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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】樹脂シート
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20250204BHJP
   C08L 79/00 20060101ALI20250204BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20250204BHJP
【FI】
C08J5/18 CEZ
C08L79/00 B
C08K3/013
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021571254
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2021001207
(87)【国際公開番号】W WO2021145416
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2020005184
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020126347
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 康貴
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】上村 和恵
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-108496(JP,A)
【文献】特開2013-258296(JP,A)
【文献】特開2007-224060(JP,A)
【文献】特開2019-182932(JP,A)
【文献】特開2016-088992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/18
C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)熱硬化性成分及び(C)熱伝導性フィラーを含有する樹脂組成物から形成される樹脂シートであって、
前記(A)熱硬化性成分が、(A1)第1のマレイミド樹脂、(A2)第2のマレイミド樹脂、及び(A3)第3のマレイミド樹脂を含有し、
前記(A1)第1のマレイミド樹脂が、温度25℃において固体であり、かつ、1分子中に2つ以上のマレイミド基を有し、少なくとも1対の2つのマレイミド基を連結する結合基が、主鎖に炭素数4以上のアルキレン基を有するマレイミド樹脂であり、
前記(A2)第2のマレイミド樹脂が、下記一般式(1)又は下記一般式(4)で表され、
前記(A3)第3のマレイミド樹脂が、温度25℃において液状であり、かつ、1分子中に2つ以上のマレイミド基を有し、少なくとも1対の2つのマレイミド基を連結する結合基が、主鎖に炭素数4以上のアルキレン基を有するマレイミド樹脂であり、
前記(A1)第1のマレイミド樹脂と前記(A3)第3のマレイミド樹脂とは、化学構造が共通し、
前記(A1)第1のマレイミド樹脂が、下記一般式(A1)で表され、
前記(A3)第3のマレイミド樹脂が、下記一般式(7)で表され、
前記樹脂シートの熱硬化後の熱拡散率が1.0×10-6/s以上であり、
前記樹脂シートを、前記樹脂シートの表面と垂直方向に切断した断面(P)のうち、一辺が前記樹脂シートの厚さの4倍の正方形で囲まれ、かつ前記樹脂シートの2つ面を含む領域(P1)を観察した場合に、下記数式(F1)で示される条件を満たす、
樹脂シート。
0.25≦Ld/Lt≦1 ・・・(F1)
Ld:前記(C)熱伝導性フィラーのうちの断面直径の垂直方向長さが最大のものの、前記垂直方向における長さ
Lt:前記樹脂シートの前記垂直方向における長さ
【化1】
前記一般式(A1)において、n 11 は、0以上の整数であり、n 11 の平均値は、0.5以上5以下であり、L 11 及びL 12 は、それぞれ独立に、炭素数4以上の置換もしくは無置換のアルキレン基であり、このアルキレン基において、少なくとも1つの-CH -は、-CH -O-又は-O-CH -で置き換えられていてもよく、また、アルキレン基の水素が置換されている場合、置換基は、炭素数1以上14以下のアルキル基、又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基であり、さらに、これらの置換基同士は、結合して、脂環構造又は複素環構造を形成していてもよく、X 11 は、それぞれ独立に、炭素数4以上の置換もしくは無置換のアルキレン基(少なくとも1つの-CH -が-CH -O-又は-O-CH -で置き換えられているものを含む。)を有しない基である。
【化2】
前記一般式(1)において、kは、1以上の整数であり、kの平均値は、1以上10以下であり、m1及びm2は、それぞれ独立に、1以上2以下の整数であり、ただし、m1及びm2の合計は、3以下であり、n1及びn2は、それぞれ独立に、0以上4以下の整数であり、R 及びR は、それぞれ独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基であり、複数のR は、互いに同一であるか又は異なり、複数のR は、互いに同一であるか又は異なる。
【化3】
前記一般式(4)において、R からR は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であり、L は、炭素数1以上3以下のアルキレン基であり、L 及びL は、それぞれ独立に、炭素数1以上2以下のアルキレン基又は炭素数6以上10以下のアリーレン基であり、p及びqは、それぞれ独立に0又は1であり、ただし、L 、L 及びL のうち、アルキレン基であるものの炭素数の合計は、3以下である。
【化4】
前記一般式(7)において、nは、0以上の整数であり、nの平均値は、0.5以上5以下であり、L 及びL は、それぞれ独立に、炭素数4以上の置換もしくは無置換のアルキレン基であり、このアルキレン基において、少なくとも1つの-CH -は、-CH -O-又は-O-CH -で置き換えられていてもよく、また、アルキレン基の水素が置換されている場合、置換基は、炭素数1以上10以下のアルキル基、又は炭素数1以上10以下のアルコキシ基であり、さらに、これらの置換基同士は、結合して、脂環構造を形成していてもよく、Xは、それぞれ独立に、炭素数4以上の置換もしくは無置換のアルキレン基(少なくとも1つの-CH -が-CH -O-又は-O-CH -で置き換えられているものを含む。)を有しない基である。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂シートにおいて、
前記(A)熱硬化性成分が、さらに(A4)トリアジン骨格を有する化合物を含有する、
樹脂シート。
【請求項3】
請求項に記載の樹脂シートにおいて、
前記(A4)トリアジン骨格を有する化合物が、トリアジン骨格を有するイミダゾール化合物である、
樹脂シート。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の樹脂シートにおいて、
前記(A)熱硬化性成分が、さらに(A5)アリル樹脂を含有する、
樹脂シート。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の樹脂シートにおいて、
前記樹脂組成物が、さらに(C1)窒化ホウ素粒子を含有する、
樹脂シート。
【請求項6】
請求項に記載の樹脂シートにおいて、
前記樹脂組成物が、さらに(C2)アルミナ粒子を含有する、
樹脂シート。
【請求項7】
請求項の樹脂シートにおいて、
前記(C1)窒化ホウ素粒子及び(C2)アルミナ粒子の含有量の合計は、樹脂組成物の固形分の全量基準で、78.5質量%以上である、
樹脂シート。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の樹脂シートにおいて、
半導体素子を封止すること、或いは、前記半導体素子と他の電子部品との間に介在させることに用いられる、
樹脂シート。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の樹脂シートにおいて、
ヒートシンクと電子部品との間に介在させることに用いられる、
樹脂シート。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の樹脂シートにおいて、
化合物半導体を用いた半導体素子を封止すること、或いは、前記化合物半導体を用いた半導体素子と他の電子部品との間に介在させることに用いられる、
樹脂シート。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の樹脂シートであって、
前記樹脂シートが、前記樹脂組成物の塗膜である、
樹脂シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートに関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体に用いる樹脂シートに、アルミナ等の高熱伝導性の材料を配合することが検討されている。特許文献1には、アルミナフィラーを含有するエポキシ樹脂組成物のシート状成形体である樹脂シートを、パワー半導体装置に適用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-160440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、200℃以上の高温動作が想定されるパワー半導体素子に適用するにあたり、特許文献1に記載の樹脂組成物は、耐熱性が十分とはいえなかった。また、熱伝導性のさらなる向上と、樹脂シートを被着体に強固に接着させることも課題であった。
