(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】乾癬性関節炎に罹患している対象者の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20250204BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20250204BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20250204BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20250204BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20250204BHJP
C07K 16/24 20060101ALN20250204BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61P19/02
A61P17/04
G01N33/15 Z
C12N15/13 ZNA
C07K16/24
(21)【出願番号】P 2021561000
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(86)【国際出願番号】 IB2020053565
(87)【国際公開番号】W WO2020212874
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】201921015050
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】202021004422
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】503422000
【氏名又は名称】サン ファーマシューティカル インダストリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUN PHARMACEUTICAL INDUSTRIES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ガノーカー,キルチ・ウォーダマン
(72)【発明者】
【氏名】ラウト,アトゥール・マチュラダス
(72)【発明者】
【氏名】ラガヴァン,アニール
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,シウ-ロン
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/004436(WO,A2)
【文献】DEODHAR, A. et al.,Lancet,2018年,Vol. 391,pp. 2213-2224
【文献】MEASE, P.J. et al.,Ann Rheum Dis ,2018年,Vol. 77, Suppl. 2, OP0307欄,doi: https://doi.org/10.1136/annrheumdis-2018-eular.2140
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
G01N 33/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗IL-23p19抗体hum13B8-bを含む、乾癬性関節炎を治療する方法に用いるための医薬組成物であって、
前記抗体hum13B8-bが、
(i) 配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み;
ここで、前記方法は、それを必要とする患者に、抗体hum13B8-bを投与することを含み;そしてここで、
前記患者が、0週目に前記抗体の初回用量を皮下投与され、その後
少なくとも24週間、最大72時間にわたり12週間毎に後続用量を皮下投与される、
医薬組成物。
【請求項2】
前記初回用量および前記後続用量が同一である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記初回用量と前記後続用量とが異なる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記初回用量が100mgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記初回用量が200mgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記後続用量が100mgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記後続用量が200mgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記初回用量および前記後続用量が100mgである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記初回用量および前記後続用量が、200mgである、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記初回用量が100mgであり、前記後続用量が200mgである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記初回用量が200mgであり、前記後続用量が100mgである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記後続用量が、少なくとも36週間まで、12週間毎に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記後続用量が、少なくとも48週間まで、12週間毎に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記後続用量が、少なくとも60週間まで、12週間毎に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記後続用量が、少なくとも72週間まで、12週間毎に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
抗IL-23p19抗体hum13B8-bを含む、乾癬性関節炎を治療する方法に用いるための医薬組成物であって、
ここで、前記抗体hum13B8-bが、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み;
ここで、前記方法は、それを必要とする患者に0週目に前記抗体の初回用量を皮下投与し、その後少なくとも24週間、最大72時間にわたり12週間毎に後続用量を皮下投与することを含み;
そしてここで、前記治療が、圧痛関節数および腫脹関節数のベースライン値から少なくとも20%の改善をもたらす、
医薬組成物。
【請求項17】
前記治療がさらに、(i)疾患活動性の医師全般評価、(ii)疾患活動性の患者全般評価、(iii)患者疼痛評価、(iv)患者の自己評価による障害、および(v)急性期CRPから成る群から選択される5つのパラメータのうちの少なくとも3つについて、ベースラインから少なくとも20%の改善をもたらす、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
抗IL-23p19抗体hum13B8-bを含む、乾癬性関節炎を治療する方法に用いるための医薬組成物であって、
ここで、前記抗体hum13B8-bが、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み;
ここで、前記方法は、それを必要とする患者に0週目に前記抗体の初回用量を皮下投与し、その後少なくとも24週間、最大72時間にわたり12週間毎に後続用量を皮下投与することを含み;
