx|+|du/dy|
を使用して決定できる。
【0070】
ステップ232において、制御装置30は、新しい中心領域内のスロープ2(Slope2)の平均値(MEAN)と標準偏差(SD)とを取得する。ステップ234において、制御部30は、標準偏差/平均が閾値以下であるか否かを決定する。標準偏差/平均が閾値以下である場合、制御装置30は、ステップ236でエラーを報告し、ステップ238で分析を終了してもよい。これは、分析された流体サンプルは信頼性がないと考えられるため、その後、方法100を新しい流体サンプルを用いて再開すべきであることを意味してもよい。
【0071】
ステップ240において、制御装置30は、2つのアッセイ固有の定数、SpikeValueMax及びn、を定義してもよい。実施形態において、スパイク最大値(SpikeValueMax)は、アッセイ性能実験によって決定された値を表し、各アッセイについて提供され、一方、nは、正の数を表し、スパイク検出閾値であるスパイク勾配限界(SpikeGradientLimit)を定義するための値を計算するために使用される。次いで、制御装置30は、例えば以下の式:
SpikeGradientLimit=min(SpikeValueMax, MEAN+n*SD)
を用いてスパイク勾配限界を定義してもよい。上記の式において、SpikeValueMaxとMEAN+n*SDの最小値は、画像読み取り領域内の傾きが限界を超えるかどうかを検出するために使用される閾値であるスパイク勾配限界を定義するために使用される。
【0072】
ステップ242および244において、制御装置30は、トリミングされた画像から大きな勾配のスパイクを除去する。例示的な実施形態において、スパイクはスパイクマスク(SpikeMask)を定義することによって除去され、ここで、ある点のスロープ1(Slope1)がスパイク勾配限界(SpikeGradientLimit)よりも大きい場合、スパイクマスクは、ゼロ(0)の値に等しく、ある点のスロープ1がスパイク勾配限界よりも小さい場合、スパイクマスクは、1の値に等しい。別の実施形態において、スパイクは、所定の閾値以上であるか、又は所定の閾値以下であることに基づいて除去されてもよい。
【0073】
ステップ246で、制御ユニット30は、ステップ240および242で検出されたスパイクの総数を決定する。画像から検出及び除去されたスパイクの数が少ない場合でも、画像内の残りのピクセルは、その固体媒体10の信号を計算するために使用される。しかし、検出されたスパイクの数がアッセイ実験に基づいて事前に定義された制限を超える場合、制御ユニット30は、ステップ248でエラーを報告し、ステップ252で分析を終了することができる。これは、分析された流体サンプルは信頼できないと考えられるため、方法100は、新しい流体サンプルを用いて再開されるべきであることを意味することができる。
【0074】
ステップ250で、制御ユニット30は、標的位置によって定義されたトリミングされた画像内で統合し、検出された欠陥を除去し、結果として得られた画像を方法100のステップ106で使用できるようにする。
【0075】
図13は、固体媒体10上の埃の斑点が、どのように対応する画像のスパイクを引き起こす可能性があるかの例を示す。図示されているように、スパイクを除去することで、画像を使用して実施されるアッセイに対するバイアスも除去することができ、アッセイの信頼性が向上する。
【0076】
図14及び15は、本開示の方法によって達成される利点を示す。
図14において、TPxtは、アッセイがマルチテスト形式(スライドあたり2回のテスト)のTP(「トータルプロテイン」)であることを意味する。COM(丸で示す)は、本開示の方法を用いて発見された標的位置で読み取った場合の精度を表す。PS(四角で示す)は、実際の吐出位置を知らずに、予め指定された中心(例えば、想定される吐出位置)で読み取った場合の精度を示す。各読み取り直径での変動係数(CV%)は、テストした全てのサンプルの平均である。
【0077】
図16は、本開示の例示的な実施形態に従った、
図1~
図5の固体媒体10の実施形態を示す。