【0005】
本発明は、熱硬化後の耐熱性、熱伝導性、及び接着性を向上させることができる樹脂シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る樹脂シートは、(A)熱硬化性成分及び(C)熱伝導性フィラーを含有する樹脂組成物から形成される樹脂シートであって、前記(A)熱硬化性成分が、マレイミド樹脂を含有し、前記樹脂シートの熱硬化後の熱拡散率が1.0×10-6/s以上であり、前記樹脂シートを、前記樹脂シートの表面と垂直方向に切断した断面(P)のうち、一辺が前記樹脂シートの厚さの4倍の正方形で囲まれ、かつ前記樹脂シートの2つ面を含む領域(P1)を観察した場合に、下記数式(F1)で示される条件を満たすことを特徴とする。
0.25≦Ld/Lt≦1 ・・・(F1)
Ld:前記(C)熱伝導性フィラーのうちの断面直径の垂直方向長さが最大のものの、前記垂直方向における長さ
Lt:前記樹脂シートの前記垂直方向における長さ
【0007】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、前記(A)熱硬化性成分が、(A1)第1のマレイミド樹脂を含有し、前記(A1)第1のマレイミド樹脂が、温度25℃において固体であり、かつ、1分子中に2つ以上のマレイミド基を有し、少なくとも1対の2つのマレイミド基を連結する結合基が、主鎖に4つ以上のメチレン基を有するマレイミド樹脂であることが好ましい。
【0008】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、前記(A)熱硬化性成分が、さらに(A4)トリアジン骨格を有する化合物を含有することが好ましい。
【0009】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、前記(A4)トリアジン骨格を有する化合物が、トリアジン骨格を有するイミダゾール化合物であることが好ましい。
【0010】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、前記(A)熱硬化性成分が、さらに(A5)アリル樹脂を含有することが好ましい。
【0011】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、前記樹脂組成物が、さらに(C1)窒化ホウ素粒子を含有することが好ましい。
【0012】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、前記樹脂組成物が、さらに(C2)アルミナ粒子を含有することが好ましい。
【0013】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、前記(C1)窒化ホウ素粒子及び(C2)アルミナ粒子の含有量の合計は、樹脂組成物の固形分の全量基準で、78.5質量%以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、半導体素子を封止すること、或いは、前記半導体素子と他の電子部品との間に介在させることに用いられることが好ましい。
【0015】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、ヒートシンクと電子部品との間に介在させることに用いられることが好ましい。
【0016】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、化合物半導体を用いた半導体素子を封止すること、或いは、前記化合物半導体を用いた半導体素子と他の電子部品との間に介在させることに用いられることが好ましい。
【0017】
本発明の一態様に係る樹脂シートにおいて、前記樹脂シートが、前記樹脂組成物の塗膜であることが好ましい。
【0018】
本発明の一態様によれば、熱硬化後の耐熱性、熱伝導性、及び接着性を向上させることができる樹脂シート及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る樹脂シートの断面を示す概略図である。
図2】本実施形態に係る積層体の断面概略図である。
図3】実施例4で得られた樹脂シートの断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[樹脂組成物]
まず、本実施形態に係る樹脂シートを形成するための樹脂組成物について説明する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)熱硬化性成分を含有する。本実施形態に係る(A)熱硬化性成分は、マレイミド樹脂を含有する。また、本実施形態に係る(A)熱硬化性成分は、(A1)第1のマレイミド樹脂を含有することが好ましい。
【0021】
((A)熱硬化性成分)
(A)熱硬化性成分(以下、単に「(A)成分」と称する場合がある)は、加熱を受けると三次元網状化し、被着体を強固に接着する性質を有する。本実施形態における(A)熱硬化性成分は、前述のとおり、(A1)第1のマレイミド樹脂(以下、単に「(A1)成分」と称する場合がある)を含有することが好ましい。
【0022】
・マレイミド樹脂
本実施形態におけるマレイミド樹脂は、1分子中に2つ以上のマレイミド基を含むマレイミド樹脂であれば、特に限定されない。本実施形態に係る樹脂組成物がマレイミド樹脂を含有することで、本実施形態に係る樹脂シートの熱硬化後の耐熱性が向上する。
【0023】
本実施形態におけるマレイミド樹脂としては、(A1)第1のマレイミド樹脂、(A2)第2のマレイミド樹脂、及び(A3)第3のマレイミド樹脂等が挙げられる。
【0024】
(A1)第1のマレイミド樹脂
本実施形態における(A1)第1のマレイミド樹脂は、1分子中に2つ以上のマレイミド基を有し、少なくとも1対の2つのマレイミド基を連結する結合基が、主鎖に4つ以上のメチレン基を有するマレイミド樹脂である。
ここで、2つのマレイミド基を連結する結合基は、硬化物の柔軟性の観点から、主鎖に6つ以上のメチレン基を有することが好ましく、主鎖に8つ以上のメチレン基を有することがより好ましく、主鎖に10以上のメチレン基を有することが特に好ましい。また、これらのメチレン基は、連結して、炭素数4以上のアルキレン基となっていることがより好ましい。このアルキレン基において、少なくとも1つの-CH-は、-CH-O-又は-O-CH-で置き換えられていてもよい。
また、2つのマレイミド基を連結する結合基は、硬化物の柔軟性の観点から、1つ以上の側鎖を有することが好ましい。この側鎖としては、アルキル基及びアルコキシ基等が挙げられる。さらに、2つ以上の側鎖がある場合には、側鎖同士が結合して、脂環構造を形成していてもよい。
【0025】
また、本実施形態における(A1)第1のマレイミド樹脂は、温度25℃において固体であることが必要である。(A1)第1のマレイミド樹脂が、温度25℃において固体であることで、(A1)成分が熱硬化性成分としてだけでなく、バインダー成分としても働くようになると推察される。(A1)成分は軟化しやすいため、バインダー成分を(A1)成分で代替することで硬化前の樹脂シートの、被着体表面の凹凸への追従性が向上し、これにより、接着性を維持しつつ、熱伝導性フィラーの増量が可能となる。したがって、(A1)成分の使用により、樹脂シートの熱伝導性及び接着性をともに向上できる。また、(A1)成分は他のマレイミド樹脂を用いた場合の相溶性も高い。
【0026】
本実施形態における(A1)第1のマレイミド樹脂は、硬化物の柔軟性及び耐熱性の観点から、下記一般式(A1)で表されることが好ましい。
【0027】
【化1】
【0028】
前記一般式(A1)において、n11は、0以上の整数であり、1以上10以下の整数であることが好ましく、1以上5以下の整数であることがより好ましい。また、n11の平均値は、0.5以上5以下であることが好ましく、1以上2以下であることがより好ましい。
11及びL12は、それぞれ独立に、炭素数4以上の置換もしくは無置換のアルキレン基であり、このアルキレン基において、少なくとも1つの-CH-は、-CH-O-又は-O-CH-で置き換えられていてもよい。このアルキレン基の炭素数は、硬化物の柔軟性の観点から、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、10以上30以下であることが特に好ましい。また、アルキレン基の水素が置換されている場合、置換基は、炭素数1以上14以下のアルキル基、又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基である。さらに、これらの置換基同士は、結合して、脂環構造又は複素環構造を形成していてもよい。
11は、それぞれ独立に、炭素数4以上の置換もしくは無置換のアルキレン基(少なくとも1つの-CH-が-CH-O-又は-O-CH-で置き換えられているものを含む。)を有しない基であり、さらに、フタルイミド基を有する2価の基であることが好ましい。なお、フタルイミド基には、フタルイミドから誘導される基も含まれる。X11として、具体的には、例えば、下記構造式(A1-1)で表される基が挙げられる。
【0029】
【化2】
【0030】
本実施形態における前記一般式(A1)で表されるマレイミド樹脂としては、具体的には、例えば、下記一般式(A1-1-1)で表される化合物が挙げられる。この化合物は、温度25℃において固体である。
【0031】
【化3】
【0032】
前記一般式(A1-1-1)において、n11は、1以上5以下の整数である。
前記一般式(A1-1-1)で表されるマレイミド樹脂の製品としては、信越化学工業株式会社製の「SLK-3000」等が挙げられる。
【0033】