そしてここで、前記治療が、圧痛関節数および腫脹関節数のベースライン値から少なくとも50%の改善をもたらす、
医薬組成物。
【請求項19】
前記治療がさらに、(i)疾患活動性の医師全般評価、(ii)疾患活動性の患者全般評価、(iii)患者疼痛評価、(iv)患者の自己評価による障害、および(v)急性期CRPから成る群から選択される5つのパラメータのうちの少なくとも3つについて、ベースラインから少なくとも50%の改善をもたらす、請求項
18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
抗IL-23p19抗体hum13B8-bを含む、乾癬性関節炎を治療する方法に用いるための医薬組成物であって、
ここで、前記抗体hum13B8-bが、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み;
ここで、前記方法は、それを必要とする患者に0週目に前記抗体の初回用量を皮下投与し、その後少なくとも24週間、最大72時間にわたり12週間毎に後続用量を皮下投与することを含み;
そしてここで、前記治療が、圧痛関節数および腫脹関節数のベースライン値から少なくとも70%の改善をもたらす、
医薬組成物。
【請求項21】
前記治療がさらに、(i)疾患活動性の医師全般評価、(ii)疾患活動性の患者全般評価、(iii)患者疼痛評価、(iv)患者の自己評価による障害、および(v)急性期CRPから成る群から選択される5つのパラメータのうちの少なくとも3つについて、ベースラインから少なくとも70%の改善をもたらす、請求項
20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法に用いるための組成物であって、
ここで、前記組成物は、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを含み;
ここで、前記方法は、患者に、0週目に抗体hum13B8-bの初回用量を皮下投与し、前記初回用量の後、
少なくとも24週間、最大72時間にわたり12週間毎に抗体hum13B8-bの後続用量を皮下投与することを含み;そしてここで、
24週目または52週目で、ACR20奏効値が少なくとも約40%であることが、前記抗体の有効性を示す、
組成物。
【請求項23】
24週目または52週目で、ACR20奏効値が少なくとも約50%であることが、前記抗体の有効性を示す、請求項
22に記載の組成物。
【請求項24】
24週目または52週目で、ACR20奏効値が少なくとも約60%であることが、前記抗体の有効性を示す、請求項
22に記載の組成物。
【請求項25】
乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法に用いるための組成物であって、
ここで、前記組成物は、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを含み;
ここで、前記方法は、患者に、0週目に
前記抗体の初回用量を皮下投与し、前記初回用量の後
、少なくとも24週間、最大72時間にわたり12週間毎に後続用量を皮下投与することを含み;そしてここで、
24週目または52週目でACR50奏効値が少なくとも約20%であることが、前記抗体の有効性を示す、
組成物。
【請求項26】
24週目または52週目で、ACR50奏効値が少なくとも約25%であることが、前記抗体の有効性を示す、請求項
25に記載の組成物。
【請求項27】
24週目または52週目で、ACR50奏効値が少なくとも約30%であることが、前記抗体の有効性を示す、請求項
25に記載の組成物。
【請求項28】
乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法に用いるための組成物であって、
ここで、前記組成物は、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを含み;
ここで、前記方法は、患者に、0週目に
前記抗体の初回用量を皮下投与し、前記初回用量の後
、少なくとも24週間、最大72時間にわたり12週間毎に後続用量を皮下投与することを含み;そしてここで、
24週目または52週目で、ACR70奏効値が少なくとも10%であることが、前記抗体の有効性を示す、
組成物。
【請求項29】
24週目または52週目で、ACR50奏効値が少なくとも約12%であることが、前記抗体の有効性を示す、請求項
28に記載の組成物。
【請求項30】
24週目または52週目で、ACR50奏効値が少なくとも約15%であることが、前記抗体の有効性を示す、請求項
28に記載の組成物。
【請求項31】
前記初回用量および前記後続用量が、同一である、請求項
22~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記初回用量および前記後続用量が異なる、請求項
22~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記初回用量が100mgである、請求項
22~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記初回用量が200mgである、請求項
22~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記後続用量が100mgである、請求項
22~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記後続用量が200mgである、請求項
22~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記初回用量および前記後続用量が100mgである、請求項
22~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記初回用量および前記後続用量が200mgである、請求項
22~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法に用いるための組成物であって、
ここで、前記組成物は、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを含み;
ここで、前記方法は、患者に、0週目に
前記抗体の初回用量を皮下投与し、その後
、少なくとも24週間、最大72時間にわたり12週間毎に後続用量を皮下投与することを含み;そしてここで、
52週目の乾癬の面積・重症度指数がベースライン値から少なくとも75%改善することが、前記抗IL-23p19抗体の有効性を示す、
組成物。
【請求項40】
52週目の乾癬の面積・重症度指数がベースライン値から少なくとも90%改善することが、前記抗体の有効性を示す、請求項
39に記載の組成物。
【請求項41】
52週目の乾癬の面積・重症度指数がベースライン値から少なくとも100%改善することが、前記抗体の有効性を示す、請求項
39に記載の組成物。
【請求項42】
乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法に用いるための組成物であって、
前記組成物は、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを含み;
ここで、前記方法は、患者に、0週目に
前記抗体の初回用量を皮下投与し、その後
、少なくとも24週間、最大72時間にわたり12週間毎に後続用量を皮下投与することを含み;そしてここで、
52週目でベースライン値からDAS28-CRPスコアが低下することが、前記抗体の有効性を示す、
組成物。
【請求項43】
抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法に用いるための組成物であって、
ここで、前記抗体hum13B8-bは、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、