図16の固体媒体10は、上で議論された滞留領域44に対応する2つの化学チップ1602aおよび1602bを含む。上述のように、滞留領域は、流体計量チップの開口部の直下にある化学チップの領域に対応する。滞留領域44はまた、半径方向の流体の流れがほとんどない、又は全くないことによって特徴付けられてもよい。スポット中心及び領域から半径方向に外側に位置し、化学チップの中心から離れた方向を指す流体流れベクトルが存在する。この領域には、ある程度の量の化学チップ試薬の洗い流しが存在する。滞留ゾーン又は領域44は、この洗い流しを経験せず、化学反応が完了すると、滞留領域44の外側の領域と比較して、異なる光学密度を有することができる。いくつかの例では、滞留ゾーン又は領域44は、有意なレベルの半径方向の流体の流れがなく、これにより、低い光学的変動性の領域および高い指示薬(色素)が存在する領域が生成される。
【0078】
いくつかの例では、化学チップ及び/又は滞留領域44は、反応セル内の流体サンプルの標的位置に対応する。標的位置又は化学チップは、反応セル内で試薬と反応する流体サンプル中の標的分子としての表示のために、指示薬が発現されるように、指示薬反応が起きる位置に対応する。いくつかの例では、化学チップ1602a及び1602bは、それぞれ、液体が充填された反応キュベットを含んでもよい。これらの例では、反応キュベットの画像化は、キュベット壁に気泡、破片、及び/又は傷を示す可能性がある。識別された欠陥は識別され、分析及びアッセイ結果に関連してその影響を緩和することができる。
【0079】
化学チップ1602を使用することで、サンプルに必要な面積を減らし、スライド上に複数のサンプルを分散させることができる。化学チップ1602の各々は、同一の固体媒体10を用いた同一の又は異なる分析を可能にするために、サンプルから同一の流体を受け取ってもよい。あるいは、化学チップ1602の各々は、同じスライド10を用いた同一の又は異なる分析を可能にするために、異なる流体を受け取ってもよい。更に、
図16は、2つの化学チップ1602を示すが、他の例では、固体媒体10は、3つ、4つ等の追加の化学チップを含んでもよい。固体媒体10上に複数の化学チップを含むことは、固体媒体を移動させることなく同じ固体媒体10上で複数の分析を行うことができるので、アッセイシステム20の操作効率を向上させることが理解されるべきである。対照的に、単一の化学チップのみを有する固体媒体は、複数の化学チップを有する単一の固体媒体10と同じ分析を実施するために、2つ以上の別個の固体媒体の処理を必要とする。
【0080】
図16は、化学製品固体媒体の組み合わせの例も示す。組み合わせは、トリグリセリド-コレステロール(TRI-CHOL)、総ビリルビン-アルカリホスファターゼ(TBIL-ALKP)、アラニンアミノトランスフェラーゼ-アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ALTV-AST)、尿素-クレアチニン(UREA-CREA)、グルコース-カルシウム(GLU-C
a)、及びアルブミン-トータルプロテイン(ALB-TP)を含む。他の組み合わせが固体媒体10上に作成され、実装され得ることが理解されるべきである。
【0081】
図17は、本開示の例示的な実施形態に従って、各々の固体媒体10の化学チップ1602上に配置されたサンプルを含む、
図3のアッセイシステムによって記録された画像を示す。上述したように、流体のサンプルの吐出は、化学チップ1602上に液体レンズ46を形成する。
図17の例示的な固体媒体10は、既知の従来のシングルスライド試験と比較して分析性能を維持しつつ、サンプルサイズを小さくし、アッセイシステム20の操作効率を高めるように構成されている。各々の化学チップ1602内に配置された小さなサンプル量のために、分析測定のための領域のサイズが小さくなる。いくつかの例では、アッセイシステム20は、可能性のある性能感度を緩和するために、上で議論したように、デジタル化学技術を使用してもよい。
図17に示すように、デジタル化学は、波長が特異的なLEDを使用して、デジタル画像反射計に固体媒体10の画像を記録又は捕捉する。アッセイシステム20は、1つ以上の画像化アルゴリズムを使用して、測定位置の変動又は封じ込め物(例えば、埃)が存在しても、サンプルの最適領域の分析を確実にすることによって(上述したように)、化学的結果を改善する。
【0082】
図17に示すように、アッセイシステム20は、画像化アルゴリズムを使用して、それぞれのチップ1602a~1602dの中心40a~40dとして示される中心40を決定する。上述したように、中心40は、吐出先端及びスライドが完全に整列された場合の理論的なスポット中心であるデフォルトの中心と同じであってもよいし、そうでなくてもよい。次に、アッセイシステム20は、中心40の周囲の特定の半径を分析する。この半径は、図中の破線で示されるように、1mmから8mmの間、好ましくは約2.25mmである。
【0083】