本実施形態において、マレイミド樹脂中の(A1)成分の含有量は、マレイミド樹脂の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除くマレイミド樹脂の不揮発分の量を100質量%としたとき)で、10質量%以上であることが好ましく、17.5質量%以上であることがより好ましく、42.5質量%以上であることが特に好ましい。マレイミド樹脂中の(A1)成分の含有量がこのような範囲にあることで、樹脂シート中における熱伝導性フィラー量の更なる増量が可能となる。マレイミド樹脂中の(A1)成分の含有量は、マレイミド樹脂の固形分の全量基準で、100質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
【0034】
また、同様の観点から、マレイミド樹脂中の(A1)成分の含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く樹脂組成物の不揮発分の全量を100質量%としたとき)で、2.5質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましい。マレイミド樹脂中の(A1)成分の含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準で、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましい。
【0035】
(A2)第2のマレイミド樹脂
本実施形態における樹脂組成物が含有する(A)熱硬化性成分は、樹脂シートの硬化物の250℃における貯蔵弾性率E’を上昇させる観点から、さらに(A2)前記(A1)第1のマレイミド樹脂とは化学構造が異なる第2のマレイミド樹脂を含有していてもよい。本実施形態における(A2)第2のマレイミド樹脂(以下、単に「(A2)成分」と称する場合がある)は、前記(A1)第1のマレイミド樹脂とは化学構造が異なるものであり、かつ1分子中に2つ以上のマレイミド基を含むマレイミド樹脂であれば、特に限定されない。すなわち、(A2)第2のマレイミド樹脂は、1分子中に2つ以上のマレイミド基を有し、いずれの2つのマレイミド基を連結する結合基も、主鎖に4つ以上のメチレン基を有しないマレイミド樹脂である。樹脂シートが(A2)成分を含有することで、樹脂シートの硬化後の凝集性が向上する。このため、硬化後の樹脂シートの凝集破壊に起因した接着性低下を防止することができる。
【0036】
本実施形態における(A2)第2のマレイミド樹脂は、耐熱性の観点から、例えば、ベンゼン環を含むことが好ましく、ベンゼン環にマレイミド基が連結した構造を含むことがより好ましい。また、マレイミド化合物は、ベンゼン環にマレイミド基が連結した構造体を2つ以上備えていることが好ましい。
【0037】
本実施形態における(A2)第2のマレイミド樹脂は、1分子中に2つ以上のマレイミド基及び1つ以上のビフェニル骨格を含むマレイミド樹脂(以下、単に「ビフェニルマレイミド樹脂」と称する場合がある)であることが好ましい。
【0038】
本実施形態における(A2)第2のマレイミド樹脂は、耐熱性及び接着性の観点から、下記一般式(1)で表されることが好ましい。
【0039】
【化4】
【0040】
前記一般式(1)において、kは、1以上の整数であり、kの平均値は、1以上10以下であることが好ましく、1以上5以下であることがより好ましく、1以上3以下であることがさらに好ましい。m1及びm2は、それぞれ独立に、1以上2以下の整数であり、1であることがより好ましい。ただし、m1及びm2の合計は、3以下である。n1及びn2は、それぞれ独立に、0以上4以下の整数であり、0以上2以下の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基であり、炭素数1以上3以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。複数のRは、互いに同一であるか又は異なる。複数のRは、互いに同一であるか又は異なる。
【0041】
本実施形態における前記一般式(1)で表されるマレイミド樹脂としては、具体的には、例えば、下記一般式(2)又は下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化5】
【0043】
【化6】
【0044】
前記一般式(2)及び(3)において、kは、前記一般式(1)のkと同様である。前記一般式(2)において、n1、n2、R及びRは、前記一般式(1)のn1、n2、R及びRと同様である。
前記一般式(3)で表されるマレイミド樹脂の製品としては、日本化薬株式会社製の「MIR-3000-70」等が挙げられる。
【0045】
また、本実施形態における(A2)第2のマレイミド樹脂は、1分子中に2つ以上のマレイミド基及び2つ以上のフェニレン基を含むマレイミド樹脂であることも好ましい。溶剤への溶解性を高くし、シート形成性を向上させる観点から、フェニレン基上に置換基を有することが好ましい。置換基としては、例えば、メチル基、及びエチル基等のアルキル基、及びアルキレン基等が挙げられる。
また、本実施形態における(A2)第2のマレイミド樹脂は、シート形成性の観点から、マレイミド基とフェニレン基との間にエーテル結合を有するマレイミド樹脂が好ましい。
【0046】
前記1分子中に2つ以上のマレイミド基及び2つ以上のフェニレン基を含むマレイミド樹脂は、例えば、下記一般式(4)で表される。
【0047】
【化7】
【0048】
前記一般式(4)において、RからRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であり、Lは、炭素数1以上3以下のアルキレン基であり、L及びLは、それぞれ独立に、炭素数1以上2以下のアルキレン基又は炭素数6以上10以下のアリーレン基であり、p及びqは、それぞれ独立に0又は1である。ただし、L、L及びLのうち、アルキレン基であるものの炭素数の合計は、3以下である。
【0049】
本実施形態における前記一般式(4)で表されるマレイミド樹脂は、具体的には、例えば、下記一般式(5)又は下記一般式(6)で表される。
【0050】
【化8】
【0051】
【化9】
【0052】
前記一般式(5)及び(6)において、Lは、炭素数1以上3以下のアルキレン基である。
前記一般式(5)において、RからRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基である。
【0053】
(A3)第3のマレイミド樹脂
本実施形態における樹脂組成物が含有する(A)熱硬化性成分は、樹脂シートの熱硬化後のシート強度を維持し易くする観点から、さらに(A3)前記(A1)第1のマレイミド樹脂とは性状が異なる第3のマレイミド樹脂を含有していてもよい。本実施形態における(A3)第3のマレイミド樹脂(以下、単に「(A3)成分」と称する場合がある)は、前記(A1)第1のマレイミド樹脂とは化学構造が共通するものの、性状が異なり、温度25℃において液状であるものである。樹脂シートが(A3)成分を含有することで、硬化後の樹脂シートに柔軟性を付与することができ、脆化が抑制され、耐衝撃性等の強度が向上する。
【0054】
すなわち、本実施形態における(A3)第3のマレイミド樹脂とは、1分子中に2つ以上のマレイミド基を有し、少なくとも1対の2つのマレイミド基を連結する結合基が、主鎖に4つ以上のメチレン基を有するスペーサー基含有マレイミド樹脂であって、温度25℃において液状であるものである。(A3)第3のマレイミド樹脂としてスペーサー基含有マレイミド樹脂を用いることで、樹脂シートの熱硬化後のシート強度を維持し易くなる。
ここで、2つのマレイミド基を連結する結合基は、樹脂シートの柔軟性の観点から、主鎖に6つ以上のメチレン基を有することが好ましく、主鎖に8つ以上のメチレン基を有することがより好ましく、主鎖に10以上のメチレン基を有することが特に好ましい。また、これらのメチレン基は、連結して、炭素数4以上のアルキレン基となっていることがより好ましい。このアルキレン基において、少なくとも1つの-CH-は、-CH-O-又は-O-CH-で置き換えられていてもよい。
また、2つのマレイミド基を連結する結合基は、樹脂シートの柔軟性の観点から、1つ以上の側鎖を有することが好ましい。この側鎖としては、アルキル基及びアルコキシ基等が挙げられる。さらに、2つ以上の側鎖がある場合には、側鎖同士が結合して、脂環構造又は複素環構造を形成していてもよい。
【0055】
本実施形態におけるスペーサー基含有マレイミド樹脂は、樹脂シートの柔軟性及び耐熱性の観点から、下記一般式(7)で表されることが好ましい。
【0056】
【化10】
【0057】
前記一般式(7)において、nは、0以上の整数であり、1以上10以下の整数であることが好ましく、1以上5以下の整数であることがより好ましい。また、nの平均値は、0.5以上5以下であることが好ましく、1以上2以下であることがより好ましい。
及びLは、それぞれ独立に、炭素数4以上の置換もしくは無置換のアルキレン基であり、このアルキレン基において、少なくとも1つの-CH-は、-CH-O-又は-O-CH-で置き換えられていてもよい。このアルキレン基の炭素数は、樹脂シートの柔軟性の観点から、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、10以上30以下であることが特に好ましい。また、アルキレン基の水素が置換されている場合、置換基は、炭素数1以上10以下のアルキル基、又は炭素数1以上10以下のアルコキシ基である。さらに、これらの置換基同士は、結合して、脂環構造を形成していてもよい。
Xは、それぞれ独立に、炭素数4以上の置換もしくは無置換のアルキレン基(少なくとも1つの-CH-が-CH-O-又は-O-CH-で置き換えられているものを含む。)を有しない基であり、さらに、フタルイミド基を有する2価の基であることが好ましい。なお、フタルイミド基には、フタルイミドから誘導される基も含まれる。Xとして、具体的には、例えば、下記構造式(7-1)又は下記一般式(7-2)で表される基が挙げられる。