(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み;
ここで、前記方法は、患者に、0週目に
前記抗体の初回用量を皮下投与し、その後
、少なくとも24週間、最大72時間にわたり12週間毎に後続用量を皮下投与することを含み;そしてここで、
52週目に最小疾患活動性(MDA)基準によって決定される、疾患活動性の統計的に有意な改善が、前記抗体の有効性を示す、
組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抗IL-23p19抗体hum13B8-bまたはその抗原結合断片、および乾癬性関節炎の治療におけるその使用に関する。一部の実施形態では、本開示は、乾癬性関節炎を治療する方法に関し、ここで治療は、圧痛関節数および腫脹関節数の両方のベースライン値からの改善をもたらす。一部の実施形態では、本開示は、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乾癬(PsO)は、世界人口の約1%~2%に影響を及ぼす慢性炎症性皮膚障害である。乾癬性関節炎(PsA)は、PsOに関連する固有の炎症性関節炎として定義されている。正確な有病率は不明であるが、推定値は人口の0.3%~1%でばらつきがあり、PsO患者中、炎症性関節炎が観察された有病率は6%~42%のばらつきがある。臨床的特徴は、典型的に、少関節型かつ軽度の疾患として存在する。ところが、時間経過と共にPsAは多関節となり、患者の少なくとも20%では重篤な疾患である。Gladman et al., Ann. Rheum. Dis. 64(Suppl II): ii14-ii17 (2005)。症状には、関節内と関節周辺の圧痛、疼痛および硬直、指炎、脊椎炎、かかとの疼痛および腫脹、爪の変形(変色、分裂、または点状陥凹)、ならびに全身疲労が含まれる。多関節疾患のあるPsA患者は、疾患進行のリスクがある。PsA患者では、臨床的および放射線学的な損傷の進行に加えて、健康関連の生活の質も低下する。Gladman et al. (2005)。
【0003】
PsAに対する現在の治療選択肢には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、副腎皮質ステロイド、局所治療(皮膚用)、光療法(皮膚用)、理学療法、および疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)が含まれる。PsAの治療に使用するために承認された2種類の生物製剤があり、より最近ではインターロイキン-12(IL-12)およびIL-23を標的とする薬剤もある。メトトレキサート(MTX)は、皮膚病態PsO用に米国食品医薬品局(FDA)で承認されているが、PsAに対する適応外の使用が頻繁に行われている。メトトレキサートは、複数の関節が関与しPsOを伴う一部の患者に症状緩和をもたらすことが報告されているが、PsAの疾患修飾剤としての使用を裏付ける科学的証拠はほとんどない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを、それを必要とする患者に投与することを含む、乾癬性関節炎を治療する方法が提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む。
【0005】
また、本明細書では、治療有効量の抗IL-23p19抗体hum13B8-bを、それを必要とする患者に投与することを含む、乾癬性関節炎を治療する方法が提供され、ここで、治療が圧痛関節数および腫脹関節数のベースライン値から少なくとも20%の改善をもたらし、また、抗体hum13B8-bが、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む。
【0006】
さらに、本明細書では、治療有効量の抗IL-23p19抗体hum13B8-bを、それを必要とする患者に投与することを含む、乾癬性関節炎を治療する方法が提供され、ここで、治療が圧痛関節数および腫脹関節数のベースライン値から少なくとも50%の改善をもたらし、また、抗体hum13B8-bが、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む。
【0007】
さらに、本明細書では、治療有効量の抗IL-23p19抗体hum13B8-bを、それを必要とする患者に投与することを含む、乾癬性関節炎を治療する方法が提供され、ここで、治療が圧痛関節数および腫脹関節数のベースライン値から少なくとも70%の改善をもたらし、また、抗体hum13B8-bが、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む。
【0008】
さらに、本明細書では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、24週目または52週目にACR20奏効値が少なくとも約40%であることが抗体の有効性を示す。
【0009】
さらに、本明細書では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、初回用量の後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、24週目または52週目にACR50奏効値が少なくとも約20%であることが抗体の有効性を示す。
【0010】
さらに、本明細書では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、初回用量の後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、24週目または52週目にACR70奏効値が少なくとも約10%であることが抗体の有効性を示す。
【0011】
一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が本明細書で提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、52週目の乾癬の面積・重症度指数がベースライン値から少なくとも75%改善することが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、52週目の乾癬の面積・重症度指数がベースライン値から少なくとも90%改善することが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、52週目の乾癬の面積・重症度指数がベースライン値から100%改善することが抗体の有効性を示す。
【0012】
一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が本明細書で提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、52週目でベースライン値からDAS28-CRPスコアが低下することが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、患者は、DAS28スコアが、1、2、3、4、5、6、7、8、または9単位減少することを経験しうる。
【0013】
一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が本明細書で提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、52週目に最小疾患活動性(MDA)基準によって決定される、疾患活動性の統計的に有意な改善が、抗体の有効性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、試験デザインを示す概略図である。略語:B/l=ベースライン;LTE=長期延長;mg=ミリグラム;PtGA=患者全般評価;q=毎;Tildra=チルドラキズマブ;Wk=週。
【
図2】