図18は、本開示の例示的な実施形態に従って、埃又は別の汚染物質1802がサンプルに含まれている
図3のアッセイシステム20によって記録された画像1800を示す。
図19は、本明細書に開示の方法を用いてアッセイシステム20によって実施された
図18のサンプルの分析を示す。第1のグラフ1902は、異常1802が検出されて除去される前の分析結果を示す。第2のグラフ1904は、異常1802が検出され除去された後の分析結果を示す。図示された例では、画像化アルゴリズムが異常を検出し、処理された画像1906(
図18の画像1800から導かれた)から異常を除去する。その結果、異常は、サンプルのその後の分析には含まれない。いくつかの例において、アッセイシステム20は、異常と関連付けられたピクセルカラーを、周囲のピクセルカラーと一致するカラー、又はその後の分析のためのデータがないことを示すピクセルカラーに変更することによって、異常を除去する。
【0084】
図20は、本開示の例示的な実施形態に従って、埃又は別の汚染物質がサンプルに含まれている、
図3のアッセイシステム20によって記録された別の画像2000を示す。
図21は、アッセイシステム20によって実施されたサンプルの分析を示す。第1のグラフ2102は、異常が検出されて除去される前の分析結果を示す。第2のグラフ2104は、異常が検出されて除去された後の分析結果を示す。前の例と同様に、画像化アルゴリズムは、異常を検出し、処理された画像2106(
図20の画像2000から導かれた)から異常を除去する。その結果、異常は、サンプルのその後の分析には含まれない。加えて、アッセイシステム20は、分析フィールド(例えば、中心の周りの円)内に含まれる異常補正された位置の数を減少させる、又は最小化するように、画像2106の中心40を移動させるように構成されている。
【0085】
図22~
図37は、
図1~
図21の例示的な固体媒体10の分析性能を既知のスライド又は固体媒体と比較した試験結果データを示す。
図22及び
図23の例示的な実施例では、固体媒体10はアッセイシステム20を用いて分析され、一方、既知のスライド又は固体媒体は既知の従来のアッセイシステムを用いて分析された。実施例において、2つの血清濃度に対する例示的な固体媒体10のうちの6つが、例示的なアッセイシステム20上の品質管理材料を用いて評価された。単一の較正のための性能の総ラボ内精度(分散係数(%CV)として報告された)を、CLSI EP05ガイドラインに従って、1日あたり2回の実施で、20日間にわたって1回の実施につき2回の複製で、合計80回の複製で評価した。アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10の最も悪いラボ内精度を、従来のアッセイシステムを使用して分析された対応する単一の先行技術の試験スライドと比較した。
【0086】
%CVはサンプルデータの平均に対する標準偏差の比率に相当し、アッセイの精度と再現性の指標を与え、低い値はより高い精度と再現性に対応する。
【0087】
図22は、表2200の図であり、各スライド化学(UREA、TRIG、GLU、ALB、TBIL、ALTV、CREA、CHOL、CA、TP、ALKP、及びAST)についての2つの血清レベルと、従来のアッセイシステムを使用した先行技術のスライド及び例示的なアッセイシステム20を使用した例示的な固体媒体10とについての対応する%CVを示す。図示のように、24の異なる試験のうち、アッセイシステム20を使用した固体媒体10は、24の異なる試験のうちの19の試験において、より低い%CVを有していた。
図23は、グラフ2300を示し、既知の先行技術のスライドと、アッセイシステム20を使用して分析された本明細書に開示の例示的な固体媒体10との間の、異なるスライド化学試験のそれぞれについての%CVの差を示す。図示のように、アッセイシステム20を用いて例示的な固体媒体10を使用することは、先行技術のスライドと比較して、ほとんどのスライド化学試験においてより良好な%CVを提供した。
【0088】
図24~
図37の例示的な実施例では、外部精度試験を実施した。この試験では、先行技術の試験スライドを、従来のアッセイシステムを用いて分析した。12のケミストリーを有するテストスライドを、2つの血清濃度について分析した。統計的データの外れ値は分析から除去した。残りのデータについてShapiro-Wilk正規性検定を実行し、正規性からの重大な逸脱を示すセットを削除した。各スライドの血清と試薬のロットの組み合わせについて%CVを計算した。%CV測定値は、試薬ロット内で平均化され、例示的なアッセイシステム20で分析された例示的な固体媒体(10)のラボ内でのより悪い精度と比較した。