【0058】
【化11】
【0059】
前記一般式(7-2)において、Y及びYは、それぞれ独立に、水素、メチル基又はエチル基であり、メチル基であることが好ましい。
本実施形態における前記一般式(7)で表されるマレイミド樹脂としては、具体的には、例えば、下記一般式(7-1-1)又は下記一般式(7-2-1)で表される化合物が挙げられる。
【0060】
【化12】
【0061】
前記一般式(7-1-1)及び(7-2-1)において、nは、1以上5以下の整数である。また、nの平均値は、1以上2以下である。
前記一般式(7-1-1)で表されるマレイミド樹脂の製品としては、Designer Molecules Inc.社製の「BMI-1500」、及び信越化学工業株式会社製の「SLK-1500」等が挙げられる。
前記一般式(7-2-1)で表されるマレイミド樹脂の製品としては、Designer Molecules Inc.社製の「BMI-1700」等が挙げられる。
【0062】
本実施形態において(A2)成分及び(A3)成分を使用する場合、マレイミド樹脂中の(A2)成分と(A3)成分の含有量の比率は、硬化後の樹脂シートの凝集性と柔軟性を両立する観点から、質量基準で、25:75~75:25であることが好ましく、30:70~70:30であることがより好ましく、40:60~60:40であることが特に好ましい。マレイミド樹脂中の(A2)成分及び(A3)成分の含有量の比率がこのような範囲にあることで、本実施形態に係る樹脂シートの柔軟性をさらに向上させることができる。
【0063】
本実施形態において、(A)成分中のマレイミド樹脂((A1)成分~(A3)成分の合計)の含有量は、(A)成分の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く(A)成分の不揮発分の量を100質量%としたとき)で、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。(A)成分中のマレイミド樹脂の含有量は、(A)成分の固形分の全量基準で、97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、92.5質量%以下であることがさらに好ましい。(A)成分中のマレイミド樹脂の含有量がこのような範囲にあることで、本実施形態に係る樹脂シートの硬化後の耐熱性をさらに向上させることができる。
【0064】
(A4)トリアジン骨格を有する化合物
本実施形態に係る樹脂組成物は、樹脂シートの熱硬化後の剥離強度を上昇させる観点から、(A4)トリアジン骨格を有する化合物を含有することが好ましい。本実施形態における(A4)トリアジン骨格を有する化合物(以下、単に「(A4)成分」と称する場合がある)としては、トリアジン骨格を含有する化合物であれば、特に限定されない。(A4)成分は、マレイミド樹脂の重合反応を促進し、樹脂シートの熱硬化反応が進行する温度の低温化及び熱硬化後の剥離強度を両立する観点から、次のような化合物であることが好ましい。すなわち、(A4)成分は、塩基性基を有し、かつトリアジン骨格を有する化合物であることが好ましく、含窒素複素環を有し、かつトリアジン骨格を有する化合物であることがより好ましく、トリアジン骨格を有するイミダゾール化合物であることがさらに好ましい。
本実施形態におけるトリアジン骨格を有するイミダゾール化合物としては、トリアジン骨格及びイミダゾール基を含有し、マレイミド樹脂の重合反応を促進する化合物であれば、特に限定されない。
本実施形態におけるトリアジン骨格を有するイミダゾール化合物としては、例えば、下記一般式(A4’)で表される化合物(以下、単に「(A4’)成分」と称する場合がある)が挙げられる。
【0065】
【化13】
【0066】
前記一般式(A4’)において、R41及びR42は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、ヒドロキシメチル基、又はフェニル基であり、水素原子、又は炭素数1以上10以下のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は炭素数1以上3以下のアルキル基であることがより好ましい。R43は、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、フェニル基、又はアリル基であり、炭素数1以上10以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数1以上3以下のアルキル基であることがより好ましい。L41は、炭素数1以上5以下のアルキレン基であり、炭素数2以上4以下のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
【0067】
本実施形態における(A4’)成分としては、具体的には、2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2-(2-エチル-4-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン、及び2,4-ジアミノ-6-[2-(2-ウンデシル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。これらの化合物の中でも、樹脂シートの剥離強度及び反応温度の観点から、2,4-ジアミノ-6-[2-(2-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン、又は2,4-ジアミノ-6-[2-(2-エチル-4-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジンが好ましい。
【0068】
本実施形態において、樹脂組成物中の(A4)トリアジン骨格を有する化合物の含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く樹脂組成物の不揮発分の全量を100質量%としたとき)で、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、(A4)トリアジン骨格を有する化合物の含有量の上限値は、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
(A4)トリアジン骨格を有する化合物の含有量が上記範囲内であれば、樹脂シートの剥離強度をさらに向上できたり、反応温度をさらに低くできる。
【0069】
本実施形態において、樹脂組成物中の(A4)トリアジン骨格を有する化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
(A5)アリル樹脂
本実施形態における樹脂組成物が含有する(A)熱硬化性成分は、さらに(A5)アリル樹脂を含有することが好ましい。(A5)アリル樹脂(以下、単に「(A5)成分」と称する場合がある)は、常温で液体であることが好ましい。(A)熱硬化性成分がアリル樹脂を含むことで、本実施形態に係る樹脂シートの反応温度を低下させつつ、樹脂シートの硬化後の剥離強度を向上させることがより容易となる。また、(A5)アリル樹脂を含有することで、樹脂シートの複素粘度ηを適宜に調整し、被着体への適用時の樹脂シートの流動性を確保しつつ、樹脂シートの硬化後の耐熱性のさらなる向上が実現される。
【0071】
本実施形態において、マレイミド樹脂の(A5)アリル樹脂に対する質量比(マレイミド樹脂/(A5)成分)が、1.5以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。また、質量比(マレイミド樹脂/(A5)成分)の上限値は、例えば50以下であればよく、25以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。
質量比(マレイミド樹脂/(A5)成分)が上記範囲であれば、樹脂シートの耐熱性を向上させることができる。
さらに、質量比(マレイミド樹脂/(A5)成分)が上記範囲であれば、樹脂シートからのアリル樹脂のブリードアウトも抑制される。
【0072】
本実施形態における(A5)アリル樹脂は、アリル基を有する樹脂であれば、特に限定されない。本実施形態における(A5)アリル樹脂は、例えば、1分子中に2つ以上のアリル基を含むアリル樹脂であることが好ましい。
本実施形態におけるアリル樹脂は、下記一般式(8)、下記一般式(9)又は下記一般式(10)で表されることがより好ましい。
【0073】
【化14】
【0074】
【化15】
【0075】
【化16】
【0076】
前記一般式(8)において、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基であり、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基であることがより好ましく、メチル基及びエチル基からなる群から選択されるアルキル基であることがさらに好ましい。
前記一般式(9)において、n3は、1以上4以下であり、1以上3以下であることが好ましく、1以上2以下であることがより好ましい。また、前記一般式(9)で表されるアリル樹脂中において、n3が1である成分の比率が、90mol%以上であることが好ましい。
【0077】
本実施形態における(A5)アリル樹脂としては、具体的には、例えば、ジアリルビスフェノールA(2,2-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、前記一般式(9)で表されるアリルフェノール樹脂、及び前記一般式(10)で表されるアリルフェノール樹脂等が挙げられる。これらのアリル樹脂は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