図2は、52週目までの治療期間全体および各時点での患者のACR20/50/70を示す。略語:Q4W:4週間毎、Q12W:12週間毎、TIL:チルドラキズマブ。
【
図3】
図3は、24週目までの治療期間全体および各時点での患者のACR20/50/70を示す。略語:PBO:プラセボ、Q4W:4週間毎、Q12W:12週間毎、TIL:チルドラキズマブ。*P <0.05;†P <0.001;P <0.0001対プラセボ。
【
図4】
図4は、PsA患者でのベースラインから52週目までの治療期間全体および各時点における最小疾患活動性の奏効率を示す。エラーバーは、95%信頼区間を表す。略語:PsA:乾癬性関節炎、Q4W:4週間毎、Q12W:12週間毎、TIL:チルドラキズマブ。
【
図5】
図5は、52週目までの治療期間全体および各時点におけるPASI 75/90/100奏効率を示す。患者の奏効率は、ベースラインでのBSAが3%以上として計算した。p値に対応する黒い記号を、欠測応答についての欠測値補完法を使用して分析した。P値は、欠測値補完データセットについてのCochran-Mantel-Haenszel検定(過去の抗TNFの使用および層別因子としてのベースライン重み)に基づく。*P <0.05;†P <0.001;P <0.0001対プラセボ。略語:BSA:体表面積、PASI:乾癬の面積・重症度指数、Q4W:4週間毎、Q12W:12週間毎、TIL:チルドラキズマブ。
【
図6】
図6は、治療期間全体および各時点におけるDAS28-CRP奏効率を示す。エラーバーは、95%信頼区間を表す。略語:Q4W:4週間毎、Q12W:12週間毎、TIL:チルドラキズマブ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、抗IL-23p19抗体hum13B8-bまたはその抗原結合断片、および乾癬性関節炎の治療におけるその使用に関する。一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを、それを必要とする患者に投与することを含む、乾癬性関節炎を治療する方法が本明細書で提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む。
【0016】
本開示に従って利用される場合、別途指示が無い限り、全ての技術用語および学術用語は、当業者によって一般的に理解される用語と同じ意味を有すると理解されるものとする。文脈上別途要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0017】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、抗原を認識し、特異的に結合する能力を有するタンパク質を指す。普通または従来的な哺乳類抗体は、四量体を含み、これは典型的に、二つの同一のポリペプチド鎖の対から成り、各対は一つの「軽鎖」(典型的に約25kDaの分子量を有する)と一つの「重鎖」(典型的に約50~70kDaの分子量を有する)から成る。本明細書で使用される「重鎖」および「軽鎖」という用語は、標的抗原に特異性を付与するのに十分な可変ドメイン配列を有する任意の免疫グロブリンポリペプチドを指す。それぞれの軽鎖および重鎖のアミノ末端部分は、典型的に、抗原認識を担う約100~110以上のアミノ酸の可変ドメインを含む。各鎖のカルボキシル末端部分は、典型的にはエフェクター機能を担う定常ドメインを画定する。したがって、天然起源抗体では、完全長重鎖免疫グロブリンポリペプチドは、可変ドメイン(VH)および三つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)、ならびにCH1とCH2との間のヒンジ領域とを含み、ここで、VHドメインはポリペプチドのアミノ末端にあり、CH3ドメインはカルボキシル末端にあり、および完全長軽鎖免疫グロブリンポリペプチドは、可変ドメイン(VL)および定常ドメイン(CL)を含み、ここで、VLドメインはポリペプチドのアミノ末端にあり、CLドメインはカルボキシル末端にある。
【0018】
完全長の軽鎖および重鎖内では、可変ドメインおよび定常ドメインは典型的には、約12個以上のアミノ酸から成る「J」領域によって結合され、重鎖はさらに約10個のアミノ酸から成る「D」領域も含む。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、典型的に抗原結合部位を形成する。天然起源抗体の可変ドメインは、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる、三つの超可変領域が結合した比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を典型的に呈する。各対の二つの鎖にあるCDRは典型的に、フレームワーク領域によって整列され、それにより特異的エピトープへの結合が可能となりうる。アミノ末端からカルボキシル末端まで、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの両方は典型的に、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4を含む。
【0019】
本明細書で使用される「抗原結合断片」という用語は、無傷の抗体の一部分を指し、および/または無傷の抗体の抗原決定可変ドメインを指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって実施されうることが知られている。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、ならびに抗体断片から形成されるFv断片、線形抗体、単鎖抗体、ダイアボディ、および多重特異性抗体が含まれるが、これに限定されない。
【0020】
特定の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bは、チルドラキズマブである。本明細書で使用される「チルドラキズマブ」という用語は、SCH 900222またはMK-3222としても知られる、ヒト化抗IL-23p19モノクローナル抗体を指す。チルドラキズマブは、IL-23ヘテロ二量体のp19タンパク質に特異的に結合するが、ヒトIL-12(IL-12/23p40およびIL12p35ヘテロ二量体)またはヒトIL-12/23p40には結合しない、高親和性(297ピコモル[pM])ヒト化免疫グロブリンG1/カッパ(IgG1/n)抗体である。
【0021】
特定の実施形態では、チルドラキズマブは、配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチド、および配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドを含み、これは米国特許第8,404,813号および第8,293,883号に開示されており、それぞれの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。その他の実施形態では、チルドラキズマブまたはその抗原結合断片は、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインを含み、ここで重鎖可変ドメインは、配列番号3~5のアミノ酸配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含み、また軽鎖可変ドメインは、配列番号6~8のアミノ酸配列のCDR1、CDR2、CDR3配列を含む。
【0022】
本明細書で使用される、「対象者」および「患者」という用語は、置き換えできる。一部の実施形態では、対象者および/または患者は哺乳類である。
【0023】