【0089】
図24は、表2400の図を示し、各スライド化学(UREA、TRIG、GLU、ALB、TBIL、ALTV、CREA、CHOL、CA、TP、ALKP、およびAST)についての2つの血清レベル、及び、従来のアッセイシステムを使用した先行技術のスライドと、例示的なアッセイシステム20を使用した例示的な固体媒体10と、についての対応する%CVを示す。図示されているように、24の異なる試験のうち、アッセイシステム20を使用した固体媒体10は、24の異なる試験のうちの20において、より低い%CVを有した。
図25は、グラフ2500を示し、アッセイシステム20を使用して分析された、既知の先行技術のスライドと本明細書に開示の例示的な固体媒体10との間の、異なるスライド化学試験のそれぞれについての%CV差を示す。
【0090】
図26~37は、例示的な固体媒体10及び既知の先行技術のスライドについての各試薬ロット番号についての結果を示すグラフを示す。グラフにおいて、固体媒体10は、3つのロットが提供され、「XT・・・ロット番号」と称される。加えて、先行技術スライドに関連するデータは、「ST・・・ フィールド由来」および「ST平均」と称される。それぞれのグラフは、血清(PVI)および(PVII)のそれぞれについての精度%CVを提供する。
【0091】
図26のグラフ2600は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のアッセイシステムによって分析された先行技術のスライドと比較して、TRIGスライド化学試薬のための低い%CVを有していたことを示す。
図27のグラフ2700は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のシステムによって分析された既知の先行技術のスライドと比較して、わずかに高い%CVを有するPVI血清のロット3を除き、CHOLスライド化学試薬についてより低い%CVを有していたことを示す。
図28のグラフ2800は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のアッセイシステムによって分析された先行技術のスライドと比較して、GLUスライド化学試薬について低い%CVを有していたことを示している。
図29のグラフ2900は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のアッセイシステムによって分析された先行技術のスライドと比較して、CAスライド化学試薬について低い%CVを有していたことを示す。
【0092】
更に、
図30のグラフ3000は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のアッセイシステムによって分析された先行技術のスライドと比較して、TPスライド化学試薬について低い%CVを有していたことを示す。
図31のグラフ3100は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のアッセイシステムによって分析された先行技術のスライドと比較して、ALBスライド化学試薬について低い%CVを有していたことを示す。
図32のグラフ3200は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のアッセイシステムによって分析された先行技術のスライドと比較して、ALVスライド化学試薬について低い%CVを有していたことを示す。
図33のグラフ3300は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のアッセイシステムによって分析された先行技術のスライドと比較して、ASTスライド化学試薬について低い%CVを有していたことを示す。
【0093】
図34のグラフ3400は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のアッセイシステムによって分析された先行技術のスライドと比較して、UREAスライド化学試薬について高い%CVを有していたことを示している。しかし、例示的なシステムと従来システムとの間の%CVの差は0.5%未満である。
図35のグラフ3500は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のアッセイシステムによって分析された先行技術のスライドと比較して、CREAスライド化学試薬について低い%CVを有していたことを示す。