本実施形態の(A)熱硬化性成分は、本発明の目的を損なわない限りにおいて、(A1)成分~(A3)成分以外の熱硬化性樹脂、(A4’)成分以外の硬化促進剤、及び(A5)成分以外の硬化樹脂を含有していてもよい。
(A1)成分~(A3)成分以外の熱硬化性樹脂としては、高耐熱性を有する熱硬化性樹脂であればよく、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂、及びメラミン樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A4’)成分以外の硬化促進剤としては、例えば、過酸化物、ホスホニウム塩、ベンゾピナコール及びその誘導体、並びにトリアジン骨格を有しないイミダゾール化合物(例えば、2-エチル-4-メチルイミダゾール等)等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A5)成分以外の硬化樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、及び(A5)成分以外のC=C二重結合を有する樹脂等の樹脂類、並びにアミン、酸無水物、及びホルムアルデヒド等が挙げられる。これらの硬化樹脂は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A1)成分~(A3)成分以外の熱硬化性樹脂、(A4)成分以外の硬化促進剤、又は(A5)成分以外の硬化樹脂を使用する場合、これらの含有量は、(A)成分の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く(A)成分の不揮発分の量を100質量%としたとき)で、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0079】
本実施形態において、樹脂組成物中の(A)熱硬化性成分の含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く樹脂組成物の不揮発分の全量を100質量%としたとき)で、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、(A)熱硬化性成分の含有量の上限値は、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
(A)熱硬化性成分の含有量が上記範囲内であることで、樹脂シートのハンドリング性、シート形状維持性、及び樹脂シートの耐熱性が向上する。
【0080】
また、本実施形態に係る(A1)成分を使用する場合において、樹脂組成物中の(A)熱硬化性成分の含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く樹脂組成物の不揮発分の全量を100質量%としたとき)で、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることがさらに好ましい。また、(A)熱硬化性成分の含有量の上限値は、27質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、23質量%以下であることがさらに好ましい。
(A)熱硬化性成分の含有量が上記範囲内であることで、樹脂シートのハンドリング性、シート形状維持性、及び樹脂シートの耐熱性が向上する。
【0081】
((B)バインダー成分)
本実施形態において、樹脂組成物は、(A)成分の他に、(B)バインダー成分(以下、単に「(B)成分」と称する場合がある)を含んでいてもよい。本実施形態の樹脂組成物が、さらに(B)バインダー成分を含むことにより、造膜性を付与し、樹脂組成物をシート状に成形しやすくできる。ただし、本実施形態の樹脂組成物において、バインダー成分としても働く(A1)成分を含有する場合には、バインダー成分を含有しなくてもよい。
本実施形態の(B)バインダー成分は、(A)成分以外の樹脂成分である。(B)バインダー成分は、構造の繰り返しを含むオリゴマー又はポリマーであり、官能基当量が5000以上であることが好ましい。このように(B)バインダー成分が官能基を有する場合、(B)バインダー成分が熱により樹脂シートの硬化に関与し得るとしても、本発明においては、(B)バインダー成分は(A)熱硬化性成分とは区別される。
(B)バインダー成分は、脂肪族化合物であるか、芳香族化合物であるかを問わず広く選定できる。(B)バインダー成分は、例えば、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、及びポリアミドイミド樹脂からなる群から選択される少なくともいずれかの樹脂であることが好ましく、耐熱性の観点からフェノキシ樹脂であることがより好ましい。なお、ポリエステル樹脂は、全芳香族ポリエステル樹脂であることが好ましい。(B)バインダー成分は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA骨格(以下、ビスフェノールAを「BisA」と称する場合がある)、ビスフェノールF骨格(以下、ビスフェノールFを「BisF」と称する場合がある)、ビフェニル骨格、及びナフタレン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂であることが好ましく、ビスフェノールA骨格及びビスフェノールF骨格を有するフェノキシ樹脂であることがより好ましい。
【0083】
(B)バインダー成分の重量平均分子量(Mw)は、樹脂シートの複素粘度を所望の範囲に調整し易くするという観点から、100以上100万以下であることが好ましく、1000以上80万以下であることがより好ましく、1万以上10万以下であることがさらに好ましい。本明細書における重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)法により測定される標準ポリスチレン換算値である。
【0084】
本実施形態において(B)バインダー成分を使用する場合、樹脂組成物中の(B)バインダー成分の含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く樹脂組成物の不揮発分の全量を100質量%としたとき)で、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。また、(B)バインダー成分の含有量の上限値は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
樹脂組成物中の(B)バインダー成分の含有量を上記範囲にすることで、硬化前の樹脂シートの複素粘度を所望の範囲に調整し易くなり、樹脂シートのハンドリング性、及びシート形成性が向上する。
【0085】
((C)熱伝導性フィラー)
本実施形態において、樹脂組成物は、(A)成分の他に、(C)熱伝導性フィラー(以下、単に「(C)成分」と称する場合がある)を含むことが好ましい。この(C)成分により、樹脂シートの熱的特性及び/又は機械的特性を向上させることができる。
(C)熱伝導性フィラーとしては、窒化ホウ素粒子、及びアルミナ粒子等が挙げられる。これらの中でも、(C1)窒化ホウ素粒子(以下、単に「(C1)成分」と称する場合がある)、及び(C2)アルミナ素粒子(以下、単に「(C2)成分」と称する場合がある)が、樹脂シートの熱拡散率を向上させる観点から好ましい。
(C)熱伝導性フィラーは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、(C)熱伝導性フィラーは、表面処理されていてもよい。
【0086】
(C)熱伝導性フィラーの平均粒径は、特に制限されない。(C1)窒化ホウ素粒子の平均粒径は、d50の値で0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることがさらに好ましい。また、(C1)窒化ホウ素粒子の平均粒径の上限値は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、15μm以下であることがさらに好ましい。
また、(C2)アルミナ粒子の平均粒径は、d50の値で、3μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。また、(C2)アルミナ粒子の平均粒径の上限値は、50μm以下であることが好ましく、35μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。
本明細書における、(C)熱伝導性フィラーの平均粒径は、動的光散乱法により測定した値とする。
【0087】
樹脂組成物中の(C1)窒化ホウ素粒子及び(C2)アルミナ粒子の含有量の合計は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く樹脂組成物の不揮発分の全量を100質量%としたとき)で、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、78.5質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。樹脂組成物中の(C1)成分及び(C2)成分の含有量の合計を上記下限以上にすることで、樹脂シートの熱拡散率を向上させることができる。
また、この含有量の合計の上限値は、90質量%以下であることが好ましく、88質量%以下であることがより好ましく、86質量%以下であることがさらに好ましく、85質量%以下であることが特に好ましい。樹脂組成物中の(C1)成分及び(C2)成分の含有量の合計を上記上限以下にすることで、樹脂シートの熱拡散率を向上させることができる。
【0088】