「障害」は、本開示の抗体を使用した治療による恩恵を受ける任意の状態である。「障害」および「状態」は、本明細書では置き換え可能に使用され、患者が争点の障害にかかりやすくなる病理学的状態を含む、慢性および急性の障害または疾患を含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療する」という用語は、治療的処置、ならびに予防措置または防止措置の両方を指す。治療を必要とする患者には、乾癬性関節炎患者、ならびに乾癬性関節炎に罹患しやすい患者、または乾癬性関節炎が予防されるべき患者が含まれる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「投与」または「投与する」という用語は、望ましい効果を達成するために任意の適切な経路によって抗体またはその断片を提供、接触、および/または送達することを指す。投与には、以下に限定されないが、経口投与、舌下投与、非経口投与(例えば、静脈内注射、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射、関節内注射、動脈内注射、滑液嚢内注射、胸骨内注射、髄腔内注射、病巣内注射、または頭蓋内注射)、経皮投与、局所的投与、口腔内投与、直腸投与、膣内投与、経鼻投与、点眼、吸入、および植込が含まれうる。
【0026】
一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bまたはその抗原結合断片は、2週間毎、4週間毎、6週間毎、8週間毎、10週間毎、または12週間毎に投与される。
【0027】
本明細書で使用される「0週目」という用語は、抗IL-23p19抗体hum13B8-bまたはその抗原結合断片が投与される最初の日を指す。
【0028】
一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bまたはその抗原結合断片が、2週間の治療期間にわたって、4週間の治療期間にわたって、6週間の治療期間にわたって、8週間の治療期間にわたって、12週間の治療期間にわたって、24週間の治療期間にわたって、36週間の治療期間にわたって、48週間の治療期間にわたって、60週間の治療期間にわたって、72週間の治療期間にわたって、または1年以上の治療期間にわたって投与される。
【0029】
抗IL-23p19抗体hum13B8-bまたはその抗原結合断片の治療用量は部分的に、患者の身体の大きさ(体重、体表面、または器官の大きさ)および状態(年齢および全身的健康)に応じて、部分的に変化することになる。一部の実施形態では、患者は、抗IL-23p19抗体hum13B8-bまたはその抗原結合断片の1回以上の用量を投与され、ここで、用量は、20mg、40mg、60mg、80mg、100mg、120mg、140mg、160mg、180mg、または200mgである。一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bまたはその抗原結合断片の初回用量および後続用量は同じである。一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bまたはその抗原結合断片の初回用量および後続用量は異なる。一部の実施形態では、初回用量は100mgである。一部の実施形態では、初回用量は200mgである。一部の実施形態では、後続用量は100mgである。一部の実施形態では、後続用量は200mgである。一部の実施形態では、初回用量および後続用量は100mgである。一部の実施形態では、初回用量および後続用量は200mgである。
【0030】
一部の実施形態では、治療有効量の抗IL-23p19抗体hum13B8-bを、それを必要とする患者に投与することを含む、乾癬性関節炎を治療する方法が本明細書で提供され、ここで、治療が圧痛関節数および腫脹関節数のベースライン値から少なくとも20%、少なくとも50%、または少なくとも70%の改善をもたらし、また、抗体hum13B8-bが、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含む。
【0031】
関節数については、PsA患者での5つの臨床パターン:遠位指節間関節(DIP)、非対称性少関節、対称性多関節、脊椎炎、および破壊性関節炎が記述されてきた。末梢関節は、圧痛および腫脹について評価される。PsAにおける末梢関節を評価するための検証された尺度はなく、使用される尺度は、当初は関節リウマチ(RA)患者の評価のために開発されたACR関節数である。ACR関節数は、圧痛については28、44、68、および78の範囲であり、腫脹については28、44、66、および76の範囲である(腫脹は股関節で感じることができず、股関節は腫脹の評価から除外される)。68個の圧痛関節数および66個の腫脹関節数から成るACR関節数は、PsAに罹患した関節の大部分を含み、来院時に容易に行うことができる。これには、顎関節、胸鎖関節、肩鎖関節、肩関節、肘関節、手関節(手根中手関節と手根間関節を1単位として含む)、中手指節関節(MCP)、近位指節間関節(PIP)、DIP、股関節、膝関節、距骨関節、横足根関節(距骨下関節を含む)、中足指節関節、および足指の指骨間関節(それぞれの足指の近位と遠位の関節が1単位としてカウントされる)が含まれる。
【0032】
米国リウマチ学会20/50/70応答基準(ACR20/50/70)は、圧痛関節(68)および腫脹関節(66)でのベースラインからの少なくとも20%、50%、または70%の改善を示す対象者の割合と、それに伴う、1)疾患活動性のPGA(VASを用いて測定)、2)疾患活動性のPtGA(VASを用いて測定)、3)患者疼痛評価(VASを用いて測定)、4)患者の自己評価による障害(HAQ-DIを用いて測定)および5)急性期C反応性タンパク質(CRP)といったその他5項目のうち3項目の改善率を評価する。
【0033】
C反応性タンパク質(CRP)または高感度C反応性タンパク質(hsCRP)は、急性期反応物であり、肝臓によって生成され、組織損傷、感染、または自己免疫疾患など、炎症のその他の原因の開始後、数時間以内に血液中に放出されるタンパク質である。顕著に増加したレベルが、活性の乾癬性関節炎患者で観察され、乾癬性関節炎病態のバイオマーカーの1つとしての役割を果たす。
【0034】
疾患活動性の医師全般評価(PGA)は、医師が視覚的アナログスケール(VAS)を用いて対象者のPsAの状態を評定する評価を指す。対象者は、対象者の現在の関節炎の状態に応じて評価される。VASは、「非常に良い」から「非常に悪い」の言葉による記述子で設定される。
【0035】
疾患活動性の患者全般評価(PtGA)は、対象者がVASを用いて、PsAの現在の全体的な状態(「関節炎が対象者に与える影響をすべて考慮し、平均して今日をどのように過ごしているか」)を評価するものを指し、「非常に良い」から「非常に悪い」の言葉による記述子で設定される。
【0036】
患者疼痛評価とは、対象者がVASを使用して現在の疼痛のレベル(「現在、関節炎による痛みの程度はどれくらいか?」)を評価するものである。対象者は、その時点での疼痛を、「痛みなし」から「最悪の痛み」の言葉による記述子で設定されたスケールで評価する。
【0037】
患者の自己評価による障害とは、対象者が過去1週間にわたって、HAQ-DI質問票を使用して、自身の全身的な障害を評価するものを指す。
【0038】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、(i)疾患活動性の医師全般評価、(ii)疾患活動性の患者全般評価、(iii)患者疼痛評価、(iv)患者の自己評価による障害、および(v)急性期CRPから成る群から選択される5つのパラメータのうちの少なくとも3つについて、ベースラインから少なくとも20%、少なくとも50%、または少なくとも70%の改善をもたらす。
【0039】