図36のグラフ3600は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のアッセイシステムによって分析された先行技術のスライドと比較して、ALKPスライド化学試薬について、%CVがほぼ等しい、又は低いことを示す。
図37のグラフ3700は、アッセイシステム20によって分析された例示的な固体媒体10が、従来のアッセイシステムによって分析された先行技術のスライドと比較して、TBILスライド化学試薬について低い%CVを有していたことを示す。
【0094】
(結論)
本明細書に記載された現在好ましい実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者には明らかであることが理解されるべきである。そのような変更および修正は、本主題の精神及び範囲から逸脱することなく、またその意図された利点を減じることなく行うことができる。従って、そのような変更および修正は、添付の請求項によって含められることが意図される。
【0095】
他が示されていない限り、本明細書及び請求項で使用される成分の量、分子量、反応条件等の特性を表す全ての数値は、全ての場合において、「約」という用語によって修正されているものとして理解されるべきである。従って、反対が示されていない限り、以下の明細書および添付の請求項に記載された数値パラメータは、本開示によって得られるように求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への等価性の原則の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入を適用して解釈されるべきである。本開示の広い範囲を規定する数値範囲及びパラメータは近似値であるにも関わらず、特定の実施例に規定された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、本質的に、それぞれの試験測定において見出された標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含んでいる。
【0096】
本開示の文脈(特に以下の請求項の文脈)で使用される用語「a」、「an」、「the」、および類似の指示対象は、本明細書に別段の記載がない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を含むように解釈されるべきである。本明細書での値の範囲の限定は、範囲内に該当する各個別の値を個々に参照するための簡単な方法として機能することを単に意図する。本明細書に他が示されていない限り、個々の値は、それが個々に本明細書に引用されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書に他が示されていない限り、又は明確に文脈と矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例示的な、又は例示的な言語(例えば、「のような」)の使用は、単に開示をより明らかにすることを意図するものであり、主張する開示の範囲に制限を与えるものではない。本明細書中のいかなる言葉は、本開示の実施に不可欠な請求されていない要素を示すとして解釈されるべきではない。
【0097】
特許請求の範囲における用語「又は」の使用は、代替物のみを参照することを明示的に示さない限り、又は代替物が相互に排他的である場合を除き、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は、代替物のみ及び「及び/又は」を指す定義をサポートする。
【0098】
本明細書に開示される開示の代替要素または実施形態のグループ化は、制限として解釈されるべきではない。各グループの要素は、個別に、又はグループの他の要素又は本明細書で見出される他の要素との任意の組み合わせで参照され、主張され得る。便宜上及び/又は特許性の理由から、グループの1つ又は複数の要素がグループに含まれるか、又はグループから削除されてもよいことが予期される。そのような包含又は削除が生じる場合、本明細書では、修正されたグループを含むものとみなされ、従って、添付の請求項で使用されるすべてのマーカッシュグループの書面による説明を満たす。
【0099】