樹脂組成物が(C1)窒化ホウ素粒子及び(C2)アルミナ粒子の両方を含有する場合、樹脂組成物中の(C1)窒化ホウ素粒子と(C2)アルミナ粒子の質量比は、(C2)アルミナ粒子の質量を1とした場合、(C1)窒化ホウ素粒子の質量が0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。質量比を上記下限以上にすることで、樹脂シートの熱拡散率を向上させることができる。
また、上記の樹脂組成物が(C1)窒化ホウ素粒子及び(C2)アルミナ粒子の両方を含有する場合、樹脂組成物中の(C1)窒化ホウ素粒子と(C2)アルミナ粒子の質量比の上限値は、0.75以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましい。質量比を上記上限以下にすることで、樹脂シートの熱硬化後の剥離強度を上昇させることができる。
【0089】
樹脂組成物中の(C)熱伝導性フィラーの含有量は、樹脂組成物の固形分の全量基準(すなわち、溶媒を除く樹脂組成物の不揮発分の全量を100質量%としたとき)で、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、78.5質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。樹脂組成物中の(C)熱伝導性フィラーの含有量を上記下限以上にすることで、樹脂シートの熱拡散率を向上させることができる。
また、(C)熱伝導性フィラーの含有量の上限値は、90質量%以下であることが好ましく、88質量%以下であることがより好ましく、86質量%以下であることがさらに好ましく、85質量%以下であることが特に好ましい。樹脂組成物中の(C)熱伝導性フィラーの含有量を上記上限以下にすることで、樹脂シートの熱硬化後の剥離強度を上昇させることができる。
【0090】
((D)カップリング剤)
本実施形態において、樹脂組成物は、(A)成分及び(C)成分の他に、さらに(D)カップリング剤を含むことが好ましい。
カップリング剤は、前述の(A)熱硬化性成分が有する官能基と反応する基を有することが好ましく、(A)熱硬化性成分が有する官能基と反応する基を有することがより好ましい。
【0091】
(D)カップリング剤を使用することで、樹脂シートの硬化物と被着体との間の剥離強度が向上する。
【0092】
(D)カップリング剤としては、本発明の効果を得る観点からシラン系(シランカップリング剤)が好ましい。(D)カップリング剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記のようなカップリング剤の配合量は、(A)熱硬化性成分100質量部に対して、通常、0.1質量部以上であり、0.3質量部以上であることが好ましい。カップリング剤の含有量の上限値は、通常、7質量部以下であり、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。
【0093】
本実施形態に係る樹脂組成物の一例としては、(A)熱硬化性成分、(C)熱伝導性フィラー、及び(D)カップリング剤のみを含有する樹脂組成物が挙げられる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物の他の一例としては、下記の通り、(A)熱硬化性成分、(C)熱伝導性フィラー、(D)カップリング剤、及び前記(A)成分、(C)成分及び(D)成分以外の成分を含有する樹脂組成物が挙げられる。
【0094】
(その他の成分)
本実施形態において、樹脂組成物は、さらにその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、架橋剤、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、分散剤、沈降防止剤、増粘剤及びイオン捕捉剤からなる群から選択される少なくともいずれかの成分が挙げられる。
例えば、樹脂組成物は、硬化前の初期接着性、及び凝集性を調節するために、さらに架橋剤を含んでいてもよい。
架橋剤としては、例えば、有機多価イソシアナート化合物、及び有機多価イミン化合物等が挙げられる。架橋剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0095】
有機多価イソシアナート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアナート化合物、脂肪族多価イソシアナート化合物、脂環族多価イソシアナート化合物、及びこれらの多価イソシアナート化合物の三量体、並びにこれら多価イソシアナート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
有機多価イソシアナート化合物のさらに具体的な例としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアナート、2,6-トリレンジイソシアナート、1,3-キシリレンジイソシアナート、1,4-キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアナート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアナート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアナート、及びリジンイソシアナート等が挙げられる。有機多価イソシアナート化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0096】
有機多価イミン化合物の具体例としては、例えば、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオナート、及びN,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。有機多価イミン化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0097】
上記のような架橋剤の配合量は、前述の樹脂成分100質量部に対して通常0.01質量部以上であり、0.1質量部以上であることが好ましい。また、架橋剤の配合量の上限値は、通常12質量部以下であり、10質量部以下であることが好ましい。
【0098】
[樹脂シート]
本実施形態に係る樹脂シートは、前述の本実施形態に係る樹脂組成物から形成される。
樹脂シートは、半導体素子の封止や、半導体素子と他の電子部品との間に介在させることに用いられる場合の、貼り付ける被着体の凹凸への追従性等の観点から、本実施形態に係る樹脂組成物のみからなることが好ましい。すなわち、樹脂シートは、例えばプリプレグのように、樹脂組成物と繊維シートを組み合わせたもの等のような複合材料ではないことが好ましい。
【0099】
本実施形態に係る樹脂シートにおいては、この樹脂シートを、この樹脂シートの表面と垂直方向に切断した断面(P)のうち、一辺が前記樹脂シートの厚さの4倍の正方形で囲まれ、かつ前記樹脂シートの2つ面を含む領域(P1)を観察した場合に、下記数式(F1)で示される条件を満たすことが必要である。
0.25≦Ld/Lt≦1 ・・・(F1)
Ld:(C)熱伝導性フィラーのうちの断面直径の垂直方向長さが最大のものの、垂直方向における長さ(図1参照)
Lt:樹脂シートの垂直方向における長さ(図1参照)
【0100】
Ld/Ltの値が0.25未満では、熱伝導性が低下してしまう。他方、Ld/Ltの値が1を超えると、樹脂シートの表面に凹凸が生じ、接着性に悪影響が生じる。また、同様の観点から、Ld/Ltの値は、0.29以上であることが好ましく、0.33以上であることがより好ましい。また、Ld/Ltの値の上限値は、0.99以下であることが好ましく、0.95以下であることがより好ましい。
【0101】
本実施形態に係る樹脂シートの熱硬化後の熱拡散率は、1.0×10-6/s以上であることが必要であり、1.1×10-6/s以上であることが好ましく、1.2×10-6/s以上であることがより好ましく、1.3×10-6/s以上であることがさらに好ましく、1.35×10-6/s以上ことがさらにより好ましく、1.5×10-6/s以上であることが特に好ましい。また、熱硬化後の熱拡散率の上限値は、1×10-5/s以下であることが好ましく、8×10-6/s以下であることがより好ましく、5×10-6/s以下であることがさらに好ましく、4×10-6/s以下であることがさらにより好ましく、3×10-6/s以下であることが特に好ましい。
樹脂シートの熱硬化後の熱拡散率がこのような範囲にあることで、高い熱伝導性を有する硬化物を得ることができる。樹脂シートの熱硬化後の熱拡散率は、後述する実施例に記載の方法により得られる特性値である。
【0102】
また、本実施形態に係る樹脂シートの熱硬化後の剥離強度は、1.0N/10mm以上であることが好ましく、2.0N/10mm以上であることがより好ましく、3.0N/10mm以上であることがさらに好ましく、4.0N/10mm以上であることが特に好ましい。また、熱硬化後の剥離強度の上限値は、50N/10mm以下であることがより好ましく、40N/10mm以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る樹脂シートの熱硬化後の剥離強度が1.0N/10mm以上であれば、樹脂シートを封止材として用いた場合に、被着物に対して、高い接着性を維持することが可能である。
本実施形態に係る樹脂シートの熱硬化後の剥離強度は、例えば、樹脂組成物に用いる成分の種類(特に、硬化促進剤の種類)及び配合量を調整することにより、上記範囲に調整することができる。
なお、本実施形態に係る樹脂シートの熱硬化後の剥離強度は、後述の測定方法を用いて、熱硬化後の樹脂シートと被着物との間で、剥離角度90度の引き剥がし試験を行うことによって求めた。具体的には、実施例の記載のように、試験片を作成し、引き剥がし試験を行った。