健康評価質問票を用いた機能障害指数(HAQ-DI)は、通常の機器を用いて患者の通常の能力を評価するように設計されている。患者にとって通常、HAQ-DIは自明であり、説明はほとんど必要とされない。HAQ-DIによって評価される8つのカテゴリーは、1)着衣および身繕い、2)起き上がる動作、3)食ベル動作、4)歩行、5)衛生、6)手を伸ばす動作、7)握力、および8)一般的な日常活動である。これらのカテゴリーのそれぞれについて、患者は、2つまたは3つの特定の活動を行うのにどの程度の困難が伴うかを報告する。障害の質問の時間枠は過去1週間であり、各質問は0(困難はない)、1(いくらか困難がある)、2(とても困難がある)、または3(動作できない)とスコア付けすることができる。これらの活動のための補助具および装置の使用も記録される。機器または補助具を使用すると、そのカテゴリーの最小スコアは2となる。障害指数のスコアは、8つのカテゴリースコアの平均である。カテゴリーの3つ以上(25%)がない場合、スケールは採点されない。2つ未満のカテゴリーがない場合、カテゴリーの合計を回答済みカテゴリーの数で割る。スコアが高いほど、障害は大きい。
【0040】
疾患活動性スコア28項目C反応性タンパク質(DAS28-CRP)は、肩関節、肘関節、手首関節、MCP(1~5)、PIP(1~5)、および膝関節を含む28関節について評価される疾患活動性の測定を指し、身体の各側面について14関節すべてが評価される。これは、腫脹および圧痛について28個の関節の検査、VASを使用した疼痛および全体的な状態の全般評価、ならびに炎症の血液マーカー(hsCRP)から導出される総合スコアである。
【0041】
Leedsダクティロメーター(dactylometer)は、指炎を評価するための検証されたツールを指す。ダクティロメーターは、罹患した指の付け根の外周を測定するために使用され、反対側の指と比較される。LDIは、この比較の尺度であり、指炎に罹患しているとみなされる関節の圧痛スコア(0=圧痛なし、1=圧痛がある、2=苦痛を伴う圧痛がある、および3=耐えられないほどの圧痛がある)を伴う(指炎は、反対側の指と比較して罹患した指の外周比の差が10%あることとして定義される)。LEIは、上腕骨の外側上顆、大腿骨の内側顆、およびアキレス腱付着部のそれぞれの2つの部位(左および右)の6つの部位における圧痛を検査する。それぞれの腱付着部炎の部位ごとに、圧痛および軟組織の腫脹に関して隣接する関節の評価が行われ、存在する場合は1点とする。LEIスコア範囲は0~6である。
【0042】
乾癬の面積・重症度指数(PASI)は、病変の平均的な発赤、厚み、および鱗状の度合い(それぞれ0~4段階で評価)の尺度であり、関与領域によって重み付けされる。乾癬の面積・重症度指数(PASI)スコア(PASI 75)が75%減少することが、乾癬のほとんどの臨床試験に対する主要評価項目の現在のベンチマークである。
【0043】
最小疾患活動性(MDA)は、疾患寛解の尺度である。圧痛関節数が≦1、腫脹関節数が≦1、乾癬の活性および重症度指数が≦1または体表面積が≦3、患者疼痛視覚的アナログスケール(VAS)スコアが≦15、患者の全般的疾患活動性VASスコアが≦20、健康評価質問票(HAQ)スコアが≦0.5、および圧痛付着部炎ポイントが≦1といった7つの基準中5つを満たした場合に、患者はMDAを達成したと分類される。
【0044】
本明細書で使用される「医薬組成物」または「治療用組成物」という用語は、患者に適切に投与された場合に望ましい治療効果を誘発することができる化合物または組成物を指す。本開示の一つの実施形態は、薬学的に許容可能な担体と、本開示の少なくとも一つの抗体の治療有効量とを含む医薬組成物を提供する。
【0045】
本明細書で使用される「薬学的に許容可能な担体」または「生理学的に許容可能な担体」という用語は、本開示の一つまたは複数の抗体の送達を達成または強化するのに好適な一つまたは複数の製剤材料を指す。
【0046】
チルドラキズマブを単独で含むか、または予防的薬剤、治療剤、および/または薬学的に許容可能な担体と組み合わせて含む医薬組成物が提供される。本明細書に提供されるチルドラキズマブを含む医薬組成物は、障害の診断、検出、または監視に、障害もしくはその一つまたは複数の症状の予防、治療、管理、または改善に、ならびに/または研究における使用を目的とするものであるが、これらに限定されない。単独で、または予防薬、治療剤、および/または薬学的に許容可能な担体と組み合わせた医薬組成物の製剤化は、当業者に公知である。
【0047】
一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が本明細書で提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、24週目または52週目にACR20奏効値が少なくとも約40%であることが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、24週目または52週目にACR20奏効値が少なくとも約50%であることが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、24週目または52週目にACR20奏効値が少なくとも約60%であることが抗体の有効性を示す。
【0048】
一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が本明細書で提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、24週目または52週目にACR50奏効値が少なくとも約20%であることが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、24週目または52週目にACR50奏効値が少なくとも約25%であることが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、24週目または52週目にACR50奏効値が少なくとも約30%であることが抗体の有効性を示す。
【0049】
一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が本明細書で提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、24週目または52週目にACR70奏効値が少なくとも約10%であることが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、24週目にACR70奏効値が少なくとも約12%であることが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、24週目または52週目にACR70奏効値が少なくとも約15%であることが抗体の有効性を示す。
【0050】
一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が本明細書で提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、52週目の乾癬の面積・重症度指数がベースライン値から少なくとも75%改善することが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、52週目の乾癬の面積・重症度指数がベースライン値から少なくとも90%改善することが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、52週目の乾癬の面積・重症度指数がベースライン値から100%改善することが抗体の有効性を示す。
【0051】
一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が本明細書で提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、52週目でベースライン値からDAS28-CRPスコアが低下することが抗体の有効性を示す。一部の実施形態では、患者は、DAS28スコアが、1、2、3、4、5、6、7、8、または9単位減少することを経験しうる。
【0052】