本開示の好ましい実施形態は、本開示を実施するために本発明者らに知られている最良の態様を含めて、本明細書に記載されている。当然ながら、これらの好ましい実施形態の変形例は、前述の説明を読むことで、当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者が、そのような変形例を適宜採用することを予期しており、本発明者は、本開示が、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施されることを意図している。従って、本開示は、適用される法により許容されるように、添付の特許請求の範囲に記載された主題の全ての改変及び均等物を含む。更に、本明細書に別段の記載がない限り、又は文脈から明確に矛盾する場合を除き、上述した要素のあらゆる可能な変形例の組み合わせが、本開示によって包含される。
【0100】
本明細書に開示された特定の実施形態は、請求項において、「からなる」または「本質的にからなる」という語を用いてさらに限定され得る。請求項中で使用される場合、出願時又は補正時に追加されたかを問わず、移行用語「からなる」は、請求項中で指定されていない任意の要素、ステップ、又は成分を除外する。「本質的にからなる」という移行用語は、請求項の範囲を、指定された材料又はステップ、且つ基本的及び新規な特性に実質的に影響を与えないものに限定する。本開示の請求される実施形態は、本明細書に本質的に又は明示的に記載され、そして可能にされる。
【0101】
更に、本明細書に開示された本開示の実施形態は、本開示の原理を例示するものであることが理解される。採用され得る他の改変は、本開示の範囲内である。従って、例示的であるが、これに限定されるものではなく、本開示の代替的な構成が、本明細書の教示に従って利用され得る。従って、本開示は、示され、記載されているものに正確に限定されない。
【0102】
[付記]
[付記1]
制御ユニットにおいて、反応セル上に位置する流体サンプルの少なくとも1つの画像を得るステップ、
前記制御ユニットを介して、前記少なくとも1つの画像に基づいて複数の微分データ点を含む微分データのセットを作成するステップ、
前記制御ユニットを介して、それぞれの前記複数の微分データ点のための画像勾配データ点を決定するステップ、
前記制御ユニットを介して、前記画像勾配データ点に基づいて、前記反応セル内の前記流体サンプルの標的位置を決定するステップ、及び、
前記制御ユニット及び関連するアッセイシステムを介して、前記反応セル内の前記流体サンプルの前記標的位置を使用して少なくとも1つのアッセイを実施するステップ、
を含む、少なくとも1つのアッセイを実施する方法。
【0103】
[付記2]
前記反応セルは、固体媒体、乾燥スライド、又は反応キュベットを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0104】
[付記3]
前記標的位置は、前記反応セル内の前記流体サンプルの均一領域のほぼ中心を含む、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の方法。
【0105】
[付記4]
複数の画像からの標的位置を使用して、複数のアッセイを実施するステップを含む、
ことを特徴とする付記1、2又は3に記載の方法。
【0106】
[付記5]
前記微分データ点は、前記少なくとも1つの画像における色に基づく一次微分である、
ことを特徴とする付記1、2、3又は4に記載の方法。
【0107】
[付記6]
前記流体サンプルの前記標的位置を決定するステップは、
(i)第2の画像勾配データ点よりも低い画像勾配を有する第1の画像勾配データ点を使用すること、又は、
(ii)第1の画像勾配データ点よりも高い画像勾配を有する第2の画像勾配データ点を除外すること、
の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする付記1、2、3、4又は5に記載の方法。
【0108】
[付記7]
前記制御ユニットを介して、前記少なくとも1つの画像から画像の欠陥を除去するステップ、を含む、
ことを特徴とする付記1又は6に記載の方法。
【0109】
[付記8]
前記少なくとも1つの画像は2次元画像である、
ことを特徴とする付記1又は7に記載の方法。
【0110】
[付記9]
前記制御ユニットを介して、前記標的位置周辺の読み取り領域を形成するステップを含み、少なくとも1つのアッセイを実施するステップは、前記読み取り領域を使用することを含む、
ことを特徴とする付記1又は8に記載の方法。
【0111】
[付記10]
前記流体サンプルの前記標的位置を決定するステップは、前記流体サンプルと結合する少なくとも1つの試薬から形成された、前記反応セル内の指示薬分子の指示薬反応を検出すること又は測定することを含む、
ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0112】
[付記11]
制御ユニットを介して、反応セル上に位置する流体サンプルの少なくとも1つの画像を得るステップ、
前記制御ユニットを介して、前記少なくとも1つの画像に基づいて、複数の微分データ点を含む微分データのセットを作成するステップ、
前記制御ユニットを介して、前記複数の微分データ点に基づき、前記流体サンプルの標的位置を決定するステップ、
前記制御ユニットを介して、前記標的位置の周辺の読み取り領域を形成するステップ、及び、
前記制御ユニット及び関連するアッセイシステムを介して、前記読み取り領域を使用して、少なくとも1つのアッセイを実施するステップ、
を含む、
少なくとも1つのアッセイを実施する方法。
【0113】
[付記12]
前記反応セルは、固体媒体、乾燥スライド、又は反応キュベットを含む、
ことを特徴とする付記11に記載の方法。
【0114】
[付記13]
前記読み取り領域は、少なくとも1つの画像内で、ほぼ円形を示す、
ことを特徴とする付記11又は12に記載の方法。
【0115】
[付記14]
前記読み取り領域は、前記少なくとも1つの画像で、ほぼ楕円形に表示される、
ことを特徴とする付記11、12又は13に記載の方法。
【0116】
[付記15]
前記制御ユニットを介して、それぞれの前記複数の微分データ点のための画像勾配データ点を決定するステップ、及び、前記画像勾配データ点に基づいて前記流体サンプルの前記標的位置を決定するステップ、を含む、
ことを特徴とする付記11、12、13又は14に記載の方法。
【0117】
[付記16]
前記制御ユニット及び前記関連するアッセイシステムを介して、複数のイメージに由来する標的位置を使用して、複数のアッセイを実施することを含む、
ことを特徴とする付記11又は15に記載の方法。
【0118】
[付記17]
前記少なくとも1つの画像は、2次元画像である、
ことを特徴とする付記11又は16に記載の方法。
【0119】
[付記18]
流体サンプルが位置された少なくとも1つの反応セルを受容するように構成されたスライド受容位置、
前記反応セル内に位置する前記流体サンプルの少なくとも1つの画像を得るために、前記スライド受容位置に対して置かれ及び配置される画像装置、及び、
(i)前記少なくとも1つの画像からの微分データ点を分析することで、前記反応セル内に位置する前記流体サンプル内の標的位置を決定する、及び(ii)前記標的位置に基づいて少なくとも1つのアッセイを実施するように構成された制御ユニット、
を備える、少なくとも1つのアッセイを実施するための装置。
【0120】
[付記19]
前記反応セルは、固体媒体、乾燥スライド、又は反応キュベットを含む、
ことを特徴とする付記18に記載の装置。
【0121】
[付記20]
前記固体媒体は、第2の反応セルを含む、
ことを特徴とする付記19に記載の装置。
【0122】
[付記21]
前記標的位置は、前記流体サンプルの均一領域のほぼ中心位置を含む、
ことを特徴とする付記18又は20に記載の装置。
【0123】
[付記22]
前記制御ユニットは、それぞれの複数の前記微分データ点のための画像勾配データ点を分析することで、前記標的位置を決定するように構成される、
ことを特徴とする付記18、19、20、又は21に記載の装置。
【0124】
[付記23]
(i)第2の画像勾配データ点よりも低い画像勾配を有する第1の画像勾配データ点を使用する、又は、(ii)第1の画像勾配データ点よりも高い画像勾配を有する第2の画像勾配データ点を除外する、の少なくとも1つによって、前記標的位置を決定するように、前記制御ユニットは構成される、
ことを特徴とする付記22に記載の装置。
【0125】
[付記24]
制御ユニットは、第2の画像勾配データ点よりも低い画像勾配を有する第1の画像勾配データ点のほぼ幾何学的中心で前記標的位置を決定するように、構成される、
ことを特徴とする付記22に記載の装置。
【0126】
[付記25]
前記制御ユニットは、複数の画像からの標的位置を使用して、複数の異なるアッセイを実施するように構成されている、
ことを特徴とする付記18又は25に記載の装置。
【0127】
[付記26]
前記反応セル内の前記流体サンプルの前記標的位置は、前記反応セル内で前記流体サンプル中の標的分子が試薬と反応するにつれて指示薬が表示のために発現するように指示薬反応が起こる位置に対応する、
ことを特徴とする付記18又は25に記載の装置。