本実施形態に係る樹脂シートにおいて、樹脂組成物がシート化されていることにより、被着体への適用が簡便になり、特に被着体が大面積である場合の適用が簡便になる。
樹脂組成物がシート状であれば、封止工程後の形状に対して適合した形状に予め形成されているので、適用するだけで、ある程度の均一性を保った封止材として供給できる。また、樹脂組成物がシート状であれば、取り扱い性に優れる。
【0103】
樹脂組成物をシート化する方法は、従来公知のシート化する方法を採用でき、特に限定されない。薄い樹脂シートが得られやすいという観点からは、樹脂シートは、樹脂組成物の塗膜であることが好ましい。樹脂組成物の塗膜である樹脂シートは、前記樹脂組成物を塗布する工程を含む製造方法により得ることができる。
ここで、塗布方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。また、塗布後に、必要に応じて、乾燥してもよい。乾燥条件についても、前記樹脂組成物が硬化しない条件であれば、特に限定されない。
本実施形態に係る樹脂シートは、帯状のシートであってもよく、ロール状に巻き取られた状態で提供されてもよい。ロール状に巻き取られた本実施形態に係る樹脂シートは、ロールから繰り出されて所望のサイズに切断する等して使用することができる。
【0104】
本実施形態に係る樹脂シートの厚さは、例えば、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。また、当該厚さは、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、120μm以下であることがさらに好ましい。また、樹脂シートが樹脂組成物の塗膜である場合には、樹脂シートを薄くすることが容易であり、本実施形態に係る樹脂シートの厚さが、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
【0105】
(熱硬化条件)
本実施形態に係る樹脂シートにおける熱硬化条件において、加熱温度は、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがよりさらに好ましく、160℃以上であることがよりさらに好ましい。また、加熱温度の上限値は、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、230℃以下であることがよりさらに好ましく、210℃以下であることがよりさらに好ましい。
本実施形態に係る樹脂シートにおける熱硬化条件において、加熱時間は、10分以上であることが好ましく、20分以上であることがより好ましい。また、加熱時間の上限値は、10時間以下であることが好ましく、7時間以下であることがより好ましい。
樹脂シートにおける熱硬化条件が上記の範囲であることによって、低温及び短時間での樹脂シートの熱硬化を実現することができる。
【0106】
[積層体]
図2には、本実施形態に係る積層体1の断面概略図が示されている。
本実施形態の積層体1は、第一剥離材2と、第二剥離材4と、第一剥離材2及び第二剥離材4の間に設けられた樹脂シート3とを有する。樹脂シート3は、本実施形態に係る樹脂シートである。
【0107】
第一剥離材2、及び第二剥離材4は、剥離性を有し、第一剥離材2の樹脂シート3に対する剥離力と第二剥離材4の樹脂シート3に対する剥離力とに差があることが好ましい。第一剥離材2及び第二剥離材4の材質は特に限定されない。第一剥離材2の剥離力P1に対する第二剥離材4の剥離力P2の比(P2/P1)は、0.02≦P2/P1<1又は1<P2/P1≦50であることが好ましい。
【0108】
第一剥離材2、及び第二剥離材4は、例えば、剥離材そのものに剥離性がある部材の他、剥離処理が施された部材、又は剥離剤層が積層された部材等であってもよい。第一剥離材2、及び第二剥離材4に剥離処理が施されていない場合、第一剥離材2、及び第二剥離材4の材質としては、例えば、オレフィン系樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
第一剥離材2、及び第二剥離材4は、剥離基材と、剥離基材の上に剥離剤が塗布されて形成された剥離剤層とを備える剥離材とすることができる。剥離基材と剥離剤層とを備える剥離材とすることで、取り扱いが容易となる。また、第一剥離材2、及び第二剥離材4は、剥離基材の片面のみに剥離剤層を備えていてもよいし、剥離基材の両面に剥離剤層を備えていてもよい。
【0109】
剥離基材としては、例えば、紙基材、この紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、及びプラスチックフィルム等が挙げられる。紙基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、及びキャストコート紙等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等)、並びにポリオレフィンフィルム(例えば、ポリプロピレン、及びポリエチレン等)等が挙げられる。これらのうちでも、ポリエステルフィルムが好ましい。
【0110】
剥離剤としては、例えば、シリコーン樹脂で構成されたシリコーン系剥離剤;ポリビニルカーバメート、及びアルキル尿素誘導体等の長鎖アルキル基を含有する化合物で構成された長鎖アルキル基含有化合物系剥離剤;アルキド樹脂(例えば、不転化性アルキド樹脂、及び転化性アルキド樹脂等)で構成されたアルキド樹脂系剥離剤;オレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び直鎖状低密度ポリエチレン等)、アイソタクチック構造、又はシンジオタクチック構造を有するプロピレン単独重合体、及びプロピレン-α-オレフィン共重合体等の結晶性ポリプロピレン樹脂等)で構成されたオレフィン樹脂系剥離剤;天然ゴム、及び合成ゴム(例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、メチルメタクリレート-ブタジエンゴム、及びアクリロニトリル-ブタジエンゴム等)等のゴムで構成されたゴム系剥離剤;並びに(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等のアクリル樹脂で構成されたアクリル樹脂系剥離剤等の各種剥離剤が挙げられ、これらを1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうちでも、アルキド樹脂系剥離剤が好ましい。特に、樹脂シート3が含む樹脂組成物の(B)バインダー成分として、フェノキシ樹脂を用いた場合には、一般的なシリコーン系剥離剤を採用すると、剥離材が意図せず樹脂シート3の使用前に剥がれてしまう懸念があるため、アルキド樹脂系剥離剤を用いることが好ましい。
【0111】
第一剥離材2、及び第二剥離材4の厚さは、特に限定されない。通常、1μm以上500μm以下であり、3μm以上100μm以下であることが好ましい。
剥離剤層の厚さは、特に限定されない。剥離剤を含む溶液を塗布して剥離剤層を形成する場合、剥離剤層の厚さは、0.01μm以上3μm以下であることが好ましく、0.03μm以上1μm以下であることがより好ましい。
【0112】
積層体1の製造方法は、特に限定されない。例えば、積層体1は、次のような工程を経て製造される。まず、第一剥離材2の上に、樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成する。次に、この塗膜を乾燥させて、樹脂シート3を形成する。次に、樹脂シート3と、第二剥離材4とを常温で貼り合わせることで、積層体1が得られる。なお、この場合、第一剥離材2と第二剥離材4の剥離材の種類が同じ場合には、第一剥離材2の剥離力P1に対する第二剥離材4の剥離力P2の比(P2/P1)は、P2/P1<1となる可能性が高く、第一剥離材2と第二剥離材4の剥離材が異種のものであっても、樹脂組成物を塗布するのが第一剥離材2であることにより、P2/P1の値が小さくなる傾向がある。
【0113】
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る樹脂シート及び積層体によれば、耐熱性に優れる樹脂シートの、熱硬化後の熱伝導性をも向上させ、さらに、熱硬化後の接着性を向上させることができる。
【0114】
上述のとおり、本実施形態に係る樹脂シートは、パワー半導体素子に好適に用いることができる。換言すれば、本実施形態に係る半導体装置において、半導体素子は、パワー半導体素子であることが好ましい。パワー半導体素子は、200℃以上の高温での動作も想定されている。パワー半導体素子を有する半導体装置に使用する材料には、耐熱性が要求される。本実施形態に係る樹脂シートは、耐熱性に優れるため、半導体装置においてパワー半導体素子を覆うこと、或いは、パワー半導体素子と他の部品との間に介在させることに用いられることに好適に用いられる。また、本実施形態に係る樹脂シートは、複数の半導体素子に一括して適用されることが好ましい。例えば、樹脂組成物がシート状であれば、複数の間隙が設けられたフレームの間隙ごとに半導体素子が配置された構造体に対して、樹脂シートを適用し、フレームと半導体素子を一括して封止する、いわゆるパネルレベルパッケージに使用することができる。
また、半導体素子の封止は、フリップチップ型の素子の裏面を保護するための被覆であってもよい。一般的な保護シートでは素子から発生する熱を遮断し、素子に熱がこもってしまうのに対し、本実施形態に係る樹脂シートをフリップチップ型の素子の裏面保護シートとして用いることで、効率的に素子から発生した熱を放散させることができる。
また、本実施形態に係る樹脂シートは、熱硬化後の熱伝導性に優れるため、パワー半導体素子から発生した熱をヒートシンク等に効率的に伝えることができる。すなわち、本実施形態に係る樹脂シートは、耐熱性及び熱伝導性に優れるため、200℃以上の高温動作が想定されるパワー半導体素子を封止すること、又はパワー半導体素子と他の電子部品との間に介在させることに用いることができ、パワー半導体素子から発生した熱を、ヒートシンク等に伝える能力に優れる。