一部の実施形態では、抗IL-23p19抗体hum13B8-bを患者に投与することを含む、乾癬性関節炎の治療のための抗IL-23p19抗体の有効性を決定する方法が本明細書で提供されており、ここで、患者は、0週目に抗体の初回用量を皮下投与され、その後12週間毎に後続用量を皮下投与され、また、抗体hum13B8-bは、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドと、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチドとを含み、また、52週目に最小疾患活動性(MDA)基準によって決定される、疾患活動性の統計的に有意な改善が、抗体の有効性を示す。
【実施例】
【0053】
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態、およびそれらの様々な使用の例示である。それらは説明のみを目的として記載されており、本開示の範囲をいかなる方法でも制限していると解釈されるべきではない。
[実施例1]
【0054】
活性乾癬性関節炎を有する対象者におけるチルドラキズマブの投与
【0055】
1.試験のデザイン
活性PsA(NCT02980692)を罹患した対象者において、皮下注射により投与されたチルドラキズマブの4つの用量群の有効性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、反復投与、第2b相試験が実施された。活性PsAに罹患した対象者を、チルドラキズマブ200ミリグラム(mg)を52週目まで4週間毎(q)に皮下(SC)注射によって投与する群と、チルドラキズマブ200mgを52週目まで12週間毎にSC投与する群と、チルドラキズマブ100mgを52週目まで12週間毎にSC投与する群と、チルドラキズマブ20mgを0週目および12週目にSC投与した後、チルドラキズマブ200mgを24週目およびその後52週目まで12週間毎に投与する群と、プラセボを0週目、4週目、8週目、12週目、16週目、20週目、および24週目にSC投与した後、チルドラキズマブ200mgを12週間毎に投与し、その後52週目まで投与する群とに、1:1:1:1:1で無作為化した。すべての対象者は、4週間毎の注射を受け、12週間毎の実薬治療群に無作為化された対象は、4週目、8週目、16週目、20週目、28週目、32週目、40週目、および44週目にプラセボ注射を受けた。
【0056】
試験は、スクリーニング期間(-28日目から0日目)と、パート1、二重盲検プラセボ対照期間(1~24週目)と、パート2、二重盲検追跡期間(25週目から52週目)と、およびパート3、20週間の休薬期間(53週目から72週目)とで構成された。休薬期間中、対象者にはチルドラキズマブを投与しなかった。24週目で治療に対する臨床反応を示した対象者(腫脹関節数および圧痛関節数の両方においてベースラインから≧20%の改善、および疾患活動性の患者全般評価[PtGA]においてベースラインから≧20%の改善として定義される)は、試験のパート2に組み入れられた。パート1中にチルドラキズマブ(100mg q12週または200mg[q4およびq12週]の用量群)の投与を受けたが、24週目で治療に対する臨床反応を示さなかった対象者は、治験薬の投与を中止した。パート1中にプラセボまたは20mgのチルドラキズマブを投与され、24週目で治療に対する臨床反応を示さなかった対象者は、パート2に参加し、52週目まで12週間毎にチルドラキズマブ200mgを投与された。パート2の対象者は、24週目以降のいずれの時点でも十分な臨床的利益を得ていなかったため、治験薬投与を中止した。
【0057】
主要評価項目は、24週目および52週目の米国リウマチ学会反応基準(ACR20)奏効率において、ベースラインから20%の改善を達成した対象者の割合によって測定された。二次的有効性評価項目には、ACR50、ACR70の奏効率、およびACR奏効の構成要素と、バックグラウンド療法の調整を必要とする対象者の割合と、DAS28-CRP<3.2を達成した対象者の割合と、最小疾患活動性(MDA)基準を達成した対象者の割合と、Leeds指炎指数(LDI)およびLeeds腱付着部炎指数(LEI)のベースラインからの変化と、HAQ-DIのベースラインからの変化と、乾癬の面積・重症度指数(PASI)の75%/90%/100%の改善とが含まれる。チルドラキズマブおよび治療下で発生した有害事象(TEAE)のPKおよび免疫原性も評価した。
【0058】
2.試験対象集団の選択
対象集団は、18歳以上で、スクリーニング時およびベースライン時に、少なくとも6か月間にわたり、3つ以上の圧痛関節および3つ以上の腫脹関節の症状が認められるPsA(乾癬性関節炎の分類[CASPAR]基準による)と診断された対象者を含む。
【0059】
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が正常値上限(ULN)の2倍以上である場合、クレアチニンがULNの1.5倍以上の場合、血清直接ビリルビンが1.5mg/dL以上の場合、白血球(WBC)数が3.0×103/μL未満の場合、またはリウマチ因子検査結果が陽性である場合には、対象者は治験参加から除外された。
【0060】
表1は、選択された対象者に対する治療別の人口統計学的特性の概要を提供する。表2は、選択された対象者のベースライン疾患特性の概要を提供する。Nは、治療群解析対象集団の対象者数であり、nは、欠損値のない指定されたカテゴリーの対象者数である。ベースラインは、治験薬の初回用量前の最後の利用可能な値として定義される。
[表1] 治療の最大解析対象集団別の人口統計学的特性の概要
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
3.統計解析
主要有効性解析集団は、治験薬(IMP)を1回以上投与されたすべての無作為化された対象者として定義される、最大解析対象集団(FAS)であった。主要解析は、主要評価項目(24週目および52週目のACR20)に対する奏効率をプラセボと各活性用量群との間で比較するために、過去の抗TNF使用およびベースライン重みを層別因子として組み入れた、Cochran-Mantel-Haenszel検定に基づくものであった。さらに、プラセボと各々の活性用量群との間の奏効率の差および対応する信頼区間(CI)を推定した。早期参加中止者および24週目の時点でデータが不完全な他の任意の対象者を、主要評価項目(ACR20)に対する非レスポンダーとして分類した。16週目の時点で治療に対して極小さな反応(腫脹関節数または圧痛関節数のいずれかにおいてベースラインから<10%の改善として定義)のみを示した対象者については、最大許容1日用量に従って調整されたバックグラウンド投薬を受けた可能性があり、治験参加を続行した。これらの調整を必要とする任意の対象者を、主要解析のための非レスポンダーとしてカウントした。
【0065】
主要評価項目の分析は、FASに基づく。感度解析をPPASに基づいて実施した。
[実施例4]
【0066】
24週目までの結果
【0067】
24週目の対象者ステータスの概要を表3に示す。安全性解析対象集団は、IMPを1回以上投与された無作為化された全対象者から構成された。最大解析対象集団は、治験薬(IMP)を1回以上投与された無作為化された全対象者から構成された。治験実施計画書に適合した解析対象集団は、主要な有効性変数に対するデータの有効性に影響を与えうる治験実施計画書からの大きな逸脱なく、最大解析対象集団の全対象者から構成された。割合は、完了者および参加中止者(割合は、安全性解析対象集団における対象者数に基づく)を除き、無作為化された対象者数に基づくものであった。パート1は、ベースラインから24週目までの二重盲検プラセボ対照期間であり、パート2は、25週目から52週目までの二重盲検追跡期間である。
[表3] 24週目の対象者ステータスの概要
【0068】