【0115】
上述のとおり、本実施形態に係る樹脂シートは、化合物半導体を用いた半導体素子に好適に用いることができる。換言すれば、本実施形態に係る半導体装置において、半導体素子は、化合物半導体を用いた半導体素子であることが好ましい。化合物半導体を用いた半導体素子は、シリコン半導体素子とは異なる特性を有するので、パワー半導体素子、基地局用高出力デバイス、センサー、ディテクター、及びショットキーバリアダイオード等の用途に好ましく用いられる。これらの用途では、化合物半導体を用いた半導体素子の耐熱性にも着目しており、本実施形態の樹脂シートは、耐熱性に優れるため、化合物半導体を用いた半導体素子と組み合わされて好適に用いられる。また、本実施形態に係る樹脂シートは、熱硬化後の熱伝導性に優れるため、化合物半導体を用いた半導体素子から発生した熱を、ヒートシンク等に効率的に伝えることができる。
また、本実施形態に係る樹脂シートは、化合物半導体を用いた半導体素子を封止することに用いられることが好ましい。又は、本実施形態に係る樹脂シートは、化合物半導体を用いた半導体素子と他の電子部品との間に介在させることに用いられることが好ましい。他の電子部品としては、例えば、プリント配線基板、及びリードフレーム等が挙げられる。
シリコン半導体素子の動作温度の上限は175℃程度であるため、パワー半導体素子には高温動作が可能な化合物半導体を用いた半導体素子を用いることが好ましい。化合物半導体としては、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウムガリウム、酸化ガリウム、ガリウムヒ素等が挙げられ、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウムガリウム及び酸化ガリウムのいずれか1種以上であることが好ましい。
本実施形態に係る樹脂シートは、耐熱性及び熱伝導性に優れるため、200℃以上の高温動作が想定される化合物半導体を用いた半導体素子を封止すること、又は化合物半導体を用いた半導体素子と他の電子部品との間に介在させることに用いることができ、これらの半導体素子から発生した熱を、ヒートシンク等に伝える能力に優れる。
【0116】
[実施形態の変形]
本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良等は、本発明に含まれる。
【0117】
前記実施形態では、第一剥離材と、第二剥離材と、第一剥離材及び第二剥離材の間に設けられた樹脂シートとを有する積層体について説明したが、その他にも、樹脂シートの一方の面のみに剥離材を有する積層体であってもよい。
【0118】
また、前記半導体装置の実施形態では半導体封止用途について説明したが、本発明の樹脂シートは、その他にも、回路基板用絶縁材料(例えば、硬質プリント配線板材料、フレキシブル配線基板用材料、及びビルドアップ基板用層間絶縁材料等)、ビルドアップ用接着フィルム、並びに接着剤等として用いることができる。
【実施例
【0119】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
【0120】
[実施例及び比較例]
[樹脂組成物の調製]
表1に示す配合割合(質量%(固形分換算の割合))にて実施例1~4に係る樹脂組成物を調製した。
樹脂組成物の調製に用いた材料は以下のとおりである。
【0121】
(熱硬化性成分)
・第1のマレイミド樹脂:長鎖アルキル型マレイミド樹脂(温度25℃において固体、前記一般式(A1-1-1)で表されるマレイミド樹脂、信越化学工業株式会社製「SLK-3000」)
・第2のマレイミド樹脂:ビフェニル基を有するマレイミド樹脂(前記一般式(3)で表されるマレイミド樹脂、日本化薬株式会社製「MIR-3000」)
・第3のマレイミド樹脂:長鎖アルキル型マレイミド樹脂(温度25℃において液状、前記一般式(7-1-1)で表されるマレイミド樹脂、信越化学工業株式会社製「SLK-1500」)
・アリル樹脂:ジアリルビスフェノールA(大和化成工業株式会社製「DABPA」)
・トリアジン骨格を有する化合物:2,4-ジアミノ-6-[2-(2-エチル-4-メチル-1-イミダゾリル)エチル]-1,3,5-トリアジン(四国化成工業株式会社製「2E4MZ-A」)
【0122】
(カップリング剤)
・カップリング剤:3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
【0123】
(熱伝導性フィラー)
・アルミナ粒子-1:(昭和電工株式会社製「CB-A50S」、平均粒径(d50):50μm)
・アルミナ粒子-2:(昭和電工株式会社製「CB-A30S」、平均粒径(d50):30μm)
・アルミナ粒子-3:(昭和電工株式会社製「CB-P05」、平均粒径(d50):4μm)
・窒化ホウ素粒子-1:(昭和電工株式会社製「UHP-2」、平均粒径(d50):11μm)
・窒化ホウ素粒子-2:(昭和電工株式会社製「UHP-S2」、平均粒径(d50):0.7μm)
【0124】
<熱硬化前の樹脂シートの評価>
[樹脂シートを含む積層体の作製]
第一剥離材(アルキド樹脂系剥離剤から形成される剥離層を設けたポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ38μm)上に、ナイフコーターにて樹脂ワニス(シクロヘキサノンに、樹脂組成物を溶解して調製した塗布用溶液、固形分濃度は、72質量%とした。)を塗布し、90℃で1分間及び115℃で1分間乾燥した。乾燥後の樹脂組成物の厚さは表1に示す通りであった。乾燥炉から出した直後に、乾燥後の樹脂組成物と、第二剥離材(シリコーン系剥離剤から形成される剥離層を設けたポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ38μm)とを常温で積層し、第一剥離材、樹脂組成物からなる樹脂シート、及び第二剥離材がこの順で積層された積層体を作製した。
【0125】
<熱硬化後の樹脂シートの評価>
[樹脂シートを含む積層体の作製]
上記の熱硬化前の樹脂組成物の評価と同様に積層体を得た。
【0126】
[樹脂シートの厚さ]
株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG-02J」、標準規格:JIS K6783、Z1702、Z1709に準拠)を用いて測定した。
[樹脂シートの断面観察]
ガラス板に、得られた積層体における樹脂シートの一方の面を、ラミネート温度130℃にて減圧圧着することで貼り合わせ(ラミネート装置:ニッコー・マテリアルズ株式会社製「V-130」;条件:到達圧力100Pa、加圧力0.3MPa、時間30秒間)、温度200℃にて4時間の熱硬化条件で樹脂シートを硬化させて、次いで、樹脂シートの他方の面に、ガラス板を、二液硬化型エポキシ樹脂系接着剤(コニシ株式会社製、製品名「クイック5」)で貼り合せた。なお、積層体における樹脂シートの第二剥離材及び第一剥離材は、それぞれガラス板に貼り付ける前に剥離した。その後、試料とした。この試料について、樹脂シートの表面と垂直方向に切断し、その断面(P)を走査型電子顕微鏡(ZEISS社製、製品名「CrossBeam 550」)に用いて、一辺が樹脂シートの厚さの4倍の正方形で囲まれ、かつ樹脂シートの2つ面を含む領域(P1)を観察した。そして、下記のLd及びLtの値を測定し、Ld/Ltの値を算出した。得られた結果を表1に示す。また、実施例4で得られた樹脂シートの断面を示すSEM写真を図3に示す。
Ld:(C)熱伝導性フィラーのうちの断面直径の垂直方向長さが最大のものの、垂直方向における長さ
Lt:樹脂シートの垂直方向における長さ
【0127】
[樹脂シートの熱硬化後における熱拡散率の測定]
樹脂シートを厚さ200μmとなるように貼り合わせ、温度200℃にて4時間の熱硬化条件で硬化を行って試料とした。なお、積層体の第一剥離材及び第二剥離材は、貼り合わせの過程で適宜除去した。この試料について、熱拡散率測定装置(株式会社アイフェイズ製「ai-Phase Mobile 1」)を用いて温度波法により、熱拡散率を測定した。
得られた結果を表1に示す。
【0128】
[剥離強度の測定]
銅板(JIS―C1220P仕様、厚さ400μm)に、得られた積層体における樹脂シートの一方の面を、ラミネート温度130℃にて減圧圧着することで貼り合わせ(ラミネート装置:ニッコー・マテリアルズ株式会社製「V-130」;条件:到達圧力100Pa、加圧力0.3MPa、時間30秒間)、次いで、樹脂シートの他方の面に、銅箔(大きさ50mm×10mm、厚さ150μm、JIS H 3100仕様)を、上記と同じ条件で減圧圧着することで貼り合せた。なお、積層体における樹脂シートの第二剥離材及び第一剥離材は、それぞれSiウェハ及び銅板に貼り付ける前に剥離した。その後、温度200℃にて4時間の熱硬化条件で樹脂シートを硬化させて、試料とした。この試料について、引っ張り試験機(株式会社島津製作所製「オートグラフAG-IS」)を用いて、剥離速度50mm/分、剥離角度90度の条件で銅箔を硬化後の樹脂シートから引き剥がし、銅箔と硬化後の樹脂シートとの剥離強度(単位:N/10mm)を測定した。測定は、25℃、相対湿度50%の環境下で行った。得られた結果を表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
表1に示す結果からも明らかな通り、実施例1~4で得られた樹脂シートにおいては、Ld/Ltの値が0.25以上1以下の範囲内であり、剥離強度が高く、また、熱硬化後の熱拡散率が高いことが分かった。
【符号の説明】
【0131】
1…積層体、2…第一剥離材、3…樹脂シート、4…第二剥離材。
図1
図2
図3