24週目までのACR20奏効率のCochran-Mantel Haenszel(CMH)解析を表4に示す。 ACR20は、圧痛関節数および腫脹関節数のベースラインからの20%以上改善と、残り5つのACRコアセット尺度、すなわち患者および医師の全般評価、疼痛、障害、および急性期CRPのうち3つのベースラインからの20%以上の改善として計算された。パート1中にチルドラキズマブ(100mg q12週または200mg[q4およびq12週]の用量群)の投与を受けたが、24週目で治療に対する臨床反応を示さなかった対象者は、治験薬を中止し、治験実施計画書に従って休薬期間に入った。治験薬を中止した対象者の24週目の評価を、52週目/EOT時に記録した。両側95%のCIおよびp値は、抗TNF使用およびベースライン重みを層別因子としたCMH検定に基づく。Mantel-Fleiss基準が5未満の場合、対比較は、層別因子のレベル間で折り畳んだ後のフィッシャー直接検定に基づくものであった。これは、p値について“*”付きで記載される。ベースラインは、治験薬の初回用量前の最後の利用可能な値として定義される。
[表4] 24週目までのACR20奏効率のCMH解析(奏効なし=非奏効)-最大解析対象集団
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
表5は、24週目までのACR50奏効率のCMH分析を示す。ACR50は、圧痛関節数および腫脹関節数のベースラインからの50%以上改善と、残り5つのACRコアセット尺度、すなわち患者および医師の全般評価、疼痛、障害、および急性期CRPのうち3つのベースラインからの50%以上の改善として計算された。ACR50解析は、ACR20解析について上述した方法と同じ方法で実施された。
【0074】
パート1中にチルドラキズマブ(100mg q12週または200mg[q4およびq12週]の用量群)の投与を受けるが、24週目で治療に対する臨床反応を示さなかった対象者は、治験薬を中止し、治験実施計画書に従って休薬期間に入ることになる。治験薬を中止した対象者の24週目の評価が、52週目/EOT時に記録される。これらの評価は、24週目の来院の一部として報告される。両側95%のCIおよびp値は、抗TNF使用およびベースライン重みを層別因子としたCMH検定に基づく。Mantel-Fleiss基準が5未満の場合、対比較は、層別因子のレベル間で折り畳んだ後のフィッシャー直接検定に基づくものとなる。これは、p値について“*”付きで記載される。ベースラインは、治験薬の初回用量前の最後の利用可能な値として定義される。
[表5] 24週目までのACR50奏効率のCMH解析(応答なし=非応答)-最大解析対象集団
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
表6は、24週目までのACR70奏効率のCMH分析を示す。ACR70は、圧痛関節数および腫脹関節数のベースラインからの70%以上改善と、残り5つのACRコアセット尺度、すなわち患者および医師の全般評価、疼痛、障害、および急性期CRPのうち3つのベースラインからの70%以上の改善として計算された。ACR70解析は、ACR20解析について上述した方法と同じ方法で実施された。
[表6] 24週目までのACR70奏効率のCMH解析(応答なし=非応答)-最大解析対象集団
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
4. 52週目までの結果
スクリーニングされた患者500人中、391人が無作為化され、1回以上の薬剤投与を受けた。ACR20/50/70のレスポンダーの割合は、24週目まで、プラセボと比較して、チルドラキズマブで優れていた。24週目以降、レスポンダーは、52週目まで、チルドラキズマブ20→200mg Q12Wおよびプラセボ→200mg Q12Wでさらに増加した(
図2および3)。その他の有効性の結果を表7に示す。
【0085】
MDAは試験全体を通じて評価され、7つの基準中5つが満たされた場合にMDA反応を達成した。MDAに関連するベースライン疾患特性は、試験群間でほとんど変化しなかった(表8)。24週目までに、MDAの状態は、プラセボと比較して、チルドラキズマブを投与されたより多くの患者で有意に達成された(0%~7%に対して、0%から24%~39%、全群でp<0.02)。この割合は、プラセボからチルドラキズマブに切り替えた患者(47%)を含めて、52週目まで継続したチルドラキズマブ治療でさらに増加した(45%~64%)(
図4)。
【0086】
チルドラキズマブによる治療は、24週目でPASI 75/90/100レスポンダーの割合を、プラセボと比較して有意に増加させた。この割合はその後も増加し続け、52週目まで安定していた(
図5)。同様に、プラセボ→チルドラキズマブ200mg Q12Wから切り替えた患者、または24週目後にチルドラキズマブ20→200mg Q12Wから漸増した患者において、PASI 75/90/100奏効率は36週目まで増加し、52週目まで安定していた。チルドラキズマブ200mg Q12WのPASI 75の皮膚反応の改善は、早くも4週目の時点でプラセボと比較して有意であった。チルドラキズマブは、52週目まで許容可能な安全性プロファイルを有していた。
【0087】
DAS28-CRPは、PsAにおいて信頼性があることが示され、スコア<3.2を達成した患者は、レスポンダーとみなされた。ベースラインでは、疾患特性は治療群間で一貫しており、1.3%~7.7%の患者のDAS28-CRPスコアが3.2未満であった(表9)。24週目では、プラセボと比較して、すべてのチルドラキズマブ治療群にわたってDAS28-CRPの奏効率が増加した(
図6)。24週目以降、奏効率は上昇し続け、プラセボからチルドラキズマブに切り替えた患者を含め、52週目まで持続した。
【0088】
全体的に、ベースラインから→24週目/25週目→52週目で、それぞれ50.4%/39.9%、2.3%/1.0%の患者が、TEAEおよび重篤なAEを経験した。最も頻度の高いTEAEは、鼻咽頭炎(合計チルドラキズマブ群5.4%/4.2%対プラセボ6.3%/3.8%)および上気道感染(合計チルドラキズマブ群3.8%/4.2%対プラセボ1.3%/0.0%)であった。患者1名(0.3%)が高血圧のため24週間前に参加中止した。ベースラインから→24週目に、TIL 100mg Q12W群で1例の腎盂腎炎および尿路感染が報告され、TIL 20mg→200mg Q12W群で1例の慢性扁桃炎が報告された。25週目→52週目に、TIL 20mg→200mg Q12W群で1例の悪性腫瘍が報告された。死亡または主要有害心イベントはなかった。
[表7] 52週目における臨床有効性(W52)
[表8] 52週目の最小疾患活動性に関連するベースライン疾患特性
[表9] DAS28-CRPに関連するベースライン疾患特性
【0089】
5. 結論:
チルドラキズマブは、Q12Wk投与療法で、この臨床試験において驚くほど高い有効性を示した。チルドラキズマブは、ACR20、ACR50、およびACR70奏効基準によって測定される活性乾癬性関節炎の関節症状の治療において、プラセボよりも有意に有効であることが判明した。本開示は様々な実施形態に関して記載してきたが、当業者は変形および修正が生じることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、請求される本開示の範囲内にあるこうしたすべての同等な変形を網羅することが意図される。さらに、本明細書で使用されるセクション見出しは構成上の目的のみであり、記載される主題を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0090】
本明細書に記述された各実施形態は、反対に明確に示されない限り、任意の他の実施形態または実施形態と組み合わされてもよい。特に、好ましいまたは有利であると示される任意の特徴または実施形態は、反対に明確に示されない限り、好ましいまたは有利であると示される任意の他の特徴または実施形態と組み合わせてもよい。
【配列表】